JP3521425B2 - X線分析装置 - Google Patents

X線分析装置

Info

Publication number
JP3521425B2
JP3521425B2 JP2001105636A JP2001105636A JP3521425B2 JP 3521425 B2 JP3521425 B2 JP 3521425B2 JP 2001105636 A JP2001105636 A JP 2001105636A JP 2001105636 A JP2001105636 A JP 2001105636A JP 3521425 B2 JP3521425 B2 JP 3521425B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
ray
thin film
rays
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001105636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002303593A (ja
Inventor
章二 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2001105636A priority Critical patent/JP3521425B2/ja
Publication of JP2002303593A publication Critical patent/JP2002303593A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3521425B2 publication Critical patent/JP3521425B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中に含まれる
元素の種類、量、分布状態の分析に用いられるX線分析
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線分析装置は、試料に対して一次X線
を照射し、発生する蛍光X線や散乱X線等の二次X線を
X線検出器で検出し、この検出信号に基づいて試料の構
成元素や内部構造等を解析することができるものであ
り、例えば、蛍光X線分析装置やX線顕微鏡が知られて
いる。
【0003】このX線分析装置を用いて元素分析を行う
方法として、試料が設置され一次X線が照射されるX線
照射領域を大気圧にした状態で測定する方法、当該X線
照射領域を測定室等で囲むことによって大気から遮断
し、測定室内において真空雰囲気状態あるいは一次X線
や二次X線の吸収が大気に比べて少ないガス(例えば、
ヘリウムガス)雰囲気状態で測定する方法がある。
【0004】しかしながら、大気中で蛍光X線分析を行
う場合には、例えば、Na,Mg,Alといった大気に
よる吸収の大きな軽元素は検出が困難であるという問題
がある。一方、真空中あるいはヘリウムガス中で蛍光X
線分析を行う場合には、試料の交換毎に測定室内の排気
やガス置換を行う必要があり、測定のための準備時間を
長く要し、トータルの分析時間が長くなるという問題が
ある。また、生体を生きたままで測定することができな
いという問題もある。
【0005】上記のような問題を考慮したX線分析装置
として、開放型装置と薄膜型装置(例えば、特開平8−
15187号)が知られている。開放型装置は、開放さ
れた開口部を測定室に設けて、この開口部をX線照射領
域として測定を行うものである。この開放型装置では、
開口部を開放する構成によって、大気状態での測定、あ
るいは測定室内から大気に向けてヘリウムガスを流出さ
せることによってX線行路の一部をヘリウムガス雰囲気
とした状態で測定し、試料交換を容易なものとしてい
る。
【0006】また、薄膜型装置は、測定室に設けた開口
部にX線吸収率の低い薄膜を張設し、この薄膜によっ
て、X線源やX線検出器が設けられる第一空間と試料ス
テージが設けられる第二空間に区分し、第一空間を大気
状態、真空雰囲気状態、あるいはガス雰囲気状態として
測定するものであり、大気の吸収による影響を低減し、
試料交換を容易なものとし、Na,Mg,Alといった
軽元素の検出を確実なものとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、開放型
装置は、一次X線や二次X線が通過するX線行路を真空
雰囲気状態にすることができず、大気状態での測定、あ
るいはヘリウムガス雰囲気状態での測定に止まる。その
