JP3517498B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを吐出する
インクジェットヘッドとこのインクジェットヘッドの製
造方法に関し、特に吐出エネルギー発生素子を配した記
録素子基板を複数配列して長尺化を図ることができるイ
ンクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年になり、インクジェットプリント方
式は低騒音での高速記録が可能であることから多く利用
されるようになってきた。中でも、熱エネルギーをイン
クに作用させることにより、インクに状態変化を生起さ
せ、生じた気体の熱膨張による圧力を利用してインクを
吐出させる方式(以下、バブルジェット方式とも称す)
のインクジェットヘッドは、プリント信号に対する応答
性が良く吐出口の高密度化が容易であるなどの利点を有
している。
【0003】また、最近では、プリントされるデータ量
も増大しており、特にグラフィック等もプリントアウト
されるようになると、そのデータ量の多さからより一層
の高速プリントが要求されるようになってきている。
【0004】そして、上述のバブルジェット方式のイン
クジェットヘッドであって、被プリント材の幅にわたっ
て吐出口及び電気熱変換体を長尺に配列させるいわゆる
フルラインタイプのインクジェットヘッド及び該インク
ジェットヘッドを備えるインクジェット装置は上述のプ
リント速度を向上させるものとして大いに期待されてい
る。
【0005】このようなフルラインタイプのインクジェ
ットヘッドとしては、前記電気熱変換体の全数を一枚の
基板(以下、ヒーターボードと称す)にすべて形成する
方法が考えられるが、この方法では、基板上に設けられ
た電気熱変換体のうちひとつでも欠陥が生じた場合にそ
の基板は使えなくなってしまうため歩留が非常に悪くな
る。よって、従来よりフルラインタイプのインクジェッ
トヘッドにおいては、電気熱変換体を複数のヒーターボ
ードに分割して設ける構成が採られている。すなわち、
ノズル数が32〜128となるような比較的電気熱変換
体の数の少ない複数のヒーターボードを、ひとつの支持
体上にノズルの配列密度に合わせて高精度に並べること
によって、たとえ電気熱変換体のひとつに欠陥が生じて
も、その部分のヒーターボードを替えてやるだけで済
み、また、ヒーターボード自体が小さくなることにより
製造しやすくなるため、従来に比べ歩留が格段に向上す
るものである。前述の構成としては、例えば、特開平2
−212162号に記載の構成を挙げることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような構成にする
ことにより上述の長所を享受できる一方で、新たな問題
点も発生している。すなわち、前述の構成では複数のヒ
ーターボードを支持体上に配列するため、その配列精度
が印字品位に大きく影響する。しかしながら、従来、支
持体とヒーターボードもしくは各ヒーターボード同士を
直接接合することによりその配列精度が決定されていた
ため、各構成部材の加工精度を厳密に管理しなくてはな
らず、歩留の向上を妨げる要因となっていた。更に各構
成部材間にごみなどが付着していた場合には、配列精度
が低下し、印字品位に影響を及ぼす場合もあった。そし
て特にヒーターボードとベースプレートとの間にゴミが
付着していた場合には、ヒーターボードが形成するヒー
ター面に段差が生じてしまい、この段差によってヒータ
ーボードと天板との接合面に透き間が生じる。この透き
間は隣接するノズルからのクロストークを招く結果とな
り、印字不良を起こす場合もある。
【0007】
【0008】本発明の目的は、ヒーターボードと天板と
の間に透き間が生じず、クロストークのない安定した印
字が可能なインクジェットヘッドを提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために、インクを吐出するための複数の吐出エ
ネルギー発生素子を備える複数の基板と、前記基板を支
持するための支持部に、凹部と吸着用開口と接着剤塗布
用開口とを具備し、複数の前記基板を配列して支持する
支持体と、を有し、前記支持体に配列して支持される複
数の前記基板の上に当該基板を覆う天板を接合すること
によりインク流路を形成するインクジェットヘッドの製
造方法であって、前記吸着用開口を介した負圧エアによ
り前記基板の裏面から当該基板を当該支持体へ吸着する
とともに前記接着剤塗布用開口へ第1の接着剤を注入し
て前記基板と前記支持体とを接着した後、更に前記凹部
と前記吸引用開口とへ第2の接着剤を注入することで前
記基板と前記支持体とを接合することを特徴とするもの
である。
【0010】また、この場合、第1の接着剤は光硬化型
接着剤であり、吸着用開口を介して基板を支持体へ吸着
しつつ接着剤塗布用開口から当該第1の接着剤を注入
後、第1の接着剤硬化のための光照射を行うこととして
もよい。さらには、支持体は凹部へ連通する注入溝を備
え、該注入溝より前記凹部への第2の接着剤の注入が行
われることとしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明を詳
細に説明する。
【0012】(実施例1)図1はHB配置用の台座を備
えるベースプレートを用いて長尺のインクジェットヘッ
ドを構成した模式図である。
【0013】図1において、100はインクを吐出する
ための熱エネルギーを発生する電気熱変換素子が形成さ
れるヒーターボード(以下、HBとも称す)であり、該
HBは単結晶シリコン、多結晶シリコン、ガラス、金属
あるいはセラミックス等の材料で構成され、前記電気熱
変換素子は薄膜製造技術等により前記HB上に形成され
る。300は該ヒーターボードを支持するベースプレー
