JP3523347B2 - 窒化アルミニウムスラリー - Google Patents

窒化アルミニウムスラリー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な窒化アルミニウ
ムスラリーに関する。詳しくは、保存安定性に優れた水
系の窒化アルミニウムスラリーを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウムは熱伝導性に優れてい
るため、これを焼結して発熱量の大きい半導体チップを
搭載する半導体装置用パッケージ等に使用されている。
また、上記窒化アルミニウム焼結体はその高熱伝導性に
加えて溶融金属に濡れにくい故に、かかる特性を利用し
て基板以外の分野にもその用途が広がりつつある。
【0003】上記の窒化アルミニウム焼結体は、窒化ア
ルミニウム粉末及び焼結助剤、更に必要に応じて結合剤
よりなる組成を溶媒に分散させたスラリーを経由して、
グリーン体に成形し、これを焼成することによって得ら
れる。
【0004】従来、窒化アルミニウムグリーン体の成形
方法としては、テープ成形、プレス成形、鋳込成形、押
し出し成形及び射出成形等の方法がある。そして、これ
らの方法において、高熱伝導性を得るために添加される
焼結助剤と窒化アルミニウム粉末とを均一に混合するた
めに、ボールミル等を用いた湿式混合によりスラリーを
調製するのが一般的である。
【0005】上記スラリーの調製において、窒化アルミ
ニウム粉末の媒体として水を用いると、該窒化アルミニ
ウム粉末の表面が水との水和反応を起こし、アンモニア
ガスの発生を伴う発熱反応をする。このため、従来よ
り、かかる媒体として有機媒体を使用するのが一般的で
あったが、使用する有機溶媒に起因する安全問題、環境
問題、経済性等の問題を抱えていた。
【0006】従って、上記スラリー調製用の媒体として
水を用いることができれば、有機溶媒と比較して、安
全、安価で、環境的にも有利に窒化アルミニウムスラリ
ーが得られる。そればかりでなく、アルミナ等の酸化物
系セラミックの確立された製造技術を応用することも可
能となり、技術的メリットも大きくなることが期待され
る。
【0007】水と水溶性脂肪族多価アルコールとの混合
物を媒体とした窒化アルミニウムスラリーが、特開昭6
2ー176630号に開示されている。
【0008】また、特開昭64ー42310号には、水
のみを媒体として使用したスラリーの製造方法が提案さ
れている。この方法は、8℃以下の温度に、制御された
水に焼結助剤としての酸化イットリウム、窒化アルミニ
ウム及びバインダーを1〜2分間手混合することにより
分散させる方法である。
【0009】そして、上記方法においては、当該温度に
おいて放置して沸騰を起こさなかったスラリーについ
て、スプレードライヤーにより造粒し、プレス成形、脱
脂、焼成を行い、最高122W/m・Kの熱伝導率を有
する焼結体を得ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、媒体と
して水と水溶性脂肪族多価アルコールとの混合物を用い
る方法は、依然として有機溶媒を使用する方法であり、
安全面、環境面、コスト等において問題が残る。
【0011】また、8℃以下の温度に制御してスラリー
を調製する方法は、作業環境が過酷であり、しかも深冷
装置を必要とするためコスト高になり、工業的な実施に
おいて不利である。また、その際、手混合のみで混合を
おこなうため、焼結助剤等の添加剤を配合する場合にお
いては該添加剤と窒化アルミニウム粉末との混合が不十
分となり、最終的に得られる焼結体の物性の低下を招く
という問題をも誘発する虞がある。この問題に対して、
従来の湿式混合において使用されているボールミル等の
混合機で焼結助剤と窒化アルミニウム粉末の2次粒子を
粉砕し、均一に混合する方法が考えられるが、この場
合、窒化アルミニウム粉末が粉砕された際に、酸化され
ていない新しい窒化アルミニウム表面が水にさらされて
水との水和反応が進行し、安定した窒化アルミニウムス
