JP3517711B2 - メカニカルシール用密封環及びこれを使用したメカニカルシール - Google Patents

メカニカルシール用密封環及びこれを使用したメカニカルシール

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つの密封環が相
対回転摺接するように構成されたメカニカルシール及び
これに使用する密封環に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のメカニカルシールとして、例え
ば図1に示す如く、シールケース2に固定保持された密
封環(以下「固定環」という)1と、回転軸4に軸線方
向移動可能に且つ相対回転不能に保持された密封環(以
下「回転環」という)3と、回転軸4に固定されたスプ
リングリテーナ5と回転環3との間に介装されて回転環
3を固定環1へと押圧附勢するスプリング6とからな
り、両密封環1,3の対向端面たる密封端面1a,3a
の相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の外
周側領域たる機内領域Aとその内周側領域たる機外大気
領域Bとをシールするように構成された端面接触形のも
のが周知であり、一方の密封環を熱的,化学的,機械的
特性や耐摩耗性に優れた炭化珪素等の硬質材で構成する
と共に他方の密封環を自己潤滑性を有するカーボン等の
軟質材で構成したもの(以下「硬質/軟質シール」とい
う)と、両密封環を共に硬質材で構成したもの(以下
「硬質/硬質シール」という)とに大別される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、硬質/軟質シ
ールにあっては、軟質材製密封環が摩耗し易く、耐久性
に問題がある。このため、一般には、軟質材として自己
潤滑性を有するカーボンを使用して、密封環間の潤滑性
を高めて密封環の摩耗を軽減することが図られている
が、密封端面であるカーボン表面に所謂カーボンブリス
タを生じる虞れがある。一方、硬質/硬質シールにあっ
ては、固体成分を含むスラリ流体を密封する場合にも、
かかる問題を生じることがないが、密封端面間の潤滑性
に乏しいため、相対摺動する密封端面間に所謂鳴きと称
する騒音が生じたり密封端面同士の固着(焼付)現象が
生じる虞れがある。
【0004】本発明は、このような点に鑑みてなされた
もので、硬質/軟質シール又は硬質/硬質シールの硬質
材製密封環として上記した問題を生じることなく好適に
使用しうるメカニカルシール用密封環を提供すると共
に、これを少なくとも一方の密封環として使用すること
によって上記した問題を生じることなく良好なシール機
能を発揮しうるメカニカルシールを提供することを目的
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決した本発
明のメカニカルシール用密封環は、 の構成をなすも
のであり、より好ましくは のように構成されたも
のである。また、本発明のメカニカルシールは、硬質/
硬質シール又は硬質/軟質シールであって、相対回転摺
接する2つの密封環の一方又は両方を、 のように構
成しておくものであり、より好ましくは のように
構成しておくものである。
【0006】平均気孔径10〜40μmの独立気孔が
均一に分散配置されており且つ気孔率が3〜10%とさ
れた炭化珪素焼結材で構成されていること。
【0007】上記の構成をなす密封環において、そ
の密封端面における単位面積(10 4μm2)当りの独立
気孔数が1個以上(通常、1〜5個)であること。
【0008】上記又はの構成をなす密封環が、焼
成すべき予備成形体の構成材料として炭化珪素粉末をカ
ーボン源であって硬化反応が完了しないゲル状樹脂層で
囲繞してなる球状の硬質造粒材を使用してなる炭化珪素
焼結材で構成されていること。
【0009】而して、の構成をなす密封環によれば、
冒頭で述べた問題を生じることなく、相手密封環(硬質
材製密封環又は軟質材製密封環)との相対回転摺接によ
るシール機能(メカニカルシール機能)を良好に発揮さ
せることができる。すなわち、メカニカルシールを構成
する2つの密封環の対向端面たる密封端面間において