トであり、該ベースプレート300は、例えば、ガラス
やアルミナ、サファイア、シリコン、金属といった材料
で構成される。310はベースプレート上に設けられた
HB配置用の支持部材である台座である。該台座は各H
Bをそれぞれ独立に支持するもので本実施例においては
ベースプレートに一体に設けられている。ここで該台座
の各HBに対応する部分を精密に設けることによって、
HBを配置する時の目安としても使用することも可能で
ある。313はこの台座310部分に設けられHBの配
置をより確実に行なうための吸引用開口である。400
はHBと電気的接続され、装置本体からの駆動信号を伝
達するための配線基板であり、HBと同様にベースプレ
ート上に設けられている。該配線基板400とHBはワ
イヤボンディングによって電気的に接続されている。ま
た、配線基板400は装置本体にフレキシブルケーブル
600を介して電気的に接続されており、該フレキシブ
ルケーブル600と前記配線基板400とはコネクタ7
00により接続されている。200はベースプレート上
に配置されたHBに接合して流路を形成する天板であ
り、該天板200はインクを吐出するための吐出口と流
路を形成するための流路溝とを一体に有し、該流路溝と
前記電気熱変換素子が対応するようにHB100上に接
合される。
【0014】この天板200を構成する材料としては、
正確に溝を形成できる樹脂であれば良く、さらには機械
的強度や寸法安定性並びに耐インク性に優れたものであ
ればより望ましい。このような材料としては、エポキシ
樹脂やアクリル樹脂、ジグリコール、ジアルキルカーボ
ネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂等が望ましく、特に成型性や耐液性の観点より
ポリサルフォンやポリエーテルポリサルフォン等の樹脂
が望ましい。
【0015】本発明のインクジェットヘッドは前記台座
により前述のヒーター面の段差の問題を解決するもので
ある。すなわち、前記台座310には凹部311が設け
られており、HB100はこの凹部311を除いた部分
で台座310に支持される。本発明の台座310は該凹
部311の領域だけHB100の接触面積を減少させる
ことができるため、仮にHB100とベースプレート3
00との接合面にゴミが付着していたとしても、図2の
ように大部分のゴミ315が前記凹部311に入り込む
ため、隣接するHBとのヒーター面の段差が生じる確率
を格段に減らすことができる。更に通常HB100と台
座310とは接着剤によって接合されるが、前記凹部3
11に接着剤を設けておけば、接着剤の量をそれほど厳
密に制御しなくてもHBの接合を確実に行なえる。
【0016】更に313はこの台座310部分に設けら
れHB100の配置をより確実に行なうための吸引用開
口である。ベースプレート300下方からこの吸引用開
口313を介して各HB100を吸引し、固定すること
によって接着剤が硬化するまで確実にHB100の配列
精度を保つことができるものである。
【0017】次に、前述の台座を備えるベースプレート
にHBを接合する方法及びインクジェットヘッドの製造
方法について説明する。
【0018】まず、アルミ基板をダイキャスト製法によ
り第1図に示す台座310を一体に備えたベースプレー
ト300を作成する。一方でシリコン基板上に薄膜形成
技術により電気熱変換体を形成したHB100を複数用
意する。次に台座310の各凹部311に接着剤を適量
注入する。このとき、凹部311に入れられた接着剤5
0は、その粘性や表面張力により図3aに示されるよう
に台座の基準面よりも盛り上がった状態となっている。
その後、このような状態であらかじめ接着剤50を滴下
しておいた箇所に前記HB100を配置するとともに吸
引用開口313よりHB100を吸引し所定の箇所に仮
固定する。このとき前述の接着剤50は、図3bのよう
にHB100に付着するとともに、余分な接着剤50が
凹部の空間によけられていく。この状態では、まだ接着
剤50が完全に硬化していないため、前述の吸引を弱め
てやれば、HB100の位置修正が可能である。HB1
00の位置が決定したならば、加熱等により接着剤50
を硬化させHB100を固定する。このような方法によ
り形成されたフルラインタイプのインクジェットヘッド
のヒーター面の段差は、隣接したHBにおいて±1μm
以内の精度が達成できた。各HB100は配線基板40
0に対しワイヤボンディングによって電気的に接続さ
れ、その後、配列されたHB100上にすべてのHB1
00を連続的に被う天板200を接合する。この天板2
00は、吐出口プレートと、インク流路を形成するため
の溝が射出成形によって一体に形成されている。この天
板200が接合されることによって、フルラインタイプ
のインクジェットヘッドが完成する。
【0019】このように作成された本実施例のインクジ
ェットヘッドで実際にプリントを行なったところ、プリ
ント幅全域に渡って良好なプリントが行なえるものであ
った。
【0020】本発明のインクジェットヘッドを備える好
適なインクジェット装置を以下に示す。
【0021】図12は本発明のインクジェットヘッドの
一実施例を搭載したインクジェット装置の一構成例を示
す図である。
【0022】インクジェット装置は図12に示すよう
に、ライン型ヘッド2201a〜2201dを備え、こ
れらライン型ヘッド2201a〜2201dは、ホルダ
ー2202によりX方向に所定の間隔を持って互いに平
行に固定支持されている。各ヘッド2201a〜220
1dの下面にはY方向に沿って、1列に16吐出口/mm
の間隔で3456個の吐出口が下向きに設けられてお
り。これにより218mm幅の記録が可能となってい
る。
【0023】これらのヘッド2201a〜2201dは
熱エネルギーを用いて記録液を吐出する方式のものであ