ため、大気状態での測定ではNa,Mg,Alといった
大気による吸収の大きい軽元素の検出ができないという
問題があり、ヘリウムガス雰囲気状態での測定では、大
気状態からヘリウムガス状態への移行に伴ってヘリウム
ガスと大気との混合比が変動するため、検出される蛍光
X線強度が大きく変動するという問題がある。
【0008】薄膜型装置では、大気状態、真空雰囲気状
態、ヘリウムガス雰囲気状態の何れの状態とすることが
できるため、大気による吸収が大きな軽元素についても
測定することができるが、開口部に張設した薄膜による
一次X線や二次X線の吸収があるため、NaやMg等の
元素による二次X線のX線強度が低下するという問題が
ある。さらに、大気状態で測定する場合には、検出器ま
での行路が短ければSi,P,Sなどは測定可能である
が、薄膜によって吸収されるため、薄膜を備えない開放
型装置と比較してX線強度が低下するという問題があ
る。
【0009】また、薄膜によるX線の吸収率の低下の問
題や薄膜から発生する蛍光X線による影響の問題は、薄
膜自体の組成の他、薄膜を生成する際に使用する触媒等
の不純物の組成によっても生じ、また、薄膜によってX
線が散乱するという問題もある。そのため、開口部に固
設された薄膜を構成要素する前記薄膜型装置では、大気
状態での測定において、薄膜を備えない開放型装置と比
較して分析性能が低下するということになる。さらに、
薄膜型装置では、薄膜部分は大気圧と真空との圧力差に
耐えるために、薄膜を固設する開口部の口径を小さくす
る必要がある。そのため、この開口部を通して目視ある
いは光学顕微鏡で観察する際、観察範囲が狭くなるとい
う問題もある。
【0010】したがって、従来知られているX線分析装
置では、一台の装置では大気状態、真空雰囲気状態、及
びヘリウムガス雰囲気状態の測定ができないか、あるい
は、一台の装置で各状態を測定できたとしても、大気状
態及びヘリウムガス雰囲気状態におけるX線強度の低下
や変動や二次X線特性のノイズ分による分析性能の低
下、あるいは試料観察における狭い観察範囲等において
問題がある。
【0011】そこで、本発明は前記した従来の問題点を
解決し、一台の装置で大気状態、真空雰囲気状態、及び
ヘリウムガス雰囲気状態の測定を良好に行うことができ
るX線分析装置を提供することを目的とし、さらに詳細
には、大気状態及びヘリウムガス雰囲気状態で測定する
場合においては、X線強度の低下や変動を低減し、薄膜
自体から発生する二次X線による影響を低減し、また、
試料観察においては、広い観察範囲を得ることができる
X線分析装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、測定室の開口
部を開放状態と薄膜で閉じた状態との両状態を選択可能
な構成とし、これら各状態を選択あるいは組み合わせる
ことによって、一台の装置によって大気状態の測定、真
空雰囲気状態の測定、ガス雰囲気状態の測定、あるいは
試料観察の各測定及び観察を良好に行うものである。
【0013】本発明の蛍光X線分析装置は、測定部と可
動部とを備えた構成であり、測定部は、第一開口部を有
した測定室、第一開口部に向けて一次X線を照射するX
線源、二次X線を検出するX線検出器、及び測定室内を
吸排気する吸排気手段を備え、一方、可動部は、開放さ
れた第二開口部、薄膜を張設した第三開口部を有し、第
二開口部及び第三開口部を測定部の第一開口部に対して
個別に位置合わせすることができる。そして、この可動
部は、第二開口部あるいは第三開口部を測定部の第一開
口部に対して個別に位置合わせすることによって、大気
状態、真空雰囲気状態、あるいはガス雰囲気状態の各状
態で測定を行うことができる。
【0014】大気状態の測定あるいは試料を観察する場
合には、第二開口部を測定部の第一開口部に位置合わせ
することによって測定室内を大気状態とし、一次X線及
び二次X線を大気状態で測定し、また、大気状態で目視
あるいは光学顕微鏡によって試料観察を行う。この大気
状態の測定によれば、薄膜によるX線強度の低下はノイ
ズ分等の影響を除くことができ、また、薄膜設置に伴う
開口部の小径化による観察範囲の制限を除くことができ
る。
【0015】真空雰囲気状態の測定を行う場合には、第
三開口部を第一開口部に位置合わせすることによって測
定室内を外気と遮断し、吸排気手段によって測定室を排
気して真空雰囲気状態とし、一次X線及び二次X線を少
なくとも測定室内においては真空雰囲気状態で測定す
る。
【0016】ガス雰囲気状態の測定を行う場合には、第
二開口部及び第三開口部を第一開口部に対して順に位置
合わせて行い、先ず、第三開口部を第一開口部に位置合
