JP3514198B2 - 環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法 - Google Patents

環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法

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JP3514198B2 JP2000005409A JP2000005409A JP3514198B2 JP 3514198 B2 JP3514198 B2 JP 3514198B2 JP 2000005409 A JP2000005409 A JP 2000005409A JP 2000005409 A JP2000005409 A JP 2000005409A JP 3514198 B2 JP3514198 B2 JP 3514198B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、環境調和性と加工
部耐食性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法に関
するものである。本発明のプレコート鋼板は、例えば家
電製品や建材用途などに好適であり、また自動車用とし
ても使用することができる。
【0002】
【従来の技術】現在使用されているプレコート鋼板は、
耐食性を確保するためにクロムを含有する化成処理を施
すとともに、下塗り塗膜中にクロム系の防錆顔料を含有
させている(例えば、特開平7−316497号)。し
かし、昨今このようなプレコート鋼板について、毒性の
強いクロムの溶出による公害発生の懸念が問題視されて
いる。
【0003】このような問題に対し、特開平8−319
437号公報では、塩基性亜リン酸塩系防錆顔料を下塗
り塗膜中に含有させることにより、無毒性で且つ耐食性
に優れたプレコート鋼板が得られるとしている。また、
特開平8−11257号公報では、イソシアネート化合
物及びリン酸系防錆顔料を下塗り塗膜中に含有させるこ
とにより、耐食性に優れた無公害型プレコート鋼板が得
られるとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの無公
害型プレコート鋼板は、平面部、傷部(クロスカット
部)及び端面の耐食性については、従来のクロム系防錆
顔料を用いたものとほぼ同等の性能が得られるものの、
本発明者らの調査によれば、厳しい加工を受けた部分の
耐食性が従来のクロム系防錆顔料を用いたものに較べて
劣っていることが判った。プレコート鋼板は、加工を受
けた後に製品として使用されるため、加工を受けた部分
の耐食性は非常に重要である。
【0005】また、プレコート鋼板の加工部耐食性を向
上させるため、加工性を高めたポリエステル−メラミン
系塗膜を上塗り塗膜として用いることも考えられるが、
このようなプレコート鋼板は加工部耐食性は向上するも
のの、塗膜硬度が劣ってしまう問題がある。したがって
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、
塗膜中にクロム系防錆顔料を添加しなくても、加工部耐
食性をはじめとする優れた特性が得られる環境調和型の
プレコート鋼板及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決し、優れた性能を示すプレコート鋼板を得るため
に検討を重ねた結果、シリカ微粒子とその結合剤とを含
む化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面
に、数種の特定の防錆添加成分を複合添加した下塗り塗
膜を形成し、その上層に上塗り塗膜を形成することによ
り、環境調和性及び加工部耐食性に優れたプレコート鋼
板が得られること、また好ましくは上塗り塗膜として、
ポリオールを主剤とし、これに硬化剤と、主としてナフ
タレン2,6−ジカルボン酸及び/又はその低級アルキ
ルエステルをアルコール成分と反応させて得られるポリ
エステル化合物を加えた塗料配合系の塗膜を形成するこ
とにより、加工部耐食性が特に優れたプレコート鋼板が
得られることを見い出した。
【0007】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1]シリカ微粒子とその結合剤である水溶性又は水分
散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩は除く)
の中から選ばれる1種又は2種以上とを含む化成処理皮
膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に、下塗り塗膜
が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形成された
プレコート鋼板であって、前記下塗り塗膜が、防錆添加
成分として下記(a)〜(c)の成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
塩、下記(c)の成分として添加される塩及びその他のC
a含有化合物の一部として含有されるCaを含む):樹
脂固形分100重量部に対してCa換算量で1〜30重
量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
部に対してPO換算量で1〜30重量部 且つ前記(a)〜(c)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
重量部に対して5〜100重量部であることを特徴とす
る環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0008】[2]シリカ微粒子とその結合剤である水
溶性又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム
酸塩は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを
む化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面
に、下塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗
膜が形成されたプレコート鋼板であって、前記下塗り塗
膜が、防錆添加成分として下記(a)〜(d)の成分を含有
し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
塩、下記(c)の成分として添加される塩、下記(d)の成分
として添加される塩及びその他のCa含有化合物の一部
として含有されるCaを含む):樹脂固形分100重量
部に対してCa換算量で1〜30重量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
部に対してPO換算量で1〜30重量部 (d)モリブデン酸塩、タングステン酸塩、亜リン酸塩、
ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中から選ばれる1種又は2種
以上:樹脂固形分100重量部に対して1〜50重量部 且つ前記(a)〜(d)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
重量部に対して5〜100重量部であることを特徴とす
る環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0009】[3]上記[1]又は[2]のプレコート鋼
板において、上塗り塗膜が、樹脂成分として下記イ)〜
ハ)を含有する塗料組成物を塗布して形成した塗膜であ
ることを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に優れた
プレコート鋼板。 イ)一般式(1)
【化2】 を繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂固形分
中での割合で1〜15重量% ロ)ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂:樹脂固
形分中での割合で40〜90重量% ハ)硬化剤であるイソシアネート化合物及び/又はアミ
ノ樹脂:樹脂固形分中での割合で9〜50重量%
【0010】[4]上記[1]〜[3]のいずれかのプレ
コート鋼板において、下塗り塗膜を形成する塗料組成物
中の主剤樹脂成分がポリエステル樹脂及び/又はエポキ
シ変性ポリエステル樹脂であり、下塗り塗膜の膜厚が2
〜20μmであることを特徴とする環境調和性と加工部
耐食性に優れたプレコート鋼板。 5 ]上記[ 1 ]〜[ 4 ]のいずれかのプレコート鋼板に
おいて、化成処理皮膜中のシリカ微粒子と結合剤の配合
割合が固形分重量比でシリカ微粒子/結合剤=1/0.