は、の構成をなす密封環の密封端面(鏡面)に存在す
る独立気孔によりシールすべき流体(シール流体)が保
持されて、独立気孔が一種のオイルポットとして機能し
(以下、かかる機能を「オイルポット機能」という)、密
封端面間にシール流体による潤滑膜が形成されて、密封
端面間の潤滑性が大幅に向上する。したがって、硬質/
軟質シールにおいては、相手密封環(軟質材製密封環)
の摩耗量が大幅に軽減され、相手密封環がカーボン製の
ものである場合にも、カーボン製密封環との相対回転摺
接による摩擦熱の発生が可及的に防止され、カーボン製
密封環の密封端面においてブリスター現象(所謂火ぶく
れ現象)が生じる虞れがない。また、硬質/硬質シール
においては、相手密封環がの構成をなすものである場
合には勿論、オイルポット機能を有しない緻密質の炭化
珪素焼結材やその他のセラミックス,超硬合金等の硬質
材で構成される場合にも、相対回転摺接作用に伴う熱発
生,鳴き,固着を可及的に抑制,防止し、固形成分を含
有するスラリ液に対しても摩耗量を軽減し、漏れのない
良好なシール機能を発揮することができる。
【0010】の構成において、独立気孔とは、他の気
孔と連通することなく独立に存在するものをいう。密封
端面に存在する気孔がこれに隣接する他の気孔と連通す
る場合には、密封端面からの浸透漏れを生じ、シール機
能を発揮できない。
【0011】また、平均気孔径は画像解析により求める
ことができ、気孔率は当該メカニカルシール用密封環の
密度(測定密度)と炭化珪素の理論密度(気孔率の計算
上、3.2g/cmとする)とから算出されたもので
ある。すなわち、気孔率=(1−(測定密度)/(理論
密度))×100で与えられるものである。平均気孔径
が10μm未満である場合や気孔率が3%未満である場
合には、独立気孔による流体保持が十分に行われず、潤
滑性を向上させるに必要且つ十分なオイルポット機能が
発揮されない。逆に、平均気孔径が40μmを超える場
合や気孔率が10%を超える場合には、密封端面の強度
低下を招くと共に、気孔のエッジ部による砥石作用によ
り異常摩耗を招く虞れがある。また、シール流体が固形
成分を含むスラリ液等であるときにおいては、固形成分
が密封端面の独立気孔に侵入,捕捉され易く、当該固形
成分により密封端面の損傷,異常摩耗を招来する虞れが
ある。
【0012】さらに、独立気孔の存在による密封端面の
強度低下を可及的に防止し且つオイルポット機能による
潤滑性の大幅な向上を図るためには、独立気孔の平均気
孔径及び気孔率が上記した範囲となっていることに加え
て、更に独立気孔が均一に分散配置されていることが必
要である(平均気孔径及び気孔率は必要条件ではある
が、十分条件ではない)。すなわち、独立気孔が密封端
面において均一に分散配置されていないときは、仮令、
平均気孔径及び気孔率がの範囲となっていても、密封
端面における強度にバラツキが生じて、密封端面全体と
しての強度が低下すると共に、密封端面におけるオイル
ポット機能にもバラツキが生じて、密封端面全体として
オイルポット機能による潤滑性がさほど向上しないこと
になる。
【0013】而して、密封端面における独立気孔が均一
に分散配置されているかどうかは、密封端面における単
位面積(104μm2)当りの独立気孔数によって判定す
ることができる。すなわち、実験により確認したところ
によれば、密封端面を縦100μm×横100μmの単
位面積領域に区画した場合において、全ての単位面積領
域において独立気孔が1個以上(1〜5個)存在してい
るときは、独立気孔の存在による密封端面の強度低下を
招くことなくオイルポット機能による潤滑性が大幅に向
上したが、独立気孔が全く存在しない単位面積領域が1
つ以上あるときは、平均気孔径及び気孔率がの範囲と
なっていても、密封端面全体としての強度又はオイルポ
ット機能による潤滑性が低下することが判明した。した
がって、本発明において、にいう「独立気孔が均一に
分散配置されている」とは、具体的には、にいうよう
に「密封端面における単位面積(104μm2)当りの独
立気孔数が1個以上である」ことを意味する。
【0014】また、本発明のメカニカルシール用密封環
ないしその構成材たる炭化珪素焼結材は、形態上の
ような構成をなすものであるが、材料上においては、
