JP3509185B2 - Tm多重モード誘電体共振器装置 - Google Patents

Tm多重モード誘電体共振器装置

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JP3509185B2 JP12234994A JP12234994A JP3509185B2 JP 3509185 B2 JP3509185 B2 JP 3509185B2 JP 12234994 A JP12234994 A JP 12234994A JP 12234994 A JP12234994 A JP 12234994A JP 3509185 B2 JP3509185 B2 JP 3509185B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、少なくとも2つの誘
電体柱を交差させた形状からなる複合誘電体柱を、周囲
を外導体で囲んだ空間内に備えたTM多重モード誘電体
共振器装置に関する。
【0002】
【従来の技術】TM110 モードなどのTMモードを用い
た誘電体共振器を小型化する目的で、周囲を外導体で囲
んだ同一の空間内に複数のTM多重モード誘電体共振器
を構成するとともに、それぞれのモードを交差させたT
M多重モード誘電体共振器装置がフィルタなどとして用
いられている。
【0003】この種の従来のTM多重モード誘電体共振
器装置の構成を図6および図7に示す。
【0004】図6は2つのTM二重モード誘電体共振器
の配置を示す斜視図である。図6において10a,10
bはそれぞれ2つの誘電体柱を交差させてなる複合誘電
体柱であり、13a,14a,13b,14bで示す周
波数調整用孔をそれぞれ設けている。この複合誘電体柱
10a,10bは外表面に外導体を形成したキャビティ
15a,15bとともに一体成形している。キャビティ
15a,15bには複合誘電体柱に設けた周波数調整孔
に対して周波数調整用部材を挿抜自在に保持するための
孔41a,42a,41b,42bを設けていて、これ
らの孔から周波数調整用部材を挿抜することによって各
誘電体柱による共振器の周波数調整を行う。また、キャ
ビティ15a,15bにはキャビティの空間内に対して
結合調整用部材を挿抜自在に保持するための孔43a,
43bを設けていて、これらの孔から結合調整用部材を
挿抜することによって各誘電体柱による共振器間の結合
調整を行う。同図において44は2つのTM二重モード
誘電体共振器間に配置した仕切板であり、2つのTM二
重モード誘電体共振器間で所定方向の磁界成分のみを選
択的に透過させる。
【0005】図7は図6に示した2つのTM二重モード
誘電体共振器のうち1つの共振器の構成を示す平面図で
あり、(A)は上面図、(B)は正面図である。図7に
おいて19,20は誘電体棒、17,18は誘電体棒1
9,20と一体化されたねじ部材である。キャビティ1
5にはブッシング21,22を設けていて、この部分で
ねじ部材17,18を螺合させている。また、同図にお
いて23は結合調整用部材であり、キャビティ15には
ブッシング24を設けていて、この部分で結合調整用部
材23を螺合させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のTM
多重モード誘電体共振器装置においては、複合誘電体柱
に対して2方向から周波数調整用部材を挿抜させて各共
振器の共振周波数を調整する構造であるため、その調整
作業が容易ではなく、また2つの共振器がつくる偶モー
ドと奇モードの共振モードに対する周波数調整部材の影
響度が異なれば、周波数調整用部材の挿抜によって共振
周波数が変化するとともに、その共振器とそれに交差す
る他の共振器間の結合係数も変化することになる。
【0007】この発明の目的は、周波数調整を容易に
し、また結合係数とは独立して共振周波数を単独に調整
し得るようにしたTM多重モード誘電体共振器装置を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
るTM多重モード誘電体共振器装置は、少なくとも2つ
の誘電体柱を交差させた形状からなる複合誘電体柱を、
周囲を外導体で囲んだ空間内に備えたTM多重モード誘
電体共振器装置において、前記2つの誘電体柱の成す平
面に略垂直な方向に沿って、該2つの誘電体柱に周波数
調整用孔を形成し、周波数調整用部材を前記周波数調整
用孔に対して挿抜自在に設け、前記2つの誘電体柱の成