01〜1/10であることを特徴とする環境調和性と加
工部耐食性に優れたプレコート鋼板。 6 ]上記[ 1 ]〜[ 5 ]のいずれかのプレコート鋼板に
おいて、化成処理皮膜の付着量がシリカ微粒子のSi換
算量で5〜200mg/m であることを特徴とする環
境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
【0011】 7 シリカ微粒子とその結合剤である水
溶性又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム
酸塩は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを
む化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面
に、防錆添加成分として下記(a)〜(c)の成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
塩、下記(c)の成分として添加される塩及びその他のC
a含有化合物の一部として含有されるCaを含む):樹
脂固形分100重量部に対してCa換算量で1〜30重
量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
部に対してPO換算量で1〜30重量部 且つ前記(a)〜(c)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
重量部に対して5〜100重量部である下塗り塗膜用の
塗料組成物を塗布した後、180〜260℃の到達板温
で焼付処理し、次いで、上塗り塗膜用の塗料組成物を塗
布した後、180〜260℃の到達板温で焼付処理する
ことを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に優れたプ
レコート鋼板の製造方法。
【0012】 8 シリカ微粒子とその結合剤である水
溶性又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム
酸塩は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを
む化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面
に、防錆添加成分として下記(a)〜(d)の成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
塩、下記(c)の成分として添加される塩、下記(d)の成分
として添加される塩及びその他のCa含有化合物の一部
として含有されるCaを含む):樹脂固形分100重量
部に対してCa換算量で1〜30重量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
部に対してPO換算量で1〜30重量部 (d)モリブデン酸塩、タングステン酸塩、亜リン酸塩、
ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中から選ばれる1種又は2種
以上:樹脂固形分100重量部に対して1〜50重量部 且つ前記(a)〜(d)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
重量部に対して5〜100重量部である下塗り塗膜用の
塗料組成物を塗布した後、180〜260℃の到達板温
で焼付処理し、次いで、上塗り塗膜用の塗料組成物を塗
布した後、180〜260℃の到達板温で焼付処理する
ことを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に優れたプ
レコート鋼板の製造方法。 9 ]上記[ 7 ]または[ 8 ]の製造方法において、化成
処理皮膜中のシリカ微粒子と結合剤の配合割合が固形分
重量比でシリカ微粒子/結合剤=1/0.01〜1/1
0であることを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に
優れたプレコート鋼板の製造方法。 10 ]上記[ 7 ]〜[ 9 ]のいずれかの製造方法におい
て、化成処理皮膜の付着量がシリカ微粒子のSi換算量
で5〜200mg/m であることを特徴とする環境調
和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板の製造方
法。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明のプレコート鋼板は、特定の成分
を含む化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表
面に、特定の成分を含む下塗り塗膜及び上塗り塗膜を形
成した塗装鋼板である。下地鋼板となる亜鉛系めっき鋼
板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融Zn−Al合金めっ
き鋼板などの各種亜鉛系めっき鋼板を用いることができ
る。
【0014】また、亜鉛系めっき鋼板としては化成処理
皮膜との密着性を高めるために、亜鉛系めっきの後に表
面調整処理を施したものを用いることができる。この表
面調整処理は、酸性処理液、アルカリ性処理液のいずれ
を使用してもよい。処理方法は、浸漬やスプレーなどに
より行うことができる。
【0015】上記亜鉛系めっき鋼板の表面に形成される
化成処理皮膜は、シリカ微粒子(微粉末)とその結合剤
とを含む化成処理皮膜である。上記シリカ微粒子として
は、例えば、一次粒径が約1〜100nmの湿式シリカ
(コロイダルシリカ)、乾式シリカ(ヒュームドシリ
カ)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが
できる。このようなシリカ微粒子を化成処理皮膜中に配
合することにより、化成処理皮膜上層の樹脂皮膜(下塗
り塗膜)との密着性、耐スクラッチ性、耐食性を高める
ことができる。
【0016】また、上記結合剤としては、水溶性又は水
分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩は除
く)の中から選ばれる1種又は2種以上を用いる。上記
水溶性又は水分散性有機高分子としては、例えば、ポリ
(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコールなどを例示
できる。また、上記酸素酸塩としては、例えば、リン酸
塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩、バナジン酸塩
などを例示できる。このような結合剤を化成処理皮膜中
に配合することにより、シリカ微粒子同士の結合性(皮
膜の耐凝集破壊性)、シリカ微粒子の素地金属との密着
性を高めることができる。
【0017】また、化成処理液には、Zr化合物、Ti
化合物、Hf化合物(例えば、フルオロ錯塩など)の1
種又は2種以上を添加剤として添加し、それらを化成処
理皮膜中に含有させることができる。シリカ微粒子と結
合剤の配合割合は固形分重量比でシリカ微粒子/結合剤
=1/0.01〜1/10の範囲とすることが望まし
い。シリカ微粒子の配合量:1に対する結合剤の配合割
合が0.01未満であると、シリカ微粒子同士の結合性
(皮膜の耐凝集破壊性)、シリカ微粒子の素地金属との
密着性が劣る。また、シリカ微粒子の配合量:1に対す
る結合剤の配合割合が10超であると、化成処理皮膜上
層の樹脂皮膜(下塗り塗膜)との密着性、耐スクラッチ
性、耐食性が劣る。
【0018】化成処理皮膜の付着量は、成分として含ま
れるシリカ微粒子のSi換算量で5〜200mg/m
の範囲とすることが好ましい。この付着量が5mg/m
未満では、素地金属との密着性、耐食性が劣り、一
方、200g/m超では化成処理皮膜上層の樹脂皮膜
(下塗り塗膜)との密着性が劣る。化成処理皮膜を形成
するための処理方法に特に制約はないが、一般に化成処
理液をロールコーター塗装し、その後乾燥させる。この
乾燥では、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱
手段により、通常、50〜150℃程度の到達板温で皮
膜を乾燥させる。
【0019】次に、上記化成処理皮膜の上層に形成され
る下塗り塗膜について説明する。下塗り塗膜を形成する
ための塗料組成物の主剤樹脂としては、例えば、ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスフェノールA付加ポリ
エステル樹脂などのようなエポキシ変成ポリエステル樹
脂などの1種又は2種以上を用いることができるが、加
