JP3512302B2 - プレス成形用紙を使用しプレス成形により成形品を製造する方法 - Google Patents

プレス成形用紙を使用しプレス成形により成形品を製造する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレス成形用紙を使
用して加熱プレス成形を行って成形品を製造する方法、
およびそれにより得られるプレス成形品に関する。より
詳細には、本発明は、天然パルプを主原料とする特定の
プレス成形用紙を使用してプレス成形を行って、例えば
深さが50mmにも達し複雑な凹凸を有するような深絞
り成形品であっても、紙の破損を生ずることなく円滑に
製造する方法、およびそれにより得られるプレス成形品
に関する。
【0002】
【従来の技術】食品包装用のトレー容器、電気・電子部
品やその他の工業部品の包装容器などとしては、従来、
発泡ポリスチレンシートをプレス成形して製造した容
器、発泡ポリスチレンビーズをモールド成形して製造し
た容器、ポリ塩化ビニルのシートや発泡体を用いて製造
した容器などのようなプラスチック製容器が、製造の容
易性、大量生産が可能である点、経済性などの理由によ
って汎用されてきた。しかしながら、プラスチック容器
は、その使用後に焼却すると有害ガスを発生し、焼却時
に高熱を発生して焼却炉の寿命を短くし、埋め立てても
いつまでも分解されずにそのまま残留するなどの種々の
問題があり、使用済みのプラスチックの処理が近年大き
な社会問題になっている。
【0003】そこで、従来プラスチックから製造されて
いた上記したような包装容器を、パルプを用いて製造す
ることが行われるようになっており、例えば、卵の包装
容器や果物用の包装容器などでは、パルプ製の容器が実
際に用いられている。しかしながら、一般に、天然パル
プの紙は延伸性が殆どないために、紙を製造してからプ
レス成形や絞り成形を行うと、破れを生じて容器を円滑
に製造することができない。そのため、紙製(天然パル
プ製)の容器を製造する場合は、目的とする容器の外形
に合致する窪みを有する網型(例えば卵の外形に合致す
る凹部を有する網型など)を作製しておき、その網型に
よってパルプを含む抄紙原料を湿式抄紙した後、乾燥し
て紙製容器を製造(成形)する方法が一般に採用されて
いる。しかしながらこの方法は、紙製容器の製造に時間
および手間がかかり、極めて生産性が低く、これが紙製
容器が普及しない一因となっている。
【0004】そこで、紙製容器を生産性よく製造するこ
とを目的として、網型を用いる上記した紙製容器の製造
方法に代えて、 (1) 熱可塑性樹脂の合成パルプまたはこれと天然パ
ルプからなるシートに予め二次元のしわを与えた後、熱
プレス成形して成形品を製造する方法(特開昭49−1
3265号公報); (2) 樹脂加工を施した紙材から波形紙をつくり、そ
の波形紙の波状の屈曲部を延伸させつつプレス成形を行
って包装用成形品を製造する方法(特開平5−2860
23号公報);および (3) 加湿処理した原紙を接着素材を介して複数重ね
合わせ、それに絞り皺を付与した後、プレス成形して平
皿成形品を製造する方法(特開平7−214705号公
報);が提案されている。
【0005】しかしながら、上記(1)の従来法で得ら
れるしわを有するシートは、熱プレス成形時の延伸性が
十分ではなく、深さが50mmに達するような深絞りの
成形品を製造した場合には、成形品の角隅部などに穴や
破れを生じて、深絞りの成形品を円滑に製造することが
できない。また、上記(2)の従来法による場合は、紙
材に波状の凹凸を形成させて加熱プレス成形時の紙材に
伸び代を付与しているが、波状の凹凸の形成だけでは加
熱プレス成形時の紙材の延伸性が十分ではなく、そのた
めに実際には、加熱プレス成形時に波状の凹凸を付与し
た紙材を湿潤させてその伸びを大きくしてから加熱プレ
ス成形を行う方法が採用されている。そのために、湿式
抄紙後に乾燥させた得た紙材を再度湿潤させる工程が必
要であって工程的に繁雑であり、しかも加熱プレス成形
を施す紙材が湿潤状態にあるために、加熱プレス成形時
または加熱プレス成形後に湿潤した紙材を乾燥する必要
があり、その結果余分の熱や手間が必要である。
【0006】また、上記(3)の従来法による場合は、
原紙をそのまま加湿処理して、または原紙の少なくとも
片面側にポリエチレンラミネート層を設けた状態で加湿
処理して、それを複数重ね合わせて絞り皺を付与した
後、プレス成形を行うものであるために、原紙を加湿処
理するという工程が必要であって工程が複雑になる。し
かも、加湿状態にある原紙の積層体を加熱プレス成形し
ているために、加熱プレス成形時またはその後に乾燥す
る必要があり、工程面および熱効率の点で、生産性の低
下や、コスト高を招いている。その上、この(3)の従
来法による場合は、その原紙部分は基本的に天然パルプ
のみからなっているので、絞り皺を付与されているとは
言え、加熱プレス成形時の延伸性が充分に高いとは言え
ず、深さが50mmにも達し且つ複雑な凹凸を有するよ
うな深絞りの成形品を、破れを生ずることなく円滑に製
造することは実際上困難である。
【0007】また、プレス成形による紙製容器として
は、上記した(1)〜(3)の従来技術以外にも、
(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維