のような構成をなすものである。のような材料構成を
なすものとしておくことによって、又はのような気
孔形態を得ることができ且つメカニカルシール用密封環
として使用しうるに十分な強度を得ることができるので
ある。
【0015】炭化珪素焼結材は、一般に、炭化珪素粉末
に焼結助剤(ホウ素,アルミニウム,これらの化合物)
及びカーボン源(カーボン粉,樹脂)等を添加した原料
からなる造粒材を加圧成形(予備成形),焼成(焼結)
することによって得られるが、気孔を有する炭化珪素焼
結材は、一般に、通常の炭化珪素焼結材(緻密質焼結
材)を製造する場合に比して加圧成形,焼成時における
加圧力(焼結圧力)を相当以上に小さくして、焼結粒子
間に気孔が形成されるようにするか、原料に焼失(熱分
解,ガス化)しうる空隙形成用樹脂材(例えば、ポリス
チレンビーズ等のポリマービーズ)を添加して、その焼
失により生じた空隙を気孔となすことによって得ること
が可能である。しかし、前者のように焼結圧力を減少さ
せる場合には、焼結粒子間の結合力が弱く、メカニカル
シール用密封環として使用しうるに十分な強度を確保で
きない。さらに、焼結粒子間の結合状態にバラツキが生
じて、気孔同士が連通し易く、独立気孔を得ることが困
難である。また、後者のように原料に空隙形成用樹脂材
を添加する場合には、当該樹脂材の焼失に伴う大量のガ
ス発生により焼結材内部に亀裂を生じたり、当該樹脂材
の偏析等により気孔径にバラツキが生じ易い。さらに、
気孔が均一に分散せず、焼結材強度も低下する虞れがあ
る。したがって、何れの場合にも、多孔質の炭化珪素焼
結材を得ることは可能であるが、の構成をなし且つ
メカニカルシール用密封環として使用しうるに十分な強
度を有する多孔質焼結材を得ることは困難である。
【0016】しかし、のように、焼成すべき予備成形
体の構成材料として、炭化珪素粉末をカーボン源であっ
て硬化反応が完了しないゲル状樹脂層で囲繞してなる球
状の硬質造粒材を使用すれば、加圧成形,焼成工程を、
緻密質の炭化珪素焼結材を製造する場合と同等の条件
(成形圧力,焼成温度)で行うことにより、十分な強度
を有するの炭化珪素焼結材を得ることができる。な
お、硬質造粒材に、焼成時に完全に消失する上記空隙形
成用樹脂材又はこれに類するものは含まれない。
【0017】すなわち、ゲル状樹脂層で被覆された硬質
造粒材は、一般に使用される造粒材に比して硬質である
ため、緻密質の炭化珪素焼結材を製造する場合と同等の
成形圧力(例えば100MPa)で加圧成形した場合、
その成形体(予備成形体)にあっては、硬質造粒材が一
般的な造粒材と異なって殆ど圧潰されず、球状の硬質造
粒材同士が点接触状態又はこれに近い状態で接着し、硬
質造粒材の周囲には隣接する硬質造粒材と接着する部分
で区画された複数の空隙が生じる。これらの空隙は、大
きさが均一であり、硬質造粒材間に均一に分散して存在
することになる。したがって、予備成形体を焼成した場
合、各空隙が焼結材における独立気孔となり、これらの
独立気孔は大きさにバラツキがなく均一に分散配置され
ることになる。また、ゲル状樹脂層は硬質のものではあ
るが、硬化反応が完了しないものであるから、予備成形
体における硬質造粒材相互の接着性は損なわれず、また
硬質造粒材同士は上記した如く点接触状態又はこれに近
い状態で接着されていて、接着面積が小さいことから、
その接着個所に作用する成形圧力は極めて高くなる。し
たがって、予備成形体における硬質造粒材同士の接着力
が高くなり、これを焼成して得られる炭化珪素焼結材に
おける炭化珪素粒子の結合力が高く、その強度は緻密質
の炭化珪素焼結材と同等若しくはこれに近いものとな
る。また、上記した如く予備成形体における硬質造粒材
同士の接着面積が小さいことから、緻密質の炭化珪素焼
結材を製造する場合よりも低い成形圧力(例えば50M
Pa)で予備成形する場合にも、当該接着部に作用する
圧力は大きくなるため、焼結粒子の結合力を十分に確保
できて、焼結材が強度不足となることもない。また、ゲ
ル状樹脂層は、炭化珪素粉末を均一厚さで囲繞するもの
であるから、カーボン源としてカーボン粉末等を使用し
た場合と異なって、炭化珪素粒子の周囲にカーボンが均
一に分散配置された状態で焼成が行われることになる。