ラリーを得ることが困難である。
【0012】従って、保存安定性が優れ、均一に分散さ
れた水系の窒化アルミニウムスラリーの開発が従来より
望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の酸素濃度を
有し、且つ表面をポリカルボン酸又はポリカルボン酸塩
よりなる解膠剤によって被覆された窒化アルミニウム粉
末を、有機溶媒を含有しない水に分散した水系スラリー
が、有機溶媒を使用しないにもかかわらず、比較的高い
温度において極めて安定であることを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明は、ポリカルボン酸又はポリ
カルボン酸塩よりなる解膠剤に被覆された、酸素濃度が
0.75〜5重量%の窒化アルミニウム粉末を、有機溶
媒を含有しない水に分散してなる窒化アルミニウムスラ
リーである。
【0015】尚、本発明において窒化アルミニウム粉末
の酸素濃度は、燃焼分析法によって測定した値をいう。
【0016】本発明において、ポリカルボン酸又はポリ
カルボン酸塩よりなる解膠剤(以下有機高分子電解質よ
りなる解膠剤と言う。)によって被覆される窒化アルミ
ニウム粉末は、酸素濃度が0.75〜5重量%、好まし
くは、0.8〜1.5重量%の条件を満足するものであ
れば、公知のものが特に制限なく使用される。即ち、酸
素濃度が0.75重量%より低い窒化アルミニウム粉末
は、解膠剤の被覆後においても媒体である有機溶媒を含
有しない(以下、単に水と言う。)との反応が進行
し、アンモニアガスが発生する等の問題が生じ、安定し
た窒化アルミニウムスラリーを形成することができな
い。また、窒化アルミニウム粉末の酸素濃度が5重量%
を超えた場合、これを使用して得られる焼結体の熱伝導
率が著しく低くなり、窒化アルミニウムを材質として使
用する特徴が低減する。
【0017】本発明に使用される窒化アルミニウム粉末
は、上記した特定の酸素濃度を有するものであれば良い
が、特に、窒化アルミニウムスラリーを経て最終的に得
られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率をより向上さ
せるためには、陽イオン不純物が0.5重量%以下のも
のであることが好ましい。特に、陽イオン不純物の含有
量が0.2重量%以下であり、且つ陽イオン不純物のう
ち、Fe、Ca、及びSiの合計含有量が0.12重量
%以下のものであることが好ましい。
【0018】また、該窒化アルミニウム粉末の粒子径も
特に制限されないが、一般に0.01〜20μm程度、
好ましくは0.1〜10μm程度の範囲内のものを使用
することが好ましい。
【0019】本発明において、窒化アルミニウム粉末
は、前記したように特定の酸素濃度を有すると共に、
機高分子電解質よりなる解膠剤により被覆されているこ
とが、水中に分散させてスラリー化したときに、優れた
安定性を呈するために必要である。
【0020】即ち、酸素濃度を前記範囲に調節したのみ
の窒化アルミニウム粉末を含むスラリーは、該窒化アル
ミニウムが水と徐々に反応してしまい、良好な安定性を
示さず、逆に、酸素濃度が前記範囲を外れた窒化アルミ
ニウム粉末を前記解膠剤により被覆したものを含むスラ
リーであっても、該窒化アルミニウムが水と徐々に反応
し、本発明の目的を達成することができない。
【0021】本発明に使用する有機高分子電解質よりな
解膠剤は、ポリカルボン酸又はポリカルボン酸塩であ
れば、公知のものが特に制限なく使用される。上記のポ
リカルボン酸塩としては、窒化アルミニウム焼結体とし
たとき該焼結体中に金属の残らないアンモニウム塩が特
に好ましい。また、ポリカルボン酸及びポリカルボン酸
塩のうちでも、アクリル酸系の重合体、共重合体及びオ
リゴマーが特に好ましい。代表的な上記解膠剤を具体的
に例示すれば、デモールP(花王株式会社)、ポイズ5
30(花王株式会社)、G−700(共栄社化学株式会
社)、KD−270N(共栄社化学株式会社)、C−3
4(日本化薬株式会社)、C−34N(日本化薬株式会