と木材パルプを、0:1〜1:1および1:1〜9:1
の2種類の割合で混合し抄紙して2種類の合成パルプ紙
つくり、それを2層または3層に積層して加熱プレス成
形してなる紙容器(特開昭50−27878号公報);
並びに(5)縦及び横方向の伸びが1.8%以上である
紙基質と紙基質の両面に接着剤層を介して設けた無機填
料を含有する耐熱性合成抄造紙とからなる積層体をプレ
ス成形して紙製の耐熱性容器が知られている。
【0008】しかしながら、上記(4)の従来技術で
は、紙製容器の耐水性の向上が専ら目的とされているた
めに、プレス成形時の紙材の延伸性については全く考慮
されていない。そのためそこで用いている紙材は、上記
(1)の従来法などと同様に、プレス成形時の延伸性が
十分ではなく、深さが50mmに達するような深絞りの
成形品を破れなどを生ずることなく円滑に製造すること
ができない。また、上記(5)の従来技術には、紙基質
の製造時に有機樹脂バインダーを0〜10%の割合で用
い得ることが開示されているものの、その有機樹脂バイ
ンダーの内容については具体的には記載されていない。
そして、この(5)の従来技術で実際に製造されている
紙基質は、木材パルプのみからなる紙基質であり、しか
もこの(5)の従来技術では紙基質の表面に伸びの極め
て小さい耐熱層が形成されているので積層体全体として
の延伸性が極めて小さく、深さが50mmに達し且つ複
雑な凹凸を有するような深絞りの成形品を破れなどを生
ずることなく円滑に製造することができない。
【0009】上記した(1)〜(5)の従来技術にみる
ように、網型を用いる湿式抄造成形によらずに、紙をそ
のままプレス成形して容器などの成形品を製造するため
の提案が従来から色々なされているが、簡単な工程で且
つ良好な熱効率で、プレス成形時に紙の破れなどを生ず
ることなく、成形品、特に深さが50mmにも達し且つ
複雑な凹凸を有するような深絞りの成形品を製造するこ
とのできるプレス成形用紙、および紙を用いるプレス成
形技術は未だが実用化されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、紙を湿潤させずに乾燥したままの状態でプレス
成形しても、例えば深さが50mmにも達し且つ複雑な
凹凸を有するような深絞りの成形品をも、紙の破損など
を生ずることなく、簡単な工程で且つ良好な熱効率で円
滑に製造することのできる天然パルプを主体とするプレ
ス成形用の紙を使用して、紙を湿潤させずに乾燥したま
まの状態でプレス成形して、深絞りの容器などを、簡単
な工程で且つ良好な熱効率で円滑に製造することのでき
るプレス成形方法を提供することである。さらに、本発
明の目的は、天然パルプを主体とする紙からなるプレス
成形による成形品を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成すべ
く、本発明者らはプレス成形に適する紙についてその物
性面からの検討、およびプレス成形法の面などから検討
を色々行ってきた。その結果、プレス成形用紙を、天然
パルプ、およびプレス成形温度において熱接着性を有す
る熱可塑性繊維を特定の割合で用いて製造すると共に、
そのようなプレス成形用紙において、紙の伸度を特定の
ものにすると、プレス成形時に極めて良好な延伸性を有
していて、乾燥状態でそのままプレス成形しても破れが
生じず、例えば深さが50mmにも達し且つ複雑な凹凸
を有するような深絞りの成形品であっても円滑に製造で
きることを見出した。また、本発明者らは、前記の紙を
用いてプレス成形を行うに当たっては、紙を一枚のみ用
いてプレス成形を行ってもよいが、紙を2枚以上重ねた
状態でプレス成形を行って成形品をつくると、前記した
ような深絞りの成形品などが一層円滑に製造できること
を見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明は、天然パルプとプレス
成形温度において熱接着性を有する熱可塑性重合体繊維
を、天然パルプ:該熱可塑性重合体繊維=99:1〜5
0:50(重量比)の割合で含むプレス成形用紙であっ
て、微細な皺、波形および/またはその他の凹凸を有
し、20℃、65RHで測定したときの縦方向の伸度お
よび横方向の伸度の少なくとも一方が10〜500%で
あるプレス成形用紙を、2枚以上重ねて、重ねたプレス
成形用紙同士が積層一体化する温度および圧力下に熱プ
レス成形を行うことを特徴とする成形品の製造方法であ
【0013】さらに、本発明は、前記の方法に製造され
たプレス成形品を包含する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明で使用するプレス成形用紙(以下、本発明
で使用するプレス成形用紙を「本発明のプレス成形用
紙」ということがある)は、天然パルプと熱可塑性重合
体繊維から主としてなっている。その場合の天然パルプ
の種類は特に制限されず、天然パルプであればいずれも
使用できる。本発明のプレス成形用紙で用いる天然パル
プとしては、例えば、広葉樹木材パルプ、針葉樹木材パ
ルプ、エスパルトパルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻
パルプ、リンターパルプなどを挙げることができる。ま
た、天然パルプは、マーセル化などの処理を施してあっ
てもよい。前記した天然パルプは単独で使用しても、ま
