JP3518892B2 - 精密洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents

精密洗浄方法および洗浄装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密洗浄技術分野に係
り、特にカメラ、顕微鏡、レーザー等に使用される光学
レンズや、ウエハなどの半導体部品等の精密洗浄方法お
よび洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】精密分野において、精密洗浄工程は必要
不可欠な工程であり、加工工程と並んで最も重要な位置
をしめている。従来、精密分野での洗浄工程には、人体
への安全性が高く、しかも純度の再生が容易であり、作
業性もよいフロンやトリクロロエタン等のハロゲン系溶
剤を使用していた。ところが、近年、そのハロゲン系溶
剤もオゾン層破壊の危険性から世界的に使用を禁じられ
たり、削減されたりしている。
【0003】そのため、最近では、ハロゲン系溶剤代替
の洗浄方法が開発されつつあるが、産業の急激な超精密
化に沿った洗浄方法の開発は、その洗浄度や作業性のコ
スト等の要求が厳しく、困難を極めるものである。その
中で、純水を用いたシステムが開発されており、特開平
1−210092号公報には、被洗浄物に対する前段の
精密洗浄に次いで純水による仕上げ洗浄を行い、その
後、乾燥ガスにより被洗浄物の洗浄面の水分を除去する
洗浄方法において、上記純水の洗浄水に浸漬した被洗浄
物を超低速で水面から上記ガス中に引き上げるようにし
た精密洗浄の乾燥方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の従来の
方法では、洗浄液として最も一般的である水を純水とい
うかたちで使用することにより、精密洗浄を可能にして
いる。しかし、水は、物理的、化学的な点で他の物質と
比べてみると非常に特異な性質を有しているため、精密
洗浄分野においてはその作業効率が非常に悪い。実際
に、上記方法では、水の比熱が高いため、洗浄時の加
熱、冷却時に多大の熱量を必要とした。さらに、水は蒸
発潜熱が高いため、蒸発の際の結露による汚染物質の再
付着が生じ、品質不良の原因となりやすかった。また、
水の表面張力は非常に大きいため、被洗浄物の細かい隙
間やねじ部等の非貫通穴への出入りができず、実際に凹
凸の激しい複雑形状の部材に対しては液切りもできず、
さらに汚れ分の持ち出しや吸着により品質不良が絶え
ず、全く効果を発揮できなかった。さらに、水は純水で
あっても金属材料に対するアタック性があり、鏡面に磨
いたアルミニウムやマグネシウム合金などの洗浄ができ
ない等、被洗浄物の材質が限られていた。
【0005】請求項1〜3に係る発明は、かかる従来の
問題点に鑑みてなされたもので、被洗浄物の形状や材質
にとらわれずに洗浄でき、いかなる部分でも歩留まりよ
く洗浄でき、さらに熱効率を向上させて熱消費量を低減
し、また精密洗浄の品質が確保できる作業効率のよい精
密洗浄方法および洗浄装置を提供することを目的とす
る。特に、請求項2に係る発明は、上記目的に加え、さ
らに洗浄能力を向上させた精密洗浄方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、被洗浄物を有機ケイ素化合
物を主成分とした洗浄液に浸漬する工程と、前記洗浄液
に浸漬した被洗浄物を70mm/s以下の引き上げ速度
で洗浄液界面より引き上げる工程とを備え、前記有機ケ
イ素化合物が一般式化1で表される直鎖状ポリオルガノ
シロキサンおよび一般式化2で表される環状ポリオルガ
ノシロキサンより選ばれた少なくとも1種の低分子量ポ
リオルガノシロキサンよりなることを特徴とする。
【化1】
【化2】
【0007】
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】請求項2に係る発明は、請求項1記載の精
密洗浄方法において、洗浄液の純度が99.9wt%以
上であることを特徴とする。
【0011】請求項3に係る発明は、 一般式化1で表
される直鎖状ポリオルガノシロキサンおよび一般式化2
で表される環状ポリオルガノシロキサンより選ばれた少