り、ヘッドドライバー2220によって吐出制御されて
いる。
【0024】なお、前記ヘッド2201a〜2201d
及びホルダー202を含めてヘッドユニットが構成さ
れ、このヘッドユニットはヘッド移動手段224によ
り、上下方向に移動可能になっている。
【0025】また、ヘッド2201a〜2201dの下
部には、ヘッドキャップ2203a〜2203dが各ヘ
ッド2201a〜2201dにそれぞれ対応するととも
に隣接して配置されている。各ヘッドキャップ2203
a〜2203dは内部にスポンジ等のインク吸収部材を
有する。
【0026】なお、キャップ2203a〜2203dは
不図示のホルダーにより固定されており、そのホルダー
及びキャップ2203a〜2203dを含んでキャップ
ユニットが構成され。このキャップユニットはキャップ
移動手段2225によりX方向に移動可能になってい
る。
【0027】前記ヘッド2201a〜2201dにはそ
れぞれ、インクタンク2204a〜2204dからイン
ク供給チューブ2205a〜2205dを通じてシア
ン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色のインクが供
給され、カラー記録を可能としている。
【0028】また、このインク供給はヘッド吐出口の毛
細管現象を利用しており、各インクタンク2204a〜
2204dの液面は吐出口位置より一定距離だけ低く設
定されている。また、この装置は、被記録材である記録
紙227を搬送するための帯電可能なシームレスベルト
2206を有する。
【0029】該ベルト2206は、駆動ローラ220
7、アイドルローラ2209、2209a及びテンショ
ンローラ2210により所定の経路に引き回されてお
り、前記駆動ローラ2207に接続され、且つ、モータ
ドライバー2221により駆動されるベルト駆動モータ
ー2208により、走行させることが可能となってい
る。
【0030】また、該ベルト2206はヘッド2201
a〜2201dの吐出口の直下においてX方向に走行
し、ここでは固定支持部材2226により、下側へのぶ
れを抑制されている。
【0031】符号2217はベルト2206の表面に付
着している紙粉などを除去するクリーニングユニットを
指し示している。
【0032】符号2212は、前記ベルト2206を帯
電させる帯電器を指し示しており、この帯電器2212
は帯電器ドライバー2222によりON、OFFされ、
この帯電による静電的吸着力により、記録紙をベルト2
206に吸着する。
【0033】帯電器2212の前後には前記アイドルロ
ーラ2209、2209aと協動して搬送記録紙222
7をベルト2206に押しつけるためのピンチローラ2
211、2211aが配置されている。
【0034】符号2232は給紙カセットを指し示して
おり、このカセット2232内の記録紙2227はモー
タドライバー2223により駆動される給紙ローラ22
16の回転により一枚ずつ送り出され、同ドライバー2
223により駆動される搬送ローラ2214及びピンチ
ローラ2215によりX方向に山形ガイド2213へと
搬送される。また、このガイド2213は記録紙のたわ
みを許容する山形のスペースを有する。
【0035】符号2218は記録の終了した記録紙が排
出される配紙トレイを指し示している。
【0036】前記ヘッドドライバー2220、ヘッド移
動手段2224、キャップ移動手段2225、モータド
ライバー2221、2223、及び帯電器ドライバー2
222はすべて制御回路2219により制御される。
【0037】(実施例2)図4は本発明の第2実施例を
示すインクジェットヘッドの模式的斜視図である。図5
は本実施例のベースプレートを示す模式図、図6は、図
5の台座部分の拡大図である。
【0038】本発明の第2実施例をインクジェットヘッ
ドの製造工程とともに説明する。
【0039】図7は本実施例におけるインクジェットヘ
ッドヘッドの製造工程を示す説明図である。本実施例に
おいては11個のヒーターボード(HB)に対して1個
の溝付き天板を用いた長尺マルチヘッドの製造方法につ
いて述べる。
【0040】まず、アルミ基板をダイキャスト成型する
ことにより、HBを支持するためのHB支持部やPCB
位置決め用の突起部を有するベースプレートを作成す
る。該支持部には接着剤注入用の凹部とHBを仮固定す
るための用いられる吸引用の開口が設けられている。図
5はダイキャスト成型されたベースプレートを示す模式
図であり、図6は図5の台座部分の拡大図である。図
5、6において、310はHB支持部、311は該HB
支持部に設けられる凹部、312は該凹部311に連絡
する接着剤注入溝、313は吸引用開口、314はPC
Bの位置決め用突起部、315は接着剤注入溝312と
凹部311とを連絡するくぼみである。
【0041】このようなベースプレートの斜線部分及び
支持部の表面を研磨する。これにより、支持部の平面度
が増し、HBを配列する際の段差の確率を減らすことが
できる。またベースプレートの両端部分は装置への位置
決め部分であり、装置への組み立て精度を向上させるこ
とができる。
【0042】ベースプレートを作成する一方で、シリコ
ン基板上に薄膜形成技術により電気熱変換素子したヒー
ターボード(HB)を複数用意しておく。
【0043】次に用意された複数のHBを前述したベー
スプレートのHB支持部に位置決め工具等を使用して高
精度に配列位置決めを行なう。ここで、位置決めされた
HBはBP下部に設置されたバキューム工具によって前
述の吸引用開口より吸引され仮固定される。このように
各HBを順にベースプレート上に配置していく。(工程
a)
【0044】次にベースプレートの接着剤注入溝より接
着剤を流し込む。このとき注入された接着剤は、接着剤
注入溝と各凹部とを連絡するくぼみに入り込み、このく