たは2種以上を併用してもよい。さらに、天然パルプ
は、バージンパルプであっても、使用済みの古紙パルプ
であっても、またはバージンパックと古紙パルプを併用
してもよい。古紙パルプを用いる場合は、例えば牛乳パ
ック、おむつ廃材、包装紙などから得られる繊維長の長
いものが好ましく用いられる。プレス成形時に紙の破れ
が一層生じにくくなる点から、プレス成形用紙に用いる
天然パルプは、その繊維長が約1mm以上であるのが好
ましく、約2〜6mm程度であるのがより好ましい。
【0015】そして、本発明のプレス成形用紙では、天
然パルプと共に用いる熱可塑性重合体繊維が、プレス成
形温度において熱接着性を有することが必要である。プ
レス成形温度において熱接着性を有していない熱可塑性
重合体繊維を用いると、それにより得られる紙は、加熱
下にプレス成形を行っても、天然パルプ間の接合、天然
パルプと熱可塑性重合体繊維との接合、熱可塑性重合体
繊維間の接合が熱可塑性重合体繊維によって行われない
ため、紙にプレス成形に耐え得る強度や延伸性を付与で
きず、その結果、絞りのある成形品、特に深さが50m
mに達し且つ複雑な凹凸を有するような深絞りの成形品
を、破損などを生ずることなく円滑に製造できなくな
る。ここで、本発明でいう「プレス成形温度において熱
接着性を有し」とは、プレス成形時の加熱温度におい
て、熱可塑性重合体繊維が軟化または溶融して天然パル
プと接着し、また熱可塑性重合体繊維同士が接着して紙
を構成する天然パルプや熱可塑性重合体繊維間に接合を
もたらし、紙の延伸性および強度を向上させることを意
味する。
【0016】限定されるものではないが、一般に、本発
明のプレス成形用紙を用いる場合は、好ましくは100
〜250℃の温度でプレス成形が行われるので、本発明
のプレス成形用紙で用いる熱可塑性重合体繊維は、80
〜250℃の温度で少なくとも繊維の表面の一部または
全部が軟化または溶融するものであるのが好ましい。 また、後記するように、本発明のプレス成形用紙は通常
天然パルプと熱可塑性重合体繊維を含む製紙原料を湿式
抄紙した後乾燥することによって製造されるので、その
抄紙工程における乾燥温度(一般に100〜140℃)
で軟化して、天然パルプと接着し得るものであるのがよ
り好ましい。
【0017】本発明で用いる熱可塑性重合体繊維は、プ
レス成形温度において熱接着性を有し、しかも天然パル
プと該熱可塑性重合体繊維を上記した99:1〜50:
50の重量比で用いてプレス成形用紙を製造したとき
に、プレス成形用紙の縦方向の伸度および横方向の伸度
の少なくとも一方が、20℃、65RHで10〜500
であるという物性をプレス成形用紙に対して最終的に
付与し得る熱可塑性重合体繊維であればいずれでもよく
特に制限されない。熱可塑性重合体繊維は、その断面形
状が円形、異形、中空形などのいずれであってもよい。
また、熱可塑性重合体繊維は、1種類の熱可塑性重合体
のみからなる繊維であっても、或いは2種以上の熱可塑
性重合体を複合または混合した複合繊維または混合繊維
であってもよい。そして複合繊維である場合は、芯鞘型
複合繊維であっても、海島型複合繊維であっても、また
はサイドバイサイド型複合繊維であってもよい。
【0018】そして上記したような熱可塑性重合体繊維
としては、限定されるものではないが、例えば、140
℃に15分間保持したときの収縮率が20%以上である
熱可塑性重合体繊維、繊維伸度が20〜70%である熱
可塑性重合体繊維、または前記した20%以上の熱収縮
率と20〜70%の繊維伸度の両方を満たす熱可塑性重
合体繊維が好ましく用いられる。なお、ここででいう熱
可塑性重合体繊維の「140℃に15分間保持したとき
の収縮率[以下「収縮率(140℃/15分)」とい
う]は、熱可塑性重合体繊維に0.05mg/dの荷重
下に140℃に15分加熱保持した時の加熱前の繊維長
に対する収縮率をいう。また、熱可塑性重合体繊維の繊
維伸度とは、JIS−L−1015により測定したとき
のものである。
【0019】また、本発明では、プレス成形用紙を構成
する熱可塑性重合体繊維が、プレス成形時の温度で軟化
または溶融する低融点の熱可塑性重合体よりなる鞘部と
プレス成形時の温度で軟化または溶融しない高融点の熱
可塑性重合体よりなる芯部とからなる芯鞘型複合繊維で
あると、低融点の鞘部がプレス成形時の熱によって軟化
または溶融して天然パルプ間の接合、天然パルプと熱可
塑性重合体繊維との接合、熱可塑性重合体繊維間の接合
をもたらして、プレス成形用紙に深絞りなどにも耐え得
る高い延伸性や強度が付与され、しかもプレス成形時の
熱で軟化または溶融しない高融点の芯部が繊維強度を保
ってプレス成形用紙に一層高い強度および腰が付与され
て、プレス成形性に一層優れるプレス成形用紙を得るこ
とができるので好ましい。その場合に芯鞘型複合繊維に
おける鞘部:芯部との割合は、重量比で、一般に30:
70〜70:30程度にしておくのが、プレス成形性に
より優れるプレス成形用紙を得る上から好ましく、4
0:60〜60:40にしておくのがより好ましい。
【0020】本発明のプレス成形用紙で好ましく用いら
れる熱可塑性重合体繊維としては、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレート繊維;ポリブチレンテレフタレート繊
維;変性ポリエチレンテレフタレート繊維;変性ポリブ