工性の観点からはポリエステル樹脂及び/又はエポキシ
変性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0020】ポリエステル樹脂のエポキシ変性に用いる
樹脂としては、例えば、ビスフェノールA又はビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂が挙げられ、またこれ以外に、
塩基触媒(例えば、水酸化カリウム)の存在下に、エピ
ハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリン)をアルデ
ヒド(例えば、ホルムアルデヒド)と1価のフェノール
又は多価ポリフェノールとの縮合物と反応させることに
より得られるフェノール誘導体エポキシ樹脂(例えば、
ノボラック型エポキシ樹脂)なども用いることができ
る。
【0021】通常、下塗り塗膜の物性は塗料組成物の主
剤として使用する樹脂のTgにより変化するが、一般に
樹脂の分子構造からして、エポキシ系下塗り塗料による
塗膜は破断強度は大きいが破断伸びは小さく、一方、ポ
リエステル系下塗り塗料やウレタン系下塗り塗料による
塗膜は破断伸びは大きいが破断強度は小さい。これに対
して、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂などのエ
ポキシ変性ポリエステル樹脂を主剤樹脂とする塗料組成
物により形成される下塗り塗膜は上記両方の樹脂の分子
構造を兼ね備えているため、破断強度と破断伸びがバラ
ンスよく得られ、本発明が目的とする高加工性の観点か
らして特に好ましい。
【0022】下塗り塗膜をポリエステル系樹脂(ビスフ
ェノールA付加ポリエステル樹脂などのエポキシ変性ポ
リエステル樹脂を含む。以下同様)を主剤樹脂とする塗
料組成物により形成する場合、下塗り塗膜が上記物性を
有するようにするためには、ポリエステル樹脂として数
平均分子量が1000〜50000、より好ましくは3
000〜40000、特に好ましくは5000〜300
00の範囲のものを用いることが望ましい。ポリエステ
ル樹脂の数平均分子量が1000未満では、塗膜の伸び
が不十分であるため上記の物性が得られず、塗膜性能の
向上が十分でない。一方、数平均分子量が50000を
超えると塗料組成物が高粘度になるため過剰の希釈溶剤
が必要となり、塗料中に占める樹脂の割合が減少するた
め適正な塗膜を得ることができなくなる。さらに、他の
配合成分との相溶性も著しく低下する。
【0023】また、塗料組成物の主剤としてビスフェノ
ールA付加ポリエステル樹脂を使用する場合、このビス
フェノールA付加ポリエステル樹脂中のビスフェノール
Aの含有量は樹脂固形分の割合で1〜70重量%、より
好ましくは3〜60重量%、特に好ましくは5〜50重
量%とするのが望ましい。ビスフェノールA付加ポリエ
ステル樹脂中のビスフェノールAの含有量が1重量%未
満では塗膜強度の向上効果が十分に得られず、塗膜性能
の向上効果が顕著ではない。一方、ビスフェノールAの
含有量が70重量%を超えると塗膜の伸びが十分に得ら
れない。
【0024】上記ポリエステル樹脂を得るための多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、
ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキ
サントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ
スリトールなどが挙げられ、また、これらの多価アルコ
ールを2種類以上組合せて用いることもできる。
【0025】また、ポリエステル樹脂を得るための多価
塩基酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミ
ック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメ
リット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハ
ク酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸などが挙げられ、これらの多価塩基酸成分を2種類
以上組合せて用いることもできる。
【0026】下塗り塗膜用の塗料組成物に用いられる硬
化剤としては、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂
などが使用できる。また、これらの2種以上を混合して
用いてもよい。硬化剤として用いられるポリイソシアネ
ート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネー
ト;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ
ート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソ
シアネート;又はこれらジイソシアネートの多量体若し
くは多価アルコールとの付加物などが挙げられ、これら
をブロック剤(例えば、フェノール系、ラクタム系、ア
ルコール系、メルカプタン系、イミン系、アミン系、イ
ミダゾール系又はオキシム系ブロック剤)などを用いて
ブロック化した化合物として使用することが好ましい。
また、これらブロック化ポリイソシアネート化合物の解
離触媒としては、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレー
ト、2−エチルヘキソエート鉛などを用いることができ
る。
【0027】硬化剤として用いられるアミノ樹脂として
は、例えば、低級アルコールでアルキルエーテル化され
たホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドなどと尿
素、ジシアンジアミド、アミノトリアジンなどとの縮合
物があり、具体的には、メトキシ化メチロール尿素、メ
トキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチ
ロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミ
ン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールベンゾグアナミンなどが挙げられる。また、硬化触
媒としては、塩酸、リン酸モノアルキルエステル、P−
トルエンスルホン酸などの酸又はこれら酸と3級アミン
若しくは2級アミン化合物との塩が使用できる。
【0028】下塗り塗膜中には、防錆添加成分として、
(a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
塩、下記(c)の成分として添加される塩、下記(d)の成分
として添加される塩及びその他のCa含有化合物の一部
として含有されるCaを含む)、(b)SiO及び/又
はケイ酸塩、(c)リン酸及び/又はリン酸塩、さらに好
ましくは、(d)モリブデン酸塩などの塩の1種又は2種
以上が配合される。
【0029】下塗り塗膜中へのCa成分の添加形態には
特別な制限はなく、金属カルシウム及び/又はCa含有
化合物として添加することができる。Ca含有化合物と
しては、酸化カルシウム、水酸化カルシウムの他、ケイ
酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、モ
リブデン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカル
シウムのみを含む単塩、さらには、リン酸カルシウム・
亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウム、モリブデン酸
カルシウム・亜鉛などのようなカルシウムとカルシウム
以外のカチオンを含む複塩などを添加してもよく、ま
た、これらの2種以上を添加してもよい。
【0030】したがって、このCa成分としては、上記
(b)の成分として添加される塩(例えば、ケイ酸カルシ
ウムなど)、上記(c)の成分として添加される塩(例え
ば、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム・亜鉛な
ど)、上記(d)の成分として添加される塩(例えば、モ
リブデン酸カルシウム、タングステン酸カルシウム、亜
リン酸カルシウム、ホウ酸カルシウムなど)の一部とし
て含有されるCaであってもよい。下塗り塗膜中に配合
されるCa成分は、腐食の起こりやすい環境において溶
出することで早期に保護膜を形成し、それ以上腐食が進
行するのを抑制する働きがあると考えられる。
【0031】下塗り塗膜中でのCa成分の含有量は、樹