わせすることによって測定室内を外気と遮断し、吸排気
手段によって測定室を排気して真空雰囲気状態とした
後、別に設けたガス導入手段によって測定室内にガスを
導入してガス雰囲気状態とし、次に、第二開口部を第一
開口部に位置合わせすることによって測定室内と外気と
を通じさせ、第一開口部及び第二開口部を通して測定室
内からガスが流出する状態で測定する。このガス雰囲気
状態の測定によれば、測定室内をいったん真空雰囲気状
態とすることで大気成分を排除しガス成分のみとするた
め、従来のように大気状態からガス雰囲気状態に移行す
る際に生じる、ガスと大気との混合比の変動による検出
X線強度の変動を除くことができる。
【0017】また、本発明のX線分析装置の可動部は、
第二開口部及び第三開口部に加えて、測定室の第一開口
部に対して位置合わせすることができるX線遮蔽部を備
える。このX線遮蔽部を測定室の第一開口部に位置合わ
せすることによって、非測定時において、X線源が照射
する一次X線が測定室外に漏洩することを防止すること
ができる。また、これによって、非測定時における一次
X線の漏洩を防止するためにX線源を停止する必要がな
く、X線源の駆動・停止の繰り返しによる一次X線の強
度変化を防止し、安定した一次X線の強度を得ることが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を、
図を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明のX線
分析装置の概要を説明するための概略図である。X線分
析装置1は、試料ステージ4上に配置された試料Sに一
次X線を照射し、試料Sから放出された蛍光X線等の二
次X線を測定する測定部2、及び測定部2に対して開口
部や薄膜を選択的な位置合わせを行う可動部3を備え
る。
【0019】測定部2は、試料SのX線分析を行う測定
機構として、一次X線を照射するX線源2c、X線源2
cと試料Sの照射位置との間に設置するX線導入機構2
d、一次X線の照射によって試料Sから発生した蛍光X
線等の二次X線を検出するX線検出器2e、及び試料S
を光学的に観察するためのCCDカメラ2f等の光学機
器などを備える。なお、X線導入機構2dとして、一次
X線の照射径を制限するコリメータ、X線を集光するX
線導管あるいはポリキャピラとすることができる。
【0020】 上記測定機構は、測定室2aに取り付け
られる。測定室2aは、外部へのX線漏洩を遮蔽し内部
を真空としたとき大気圧に耐える壁を備え、該壁の試料
Sへの照射位置には一次X線及び二次X線を通過させる
ための第一開口部2bが形成される。また、測定室2a
は、測定室2a内を排気して真空雰囲気状態とするため
の真空排気機構2h及び測定室2a内を大気でパージす
るための大気パージ機構2iによって測定室2a内を吸
排気するための吸排気手段2g、測定室2a内にヘリウ
ムガス等のガスを導入するためのガス導入手段2jを備
える。
【0021】可動部3は、開放された第二開口部3a及
び薄膜3cを張設した第三開口部3bと、この第二開口
部3a及び第三開口部3bを駆動する駆動手段3dとを
備え、駆動手段3dによって第二開口部3a及び第三開
口部3bを移動させることによって、第二開口部3aあ
るいは第三開口部3bを前記第一開口部2bに対して個
別に位置合わせする。なお、駆動手段3dは、図示しな
い制御手段によって移動制御を行うことができ、直線移
動あるいは回転移動のいずれの移動形態とすることもで
きる。
【0022】第二開口部3aは開放されて形成されてお
り、測定室2a側の第一開口部2bと位置合わせするこ
とによって、両開口部を通して一次X線及び二次X線を
通過させることができる。また、第三開口部3bには薄
膜3cが張設される。薄膜3cは、一次X線や二次X線
などのX線の吸収率が低く、膜自体の組成によって蛍光
X線を発生しないと共に、大気圧程度の圧力に耐える強
度を備える素材が望ましい。このような素材の薄膜とし
て、例えばポリエステル樹脂膜が知られており、数μm
程度の厚みとすることができる。
【0023】また、測定室2aの第一開口部2bの周辺
には当該第一開口部2bを囲むようにOリング2kが設
けられ、少なくとも第三開口部3baと位置合わせした
場合には、第三開口部3bに張設した薄膜3c及びOリ
ング2kによって第一開口部2bを閉じ、測定室2a内
を密閉状態に保持する。なお、Oリングは、可動部3側
において少なくとも第三開口部3baを囲むように設け
る構成とすることもできる。
【0024】試料ステージ4は可動部3の下方に設けら
れ、試料Sを第一開口部2bに面した位置に配置する。