チレンテレフタレート繊維;変性ポリプロピレン繊維;
並びに変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチ
レンテレフタレート、ポリエチレンおよび変性ポリプロ
ピレンの少なくとも1種からなる鞘部とポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレンおよびポリアミドの少なくとも1種からなる芯部
とからなる芯鞘型複合繊維などを挙げることができ、こ
れらの熱可塑性繊維は単独で使用しても、または2種以
上を併用してもよい。特に、熱可塑性重合体繊維が、非
晶質の熱可塑性重合体からなる繊維であると、その適用
範囲が広いために、プレス成形時に金型の温度に差が生
じても所望の成形品を円滑に得ることができるので、好
ましい。
【0021】ここで、上記でいう「変性ポリエチレンテ
レフタレート」とは、主たる構造単位であるエチレング
リコール単位およびテレフタル酸単位と共に、イソフタ
ル酸単位、フタル酸単位、2,3−ナフタリンジカルボ
ン酸単位、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位な
どの芳香族ジカルボン酸単位、アジピン酸単位、アゼラ
イン酸単位、セバシン酸単位などの脂肪族ジカルボン酸
単位;ジエチレングリコール単位、プロピレングリコー
ル単位、1,4−ブタンジオール単位などのジオール単
位などを少量(通常25モル%以下)で含むエチレンテ
レフタレート系重合体をいい、そのうちでも特に非晶質
のエチレンテレフタレート系重合体が好ましい。また、
上記でいう「変性ポリブチレンテレフタレート」とは、
主たる構造単位である1,4−ブタンジオール単位およ
びテレフタル酸単位と共に、イソフタル酸単位、フタル
酸単位、2,3−ナフタリンジカルボン酸単位、5−ア
ルカリ金属スルホイソフタル酸単位などの芳香族ジカル
ボン酸単位、アジピン酸単位、アゼライン酸単位、セバ
シン酸単位などの脂肪族ジカルボン酸単位;エチレング
リコール単位、ジエチレングリコール単位、プロピレン
グリコール単位などのジオール単位などを少量(通常2
5モル%以下)で含んでいるブチレンテレフタレート系
重合体をいい、そのうちでも特に非晶質のブチレンテレ
フタレート系重合体が好ましい。また、「変性ポリプロ
ピレン」とは、主たる構造単位であるプロピレン単位と
ともにエチレン単位や不飽和カルボン酸単位(例えばマ
レイン酸単位など)を少量(通常30モル%以下)で含
むプロピレン系重合体をいい、非晶質のものが好まし
い。
【0022】そして本発明のプレス成形用紙では、上記
した熱可塑性重合体繊維のうちでも、全酸成分に対して
イソフタル酸単位を20〜60モル%の割合で含む変性
ポリエチレンテレフタレートを繊維横断面周率で40%
以上の割合で含む非結質共重合ポリエステルからなる繊
維、特にそのような非晶質ポリエステル共重合体からな
る鞘部とポリエチレンテレフタレートからなる芯部を有
する芯鞘型複合繊維を用いると、プレス成形時における
繊維間の接着、繊維と天然パルプ間の接着が良好に行わ
れて、プレス成形を極めて円滑に行うことができ、例え
ば深さが50mm以上でしかも複雑な凹凸を有するよう
な深絞りの成形品であっても容易に製造できる。
【0023】そして、上記した非晶質のポリエステル共
重合体繊維としては、例えば、 (i) テレフタル酸単位を40モル%以上、イソフタ
ル酸単位を20〜60モル%、およびエチレングリコー
ル単位を75モル%以上有する共重合体ポリエステルで
あって; (ii) テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位以外
の芳香族共重合単位と、エチレングリコール単位以外の
脂肪族および/または脂環族共重合単位との合計割合
が、上記共重合ポリエステルにおける全酸成分単位に対
して0〜25モル%であり; (iii) エチレングリコール単位以外の脂肪族および
/または脂環族共重合単位の割合が、該単位原料を[C
OOH]および/または[OH]型とした場合に上記共
重合ポリエステルの重量に基づいて25重量%以下であ
り;そして、 (iv) 下記の数式〜;
【0024】
【数1】 2.83≦logη0≦6.10 5.0(1+log[η])+0.30≦logη0≦5.0(1+log[η])+1.30 0.45≦1+log[η]≦1.0 [上記式中、η0は160℃におけるゼロ剪断応力下で
の共重合ポリエステルの溶融粘度(ポイズ)、[η]は共重
合ポリエステルの固有粘度(dl/g)を示す]を満足す
る溶融粘度η0および固有粘度[η]を有する;非結晶性
共重合ポリエステル成分が繊維横断面周率で40%以上
を占めている共重合ポリエステル繊維を挙げることがで
きる。上記した共重合ポリエステル繊維の詳細について
は、特開昭58−136828号公報に記載されてい
る。
【0025】本発明のプレス成形用紙で用いられる上記
で挙げた熱可塑性重合体繊維は、上記したような熱可塑
性重合体を用いて常法によって溶融紡糸することにより
得ることができ、その際にその紡糸条件、延伸条件、熱
処理条件などを変化したり、調節することによって、熱
可塑性重合体繊維の収縮率(140℃/15分)を上記
した好ましい値である20%以上にしたり、繊維伸度を
上記した好ましい範囲である20〜70%にすることが
できる。
【0026】また、限定されるものではないが、本発明
では、プレス成形用紙に用いる上記した熱可塑性重合体
繊維の引張強度が3g/d以上であるのが好ましく、4
g/d以上であるのがより好ましく、その場合には、深
絞りのプレス成形などにも充分に耐え得る、プレス成形
性に一層優れるプレス成形用紙を得ることができる。
【0027】さらに、本発明のプレス成形用紙におい
て、熱可塑性重合体繊維と共に用いられる天然パルプの
単繊維繊度が通常0.5〜30デニール程度であること
から、天然パルプとのバランスをよくして抄紙時に天然
パルプと熱可塑性重合体繊維とが均一に分散するように
するために、またプレス成形用紙に強度を付与したり、
プレス成形時の接着作用を良好にするために、熱可塑性
重合体繊維として単繊維繊度が0.5〜5.0デニール
程度のものを用いるのが好ましく、1.0〜3.0デニ
ール程度のものを用いるのがより好ましい。熱可塑性重
合体繊維の単繊維繊度が0.5デニール未満であると、
プレス成形用紙の強度が低下してプレス成形時に破れな
どを生じ易くなり、一方5.0デニールを超えると熱可
塑性重合体繊維の接着剤としての機能が低下して天然パ
ルプの接合が行われにくくなり、プレス成形に適する延
伸性および強度を有する紙が得られにくくなる。
【0028】また、本発明のプレス成形用紙では、抄紙
時に天然パルプと熱可塑性重合体繊維とが均一に分散す
るようにしたり、得られるプレス成形用紙に良好な延伸
性や強度を付与するために、熱可塑性重合体繊維として
繊維長が約1〜20mmのものを用いるのが好ましく、
約2〜7mmのものを用いるのがより好ましい。熱可塑
性重合体繊維の繊維長が1mm未満であると、プレス成
形に耐え得る延伸性や強度を有するプレス成形用紙が得
られにくくなり、一方20mmを超えると抄紙の分散性
が不良になって熱可塑性重合体繊維が均一に分散した紙
が得られにくくなり、紙の品質が不均一になり易い。
【0029】そして、本発明のプレス成形用紙は、上記
した天然パルプと上記した熱可塑性重合体繊維を、天然
パルプ:熱可塑性重合体繊維=99:1〜50:50
(重量比)の割合で含むことが必要であり、97:3〜
70:30(重量比)で含むのが好ましい。天然パルプ
と熱可塑性重合体繊維の合計重量に基づいて、熱可塑性
重合体繊維の割合が1重量%未満であると、熱可塑性重
合体繊維による接着機能が付与されず、延伸性および強
度に優れる紙が得られなくなり、プレス成形時に破れを
生じ、特に深さが50mmにも達するような深絞りの成
形品が得られなくなる。一方、天然パルプと熱可塑性重
合体繊維の合計重量に基づいて、熱可塑性重合体繊維の
割合が50重量%を超えると、プレス成形時に紙の収縮
率が大きくなり過ぎて、得られるプレス成形品の形態が
不安定となり易く、しかも出来るだけポリマーの使用量
の少ない紙製の容器などを製造しようとする本発明の目
的に合致しなくなる。本発明のプレス成形用紙におい
て、特にプレス成形用紙における熱可塑性重合体繊維の
含有割合を、天然パルプと熱可塑性重合体繊維の合計重
量に基づいて1〜7重量%程度の少量にした場合には、
本発明のプレス成形用紙から製造された容器などの成形
品を、その使用後に回収して水中などに入れて撹拌する
と天然パルプの容易に回収されるので、それを再度使用
することができる。
【0030】そして上記したように、本発明のプレス成
形用紙は、20℃、65RHで測定したときの縦方向の
伸度および横方向の伸度の少なくとも一方が10〜50
0%であることが必要であり、12〜500%であるの
が好ましい。プレス成形用の紙縦方向の伸度および横方
向の伸度の両方が共に10%以上であるとプレス成形性
が一層良好になる。プレス成形用紙の縦方向および/ま
たは横方向の伸度の上限値、プレス成形用紙の製造の
容易性、コストなどの点からプレス成形用紙の縦方向お
よび/または横方向の伸度を500%以下にしておく
プレス成形用紙の縦方向の伸度および横方向の伸度の両
方が10%未満であると、プレス成形用紙に充分な伸度
が付与されず、また強度が低くなりがちであり、プレス
成形字に角隅部などが破れ易くなる。
【0031】ここで、本発明でいうプレス成形用紙の
「伸度」とは、プレス成形用紙をその縦方向または横方
向に20℃、65RHの条件下に破断するまで引っ張っ
たときの、元の長さに対する伸び率をいい、その具体的
な内容は以下の実施例に記載するとおりである。
【0032】縦方向および/または横方向の伸度が上記
した値を満足するプレス成形用紙を得るためには、天然
パルプと上記したような熱可塑性重合体繊維を、使用す
る天然パルプや熱可塑性重合体繊維の種類や物性などに
応じて、上記した範囲内の重量比で調節しながら混合し
て紙を製造することにより得ることができるが、プレス
成形用紙の伸度が充分でない場合や、プレス成形用紙に
一層高い伸度を付与したい場合には、プレス成形用紙に
微細な皺(クレープ)、波形やその他の凹凸の付与を行
うと、縦方向および/または横方向の伸度が上記した
0〜500%であるプレス成形用紙を一層円滑に得るこ
とができる。そして、前記した微細な皺、波形やの他の
凹凸の付与は機械で行っても、または手で行っても(例
えば手揉みなど)よい。
【0033】プレス成形用紙にクレープ、波形、その他
の凹凸を付与する場合は、プレス成形用紙の製造途中お
よび/または製造後のいずれの段階で行ってもよく、例