ぼみより各凹部に毛細管現象によって入り込んで行く。
この様に接着剤注入溝と各凹部とを連絡する箇所にくぼ
みを設けることによって、該くぼみに接着剤が溜まり、
各凹部に接着剤がスムーズに流れ込んでいくものであ
る。その後接着剤を放置乾燥させHBを完全に固定した
後、前記バキューム工具の吸引を停止する。更にHBを
強力に固定したい場合には前述の吸引用開口より接着剤
を注入して固定しても良い。(工程b)
【0045】HBの配置、固定が完了した後、HBの吐
出口側端の段差をなくすためにベースプレート及びHB
を研削加工する。これは、後述する天板がHBの吐出口
側端につき当てられて接合されるため、この部分に段差
が生じているとクロストークを起こしてしまうためであ
る。(工程c)
【0046】次にPCB(配線基板)をベースプレート
に前述の位置決め用突起部により位置決めされた状態で
接着する。これによりPCBに設けられた電極パッド
とHBに設けられた電極パッドとが個々に対応する所定
の位置関係となる。そして、PCBに設けられた電極パ
ッドとHBに設けられた電極パッドとをワイヤボンディ
ングすることによりHBとPCBとを電気的に接続す
る。この時にワイヤボンディングの導通チェックも行な
う。(工程d)
【0047】次に天板をBP上のHBに密着させる役目
を果たす圧接ユニットの取り付けを行なう。この圧接ユ
ニットはヒーターボードを押圧する板バネ部材と該板バ
ネ部材を固定支持するバネ固定部材とからなり、板バネ
部材には長手方向に複数の切り欠き部を有し、複数の押
圧部に分割されている。またそれぞれの押圧部には貫通
口を有し、この貫通口に治具を差し込み、各押圧部の付
勢力の規制、解除を行なう。
【0048】この圧接ユニットをBPに固定する場合
は、圧接ユニットの固定部材をPCBを介してBPに接
合し、ねじや熱カシメ等によって固定することができ
る。(工程e)
【0049】天板をヒーターボード上に接合するため
に、各押圧部の付勢力を治具によって規制する。(工程
f)
【0050】このようにしてヒーターボード上に十分な
スペースを確保した後、インク流路と吐出エネルギー発
生素子とが対応するように位置合わせを行ない、天板を
HB上に接合する。(工程g)
【0051】そして前述の押圧部の付勢力を解放するこ
とにより天板の固定を行なう。このとき押圧部の付勢力
の解放(押圧部での固定)は中央の押圧部から両端に向
かって順に行なっていく。このように付勢力を解放する
ことにより、天板の反りを強制することができ、たわみ
が外側に逃げるのでHB全体にわたって良好な接合状態
が確保できる。押圧部の付勢力の解放後は治具はヘッド
本体からすべて取りはずされる。(工程h)
【0052】次に、天板の両端にインク供給管が接合す
る位置でインク供給ユニットがベースプレートに熱溶着
等により固定される。このインク供給ユニットにより天
板内にインクが供給される。インクの供給方向は両方向
から供給しても構わないし、また、いずれか一方より循
環させるように供給しても構わない。また、インク供給
ユニットのコネクタ部には気泡をトラップするためのフ
ィルタが設けられている。(工程i)
【0053】最後に、ベースプレート上を覆うようにヘ
ッドカバーが取りつけられ、ヘッドカバーの前記押圧部
に対応する箇所に設けられた窓部より天板接合部及びワ
イヤボンディング部に封止剤を注入しインクジェットヘ
ッドが完成する。(工程j、k)
【0054】なお、本実施例において接着剤注入部はベ
ースプレートのHB配置側に溝として設けたが、図8の
ように、ベースプレートを貫通する貫通口として設けて
も構わない。
【0055】本実施例のインクジェットヘッドにおいて
も、実施例1と同様プリント幅全域に渡って良好なプリ
ントが行なえるものであった。
【0056】(実施例3)図9は本願発明のインクジェ
ットヘッドの第3の実施例を示す模式的分解図である。
【0057】図9では、HB配置用の支持部材である台
座3をベースプレート2とを別部材とした構成となって
いる。このように台座3とベースプレート2を別部材と
することにより、台座基準面の加工精度がより出せる材
質を台座に用いることができ、それぞれに適した材料及
び加工法を用いることができる。更にベースプレートの
加工精度が多少悪くても配列されたヒーターボードにお
けるヒーター面の段差の精度に影響を与えることがない
ため、ベースプレートの加工にかかる費用が削減でき、
ヘッドのコストダウンを図ることができる。
【0058】台座をベースプレートとした場合のインク
ジェットヘッドの製造方法としては、台座となる部材を
HB配列機に設置し、各HBを台座上に接着した後、こ
の台座3をベースプレート2上に固定する。このように
HBを台座に先に取りつけることにより、ベースプレー
トに貫通口を設ける必要がなくなる。台座3とベースプ
レート2の接合は、接着剤を用いても機械的な手段を用
いても、台座上に配列されたHBの精度が狂わなければ
どんな手段を用いても良い。その後は実施例1または2
と同様にインクジェットへッドを作成することができ
る。
【0059】実施例について、以下に説明する。
【0060】図16は本実施例の第1の接着剤の接着方
法を具現化した装置の平面図(a)、正面図(b)であ
る。
【0061】図16において、1102はヒーターボー
ド/ベースプレート支持部であり、このヒーターボード
/ベースプレート支持部1102上にはベースプレート
1101にヒータボード1100を位置決めするために
用いられる吸着部1209がボルトによって保持固定さ
れている。そして、ベースプレート1101はヒーター
ボード/ベースプレート支持部1102にヒータボード
1100取り付け基準面が重力方向下向きとなるように
保持固定される。従って、ヒータボード1100はベー
スプレートの下側より接合されることになる。
