JP3521009B2 - 粘接着剤用ブロック共重合体 - Google Patents

粘接着剤用ブロック共重合体

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JP3521009B2 JP21550194A JP21550194A JP3521009B2 JP 3521009 B2 JP3521009 B2 JP 3521009B2 JP 21550194 A JP21550194 A JP 21550194A JP 21550194 A JP21550194 A JP 21550194A JP 3521009 B2 JP3521009 B2 JP 3521009B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、初期粘着力(タッ
ク)、接着力(剥離強度・剪断強度)、クリープ特性
(保持力)に優れ、溶融粘度が低く、しかも溶融安定性
に優れたホットメルト形粘接着剤用ブロック共重合体に
関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ラミネートフィルム、コンポジッ
ト材料などを中心として、各種工業材料の複合化が盛ん
になってきており、複合素材の高機能化に伴い、被着材
である極性を有する合成樹脂、極性を持たない合成樹
脂、または、鉄、アルミニウム、銅などの金属、あるい
は、木材、紙などのセルロース系材料、さらにはガラス
などの無機材料といった、異種素材の複合化に必須の成
分として、接着性ポリマーが接着剤として多用されてい
る。そして、これら複合素材の高機能化は、該被着材料
に用いる接着性ポリマーの高機能化によって達成されて
いる。 【0003】一方、従来から、粘着剤は粘着テープ、ラ
ベルなど、種々の用途に使用されている。これらのテー
プ類への粘着剤の塗布は、これまでは粘着剤を溶剤に溶
かした粘着剤溶液を、ロール、スプレーなどの手段を用
いて基材に塗布する方法がとられてきた。しかし、この
様な溶剤の使用は、大気汚染、火災、労働環境、衛生な
ど、多くの面から問題を含んでいることが認知されてき
ており、溶剤を使用しないホットメルトタイプが一般的
になりつつある。 【0004】このような事情は接着剤に関しても同様で
あり、ホットメルト形粘接着剤が好まれる傾向にある。 【0005】このようなホットメルト形粘接着剤に要求
される特性としては、 粘着性に関しては、粘着特性(タック、剥離強度、保
持力)がよいこと。 【0006】接着性に関しては、接着特性(剥離強
度、剪断強度)がよいこと。 【0007】が当然のことながら求められ、さらにホッ
トメルトとして使用する観点からは 加熱溶融による粘度変化や着色、粘接着特性の低下が
ないこと。 【0008】溶融時の流動性が良く、塗布安定性に優
れていること。 【0009】などが必要である。 【0010】特に最近は、塗布装置の改良がすすみ、細
いノズルから糸状に粘接着剤を塗布するタイプに替りつ
つあり、より低い溶融粘度で、しかも長期間の溶融滞留
に対しても品質の変化の少ない、粘接着特性に優れたホ
ットメルト形粘接着剤が要求されている。しかしなが
ら、従来のホットメルト形粘接着剤では、上記の要求を
全て満足するような優れたものがないのが実情である。 【0011】たとえば、特公昭44−17037号公報
及び特公報47−21720号公報には、スチレン−ブ
タジエン−スチレンあるいはスチレン−イソプレン−ブ
タジエン−スチレンからなるブロック共重合体を用いた
ホットメルト形粘接着剤が開示されている。しかしなが
ら、これらは優れた粘接着力を有するものの、加熱によ
る劣化が激しく、安定には使用できない。 【0012】この熱安定性を改良すべく、共役ジエン部
分を水素添加した、スチレン−エチレン/ブチレン−ス
チレンブロック共重合体を用いた粘接着剤が、米国特許
第3427269号及び特公昭55−7875号公報に
開示されている。しかしながら、これらは水素添加によ
って熱安定性は改善されるものの、粘接着力が著しく低
下する。また、溶融粘度が高いために、使用条件が制限
される上に、使用する粘着付与剤の種類も制限される。 【0013】特開平2−1788号公報には、トリブロ
ック構造と特定のブロック構造を組合わせた水素添加ブ
ロック共重合体を用いる開示がある。しかしながら、こ