す平面が略同一平面となる関係で複数の複合誘電体柱を
配置したことを特徴とする。
【0009】請求項2に係るTM多重モード誘電体共振
器装置は、請求項1記載のものにおいて、結合調整用部
材を前記空間に対して前記周波数調整用部材の挿抜方向
と同一方向に挿抜自在に設けたことを特徴とする。
【0010】
【0011】請求項3に係るTM多重モード誘電体共振
器装置は、2つの複合誘電体柱の間に該2つの複合誘電
体柱のうち互いに平行な2つの誘電体柱同士または同一
軸方向に配置される2つの誘電体柱同士を選択的に磁界
結合させる磁界結合用窓を形成したことを特徴とする。
【0012】
【作用】この発明の請求項1に係るTM多重モード誘電
体共振器装置では、複合誘電体柱の各誘電体柱は周囲が
外導体で囲まれた空間内においてTMモード誘電体共振
器として作用し、複合誘電体柱を構成する2つの誘電体
柱の成す平面にほぼ垂直な方向に沿って形成されている
周波数調整用孔に対して周波数調整用部材が挿抜される
ことによって、この2つの誘電体柱のそれぞれの共振周
波数が設定される。その際、何れの周波数調整用部材も
同一方向に挿抜することになるため、周波数調整作業が
容易となる。また、各周波数調整用部材は2つの誘電体
柱の成す平面に対してほぼ垂直な方向に位置するため、
他の共振器の共振周波数や他の共振器との結合係数に対
する影響が小さく、その挿抜によっても他の共振器の共
振周波数や他の共振器との結合係数とは独立して共振周
波数の調整を行うことができる。また、TM多重モード
誘電体共振器装置では、各複合誘電体柱の成す平面がほ
ぼ同一平面となる関係で複数の複合誘電体柱が配置され
ているため、同一方向から各周波数調整用部材を挿抜す
ることによってすべての共振器の共振周波数を調整し、
また周波数調整部材の挿抜方向と同一方向から結合調整
用部材を挿抜することによって各複合誘電体柱を構成す
る2つの共振器間の結合係数をそれぞれ調整することが
できる。
【0013】請求項2に係るTM多重モード誘電体共振
器装置では、周波数調整用部材の挿抜方向と同一方向に
結合調整用部材が挿抜自在に設けられているため、周波
数調整作業とともに結合調整作業も容易となる。
【0014】
【0015】請求項3に係るTM多重モード誘電体共振
器装置では、2つの複合誘電体柱のうち互いに平行な2
つの誘電体柱同士または同一軸方向に配置された2つの
誘電体柱同士が磁界結合用窓を介して選択的に磁界結合
する。これにより複数の複合誘電体柱を用いた複数段の
共振器装置として作用する。
【0016】
【実施例】この発明の第1の実施例に係るTM多重モー
ド誘電体共振器装置の構成を図1および図2に示す。
【0017】図1は、1ユニットを構成するTM多重モ
ード誘電体共振器装置の分解斜視図である。
【0018】図1において10は2つの誘電体柱11,
12を交差させた形状からなる複合誘電体柱であり、そ
れぞれ周波数調整用孔13,14を形成している。この
複合誘電体柱10はキャビティ15とともに一体成形し
ている。キャビティ15の4側面には外導体を形成して
いる。このキャビティ15の2つの開口部に外導体を形
成した上板16および下板25を接合することによっ
て、周囲を外導体で囲んだ空間を構成する。上板16に
はブッシング21,22,24を取り付けていて、周波
数調整用部材の一部であるねじ部材17,18をブッシ
ング21,22に螺合させていて、また結合調整用部材
23をブッシング24に螺合させている。
【0019】図2は図1に示したTM多重モード誘電体
共振器装置の正面図である。但し複合誘電体柱およびキ
ャビティ部分はその中央部分における断面図として示し
ている。この状態でキャビティ15に対して上板16お
よび下板25を接合して、それぞれの外導体を電気的に
接続することによって、複合誘電体柱10の周囲を外導
体で囲んだTM二重モード誘電体共振器装置を構成す
る。同図に示すように、上板16に設けたブッシング2
1,22に螺合するねじ部材17,18の先端部には誘
電体棒19,20を設けている。この誘電体棒19,2
0は周波数調整用孔13,14に挿入される。従ってね
じ部材17,18を所定方向に回転させることによっ
て、周波数調整用孔13,14に対して誘電体棒19,
20が挿抜されることになる。また、結合調整用部材2
3を所定方向に回転させることによって、空間内に対す
る結合調整用部材の挿抜が行われる。この結合調整用部
材の挿抜により共振空間が変化して偶モードまたは奇モ
