JP3522475B2 - シリコンウェーハ表面粗さ制御用のエッチャント - Google Patents
シリコンウェーハ表面粗さ制御用のエッチャントInfo
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Description
表面粗さを制御するためのエッチャントに関する。更に
詳しくはシリコンウェーハのグローバルフラットネス
(global flatness)の劣化を抑えて光沢度を低下させ
るに適したエッチャントに関するものである。
グは、ブロック切断、外径研削、スライシング、ラッピ
ングなどの主として機械加工プロセスにより生じたシリ
コンウェーハの表面のダメージ層、即ち加工変質層を除
去するために行われている。この化学エッチングではエ
ッチャント(エッチング液)に酸エッチャント又はアル
カリエッチャントを用いている。前者はフッ酸(HF)
と硝酸(HNO3)の混酸を水(H2O)或いは酢酸(C
H3COOH)で希釈した3成分素によるエッチャント
である。Siはこの硝酸により酸化されてSiO2を生
成した後、このSiO2がフッ酸により溶解除去され
る。後者はKOH又はNaOHなどを水で希釈したエッ
チャントである。上記化学エッチングによりシリコンウ
ェーハの加工変質層は除去され、表面粗さは小さくなり
平滑面が得られる。
ントでは、鏡面加工されているシリコンウェーハの鏡面
をその平坦度を維持しつつ光沢度を均一に低下させるこ
とはできなかった。本発明の目的は、エッチングによる
TTV(total thickness variation:ウェーハを吸着
固定した際のウェーハの厚さの最大値と最小値との差)
の劣化をエッチング深さの5%以下に抑え、かつウェー
ハの光沢度を低下させるシリコンウェーハ表面粗さ制御
用のエッチャントを提供することにある。
HF−HNO 3 系又はHF−HNO 3 −H 3 PO 4 系の酸エ
ッチャントであって、図1のAの領域に示すようにエッ
チング速度が7μm/分以上40μm/分未満であっ
て、表面張力が少なくとも60dyne/cmであっ
て、粘性度が1.4mPa・秒(ミリパスカル・秒)以
上18.5mPa・秒以下であるシリコンウェーハ表面
粗さ制御用のエッチャントである。請求項2に係る発明
は、HF−HNO 3 系又はHF−HNO 3 −H 3 PO 4 系の
酸エッチャントであって、図1のBの領域に示すように
エッチング速度が40μm/分以上100μm/分以下
であって、表面張力が少なくとも60dyne/cmで
あって、粘性度が1.4mPa・秒以上4.5mPa・
秒以下であるシリコンウェーハ表面粗さ制御用のエッチ
ャントである。
PO 4 系の酸エッチャントのエッチング速度を7μm/
分以上40μm/分未満又は40μm/分以上100μ
m/分以下の範囲にすることによって、図2(a)に示
すようにウェーハ表面をミクロに観察した場合、エッチ
ングによりシリコンウェーハ表面に生じる気泡(エッチ
ャントが例えばHF−HNO3系の酸エッチャントであ
れば、NOxガスの気泡)を遅滞なく所望の速度で生成
することができる。また表面張力を少なくとも60dy
ne/cmにし、かつエッチング速度が7μm/分以上
40μm/分未満のときに粘性度を1.4mPa・秒以
上18.5mPa・秒の範囲にし、或いはエッチング速
度を40μm/分以上100μm/分以下のときに粘性
度を1.4mPa・秒以上4.5mPa・秒以下の範囲
にすることによって、図2(b)に示すようにウェーハ
表面上で気泡を適度な大きさまで成長させ、同時に気泡
のウェーハ表面からの離脱を適度に抑制することができ
る。エッチャントの表面張力により、またエッチャント
の粘性に打ち勝って気泡がウェーハ表面から離脱する
と、図2(c)に示すように気泡がウェーハ上に存在し
ない部分aではエッチングが行われていたのに対して、
気泡がウェーハ上に存在する部分bでは気泡によりエッ
チャントがウェーハに接触していなかったため、ウェー
ハ表面に微細な凹凸が形成される。この微細な凹凸はウ
ェーハ表面に均一に形成されるため、TTVの劣化はエ
ッチング深さの5%以下に抑制され、一方エッチング処
理した面における光の反射率は大きく低下し、その面が
鏡面であれば曇化し光沢度は低下する。
されるシリコンウェーハとしては、(ア)表面にダメージ
層をもつウェーハ、例えばラップドウェーハ(以下、L
Wという)や研削ウェーハ(以下、GWという)、(イ)
両面同時に研磨されたポリッシュドウェーハ(以下、両
面PWという)などがある。
ージ層をもつウェーハに対してはウェーハ表面層のダメ
ージを除去し、均一面を出現させる作用があり、また上
記(イ)の両面PWに対しては片面を均一にマーキングし
てマクロ平坦度を劣化させずに表裏の区別を容易にする
作用がある。
HNO3系エッチャントやHF−HNO3−H3PO4系エ
ッチャントが挙げられる。請求項1及び請求項2に記載
した条件を満たすエッチャントを例示すれば、HF(50%):