したがって、炭化珪素粒子表面におけるカーボンによる
酸素除去作用が良好に行われ、良質の炭化珪素焼結材を
得ることができる。なお、予備成形体の成形は冷間で行
われ、予備成形体の焼成は、不活性なガス雰囲気におい
て加圧することなく行われる。
【0018】ところで、カーボン源として使用する樹脂
としては、一般に、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が
使用される。そして、熱硬化性樹脂を使用する場合、炭
化珪素粉末と焼結助剤と溶剤によりゾル化させた熱硬化
性樹脂とからなる混合液を造粒し、その造粒材を適当温
度で熱処理して或る程度硬化させることにより、つまり
熱硬化性樹脂の架橋反応(縮合反応)を或る程度進行さ
せることにより、架橋反応が完了しないゲル状樹脂層で
被覆された硬質造粒材を得る。このような熱硬化性樹脂
をゲル化させるための熱処理は、樹脂の架橋反応が或る
程度以上進行し且つ架橋反応が完了しないような温度,
時間で行われる。例えば、フェノール樹脂の場合、約1
00℃で架橋反応(縮合反応)が開始され、150℃を
超えると架橋反応が完了して完全に硬化することから、
ゲル状樹脂層を形成するための熱処理温度は100℃〜
150℃としておく。なお、カーボン源としては、造粒
後のゲル化処理により、フェノール樹脂等の熱硬化性樹
脂と同等の硬度が得られるもの(完全に硬化されるもの
を除く)である限り、熱可塑性樹脂を使用することも可
能である。
【0019】
【実施例】(実施例1) 実施例1として、図1に示す
構成のメカニカルシール(以下「当該メカニカルシー
ル」という)の回転環3として使用しうる密封環A1を
製作すると共に、当該メカニカルシールであって、回転
環3として密封環A1を使用し且つ固定環1としてカー
ボン製密封環を使用したメカニカルシールM1を組み立
てた。
【0020】密封環A1は、次のような混合工程,造粒
工程,造粒硬化工程,予備成形工程,焼成工程,仕上げ
工程により得られたものである。
【0021】混合工程: 平均粒子径0.7μmのα−
SiC粉末100gに、焼結助剤としてのB4C粉末
0.5g及びカーボン源としてのフェノール樹脂(レゾ
ール型)4gを添加し、さらに成形助剤としてPEG6
000(ポリエチレングリコール6000番(数値は平
均分子量を表す)29g及びステアリン酸1gを添加し
て、これらを溶剤であるメタノールと共にボールミルで
24時間混合した。
【0022】造粒工程: 混合工程で得られた混合液
(流動性懸濁液)を、スプレー・ドライヤーにより60
〜80℃で噴霧乾燥することによって造粒し、径30〜
100μmの球形状の造粒材を得た。この造粒材は、S
iC粉末を均一厚さのフェノール樹脂層で被覆してなる
球形顆粒である。
【0023】造粒硬化工程: 造粒工程で得られた造粒
材を110℃,2時間の条件で加熱処理(ゲル化処理)
して、架橋反応が完了しない範囲でフェノール樹脂層を
硬化させ、SiC粉末を均一厚さのゲル状樹脂層(フェ
ノール樹脂)で被覆した球状の硬質造粒材を得た。
【0024】予備成形工程: 造粒硬化工程で得られた
硬質造粒材を、所定の金型に充填した上、冷間プレス成
形して、回転環3に対応する環状形態をなす予備成形体
を得た。成形圧力は50MPaとした。
【0025】焼成工程: 予備成形工程で得られた予備
成形体を、加圧することなく、2150℃のアルゴン雰
囲気中で焼成して、多孔質の炭化珪素焼結体を得た。
【0026】仕上げ工程: 焼成工程で得られた炭化珪
素焼結体の一端面をRa=0.05の鏡面に表面研磨
(ラップ)する等により、密封環A1を得た。この密封
環A1の鏡面部分は、これを回転環3として使用した場
合における密封端面3aとして機能するものである。な
お、密封環A1は、後述する実施例4で使用するもの
(2個)を含めて、3個製作した。
【0027】かくして得られた密封環A1の密度,平均
気孔径,気孔率,単位面積当りの独立気孔数は、表1に
示す通りであった。密度は水置換法により計測し、炭化
珪素の理論密度を3.2g/cm3として気孔率を計算
した。すなわち、気孔率=(1−(摺動材の測定密度)
/(理論密度))×100=(1−(2.95/3.