ードの共振周波数が変化する。これにより2つの共振器
間の結合係数を調整する。
【0020】なお、図1および図2では複合誘電体柱の
うち所定の誘電体柱と結合して信号の入出力を行う信号
入出力部材については省略したが、例えば、下板25の
外面に同軸コネクタを取り付け、この同軸コネクタの中
心導体に接続した結合ループを空間内に設け、所定の誘
電体柱との間で磁界結合させることによって、信号の入
出力を行うことができる。
【0021】次に、この発明の第2の実施例に係るTM
多重モード誘電体共振器装置の構成を図3〜図5に示
す。
【0022】図3は図1に示した1ユニットの共振器装
置を2つ配置してなる共振器装置であり、図3において
は複合誘電体柱とこれを一体成形したキャビティ部分に
ついてのみ示している。図3において10a,10bは
それぞれ2つ誘電体柱を交差させた形状からなる複合誘
電体柱であり、それぞれ周波数調整用孔13a,14
a,13b,14bを形成している。この複合誘電体柱
10aとともに一体形成したキャビティ15aおよび複
合誘電体柱10bとともに一体形成したキャビティ15
bの少なくとも4側面にはそれぞれ外導体を形成してい
る。またキャビティ15a,15bの一部に磁界結合用
窓30a,30bを形成している。この部分は、キャビ
ティの側面の一部に設けた開口部であり、この部分には
外導体が存在しないため、2つの複合誘電体柱10a,
10bのうち互いに平行な2つの誘電体柱同士が磁界結
合することになる。
【0023】図4は上板および下板を接合した状態にお
けるTM多重モード誘電体共振器装置の上面図および断
面図である。図4において(A)は一部破断上面図であ
り、第1の実施例として図1および図2に示した場合と
同様に、上板16aにブッシング21a,22a,24
aを設け、上板16bにブッシング21b,22b,2
4bを設けている。ブッシング24a,24bには第1
の実施例で示した場合と同様に結合調整用部材23a,
23bをそれぞれ螺合させている。図4の(B)は
(A)におけるX−X部分の縦断面図である。ねじ部材
17a,18aの先端部には誘電体棒19a,20aを
設けていて、それぞれ周波数調整用部材を構成してい
る。ブッシング21a,22aにはねじ部材17a,1
8aをそれぞれ螺合させている。これによりねじ部材1
7a,18aの所定方向への回転によって誘電体棒19
a,20aの複合誘電体柱10aに対する挿抜を行う。
同様に、ねじ部材17b,18bの先端部には誘電体棒
19b,20bを設けていて、ねじ部材17b,18b
をブッシング21b,22bにそれぞれ螺合させてい
る。これによりねじ部材17b,18bの所定方向への
回転によって誘電体棒19b,20bの複合誘電体柱1
0bに対する挿抜を行う。同図(A)に示すように、2
つのキャビティ15a,15bはその両者間に金属性の
シール板31,32を半田付けすることによって接合す
るとともに、外導体間の電気的接続も行う。但し、磁界
結合用窓30a,30bには外導体が存在しないため、
この部分を介して2つの複合誘電体柱のうち互いに平行
な2つの誘電体柱同士が磁界結合する。
【0024】ここで上記磁界結合用窓を介しての結合の
仕方を図5に示す。図5において矢印は電界、破線は結
合磁界をそれぞれ示す。このように誘電体柱12aと1
2bは磁界結合用窓30a,30bを介して磁界結合す
る。また、同図に示すように複合誘電体柱を構成する誘
電体柱の交差部分に溝Ga,Gbをそれぞれ形成してい
るため、交差する2つの誘電体柱のつくる偶モードと奇
モードの共振周波数が変化し、これにより誘電体柱11
aと12aによる2つの共振器間および誘電体柱11b
と12bによる2つの共振器間がそれぞれ一定の結合係
数で結合する。
【0025】図4に戻って、下板25a,25bにはそ
れぞれ同軸コネクタ33a,33bおよび結合ループ3
4a,34bを設けている。これにより結合ループ34
a,34bは誘電体柱11a,11bとそれぞれ磁界結
合する。これにより、同軸コネクタ33a−33b間で
4段のTMモード誘電体共振器からなる帯域通過フィル
タとして作用する誘電体共振器装置が構成される。
【0026】なお、第2の実施例ではキャビティの外壁
の一部を除去することによって磁界結合用窓を形成する
例を示したが、キャビティの外壁を除去するのではな
く、外導体のみを部分的に除去するか予め形成しない部
分を設けることによって磁界結合用窓を設けてもよい。