HNO3(70%):H3PO4(85%):H2O=2:1:1:1又は2:1:1:1.5、或
いはHF(50%):HNO3(70%):H3PO4(85%)=2:1:1などがある。
エッチング速度を7〜100μm/分にするためには、
例えば上記エッチャントの温度を20〜55℃にする必
要がある。エッチャントの表面張力を少なくとも60d
yne/cmにするためには、HF−HNO3の液に対
して、表面張力の高いH3PO4を混合する割合又はH3
PO4及びH2Oを混合する割合を適宜調整する。エッチ
ャントの粘性度を1.4〜18.5mPa・秒にするた
めには、粘性度の高いH3PO4を混合する割合を適宜調
整する。エッチャントの粘性度を1.4mPa・秒以上
4.5mPa・秒以下にするためには、例えばHF−H
NO3−H3PO4−H2O系エッチャントで25℃の場合
には、H3PO4(85%)を全体の0.2〜0.4の割
合になるように調整し、エッチャントの粘性度を1.4
mPa・秒以上18.5mPa・秒にするためには、例
えばHF−HNO3−H3PO4−H2O系エッチャントで
25℃の場合には、H3PO4(85%)を全体の0.2
〜0.65の割合になるように調整する。更にエッチン
グ深さ、即ちエッチング取りしろに応じてエッチング処
理時間を20〜60秒間に調整する。
に基づいて詳しく説明する。 <実施例1>それぞれ直径が200mmの研削ウェーハ
(GW)、ラップドウェーハ(LW)及び両面同時研磨
したシリコンウェーハ(両面PW)を各6枚用意した。
これらの18枚のウェーハの片面を図3に示すようにエ
ッチング時間を変えて化学エッチングした。即ち、図3
(a)に示すように、シリコンウェーハ10より広い面
積を有する表面が極めて平滑でエッチャントに対して疎
水性のあるポリテトラフルオロエチレン(商品名:テフ
ロン)製の台板11を容器12の底部に配置し、この台
板11の中心にウェーハ裏面が密着するようにウェーハ
10を置いた。次いでウェーハ10の外径より大きな内
径を有するポリテトラフルオロエチレン(商品名:テフ
ロン)製の筒13を台板11上のウェーハ10を囲むよ
うに台板上に置いた。この筒13の中にエッチング速度
が約11μm/分であって、粘性度が2.2mPa・秒
であって、表面張力が61.0dyne/cmである2
5℃の酸エッチャント14を静かに注入した。この酸エ
ッチャントはHFとHNO3とH3PO4とH2Oとを、HF
(50%):HNO3(70%):H3PO4(85%):H2O=2:1:1:1.5の比率で混
合して調製された。この酸エッチャント14を40〜3
00秒間ウェーハ10上に静置した後、図3(b)に示
すように筒13を取外して容器12内に純水を大量に入
れ、酸エッチャントを希釈して反応を停止させるととも
にウェーハ表面を洗浄した。次にウェーハ10を台板1
1とともに容器12から取り出し、ウェーハ10を台板
11から剥離して乾燥することによりエッチング処理面
が曇化したシリコンウェーハを得た。上記エッチング時
間を6通り変えることにより、表1に示す6種類のエッ
チング深さ(取りしろ)が得られた。なお表1には両面
PWの結果のみ示す。
PWをそれぞれ6枚用意した。エッチャントとしてエッ
チング速度が約30μm/分であって、粘性度が1.0
mPa・秒であって、表面張力が約45dyne/cm
である30℃のHF(50%):HNO3(70%):CH3COOH(90%)=1:3:2
を用いる以外、実施例1と同様にして12枚のウェーハ
を酸エッチングした。エッチング時間を6通り変えるこ
とにより、表1に示す6種類のエッチング深さ(取りし
ろ)が得られた。なお表1には両面PWの結果のみ示
す。
前後のTTVを測定した。各両面PWのTTVの差をエ
ッチングの取りしろで除してその割合(%)を求めた。
その結果を表1及び図4に示す。
1の両面PWがエッチングによりTTVの差がエッチン
グの取りしろに比例して大きく増大するのに対して、実
施例1の両面PWのTTVの差は取りしろが多くなって
も僅かに増加するに過ぎなかった。また取りしろに対す
るTTVの劣化が比較例1では15%以下であったのに
対して、実施例1では5%以下であった。
1では両面PW及びLWについてエッチング前の光沢度
と、エッチング後の光沢度をエッチング取りしろに応じ
て測定した。この光沢度は日本電色社製の光沢度計によ
りグロス(Gross)60゜の規格で測定した。実施
例1の各ウェーハの結果を図5に、比較例1の各ウェー
ハの結果を図6にそれぞれ示す。図6から明らかなよう
に、比較例1の両面PWはエッチングによる取りしろ量
が大きくなっても、それ程光沢度は変化しなかった。一
方比較例のLWは取りしろ量が大きくなるとその光沢度
は向上した。これに対して、図5から明らかなように、
実施例1のLWは元来光沢度は低い(光沢度=約5%)
ためエッチングによる取りしろ量に拘わらず光沢度は変
化しなかった。しかし実施例1の両面PW及びGWはエ
ッチング前の光沢度が取りしろ10μmでほぼ半減(約
180%及び約150%)し、取りしろ50μmでは光
沢度5%に変化した。これにより両面PWの片面にのみ