なくとも1種の低分子量ポリオルガノシロキサンよりな
る有機ケイ素化合物を主成分とした洗浄液を貯蔵する洗
浄槽と、この洗浄槽内の洗浄液に浸漬した被洗浄物を7
0mm/s以下の引き上げ速度で液面から引き上げる引
き上げ機構と、この引き上げ機構による引き上げ速度の
制御を行う制御ユニットとを具備して、精密洗浄装置を
構成した。
【化1】
【化2】
【0012】すなわち、従来の水では克服できなかった
問題点について多くの検討を行った結果、概念図を図1
に示すように、請求項1及び2に係る発明は、有機ケイ
素化合物を主成分とした洗浄液1を洗浄槽2に注入し、
被洗浄物3をその洗浄液1に浸漬する工程と、前記洗浄
液1に浸漬した被洗浄物3を低速で洗浄液界面より引き
上げる引き上げ工程よりなり、引き上げ工程の引き上げ
速度が70mm/s以下である精密洗浄方法を提供す
る。
【0013】
【作用】本発明者等は、従来の問題に対して色々な材料
を検討した結果、従来は離型剤や化粧品、潤滑剤、消泡
剤等に主に用いられ、近年洗浄剤としても使用されてい
る有機ケイ素化合物を用いて、精密洗浄に適した洗浄方
法を見いだした。有機ケイ素化合物は、化粧品に用いら
れるほど人体に安全でかつ高純度の精製が可能であり、
さらにその物理的性質等の諸性質についても水よりも精
密洗浄に適している。このように、水に比べてかなり優
れた性質を有する有機ケイ素化合物も、その使用方法に
よっては能力を発揮することができない。そのため、そ
の有機ケイ素化合物の性質に沿った洗浄条件を設定する
必要があり、検討の結果、本発明の精密洗浄方法に至っ
た。
【0014】有機ケイ素化合物が精密洗浄に適している
点としては、第1に、有機ケイ素化合物は比熱が0.3
〜0.5cal/g ℃で、水と比べると2分の1〜3分の1
と非常に低い。そのため、加熱にかける熱量も半分以下
に抑えることができる。第2に、有機ケイ素化合物は表
面張力が約20dyne/cm で、水の表面張力72.75dy
ne/cm と比べて極めて低い。そのため、水では出入りが
できないような細かい隙間や、ねじ部等の非貫通穴につ
いても容易に液の出入りができ、凹凸の激しい複雑形状
に対しても問題なく対応できる。第3に、有機ケイ素化
合物は蒸発潜熱が25〜50cal/g で、水の539cal/
g と比較すると約10分の1〜20分の1である。通
常、水が蒸発した後の部材は蒸発熱が多量に奪われて表
面温度が一瞬にして低下し、そこにまわりの雰囲気中に
存在する水蒸気が結露する。この結露が被洗浄物の最終
品質を低下させる原因となるわけだが、有機ケイ素化合
物は数ある材料の中でも最も蒸発潜熱が低い方に属し、
実際に蒸発した後の部材の表面温度の低下はほとんど見
られないため、表面に水蒸気が結露する問題がなく、そ
れに付随する最終品質の低下は見られない。また、蒸発
潜熱が低いことによって蒸発しやすく、蒸留再生も容易
である。
【0015】このように、水に比べてかなり優れた性質
を有する有機ケイ素化合物の性質に沿った洗浄条件を設
定する検討の結果、本洗浄方法およびこの方法を実施す
るための洗浄装置が得られた。その作用について、以下
に示す。通常、洗浄液に浸漬した被洗浄物を洗浄液から
引き出すと、洗浄液が表面にスポット状やブロック状に
残り、乾燥プロセスでの濃縮による塵埃の付着や前段の
液の残りによるシミが生ずる。それが、実際の洗浄残り
として品質低下につながる。しかし、本発明の洗浄方法
のごとく、被洗浄物を低速に引き上げることにより、洗
浄液の凝集力や粘性と表面張力のバランスによって、被
洗浄物表面にスポット状やブロック状に残ることなく、
液切りされることが確認された。さらに、同じ作用によ
り被洗浄物の隙間やねじ穴などの非貫通穴からも液が排
出され、液残りがなくなる。このことにより、液の濃縮
による塵埃の付着や前段の液の残りによるシミは無く、
常に均一な清浄面を得ることができた。
【0016】この作用を図2を用いて説明すると、被洗
浄物3を洗浄液1中に浸漬した後、洗浄液1から引き上
げる過程で、液面1aより上の被洗浄物3の洗浄面、す
なわち洗浄液1と被洗浄物3表面の境界面に、洗浄液1
の粘性により薄膜状に洗浄液1が付着し、被洗浄物3に
伴って上昇する。しかし、当然に、一方では洗浄液1自