また、試料ステージ4はステージ面を移動可能な構成と
し、ステージ面上に支持した試料Sを位置することによ
って、一次X線の照射位置を調節することができる。上
記構成により、本発明のX線分析装置1は、可動部3を
駆動することによって、測定室2aを開放した状態ある
いは閉じた状態に切り換えることができ、大気状態の測
定、真空雰囲気状態の測定、あるいはガス雰囲気状態の
測定を一台の装置で行うことができる。
【0025】次に、図2を用いて、大気状態の測定、真
空雰囲気状態の測定、ガス雰囲気状態の測定の各測定動
作について説明する。はじめに、大気状態の測定につい
て図2(a)を用いて説明する。大気状態で測定する場
合には、大気パージ機構2iによって、測定室2aの内
部に大気を導入し、可動部3の駆動手段3dを駆動して
第二開口部3aを測定室2a側の第一開口部2bに位置
合わせする。第二開口部3aを第一開口部2bに位置合
わせすることによって、測定室2aの内部は第一開口部
2b及び第二開口部3aを通して大気と連通状態とな
る。
【0026】この大気状態によれば、CCDカメラ2f
や目視等の光学観察系によって、試料Sの表面を光学的
に観察することができる。可動部3側が備える開放され
た第二開口部3aの口径は、薄膜3cを張設するために
小径とする必要がないため、光学的な観察に十分大きな
ものとすることができ、少なくとも第一開口部2bと同
等程度の口径とすることができる。
【0027】 また、この大気状態において、X線源2
cで発生した一次X線は、X線導入機構2dを通り、第
一開口部2b及び第二開口部3aを通過して試料Sに照
射される。このとき、第二開口部3aには薄膜3cが張
設されていないため、一次X線は薄膜吸収によってX線
強度が低減されることなく試料Sに照射される。また、
試料Sから発生した蛍光X線等の二次X線も、薄膜吸収
による一次X線のX線強度の低減を受けることなくX線
検出器2eで検出することができる。
【0028】次に、真空雰囲気状態の測定について図2
(b)を用いて説明する。真空雰囲気状態で測定する場
合には、可動部3の駆動手段3dを駆動し、薄膜3cが
張設された第三開口部3bを測定室2a側の第一開口部
2bに位置合わせする。これによって、測定室2aの第
一開口部2bは、薄膜3c及びOリング2によって、大
気側と遮断され密閉状態に保持される。測定室2aを密
閉状態とした後、真空排気機構2hによって測定室2a
の内部を真空引きする。これによって、測定室2a内は
真空雰囲気状態となる。
【0029】この真空雰囲気状態において、X線源2c
で発生した一次X線は、X線導入機構2dを通り、第一
開口部2b及び薄膜3cを通過して試料Sに照射され
る。このとき、X線源2cから第一開口部2bまでは真
空状態であるため、一次X線のX線強度の低減は、第一
開口部2bと薄膜3cとの間の大気部分、薄膜3c、及
び薄膜3cと試料Sとの間の大気部分となり、測定室2
a内を通過する経路上でのX線強度の低減を防ぐことが
できる。
【0030】また、試料Sから発生した蛍光X線等の二
次X線は、薄膜3c及び第一開口部2bを通過してX線
検出器2eで測定される。このとき、第一開口部2bか
らX線検出器2eまで真空状態であるため、二次X線の
X線強度の低減は、試料Sと薄膜3cとの間の大気部
分、薄膜3c、及び薄膜3cと第一開口部2bとの間の
大気部分となり、測定室2a内を通過する経路上での二
次X線のX線強度の低減を防ぐことができる。
【0031】次に、ガス雰囲気状態の測定について図2
(b),(c)を用いて説明する。図2(b)におい
て、ガス雰囲気状態で測定する場合には、可動部3の駆
動手段3dを駆動し、薄膜3cが張設された第三開口部
3bを測定室2a側の第一開口部2bに位置合わせする
ことによって、測定室2aの第一開口部2bを、薄膜3
c及びOリング2によって大気側と遮断し、密閉状態に
保持する。測定室2aを密閉状態とした後、真空排気機
構2hによって測定室2aの内部を真空引きして、測定
室2a内を真空雰囲気状態とする。これによって、測定
室2a内から大気の組成成分を除去することができる。
【0032】次に、図2(c)において、測定室2a内
を真空雰囲気状態とした後、真空排気機構2hを停止
し、ガス導入手段2jからヘリウムガス等のガスを測定
室2a内に導入する。測定室2a内のガス圧が少なくと
も大気圧に達した後、可動部3の駆動手段3dを駆動
し、開放された第二開口部3aを測定室2a側の第一開
口部2bに位置合わせする。第二開口部3aは開放され
ており、測定室2a内のガス圧は少なくとも大気圧であ
るため、ガス導入手段2jから測定室2a内に導入され
