JP3506156B2 - 位置検出装置、露光装置、及び露光方法 - Google Patents

位置検出装置、露光装置、及び露光方法

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JP3506156B2 JP05384995A JP5384995A JP3506156B2 JP 3506156 B2 JP3506156 B2 JP 3506156B2 JP 05384995 A JP05384995 A JP 05384995A JP 5384995 A JP5384995 A JP 5384995A JP 3506156 B2 JP3506156 B2 JP 3506156B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘテロダイン干渉型の
位置検出装置に関し、特に半導体素子又は液晶表示素子
等を製造する際に使用される露光装置においてウエハ及
びマスクを高精度に位置合わせするためのアライメント
装置に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子等の微細パターンを製造する
際に、マスクとしてのレチクルのパターンをフォトレジ
ストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に
転写露光するために使用される投影露光装置として、従
来はステップ・アンド・リピート方式でウエハ上の各シ
ョット領域にレチクルのパターンを転写露光する所謂ス
テッパーが多用されていた。最近ではレチクル及びウエ
ハを投影光学系に対して同期して走査しながら露光を行
うステップ・アンド・スキャン方式等の走査露光型の投
影露光装置も使用されつつある。一般に半導体素子等は
ウエハ上に多層の回路パターンを積み重ねて形成される
ため、投影露光装置においては、ウエハ上の各ショット
領域とレチクルとの位置合わせ(アライメント)を高精
度に行う必要がある。
【0003】そこで、ヘテロダイン干渉法を利用して高
精度に位置検出を行う位置検出装置が、例えば特開平2
−227604号公報において開示されている。この位
置検出装置は、レーザ光源からの光束をビームスプリッ
ター等で2分割した後、それぞれの光束を異なる音響光
学素子(AOM)に通すことにより、それら2光束の間
に所定の周波数差を付与している。そして、その周波数
差を有する2光束を、レチクル上の回折格子マーク(レ
チクルマーク)、及びウエハ上の回折格子マーク(ウエ
ハマーク)に対してそれぞれ2方向から照射し、各回折
格子マークから同じ方向に発生する回折光よりなる干渉
光(ヘテロダインビーム)を光電検出器を介して2つの
光ビート信号に変換している。この場合、2つの光ビー
ト信号は周波数が上述の2つの音響光学素子により付与
された周波数差に等しく、且つ位相が対応する回折格子
マークの位置に対応するものであるため、それら2つの
光ビート信号より2つの回折格子マークの位置が検出さ
れ、ひいてはレチクルとウエハとの位置合わせが行われ
るものである。
【0004】ところが、上述の特開平2−227604
号公報に開示された位置検出装置では、ビームスプリッ
ター等で分割された2光束が異なる音響光学素子により
変調される方式であるため、構成が複雑で且つ各光学部
材の調整が困難であった。また、分割された2光束の光
路差が波長に比べて大きくなり易いため、位置検出用の
光としてレーザビーム等の単色光(単一波長の光)を用
いざるを得ず、ウエハ上に塗布されたフォトレジスト等
による薄膜干渉の悪影響を受け易く、特にウエハ側のマ
ークの位置検出精度が低下する恐れがあった。
【0005】更に、一般にウエハは種々のプロセスを経
るため、ウエハマークの断面形状が次第に崩れ、そのウ
エハマークの断面形状が非対称になることがある。この
場合、位置検出用の光が単色光であると、そのウエハマ
ーク(回折格子マーク)の非対称性により位置検出精度
が低下するという不都合もあった。そこで、これらの不
都合を全て解消するため、2個の互いに僅かに異なる周
波数で駆動される音響光学素子をリレー光学系を介して
直列に配置し、各音響光学素子に対して交差するように
2光束を供給し、各音響光学素子内でそれぞれ同時に2
光束を周波数変調する位置検出装置が本出願人により提
案された。この場合、2個の音響光学素子内ではそれぞ
れブラッグ回折(音響ブラッグ回折)により周波数変調
が行われている。また、2個の音響光学素子を使用する
のは、一般に従来の1個の音響光学素子による変調周波
数は50MHz程度以上であり、これがそのまま光ビー