身の凝集力や表面張力が作用するため、液面1a部に洗
浄液1の引き上げ高さhが発生する。凝集力と粘性に起
因する洗浄液1の落下速度より被洗浄物3の引き上げ速
度が遅ければ、洗浄液1の薄膜が均一に形成されて液切
りが行われるため、洗浄面に不良を発生させることはな
い。しかし、洗浄液1の落下速度より被洗浄物3の引き
上げ速度が速ければ、図3に示すように、引き上げた被
洗浄物3の表面に均一な洗浄液1の薄膜が形成されず、
被洗浄物3の表面に洗浄液1がスポット状やブロック状
に残り、塵埃の付着や前段の液の残りによるシミ4が発
生する。
【0017】この引き上げ方法によって清浄面を得るこ
とが可能な速度は、洗浄液の物理的性質や被洗浄物等に
より異なる。本発明者等は、被洗浄物に金属、樹脂、ガ
ラス、セラミック、エラストマーを用い、また洗浄液に
有機ケイ素化合物を用いて前記被洗浄物を引き上げる引
き上げ機構の引き上げ速度を制御ユニットを介して制御
することにより数々の検討を行った結果、引き上げ速度
が70mm/s以下であれば、いずれの材料であっても
清浄面を得ることが可能であることを確認した。これに
対し、70mm/sを越える速度で引き上げると、被洗
浄物表面の膜厚が均一に形成されず、それによるシミ状
の残渣が確認された。そのため、本洗浄方法および洗浄
装置では、その引き上げ速度を70mm/s以下に設定
した。もちろん、引き上げ速度は均一であることが望ま
しいが、洗浄工程の短縮化により可変させても良く、そ
の場合は被洗浄物が洗浄液の液面にある時のみ70mm
/s以下の速度であれば全く問題はない。また、引き上
げ速度は遅ければ遅いほど洗浄液の持ち出し量が減り、
ランニングコストが低下する。前記洗浄装置には、洗浄
槽内に貯蔵した洗浄液を循環しながら精密濾過処理して
清浄な液として供給する循環機器と、洗浄液の液面から
引き上げられた被洗浄物の乾燥を促進する乾燥補助手段
とを具備することができる。
【0018】本発明で用いた有機ケイ素化合物を主成分
とした洗浄液としては、低分子のポリオルガノシロキサ
ンを単体で用いることが最も望ましいが、低分子ポリオ
ルガノシロキサンと炭化水素の混合物や、低分子ポリオ
ルガノシロキサンとアルコールの混合物、低分子ポリオ
ルガノシロキサンとエステル類の混合物のいずれを用い
ても良く、特に共沸組成にて用いるのが良い。
【0019】ここで使われる炭化水素としては、炭素数
が6〜12のパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテ
ン系の炭化水素が挙げられ、アルコールとしては炭素数
2〜10のアルコールが挙げられ、エステル類として
は、炭素数1〜6のカルボン酸と炭素数1〜4のアルコ
ールのエステルが挙げられる。
【0020】さらに、精密洗浄用に清浄な面を得るため
には、洗浄液内の不純物の濃度が0.1wt%未満であ
ることが望ましく、さらに超精密洗浄用としては洗浄液
内の不純物の濃度が0.01wt%以下であることが望
ましい。0.1wt%以上の場合、被洗浄物表面の膜厚
が均一に形成されず、それによるシミ状の残渣が発生し
て本洗浄方法には不適当である。ここで不純物とは、洗
浄液成分よりも高沸点の成分および不揮発性成分のこと
をいう。
【0021】本洗浄方法および洗浄方法を実施する洗浄
装置において、被洗浄物を洗浄液に浸漬する際に、洗浄
槽の中で洗浄の物理的手段として超音波や噴流を用いる
ことで、被洗浄物の隙間やねじ穴などの非貫通穴に対す
る浸透性を更に向上させる作用を付与することもでき
る。また、本発明の洗浄方法および洗浄装置に用いた有
機ケイ素化合物は、前記のように蒸発潜熱が小さいた
め、僅かなエネルギーによっても蒸発が可能であり、本
発明の方法および装置にて引き上げ時に温風をあてて乾
燥を促進することも可能である。
【0022】
【実施例1】本発明の実施例1を図1および図4を用い
て説明する。図1に示すように、浸漬工程における洗浄
液1として、オクタメチルトリシロキサンを満たした洗
浄槽2に、光学レンズからなる被洗浄物3を浸漬し、さ
らにパルスモータ(図示省略)を用いてゆっくり引き上
げて洗浄を行った。洗浄液1として用いたオクタメチル
トリシロキサンの純度は、ガスクロマトグラフィによる
測定の結果、99.99wt%以下に精製されたもので