たガスは、第一開口部2b及び第二開口部3aを通過し
て測定室2a外に流出する。これによって、測定室2a
内、第一開口部2b及び第二開口部3a付近、及び試料
Sの付近のX線行路上をガス雰囲気状態とすることがで
きる。
【0033】測定室2a内を真空雰囲気状態とした後に
ガス雰囲気状態とし、X線行路が通る開口部分に常にガ
スを流すことによって、X線行路におけるガスと大気と
の混合比は、常に安定に維持することができる。このガ
ス雰囲気状態において、X線源2cで発生した一次X線
は、X線導入機構2dを通り、第一開口部2b及び第二
開口部3aを通過して試料Sに照射される。また、試料
Sから発生した蛍光X線等の二次X線は、第二開口部3
a及び第一開口部2bを通過してX線検出器2eで測定
される。このとき、X線源2cから試料Sまで、及び試
料SからX線検出器2eまではガス雰囲気状態であり、
このガス雰囲気状態は、ガスと大気との混合比が常に安
定しているであるため、Na、Mg,Al等の大気によ
る吸収が大きな軽元素の蛍光X線のX線強度を安定にか
つ感度よく測定することができる。
【0034】 次に、本発明のX線分析装置が備える可
動部の他の構成について図3を用いて説明する。可動部
3は、前記した開放された第二開口部3a、薄膜3cが
張設された第三開口部3bに加えて、X線遮蔽部3eを
第一開口部2bに対して位置合わせ可能に備える。な
お、図3に示す構成は、X線遮蔽部3e以外は前記図1
に示す構成と共通しているため、ここではX線遮蔽部3
eについてのみ説明する。X線遮蔽部3eは、第二開口
部3a及び薄膜3cが張設された第三開口部3bと同様
に、駆動手段3dによって移動可能であり、選択的に測
定室2a側の位置合わせすることができる。
【0035】X線遮蔽部3eを第一開口部2bに位置合
わせすることによって、測定室2aは外部とX線遮蔽さ
れた状態となり、X線源2cから放出された一次X線の
測定室2a外部への漏洩を防止することができる。X線
遮蔽部3eによって第一開口部2bを閉じることによ
り、試料Sの交換等の測定時以外においてX線の漏洩を
防ぐことができる。また、X線源2cの駆動、停止を繰
り返すことによってX線漏洩を防止する場合には、発生
する一次X線のX線強度が経時変化し、測定値が不安定
となるおそれがあるが、本発明のX線遮蔽部3eを備え
る可動部によれば、X線源を駆動した状態を維持するこ
とができるため、一次X線のX線強度を安定化すること
ができる。
【0036】なお、X線遮蔽部3eは可動部3において
第二開口部3aや第三開口部3bを支持する支持部材に
X線遮蔽材を貼り付ける構成、前記支持部材自体をX線
遮蔽材で形成する構成、あるいは、第四開口部(図示し
ていない)を設けて該開口部にX線遮蔽材をはめ込む構
成とすることができる。
【0037】前記構成例では、Oリングは測定室2a側
に設けているが、可動部3側に設ける構成とすることも
できる。図4はOリングの設置を説明するための図であ
る。
【0038】図4(a)は、第二開口部3aと薄膜3を
張設した第三開口部3bを備える可動部3の例であり、
Oリング2kは第三開口部3bを囲むように配置され
る。これによって、第三開口部3bを第一開口部2bに
対向する位置に位置合わせした場合には、測定室2aは
Oリング2k及び薄膜3cとによって密閉状態となる。
【0039】図4(b)は、第二開口部3aと薄膜3c
を張設した第三開口部3bとX線遮蔽部3eを備える可
動部3の例であり、Oリング2kは第三開口部3b及び
X線遮蔽部3eを囲むように配置される。これによっ
て、第三開口部3bあるいはX線遮蔽部3eを第一開口
部2bに対向する位置に位置合わせした場合には、測定
室2aはOリング2k、薄膜3c及びX線遮蔽部3eに
よって密閉状態となる。
【0040】本発明の可動部が備える第三開口部は一個
に限らず複数個とすることができ、各第三開口部に組成
の異なる薄膜を張設することによって吸収される元素種
を変える構成とすることができ、分析する試料の応じて
変更することができる。また、本発明のX線分析装置
は、蛍光X線分析装置やX線顕微鏡等の試料に一次X線
を照射することで分析を行う分析装置に適用することが
できる。
【0041】本発明のX線分析装置によれば、従来の開
放型装置のようにSi,P,Sなどの大気状態で測定可
能な元素までを、薄膜の吸収がない最大感度で測定する
ことができ、また、真空雰囲気状態の測定の場合には、
薄膜型装置と同じように、測定室内を真空状態あるいは
ガス雰囲気状態とすることができるため、一台の装置で
両方の測定を行うことができる。
【0042】また、本発明のX線分析装置によれば、X