社)、RFA(サンノプコ株式会社)、イソバン(株式
会社クラレ)、A−6114(東亜合成化学株式会
社)、D−735(中京油脂株式会社)、D−114
(第一工業製薬株式会社)等の公知の有機高分子電解質
よりなる解膠剤を挙げることができる。
【0022】本発明において、上記解膠剤は窒化アルミ
ニウム粉末の少なくとも一部の表面、好ましくは該窒化
アルミニウム粉末の全表面を被覆していることが好まし
い。
【0023】窒化アルミニウム粉末の全表面を被覆する
ために必要な有機高分子電解質よりなる解膠剤の最低添
加量については、適宜実験によって求めれば良い。一般
には、一定量の窒化アルミニウム粉末に対して、前記
膠剤の添加量を変化させて水を媒体としたスラリーを調
製した場合、スラリー粘度を最低ならしめる前記解膠剤
の添加量(最低添加量)が存在するが、かかる前記解膠
剤の好適な添加量は上記最低添加量以上となる量に決定
される。
【0024】一方、有機高分子電解質よりなる解膠剤の
添加量が多過ぎるとスラリー粘度の上昇を招き、弊害が
生じる。特に、鋳込み成形の場合、前記解膠剤の量が多
いと成形体の乾燥速度が遅くなるので生産性が低下す
る。それ故に、前記解膠剤の添加量は最低添加量の1〜
5倍が好ましい。
【0025】本発明において、窒化アルミニウムスラリ
ーの調製に使用される水は、特に制限されないが、窒化
アルミニウムの純度を著しく低減しない程度に高度の
ものが好適である。一般には、陽イオン濃度が0.5重
量%以下、特に0.2重量%以下のものが好適である。
【0026】また、本発明の窒化アルミニウムスラリー
において、窒化アルミニウム粉末の濃度は、これを使用
して成形体を製造する際に採用される成形方法において
異なり一概に限定されるものではないため、採用される
成形方法に応じて最適な流動性を有する濃度に適宜調節
すれば良い。
【0027】本発明の窒化アルミニウムスラリーは、基
本的には、窒化アルミニウム粉末と水とよりなるが、必
要に応じて、焼結助剤、有機結合剤等の窒化アルミニウ
ム焼結体の製造時に使用される公知の配合剤を含有する
ことができる。これらの種類、配合量は、通常使用され
ている範囲が特に制限なく採用される。一般に、焼結助
剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化
ストロンチウム等のアルカリ土類金属化合物、酸化イッ
トリウム、酸化ランタン、酸化エンビウム、酸化イッテ
ルビウム、酸化ホルミウム、酸化ジスプロシウム、酸化
ガドリニウム等の希土類元素化合物、アルミン酸カルシ
ウム等の複合酸化物の1種または2種以上が一般に使用
され、その配合量は、窒化アルミニウム粉末に対して
0.01〜10重量%、好ましくは、0.05〜5重量
%が適当である。
【0028】また、有機結合剤としては、澱粉、デキス
トリン、Na−カルボキシメチルセルロース(CM
C)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
アクリル系エマルジョン等の水溶性の親水性結合剤が公
知の配合量で使用される。
【0029】本発明の窒化アルミニウムスラリーは、特
に20℃以下の温度において極めて安定な性質を示す。
このことは、従来の水系の窒化アルミニウムスラリー
が、僅か8℃で安定性が低下することと比較すれば著し
い安定性を有するものであり、そのため、水冷により2
0℃以下に保つことが可能となり、経済的に窒化アルミ
ニウムスラリーを保存することができる。
【0030】本発明の窒化アルミニウムスラリーの製造
方法は特に制限されないが、代表的な方法として、酸素
濃度が0.75〜5重量%、好ましくは0.8〜1.5
重量%の窒化アルミニウム粉末及び解膠剤を20℃以下
の温度下に、水中で混合してスラリー化することを特徴
とする窒化アルミニウムスラリーの製造方法が挙げられ
る。
【0031】上記方法において、窒化アルミニウム粉末
の酸素濃度が0.75重量%より低い場合、有機高分子
電解質よりなる解膠剤との混合時に媒体である水との反
応が急速に進行し、たとえ、その表面を前記解膠剤で被
