JP3517064B2 - 酸素センサの安定化方法 - Google Patents

酸素センサの安定化方法

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JP3517064B2
JP3517064B2 JP28025996A JP28025996A JP3517064B2 JP 3517064 B2 JP3517064 B2 JP 3517064B2 JP 28025996 A JP28025996 A JP 28025996A JP 28025996 A JP28025996 A JP 28025996A JP 3517064 B2 JP3517064 B2 JP 3517064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素センサの検出
素子を特定の雰囲気下、熱処理することにより、その使
用初期から耐久後における性能を安定化する酸素センサ
の安定化方法に関する。本発明の方法によって安定化し
た酸素センサは、使用開始時、短時間で安定し、応答が
速く、低温において動作し、且つ使用初期から耐久後ま
での性能変化が少ない或いは性能変化がほとんどない。
【0002】
【従来の技術】ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体
電解質を隔壁とし、白金等の貴金属からなる検出電極と
基準電極とを設け、酸素濃淡電池の原理によって酸素濃
度を測定する酸素センサが実用化されている。この酸素
センサは自動車等の内燃機関、又はガス燃焼装置などの
排気ガス中に含まれる酸素の濃度を検出し、内燃機関等
の燃焼状態を把握してその空燃比を制御する用途等に使
用されている。
【0003】しかし、上記の酸素センサでは、その検出
電極の表面の酸素の吸着状態等が変化し易く、この酸素
センサを実装した場合に、使用の初期において酸素を検
出する精度が低下するなど性能が大きく変化するという
不具合がある。これを抑えるため、通常、酸素センサは
使用前に高温の大気、不活性ガス又は排気ガス等に晒さ
れ、初期特性が安定化された後、実用に供されている。
また、使用前の酸素センサを、リーンな雰囲気とリッチ
な雰囲気とに交互に晒すことにより、初期特性を安定化
する方法も提案されている。
【0004】更に、特公平1−55406号公報には、
白金電極に鉛又は硫黄を含む物質を接触させつつ加熱
し、化合物を形成した後、再度加熱してこの化合物を分
解することにより、電極を活性化する方法が開示されて
いる。しかし、これら従来の方法では酸素センサの特性
は十分に安定化されず、初期のエンジン制御点をずらす
等によってその変化を補償するという方法が採られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、実装した場合に、短時間で安定
し、応答が速く、低温において作動し、正確に酸素濃度
を検出し、且つ使用初期から耐久後までの性能変化が少
ない或いはほとんどない酸素センサを得るための安定化
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明の酸素センサの
安定化方法は、酸素センサの特性を安定化する方法であ
って、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に
検出電極が設けられ、他面に基準電極が設けられている
酸素センサの検出素子の少なくとも上記検出電極を、大
気雰囲気下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、
その後、水分を2〜60体積%含む非酸化性雰囲気下、
150〜400℃の温度で熱処理することを特徴とす
る。
【0007】また、第2発明の酸素センサの安定化方法
は、酸素センサの特性を安定化する方法であって、酸素
イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に検出電極が
設けられ、他面に基準電極が設けられている酸素センサ
の検出素子の少なくとも上記検出電極を、大気雰囲気
下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、その後、
水素を含む雰囲気下、400〜900℃の温度で熱処理
し、次いで、水分を2〜60体積%含む非酸化性雰囲気
下、150〜400℃の温度で熱処理することを特徴と
する。
【0008】更に、第3発明の酸素センサの安定化方法
は、酸素センサの特性を安定化する方法であって、酸素
イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に検出電極が
設けられ、他面に基準電極が設けられている酸素センサ
の検出素子の少なくとも上記検出電極を、大気雰囲気
下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、その後、
水素を含む雰囲気下、400〜900℃の温度で熱処理
し、次いで、実質的に酸素を含まず、且つ水素の含有率
が1体積%以下若しくは水素を含有しない雰囲気下、4
00〜800℃の温度で熱処理し、その後、水分を2〜
60体積%含む非酸化性雰囲気下、150〜400℃の
温度で熱処理することを特徴とする。
【0009】酸素センサにおいて使用初期から耐久後ま
での性能の「安定化」は重要である。この安定化が不十
分であると、応答が遅く、使用初期から耐久後における
性能変化の大きい酸素センサとなってしまう。また、一
般には、エンジンが供給空気量の多い、所謂リーンな領
域で制御される状態となって、排ガス中に多くの有害物
質が含まれることになる。本発明では、第1〜3発明の
大気雰囲気における熱処理によって、検出電極の主成分
である白金等の結晶粒子を成長させる。また、水分を含
む非酸化性雰囲気における熱処理によって、白金等の触
媒活性の向上を図り、安定化を促進する。更に、これに
第2〜3発明の水素雰囲気における検出電極の還元、及
び第3発明の実質的に酸素を含まない雰囲気における熱
処理による検出電極中の水素の除去を組み合わせること
によって、安定化の効果をより高めることができる。
【0010】上記「酸素イオン伝導性を有する固体電解
質体」(以下、固体電解質体という。)としては、各種
のセラミックス、特にジルコニアを主成分とするセラミ
ックスが好適である。この固体電解質体は、例えば酸化
ジルコニウム等の原料粉末と、酸化イットリウム、酸化
珪素、酸化マグネシウム等の焼結助剤の粉末とを混合
し、造粒した後、所定形状に成形し、必要に応じて仮焼
し、その後、焼成することにより検出素子本体とするこ
とができる。
【0011】検出素子本体の形状は、通常、有底円筒状
又は板状であり、上記混合、造粒によって得られる原料
を使用して、ラバープレス法等の加圧成形法、厚膜法等
の積層法などの方法によって成形される。その後、必要
であれば焼成温度よりも低い温度で仮焼し、次いで、通
常の方法によって焼成することにより検出素子本体が形
成される。この焼成に先立ち又は焼成の後、所定の位置
に、排気ガス等の被検ガスに晒される検出電極及び大気
等所定の酸素濃度の基準ガスに晒される基準電極が設け
られ、上記「検出素子」が形成される。
【0012】上記「検出電極」及び上記「基準電極」
は、前記の触媒作用を有する元素である貴金属元素、例
えば白金、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジ
ウム、パラジウム等からなるか、これら貴金属元素を主
成分とする導電性材料からなる薄膜状の電極として形成
される。特に検出電極は、優れた触媒作用を有する白金
のみにより、或いは白金を主成分とし、これにロジウ
ム、パラジウム等を1〜30重量%程度配合した導電性
材料により形成される。これら電極の形成は、メッキ
法、スパッタリング法及び電極金属の塩の熱分解による
方法等、常法によって実施することができる。
【0013】第1〜3発明の、上記「大気雰囲気下、1
000〜1400℃の温度」における熱処理によって、
検出電極を構成する金属結晶粒子は緻密度が高まり、粒
径が大きくなる。この熱処理温度が1000℃未満で
は、金属結晶粒子の緻密化及び大径化が十分に進まな
い。また、熱処理温度が1400℃を越える場合は、検
出電極が熱劣化する恐れがある。
【0014】上記の熱処理温度は特に1100〜130
0℃、更には1150〜1250℃とすることが好まし
い。この大気雰囲気における熱処理によって、検出電極
には、金属結晶粒子間に酸素が固体電解質体に接するた
めの適度な大きさの貫通孔が適度な数形成される。尚、
熱処理時間は特に限定されないが、30分〜3時間、特
に40分〜2時間、例えば1時間程度であれば、結晶粒
子の緻密化が十分に進み、且つ電極の劣化の恐れもない
ため好ましい。
【0015】また、第2〜3発明の、上記「水素を含む
雰囲気下、400〜900℃の温度」における熱処理に
よって、上記の大気雰囲気における熱処理において検出
電極を構成する白金等の金属結晶粒子の表面に付着さ
れ、又はその表層に吸蔵された酸素を還元、除去するこ
とができる。尚、この水素は2体積%以上、また5体積
%以上、更に10体積%以上含まれることが望ましい。
【0016】上記の水素の量比は特に20〜80体積
%、更には25〜70体積%とすることが好ましい。ま
た、熱処理温度は特に600〜900℃、更には700
〜800℃とすることが好ましい。水素の量比及び熱処
理温度がそれぞれ上記の範囲であれば、効率的に酸素を
還元、除去することができる。尚、熱処理時間は特に限
定されないが、10分〜3時間、特に30分〜2時間、
例えば1時間程度であれば、酸素を十分に還元すること
ができるため好ましい。
【0017】更に、第3発明の、上記「実質的に酸素を
含まず、且つ水素の含有率が1体積%以下若しくは水素
を含有しない雰囲気下、400〜800℃の温度」にお
ける熱処理によって、上記の水素雰囲気の熱処理におい
て検出電極を構成する白金等の金属結晶粒子に付着さ
れ、又は吸蔵された水素を除去することができる。この
雰囲気に酸素が含まれている場合は、検出電極に再び酸
素が付着され、又は吸蔵されてしまうことになり好まし
くない。また、水素が1体積%を越える場合は、上記の
水素雰囲気における熱処理によって検出電極に付着さ
れ、又は吸蔵された水素を十分に除去することができず
好ましくない。この熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲
気、例えば窒素ガス等の100体積%の雰囲気とするこ
とが好ましい。
【0018】上記の熱処理温度は特に400〜700
℃、更には500〜600℃とすることが好ましい。熱
処理温度が上記の範囲であれば、効率的に水素を除去す
ることができる。尚、熱処理時間は特に限定されない
が、5分〜2時間、特に10分〜1時間、例えば30分
程度であれば、水素を十分に除去することができるため
好ましい。
【0019】また、第1〜3発明の、上記「水分を2〜
60体積%含む非酸化性雰囲気下、150〜400℃の
温度」における熱処理によって、検出電極を構成する白
金等の金属結晶粒子の触媒活性を向上させることができ
る。水分が2体積%未満では、触媒活性が十分に向上し
ない。一方、60体積%を越えて水分を含む雰囲気とす
ることは、装置の制約上容易ではない。この雰囲気は水
分を含む不活性ガス、例えば窒素ガス雰囲気等とするこ
とが好ましく、検出電極を酸化させる成分が含まれてい
てはならない。但し、酸化成分をまったく含まない雰囲
気とすることが難しい場合は、水素を僅かに混合するこ
とによって酸化を防止する方法を採ることもできる。
尚、この工程は処理温度が低いため水素が検出電極に付
着されることはない。
【0020】上記の水分の量比は特に5〜35体積%、
更には10〜30体積%とすることが好ましい。また、
熱処理温度は特に150〜350℃、更には200〜3
00℃とすることが好ましい。水分の量比及び熱処理温
度がそれぞれ上記の範囲であれば、触媒の活性が大きく
向上する。尚、熱処理時間は特に限定されないが、30
分〜3時間、特に40分〜2時間、例えば1時間程度で
あれば、触媒活性を十分に向上させることができるため
好ましい。
【0021】本発明の方法によって安定化された酸素セ
ンサは、使用開始時、安定化が速く、使用初期から耐久
後における性能変化が少ない或いはほとんどないことは
前記の通りである。熱処理された検出素子を保護管ソケ
ット中に収容し、固定して作製した酸素センサを、例え
ば排気量2000ccのガソリンエンジンの排気管に取
り付けて排気ガスに晒した場合、この酸素センサは、試
験開始後35秒、特に30秒、更には25秒以内、また
特に20秒以内に作動を開始する。また、この酸素セン
サの使用初期、例えば空燃比の測定開始から1〜5分間
程度経過後のλ(実際の空燃比を理論空燃比で除した値
であり、空燃比を評価する際によく用いられる。)は、
その中心値が1.0015〜1.0020、変動幅が
0.0025以下、特に中心値が1.0005〜0.0
010、変動幅が0.0020以下、更には中心値が
1.0000〜1.0005、変動幅が0.0015以
下であって、非常に優れた性能を有する。
【0022】更に、本発明の酸素センサを上記のように
排気量2000ccのガソリンエンジンの排気管に取り
付け、エンジン回転数を3000rpm程度に適宜に設
定し、例えば500時間排気ガスに晒した後の耐久後の
λは、第1〜3発明のいずれの方法によって安定化した
場合も略1.0000となる。このように本発明の方法
によって安定化した酸素センサのλは、使用初期から耐
久後において性能変化が少なく或いはほとんどなく、非
常に安定している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によって具
体的に説明する。 (1) 検出素子の作製 純度99%以上のZrO2 に、純度99%のY2 3
5モル%配合し、湿式混合した後、1300℃の温度で
仮焼した。この仮焼物に水を加え、ボールミルにより粉
砕した後、水溶性バインダーを添加し、スプレードライ
法によって造粒した。
【0024】その後、ラバープレス法によって、中間部
の外周に棚部を備えた有底円筒状の検出素子本体を成形
し、砥石によって研削し、その形状を整えた。次いで、
検出素子本体を1500℃の温度で3時間焼成した後、
この検出素子本体の外側に、排気ガス等の被検ガスに晒
される厚さ1〜2μmの白金電極を無電解メッキ法によ
り設け、検出電極とした。その後、検出素子本体の内側
に、大気に晒される厚さ1〜2μmの白金電極を無電解
メッキ法により設け、基準電極とした。次いで、大気雰
囲気下、1200℃の温度で1時間熱処理し、検出電極
の緻密性を向上させた。更に、この検出電極の外表面に
スピネルの粉末を溶射し、厚さ約100μmの保護層を
形成した。