線行路をほとんどガス雰囲気状態とし、当該ガスと大気
との混合比の変動を少なくすることができ、また、薄膜
の吸収が無いため、Na,Mg,Alなど大気による吸
収の大きい軽元素の蛍光X線のX線強度を安定かつ感度
よく検出することができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の蛍光X線
分析装置によれば、一台の装置で大気状態、真空雰囲気
状態、及びヘリウムガス雰囲気状態の測定を良好に行う
ことができる。さらに、大気状態及びヘリウムガス雰囲
気状態で測定する場合においては、X線強度の低下や変
動を低減し、薄膜自体から発生する二次X線による影響
を低減することができ、また、試料観察においては、広
い観察範囲を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光X線分析装置の概要を説明するた
めの概略図である。
【図2】本発明の蛍光X線分析装置によって、大気状態
の測定、真空雰囲気状態の測定、ガス雰囲気状態の測定
の各測定動作を説明するための図である。
【図3】本発明のX線分析装置が備える可動部の他の構
成を説明するための図である。
【図4】本発明のX線分析装置において、Oリングの設
置を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線分析装置、2…測定部、2a…測定室、2b…
第一開口部、2c…X線源、2d…X線導入機構、2e
…X線検出器、2f…CCDカメラ、2g…給排気手
段、2h…真空排気機構、2i…大気パージ機構、2j
…ガス導入手段、2k…Oリング、3…可動部、3a…
第二開口部、3b…第三開口部3a、3c…薄膜、3d
…駆動手段。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一開口部を有した測定室、当該第一開
    口部に向けて一次X線を照射するX線源、二次X線を検
    出するX線検出器、前記測定室内を吸排気する吸排気手
    段、及びガス導入手段を備える測定部と、 開放された第二開口部、薄膜を張設した第三開口部を有
    し、前記第二開口部及び前記第三開口部を前記第一開口
    部に対して個別に位置合わせする可動部とを備え、 前記可動部は、 第二開口部を第一開口部に位置合わせすることによる大
    気状態の測定、試料観察、 第三開口部を第一開口部に位置合わせすることによる真
    空雰囲気状態の測定、 第三開口部を第一開口部に位置合わせして、前記吸排気
    手段による真空雰囲気状態、前記ガス導入手段による当
    該真空雰囲気状態からガス雰囲気状態への切り換え、及
    びその後の第二開口部を第一開口部に位置合わせするこ
    とによる第一開口部でのガス雰囲気状態の測定、 の各測定及び観察を前記開口部に対する位置合わせによ
    り切り換え自在とすることを特徴とするX線分析装置。
  2. 【請求項2】 前記可動部は、X線遮蔽部を前記第一開
    口部に対して位置合わせ可能に有することを特徴とする
    請求項1記載のX線分析装置。
JP2001105636A 2001-04-04 2001-04-04 X線分析装置 Expired - Fee Related JP3521425B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001105636A JP3521425B2 (ja) 2001-04-04 2001-04-04 X線分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001105636A JP3521425B2 (ja) 2001-04-04 2001-04-04 X線分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002303593A JP2002303593A (ja) 2002-10-18
JP3521425B2 true JP3521425B2 (ja) 2004-04-19

Family

ID=18958291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001105636A Expired - Fee Related JP3521425B2 (ja) 2001-04-04 2001-04-04 X線分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3521425B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3962075B2 (ja) * 2003-08-27 2007-08-22 理学電機工業株式会社 蛍光x線分析装置