2))×100=7.8(%)である。平均気孔径は画
像解析により求めたものであり、40μmであった。ま
た、単位面積(104μm2)当りの独立気孔数は、鏡面
部分(密封端面)を縦100μm×横100μmの単位
面積領域に区画して、各単位面積領域に存在する独立気
孔の個数を確認することにより得たものであり、各単位
面積領域には各々1〜5個の独立気孔が存在した。図2
は密封環A1の鏡面(密封端面)を100倍に拡大した
ものであるが、この図2からも理解されるように、密封
端面においては独立気孔(図2において黒色表示された
部分)が均一に分散配置されている。
【0028】そして、この回転環A1及びカーボン製固
定環1を組み込んだメカニカルシールM1を使用して工
業用水によるシール試験を行い、密封環の性能及びシー
ル性能を確認した。なお、固定環1は、密封環の構成材
として一般に使用される焼結カーボン(密度:1.8g
/cm3)で構成された周知のカーボン製密封環であ
る。
【0029】すなわち、このシール試験は、メカニカル
シールM1を、シール流体(機内領域Aの流体):工業
用水,シール圧力:2.04MPa,軸回転数:360
0rpm,PV値:13.08MPa・m/sの条件で
100時間継続運転し、運転中において密封端面1a,
3a間から機外大気領域Bへの漏れ量、つまり100時
間当りの漏れ量(cc/100hr)を測定した。さら
に、運転終了後、カーボン製固定環1における密封端面
1aの摩耗量、つまり100時間当りの摩耗量(μm/
100hr)を測定した。摩耗量は、固定環1の背面か
ら前面(密封端面1a)までの軸線方向長さの減少量を
測定することにより得たものである。その結果は、表2
に示す通りであった。すなわち、漏れ量は、蒸気漏れを
含めて、僅か0.4ccであり、摩耗量は0.01μm
であった。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】(実施例2) 実施例2として、当該メカ
ニカルシールの回転環3として使用しうる密封環A2を
得ると共に、回転環3として密封環A2を使用した点を
除いて、メカニカルシールM1と同一構成をなすメカニ
カルシールM2を組み立てた。
【0033】密封環A2は、造粒硬化工程における造粒
材の熱処理温度を110℃とした点を除いて、実施例1
と同一工程(混合工程,造粒工程,造粒硬化工程,予備
成形工程,焼成工程,仕上げ工程)を経て得られたもの
である。なお、密封環A2は、後述する実施例5,7で
使用するもの(2個)を含めて3個製作した。
【0034】密封環A2の密度,平均気孔径,気孔率,
単位面積当りの独立気孔数は、実施例1と同様にして求
めたものであり、表1に示す通りであった。また、図3
は密封環A2の密封端面を100倍に拡大したもの(黒
色表示された部分が気孔である)であるが、密封環A1
と比較して、その気孔率(5.0%)及び平均気孔径
(30μm)が小さくなっている。これは、造粒材の熱
処理温度が実施例1の場合より低く、硬質造粒材の硬度
がやや低くなっているために、成形圧力が実施例1と同
一(50MPa)であるにも拘らず、予備成形体におけ
る硬質造粒材の圧潰度が高くなり、つまり硬質造粒材相
互間の空隙が小さくなり、その結果、独立気孔が小さく
なるからである。
【0035】実施例1と同一のシール条件において、メ
カニカルシールM2を100時間運転して、漏れ量(c
c/100hr)及び摩耗量(μm/100hr)を測
定した。その結果は、表2に示す通りであった。平均気
孔径がオイルポット機能を発揮するに十分な大きさであ
り、独立気孔が均一に分散している(単位面積当りの独
立気孔数は、A1と同様に1〜5個である)ことから、
カーボン製固定環1の摩耗量も少なく、メカニカルシー
ルM1と同様(0.01μm)であった。また、メカニ
カルシールM1では0.4ccの漏れが生じたが、メカ
ニカルシールM2では漏れは認められなかった。
【0036】(実施例3) 実施例3として、当該メカ
ニカルシールの回転環3として使用しうる密封環A3を
得ると共に、回転環3として密封環A3を使用した点を
除いて、メカニカルシールM1と同一構成をなすメカニ
カルシールM3を組み立てた。
【0037】密封環A3は、予備成形工程における予備
成形体の成形圧力を100MPaとした点を除いて、実
施例1と同一の工程(混合工程,造粒工程,造粒硬化工
程,予備成形工程,焼成工程,仕上げ工程)を経て得ら
れたものである。なお、密封環A3は、後述する実施例
6で使用するもの(1個)を含めて2個製作した。
【0038】密封環A3の密度,平均気孔径,気孔率,
単位面積当りの独立気孔数は、実施例1と同様にして求
めたものであり、表1に示す通りであった。造粒材の熱
処理温度が同一である密封環A2と比較して、気孔率
(3.4%)及び平均気孔径(20μm)が小さくなっ
ているのは、予備成形体の成形圧力を実施例2の場合よ
り高くしたため、硬質造粒材の硬度(フェノール樹脂層
の硬度)が同じであるにも拘らず、予備成形体における
硬質造粒材の圧潰度が高くなり、つまり硬質造粒材相互
間の空隙が小さくなり、その結果、独立気孔が小さくな