脂固形分100重量部に対してCa換算量で1〜30重
量部とする。樹脂固形分100重量部に対するCa成分
の含有量(Ca換算量)が1重量部未満では、カルシウ
ムによる塗膜の自己補修効果が乏しく、一方、30重量
部を超えるとカルシウムの溶出量が過剰となり、塗膜間
の密着性が低下してしまう。なお、下塗り塗膜中に配合
されるCa成分の一部又は全部が、上記(b)〜(d)の成分
として添加される塩に含まれるCaである場合、Ca成
分の含有量には当該Caを含有する塩のCa換算量が含
まれることは言うまでもない。
【0032】下塗り塗膜中に防錆添加剤としてSiO
及び/又はケイ酸塩を添加するのは、耐食性に及ぼすC
a成分の添加効果を高めることができるからである。下
塗り塗膜中へのSiO及び/又はケイ酸塩の添加形態
に特別な制約はなく、SiOについてはコロイド状の
SiOなどとして、また、ケイ酸塩についてはケイ酸
カルシウムなどとして添加することができる。
【0033】下塗り塗膜中でのSiO及び/又はケイ
酸塩の含有量は、樹脂固形分100重量部に対してSi
換算量で1〜35重量部とする。樹脂固形分100
重量部に対するSiO及び/又はケイ酸塩の含有量
(SiO換算量)が1重量部未満ではその添加効果が
認められず、一方、35重量部を超えると塗膜の密着性
が低下し、加工の際に塗膜が剥離しやすくなる。また、
SiOを添加する場合には、その平均粒子径は10μ
m以下が好ましい。SiOの平均粒子径を10μm以
下とすることにより、SiOの表面積が大きくなるた
め耐食性が向上する。
【0034】下塗り塗膜中に配合されるリン酸及び/又
はリン酸塩は、溶出金属(例えば、めっき成分である亜
鉛)との間で保護膜を形成する働きがあり、これにより
防錆力を発揮するものと考えられる。リン酸及びリン酸
塩としては、リン酸イオンの骨格や縮合度などに特別な
制約はない。したがって、リン酸塩としては、正塩、二
水素塩、一水素塩のいずれでもよく、また、正塩はオル
トリン酸塩の他、ポリリン酸塩などの全ての縮合リン酸
塩を含む。また、リン酸塩にはその複塩も含まれる。
【0035】下塗り塗膜中でのリン酸及び/又はリン酸
塩の含有量は、樹脂固形分100重量部に対してPO
換算量で1〜30重量部とする。樹脂固形分100重量
部に対するリン酸及び/又はリン酸塩の含有量(PO
換算量)が1重量部未満ではその添加効果が認められ
ず、一方、30重量部を超えると塗膜の密着性が低下
し、加工の際に塗膜が剥離しやすくなる。
【0036】これら下塗り塗膜に配合される防錆添加成
分は、有害な物質を含まず且つ塗膜の耐食性を高める作
用があるが、特にこれら防錆添加成分を複合添加するこ
とにより加工部耐食性が顕著に向上するのは、Ca成
分、SiO及び/又はケイ酸塩、リン酸及び/又はリ
ン酸塩を複合添加した場合、これら3成分から形成され
る保護皮膜の安定性が特異的に高いことによるものと考
えられる。
【0037】ここで、前記Ca成分のCa換算量とSi
及び/又はケイ酸塩のSiO換算量の合計に対す
る前記Ca成分のCa換算量の割合は、15〜80重量
%とするのが好ましい。Ca成分のCa換算量の割合が
15重量%未満及び80重量%超ではCa成分とSiO
及び/又はケイ酸塩を複合添加することによる加工部
耐食性の向上効果が劣る傾向がある。
【0038】本発明では、下塗り塗膜中にさらに第4の
防錆添加成分として、モリブデン酸塩、タングステン酸
塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中から選ば
れる1種又は2種以上を添加することができ、これによ
り加工部耐食性をさらに向上させることができる。モリ
ブデン酸塩としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸
カルシウム、モリブデン酸亜鉛カルシウムなどが挙げら
れ、それらの1種又は2種以上を用いることができる
が、その中でも特に、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸
カルシウムが好適である。
【0039】タングステン酸塩としては、タングステン
酸亜鉛、タングステン酸カルシウム、タングステン酸亜
鉛カルシウムなどが挙げられ、それらの1種又は2種以
上を用いることができるが、その中でも特に、タングス
テン酸亜鉛、タングステン酸カルシウムが好適である。
亜リン酸塩の種類は特に限定されないが、アルカリ土類
金属、アルミニウム、又は亜鉛の亜リン酸塩が好適であ
り、これら亜リン酸塩の1種又は2種以上を用いること
ができる。また、その中でも特に、カルシウム、マグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の亜リン酸塩が好適であ
る。
【0040】ホウ酸塩としては、ホウ酸カルシウム、ホ
ウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられ、また、メタ
ホウ酸塩としては、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸
バリウムなどが挙げられ、それらの1種又は2種以上を
用いることができるが、その中でも特に、ホウ酸カルシ
ウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウムが好適であ
る。
【0041】下塗り塗膜中でのモリブデン酸塩、タング
ステン酸塩、亜リン酸塩、ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中
から選ばれる1種又は2種以上の防錆添加成分の含有量
は樹脂固形分100重量部に対して1〜50重量部とす
る。樹脂固形分100重量部に対する上記防錆添加成分
の含有量が1重量部未満ではその添加効果が認められ
ず、一方、50重量部を超えると塗膜の密着性が低下
し、加工の際に塗膜が剥離しやすくなる。
【0042】これら第4の防錆添加成分も有害な物質を
含まず且つ耐食性を高める作用があるが、これを上記
(a)〜(c)の防錆添加成分とともに下塗り塗膜中に複合添
加することにより、加工部耐食性がより顕著に向上す
る。その理由は、これら第4の防錆添加成分には、上記
(a)〜(c)の防錆添加成分により生成される安定した保護
皮膜のバリアー性をさらに高める働きがあるためである
と考えられる。
【0043】また、下塗り塗膜中における上記(a)〜(c)
の防錆添加成分の配合量(但し、Ca成分についてはC
a換算量、SiO及び/又はケイ酸塩についてはSi
換算量、リン酸及び/又はリン酸塩についてはPO
換算量)の合計、また、上記(d)の防錆添加成分が配
合される場合には上記(a)〜(d)の防錆添加成分の合計
は、樹脂固形分100重量部に対して5〜100重量部
とする。樹脂固形分100重量部に対する防錆添加成分
の配合量の合計が5重量部未満では十分な加工部耐食性
が得られず、一方、100重量部を超えると加工性に問
題を生じる。
【0044】また、下塗り塗膜用の塗料組成物には目的
や用途に応じて、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸
錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート
鉛などの硬化触媒、;炭酸カルシウム、カオリン、クレ
ー、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁
柄、マンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム
粉、パールマイカなどの顔料;その他、消泡剤、流れ止
め剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。
【0045】下塗り塗膜の膜厚は2〜20μmの範囲と
することが好ましい。膜厚が2μm未満では十分な耐食
性が得られず、一方、20μ超では加工性が不十分であ
る。下塗り塗膜を形成するための塗料組成物を実際に使
用するに当っては、これらを有機溶剤に溶解して使用す
る。使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、
ソルベッソ100(商品名,エクソン化学社製)、ソル
ベッソ150(商品名,エクソン化学社製)、ソルベッ
ソ200(商品名,エクソン化学社製)、トルエン、キ
シレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソ
ルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビ
トール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、酢
酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサなど
が挙げられる。
【0046】下塗り塗膜用の塗料組成物を調整するに当
っては、サンドグラインドミル、ボールミル、ブレンダ
ーなどの通常の分散機や混練機を選択して使用し、各成
分を配合することができる。下塗り塗膜の塗装方法に特
に制約はないが、好ましくは塗料組成物をロールコータ
ー塗装、カーテンフロー塗装などの方法で塗布するのが
よい。上記した化成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき
鋼板の表面に下塗り塗膜用の塗料組成物を塗装後、熱風
加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段により、通
常、180〜260℃程度の到達板温で約30秒〜1分
の焼付処理を行う。
【0047】次に、上記下塗り塗膜の上層に形成される
上塗り塗膜について説明する。本発明において上塗り塗
膜の構成については特別な制約はなく、その主剤樹脂と
しては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂
などの1種又は2種以上を用いることができるが、特に
優れた性能を得るためには、上塗り塗膜を、樹脂成分と
して、イ)特定のポリエステル化合物と、ロ)上記イ)
を除く特定のポリオールと、ハ)特定の硬化剤とを含有
する(好ましくは、これらを主成分樹脂として含有す
る)塗料組成物を塗布し、焼付処理して形成される塗膜
とすることが好ましい。このような特定の上塗り塗膜を
形成することにより、上述した下塗り塗膜との複合的な
効果によって特に優れた加工部耐食性が得られる。
【0048】以下、この特定の上塗り塗膜について説明
する。まず、上記イ)のポリエステル化合物は下記一般
式(1)を繰り返し単位とするポリエステル化合物であ
る。
【化3】
【0049】上記イ)のポリエステル化合物は、酸成分
であるナフタレン−2,6−ジカルボン酸及び/又はそ
の低級アルキルエステルをアルコール成分と反応させる
ことにより得ることができる。上記イ)のポリエステル
化合物を得るための酸成分としては、ナフタレン−2,
6−ジカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステル
が主として用いられるが、それらの一部をテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸、又は
これらジカルボン酸の低級アルキルエステルなどで置き
換えることもできる。この低級アルキルエステルとして
は、炭素数が1〜2個のメチルエステル、エチルエステ
ルなどが挙げられる。但しこの場合でも、主体となるナ
フタレン−2,6−ジカルボン酸は酸成分全体のうち8
5モル%以上とし、置き換えられる他の化合物の割合は
15モル%未満に抑えることが望ましい。
【0050】また、上記イ)のポリエステル化合物を得
るためのアルコール成分としては、主としてジオールを
用いる。このジオールとしては脂肪族ジオール、脂環族
ジオールなどを用いることができ、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げ
られる。また、ポリオキシアルキレングリコール、特
に、数平均分子量が1000以下のポリエチレングリコ
ール(以下、PEGと略す)、或いは数平均分子量が1
000以下のポリテトラエチレングリコール(以下、P
TGと略す)を使用することもできる。また、これらを
混合して使用してもよい。
【0051】また、アルコール成分としては、上述した
ジオールの他に3価以上の多価アルコールを用いてもよ
い。多価アルコールとしては、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタンなどが挙げられる。
以上のような酸成分とアルコール成分とが反応し、上記
イ)のポリエステル化合物が生成される。また特に、数
平均分子量が1000以下のPEG又は数平均分子量が
1000以下のPTGを用いた場合には、エーテル結合
を有するポリエステル化合物が生成される。
【0052】本発明で用いる上記イ)のポリエステル化
合物は、エステル交換法や直接エステル化法などの通常
のポリエステル製造法によって得ることができる。通
常、酸成分とアルコール成分はモル比1:2で反応する
ので、効率良く反応を行うためには、酸成分とアルコー
ル成分をできるだけモル比1:2に近い割合で配合する
のが望ましい。また、ポリエステル化合物は、単独また
は2種類以上の組み合わせのいずれでも使用することが
できる。
【0053】上述したような酸成分とアルコール成分の
組み合わせで生成したポリエステル化合物は、偏光顕微
鏡で観察した場合に異方性を示す。このようなポリエス
テル化合物を含む塗膜は、焼付後においても液晶化合物
の特徴である配向などの作用により塗膜の強靭化が図ら
れ、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与するものと考
えられる。
【0054】上記PEG又はPTGをアルコール成分と
して用いた場合、これが酸成分と反応し、エーテル結合
を有するポリエステル化合物が生成する。このエーテル
結合を有するポリエステル化合物は還元粘度が0.20
dl/g以下であることが望ましい。還元粘度が0.2
0dl/gを超えると溶剤への溶解性やポリオール、硬
化剤などとの相溶性が著しく低下し、塗膜性能も不十分
なものとなる。なお、還元粘度は、試料をフェノール/
テトラクロロエタン(重量比:60/40)の溶液に溶
解し、ウベローデ型粘度計を用いて25℃で測定した値
である。このエーテル結合を有するポリエステル化合物
を用いた場合は、フレキシブルなエーテル鎖と剛直なナ
フタレン骨格との組み合わせにより架橋構造に強靭性が
付与され、これが塗膜硬度と加工性の改善に寄与するも
のと考えられる。
【0055】上記イ)のポリエステル化合物の配合量
は、樹脂固形分中での割合で1〜15重量%、好ましく
は2〜12重量%、さらに好ましくは3〜10重量%と
する。上記ポリエステル化合物の配合量が1重量%未満
では塗膜性能の向上効果が顕著ではなく、一方、配合量
が15重量%を超えると塗膜の可撓性が低下する。
【0056】次に、上記ロ)のポリオールとしては、ア
クリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂を用いることが
できる。上記ロ)のポリオールであるアクリル樹脂は、
1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且つ数平均
分子量が1500〜12000の化合物であれば特に限
定されるものではないが、その数平均分子量の好ましい
範囲は1700〜10000である。アクリル樹脂の分
子中にある水酸基はアクリル樹脂主鎖に無秩序に配列さ
れており、数平均分子量が1500未満では加工性が著
しく低下する。一方、数平均分子量が12000を超え
ると高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が必要となり、塗
料中に占める樹脂の割合が減少するため適切な塗膜を得
ることができなくなる。さらに、他の配合成分との相溶
性も著しく低下する。なお、アクリル樹脂の数平均分子
量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以
下、GPCという)により測定したポリエステル換算分
子量である。
【0057】アクリル樹脂は、水酸基を持つアクリル単
量体又はメタクリル単量体とアクリル酸エステル又はメ
タクリル酸エステルなどを周知の方法で加熱反応させて
得られる共重合体である。水酸基を持つアクリル単量
体、メタクリル単量体としては、例えば、メタクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸
ヒドロキシプロピルなどを用いることができる。また、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとしては、
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル
酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルな
どを用いることができる。市販されているアクリル樹脂
としては、“アルマテックス”(商品名,三井東圧化学
(株)製)、“デスモフェン”(商品名,住友バイエル
ウレタン(株)製)、“ダイヤナール”(商品名,三菱
レイヨン(株)製)などがある。
【0058】上記ロ)のポリオールであるポリエステル
樹脂は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且
つ数平均分子量が1000〜8000の化合物であれば
特に限定されるものではないが、その好ましい数平均分
子量の範囲は1200〜7000、より好ましくは15
00〜6000である。ポリエステル樹脂の分子中にあ
る水酸基は、分子中の末端または側鎖のいずれにあって
もよい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000未
満では加工性が著しく低下する。一方、数平均分子量が
8000を超えると高粘度になるため過剰の稀釈溶剤が
必要となり、塗料中に占める樹脂の割合が減少するため
適切な塗膜を得ることができなくなる。さらに、他の配
合成分との相溶性も著しく低下する。なお、ポリエステ
ル樹脂の数平均分子量は、GPCにより測定したポリス
チレン換算分子量である。
【0059】ポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価
アルコールを周知の方法で加熱反応させて得られる共重
合体である。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット
酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを用いるこ
とができる。また、多価アルコールとしては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールエタンなどを用いることができる。市販されて
いるポリエステル樹脂としては、“アルマテックス”
(商品名,三井東圧化学(株)製)、“アルキノール”
(商品名,住友バイエルウレタン(株)製)、“デスモ
フェン”(商品名,住友バイエルウレタン(株)製)、
“バイロン”(商品名,東洋紡績(株)製)などがあ
る。
【0060】上記ロ)のポリオールの配合量は、樹脂固
形分の割合で40〜90重量%とする。このポリオール
の配合量が40重量%未満では塗膜の加工性が十分に確
保できず、一方、90重量%を超えると塗膜硬度が不十
分となる。
【0061】上記ハ)の硬化剤としては、イソシアネー
ト化合物及び/又はアミノ樹脂を用いることができる。
イソシアネート化合物としては、一般的製法で得られる
イソシアネート化合物を用いることができるが、その中
でも特に、1液型塗料としての使用が可能である、フェ
ノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコ
ール、ラクタム、オキシムなどのブロック剤でブロック
化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。このブ
ロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより
1液での保存が可能となり、プレコート鋼板用塗料とし
ての使用が容易となる。
【0062】また、さらに好ましいポリイソシアネート
化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシア
ネート(以下、HDIと略す)及びその誘導体、トリレ
ンジイソシアネート(以下、TDIと略す)及びその誘
導体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
(以下、MDIと略す)及びその誘導体、キシリレンジ
イソシアネート(以下、XDIと略す)及びその誘導
体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略
す)及びその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート(以下、TMDIと略す)及びその誘導体、
水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導
体、水添XDI及びその誘導体などを挙げることができ
る。さらに、“スミジュール”(商品名,住友バイエル
ウレタン(株)製)、“デスモジュール”(商品名,住
友バイエルウレタン(株)製)、“コロネート”(商品
名,日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシア
ネート化合物も使用できる。
【0063】硬化剤としてポリイソシアネート化合物を
用いる場合、ポリイソシアネート化合物のイソシアネー
ト基と上記イ)のポリエステル化合物及び上記ロ)のポ
リオールの水酸基との配合比[NCO/OH]はモル比
で0.8〜1.2、より好ましくは0.90〜1.10
の範囲とすることが望ましい。[NCO/OH]のモル
比が0.8未満では塗膜の硬化が不十分であり、所望の
塗膜硬度及び強度が得られない。一方、[NCO/O
H]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネー
ト基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との
副反応が生じて、塗膜の加工性が低下する。
【0064】硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、
ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドと
の反応で得られる樹脂、及びこれらをメタノール、ブタ
ノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化した
ものが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n
−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹
脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラ
ミン樹脂などを挙げることができる。さらに、“サイメ
ル”(商品名,三井サイアナミッド(株)製)、“ユー
バン”(商品名,三井東圧化学(株)製、“スミマー
ル”(商品名,住友化学工業(株)製)、“メラン”
(商品名,日立化成工業(株)製)などの市販のアミノ
樹脂も使用できる。
【0065】硬化剤としてアミノ樹脂を用いる場合、ア
ミノ樹脂と上記イ)のポリエステル化合物及び上記ロ)
のポリオールとの配合比(固形分の重量比)は[ポリエ
ステル化合物]+[ポリオール]/[アミノ樹脂]:9
5/5〜65/35、望ましくは90/10〜75/2
5の割合とするのが好ましい。上記ハ)の硬化剤の配合
量は、樹脂固形分中での割合で9〜50重量%とする。
この硬化剤の配合量が9重量%未満では塗膜硬度が不十
分であり、一方、50重量%を超えると加工性が不十分
となる。また、上塗り塗膜には目的や用途に応じてワッ
クスを適量配合することができる。このワックスとして
は、天然ワックスまたは合成ワックスを用いることがで
きる。
【0066】また、上塗り塗膜用の塗料組成物には目的
や用途に応じて、p−トルエンスルホン酸、オクトエ酸
錫、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキソエート
鉛などの硬化触媒、;炭酸カルシウム、カオリン、クレ
ー、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、マイカ、弁
柄、マンガンブルー、カーボンブラック、アルミニウム
粉、パールマイカなどの顔料;その他、消泡剤、流れ止
め剤などの各種添加剤を適宜配合することができる。こ
の上塗り塗膜の膜厚は10〜20μmとすることが好ま
しい。膜厚が10μm未満では上塗り塗膜としての総合
的な塗膜性能が十分に得られない恐れがあり、一方、膜
厚が20μmを超えると塗膜硬度が低下する。
【0067】上塗り塗膜を形成するための塗料組成物を
実際に使用するに当っては、これらを有機溶剤に溶解し
て使用する。使用する有機溶剤としては、例えば、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、ソルベッソ100(商品名,エクソン化学社
製)、ソルベッソ150(商品名,エクソン化学社
製)、ソルベッソ200(商品名,エクソン化学社
製)、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ
アセテート、カルビトール、エチルカルビトール、ブチ