実施例1のエッチャントでエッチングすれば、曇化加工
を行うことができることが判明した。
0%)とHNO3(70%)とH3PO4(85%)とH2Oとからなる
25℃の19種類(実施例2〜20)の酸エッチャント
を用意した。これらの配合比は表2に示すように互いに
異なる。またこれらの酸エッチャントの温度、エッチン
グ速度、粘性度及び表面張力は表2に示される。更にこ
れらのエッチング速度及び粘性度の関係は図1の○印で
示される。これらの酸エッチャントを用いて実施例1と
同様に両面PWをそれぞれ30秒間だけ酸エッチングし
た。
0%)とHNO3(70%)とH3PO4(85%)とH2Oとからなる
25℃の14種類(比較例2〜15)の酸エッチャント
を用意した。これらの配合比は表2に示すように互いに
異なる。またこれらの酸エッチャントの温度、エッチン
グ速度、粘性度及び表面張力は表2に示される。更にこ
れらのエッチング速度及び粘性度の関係は図1の×印で
示される。これらの酸エッチャントを用いて実施例1と
同様に両面PWをそれぞれ30秒間だけ酸エッチングし
た。
2〜15の33種類の酸エッチャントによるエッチング
前後の光沢度を上述した光沢度計を用いて、実施例1及
び比較例1と同様に測定し、それぞれの光沢度低下率を
算出した。この光沢度低下率が8%を越え、かつ目視で
光沢度が非常に均一なものを「曇化あり」と判定し、8
%未満であって目視で光沢度が不均一なものを曇化があ
ったとは言えない「曇化なし」の判定をした。その結果
を表2に示す。
がまだらで不均一であったため、光沢度の低下率が8%
を越えていたが、「曇化なし」の判定をした。表2から
明らかなように、エッチング速度が7μm/分以上40
μm/分未満であって、粘性度が1.4〜18.5mP
a・秒であるか、又はエッチング速度が40μm/分以
上100μm/分以下であって、粘性度が1.4〜4.
5mPa・秒であって、表面張力が少なくとも60dy
ne/cmである実施例2〜20のウェーハでは、面内
が均一で良好であり、光沢度の低下率がいずれも8%を
越え、エッチング面が目視で非常に均一で、明らかにウ
ェーハの表裏の区別ができて、曇化が見られたのに対し
て、上記範囲外の比較例2〜15のウェーハでは、面内
が均一でなく、光沢度低下率が比較例9及び比較例10
を除いていずれも8%未満であって、目視によってもウ
ェーハの表裏の判別がむずかしく曇化されたとは言えな
かった。
30秒としたので、各例のエッチングによる取りしろは
エッチング速度の半分の値、例えば実施例2では48.
0μmである。エッチング時間を変えれば、即ちエッチ
ングによる取りしろを変えれば表2と異なる結果とな
る。
F−HNO 3 系又はHF−HNO 3 −H 3 PO 4 系の酸エッ
チャントであって、エッチング速度が7μm/分以上4
0μm/分未満であって、粘性度が1.4〜18.5m
Pa・秒であるか、又はエッチング速度が40μm/分
以上100μm/分以下であって、粘性度が1.4〜
4.5mPa・秒であって、表面張力が少なくとも60
dyne/cmのエッチャントを用いることにより、L
W,GW又は両面PWに対してエッチングによるTTV
の劣化をエッチング深さの5%以下に抑え、かつウェー
ハの光沢度を低下させることができる。特に両面同時研
磨の後に本発明のエッチャントによりウェーハ裏面を化
学エッチングで曇化することにより、極めて高い平坦度
を有し、かつ光沢度の差による表裏を容易に区別可能な
シリコンウェーハが得られる特長がある。
化させたときの曇化状況を示す図。
表面の処理状況を示す模式図。
固定式エッチング法を示す図。 (a)第2化学エッチャントによりウェーハ裏面をエッ
チングしている状況を示す断面図。 (b)エッチングしたウェーハ裏面を純水で洗浄してい
る状況を示す断面図。
するTTVの変化を示す図。
の変化を示す図。
の変化を示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】 HF−HNO 3 系又はHF−HNO 3 −H
3 PO 4 系の酸エッチャントであって、エッチング速度が
7μm/分以上40μm/分未満であって、粘性度が
1.4mPa・秒以上18.5mPa・秒以下であっ
て、表面張力が少なくとも60dyne/cmであるシ
リコンウェーハ表面粗さ制御用のエッチャント。 - 【請求項2】 HF−HNO 3 系又はHF−HNO 3 −H
3 PO 4 系の酸エッチャントであって、エッチング速度が
40μm/分以上100μm/分以下であって、粘性度
が1.4mPa・秒以上4.5mPa・秒以下であっ
て、表面張力が少なくとも60dyne/cmであるシ
リコンウェーハ表面粗さ制御用のエッチャント。
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JP5309496 | 1996-03-11 | ||
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