るためである。また、単位面積当りの独立気孔数は1〜
4個であり、密封環A3の密封端面を100倍に拡大し
て示す図4(黒色表示された部分が気孔である)からも
明らかなように、密封端面においては独立気孔が均一に
分散配置されている。
【0039】実施例1,2と同一のシール条件におい
て、メカニカルシールM3を100時間運転して、漏れ
量(cc/100hr)及び摩耗量(μm/100h
r)を測定した。その結果は、表2に示す通りであり、
漏れ及びカーボン製固定環1の摩耗は、認められなかっ
た。
【0040】(実施例4) 実施例4として、固定環1
として一般的な緻密質の炭化珪素焼結材で構成したもの
を使用した点を除いて、メカニカルシールM1と同一構
成のメカニカルシールM4(回転環3としては実施例1
で得た密封環A1を使用)を組み立てた。なお、固定環
1を構成する緻密質の炭化珪素焼結材は、密度3.14
g/cm3のものであり、実質的に、後述する比較例2
で得た密封環B2と同質のものである。
【0041】そして、このメカニカルシールM4を使用
して工業用水によるシール試験及びスラリー液によるシ
ール試験を行った。工業用水によるシール試験は、実施
例1と同一条件で100時間運転して、100時間経過
後の漏れ(cc/100hr),回転環A1の摩耗量
(μm/100hr)を測定したものである。また、ス
ラリー液によるシール試験は、シール流体(機内領域A
の流体):川砂4%を含有する水スラリー,シール圧
力:1.47MPa,軸回転数:3600rpm,PV
値:13.08MPa・m/sの条件で100時間継続
運転し、運転中において密封端面1a,3a間から機外
大気領域Bへの漏れ量、つまり100時間当りの漏れ量
(cc/100hr)を測定した。さらに、運転終了
後、回転環A1における密封端面3aの摩耗量、つまり
100時間当りの摩耗量(μm/100hr)を測定し
た。これらのシール試験の結果は、表2に示す通りであ
った。すなわち、工業用水によるシール試験において
は、漏れ及び摩耗は生じず、良好なシール機能が発揮さ
れることが確認された。また、スラリー液によるシール
試験においては、シール条件が苛酷であるにも拘わら
ず、漏れ量は、蒸気漏れを含めて、僅か0.3ccであ
り、摩耗量は0.01μmであった。
【0042】(実施例5) 実施例5として、回転環3
として実施例2で得た密封環A2を使用した点を除い
て、メカニカルシールM4と同一構成のメカニカルシー
ルM5を組み立てた。そして、実施例4と同一条件で工
業用水によるシール試験及びスラリー液によるシール試
験を行い、漏れ量(cc/100hr)及び回転環A2
の摩耗量(μm/100hr)を測定した。その結果
は、表2に示す通りであり、シール流体に拘わらず、良
好なシール機能が発揮されることが確認された。
【0043】(実施例6) 実施例6として、回転環3
として実施例3で得た密封環A3を使用した点を除い
て、メカニカルシールM4と同一構成のメカニカルシー
ルM6を組み立てた。そして、実施例4と同一条件で工
業用水によるシール試験及びスラリー液によるシール試
験を行い、漏れ量(cc/100hr)及び回転環A3
の摩耗量(μm/100hr)を測定した。その結果
は、表2に示す通りであり、シール流体に拘わらず、良
好なシール機能が発揮されることが確認された。
【0044】(実施例7) 実施例7として、当該メカ
ニカルシールの固定環1として使用しうる密封環A4を
得ると共に、固定環1として密封環A4を使用し且つ回
転環3として実施例2で得た密封環A2を使用した点を
除いて、メカニカルシールM4と同一構成をなすメカニ
カルシールM7を組み立てた。
【0045】密封環A4は、予備成形工程における成形
型を当該メカニカルシールに使用しうる固定環1に対応
する形状の予備成形体を得ることができる成形型を使用
した点を除いて、実施例2と同一の工程(混合工程,造
粒工程,造粒硬化工程,予備成形工程,焼成工程,仕上
げ工程)により得たものであり、表1に示す如く、密封
環A2と同質の炭化珪素焼結材で構成されたものであ
る。
【0046】そして、メカニカルシールM7を使用し
て、実施例4と同一条件で工業用水によるシール試験及
びスラリー液によるシール試験を行い、漏れ量(cc/
100hr)及び摩耗量(μm/100hr)を測定し
た。その結果は、表2に示す通りであり、シール流体に
拘わらず、漏れ及び密封環A2,A4の摩耗は認められ
なかった。このことから、固定環1及び回転環3に本発
明の密封環を使用することにより、実施例1〜6のよう
に密封環1,3の一方に本発明の密封環を使用した場合
に比して更にシール機能が向上し、如何なるシール条件
においても同等のシール機能が発揮されることが確認さ
れた。
【0047】(比較例1) 比較例1として、当該メカ
ニカルシールの回転環3として使用しうる密封環B1を
製作し、回転環3として密封環B1を使用した点を除い
てメカニカルシールM1と同一構成のメカニカルシール
N1を組み立てた。
【0048】密封環B1は、造粒硬化工程における熱処
理温度を160℃とした点を除いて、実施例3と同一の
工程により得たものである。なお、密封環B1は、後述