覆できたとしても、該反応は停止せず得られる窒化アル
ミニウムスラリー中の、該窒化アルミニウムの酸素濃度
が5重量%を超えてしまい、本発明の目的を達成し得る
窒化アルミニウムスラリーを得ることができない。因
に、前記解膠剤の存在下で、酸素濃度が0.75重量%
以上の窒化アルミニウム粉末は水との水和反応により初
期においては0.1重量%前後の酸素濃度の増加が認め
られるが、以後の酸素濃度の増加は実質的に止まり水和
反応はほとんど進行しない。
【0032】従って、酸素濃度が0.75重量%未満の
窒化アルミニウム粉末は、酸素が存在する雰囲気下で加
熱することにより酸化し、酸素濃度が0.75重量%以
上の窒化アルミニウム粉末として使用すればよい。
【0033】また、窒化アルミニウム粉末の酸素濃度が
5重量%を超えた場合、有機高分子電解質よりなる解膠
剤との混合時に媒体である水との反応は殆ど進行しない
が、これを使用して得られる焼結体の熱伝導率が著しく
低くなり、窒化アルミニウムを材質として使用する特徴
が低減する。
【0034】上記製造方法において、上記窒化アルミニ
ウム粉末及び前記解膠剤を水中で混合する際の温度は、
20℃以下に制御することが必要である。即ち、かかる
温度が20℃を超えた場合、窒化アルミニウム粉末と水
との水和反応を抑制することが困難となり、スラリー温
度が徐々に上昇し、やがて爆発的に反応する傾向があ
る。
【0035】従って、混合時の温度は、上記したよう
に、20℃以下、特に、得られるスラリーの安定性の確
保及び冷却コストとの兼ね合いより、10〜15℃に冷
却することが好ましい。
【0036】スラリーの温度を20℃以下に冷却する手
段としては、公知の冷却手段が特に制限なく採用され
る。例えば、混合装置が設置されている雰囲気全体を冷
却する方法、あるいは混合器の壁面を2重ジャケットに
して冷却用媒液を流して冷却する方法等の外部冷却、内
部冷却の方式が採用される。
【0037】また、上記製造方法において、各成分の水
中への添加順序は特に制限されないが、有機高分子電解
質よりなる解膠剤の効率的な作用を考慮すれば、前記
膠剤を添加した後、窒化アルミニウム粉末を添加する
か、或いは、両者を同時に添加することが好ましい。
【0038】更に、混合手段としてはボールミル、アト
リッシングミル等の公知の粉砕混合器が好適に使用され
る。アトリッシングミルの場合、短時間に多くのエネル
ギーが加えられるのでスラリーの温度が上昇し易い傾向
があるので、好ましくはボールミルを用いた方がよい。
【0039】上記混合時に、必要に応じて、前記した焼
結助剤、有機結合剤等の他の添加剤を混合することは、
特に制限なく実施できる。
【0040】本発明の窒化アルミニウムスラリーは、従
来の水系スラリーに比べて、高温時の保存安定性が著し
く高いが、長期間の保存に対しては、該スラリーの温度
が、20℃以下、好ましくは15℃以下となるように制
御することが好ましい。
【0041】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明の窒化アルミニウムスラリーは、水系でありながら、
比較的高温下においても極めて高い安定性を有してい
る。
【0042】従って、従来の有機溶媒系の窒化アルミニ
ウムスラリーに代えて、工業的に使用が十分可能であ
り、該有機溶剤系の窒化アルミニウムスラリーにおいて
問題とされていた、安全面、環境面、コスト面等におけ
る問題を全て解決することが可能である。
【0043】また、窒化アルミニウムスラリーより、従
来、有機溶媒系のスラリーでは困難であったスプレード
ライヤーによるプレス成形用顆粒の製造が可能となっ
た。更に、高濃度のスラリーを得ることが可能であるの
で、鋳込み成形による成形体の製造も可能である。
【0044】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0045】なお、実施例及び比較例において、窒化ア
ルミニウム粉末の酸素濃度及び焼結体の熱伝導率の測定
は下記の方法によって行った。