あった。また、洗浄液1の液温は25℃である。被洗浄
物3として用いた光学レンズは、超精密測定機用として
加工されたもので、形状がφ7.0mm、厚さ1.5mm、
曲率半径25.3mmの凹形状と片平面の平凹レンズで、
硝材はSK11の両面研磨面のレンズを用いた。この被
洗浄物3は、図4に示すように、被洗浄物3の外周部を
2点支持するヤトイ5に取り付けて洗浄した。引き上げ
時の速度は、5mm/s、10mm/s、15mm/s、20mm/sの
4種類について行った。
【0023】比較例として、洗浄液1を電導度が5μS
の純水を25℃で用いて本実施例と同様に4種類の引き
上げ方法にて行った。
【0024】洗浄の評価は、洗浄後の光学レンズを蛍光
灯下反射光および透過光での目視評価と、蛍光灯下反射
光での光学レンズ表面に呼気をかけて目視で評価する呼
気評価と、光学レンズ表面にフッ化マグネシウム(Mg
2 )のコーティングを施して蛍光灯下反射光で目視で
評価するコーティング評価の3評価で行い、異物が確認
されたものは全て不良品と判断した。評価数はn=20
で行った。また、洗浄液の持ち出し量について光学レン
ズ付きヤトイを用いてn=20のときの重量を測定し
た。
【0025】以上の結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】上記表1に示すように、本実施例では全く
不良が発生しなかった。これに対し、比較例では、引き
上げ速度が小さかったものについては目視による評価で
のみ全数合格だったが、コーティング評価ではほぼ半数
が不良となり、本実施例とは明らかに差が生じた。この
不良レンズの汚れは、図5に示すように、ヤトイの支持
部付近の汚れ6が多かった。これは、比較例に用いた純
水の表面張力が大きいため、ヤトイ支持部に液だまりが
生じ、その部分での汚れ分の濃縮や、空気中の汚れの吸
着等がおこって不良となったものである。逆に、本実施
例に示す方法で洗浄を行うと、洗浄液であるオクタメチ
ルトリシロキサンの表面張力が小さいため、ヤトイ支持
部にも液だまりが生じることがないため、清浄に仕上が
っているのである。さらに、本実施例では、洗浄液の持
ち出し量が少なく、しかも、引き上げ速度を遅くするこ
とでかなりそれを小さくすることができることも確認で
きた。また、同様の実験方法にて引き上げ速度が、30
mm/s、50mm/s、70mm/sの場合においても、n=20
の評価で問題のないことも確認した。
【0028】以上のように、本実施例の洗浄方法を用い
ることによって、超精密用光学レンズにおいて洗浄が可
能であり、従来のものと比べても非常に効果があること
が確認された。すなわち、被洗浄物の形状や材質にとら
われずに洗浄でき、いかなる部分でも歩留まりよく洗浄
でき、さらに熱効率を向上させて熱消費量を低減し、ま
た精密洗浄の品質が確保でき、作業効率もよくなる。
【0029】さらに、本実施例の洗浄方法に加えて、被
洗浄物の浸漬工程に超音波をかけた方法も行った。ただ
し、超音波は引き上げ工程においては液面を静止させる
ために停止した。超音波をかけることにより細かい隙間
への洗浄液の浸入が容易になるため、浸漬工程の時間の
短縮が可能となった。この方法については、超音波以外
にも噴流、揺動等の物理力を用いても同様の作用による
効果が得られる。また、洗浄液としては上記実施例の他
にも表2に示す共沸洗浄液を用いてn=20の洗浄数で
かつ表1と同様の評価を行ったところ、いずれの洗浄液
を用いても不良の発生がなかった。
【0030】
【表2】
【0031】
【実施例2】本実施例では実施例1の洗浄方法に加え
て、洗浄液の温度を40℃に上げて洗浄を行った。浸漬
時間は1分で、洗浄液には有機ケイ素化合物であるヘキ
サメチルジシロキサンを用いた。ヘキサメチルジシロキ
サンの純度は、ガスクロマトグラフィによる測定で9
9.995wt%以下に精製されたものであった。比較
例としては実施例1と同様に純水を用いて洗浄を行っ
た。それぞれ同じ洗浄槽にて洗浄を行ったのだが、本実
施例に使用した洗浄液のヘキサメチルジシロキサンは比
熱が小さいため、本実施例では比較例と比べてほぼ2分
の1の時間で40℃に加温できた。さらに、ヘキサメチ
ルジシロキサンは蒸発しやすく、洗浄後の乾燥時間も比