する比較例4で使用するもの(1個)を含めて2個製作
した。
【0049】造粒材の熱処理温度を160℃とすること
により、造粒材の外表面層を構成するフェノール樹脂の
架橋反応が完了しており、フェノール樹脂層は完全に硬
化された状態となっている。したがって、実施例3と同
様に高い成形圧(100MPa)で予備成形体を成形し
ているにも拘らず、造粒材間の接着が十分に行なわれな
いことから、造粒材間に形成される空隙による気孔が連
通したものとなり、密封環B1の密封端面を100倍に
拡大して示す図5からも明らかなように、気孔(図5に
黒色部分)が長孔状に連通し、独立気孔とならない。し
たがって、独立気孔の均一配置を特定するための単位面
積(104μm2)当りの独立気孔数は求めることができ
ない。なお、密封環B1の密度,平均気孔径,気孔率
は、実施例1と同様にして求めたものであり、表1に示
す通りである。
【0050】そして、メカニカルシールN1を使用して
実施例1と同一条件で工業用水によるシール試験を行っ
たところ、密封環B1の密封端面における気孔が連続状
となっていることから、密封端面1a,3aからは浸透
漏れが生じた。したがって、当該シール試験の続行は無
意味であり、中止した。また、密封端面の摩耗量の測定
も、浸透漏れが生じている以上、測定不能であった。
【0051】(比較例2) 比較例2として、当該メカ
ニカルシールの回転環3として使用しうる密封環B2を
製作し、回転環3として密封環B2を使用した点を除い
てメカニカルシールM1と同一構成のメカニカルシール
N2を組み立てた。
【0052】密封環B2は、造粒硬化工程を行わない点
を除いて比較例1と同一の工程により得たものである。
すなわち、造粒材を熱処理することなく、100MPa
にて予備成形し、得られた予備成形体を焼成したもので
ある。この密封環B2の製法は、一般的な緻密質の炭化
珪素焼結材と同様である。したがって、密封環B2の密
封端面は、これを100倍に拡大して示す図6及び表1
に示す如く、緻密質であり、オイルポットとして機能し
うる独立気孔は存在しておらず、メカニカルシールN2
は、実質的に、緻密質炭化珪素製の密封環1,3を使用
したものである。表1に示す密封環B2の密度,平均気
孔径,気孔率は、実施例1と同様にして求めたものであ
る。なお、密封環B2は、後述する比較例5で使用する
もの(1個)を含めて2個製作した。
【0053】そして、メカニカルシールN2を使用し
て、実施例1と同一条件で工業用水によるシール試験を
行った。その結果は、表2に示す通りであり、カーボン
製密封環との組み合わせに係る硬質/軟質シールとして
の機能は、漏れ量,摩耗量の何れにおいても、硬質材製
密封環として密封環A1,A2,A3を用したメカニカ
ルシールM1,M2,M3に比して劣るものであった。
また、自己潤滑性を有しない硬質/硬質シールであるメ
カニカルシールM4,M5,M6,M7に比しても潤滑
性に劣り、漏れ量,摩耗量は増大している。
【0054】(比較例3) 比較例3として、当該メカ
ニカルシールの回転環3として使用しうる密封環B3を
製作し、回転環3として密封環B3を使用した点を除い
てメカニカルシールM1と同一構成のメカニカルシール
N3を組み立てた。
【0055】密封環B3は、前記混合工程で得られる混
合液の原料として、空隙形成用樹脂として50〜60μ
m径のポリスチレンビーズを10g添加したものを使用
した点、造粒硬化工程を経ることなく、造粒工程で得ら
れた造粒材(30〜100μm径)をそのまま100M
Paで加圧成形して、予備成形体を得た点を除いて、実
施例1と同一工程により得られたものである。なお、密
封環B3は、後述する比較例6で使用するもの(1個)
を含めて2個製作した。
【0056】密封環B3にあっては、焼成工程において
ボリスチレンビーズが焼失することにより、独立気孔が
形成される。しかし、冒頭に述べたように、ビーズの焼
失(分解,逸散)によるガス発生等により、密封環B3
における独立気孔はその大きさ及び分布に大きなバラツ
キが生じている。すなわち、密封環B3においては、そ
の密封端面を100倍に拡大した図7及び表1に示す如
く、平均気孔径が大きく(60μm)且つ密封端面にお
ける単位面積当り(104μm2)の独立気孔数は特定で
きず(独立気孔が1個以上存在する単位面積領域と独立
気孔が全く存在しない単位面積領域とがあり、独立気孔
が偏在している)、密封端面における独立気孔は均一に
分散配置していない。なお、表1における密封環B3の
密度,平均気孔径,気孔率,単位面積当りの独立気孔数
は、実施例1と同様にして求めたものである。
【0057】そして、メカニカルシールN3を使用し
て、実施例1と同一条件で工業用水によるシール試験を
行った。その結果は表2に示す通りであり、漏れ量及び
カーボン製固定環1の摩耗量は、緻密質の炭化珪素焼結
材製の回転環B2を使用したメカニカルシールN2より
大きく、シール機能が更に低下した。これは、密封端面
における独立気孔が大きく且つ均一に分散配置されてい
ないことから、オイルポット機能を発揮されず、却って
独立気孔の周縁エッジによる砥石作用が生じるためであ
る。