また、磁界結合用窓の形状は単なる矩形ではなく、スリ
ット状の外導体非形成部を配列してもよい。さらに、そ
のスリットの向きを設定することによって、2つの複合
誘電体柱のうち同一軸方向に配置される2つの誘電体柱
同士を選択的に磁界結合させることもできる。
【0027】
【発明の効果】この発明の請求項1に係るTM多重モー
ド誘電体共振器装置によれば、何れの周波数調整用部材
も同一方向に挿抜することになるため、周波数調整作業
が容易となる。また、各周波数調整用部材は2つの誘電
体柱の成す平面に対してほぼ垂直な方向に位置するた
め、他の共振器の共振周波数や他の共振器との結合係数
に対する影響が小さく、その挿抜によっても他の共振器
の共振周波数や他の共振器との結合係数とは独立して共
振周波数の調整を行うことができる。また、各複合誘電
体柱の成す平面がほぼ同一平面となる関係で複数の複合
誘電体柱が配置されているため、同一方向から各周波数
調整用部材を挿抜することによってすべての共振器の共
振周波数を調整し、また周波数調整部材の挿抜方向と同
一方向から結合調整用部材を挿抜することによって各複
合誘電体柱を構成する2つの共振器間の結合係数をそれ
ぞれ調整することができる。
【0028】請求項2に係るTM多重モード誘電体共振
器装置によれば、周波数調整用部材の挿抜方向と同一方
向に結合調整用部材が挿抜自在に設けられているため、
周波数調整作業とともに結合調整作業も容易となる。
【0029】
【0030】請求項3に係るTM多重モード誘電体共振
器装置によれば、2つの複合誘電体柱のうち互いに平行
な2つの誘電体柱同士または同一軸方向に配置された2
つの誘電体柱同士が磁界結合用窓を介して選択的に磁界
結合するため、複数の複合誘電体柱を用いた複数段の共
振器装置を容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係るTM多重モード誘電体共振
器装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示すTM多重モード誘電体共振器装置の
正面図である。
【図3】第2の実施例に係るTM多重モード誘電体共振
器装置の部分斜視図である。
【図4】第2の実施例に係るTM多重モード誘電体共振
器装置の上面図および断面図である。
【図5】第2の実施例に係るTM多重モード誘電体共振
器装置の結合の仕方を示す図である。
【図6】従来のTM多重モード誘電体共振器装置の構成
を示す斜視図である。
【図7】図6に示す1ユニットの誘電体共振器装置の上
面図および正面図である。
【符号の説明】
10−複合誘電体柱 11,12−誘電体柱 13,14−周波数調整用孔 15−キャビティ 16−上板 17,18−ねじ部材 19,20−誘電体棒 21,22,24−ブッシング 23−結合調整用部材 25−下板 30a,30b−磁界結合用窓 31,32−シール板 33a,33b−同軸コネクタ 34a,34b−結合ループ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 1/20 H01P 1/208 H01P 7/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2つの誘電体柱を交差させた
    形状からなる複合誘電体柱を、周囲を外導体で囲んだ空
    間内に備えたTM多重モード誘電体共振器装置におい
    て、 前記2つの誘電体柱の成す平面に略垂直な方向に沿っ
    て、該2つの誘電体柱に周波数調整用孔を形成し、周波
    数調整用部材を前記周波数調整用孔に対して挿抜自在に
    設け 前記2つの誘電体柱の成す平面が略同一平面となる関係
    で複数の複合誘電体柱を配置した ことを特徴とするTM
    多重モード誘電体共振器装置。
  2. 【請求項2】 結合調整用部材を前記空間に対して前記
    周波数調整用部材の挿抜方向と同一方向に挿抜自在に設
    けた請求項1記載のTM多重モード誘電体共振器装置。
  3. 【請求項3】 2つの複合誘電体柱の間に該2つの複合
    誘電体柱のうち互いに平行な2つの誘電体柱同士または
    同一軸方向に配置される2つの誘電体柱同士を選択的に
    磁界結合させる磁界結合用窓を形成した請求項1または
    記載のTM多重モード誘電体共振器装置。
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