較例に比べて5倍以上短縮できた。さらに、この洗浄液
は蒸発潜熱が小さいため、冷風での乾燥時に空気中の水
分が結露することなく乾燥したが、比較例の純水を用い
た洗浄方法で洗浄した物は、乾燥時に結露し冷風で乾燥
させることができなかった。
【0032】よって、本実施例は実施例1と同様の効果
が得られるとともに、比較例と比べて熱効率が良くな
り、さらに乾燥時間も短くなり、乾燥時の結露も無いと
いう効果が得られた。本実施例を実際の洗浄工程に応用
することで、光熱費が安価で済み、洗浄工程の時間短縮
をも図ることができる。
【0033】また、本実施例の洗浄方法でアルミニウム
合金を洗浄してアタック性の試験を行った。アルミニウ
ム合金はその形状が50×50×2mmの板状で正方形の
面は鏡面で仕上げた物である。洗浄後、1時間放置し、
表面を20倍の実体顕微鏡で確認したところ、本洗浄方
法で洗浄したアルミニウム合金は清浄面でアタックは全
く見られなかったが、比較例ではアルミニウム表面がア
タックされ、鏡面が曇っていた。よって、本実施例の洗
浄方法により従来洗浄できなかった精密用鏡面アルミ材
料も洗浄できることが確認できた。
【0034】なお、実施例1および実施例2において、
それぞれ被洗浄物の引上げ速度を70mm/sを越える速度
とした実験を行ったところ、被洗浄物の表面に洗浄液が
スポット状やブロック状に残り、乾燥プロセスでの濃縮
による塵埃の付着や前段の液の残りによるシミ等が生じ
てしまった。
【0035】
【実施例3】本実施例は本発明の洗浄方法を用いた洗浄
機の例であり、図6を用いて説明する。 (構成) 有機ケイ素化合物を主剤とした洗浄液11を貯蔵し、オ
ーバーフロー排液管12とドレン排液管13と給液管1
4がそれぞれ配管接続された本槽24と、この本槽24
とクローズ配管系にて接続され、加熱コイル15を内蔵
し、上記洗浄液11を補助的に貯蔵する予備槽16と、
本槽24と予備槽16との間をフィルタ17によりサブ
ミクロンレベルでフィルタリング循環させる循環ポンプ
18とにより、主な配管系を構成している。
【0036】予備槽16内の加熱コイル15の内部に熱
媒を循環させ、その洗浄液11に急激な熱衝撃を与える
ことなく加熱可能な構造をなしている。被洗浄物を保持
した洗浄搬送治具19が搭載可能で、サーボモータ20
を駆動源とし、その回転運動を上下方向直線運動に変換
する送りねじ21により上下運動をする昇降台22があ
り、被洗浄物の液面部に対し形状による最適な引き上げ
速度にて動作するように、コントロールボックス23に
より移動距離(現在位置)と引き上げ速度を管理してい
る。また、洗浄液11から引き上げた後の被洗浄物に形
成された薄膜状の洗浄液の乾燥を促進するために、温風
をあてる乾燥補助手段としてのエアブロー25も設置さ
れている。
【0037】(作用)洗浄機本体の搬送系により、洗浄
搬送治具19が本槽24の上方の受け渡し高さまで搬送
され、この場所で被洗浄物のセットされた洗浄搬送治具
19を洗浄機本体の搬送系から本乾燥装置の昇降台22
へ受け渡し、浸漬乾燥作業が開始される。サーボモータ
20の回転力が送りねじ21により往復運動に変換さ
れ、これにより洗浄搬送治具19が搭載された昇降台2
2は下降し、被洗浄物が洗浄液11に浸漬する。この
際、洗浄液11は熱媒の流れる加熱コイル15により伝
熱加熱され、所定の温度に加熱されており、循環ポンプ
18および0.5μmメッシュのフィルタ17によりサ
ブミクロンレベルの塵埃等の不純物も除去された状態で
ある。
【0038】浸漬した昇降台22は所定時間浸漬の後、
その高さごとの最適な上昇速度になるようコントロール
ボックス23により制御されながら上昇する。さらに昇
降台22は、コントロールボックス23によって、被洗
浄物の形状や材質に応じて最適に上昇速度を設定されて
いる。完全に上昇した後に被洗浄物に付着した薄膜状の
洗浄液の乾燥を促進するためにエアブロー25が施され
る。
【0039】 (効果) 実施例1と同様の効果が得られるとともに、被洗浄物の
性状(表面積や表面粗さ等)に起因する洗浄液面からの
最適引き上げ速度の変化に対してタイムリーに対応で
き、乾燥工程内の不良の低減が実現できる。
【0040】なお、上記実施例では洗浄液としてオクタ
メチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンを用
いたが、このような有機ケイ素化合物の他に、低分子ポ
リオルガノシロキサンと炭化水素の混合物や、低分子ポ
リオルガノシロキサンとアルコールの混合物、低分子ポ
リオルガノシロキサンとエステル類の混合物のいずれを
用いても良く、この場合には特に共沸組成にて用いるの
が良い。
【0041】ここで使われる炭化水素としては、炭素数
が6〜12のパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテ
ン系の炭化水素が挙げられ、アルコールとしては炭素数
2〜10のアルコールが挙げられ、またエステル類とし
ては、炭素数1〜6のカルボン酸と炭素数1〜4のアル
コールのエステルが挙げられる。
【0042】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜3に係る発明
の精密洗浄方法および洗浄装置によれば、被洗浄物の形
状や材質にとらわれず、いかなる部分にも歩留まりよく
洗浄でき、さらに熱効率を向上させて熱消費量を低減
し、さらに精密洗浄品質確保でき、作業効率が向上す
る。また特に、請求項2に係る発明のように、使用する
洗浄液の純度を規定したことにより、上記効果に加え、
さらに洗浄能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精密洗浄方法を概念的に示す工程図で
ある。
【図2】本発明の精密洗浄方法の作用を説明するための
引き上げ工程の側面図である。
【図3】従来の洗浄方法による引き上げ工程の正面図で
ある。
【図4】実施例1の被洗浄物の支持状態を示す正面図で
ある。
【図5】比較例による洗浄結果を示す被洗浄物の正面図
である。
【図6】実施例3の洗浄装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,11 洗浄液 2 洗浄槽 3 被洗浄物 4 シミ 5 汚れ 16 予備槽 17 フィルタ 19 洗浄搬送治具 20 サーボモータ 22 昇降台 23 コントロールボックス 24 本槽 25 エアブロー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−295577(JP,A) 特開 平5−128595(JP,A) 特開 平5−245451(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B08B 1/00 - 7/04 C11D 7/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被洗浄物を有機ケイ素化合物を主成分と
    した洗浄液に浸漬する工程と、前記洗浄液に浸漬した被
    洗浄物を70mm/s以下の引き上げ速度で洗浄液界面
    より引き上げる工程とを備え、前記有機ケイ素化合物が
    一般式化1で表される直鎖状ポリオルガノシロキサンお
    よび一般式化2で表される環状ポリオルガノシロキサン
    より選ばれた少なくとも1種の低分子量ポリオルガノシ
    ロキサンよりなることを特徴とする精密洗浄方法。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の精密洗浄方法において、
    洗浄液の純度が99.9wt%以上であることを特徴と
    する精密洗浄方法。
  3. 【請求項3】 一般式化1で表される直鎖状ポリオルガ
    ノシロキサンおよび一般式化2で表される環状ポリオル
    ガノシロキサンより選ばれた少なくとも1種の低分子量
    ポリオルガノシロキサンよりなる有機ケイ素化合物を主
    成分とした洗浄液を貯蔵する洗浄槽と、 この洗浄槽内の洗浄液に浸漬した被洗浄物を70mm/
    s以下の引き上げ速度で液面から引き上げる引き上げ機
    構と、 この引き上げ機構による引き上げ速度の制御を行う制御
    ユニットとを具備したことを特徴とする精密洗浄装置。 【化1】 【化2】
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