【0062】吸着部1209には一対のエア導入部12
10が複数接続されており、フィンガーによって搬送さ
れてきたヒーターボードを真空発生器(不図示)によっ
て作られた吸着エアーによってベースプレートに鉛直方
向、下面より吸着できるようになっている。そして、吸
着部1209には、光硬化型接着剤を塗布するため及び
光硬化させるための光を通過させるために用いられる開
口1213が複数個設けられている。前記開口1213
は単なる丸穴形状でも良いが、光硬化時に少しでも光量
が多く取れるように長穴形状となっている。
【0063】ここでヒータボード1100の取り付け基
準面が重力方向下向きとなるようにベースプレート11
01を支持部に設置する理由としては、ベースプレート
とヒーターボードとを固定するための接着剤をディスペ
ンサーによって塗布する場合、接着剤の吐出方向を重力
方向とすることにより接着剤をディスペンサーから吐出
しやすくすることとベースプレートに設けられた接着剤
注入用開口1213の中で接着剤を充分に広がりやすく
することによる。
【0064】本実施例のベースプレートの詳細を説明す
るために図17、23を用いて説明する。
【0065】図23はベースプレートのヒーターボード
取り付け基準面側の拡大模式図である。また、図17は
ベースプレートのヒーターボード取付部近傍の断面図で
ある。
【0066】ベースプレート1101には図23のよう
にヒーターボード取り付け基準面側前部(吐出口側)に
一対のヒーターボード吸着用開口1201(1201
a,1201b)と第1の接着剤塗布用開口1200が
開けられており、前記ヒーターボード吸着用開口120
1と第1の接着剤塗布用開口1200はベースプレート
に取りつけられるヒーターボードの数だけ開けられてい
る。更にベースプレートのヒーターボード吸着用開口1
201はヒーターボードの吸着力を向上するためにヒー
ターボード取り付け基準面に設けられた吸着溝(121
4a,1214b)に連通しており、吸着面積を増やす
ようにしている。実施例では一対のヒーターボード吸着
用開口1201が対称位置で設けられているが、これは
第2の接着剤硬化時のヒーターボードの移動をなくし、
接着状態を高めるためであり、精度が多少ラフで良い場
合は1か所でも構わない。
【0067】ここで、第1の接着剤塗布用開口1200
はヒーターボードの重心近くに設けられている。これ
は、第1の接着剤はあくまでもヒーターボードの仮止め
用であり、第1の接着剤だけでは十分な接着強度を確保
できないため、少なくとも第2の接着剤塗布工程までヒ
ーターボードが固定されるだけの接着強度を有する程度
のできるだけ小さな開口径とするためであり、最低限の
接着強度でヒーターボードを固定するために固定箇所と
なる第1の接着剤塗布用開口1200はヒーターボード
の重心近くに設けられている。そして、ヒーターボード
吸着基準面(取り付け基準面)はヒーターボードを吸着
したときリークにより吸着力が低下することと塗布した
接着剤が吸着用開口に吸い込まれることを防ぐため研磨
等の方法で平滑に仕上げられている。
【0068】また、ヒーターボード取り付け基準面後部
のヒーターボード取り付け基準面には第2の接着剤充填
溝218が形成され、その一部に第2の接着剤注入溝1
217a,1217bが設けられている。
【0069】次にヒーターボードをベースプレートに吸
着する部分について図18を用いて説明する。
【0070】図18はヒーターボード/ベースプレート
支持部1102に固定されたベースプレート1101に
ヒータボード1100をフィンガーによって置くところ
を示した図である。
【0071】また、フィンガー1302はヒーターボー
ドを吸着によって保持する構成を採っている。このよう
にヒーターボードのヒーター形成面を吸着により保持す
ることにより、フィンガーがヒーターボード取り付け時
に他の配列済のヒーターボードに接触する虞がなくな
り、歩留を向上することができる。また、ベースプレー
トとの吸着エアー供給接続部はゴムパッド1005を用
いておりリークなき構成としてある。
【0072】次にヒーターボードをベースプレートに配
列接合する時の動作を図13〜15を用いて説明する。
【0073】まず、図13においてヒータボード110
0はヒーターボード供給部(不図示)からヒーターボー
ド把持部1106に供給され、ヒータボード1100が
ヒーターボード把持部1106に保持された状態でヒー
ターボード位置測定部1104まで移送される。そし
て、ヒーターボード位置測定部1104においてヒータ
ーボード把持部1106を支持するヒーターボード位置
姿勢移動部1105はヒータボード1100を所定の位
置姿勢となるように移動させる。
【0074】一方、ベースプレート1101はヒーター
ボード/ベースプレート支持部1102にベースプレー
ト供給部(不図示)から供給され、負圧エア導入部12
11によってエア吸着される。ベースプレート1101
を吸着した状態のヒーターボード/ベースプレート支持
部1102はベースプレート位置決め搬送部1103に
移動され、この時ベースプレート1101は水平方向に
は突き当て部1203、1204に突き当てられ、突き
当て基準1206、1212により固定され、鉛直方向
にはベースプレート1101の鉛直方向突き当て基準1
202がヒーターボード/ベースプレート支持部に突き
当たるように高さ方向ベースプレート位置決め固定部1
205によって突き上げられ固定される。これにより、
ベースプレート1101はベースプレート位置決め搬送
部1103が持つ突き当て基準につき当てられて位置決
めクランプされ、複数のヒーターボード/ベースプレー
ト支持部の位置精度によらずに位置決めできる。従っ
て、ヒーターボード位置姿勢移動部1105によって位
置決め配列位置に姿勢移動されたヒータボード1100