【0058】(比較例4) 比較例4として、回転環3
として比較例1で得た密封環B1を使用した点を除い
て、メカニカルシールM4と同一構成のメカニカルシー
ルN4を組み立てた。そして、実施例4と同一条件で工
業用水によるシール試験及びスラリー液によるシール試
験を行った。その結果、何れの場合にも、密封環B1を
使用した硬質/軟質シールであるメカニカルシールN1
と同様に、浸透漏れが生じ、メカニカルシール機能を発
揮することができなかった。
【0059】(比較例5) 比較例5として、回転環3
として比較例2で得た密封環B2を使用した点を除い
て、メカニカルシールM4と同一構成のメカニカルシー
ルN5を組み立てた。そして、実施例4と同一条件で工
業用水によるシール試験及びスラリー液によるシール試
験を行い、漏れ量(cc/100hr)及び回転環B2
の摩耗量(μm/100hr)を測定した。その結果
は、表2に示す通りであり、固定環1として自己潤滑性
を有するカーボン製のものを使用したメカニカルシール
N2に比して潤滑性に劣り、漏れ量及び摩耗量が増大し
た。すなわち、メカニカルシールN2より潤滑性に優れ
るメカニカルシールM1〜M7に比しては、漏れ量及び
摩耗量を含めたシール機能が大幅に低下する。
【0060】(比較例6) 比較例6として、回転環3
として比較例3で得た密封環B3を使用した点を除い
て、メカニカルシールM4と同一構成のメカニカルシー
ルN6を組み立てた。そして、実施例4と同一条件で工
業用水によるシール試験及びスラリー液によるシール試
験を行い、漏れ量(cc/100hr)及び回転環B3
の摩耗量(μm/100hr)を測定した。その結果
は、表2に示す通りであり、密封端面に独立気孔が存在
しているにも拘わらず、それが冒頭のの条件を具備
しないため、オイルポット機能による潤滑性の向上が期
待できず、両密封環に緻密質の炭化珪素焼結材のものを
使用するメカニカルシールN5と同程度のシール機能を
発揮するに止まる。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明によれば、硬質/硬質シール及び硬質/軟質
シールの何れにおいても、相手密封環との間の潤滑性を
大幅に向上させることができ、シール条件に拘わらず、
耐摩耗性等の耐久性及びシール性に極めて優れたメカニ
カルシールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メカニカルシールの一例を示す縦断側面図であ
る。
【図2】密封環A1の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【図3】密封環A2の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【図4】密封環A3の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【図5】密封環B1の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【図6】密封環B2の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【図7】密封環B3の密封端面を100倍に拡大した顕
微鏡写真を示す気孔分布図である。
【符号の説明】
1…固定環(密封環)、1a…固定環の密封端面、3…
回転環(密封環)、3a…回転環の密封端面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 纓田 清隆 京都府福知山市長田野町2丁目66番地の 3 日本ピラー工業株式会社 福知山事 業所内 (56)参考文献 特開 平2−55273(JP,A) 特開 平9−132479(JP,A) 特開 平8−295576(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/34 C04B 38/00 304

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成すべき予備成形体の構成材料として
    炭化珪素粉末をカーボン源であって硬化反応が完了しな
    いゲル状樹脂層で囲繞してなる球状の硬質造粒材を使用
    してなる炭化珪素焼結材であって、平均気孔径10〜4
    0μmの独立気孔が均一に分散配置されており且つ気孔
    率が3〜10%である炭化珪素焼結材で構成したことを
    特徴とするメカニカルシール用密封環。
  2. 【請求項2】 相対回転摺接する2つの密封環の一方又
    は両方が、焼成すべき予備成形体の構成材料として炭化
    珪素粉末をカーボン源であって硬化反応が完了しないゲ
    ル状樹脂層で囲繞してなる球状の硬質造粒材を使用して
    なる炭化珪素焼結材であって、平均気孔径10〜40μ
    mの独立気孔が均一に配置されており且つ気孔率が3〜
    10%である炭化珪素焼結材で構成されたものであるこ
    とを特徴とするメカニカルシール。
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