の組合わせでは、溶融粘度、タック、保持力のバランス
が悪く、特にタックが不足する。また、特開平1−20
284号公報には、特定の水素添加率のブロック共重合
体を用いた接着剤が開示されているが、この粘接着剤組
成物は、タックと溶融粘度が十分でない。 【0014】また、接着後に架橋によって硬化させさら
に接着強度を高めるような用途に対しては、熱安定性の
点で満足できる程度まで水素添加したブロック共重合体
は反応点がないために利用できず、熱安定性を落して一
定量の二重結合を残すか、グラフト変性によってグリシ
ジル基などを導入しているのが現状であるが、グラフト
変性では導入できる官能基の量があまり多くないので、
満足な架橋密度が得られない。本発明者等は、特願平6-
208797[1994-9月1日出願]においてエポキシ変性ブロッ
ク共重合体が接着性ポリマーとして有用であることを提
案したが、溶融滞留した場合に熱安定性に不満が残っ
た。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低溶
融粘度でありながら、保持力をはじめとする粘接着特性
に優れ、かつ、溶融滞留に対し、溶融粘度、粘接着特性
の変化が少ない、優れたホットメルト形粘接着剤用ポリ
マーを提供することにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を改善すべく鋭意検討の結果、熱劣化の原因となる共役
ジエン部分の二重結合を減らす方策として、水素添加の
他にエポキシ化を併用することにより、粘接着力を維持
しながら熱安定性を改善し、溶融粘度も低下できること
を見いだし、本発明を完成するに至った。 【0017】即ち、本発明は、ビニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体
とする重合体ブロックBとからなり、下記の一般式で表
されるブロック共重合体の共役ジエン部分の不飽和炭素
の二重結合の一部を水素添加し、残りの共役ジエン部分
の不飽和炭素の二重結合の一部をエポキシ化した粘接着
剤用ブロック共重合体である。 【0018】 A−(B−A)、[(A−B)m+1−X 《ただし、nおよびmは1以上の整数であり、Xは多官
能のカップリング剤残基である》また、本発明における
具体的な実施態様のひとつは、共役ジエン部分の不飽和
炭素の二重結合100%に対して、水素添加率が0%を
越えて80%以下であり、エポキシ化率が10%以上4
0%以下であり、残存する二重結合が0%以上90%未
満(ただし、3者の合計は100%)である粘接着剤用
ブロック共重合体である。 【0019】本発明の特徴は、共役ジエン部分の二重結
合を飽和させて熱安定性を向上させる方策として、従来
行われていた水素添加の他にエポキシ化を併用したこと
にある。これによって、従来水素添加によって犠牲にな
っていた粘接着力を維持しながら熱安定性を改善できる
とともに、エポキシ化の特徴としての溶融粘度の低下が
もたらされるのである。さらに、導入されるエポキシ基
の量が比較的に多量であるため、接着後に架橋によって
硬化させるような用途に対しても十分な架橋密度が得ら
れる。 【0020】以下、本発明に関して詳しく述べる。 【0021】本発明で使用するブロック重合体を構成す
るビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3級ブチルス
チレン、ジビニルベンゼン、p−メチルスチレン、1,
1−ジフェニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルア
ントラセン等のうちから1種または2種以上が選択で
き、中でもスチレンが価格の面から好ましく用いられ
る。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−
1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン
等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもブ
タジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが価格の
面から好ましく用いられる。 【0022】ここでいうブロック共重合体とは、ビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブ
ロック共重合体をいい、ビニル芳香族化合物と共役ジエ
ン化合物の共重合比は5/95〜70/30であり、特に10/90〜
60/40の重合比が好ましい。また、本発明に供するブロ
ック共重合体の数平均分子量は5000〜600000、好ましく
は10000 〜500000の範囲であり、分子量分布[重量平均
分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/
Mn)])は10以下である。 【0023】ここで制限した共重合比、分子量および分
子量分布は、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーと
して広く利用されてる範囲のものであり、わざわざこの
範囲から外れた特殊なものを利用することは、本発明に
おいては単に入手の困難さとコストアップを招くにすぎ
ない。またブロック重合体の分子構造は、下記 A−(B−A)、[(A−B)m+1−X 《ただし、nおよびmは1以上の整数であり、Xは多官
能のカップリング剤残基である》の一般式で表される。 【0024】本発明に供するブロック重合体の製造方法
としては上記した構造を有するものであればどのような
製造方法でもとることもできる。例えば、特公昭40-237
98号、特公昭43-17979号、特公昭46-32415号、特公昭56
-28925号公報に記載された方法により、リチウム触媒等
を用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体を合成することができる。さ
らに特公昭42-8704 号公報、特公昭43-6636 号公報、あ
るいは特開昭59-133203 号公報に記載された方法によ
り、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加し
て、本発明に供する部分的に水添したブロック共重合体
を合成することができる。 【0025】水素添加の程度は、水素添加前及び水素添
加後のブロック共重合体のNMRを測定することによっ
て知ることができ、水素添加率[以下、略して水添率と
いう]で表され、未水素添加・未エポキシ化の原料ブロ
ック共重合体の共役ジエン化合物に由来する二重結合の
うち、水素添加されたものの百分率として定義される。
本発明における水添率は、完全に水素添加してしまう
とエポキシ化され得る二重結合が存在しなくなってしま
うので、80%以下にとどめるのが好ましい。 【0026】これらブロック共重合体をエポキシ変性す
る方法については、本発明において特に制限はなく、例
えば、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体を不活性溶媒中でハイドロパーオキサイド類、
過酸類などのエポキシ化剤と反応させることにより得る
ことができる。 【0027】不活性溶媒としては、例えばヘキサン、シ
クロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、四塩
化炭素、クロロホルム等を用いることができる。 【0028】ハイドロパーオキサイド類としては、過酸
化水素、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド、ク
メンパーオキサイド等がある。過酸類としては、過ギ
酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸などがあ
る。このうち、過酢酸は工業的に大量に製造されてお
り、安価に入手でき、安定度も高いので好ましいエポキ
シ化剤である。さらに、エポキシ化の際には必要に応じ
て触媒を用いることができる。例えば、過酸類の場合に
は、炭酸ソーダ等のアルカリや硫酸などの酸を触媒とし
て用いることができる。エポキシ化剤の量に厳密な規制
がなく、それぞれの場合における最適量は、使用する個
々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する
個々のブロック共重合体等のごとき可変要因によって決
まる。 【0029】エポキシ化反応条件には厳密な規制はな
い。用いるエポキシ化剤の反応性によって使用できる反
応温度域は定まる。例えば、過酢酸についていえば0 〜