は唯一の位置決め基準をもつベースプレート位置決め搬
送部1103の突き当て基準に対して調整されれば良い
ことになる。
【0075】又、ヒーターボード/ベースプレート支持
部1102を乗せたベースプレート位置決め搬送部11
03は、予め設定された第1のヒーターボードを乗せる
べき配列方向位置に移動される。この状態で、ヒータボ
ード1100を把持し姿勢位置を配列目標に位置だしし
たヒーターボード位置姿勢移動部1105は、ベースプ
レート1101にヒータボード1100を着地させる。
このとき、ヒータボード1100の着地検知と着地した
時の鉛直方向位置の測定を行う。
【0076】図15は、ヒーターボード位置姿勢移動部
1105のヒータボード1100をベースプレート11
01に着地させる部分を示す模式図である。
【0077】図15において、1302はヒータボード
1100を把持するフィンガ、1303はフィンガ13
02をヒータボード1100とベースプレート1101
の接触によって回転方向に回転させるべく回転軸で結合
している支持柱、1304はヒータボード1100とベ
ースプレート1101の接触によって回転するフィンガ
1302を検知する接触検知センサである。そして、フ
ィンガ1302、支持柱1303及び接触検知センサ1
304は、鉛直方向(ヒーターボード/ベースプレート
接触方向)にヒータボード1100を移動させる移動部
1301に搭載されており、これらはヒータボード11
00を水平方向に位置姿勢を移動させる移動部(不図
示)に固定された鉛直方向駆動部1300によって鉛直
方向に移動される。
【0078】次にヒータボード1100のベースプレー
ト1101への接合動作を説明する。
【0079】ヒーターボード位置姿勢移動部1105に
よって所定の位置姿勢に移動されたヒータボード110
0は、鉛直方向においてベースプレート1101に接触
しない位置に予め配置しておく。姿勢位置が決まったら
鉛直方向にヒータボード1100を鉛直方向駆動部13
00によって移動させる。ヒータボード1100とベー
スプレート1101が接触するとフィンガ1302は支
持柱1303を中心として回転し接触検知センサ130
4によって着地したことが検知される。又、この時の鉛
直方向移動位置を記憶しておき、次のヒータボード11
00を着地させた時と比較し所定以上の差がある場合は
不良と判別する。ベースプレート1101に着地された
ヒータボード1100はベースプレートのヒーターボー
ド吸着用開口1201、ヒーターボード/ベースプレー
ト支持部1102の吸着部1209及び外部負圧エア導
入部1210の第1ヒーターボード吸着を担当する部分
を通して外部からの負圧エアによりベースプレート11
01にヒータボード1100は支持される。
【0080】また、支持後、接着剤充填部であるディス
ペンサー1107からヒーターボード/ベースプレート
支持部1102の接着剤充填穴213、ベースプレート
1101の接着剤塗布用開口1200を通して接着剤を
充填し、ヒータボード1100とベースプレート110
1を接合する為の準備をする。
【0081】図19は、接着剤充填の様子を示す図であ
り、図19において、1107aは接着剤の入ったシリ
ンジ、1107bはディスペンサー1107の先端に取
りつけられたニードルである。ディスペンサー1107
のニードルは吸着部1209に設けられた接着剤充填穴
1213及びベースプレート1101の接着剤塗布用開
口1200に挿入され、開口の中央付近でかつニードル
先端がヒーターボードより0.5mm程度の距離のとこ
ろで第1の接着剤を吐出することにより第1の接着剤が
充填される。
【0082】次に、第2のヒータボード1100を配列
接合させる為にヒーターボード供給部(図示せず)から
ヒータボード1100をヒーターボード支持部1106
が受け取り、ベースプレート位置決め搬送部1103は
第2のヒータボード1100を配列接合させる為の位置
に第1のヒータボード1100をベースプレート110
1に負圧エアによって支持した状態のまま移動し、第2
のヒーターボードの配列、支持を第1のヒーターボード
と同様に行う。このようにひとつのベースプレートに対
し所定のヒーターボードの数だけ、ヒーターボードの吸
着、接着剤充填を繰り返す。
【0083】所定の数のヒーターボードの配列、吸着、
接着剤充填が済んだベースプレートは、ヒーターボード
/ベースプレート支持部1102毎ベースプレート位置
決め搬送部1103によって排出位置まで搬送され、搬
送部(不図示)によって接着剤硬化の為の光照射を行
う。
【0084】この光照射について図20、21を用いて
説明する。ディスペンサー1107の退避後、光硬化型
接着剤には、光照射装置を開口1213上にセットし紫
外線1227を照射する。図20のようにファイバー径
が太い場合、吸着部1209によってけられる光線12
27aも出てくるため最高の照度が得られるようにファ
イバー1226を保持する部分には微調整機構がついて
いる。また、図21のようにファイバー径が細ければ吸
着部1209の開口1213内にファイバー1228を
挿入しても構わない。この時ファイバー1228を上下
しても良いし、ベースプレート側を上下しても良い。
【0085】このように接着剤硬化によって、ヒーター
ボードとベースプレートの仮接着が為される。(図2
2)仮接着によって、ヒーターボードとベースプレート
が固定されると負圧によるヒーターボードとベースプレ
ートの支持は解かれ、ベースプレートはヒーターボード
/ベースプレート支持部からはずされ、本接着の為の本
接着剤充填部(図示せず)に送られ、第2の接着剤の充
填、硬化が行われる。
【0086】ここで、ヒーターボード/ベースプレート
支持部を複数持つことにより、ヒーターボードがベース
プレートに対して配列、吸着、仮接着剤充填されている