【0025】(2) 検出素子の構成 上記のようにして得られた検出素子を図2に示す。図2
(A)は保護層形成前の正面図、図2(B)は保護層形
成後の正面図、図2(C)は保護層形成後の縦断面図で
ある。図2(A)において、1は有底円筒状の検出素子
本体、2はその底部外周面に設けられた検出電極であ
る。また、図2(B)及び図2(C)において、4は保
護層であり、図2(C)において、3は検出素子本体1
の底部内周面に設けられた基準電極である。
【0026】尚、本発明においては、検出素子の構成は
図2に限られるものではなく、例えば、検出電極及び基
準電極は、必ずしも図2のように検出素子本体の底部周
面全面を覆う必要はなく、帯状等であってもよい。ま
た、この検出素子を、図3のように、強度の大きい金属
等からなり、検出素子を保護し且つ所定位置に取り付け
るための保護管ソケット5に収容、固定して酸素センサ
を作製し、自動車の排気管の所定位置等に取り付け、実
用に供する。
【0027】(3) 実施例1〜3及び比較例1 実施例1(第1発明に対応) 上記(1) で作製した検出素子を、70体積%の窒素と3
0体積%の水素とからなる混合気体に、ウェッタ装置に
よって、この混合気体100体積%に対して20体積%
の水分を加え、この雰囲気において250℃で1時間熱
処理して検出電極の触媒性能を活性化した。
【0028】実施例2(第2発明に対応) 上記(1) で作製した検出素子を、70体積%の窒素と3
0体積%の水素とからなる雰囲気において、750℃で
1時間熱処理して、検出電極に付着、吸蔵された酸素を
還元除去した。その後、70体積%の窒素と30体積%
の水素とからなる混合気体に、ウェッタ装置によって、
この混合気体100体積%に対して20体積%の水分を
加え、この雰囲気において250℃で1時間熱処理して
検出電極の触媒性能を活性化した。
【0029】実施例3(第3発明に対応) 上記(1) で作製した検出素子を、70体積%の窒素と3
0体積%の水素とからなる雰囲気において、750℃で
1時間熱処理して、検出電極に付着、吸蔵された酸素を
還元除去した。その後、窒素100体積%の雰囲気にお
いて550℃で30分間熱処理して、検出電極に付着、
吸蔵された水素を除去した。次いで、70体積%の窒素
と30体積%の水素とからなる混合気体に、ウェッタ装
置によって、この混合気体100体積%に対して20体
積%の水分を加え、この雰囲気において250℃で1時
間熱処理して検出電極の触媒性能を活性化した。
【0030】比較例1 上記(1) で作製した検出素子を、70体積%の窒素と3
0体積%の水素とからなる雰囲気において、750℃で
1時間熱処理して、検出電極に付着、吸蔵された酸素を
還元除去した。
【0031】(4) 酸素センサの空燃比制御の性能評価 上記の実施例1〜3及び比較例1の検出素子を保護管ソ
ケット中に収容、固定して、図3に示す酸素センサを作
製し、この酸素センサを排気量2000ccのガソリン
エンジンの排気管に取り付け、λを測定した。即ち、取
り付けた酸素センサによって空燃比制御を実行し、その
時に排気管から排出される排ガスについて標準のλ測定
装置(株式会社堀場製作所、型式「MEXA−110
λ」)によってλを検出した。エンジン回転数を約30
00rpmとし、温度800〜900℃の排気ガスに2
〜3分間晒した後の使用初期のλ及び連続500時間晒
した後の耐久後のλを測定した。結果を図1に示す。
尚、各実施例及び比較例において、それぞれ10個の検
出素子について同様の熱処理を施し、また同様の性能評
価を行った。
【0032】尚、図1において、E3、E2、E1、C
1はそれぞれ実施例3、実施例2、実施例1及び比較例
1の熱処理を施した検出素子を用いた酸素センサの使用
初期のλの評価結果である。また、図1には耐久後のλ
の評価結果を併せて示す(耐久後は実施例1〜3及び比
較例1いずれの熱処理を施した検出素子を用いた酸素セ
ンサの結果もほぼ同じである。)。図1において、結果
を示す縦線は10個の検出素子の空燃比制御結果のばら
つきの幅を表す。
【0033】(5) λ制御の性能評価の結果 実施例3と比較例1とで、低温における作動性を比較し
た。その結果、それぞれ10個の検出素子の平均値で、
実施例3では、試験開始後20秒で酸素センサが作動を
開始し、一方、比較例1では、40秒後に作動を開始し
た。このように本発明の酸素センサは短時間で作動を開
始し、低温から酸素センサとしての機能が作用すること
が分かる。
【0034】また、図1の結果によれば、第3発明の熱
処理を施した実施例3では、使用初期のλは略1.00
00を中心とする狭い範囲に制御されており、耐久後の
λに近似した値となっている。更に、第2発明の熱処理
を施した実施例2、第1発明の熱処理を施した実施例1
及び比較例1と、この順に使用初期のλは実施例3に比
べて徐々にリーン側へとシフトしていくことが分かる。
また、それと同時にλの幅も大きくなっていき、λの性
能が低下し、使用し難いものになっていくことが分か