ルカルビトール、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテ
ル、石油ナフサなどが挙げられる。上塗り塗膜用の塗料
組成物を調整するに当っては、サンドグラインドミル、
ボールミル、ブレンダーなどの通常の分散機や混練機を
選択して使用し、各成分を配合することができる。
【0068】上塗り塗膜の塗装方法に特に制約はない
が、好ましくは塗料組成物をロールコーター塗装、カー
テンフロー塗装などの方法で塗布するのがよい。上記し
た下塗り塗膜の上に上塗り塗膜用の塗料組成物を塗装
後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などの加熱手段に
より塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて硬化塗膜を得
る。上塗り塗膜を加熱硬化させる際の焼付処理は、通
常、最高到達板温を180〜260℃程度とし、この温
度範囲で約30秒〜3分の焼付を行う。なお、本発明の
プレコート鋼板は、上塗り塗膜の上にさらに塗膜(例え
ば、クリアー塗膜)を形成し、3コート・3ベークで使
用してもよい。
【0069】
【実施例】下地鋼板である板厚0.5mmの溶融亜鉛め
っき鋼板(片面当りのめっき付着量:30g/m)を
脱脂後、コロイダルシリカ:5重量部、オルソリン酸ア
ンモニウム:1重量部、ポリアクリル酸:1重量部、
水:93重量部の組成の化成処理液を乾燥皮膜付着量が
Si換算で65mg/mになるように塗布した後、到
達板温80℃の乾燥処理を行なって化成処理皮膜を形成
し、その上に表1に示す組成のポリエステル樹脂を用い
て、表2〜表5に示す組成に調整した下塗り塗膜用の塗
料組成物を所定の乾燥膜厚になるように塗布した後、焼
付温度(到達板温)215℃、焼付時間60秒の焼付処
理を行なって下塗り塗膜を形成し、さらにその上に、表
6に示す組成の上塗り塗膜用の塗料組成物を乾燥膜厚が
15μmになるように塗布した後、焼付温度(到達板
温)230℃、焼付時間60秒の焼付処理を行なって上
塗り塗膜を形成し、本発明例及び比較例のプレコート鋼
板を得た。これらプレコート鋼板の性能を表7、表8に
示す。
【0070】表2〜表5に示す下塗り塗膜用の塗料組成
物は、以下のようにして調整した。 [下塗り塗膜用の塗料組成物] (1)ポリエステル樹脂の調製 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置および温度計を備
えた反応容器に、表1に示すような配合でテレフタル酸
ジメチル、イソフタル酸ジメチル、エチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール及び酢酸マンガンを仕込
み、窒素雰囲気中において160〜220℃の温度で、
約4時間かけて段階的に昇温させエステル交換反応を行
い、メタノールを留出させた。さらに、0.5〜5.0
mmHgの減圧下、260℃で約2時間重縮合反応さ
せ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹
脂は、シクロヘキサノン/ソルベッソ150の混合溶剤
(重量比50/50)に溶解し、不揮発分40%に調製
した。また、ポリエステル樹脂の分子量は重縮合反応時
間により調節した。分子量は、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーを用い、ポリスチレン換算の数平均分
子量を測定した。
【0071】(2)下塗り塗膜用防錆添加成分PG-1の製
造 表2〜表5に示す配合となるように防錆添加成分PG-1を
調製した。調製手順は、まず、水に分散させた酸化亜鉛
を50℃まで加熱し、リン酸を加えることによりオルト
リン酸亜鉛を生成させた後、炭酸カルシウム及び硝酸を
加え、さらに珪酸ナトリウムを加え、水洗、濾過、乾燥
を行った後粉砕した。 (3)下塗り塗膜用の塗料組成物の製造 上記(1)で得られたポリエステル樹脂を用いて、表2
〜表5に示すような配合割合で塗料組成物P-1〜P-23を
製造した。これら塗料組成物には防錆添加成分が含まれ
ており、粒度が5μm以下になるまでサンドミルで分散
させた。
【0072】表6に示す上塗り塗膜用の塗料組成物は、
以下のようにして調整した。 [上塗り塗膜用の塗料組成物] (1)ポリエステル化合物の調整 加熱装置、撹拌機、精留塔及び温度計を備えた反応容器
に、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルエーテ
ル(以下、“2,6−NDCM”という)を0.5mo
l、1,4−ブタンジオールを1.02mol入れ、2
00℃で加熱溶融した。その後、触媒としてチタニウム
テトラ−n−ブトキシドを2,6−NDCMに対して
0.06mol%添加し、反応温度を段階的に240℃
まで上げていき、理論量のメタノール32g(1.0m
ol)が留出したところで反応を終了した。これにより
ポリエステル化合物を得た。このポリエステル化合物の
還元粘度は0.04dl/gであった。
【0073】このポリエステル化合物の化学構造式を以
下に示す。
【化4】
【0074】(2)ポリエステルポリオールの調整 加熱装置、撹拌機、精留塔、減圧装置及び温度計を備え
た反応容器に、テレフタル酸ジメチルを174.6部、
イソフタル酸ジメチルを213.4部、エチレングリコ
ールを93.0部、ネオペンチルグリコールを52.0
部、酢酸マンガン触媒を1.5部仕込み、窒素雰囲気中
180〜210℃でエステル交換反応を行い、メタノー
ルを留出させた。さらに、トリメチロールプロパンを
6.1部加え、250℃まで加熱しながら10mmHg
まで徐々に減圧して重合反応を行い、シクロヘキサノン
溶剤により不揮発分70%に調節した。このようにして
ポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステル
ポリオールは、GPCにより求めた数平均分子量(Mn)
が3000、無水フタル酸−ピリジン法で求めた水酸基
価が60.0mgKOH/gであった。
【0075】(3)上塗り塗膜用の塗料組成物の製造 上記(1)、(2)で得られたポリエステル化合物及び
ポリエステルポリオールに表6に示すような配合割合で
硬化剤、顔料、硬化触媒及び添加剤を配合した後、直径
約1mmのガラスビーズを入れたサンドミルを用いて約
30分間分散させた。さらに、シクロヘキサノンを加え
て不揮発分が60%になるように調整し、塗料組成物C-
1,C-2を製造した。
【0076】以下に、プレコート鋼板の性能試験の試験
方法と評価方法について示す。 (1)鉛筆硬度 三菱鉛筆“ユニ”を使用してJIS K 5400の8.
4に基づいて試験を行い、塗膜に傷が付かない硬度限界
を示した。
【0077】(2)円筒絞り加工性 円筒絞り加工機を用い、サイズ10cm×10cmの試
験片に対して、試料サイズ:90φ、ダイス:42.4
φ5R、プランジャー:40.4φ4R、ホールド圧:
2.0tonの円筒絞り加工条件で成形加工を行い、成
形加工後の塗膜表面を観察し、下記により評価した。 ○:全く異常なし △:わずかに傷の発生が認められる ×:明らかな傷の発生が認められる(異常あり)
【0078】(3)加工部耐食性(1) 2T折り曲げ試験片に対して塩水噴霧試験(SST試
験)を480時間実施した後、2T折り曲げ部に粘着テ
ープを貼着・剥離し、2T折り曲げ部の塗膜の剥離率
(面積率:%)を測定し、下記により評価した。 ○:塗膜剥離率10%以下 △:塗膜剥離率10%超、50%以下 ×:塗膜剥離率50%超
【0079】(4)クロスカット部耐食性(1) 下地に達するクロスカットを入れた試験片に対して塩水
噴霧試験(SST試験)を480時間実施した後、クロ
スカット部の最大フクレ幅を測定し、下記により評価し
た。 ○:最大フクレ幅が3mm未満 △:最大フクレ幅が3〜5mm ×:最大フクレ幅が5mm超
【0080】(5)加工部耐食性(2) 2T折り曲げ試験片に対して複合サイクル試験を300
サイクル実施した後、2T折り曲げ部に粘着テープを貼
着・剥離し、2T折り曲げ部の塗膜の剥離率(面積率:
%)を測定し、下記により評価した。なお、複合サイク
ル試験方法は、塩水噴霧(30℃,0.5h)、湿潤
(30℃,95±3%RH,0.5h)、熱風乾燥(5
0℃,2h)、熱風乾燥(30℃,2h)を1サイクル
として、これを繰り返し行った。 ○:塗膜剥離率10%以下 △:塗膜剥離率10%超、50%以下 ×:塗膜剥離率50%超
【0081】(6)クロスカット部耐食性(2) 下地に達するクロスカットを入れた試験片に対して複合
サイクル試験を300サイクル実施した後、クロスカッ
ト部の最大フクレ幅を測定し、下記により評価した。な
お、複合サイクル試験方法は、塩水噴霧(30℃,0.
5h)、湿潤(30℃,95±3%RH,0.5h)、
熱風乾燥(50℃,2h)、熱風乾燥(30℃,2h)
を1サイクルとして、これを繰り返し行った。 ○:最大フクレ幅が3mm未満 △:最大フクレ幅が3〜5mm ×:最大フクレ幅が5mm超 (7)環境調和性 ○:塗膜にクロム系化合物を含まない ×:塗膜にクロム系化合物を含む
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【発明の効果】以上述べたように本発明のプレコート鋼
板は、環境調和性、クロスカット部耐食性、加工部耐食
性、塗膜硬度及び成形加工性のいずれにも優れており、
このため家電製品、建材、自動車などの用途において高
度の環境調和性、クロスカット部耐食性、加工部耐食
性、塗膜硬度及び成形加工性が求められる部位に用いら
れるプレコート鋼板として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 5/08 C09D 5/08 167/00 167/00 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−84466(JP,A) 特開 平7−118871(JP,A) 特開 平10−44306(JP,A) 特開 平11−57609(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 1/00 - 35/00 C23C 28/00 C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリカ微粒子とその結合剤である水溶性
    又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩
    は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを含む化
    成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に、下
    塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形
    成されたプレコート鋼板であって、 前記下塗り塗膜が、防錆添加成分として下記(a)〜(c)の
    成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
    塩、下記(c)の成分として添加される塩及びその他のC
    a含有化合物の一部として含有されるCaを含む):樹
    脂固形分100重量部に対してCa換算量で1〜30重
    量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
    量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
    部に対してPO換算量で1〜30重量部 且つ前記(a)〜(c)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
    成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
    塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
    塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
    重量部に対して5〜100重量部であることを特徴とす
    る環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 シリカ微粒子とその結合剤である水溶性
    又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩
    は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを含む化
    成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に、下
    塗り塗膜が形成され、さらにその上層に上塗り塗膜が形
    成されたプレコート鋼板であって、 前記下塗り塗膜が、防錆添加成分として下記(a)〜(d)の
    成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
    塩、下記(c)の成分として添加される塩、下記(d)の成分
    として添加される塩及びその他のCa含有化合物の一部
    として含有されるCaを含む):樹脂固形分100重量
    部に対してCa換算量で1〜30重量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
    量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
    部に対してPO換算量で1〜30重量部 (d)モリブデン酸塩、タングステン酸塩、亜リン酸塩、
    ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中から選ばれる1種又は2種
    以上:樹脂固形分100重量部に対して1〜50重量部 且つ前記(a)〜(d)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
    成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
    塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
    塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
    重量部に対して5〜100重量部であることを特徴とす
    る環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
  3. 【請求項3】 上塗り塗膜が、樹脂成分として下記イ)
    〜ハ)を含有する塗料組成物を塗布して形成した塗膜で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境調和
    性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。 イ)一般式(1) 【化1】 を繰り返し単位とするポリエステル化合物:樹脂固形分
    中での割合で1〜15重量% ロ)ポリエステル樹脂及び/又はアクリル樹脂:樹脂固
    形分中での割合で40〜90重量% ハ)硬化剤であるイソシアネート化合物及び/又はアミ
    ノ樹脂:樹脂固形分中での割合で9〜50重量%
  4. 【請求項4】 下塗り塗膜を形成する塗料組成物中の主
    剤樹脂成分がポリエステル樹脂及び/又はエポキシ変性
    ポリエステル樹脂であり、下塗り塗膜の膜厚が2〜20
    μmであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載
    の環境調和性と加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
  5. 【請求項5】 化成処理皮膜中のシリカ微粒子と結合剤
    の配合割合が固形分重量比でシリカ微粒子/結合剤=1
    /0.01〜1/10であることを特徴とする請求項
    1、2、3又は4に記載の環境調和性と加工部耐食性に
    優れたプレコート鋼板。
  6. 【請求項6】 化成処理皮膜の付着量がシリカ微粒子の
    Si換算量で5〜200mg/m であることを特徴と
    する請求項1、2、3、4又は5に記載の環境調和性と
    加工部耐食性に優れたプレコート鋼板。
  7. 【請求項7】 シリカ微粒子とその結合剤である水溶性
    又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩
    は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを含む化
    成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に、防
    錆添加成分として下記(a)〜(c)の成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
    塩、下記(c)の成分として添加される塩及びその他のC
    a含有化合物の一部として含有されるCaを含む):樹
    脂固形分100重量部に対してCa換算量で1〜30重
    量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
    量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
    部に対してPO換算量で1〜30重量部 且つ前記(a)〜(c)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
    成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
    塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
    塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
    重量部に対して5〜100重量部である下塗り塗膜用の
    塗料組成物を塗布した後、180〜260℃の到達板温
    で焼付処理し、次いで、上塗り塗膜用の塗料組成物を塗
    布した後、180〜260℃の到達板温で焼付処理する
    ことを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に優れたプ
    レコート鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】 シリカ微粒子とその結合剤である水溶性
    又は水分散性有機高分子、酸素酸塩(但し、クロム酸塩
    は除く)の中から選ばれる1種又は2種以上とを含む化
    成処理皮膜が形成された亜鉛系めっき鋼板の表面に、防
    錆添加成分として下記(a)〜(d)の成分を含有し、 (a)Ca成分(但し、下記(b)の成分として添加される
    塩、下記(c)の成分として添加される塩、下記(d)の成分
    として添加される塩及びその他のCa含有化合物の一部
    として含有されるCaを含む):樹脂固形分100重量
    部に対してCa換算量で1〜30重量部 (b)SiO及び/又はケイ酸塩:樹脂固形分100重
    量部に対してSiO換算量で1〜35重量部 (c)リン酸及び/又はリン酸塩:樹脂固形分100重量
    部に対してPO換算量で1〜30重量部 (d)モリブデン酸塩、タングステン酸塩、亜リン酸塩、
    ホウ酸塩、メタホウ酸塩の中から選ばれる1種又は2種
    以上:樹脂固形分100重量部に対して1〜50重量部 且つ前記(a)〜(d)の防錆添加成分の配合量(但し、Ca
    成分についてはCa換算量、SiO及び/又はケイ酸
    塩についてはSiO換算量、リン酸及び/又はリン酸
    塩についてはPO換算量)の合計が樹脂固形分100
    重量部に対して5〜100重量部である下塗り塗膜用の
    塗料組成物を塗布した後、180〜260℃の到達板温
    で焼付処理し、次いで、上塗り塗膜用の塗料組成物を塗
    布した後、180〜260℃の到達板温で焼付処理する
    ことを特徴とする環境調和性と加工部耐食性に優れたプ
    レコート鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 化成処理皮膜中のシリカ微粒子と結合剤
    の配合割合が固形分重量比でシリカ微粒子/結合剤=1
    /0.01〜1/10であることを特徴とする請求項7
    又は8に記載の環境調和性と加工部耐食性に優れたプレ
    コート鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 化成処理皮膜の付着量がシリカ微粒子
    のSi換算量で5〜200mg/m であることを特徴
    とする請求項7、8又は9に記載の環境調和性と加工部
    耐食性に優れたプレコート鋼板の製造方法。
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