70℃が好ましく、70℃を越えると過酢酸の分解が起こ
る。反応混合物の特別な操作は必要なく、例えば混合物
を2〜10時間攪拌すればよい。得られたエポキシ変性共
重合体の単離は適当な方法、例えば貧溶媒で沈殿させる
方法、重合体を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除
去する方法などで行うことができる。 【0030】本発明における粘接着剤用ブロック共重合
体のエポキシ化の程度は、0.1 規定の臭化水素酸で滴定
し、次式により算出する。 【0031】エポキシ当量=10000*W/(f* V) ただし、 W=滴定に用いたブロック共重合体の重量(g ) V=臭化水素酸の滴定量(ml) f=臭化水素酸のファクター また、本発明におけるエポキシ化率とは、未水素添加・
未エポキシ化の原料ブロック共重合体の共役ジエン化合
物に由来する二重結合のうち、エポキシ化されたものの
百分率であり、エポキシ当量から次の式で求める。 【0032】エポキシ化率={10000*D+2* H* (100-
S)}/{(N-16 )* (100-S)} ただし、 D=共役ジエンの分子量 H=水添率(%) S=ビニル芳香族化合物の含有量(%) N=エポキシ当量 本発明における粘接着剤用ブロック共重合体のエポキシ
化率は、10〜40%である。導入されたエポキシ基の
量が少なすぎると十分な効果が期待できない反面、過度
のエポキシ基を導入することは、エポキシ基の反応活性
が高くなりすぎてゲル化し易くなり、かえって熱安定性
を悪くする。 【0033】また、本発明における粘接着剤用ブロック
共重合体は、水素添加もエポキシ化もされずに不飽和の
まま残存する共役ジエン部分が共役ジエン全体の90%
未満であり、特に40%以下のものが熱安定性の点から
は好ましい。 【0034】本発明で得られる粘接着剤用ブロック共重
合体は、単独で優れた粘接着性能を有するが、他の熱可
塑性エラストマー(ポリオレフィン系、ポリスチレン
系、ナイロン系、ポリエステル系)、熱可塑性樹脂(ポ
リオレフィン系、ポリスチレン系、ナイロン系、ポリエ
ステル系)や、公知の構造用接着剤を配合して使用する
ことも、本発明の実施態様の一部である。また、必用に
応じて粘着付与剤、軟化剤、補強性樹脂、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、着色剤などを配合してもよい。 【0035】粘着付与剤は、従来粘着付与剤としてホッ
トメルト型接着剤に使用されているものがそのまま使用
できる。具体的には、例えば、クマロン・インデン樹
脂、フェノール樹脂、p−ターシャルブチルフェノール
・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹
脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キ
シレン・ホルムアルデヒド樹脂、合成ポリテルペン樹
脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹
脂、モノオレフィンやジオレフィンのオリゴマー、水素
添加炭化水素樹脂、炭化水素系粘着化樹脂、ポリブテ
ン、ロジンの多価アルコールエステル、水素添加テルペ
ン樹脂、水素添加ロジン、水素添加ウッドロジン、水素
添加ロジンとモノアルコールまたは多価アルコールとの
エステル、テレピン系粘着付与剤などが挙げられる。よ
り詳細には、「ゴムプラスチック配合薬品」(ラバーダ
イジェスト社編)に記載のものが使用できる。 【0036】また、軟化剤は、石油系軟化剤(パラフィ
ン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイルな
ど)、パラフィン、植物油系軟化剤、可塑剤などであ
り、具体的には前述の「ゴムプラスチック配合薬品」
(ラバーダイジェスト社編)に記載のものが使用でき
る。軟化剤は、粘接着剤組成物の用途毎に要求される適
切な粘度及び硬さに応じて、粘接着剤用ブロック共重合
体100重量部に対し、5〜200重量部、好ましくは
20〜100重量部の範囲で使用される。 【0037】これら配合剤は、溶融混合などの方法やド
ライブレンドによって本発明の粘接着剤用ブロック共重
合体に混合できる。 【0038】本発明の粘接着剤用ブロック共重合体は、