る。このように、本発明においては、第3発明の安定化
方法が最も効果が大きく、第2発明、第1発明と安定化
の効果が小さくなる。しかし、第1発明の安定化方法で
あっても、比較例に比べれば使用初期のλはより1に近
く、また、より狭い範囲に制御されていることが分か
る。
【0035】また、耐久後は比較例も含めいずれの酸素
センサのλも、1.0000を中心とする狭い範囲に制
御されているが、本発明の方法によって安定化された酸
素センサ、特に第3発明の方法によって安定化された酸
素センサでは、上記のように使用初期からλは略1.0
000を中心とする狭い範囲に制御されており、非常に
安定した性能の酸素センサであることが分かる。一方、
比較例の場合は、使用初期から耐久後へと性能変化が大
きく、使用し難い酸素センサであることが分かる。
【0036】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で
種々変更した実施例とすることができる。例えば、大気
雰囲気下、1000〜1400℃の温度で熱処理する工
程に続いて、検出電極の表層にPb、Zn、Sn及びS
等の元素を少量、付着、含有させることもできる。これ
によって検出電極は更に安定化され、酸素センサの空燃
比制御の性能がより向上する。
【0037】
【発明の効果】第1〜3発明の酸素センサの安定化方法
によれば、特定の多段の熱処理を施すことにより、使用
開始時、速やかに安定化され、また、実装時、その使用
初期から耐久後における性能変化が少ない或いは性能変
化がほとんどない酸素センサを得ることができる。その
ため、自動車エンジン等の空燃比を比較的低温から正確
に且つ安定して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1の酸素センサを用い
た空燃比検出素子によって測定した使用初期及び耐久後
のλの結果を表すグラフである。
【図2】(A)は保護層形成前の検出素子の正面図であ
り、(B)は保護層形成後の検出素子の正面図である。
また、(C)は保護層形成後の検出素子の縦断面図であ
る。
【図3】検出素子を金属製保護管ソケットに収容、固定
して得られる酸素センサの正面図である。
【符号の説明】
1;検出素子本体、2;検出電極、3;基準電極、4;
保護層、5;金属製保護管ソケット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/409

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素センサの特性を安定化する方法であ
    って、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に
    検出電極が設けられ、他面に基準電極が設けられている
    酸素センサの検出素子の少なくとも上記検出電極を、大
    気雰囲気下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、
    その後、水分を2〜60体積%含む非酸化性雰囲気下、
    150〜400℃の温度で熱処理することを特徴とする
    酸素センサの安定化方法。
  2. 【請求項2】 酸素センサの特性を安定化する方法であ
    って、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に
    検出電極が設けられ、他面に基準電極が設けられている
    酸素センサの検出素子の少なくとも上記検出電極を、大
    気雰囲気下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、
    その後、水素を含む雰囲気下、400〜900℃の温度
    で熱処理し、次いで、水分を2〜60体積%含む非酸化
    性雰囲気下、150〜400℃の温度で熱処理すること
    を特徴とする酸素センサの安定化方法。
  3. 【請求項3】 酸素センサの特性を安定化する方法であ
    って、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体の一面に
    検出電極が設けられ、他面に基準電極が設けられている
    酸素センサの検出素子の少なくとも上記検出電極を、大
    気雰囲気下、1000〜1400℃の温度で熱処理し、
    その後、水素を含む雰囲気下、400〜900℃の温度
    で熱処理し、次いで、実質的に酸素を含まず、且つ水素
    の含有率が1体積%以下若しくは水素を含有しない雰囲
    気下、400〜800℃の温度で熱処理し、その後、水
    分を2〜60体積%含む非酸化性雰囲気下、150〜4
    00℃の温度で熱処理することを特徴とする酸素センサ
    の安定化方法。
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