DE102004019030A1 (de) * 2004-04-17 2005-11-03 Katz, Elisabeth Vorrichtung für die Elementanalyse
JP5117017B2 (ja) * 2006-08-30 2013-01-09 株式会社堀場製作所 X線分析装置
KR102020380B1 (ko) * 2017-10-12 2019-09-10 주식회사 포스코 도금 성분 측정 장치
JP7361389B2 (ja) 2020-03-04 2023-10-16 国立研究開発法人産業技術総合研究所 光学及び放射光顕微分光装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002303593A (ja) 2002-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5280057B2 (ja) X線散乱用のx線回折機器
KR101589400B1 (ko) 시료 관찰 방법
KR101752164B1 (ko) 하전 입자선 장치 및 시료 화상 취득 방법
US8710439B2 (en) Charged particle beam apparatus
KR20160067717A (ko) 형광 x 선 분석 장치
US3346736A (en) Electron probe apparatus having an objective lens with an aperture for restricting fluid flow
KR20150016350A (ko) 관찰 장치 및 광축 조정 방법
JP3521425B2 (ja) X線分析装置
JP5962855B2 (ja) 蛍光x線分析装置
US2908821A (en) Apparatus for spectrochemical analysis and structural analysis of solids, fluids andgases by means of x-rays
JP2021044242A (ja) 極低温電子顕微鏡用のサンプルを調製するための方法および装置
JP3724424B2 (ja) 蛍光x線分析装置
EP3226278B1 (en) Quantitative analysis device for trace carbon and quantitative analysis method for trace carbon
JPH08136479A (ja) 全反射蛍光x線分析装置
Döring et al. A zone-plate-based two-color spectrometer for indirect X-ray absorption spectroscopy
KR101067100B1 (ko) 형광 x선 분석 장치
JP2000171419A (ja) X線分析装置
JP2001133420A (ja) 全反射蛍光x線分析方法および装置
JPH05258701A (ja) 電子線装置
JP2000162161A (ja) 蛍光x線分析装置
WO2022264809A1 (ja) イムノクロマトテストストリップの検査装置および検査方法、ならびに検査システム
JP2000292380A (ja) 陽電子消滅分析装置
JPH0361841A (ja) X線吸収スペクトル測定用アタッチメント
EP1016863A1 (en) High vacuum xafs measuring instrument
JP2016001629A (ja) 試料観察方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3521425

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080220

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090220

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100220

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110220

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees