JP3512614B2 - 電圧制御型高周波発振装置 - Google Patents
電圧制御型高周波発振装置Info
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- JP3512614B2 JP3512614B2 JP29919597A JP29919597A JP3512614B2 JP 3512614 B2 JP3512614 B2 JP 3512614B2 JP 29919597 A JP29919597 A JP 29919597A JP 29919597 A JP29919597 A JP 29919597A JP 3512614 B2 JP3512614 B2 JP 3512614B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、2つの発振出力信
号を導出するデュアルモード型の電圧制御型高周波発振
装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、移動体通信装置やその他の通
信装置の送信用発振器、受信部の局部発振器に用いられ
る電圧制御型高周波発振装置が知られている。 【0003】最近、携帯電話、自動車電話等の様々な移
動体通信機器が普及しているが、一部の通信システムで
は、チャンネル数の不足が深刻化している。これらの問
題を解決するための新しいシステムが運用されるように
なるが、この普及段階においては、従来のシステムと新
しいシステムの併用が可能なデュアルバンド対応の通信
機が必要となる。デュアルバンド対応の通信機には、2
つの周波数帯域の発振出力信号を用いる必要があり、通
常、発振周波数帯域が異なる2つの発振器を用いてい
た。このような場合には、例えば1つの移動体通信機器
中に、2つの発振周波数をえるために2つの発振器を用
いることが考えられる。しかし、当然、通信機器が大型
化してしまい、特に、移動体通信機の小型化の流れと逆
行してしまう。 【0004】通常、電圧制御型発振回路における発振周
波数の制御は、図5に示すように、共振回路部の共振線
路の信号側端部に接続されたバリキャップダイオードC
Vに印加される電圧VTを制御して、共振回路部AのL
−C共振回路の容量成分を所定値に設定し、所定発振周
波数の発振出力を得ていた。しかし、上述のように根本
的に周波数バンドの異なる発振信号を図5のようなバリ
キャップダイオードCVのような容量変化範囲に限界の
ある素子を用いて達成しようとすることは不可能であ
る。尚、図5でBは負性抵抗回路部であり、Cは増幅回
路部である。 【0005】そこで、1つの発振装置で異なる周波数帯
域の発振出力が得られる電圧制御型発振装置として、本
出願人は先に、図6に示すような電圧制御型高周波発振
装置を提案した。即ち、共振回路部Aを構成する共振素
子またはストリップ線路などの共振線路A1 の途中に、
共振線路A1 の線路長を切り換えるスイッチ部A2 を設
けていた。このスイッチ部A2 は切り換え電圧VSが供
給されるスイッチングダイオードDVを有している。即
ち、所定切り換え電圧VS(VSOFF )でスイッチ部A
2 がOFF状態においては、共振線路A1 は初期状態で
動作する。また、所定切り換え電圧VS(VSON)でス
イッチ部A2 がON状態(VSOFF )においては、共振
線路の途中がスイッチ部A2 のスイッチングダイオード
DVを介してグランドに短絡するため、共振線路A1 を
含むL−C共振回路は初期状態に比較して、非常に高い
周波数で共振動作を行う。従って、図6の電圧制御型高
周波発振装置は、スイッチ部A2 をON−OFF制御す
る切り換え電圧VSにより、離散的な周波数で2つの発
振出力を導出することができる。 【0006】このような発振装置の共振回路部Aの共振
線路A2 は、例えば、誘電体基板の表面にCuなどの低
抵抗金属材料を主成分とする導体膜からなり、Cu系の
導電性ペーストを印刷、焼き付けして形成する。このた
め、各発振装置毎に製造上のバラツキに起因する共振周
波数のバラツキが生じてしまう。このバラツキを修正す
る方法として、図7に示すように、共振線路A1 のグラ
ンド側の端部に共振周波数調整用導体Pを設け、この調
整用導体膜をレーザー照射によりその一部を除去して、
共振線路A1 が所定共振周波数で動作するように調整し
ていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし上述のように、
1つの共振線路で離散的な2つの周波数の発振出力させ
ているため、一方の共振動作(スイッチ部A2 がON)
中の共振周波数をモニタリングしながら、共振周波数の
調整をおこなうと、他方の共振動作(スイッチ部A2 が
OFF)においては、共振周波数調整精度が変動してし
まい、共振周波数調整精度が劣化することから、製造バ
ラツキによる共振子周波数が所望な値で動作させる発振
回路は困難であった。 【0008】例えば、図8に示すようになる。図8にお
いて、縦軸は、増幅部から出力される発振出力の発振周
波数(相対値)であり、横軸は、共振回路部のバリキャ
ップダイオードCVに印加される制御電圧VT(相対
値)である。また、実線A、Bは、初期状態(共振周波
数の調整前)の特性であり、点線A、Bは、調整後の特
性であり、さらに、実線A、点線Aは、スイッチ部をO
Nにした状態の高い周波数の発振動作をさせた場合であ
り、実線B、点線Bは、スイッチ部をOFF状態の低い
周波数の発振動作をさせた場合の特性である。 【0009】図から明らかなように、調整前の2つの発
振周波数の特性(実線A、B)は、制御電圧VTの変化
による発振周波数の傾きは同一である。即ち、切り換え
電圧VSの切り換えによる周波数シフト量Δfは、制御
電圧VTの制御によらず一定であった。しかし、共振周
波数調整用導体が、スイッチ部A2 がOFF時に、共振
線路A1 のインダクタンス成分に大きく影響して、スイ
ッチ部A2 がON時に、共振線路A1 の途中で強制的に
グランド電位に短絡された場合、その影響度が少ないた
め、切り換え電圧VSによる周波数シフト量Δf’が、
Δf’≧Δfとなってしまう。 【0010】従って、製造時のバラツキを補正するため
に共振周波数調整処理によって、離散的な2つの周波数
の周波数シフト量が変動することは、2つの発振周波数
の出力を行う発振回路にとっては致命的な欠点であり、
この周波数シフト量の変動を、さらに、制御電圧VT
(バリキャップダイオードCVの容量成分)で補正しな
くてはならいようになる。 【0011】しかも、低い周波数側の調整後における、
制御電圧VTの変化に対する発振周波数の傾きが変動し
てしまうため、この制御電圧VTでも動作中に補正しな
くてはせならず、制御電圧の設定が、共振周波数調整用
導体の調整度合いによって適宜制御しなくてはならない
という事態が発生する。 【0012】本発明は、上述の問題点に鑑みて案出され
たものであり、その目的は、共振線路の周波数調整によ
る離散的な2つの発振出力の発振特性を、製造バラツキ
による周波数調整を非常に安定して行うことができ、特
に、調整度合いに係わらず離散的なかつの周波数シフト
量を略一定することが電圧制御型発振装置を提供するも
のである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明によれは、共振周
波数の離散的な切り換えが可能な共振線路を有する共振
回路部と、前記共振回路部の共振条件を調整する負性抵
抗回路部と、前記負性抵抗回路部と共動して負性抵抗回
路部からの信号を増幅する増幅回路部から成る電圧制御
型発振装置において、前記共振線路の信号電位側端部及
びグランド側端部の各々に共振周波数調整用導体膜を形
成したことを特徴とする電圧制御型高周波発振装置であ
る。 【0014】 【作用】以上のように、本発明の電圧制御型高周波発振
装置は、共振周波数を離散的に切り換え可能、例えば、
共振線路の途中を強制的に短絡するためのスイッチ部が
接続されている共振線路を有している。従って、この共
振線路の短絡制御により、発振周波数が離散的な関係で
ある2種類の周波数を発生させることができる。 【0015】そして、この共振線路の両端部、信号側の
端部とスイッチ部がOFF状態の共振線路のグランド側
の端部とに、各々共振周波数調整用導体膜を形成してい
る。 【0016】従って、共振線路の信号側の端部に形成し
た共振周波数調整用導体膜の調整度合は、切り換えスイ
ッチ部のON−OFFにかかわらず、共振動作に影響す
ることになる。また、共振線路のグランド側の端部の共
振周波数調整用導体膜の調整度合は、切り換えスイッチ
部のOFF時のみに共振動作に影響することになる。 【0017】スイッチ部がON時の調整を信号側の端部
の共振周波数調整用導体膜で発振周波数調整を行い、ス
イッチ部がOFF時の発振特性を、共振線路のグランド
側の共振周波数調整用導体膜で周波数調整を行うことに
より、切り換え電圧のON−OFFにかかわらず、両者
の発振周波数差を調整前と略同一にすることができる。 【0018】これにより、共振線路の製造上のバラツキ
を補正する周波数調整を行っても、離散的な2つの発振
周波数の制御電圧による発振周波数の変化率が同一とな
り、非常に安定した2つの発振出力が可能な電圧制御型
発振装置となる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の電圧制御型高周波
発振装置を図面に基づいて説明する。 【0020】図1は、第1の発明の電圧制御型高周波発
振装置を構成する回路図である。 【0021】本発明の電圧制御型高周波発振装置は、制
御電圧VT、切り換え電圧VSが供給され、さらに、ス
イッチ部A2 を有する共振回路部Aと、負性抵抗回路部
Bと、増幅回路部Cとから構成されている。尚、必要に
応じて発振回路部Cの後段に、基本発振信号処理回路部
や通過帯域特性の切り換えが可能なフィルタ回路部を配
置する。 【0022】共振回路部Aは、同軸共振素子やストリッ
プライン等の共振線路、制御電圧VTが供給されるバリ
キャップダイオードCV、共振容量を規定する共振回路
A1と、切り換え電圧VSが供給されるスイッチ部A2
とから構成されている。 【0023】この共振回路部Aは、上述の共振線路で得
られる少なくともインダクタ成分と共振容量成分とによ
ってL−C共振回路を構成し、所定共振周波数で動作す
る。 【0024】そして、外部から制御電圧VTがバリキャ
ップダイオードCVに供給されると、共振回路部Aの容
量成分が連続的に変化して、これにより共振回路部Aの
共振周波数が微小または連続的に変化させることができ
る。 【0025】また、スイッチ部A2 は共振線路A1 のス
トリップ線路の途中に接続された、グランド電位に短絡
させるバイパス線路を構成するものであり、切り換え端
子からの切り換え電圧VSによって、共振線路A1 の途
中をグランド電位に短絡させるものである。例えば、共
振線路A1 の途中には、切り換え電圧VSの供給によ
り、ON−OFF動作するスイッチングダイオードDV
が配置されている。 【0026】従って、スイッチ部A2 がOFF状態で
は、共振線路A1 の途中に接続したスイッチ部A2 が機
能せず、共振線路A1 のグランド側の端部がグランド電
位となり、通常の共振線路として動作する。また、スイ
ッチ部A2 がON状態では、共振線路A1 の途中がスイ
ッチ部A2 を介して、グランド電位に強制的に短絡され
ることになり、共振線路1 が動作上に短くなり、共振周
波数が高周波側にシフトすることになる。 【0027】負性抵抗回路部Bは、トランジスタ、抵抗
などを備え、共振回路部Aとの発振条件を満たした周波
数を安定して出力するための回路である。 【0028】増幅回路部Cは、主にトランジスタ、抵抗
などを備え、負性抵抗回路部Bのトランジスタと共動し
て、負性抵抗回路部A2 からの信号を増幅する回路であ
る。 【0029】この増幅回路部Bには、バイアス電源端子
Vcc、発振出力xを出力する端子Xが具備されてい
る。 【0030】結局、共振回路部Aは所定共振周波数で動
作を行い、負性抵抗回路部B、増幅回路部Cとにより、
制御電圧VT及び切換電圧VSの供給による発振周波数
の発振信号Xを出力する。 【0031】特に、切換電圧VSの供給により、スイッ
チ回路部A2 のON−OFF動作により、発振周波数が
離散的な関係の2つの発振出力の一方が得られることに
なる。 同時に、バリキャップダイオードCVに供給さ
れる制御電圧VTによって、一方及び他方の発振周波数
での連続的または微小変化を制御することができる。 【0032】尚、信号処理回路部は、例えば、2つの離
散的な周波数の発振出力のうち、一方の周波数帯の発振
出力をそのまま出力し、他方の発振出力を周波数逓倍化
処理する回路などが例示でき、信号処理回路の動作は、
上述したスイッチ部A2 に連動させておけばよい。フィ
ルタ回路部は、主にコンデンサ、リアクタンス素子から
成り、周波数逓倍化回路部からの信号中のレベルを向上
させた特定高調波の周波数成分のみを通過させる回路で
ある。 【0033】次に、本発明の特徴的な部分である共振回
路部Aの共振線路A1 について詳細に説明する。尚、共
振線路A1 として、ストリップ線路を用いた例で説明す
る。 【0034】共振線路A1 のストリップ線路は、図2
は、所定誘電率の誘電体基板10上に、Cuを主成分と
した導電性ペーストを用いて所定形状に形成された厚膜
導体膜から構成されている。このようにCuの厚膜導体
膜からなる共振線路は、所定幅、所定長さを有するスト
リップ線路本体11と、ストリップ線路本体11のグラ
ンド側端部に形成された共振周波数調整用導体12と、
ストリップ線路本体11の信号側端部に形成された共振
周波数調整用導体13と、ストリップ線路本体11の途
中に延びるスイッチ部A2 接続パッド14とを備えてい
る。従って、導電性ペーストを用いた印刷精度のバラツ
キにより、ストリップ線路本体11の画一化せず、所望
の周波数特性が若干ずれ状態となってしまう(製造バラ
ツキという)。 【0035】尚、共振周波数調整用導体12は、図1中
で符号P1 で示し、共振周波数調整用導体13は、図1
中で符号P2 で示している。即ち、共振周波数調整用導
体12は、ストリップ線路本体11と共振容量成分との
間に配置されている。また、共振周波数調整用導体12
は、ストリップ線路本体11とグランド電位との間に配
置されている。 【0036】そして、上述の共振周波数調整用導体1
2、13の一部、例えば、導体の膜幅を除去し、また、
実質的に導体の実質的な長さを延長するように切り込み
を形成して、共振周波数調整用導体12、13のインピ
ーダンスを変化させる。これにより、ストップ線路本体
11を含めた全体の共振線路のインダクタンス成分が変
化して所定共振周波数に調整できる。具体的には、共振
周波数調整用導体12、13の導体幅を狭めるように、
YAGレーザーなどを照射して、導体の一部を焼失させ
る。 【0037】尚、スイッチ部A2 に接続する接続パッド
14は、図2には省略しているが、スイッチ部A2 構成
するコンデンサ、スイッチングダイオードが接続され、
このスイッチングダイオードを介して、グランド電位に
接続されている。 【0038】次に、共振線路A1 の共振周波数の調整動
作について説明する。 【0039】まず、離散的な2つの周波数の発振出力の
うち、例えば、低い側の周波数(スイッチ部A2 を動作
させていない状態)の所望発振周波数をF1 とし、高い
側の周波数(スイッチ部A2 を動作させた状態)の所望
発振周波数をF2 とし、その周波数シフト量ΔFはF2
−F1 となる。 【0040】また、製造バラツキを含んだ状態(初期状
態)の低い側の周波数(スイッチ部A2 を動作させてい
ない状態)の発振周波数をf1 とし、高い側の周波数
(スイッチ部A2 を動作させた状態)の発振周波数をf
2 とし、その周波数シフト量Δfはf2 −f1 となる。 【0041】まず、調整にあたり、スイッチ部A2 がO
FF状態となるように切り換え電圧VSを制御して、共
振回路部Aを動作させて、増幅回路部Cから発振周波数
f1の発振出力を得る。そして、この実際の発振周波数
f1 と所望周波数F1 との誤差を確認して、所望周波数
F1 よりも若干高い周波数となるように調整する。具体
的には、共振周波数調整用導体12をレーザー照射によ
り、そのインピーダンスを増大さて、共振線路A1 全体
のインダクタンス成分を微小増加させて1次調整を行う
(調整量δf1 ) この状態で、スイッチ部A2 をON状態すると、高い側
の発振周波数f2 は共振周波数調整用導体12の導体を
狭くしたことで、発振周波数はf2 ’となる。 【0042】1次調整した後の低い側の周波数のf2 ’
は、f2 −δf1 ’となる。δf1 >δf1 ’となる。
これは、ストリップ線路本体11の途中をグランド電位
に強制的に短絡しても、ストリップ線路本体11からグ
ランド電位をみると、ストリップ線路本体11の2箇所
で並列的にグランド電位に接続されており、共振周波数
調整用導体12のインピーダンスの変化が影響するため
である。 【0043】即ち、1次調整後のスイッチ部A2 がOF
F状態の発振周波数f1 ’は、f1-δf1となり、スイッ
チ部A2 がON状態の発振周波数f2 ’は、f2-δf1'
となる。 【0044】この状態で、離散的な2つの周波数のシフ
ト量(スイッチ部A2 のON−OFFの切り換えるよう
に周波数の離散差)は、発振周波数f1 ’では初期状態
の周波数f1 に対して比較的大きな変化量となり、発振
周波数f2 ’では初期状態の周波数f2 に比較して微小
変化量となるため、この時点の2つの発振周波数の周波
数シフト量は、初期状態からずれてしまうことになる
(従来技術の問題点)。 【0045】つづいて、スイッチ部A2 をON状態にし
たまま、高い側の1次調整後の発振周波数f2 ’に着目
して、共振周波数調整用導体13にレーザー照射などで
導体の一部を除去して、2次調整を行う(調整量δ
f2 )。この調整では、1次調整した後の高い側の周波
数のf2 ’は、所望周波数F2 となるようにする。即
ち、F2 =f2 −δf1 ’−δf2 となる。 【0046】スイッチ部A2 をOFF状態では、先の1
次調整後の周波数f1 ’は、2次調整後の影響により、
発振周波数f1 ’はF1 となる。この時、2次調整後の
発振周波数F1 はf1 −δf1 −δf2 ’となる。 【0047】しかし、δf2 >δf2 ’となるので、f
1 ’からF1 までの周波数変化量は非常に小さいものと
なる。 【0048】即ち、共振周波数調整用導体12を調整し
た周波数シフト量Δf1 を、共振周波数調整用導体13
を調整により、周波数シフト量ΔFに補正することがで
きる。同時に、離散的な2つの周波数の初期状態のシフ
ト量Δf(f2 −f1 )と2次調整後のシフト量ΔF
((f1- δf1- δf2')−(f2-δf1'-δf2 ))にお
いては、δf1- δf2'≒δf1'-δf2 とすることができ
るため、初期状態の周波数シフト量ΔFと調整後の周波
数シフト量Δfとを略同一値にすることができる。 【0049】このことは、製造バラツキを修正するため
に調整を行っても、離散的な2つの周波数のシフト量を
変化しないため、発振特性が安定した発振回路となる。 【0050】また同時に、制御電圧VTの変化による発
振周波数の変化率(図3)の特性の傾きが略同じになる
ため、高い周波数側の発振制御であっても、低い周波数
側の発振制御であっても、制御電圧VT値による発振周
波数の変化率が一定となり、制御電圧VTによる発振周
波数の連続的または微小変化の設定が非常に容易とな
る。尚、図3の各特性は制御電圧VTの変動に対する発
振周波数の変動を示す特性図であり、実線A、Bは、初
期状態の特性であり、点線A、Bは、調整後後の特性で
あり、さらに、実線A、点線Aは、スイッチ部をONに
した状態の高い周波数の発振動作をさせた場合であり、
実線B、点線Bは、スイッチ部をOFF状態の低い周波
数の発振動作をさせた場合である。 【0051】図4は、共振周波数調整導体12、13の
一例を示す。図4では、例えば、一端がグランド電位に
接続された共振周波数調整導体12である。 【0052】共振導体12には、ラダー状の導体部分か
ら成る粗調整部12aと島状の導体部から成る微調整部
12bとから構成されている。 【0053】そして、粗調整部12aは、複数の導体支
路121、122、123・・・と該導体支路121、
122、123・・・の両端部を共通的に接続する切断
導体127、128とから構成されている。従って、図
4上の斜線部分をレーザー照射によって切断(矢印)す
ることによって、インピーダンスの段階的な調整が可能
となる。 【0054】また、島状の導体部から成る微調整部12
bの一方側部が他方側部にかけてレーザー照射による切
り込み(矢印)を形成することにより、実質的に導体長
が延び、この切り込みの数、切り込み量によってインピ
ーダンスの略連続的な微調整が可能となる。 【0055】以上のような共振周波数調整用導体12、
13をストリップ線路本体11の両端に配置することに
より、両共振周波数調整用導体12、13に照射するレ
ーザー光線の箇所、照射数を任意に選択することによ
り、粗調整・微調整の調整するが可能となり、離散的な
2つの発振周波数の発振出力に切り換えても、所望どお
りの発振周波数で発振出力させることができる。 【0056】同時に、調整後の制御電圧VTの変動に対
する発振周波数の変化率に変動を抑制することができる
ため、制御電圧VTの設定も非常に容易となる。 【0057】尚、上述の実施例では、共振線路として、
ストリップ線路を用いた例で説明したが、トリプレート
型同軸共振素子として、その内導体の途中に、スイッチ
部を設けて、強制的にグランド電位に短絡させるように
しても構わない。 【0058】 【発明の効果】本発明によれば、電圧制御型高周波発振
装置から導出される離散的な2つの発振出力信号を、1
つの電圧制御型高周波発振装置で安定して出力させるこ
とができる。特に、両発振周波数のシフト量が、共振周
波数の周波数調整をおこなっても非常に安定することに
なる。
号を導出するデュアルモード型の電圧制御型高周波発振
装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、移動体通信装置やその他の通
信装置の送信用発振器、受信部の局部発振器に用いられ
る電圧制御型高周波発振装置が知られている。 【0003】最近、携帯電話、自動車電話等の様々な移
動体通信機器が普及しているが、一部の通信システムで
は、チャンネル数の不足が深刻化している。これらの問
題を解決するための新しいシステムが運用されるように
なるが、この普及段階においては、従来のシステムと新
しいシステムの併用が可能なデュアルバンド対応の通信
機が必要となる。デュアルバンド対応の通信機には、2
つの周波数帯域の発振出力信号を用いる必要があり、通
常、発振周波数帯域が異なる2つの発振器を用いてい
た。このような場合には、例えば1つの移動体通信機器
中に、2つの発振周波数をえるために2つの発振器を用
いることが考えられる。しかし、当然、通信機器が大型
化してしまい、特に、移動体通信機の小型化の流れと逆
行してしまう。 【0004】通常、電圧制御型発振回路における発振周
波数の制御は、図5に示すように、共振回路部の共振線
路の信号側端部に接続されたバリキャップダイオードC
Vに印加される電圧VTを制御して、共振回路部AのL
−C共振回路の容量成分を所定値に設定し、所定発振周
波数の発振出力を得ていた。しかし、上述のように根本
的に周波数バンドの異なる発振信号を図5のようなバリ
キャップダイオードCVのような容量変化範囲に限界の
ある素子を用いて達成しようとすることは不可能であ
る。尚、図5でBは負性抵抗回路部であり、Cは増幅回
路部である。 【0005】そこで、1つの発振装置で異なる周波数帯
域の発振出力が得られる電圧制御型発振装置として、本
出願人は先に、図6に示すような電圧制御型高周波発振
装置を提案した。即ち、共振回路部Aを構成する共振素
子またはストリップ線路などの共振線路A1 の途中に、
共振線路A1 の線路長を切り換えるスイッチ部A2 を設
けていた。このスイッチ部A2 は切り換え電圧VSが供
給されるスイッチングダイオードDVを有している。即
ち、所定切り換え電圧VS(VSOFF )でスイッチ部A
2 がOFF状態においては、共振線路A1 は初期状態で
動作する。また、所定切り換え電圧VS(VSON)でス
イッチ部A2 がON状態(VSOFF )においては、共振
線路の途中がスイッチ部A2 のスイッチングダイオード
DVを介してグランドに短絡するため、共振線路A1 を
含むL−C共振回路は初期状態に比較して、非常に高い
周波数で共振動作を行う。従って、図6の電圧制御型高
周波発振装置は、スイッチ部A2 をON−OFF制御す
る切り換え電圧VSにより、離散的な周波数で2つの発
振出力を導出することができる。 【0006】このような発振装置の共振回路部Aの共振
線路A2 は、例えば、誘電体基板の表面にCuなどの低
抵抗金属材料を主成分とする導体膜からなり、Cu系の
導電性ペーストを印刷、焼き付けして形成する。このた
め、各発振装置毎に製造上のバラツキに起因する共振周
波数のバラツキが生じてしまう。このバラツキを修正す
る方法として、図7に示すように、共振線路A1 のグラ
ンド側の端部に共振周波数調整用導体Pを設け、この調
整用導体膜をレーザー照射によりその一部を除去して、
共振線路A1 が所定共振周波数で動作するように調整し
ていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし上述のように、
1つの共振線路で離散的な2つの周波数の発振出力させ
ているため、一方の共振動作(スイッチ部A2 がON)
中の共振周波数をモニタリングしながら、共振周波数の
調整をおこなうと、他方の共振動作(スイッチ部A2 が
OFF)においては、共振周波数調整精度が変動してし
まい、共振周波数調整精度が劣化することから、製造バ
ラツキによる共振子周波数が所望な値で動作させる発振
回路は困難であった。 【0008】例えば、図8に示すようになる。図8にお
いて、縦軸は、増幅部から出力される発振出力の発振周
波数(相対値)であり、横軸は、共振回路部のバリキャ
ップダイオードCVに印加される制御電圧VT(相対
値)である。また、実線A、Bは、初期状態(共振周波
数の調整前)の特性であり、点線A、Bは、調整後の特
性であり、さらに、実線A、点線Aは、スイッチ部をO
Nにした状態の高い周波数の発振動作をさせた場合であ
り、実線B、点線Bは、スイッチ部をOFF状態の低い
周波数の発振動作をさせた場合の特性である。 【0009】図から明らかなように、調整前の2つの発
振周波数の特性(実線A、B)は、制御電圧VTの変化
による発振周波数の傾きは同一である。即ち、切り換え
電圧VSの切り換えによる周波数シフト量Δfは、制御
電圧VTの制御によらず一定であった。しかし、共振周
波数調整用導体が、スイッチ部A2 がOFF時に、共振
線路A1 のインダクタンス成分に大きく影響して、スイ
ッチ部A2 がON時に、共振線路A1 の途中で強制的に
グランド電位に短絡された場合、その影響度が少ないた
め、切り換え電圧VSによる周波数シフト量Δf’が、
Δf’≧Δfとなってしまう。 【0010】従って、製造時のバラツキを補正するため
に共振周波数調整処理によって、離散的な2つの周波数
の周波数シフト量が変動することは、2つの発振周波数
の出力を行う発振回路にとっては致命的な欠点であり、
この周波数シフト量の変動を、さらに、制御電圧VT
(バリキャップダイオードCVの容量成分)で補正しな
くてはならいようになる。 【0011】しかも、低い周波数側の調整後における、
制御電圧VTの変化に対する発振周波数の傾きが変動し
てしまうため、この制御電圧VTでも動作中に補正しな
くてはせならず、制御電圧の設定が、共振周波数調整用
導体の調整度合いによって適宜制御しなくてはならない
という事態が発生する。 【0012】本発明は、上述の問題点に鑑みて案出され
たものであり、その目的は、共振線路の周波数調整によ
る離散的な2つの発振出力の発振特性を、製造バラツキ
による周波数調整を非常に安定して行うことができ、特
に、調整度合いに係わらず離散的なかつの周波数シフト
量を略一定することが電圧制御型発振装置を提供するも
のである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明によれは、共振周
波数の離散的な切り換えが可能な共振線路を有する共振
回路部と、前記共振回路部の共振条件を調整する負性抵
抗回路部と、前記負性抵抗回路部と共動して負性抵抗回
路部からの信号を増幅する増幅回路部から成る電圧制御
型発振装置において、前記共振線路の信号電位側端部及
びグランド側端部の各々に共振周波数調整用導体膜を形
成したことを特徴とする電圧制御型高周波発振装置であ
る。 【0014】 【作用】以上のように、本発明の電圧制御型高周波発振
装置は、共振周波数を離散的に切り換え可能、例えば、
共振線路の途中を強制的に短絡するためのスイッチ部が
接続されている共振線路を有している。従って、この共
振線路の短絡制御により、発振周波数が離散的な関係で
ある2種類の周波数を発生させることができる。 【0015】そして、この共振線路の両端部、信号側の
端部とスイッチ部がOFF状態の共振線路のグランド側
の端部とに、各々共振周波数調整用導体膜を形成してい
る。 【0016】従って、共振線路の信号側の端部に形成し
た共振周波数調整用導体膜の調整度合は、切り換えスイ
ッチ部のON−OFFにかかわらず、共振動作に影響す
ることになる。また、共振線路のグランド側の端部の共
振周波数調整用導体膜の調整度合は、切り換えスイッチ
部のOFF時のみに共振動作に影響することになる。 【0017】スイッチ部がON時の調整を信号側の端部
の共振周波数調整用導体膜で発振周波数調整を行い、ス
イッチ部がOFF時の発振特性を、共振線路のグランド
側の共振周波数調整用導体膜で周波数調整を行うことに
より、切り換え電圧のON−OFFにかかわらず、両者
の発振周波数差を調整前と略同一にすることができる。 【0018】これにより、共振線路の製造上のバラツキ
を補正する周波数調整を行っても、離散的な2つの発振
周波数の制御電圧による発振周波数の変化率が同一とな
り、非常に安定した2つの発振出力が可能な電圧制御型
発振装置となる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の電圧制御型高周波
発振装置を図面に基づいて説明する。 【0020】図1は、第1の発明の電圧制御型高周波発
振装置を構成する回路図である。 【0021】本発明の電圧制御型高周波発振装置は、制
御電圧VT、切り換え電圧VSが供給され、さらに、ス
イッチ部A2 を有する共振回路部Aと、負性抵抗回路部
Bと、増幅回路部Cとから構成されている。尚、必要に
応じて発振回路部Cの後段に、基本発振信号処理回路部
や通過帯域特性の切り換えが可能なフィルタ回路部を配
置する。 【0022】共振回路部Aは、同軸共振素子やストリッ
プライン等の共振線路、制御電圧VTが供給されるバリ
キャップダイオードCV、共振容量を規定する共振回路
A1と、切り換え電圧VSが供給されるスイッチ部A2
とから構成されている。 【0023】この共振回路部Aは、上述の共振線路で得
られる少なくともインダクタ成分と共振容量成分とによ
ってL−C共振回路を構成し、所定共振周波数で動作す
る。 【0024】そして、外部から制御電圧VTがバリキャ
ップダイオードCVに供給されると、共振回路部Aの容
量成分が連続的に変化して、これにより共振回路部Aの
共振周波数が微小または連続的に変化させることができ
る。 【0025】また、スイッチ部A2 は共振線路A1 のス
トリップ線路の途中に接続された、グランド電位に短絡
させるバイパス線路を構成するものであり、切り換え端
子からの切り換え電圧VSによって、共振線路A1 の途
中をグランド電位に短絡させるものである。例えば、共
振線路A1 の途中には、切り換え電圧VSの供給によ
り、ON−OFF動作するスイッチングダイオードDV
が配置されている。 【0026】従って、スイッチ部A2 がOFF状態で
は、共振線路A1 の途中に接続したスイッチ部A2 が機
能せず、共振線路A1 のグランド側の端部がグランド電
位となり、通常の共振線路として動作する。また、スイ
ッチ部A2 がON状態では、共振線路A1 の途中がスイ
ッチ部A2 を介して、グランド電位に強制的に短絡され
ることになり、共振線路1 が動作上に短くなり、共振周
波数が高周波側にシフトすることになる。 【0027】負性抵抗回路部Bは、トランジスタ、抵抗
などを備え、共振回路部Aとの発振条件を満たした周波
数を安定して出力するための回路である。 【0028】増幅回路部Cは、主にトランジスタ、抵抗
などを備え、負性抵抗回路部Bのトランジスタと共動し
て、負性抵抗回路部A2 からの信号を増幅する回路であ
る。 【0029】この増幅回路部Bには、バイアス電源端子
Vcc、発振出力xを出力する端子Xが具備されてい
る。 【0030】結局、共振回路部Aは所定共振周波数で動
作を行い、負性抵抗回路部B、増幅回路部Cとにより、
制御電圧VT及び切換電圧VSの供給による発振周波数
の発振信号Xを出力する。 【0031】特に、切換電圧VSの供給により、スイッ
チ回路部A2 のON−OFF動作により、発振周波数が
離散的な関係の2つの発振出力の一方が得られることに
なる。 同時に、バリキャップダイオードCVに供給さ
れる制御電圧VTによって、一方及び他方の発振周波数
での連続的または微小変化を制御することができる。 【0032】尚、信号処理回路部は、例えば、2つの離
散的な周波数の発振出力のうち、一方の周波数帯の発振
出力をそのまま出力し、他方の発振出力を周波数逓倍化
処理する回路などが例示でき、信号処理回路の動作は、
上述したスイッチ部A2 に連動させておけばよい。フィ
ルタ回路部は、主にコンデンサ、リアクタンス素子から
成り、周波数逓倍化回路部からの信号中のレベルを向上
させた特定高調波の周波数成分のみを通過させる回路で
ある。 【0033】次に、本発明の特徴的な部分である共振回
路部Aの共振線路A1 について詳細に説明する。尚、共
振線路A1 として、ストリップ線路を用いた例で説明す
る。 【0034】共振線路A1 のストリップ線路は、図2
は、所定誘電率の誘電体基板10上に、Cuを主成分と
した導電性ペーストを用いて所定形状に形成された厚膜
導体膜から構成されている。このようにCuの厚膜導体
膜からなる共振線路は、所定幅、所定長さを有するスト
リップ線路本体11と、ストリップ線路本体11のグラ
ンド側端部に形成された共振周波数調整用導体12と、
ストリップ線路本体11の信号側端部に形成された共振
周波数調整用導体13と、ストリップ線路本体11の途
中に延びるスイッチ部A2 接続パッド14とを備えてい
る。従って、導電性ペーストを用いた印刷精度のバラツ
キにより、ストリップ線路本体11の画一化せず、所望
の周波数特性が若干ずれ状態となってしまう(製造バラ
ツキという)。 【0035】尚、共振周波数調整用導体12は、図1中
で符号P1 で示し、共振周波数調整用導体13は、図1
中で符号P2 で示している。即ち、共振周波数調整用導
体12は、ストリップ線路本体11と共振容量成分との
間に配置されている。また、共振周波数調整用導体12
は、ストリップ線路本体11とグランド電位との間に配
置されている。 【0036】そして、上述の共振周波数調整用導体1
2、13の一部、例えば、導体の膜幅を除去し、また、
実質的に導体の実質的な長さを延長するように切り込み
を形成して、共振周波数調整用導体12、13のインピ
ーダンスを変化させる。これにより、ストップ線路本体
11を含めた全体の共振線路のインダクタンス成分が変
化して所定共振周波数に調整できる。具体的には、共振
周波数調整用導体12、13の導体幅を狭めるように、
YAGレーザーなどを照射して、導体の一部を焼失させ
る。 【0037】尚、スイッチ部A2 に接続する接続パッド
14は、図2には省略しているが、スイッチ部A2 構成
するコンデンサ、スイッチングダイオードが接続され、
このスイッチングダイオードを介して、グランド電位に
接続されている。 【0038】次に、共振線路A1 の共振周波数の調整動
作について説明する。 【0039】まず、離散的な2つの周波数の発振出力の
うち、例えば、低い側の周波数(スイッチ部A2 を動作
させていない状態)の所望発振周波数をF1 とし、高い
側の周波数(スイッチ部A2 を動作させた状態)の所望
発振周波数をF2 とし、その周波数シフト量ΔFはF2
−F1 となる。 【0040】また、製造バラツキを含んだ状態(初期状
態)の低い側の周波数(スイッチ部A2 を動作させてい
ない状態)の発振周波数をf1 とし、高い側の周波数
(スイッチ部A2 を動作させた状態)の発振周波数をf
2 とし、その周波数シフト量Δfはf2 −f1 となる。 【0041】まず、調整にあたり、スイッチ部A2 がO
FF状態となるように切り換え電圧VSを制御して、共
振回路部Aを動作させて、増幅回路部Cから発振周波数
f1の発振出力を得る。そして、この実際の発振周波数
f1 と所望周波数F1 との誤差を確認して、所望周波数
F1 よりも若干高い周波数となるように調整する。具体
的には、共振周波数調整用導体12をレーザー照射によ
り、そのインピーダンスを増大さて、共振線路A1 全体
のインダクタンス成分を微小増加させて1次調整を行う
(調整量δf1 ) この状態で、スイッチ部A2 をON状態すると、高い側
の発振周波数f2 は共振周波数調整用導体12の導体を
狭くしたことで、発振周波数はf2 ’となる。 【0042】1次調整した後の低い側の周波数のf2 ’
は、f2 −δf1 ’となる。δf1 >δf1 ’となる。
これは、ストリップ線路本体11の途中をグランド電位
に強制的に短絡しても、ストリップ線路本体11からグ
ランド電位をみると、ストリップ線路本体11の2箇所
で並列的にグランド電位に接続されており、共振周波数
調整用導体12のインピーダンスの変化が影響するため
である。 【0043】即ち、1次調整後のスイッチ部A2 がOF
F状態の発振周波数f1 ’は、f1-δf1となり、スイッ
チ部A2 がON状態の発振周波数f2 ’は、f2-δf1'
となる。 【0044】この状態で、離散的な2つの周波数のシフ
ト量(スイッチ部A2 のON−OFFの切り換えるよう
に周波数の離散差)は、発振周波数f1 ’では初期状態
の周波数f1 に対して比較的大きな変化量となり、発振
周波数f2 ’では初期状態の周波数f2 に比較して微小
変化量となるため、この時点の2つの発振周波数の周波
数シフト量は、初期状態からずれてしまうことになる
(従来技術の問題点)。 【0045】つづいて、スイッチ部A2 をON状態にし
たまま、高い側の1次調整後の発振周波数f2 ’に着目
して、共振周波数調整用導体13にレーザー照射などで
導体の一部を除去して、2次調整を行う(調整量δ
f2 )。この調整では、1次調整した後の高い側の周波
数のf2 ’は、所望周波数F2 となるようにする。即
ち、F2 =f2 −δf1 ’−δf2 となる。 【0046】スイッチ部A2 をOFF状態では、先の1
次調整後の周波数f1 ’は、2次調整後の影響により、
発振周波数f1 ’はF1 となる。この時、2次調整後の
発振周波数F1 はf1 −δf1 −δf2 ’となる。 【0047】しかし、δf2 >δf2 ’となるので、f
1 ’からF1 までの周波数変化量は非常に小さいものと
なる。 【0048】即ち、共振周波数調整用導体12を調整し
た周波数シフト量Δf1 を、共振周波数調整用導体13
を調整により、周波数シフト量ΔFに補正することがで
きる。同時に、離散的な2つの周波数の初期状態のシフ
ト量Δf(f2 −f1 )と2次調整後のシフト量ΔF
((f1- δf1- δf2')−(f2-δf1'-δf2 ))にお
いては、δf1- δf2'≒δf1'-δf2 とすることができ
るため、初期状態の周波数シフト量ΔFと調整後の周波
数シフト量Δfとを略同一値にすることができる。 【0049】このことは、製造バラツキを修正するため
に調整を行っても、離散的な2つの周波数のシフト量を
変化しないため、発振特性が安定した発振回路となる。 【0050】また同時に、制御電圧VTの変化による発
振周波数の変化率(図3)の特性の傾きが略同じになる
ため、高い周波数側の発振制御であっても、低い周波数
側の発振制御であっても、制御電圧VT値による発振周
波数の変化率が一定となり、制御電圧VTによる発振周
波数の連続的または微小変化の設定が非常に容易とな
る。尚、図3の各特性は制御電圧VTの変動に対する発
振周波数の変動を示す特性図であり、実線A、Bは、初
期状態の特性であり、点線A、Bは、調整後後の特性で
あり、さらに、実線A、点線Aは、スイッチ部をONに
した状態の高い周波数の発振動作をさせた場合であり、
実線B、点線Bは、スイッチ部をOFF状態の低い周波
数の発振動作をさせた場合である。 【0051】図4は、共振周波数調整導体12、13の
一例を示す。図4では、例えば、一端がグランド電位に
接続された共振周波数調整導体12である。 【0052】共振導体12には、ラダー状の導体部分か
ら成る粗調整部12aと島状の導体部から成る微調整部
12bとから構成されている。 【0053】そして、粗調整部12aは、複数の導体支
路121、122、123・・・と該導体支路121、
122、123・・・の両端部を共通的に接続する切断
導体127、128とから構成されている。従って、図
4上の斜線部分をレーザー照射によって切断(矢印)す
ることによって、インピーダンスの段階的な調整が可能
となる。 【0054】また、島状の導体部から成る微調整部12
bの一方側部が他方側部にかけてレーザー照射による切
り込み(矢印)を形成することにより、実質的に導体長
が延び、この切り込みの数、切り込み量によってインピ
ーダンスの略連続的な微調整が可能となる。 【0055】以上のような共振周波数調整用導体12、
13をストリップ線路本体11の両端に配置することに
より、両共振周波数調整用導体12、13に照射するレ
ーザー光線の箇所、照射数を任意に選択することによ
り、粗調整・微調整の調整するが可能となり、離散的な
2つの発振周波数の発振出力に切り換えても、所望どお
りの発振周波数で発振出力させることができる。 【0056】同時に、調整後の制御電圧VTの変動に対
する発振周波数の変化率に変動を抑制することができる
ため、制御電圧VTの設定も非常に容易となる。 【0057】尚、上述の実施例では、共振線路として、
ストリップ線路を用いた例で説明したが、トリプレート
型同軸共振素子として、その内導体の途中に、スイッチ
部を設けて、強制的にグランド電位に短絡させるように
しても構わない。 【0058】 【発明の効果】本発明によれば、電圧制御型高周波発振
装置から導出される離散的な2つの発振出力信号を、1
つの電圧制御型高周波発振装置で安定して出力させるこ
とができる。特に、両発振周波数のシフト量が、共振周
波数の周波数調整をおこなっても非常に安定することに
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧制御型高周波発振装置の回路図で
ある。 【図2】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振線路の一例を示す平面図である。 【図3】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振周波数調整前後における2つの周波数の発振周波数の
特性を示す特性図である。 【図4】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振周波数調整用導体の一例を示す平面図である。 【図5】従来の電圧制御型高周波発振装置の回路図であ
る。 【図6】従来の離散的な2つの周波数を出力する電圧制
御型高周波発振装置の回路図である。 【図7】従来の共振周波数調整用導体を有する電圧制御
型高周波発振装置の回路図である。 【図8】従来の共振周波数調整前後における2つの周波
数の発振周波数の特性を示す特性図である。 【符号の説明】 A・・・・共振回路部 A1 ・・・共振線路 A2 ・・・スイッチ部 B・・・・負性抵抗回路部 C・・・・増幅回路部 11・・・ストリップ線路本体 12、13・・共振周波数調整用導体
ある。 【図2】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振線路の一例を示す平面図である。 【図3】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振周波数調整前後における2つの周波数の発振周波数の
特性を示す特性図である。 【図4】本発明の電圧制御型高周波発振装置に用いる共
振周波数調整用導体の一例を示す平面図である。 【図5】従来の電圧制御型高周波発振装置の回路図であ
る。 【図6】従来の離散的な2つの周波数を出力する電圧制
御型高周波発振装置の回路図である。 【図7】従来の共振周波数調整用導体を有する電圧制御
型高周波発振装置の回路図である。 【図8】従来の共振周波数調整前後における2つの周波
数の発振周波数の特性を示す特性図である。 【符号の説明】 A・・・・共振回路部 A1 ・・・共振線路 A2 ・・・スイッチ部 B・・・・負性抵抗回路部 C・・・・増幅回路部 11・・・ストリップ線路本体 12、13・・共振周波数調整用導体
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 共振周波数の離散的な切り換えが可能な
共振線路を有する共振回路部と、前記共振回路部の共振
条件を調整する負性抵抗回路部と、前記負性抵抗回路部
と共動して負性抵抗回路部からの信号を増幅する増幅回
路部から成る電圧制御型発振装置において、 前記共振線路の信号電位側端部及びグランド側端部の各
々に共振周波数調整用導体膜を被着形成したことを特徴
とする電圧制御型高周波発振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29919597A JP3512614B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 電圧制御型高周波発振装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29919597A JP3512614B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 電圧制御型高周波発振装置 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11136031A JPH11136031A (ja) | 1999-05-21 |
JP3512614B2 true JP3512614B2 (ja) | 2004-03-31 |
Family
ID=17869378
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29919597A Expired - Fee Related JP3512614B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | 電圧制御型高周波発振装置 |
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-
1997
- 1997-10-30 JP JP29919597A patent/JP3512614B2/ja not_active Expired - Fee Related
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