接着剤、特に構造用接着剤として、粉末状、ペレット
状、シート状、フィルム状で、被着体に対して例えば2
層ボトル成形機、3層インフレーション成形機などを使
用する共押出方法や、予熱した被コーティング材を押出
成形で被覆する押出コーティング方法や、Tダイフィル
ム(シート)成形機、インフレーション成形機などで成
形したフィルム(シート)を熱圧着する接着フィルム
(シート)法や、パウダー化して金属表面に静電塗装
機、流動浸漬装置を用いてパウダーコーティングする方
法など、公知の各種方法で接着層を形成することができ
る。 【0039】また、本発明の粘接着剤用ブロック共重合
体は、各種シート、テープの粘着剤にも利用でき、特に
溶剤を使用しないことから紙おむつや生理用ナプキンな
どの衛生材料分野に使用でき、産業上の利用価値は極め
て大きい。 【0040】以下に実施例を示す。 【0041】[実施例]本発明をより具体的に説明する
ために以下に実施例を示す。本発明はこれらの実施例に
よって何等制限されるものてはない。 【0042】<合成例1/部分水添ブロック共重合体
H、I、J、Kの調製>窒素雰囲気下の撹拌機付ステン
レス製重合釜にスチレン15重量部を含有するシクロヘキ
サン溶液を仕込み、所定量のn−ブチルリチウムを含有
するヘキサン溶液を添加して、60℃で1時間重合した。
次にブタジエン70重量部を含有するシクロヘキサン溶液
を添加し3時間重合した。次にスチレン15重量部含有す
るシクロヘキサン溶液を添加して1時間重合した。 【0043】続いて特開昭59−133203号公報の実施例1
〜9に記載の方法に準じて、パラジウム−カーボン担持
触媒で50kgf/cm2の水素ガスを用い、60℃で水添反応を
行った。水素添加率は水素ガスの供給量によって制御し
た。得られた部分水添ブロック共重合体溶液に2 ,6 −
ジ−第3 −ブチル−4 −メチルフェノール0 .5 重量部
とトリス(ノニルフェニル)フォスファイト0 .5 重量
部を添加して溶媒を加熱除去して、部分水添ブロック共
重合体を得た。 【0044】数平均分子量は、GPCによって測定し、
ポリスチレン換算値として求めた。水添率は水添反応
前、後のブロック共重合体のNMR(270MHz)を重水素
化クロロホルムで測定し求めた。 【0045】表1に合成した部分水添ブロック共重合体
の一覧を示す。 【0046】<合成例2/部分水添ブロック共重合体L
の調製>窒素雰囲気下の撹拌機付ステンレス製重合釜に
スチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液を仕込
み、所定量のn −ブチルリチウムを含有するヘキサン溶
液を添加して、60℃で1時間重合した。次にイソプレン
80重量部を含有するシクロヘキサン溶液を添加し3時間
重合した。次にスチレン10重量部含有するシクロヘキサ
ン溶液を添加して1時間重合した。 【0047】続いて、オクタン酸ニッケルとトリエチル
アルミニウムの反応で水素添加触媒を製造し、50kgf/cm
2の水素ガスを用い、60℃で水添反応を行った。水素添
加率は水素ガスの供給量によって制御した。得られた部
分水添ブロック共重合体溶液に2 ,6 −ジ−第3 −ブチ
ル−4 −メチルフェノール0 .5 重量部とトリス(ノニ
ルフェニル)フォスファイト0 .5 重量部を添加して溶
媒を加熱除去して、部分水添ブロック共重合体を得た。 【0048】数平均分子量は、GPCによって測定し、
ポリスチレン換算値として求めた。水添率は水添反応
前、後のブロック共重合体のNMR(270MHz)を重水素
化クロロホルムで測定し求めた。 【0049】表1に合成した部分水添ブロック共重合体
の一覧を示す。 【0050】<合成例3/部分水添ブロック共重合体
A、B、C、D、E、F、Gの調製>攪拌機、還流冷却
管、および温度計を備えたジャケット付反応器に(I)及
び(II)で合成した部分水添ブロック共重合体300g、酢
酸エチル1500g を仕込み溶解した。ついで過酢酸の30重
量%酢酸エチル溶液を所定量連続滴下させ、攪拌下40℃
で3時間エポキシ化反応をおこなった。反応粗液は、水
で抽出することにより副製物を除去して精製した。反応
液を常温にもどして反応器より取り出し、スチームスト
リッピングを行って溶剤を除去した。最後に乾燥して水
分を除去した。表2に合成したエポキシ化部分水添ブロ