最中に、他のヒーターボード/ベースプレート支持部は
仮接着剤の光硬化、ヒーターボード/ベースプレート支
持部1102からの仮接着が終わったベースプレートの
排出、次の配列に備える為の新しいベースプレートのベ
ースプレート供給部からの供給が行われる。
【0087】尚、本実施例においては、仮接着剤の硬化
工程を全ての仮接着剤充填が終了したあと、別位置に置
かれた光硬化処理部に送られるようになっているが、硬
化条件、必要処理時間によっては第1のヒーターボード
が配列吸着、仮接着充填されたあと、第2のヒーターボ
ードを配列している最中に第1のヒーターボードの光硬
化を行うというように配列吸着工程、接着剤充填工程お
よび光硬化硬化工程をベースプレート位置決め搬送部よ
りベースプレートをはずさずに行うことも可能で有る。
【0088】次に、第2の接着剤の充填、硬化について
説明する。
【0089】図24は第2の接着剤を塗布するために第
2のヒーターボード/ベースプレート支持部1220に
固定されたベースプレートと第2の接着剤の塗布を示
す。
【0090】まず、ベースプレート1101を反転さ
せ、ヒータボード1100を上にして第2のヒーターボ
ード/ベースプレート支持部220に設けられた基準位
置に保持する。保持方法はボルトで固定しても良いしフ
ィンガー等でクランプしても良い。
【0091】第2のヒーターボード/ベースプレート支
持部1220は、第2の接着剤がベースプレートとヒー
ターボードとの間に形成された第2の接着剤充填溝12
18に入りやすくするために任意の角度θが設けてあ
る。即ち、ベースプレート1101を所望の角度に傾斜
させることにより、第2の接着剤は重力によって接着剤
注入溝1218近傍での表面張力を破って接着剤充填溝
にまで流れ込んで行くものである。この角度θは大きく
なる(90°に近くなる)と第2のディスペンサー12
21とベースプレートが干渉し、小さくなる(0°に近
くなる)と第2の接着剤が表面張力を破りにくくなるた
め30°〜60°程度が好ましい。
【0092】ここで第2の接着剤(自然硬化型もしくは
熱硬化型)を第2のディスペンサー1221によってベ
ースプレートに設けられた注入溝1217a,1217
bに塗布する。前記注入溝に塗布された第2の接着剤は
重力の作用でベースプレートとヒーターボードの間に設
けられた第2の接着剤充填溝1218に流れ込んでゆ
く。更に前記第2の接着剤充填溝1218の高さは微小
であるため毛細管現象も流れ込みやすくする手段となっ
ている。
【0093】第2の接着剤は塗布後約10秒ほどで第2
の接着剤充填溝1218に呼び込まれ、後は毛細管現象
で流れ込んでゆくため、ベースプレートを水平にしても
良い。第2のヒーターボード/ベースプレート支持部1
220からはずして自然硬化させる。更に、ヒーターボ
ード吸着用開口1201にも第2の接着剤を注入するこ
とによってヒーターボードの接合をより確実なものとす
る。
【0094】以上の工程を経てヒーターボードの配列、
接合が完了する。
【0095】尚、本実施例の説明では、第1、第2の接
着プロセスに別々のヒーターボード/ベースプレート支
持部220を用いているように説明してきたが、ヒータ
ーボード/ベースプレート支持部220を例えばNC等
で駆動させ、第1のプロセス終了後、水平に戻すという
動作をさせれば、全工程を自動化できることは自明であ
る。
【0096】なお、今まで説明してきたインクジェット
装置で、搭載されるインクジェットヘッドの種類ないし
個数について単色のインク1個のみで説明したが、プリ
ント色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個
設けられるものであってもよい。すなわち、複数色のイ
ンクに対応した複数個のインクジェットヘッドが搭載さ
れたカラーインクジェット装置に対しても本発明のイン
クジェットヘッドを使用することは当然である。更に加
えて、以上説明した本発明の実施例においては、インク
を液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化す
るインクであって、室温以上で軟化もしくは液化するも
のをを用いてもよく、あるいはインクジェット方式では
インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整
を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度
制御するものが一般的であるから、使用プリント信号付
与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加え
て、放置状態で固化し、加熱によって液化するインクを
用いてもよい。
【0097】また、本発明においては特に長尺のインク
ジェットヘッドの要求の高い捺染装置及び捺染装置と前
処理装置、後処理装置を組み込んだ捺染システムにおい
てもプリントむらのない長尺インクジェットヘッドを提
供することができ、高精細高画質のプリントが可能な捺
染装置及びシステムを提供することができる。
【0098】また、このインクジェットヘッドを用いる
ことによって、画像の乱れにないファクシミリや複写
機、プリンター等のプリント装置を得ることができる。
【0099】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、予め基板を負圧エアにより支持体へ吸着した状態で
第1の接着剤による仮接着を行うため、接着剤が硬化す
るまで支持体を冶具上に載置しておく必要が無くなり、
製造時間が大幅に短縮することができる。また、仮接着
の際に用いた吸着用開口を本接着のための第2の接着剤
の注入口としても利用することで、基板と支持体との接