【0046】(1)酸素濃度 燃焼分析法を用い、EMGA−550A(堀場製作所株
式会社)により測定した。
【0047】(2)焼結体の熱伝導率 レーザーフラッシュ法を用い、LF/TCM FA85
10B(理学電機株式会社)により測定した。
【0048】実施例1〜4、比較例1 酸素濃度が0.71〜0.96重量%の範囲で、表1に
示される範囲に調節された窒化アルミニウム粉末(株式
会社トクヤマ製Hグレード)3000g、焼結助剤とし
て酸化イットリウム微粉末を150g、有機高分子電解
質よりなる解膠剤としてG700(共栄社化学株式会社
製)45g(最低添加量の100%)、バインダーとし
てWA−320(三井東圧化学株式会社製)60g、媒
体として蒸留水900gをボールミルを用いて15℃の
雰囲気下で24時間混合した。24時間以降はスラリー
を容器に取り出し、製造時と同一の温度にて保存した。
尚、沈降防止のために攪拌を継続した。
【0049】このとき、24時間後(1日後)、2日
後、9日後スラリーの一部を採取し、採取したスラリー
を石膏型上で脱水し、40℃の熱風下で24時間乾燥
後、空気中で脱脂した混合物の酸素濃度を測定した。
尚、焼結助剤の酸化イットリウム分の酸素を算出して上
記測定値より減じ、この場合の酸素濃度を表1に併せて
示した。
【0050】上記実験において、酸素濃度が0.71重
量%の窒化アルミニウム粉末は、スラリーにした場合酸
素濃度の増加は止まることなく上昇し続け、アンモニア
臭及びスラリー粘度の上昇が認められた(比較例1)。
このスラリーの鋳込み成形体は、乾燥中に水と窒化アル
ミニウム粉末との水和反応によって発生したアンモニア
ガスで爆発した。一方、酸素濃度が0.75重量%以上
の窒化アルミニウム粉末のスラリーは、酸素濃度の増加
が実質的に止まりそれ以降の酸素濃度の上昇はほとんど
認められなかった(実施例1〜4)。また、各実施例に
おいて作成したスラリーを用い鋳込み成形により成形体
を得た。この成形体を空気中600℃の条件で脱脂し、
窒素雰囲気中1830℃の条件で焼成して得られた焼結
体の熱伝導率の測定を行った。その結果を表1に併せて
示す。
【0051】実施例5 酸素濃度が0.81重量%の窒化アルミニウム粉末(株
式会社トクヤマ製Hグレード)3000gに対して、焼
結助剤として酸化イットリウム微粉末150gを、有機
高分子電解質よりなる解膠剤としてG700(共栄社化
学株式会社製)135g(最低添加量の300%)を、
バインダーとしてWA−320(三井東圧化学株式会社
製)60gを、そして媒体として蒸留水900gを加
え、ボールミルを用いて15℃の雰囲気下で24時間混
合した。24時間以降はスラリーを容器に取り出し、製
造時と同一の温度にて保存した。尚、沈降防止のために
攪拌を継続した。
【0052】製造時からの各時点における酸素濃度を実
施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。
【0053】また、得られたスラリーを用いて実施例1
と同様にして焼結体を製造し、得られた焼結体の熱伝導
率を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0054】実施例6 酸素濃度が0.81重量%の窒化アルミニウム粉末(株
式会社トクヤマ製Hグレード)3000gに対して、焼
結助剤として酸化イットリウム微粉末150g、を、
機高分子電解質よりなる解膠剤としてG700(共栄社
化学株式会社製)45g(最低添加量の100%)を、
バインダーとしてWA−320(三井東圧化学株式会社
製)60gをそして媒体として蒸留水900gを加え、
ボールミルを用いて10℃の雰囲気下で24時間混合し
た。24時間以降はスラリーを容器に取り出し、製造時
と同一の温度にて保存した。尚、沈降防止のために攪拌
を継続した。
【0055】製造時からの各時点における酸素濃度を実
施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。10
℃下では15℃下に比較して、水との反応が抑制され
る。
【0056】また、得られたスラリーを用いて実施例1
と同様にして焼結体を製造し、得られた焼結体の熱伝導
率を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0057】比較例2 酸素濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末(株
式会社トクヤマ製Hグレード)3000gに対して、焼
結助剤として酸化イットリウム微粉末150gを、有機
高分子電解質よりなる解膠剤としてG700(共栄社化
学株式会社製)45g(最低添加量の100%)を、バ
インダーとしてWA−320(三井東圧化学株式会社
製)60gを、そして媒体として蒸留水900gを加
え、ボールミルを用いて23℃の雰囲気下で24時間混
合した。24時間以降はスラリーを容器に取り出し、製
造時と同一の温度にて保存した。尚、沈降防止のために
攪拌を継続した。
【0058】製造時からの各時点における酸素濃度を実
施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。酸素
濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末でも、2
3℃下では水との水和反応が進んだ。
【0059】比較例3 酸素濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末(株
式会社トクヤマ製Hグレード)3000gに対して、焼
結助剤として酸化イットリウム微粉末150gを、バイ
ンダーとしてWA−320(三井東圧化学株式会社製)
60gを、そして媒体として蒸留水1500gを加え、
ボールミルを用いて15℃の雰囲気下で24時間混合し
た。24時間以降はスラリーを容器に取り出し、製造時
と同一の温度にて保存した。尚、沈降防止のために攪拌
を継続した。
【0060】製造時からの各時点における酸素濃度を実
施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。酸素
濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末でも、
機高分子電解質よりなる解膠剤を用いないと酸素濃度の
増加は止まることなく水との水和反応が進んだ。
【0061】比較例4 酸素濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末(株
式会社トクヤマ製Hグレード)3000gに対して、焼
結助剤として酸化イットリウム微粉末150gを、バイ
ンダーとしてWA−320(三井東圧化学株式会社製)
60gを、そして媒体として蒸留水1500gを加え、
ボールミルを用いて5℃の雰囲気下で24時間混合し
た。24時間以降はスラリーを容器に取り出し、製造時
と同一の温度にて保存した。尚、沈降防止のために攪拌
を継続した。
【0062】製造時からの各時点における酸素濃度を実
施例1と同様にして測定した結果を表1に示した。酸素
濃度が0.96重量%の窒化アルミニウム粉末を用いて
より低温の5℃下で混合した場合でも、有機高分子電解
質よりなる解膠剤を用いないと酸素濃度の増加は止まる
ことなく水との水和反応が進んだ。
【0063】
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカルボン酸又はポリカルボン酸塩よ
    りなる解膠剤に被覆された、酸素濃度が0.75〜5.
    0重量%の窒化アルミニウム粉末を、有機溶媒を含有し
    ない水に分散してなる窒化アルミニウムスラリー。
  2. 【請求項2】 焼結助剤を含有する請求項1記載の窒化
    アルミニウムスラリー。
JP28349594A 1994-11-17 1994-11-17 窒化アルミニウムスラリー Expired - Fee Related JP3523347B2 (ja)

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