えば抄紙時の湿潤状態で行ってもまたは乾燥後に行って
もよい。そのうちでも、プレス成形用紙が未だ湿紙の状
態にあるときに、湿紙にクレープ(微細な皺)を付与し
て、その状態のまま乾燥するようにすると、上記した伸
度の値が10〜500%であるプレス成形用紙を円滑に
得ることができる。
【0034】そしてプレス成形用紙にクレープ、波形、
その他の凹凸などを付与する場合は、紙の長さ方向と平
行な方向、紙の長さ方向に対して直角の方向(幅方
向)、紙の長さ方向に対して斜めの方向、前記の方向を
組み合わせたものなどのいずであってもよく、製造を目
的とするプレス成形品の形状や構造などに応じて決めれ
ばよい。
【0035】また、本発明のプレス成形用紙は、上記し
た天然パルプおよび熱可塑性重合体繊維と共に、本発明
の目的の妨げにならない範囲で、必要に応じて、紙にお
いて通常用いられている紙力増強剤、湿潤強度増強剤、
撥水剤、耐水化剤などの添加剤、上記した熱可塑性重合
体繊維以外の繊維などを含有していてもよく、また必要
に応じて加熱プレス成形の妨げにならない範囲でプレス
成形用紙の表面にラミネートなどの処理を施しておいて
もよい。
【0036】そして、本発明のプレス成形用紙では、一
枚の紙の目付けを10〜400g/m2程度にしておく
のが、紙製造時の工程性、紙のプレス成形性、プレス成
形時の取り扱い性などの点から好ましく、30〜400
g/m2にしておくのがより好ましく、50〜200g
/m2にしておくのがより好ましい。また、本発明のプ
レス成形用紙では、プレス成形用紙のプレス成形性を一
層良好なものにする点から、その縦方向および横方向の
少なくとも一方の引張強度を1.5Kgf以上としてお
くのが好ましく、2Kgf以上にしておくのがより好ま
しい。また、本発明のプレス成形用紙の寸法は特に制限
されず、目的とするプレス成形品の製造に適したサイズ
にしておけばよい。
【0037】本発明のプレス成形用紙の製法や製造条件
など特に制限されず、天然パルプを用いる従来既知の抄
紙方法や抄紙条件などを採用して製造することができ
る。限定されるものではないが、本発明のプレス成形用
紙は、例えば、パルパー、ビーター、リファイナー等を
用いて製紙原料を離解して天然パルプと熱可塑性重合体
繊維を含むスラリーを調製し、このスラリー用いて、円
網、短網、長網などの各種の抄紙用の網の1種または2
種以上を使用して湿式抄造を行って湿紙を形成し、それ
をヤンキードライヤー、多筒式ドライヤーなどの乾燥機
で乾燥を用いて一般に100〜140℃の温度で乾燥し
て、巻き取ることにより製造することができる。その際
に、本発明のプレス成形用紙に上記したクレープや波形
等の凹凸を付与しておく場合には、湿紙の段階や乾燥後
に適当な方法(例えば湿紙を乾燥する際の乾燥機への導
入速度を乾燥機からの取り出し速度よりも速くしたり、
波形のエンボスロールなどを用いる方法)で凹凸を付与
すればよい。
【0038】本発明のプレス成形用紙を用いてプレス成
形を行うに当たっては、成形品の種類などに応じて、1
枚のプレス成形用紙を用いてそのままプレス成形を行っ
てもまたは2枚以上のプレス成形用紙を重ねてプレス成
形を行うことができるが、そのうちでも、本発明では
1枚のプレス成形用紙の目付けを上記した10〜400
g/m2の範囲内で出来るだけ薄くしておいて、それを
2枚以上、好ましくは3〜40枚程度重ねて、加熱下
に、プレス成形すると同時に重ねた紙同士を接合一体化
するようにしてプレス成形を行うのがよく、それによっ
プレス成形時にそれぞれの紙が良好に延伸しながら成
形・接合・積層一体化されて、深絞りの成形品、例えば
深さが50mmに達するような深絞りの成形品であって
も、その角隅部などに破れなどを生ずることなく、極め
て円滑に製造することができる
【0039】プレス成形に用いる成形装置は特に制限さ
れず、例えば従来のプレス成形で用いられているのと同
様に、雄型と雌型とからなるプレス成形金型が用いられ
得る。また、プレス成形時の温度は、天然パルプの劣化
防止、熱効率、プレス成形性、プレス成形用紙の延伸性
や強度を良好に保ちながらプレス成形を行えるなどの点
から100〜250℃の温度であるのが好ましく、11
0〜180℃の温度であるのが好ましい。その際の加熱
方法としては、プレス成形用紙を予め加熱しておかずに
プレス成形金型のみを加熱しておいても、プレス成形用
紙を予め加熱しておくと共にプレス成形金型の両方を加
熱しておいても、また場合によってはプレス成形用紙の
みを予め加熱しておいて、それを加熱していないプレス
成形金型でプレスするようにしてもよい。そのうちで
も、プレス成形金型のみを加熱する方法が工程性の点か
ら好ましい。加熱方式は特に制限されず、例えば、電気
ヒータによる加熱方式、熱風加熱方式、蒸気加熱方式、
加熱オイル循環方式、それらの方式の併用などを採用で
きるが、電気加熱が簡易性の点から好ましい。
【0040】また、プレス圧力なども、プレス成形用紙
で用いている熱可塑性重合体繊維の種類や量、目的とす
る成形品のサイズや厚さ、重ね合わせるプレス成形用紙
の枚数、成形品の用途などに応じて調節できるが、一般
に、5〜500kg/cm2程度のプレス圧力とするの
が、紙に破損などを生ずることなく成形品を製造するこ
とができるので好ましく、10〜300kg/cm2
プレス圧力がより好ましく、20〜200kg/cm2
のプレス圧力がさらに好ましい。また、プレス成形時間