合をより確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HB配置用の台座を備えるベースプレートを用
いて長尺のインクジェットヘッドを構成した模式図であ
る。
【図2】ゴミの付着によるヒーターボードの段差発生の
説明図である。
【図3】台座の溝に余分な接着剤が入ることの説明図で
ある。
【図4】本願発明のインクジェットヘッドの第2の実施
例を示す模式的分解図である。
【図5】図5は本願発明の第2実施例のベースプレート
を示す模式図である。
【図6】図6は、図5の台座部分の拡大図である。
【図7】本願発明の第2実施例におけるインクジェット
ヘッドヘッドの製造工程を示す説明図である。
【図8】図5の接着剤注入部をベースプレートを貫通す
る貫通口として設けたインクジェットヘッドの模式図で
ある。
【図9】本願発明のインクジェットヘッドの第3の実施
例を示す模式的分解図である。
【図10】ヒーターボードをベースプレート上に配置す
る際の従来の位置決め方法の一例を示す図である。
【図11】ヒーターボードをベースプレート上に配置す
る際の本発明の位置決め方法の一例を示す図である。
【図12】本発明のインクジェットヘッドの一実施例を
搭載したインクジェット装置の一構成例を示す図であ
る。
【図13】実施例4に係るインクジェットヘッドのヒー
ターボードをベースプレートに説する為の装置を示す模
式図である。
【図14】図13の主要部分を示す模式図である。
【図15】図13のヒーターボード位置姿勢移動部の詳
細を示す模式図である。
【図16】図13の装置のベースプレート近傍の断面図
及び平面図である。
【図17】実施例4のベースプレートの断面図である。
【図18】図17のベースプレートにヒーターボードを
配列する様子を説明する為の説明図である。
【図19】図17のベースプレートの開口部に接着剤を
充填する様子を説明する為の説明図である。
【図20】図19の接着剤を硬化する為の光照射につい
て説明する為の説明図である。
【図21】図19の接着剤を硬化する為の光照射につい
て説明する為の説明図である。
【図22】図17のベースプレートにヒーターボードが
仮固定されている状態を示す模式図である。
【図23】実施例4のベースプレートのヒーターボード
取り付け基準面を示す拡大斜視図である。
【図24】第2の接着剤を塗布する様子を説明する為の
説明図である。
【符号の説明】
100、1100 ヒーターボード 103 コネクタ 200 天板 300、1101 ベースプレート 310 台座 311 凹部 312 接着剤注入溝 313 吸引用開口 314 PCB位置決め用突起 315 くぼみ 400 PCB 1200 第1の接着剤塗布用開口 1201 ヒーターボード吸着用開口 1214 吸着溝 1217 第2の接着剤注入溝 1218 第2の接着剤充填溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 但馬 裕基 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小泉 寛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 刈田 誠一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 沢田 康宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 春山 弘司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−124190(JP,A) 特開 平3−177042(JP,A) 特開 平4−230068(JP,A) 特開 平5−84622(JP,A) 特開 昭60−183157(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/16 B41J 2/05

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するための複数の吐出エネ
    ルギー発生素子を備える複数の基板と、 前記基板を支持するための支持部に、凹部と吸着用開口
    と接着剤塗布用開口とを具備し、複数の前記基板を配列
    して支持する支持体と、 を有し、前記支持体に配列して支持される複数の前記基
    板の上に当該基板を覆う天板を接合することによりイン
    ク流路を形成するインクジェットヘッドの製造方法であ
    って、 前記吸着用開口を介した負圧エアにより前記基板の裏面
    から当該基板を当該支持体へ吸着するとともに前記接着
    剤塗布用開口へ第1の接着剤を注入して前記基板と前記
    支持体とを接着した後、更に前記凹部と前記吸引用開口
    とへ第2の接着剤を注入することで前記基板と前記支持
    体とを接合することを特徴とするインクジェットヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 第1の接着剤は光硬化型接着剤であり、
    吸着用開口を介して基板を支持体へ吸着しつつ接着剤塗
    布用開口から当該第1の接着剤を注入後、第1の接着剤
    硬化のための光照射を行うことを特徴とする請求項1に
    記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体は凹部へ連通する注入溝を備え、
    該注入溝より前記凹部への第2の接着剤の注入が行われ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジ
    ェットヘッドの製造方法。
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