ック共重合体の一覧を示す。 【0051】(IV)部分水添ブロック共重合体の評価 以下の項目を測定した。測定結果を表3に示す。 【0052】剪断強度 被着体にSUS304を用い、JISK6850に準じ
て測定した。 【0053】剥離強度 被着体にSUS304、接着剤の担持体にアルミ箔を用
い、SUS面との剥離強度をJISK6854に準じて
測定した。 【0054】熱安定性 フローテスターを用い、シリンダー内に180℃×30
分滞留させたあとの溶融粘度をダイ1mm×10mm荷重1
00kgfにて測定した。 【0055】[実施例1〜5、比較例1〜7]実施例1
〜5においては、いずれも対応する未エポキシ化物であ
る比較例1〜5よりも剪断強度及び剥離強度ともに上昇
しており、接着力が改善されていることが判る。また、
滞留溶融粘度はいずれも低下しており、熱安定性が向上
していることが判る。一方、比較例6及び7は、エポキ
シ化率が高すぎるためにゲル化傾向が現れて、逆に熱安
定性の悪いものになっている。 【0056】 表1 ポリマー 数平均分子量 S/B比 水添率 (%) (%) G 54100 30 33 H 67000 30 65 I 74900 30 39 J 74000 30 74 K 64500 20 35 表2 ポリマー 原料ポリマー エポキシ エポキシ化率 水添率 残存不飽和 当量 (%) (%) (%) A H 326 25 33 42 B H 205 41 33 26 C I 412 20 65 15 D J 336 24 39 37 E J 198 43 39 18 F K 506 16 74 10 G L 485 18 34 47 表2において、エポキシ当量の単位はg/molである。 【0057】 表3 実験例 ポリマー 剪断 剥離 滞留溶融粘度 SUS304 SUS304 180℃×30min kgf/cm2 kgf/25mm poise 実施例1 A 43 10 1500 2 C 40 10 1500 3 D 39 7 6000 4 F 37 7 20000 5 G 62 7 4000 比較例1 H 34 5 流動せず 2 I 27 5 10000 3 J 26 6 10000 4 K 24 4 流動せず 5 L 45 3 10000 6 B 47 15 流動せず 7 E 43 9 流動せず 【0058】 【発明の効果】本発明によって得られる粘接着剤用ブロ
ック共重合体は、特に構造接着剤として有用である。す
なわち、耐熱性、耐候性、機械的特性に優れた水添ブロ
ック共重合体をベースとし、さらに官能基としてのエポ
キシ基を導入して有るため、加熱反応によって各種被着
材への接着性を高度に付与できる。そのため、本発明の
粘接着剤用ブロック共重合体は、各種金属、無機材料、
紙、木材、他の各種熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹
脂などの被着材に、溶融下で強固に接着し、接着強度、
耐熱性、耐候性に優れた構造接着剤を与える。 【0059】また、粘着剤としても、本発明の粘接着剤
用ブロック共重合体は、溶融粘度、粘着特性、熱安定性
のバランスのとれたホットメルト粘着剤を与える。 【0060】(以下余白)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ビニル芳香族化合物を主体とする重合体
    ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
    ロックBとからなり、下記の一般式 A−(B−A)n、[(A−B)n]m+1−X 《ただし、nおよびmは1以上の整数であり、Xは多官
    能のカップリング剤残基である》で表されるブロック共
    重合体の共役ジエン部分の不飽和炭素の二重結合の一部
    を水素添加し、残りの共役ジエン部分の不飽和炭素の二
    重結合の一部をエポキシ化した粘接着剤用ブロック共重
    合体であって、共役ジエン部分の不飽和炭素の二重結合
    100%に対して、水素添加率が0%を越えて80%以
    下であり、エポキシ化率が10%以上40%以下であ
    り、残存する二重結合が10%以上47%以下(ただ
    し、3者の合計は100%)である粘接着剤用ブロック
    共重合体
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