も、目的とする成形品のサイズ、厚さ、重ね合わせるプ
レス成形用紙の枚数、プレス成形用紙で用いている熱可
塑性重合体繊維の種類や量などに応じて調節し得るが、
一般に、上記した温度で上記したプレス圧力で行う場合
や、プレス時間を約2〜20秒程度にしておくのが好ま
しい。
【0041】上記したプレス成形で製造する成形品の形
状、構造、大きさ、厚さなどは特に制限されず、成形品
の用途や使用目的などに応じて適宜決めることができ
る。一般に、本発明のプレス成形品の容器壁の厚さが約
0.5〜1.5mmになるようにして、上記した本発明
のプレス成形用紙を所要枚数重ねてプレス成形を行う
と、良好な形状保持性、高い強度、緩衝性などを有する
高品質の成形品を円滑に得ることができる。
【0042】本発明のプレス成形品は、電気・電子部品
やその他の工業部品の包装容器、緩衝用容器、トレーや
樽、その他の各種食品包装用容器、紙皿、紙コップなど
として、従来の発泡ポリスチレンシートのプレス成形、
発泡ポリスチレンビーズを用いたモールド成形などによ
る成形品、ポリ塩化ビニルシートや発泡体を用いた成形
品などのプラスチック製の成形品に代わりに、有効に使
用することができる。
【0043】
【実施例】以下に実施例などによって本発明について具
体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例において、プレス成形用紙の引張強度およ
びプレス成形用紙の伸度は次のようにして求めた。
【0044】プレス成形用紙の引張強度:JIS P8
113にしたがって測定した。
【0045】プレス成形用紙の伸度:20℃、65RH
の条件下に、JIS P8113の引張強度の測定法に
準じてプレス成形用紙からなる試験片を破断するまで引
っ張り、プレス成形用紙が破断する直前における長さL
1を測定して、引っ張り試験を行う前の試験片の長さL0
の値とから、下記の数式によりプレス成形用紙の伸度を
求めた。
【0046】
【数1】プレス成形用紙の伸度(%)={(L1−L0
/L0}×100
【0047】《実施例 1》 (1) イソフタル酸単位を45モル%の割合で有する
変性ポリエチレンテレフタレートを鞘部として、またポ
リエチレンテレフタレートを芯部として、鞘部:芯部=
60:40の重量比になるようにして芯鞘型複合繊維を
製造した。その結果、得られた芯鞘型複合繊維は、その
鞘部は融点をもたないが110℃で軟化する、単繊維繊
度が2デニール、収縮率(140℃/15分)が70
%、繊維伸度が45%、および引張強度が4.1g/d
の芯鞘型複合繊維であった。この芯鞘型複合繊維を繊維
長5mmに切断した。 (2) 上記(1)で得られた繊維長5mmの芯鞘型複
合繊維5重量部と、おむつ廃材から抽出した古紙パルプ
(平均繊維長2.5mm)95重量部を用い、これに水
を加えてパルパーにて混合して、古紙パルプおよび芯鞘
型複合繊維の合計濃度が0.5重量%である抄紙原液を
調製した後、この抄紙原液を用いて長網抄紙機にて湿式
抄造して湿紙をつくり、プレスロールに取り付けたドク
ターでクレープをつけ、その後ヤンキードライヤー、次
に多筒式ドライヤーに通し、その間、前記の2種のドラ
イヤーにおける乾燥温度を110℃の範囲に保って乾燥
して、目付け200g/m2のクレープを有するプレス
成形用紙を製造した。その結果得られたプレス成形用紙
の伸度を上記した方法で測定したところ、その縦方向の
伸度が12.6%であり、横方向の伸度が3.5%であ
った。また、このプレス成形用紙の縦方向の引張強度は
2.5Kgf、横方向の引張強度は1.8Kgfであっ
た。 (3) 上記(2)で得られたプレス成形用紙を6枚重
ねて、雄型および雌型の温度がいずれも150℃である
加熱プレス装置を用いて、100kg/cm2のプレス
圧力下に3秒間熱プレス成形を行って、その内径が縦×
横×深さ=50mm×30mm×20mmである直方体
形状の凹部を有するプレス成形品を製造した。その結果
得られたプレス成形品は、壁部分の平均厚さが0.9m
mであり、その底部の4つの角隅部やその他の箇所に全
く破れが生じておらず、しかも4つの角隅部は薄くなっ
ておらず、良好な仕上がりであった。
【0048】《実施例 2》 (1) イソフタル酸単位を36モル%の割合で有する
変性ポリエチレンテレフタレートを鞘部として、またポ
リエチレンテレフタレートを芯部として、鞘部:芯部=
50:50重量比になるようにして芯鞘型複合繊維を製
造した。その結果、得られた芯鞘型複合繊維は、その鞘
部は融点をもたないが110℃で軟化する、単繊維繊度
が2デニール、収縮率(140℃/15分)が50%、
繊維伸度が50%、および引張強度が4.0g/dの芯
鞘型複合繊維であった。この芯鞘型複合繊維を繊維長5
mmに切断した。 (2) 上記(1)で得られた繊維長5mmの芯鞘型複
合繊維5重量部と、おむつ廃材から抽出した古紙パルプ
(平均繊維長2.5mm)95重量部を用いて、実施例
1の(2)と同様にして目付け150g/m2のクレー
プを有するプレス成形用紙を製造した。それにより得ら
れたプレス成形用紙の伸度を上記した方法で測定したと
ころ、その縦方向の伸度が12.7%であり、横方向の
伸度が5.1%であった。また、このプレス成形用紙の
縦方向の引張強度は2.6Kgf、横方向の引張強度は
1.9Kgfであった。 (3) 上記(2)で得られたプレス成形用紙を6枚重
ねて、実施例1の(3)と同様にしてプレス成形を行っ
た。その結果、壁部分の平均厚さが0.9mmのプレス
成形品が得られ、その底部の4つの角隅部やその他の箇
所に全く破れが生じておらず、良好な仕上がりであっ
た。
【0049】《比較例 1》 (1) ポリエチレンテレフタレートを単独で紡糸し
て、軟化点が約90℃、単繊維繊度が2デニール、収縮
率(140℃/15分)が60%、繊維伸度が257
%、および引張強度が1.7g/dのポリエチレンテレ
フタレート繊維を製造し、このポリエチレンテレフタレ
ート繊維を繊維長5mmに切断した。 (2) 上記(1)で得られた繊維長5mmのポリエチ
レンテレフタレート繊維3重量部と、おむつ廃材から抽
出した古紙パルプ(平均繊維長2.5mm)97重量部
を用いて、これに水を加えてパルパーにて混合して、古
紙パルプおよび芯鞘型複合繊維の合計濃度が0.5重量
%である抄紙原液を調製した後、この抄紙原液を用いて
実施例1と同様にして長網抄紙機械にて湿式抄造して湿
紙をつくり、ヤンキードライヤー、次に多筒式ドライヤ
ーに通し、その間、前記の2種のドライヤーにおける乾
燥温度を80℃の範囲に保って乾燥して、目付けが70
g/m2のプレス成形用紙を製造した。それにより得ら
れたプレス成形用紙の伸度を上記した方法で測定したと
ころ、その縦方向の伸度が3.0%であり、横方向の伸
度が5.5%であった。また、このプレス成形用紙の縦
方向の引張強度は6.5Kgf、横方向の引張強度は
3.0Kgfであった。 (3) 上記(2)で得られたプレス成形用紙を6枚重
ねて、実施例1の(3)と同様にしてプレス成形を行っ
た。その結果、壁部分の平均厚さが0.8mmのプレス
成形品が得られたが、その底部の4つの角隅部のうちの
2カ所に破れが生じており、不良な仕上がりであった。
【0050】
【発明の効果】天然パルプとプレス成形温度において熱
接着性を有する熱可塑性重合体繊維を、天然パルプ:該
熱可塑性重合体繊維=99:1〜50:50(重量比)
の割合で含むプレス成形用紙であって、微細な皺、波形
および/またはその他の凹凸を有し、20℃、65RH
で測定したときの縦方向の伸度および横方向の伸度の少
なくとも一方が10〜500%であるプレス成形用紙
を、2枚以上重ねて、重ねたプレス成形用紙同士が積層
一体化する温度および圧力下に熱プレス成形を行う本発
明の方法による場合は、プレス成形時に紙の破損などを
生ずることなく、所望の形状および寸法のプレス成形品
を極めて円滑に製造することができ、特に、従来紙のプ
レス成形では不可能であった深さが50mmにも達すし
且つ複雑な凹凸を有するような深絞りのプレス成形品を
も円滑に製造することができる。さらに、本発明の方法
による場合は、紙をプレス成形前やプレス成形時に湿潤
することなく乾燥した状態でそのままプレス成形を行う
ことができるので、プレス成形の工程が極めて簡単であ
り、しかも湿潤した紙を乾燥する必要がないので、熱効
率の点でも有利である。本発明により得られるプレス成
形品は良好な強度、緩衝作用を有しているので、電気・
電子部品の包装容器、その他の工業用部品の包装容器、
各種食品の包装容器、紙コップ、紙皿などの種々の用途
に有効に使用することができる。本発明の包装容器など
のプレス成形品は、従来のプラスチック製包装容器に比
べて、プラスチックの使用割合が大幅に低減されている
ので、使用済みプラスチックにおいて問題となっている
種々の弊害を低減したり、解消することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤墳 仁史 岐阜県不破郡垂井町表佐字一色899−1 有限会社ジャパンフレパ内 (72)発明者 林 英男 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株式会社クラレ内 (56)参考文献 特開 昭49−13265(JP,A) 特開 平7−214705(JP,A) 特開 昭50−100373(JP,A) 特開 昭52−53006(JP,A) 特開 昭50−1182(JP,A) 特開 平3−113091(JP,A) 特開 平5−44200(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42 B31B 1/00 - 49/04 B31C 1/00 - 13/00 B31D 1/00 - 5/04 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然パルプとプレス成形温度において熱
    接着性を有する熱可塑性重合体繊維を、天然パルプ:該
    熱可塑性重合体繊維=99:1〜50:50(重量比)
    の割合で含むプレス成形用紙であって、微細な皺、波形
    および/またはその他の凹凸を有し、20℃、65RH
    で測定したときの縦方向の伸度および横方向の伸度の少
    なくとも一方が10〜500%であるプレス成形用紙
    を、2枚以上重ねて、重ねたプレス成形用紙同士が積層
    一体化する温度および圧力下に熱プレス成形を行うこと
    を特徴とする成形品の製造方法
  2. 【請求項2】 請求項の方法により製造されるプレス
    成形品。
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