ト信号の周波数となったのでは信号処理が困難であるか
らである。即ち、2個の音響光学素子をそれぞれ50M
Hz程度で、且つ僅かに異なる周波数で駆動することに
より、最終的に得られる光ビート信号の周波数を例えば
数10kHz程度に低下(ビートダウン)させていた。
【0006】更に、音響光学素子をブラッグ回折領域で
はなく、ラマン−ナス回折領域で使用することにより、
最小個数の音響光学素子で光束の分割手段と変調手段と
を兼用させるようにした位置検出装置も本出願人により
提案されている。このようにラマン−ナス回折領域で音
響光学素子を使用する場合にも、周波数をビートダウン
させるために、2段目の音響光学素子を別途設ける必要
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
直列に配置された音響光学素子を使用したヘテロダイン
干渉型の位置検出装置では、各光学部材の調整が容易で
あると共に、構成の対称性により複数波長の光を位置検
出光として使用できるため、薄膜干渉の影響や回折格子
マークの断面形状の非対称性の影響を受けにくいという
特徴があった。しかしながら、その従来の位置検出装置
では、光ビート信号の周波数を低下させるために、位置
検出用の光束がリレー光学系を介して2個の独立の音響
光学素子によりそれぞれ(合計で2回)回折を受けるこ
ととなり、その位置検出用の光束の利用効率が低下する
という不都合があった。また、全体の光学系が大型であ
り且つ複雑であるという不都合もあった。
【0008】これに関して、例えば1個の音響光学素子
内の1つの超音波作用領域内に逆方向に周波数の僅かに
異なる超音波を印加して、処理し易い程度に周波数変調
された光束を生成するいわば直接変調型とでも言うべき
位置検出装置も提案されている。しかしながら、このよ
うな直接変調型では、逆向きに印加される超音波の中心
位置の間隔が所定の条件を満たさないと最終的に得られ
る光ビート信号のコントラスト(SN比)が低下すると
いう不都合があった。
【0009】本発明は斯かる点に鑑み、光学系の調整が
容易で複数波長の光を使用できるという特徴を維持した
上で、簡単な構成でSN比の高い光ビート信号を得るこ
とができると共に、位置検出用の光の利用効率の高いヘ
テロダイン干渉型の位置検出装置を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による位置検出装
置は、例えば図1及び図4に示すように、互いに周波数
の異なる2光束を生成する2光束生成手段と、この2光
束生成手段からの2光束を集光してこれら2光束を被検
物体(4)上に形成された回折格子状マーク(WM)に
対して所定の2方向から照射する対物光学系(18a,
18b,21,26,27,38,3)と、回折格子状
マーク(WM)から発生する複数の回折光よりなる干渉
光を光電的に検出する光電検出器(33)とを有し、こ
の光電検出器の検出信号に基づいて被検物体(4)の位
置を検出する位置検出装置において、その2光束生成手
段は、複数波長の光を含む光束又は単一波長の光束を生
成する光源手段(10)と、この光源手段からの光束か
ら互いに周波数の異なる2光束を生成する複数個の音響
光学素子(17A,17B)とを備えているものであ
る。
【0011】更に本発明では、それら複数個の音響光学
素子内の超音波の進行方向は交互に逆向きに設定され、
これら複数個の音響光学素子内の隣接する2つの音響光
学素子(17A,17B)の超音波作用領域のその光束
の進行方向に対する間隔(s)は、それぞれその隣接す
る2つの音響光学素子(17A,17B)の超音波作用
領域から同一方向に回折される回折光(L0(1),L
A(1))の位相差φが、整数mを用いて、次の範囲内にあ
るように設定されるものである。
【0012】 (m−1/3)π<φ<(m+1/3)π (A1) この(A1)式の条件は、それら複数個の音響光学素子
内の隣接する2つの音響光学素子(17A,17B)の
超音波作用領域のその光束の進行方向に対する空気中に
換算した間隔をsとすると、間隔sが次の(A2)式又
は(A3)式の何れかを満たすのと等価である。
【0013】 (m−1/3)Λ2/λ<s<(m+1/3)Λ2/λ (A2) 即ち、 (m−1/3)v2/(λf2)<s<(m+1/3)v2/(λf2) (A3) 但し、各変数の意味は次の通りである。 λ:それら互いに周波数の異なる2光束の空気内での平
均波長、 Λ:それら隣接する2つの音響光学素子内での超音波の
平均波長、 v:それら超音波の音速、 f:それら超音波の平均周波数、 m:整数。
【0014】この場合、例えば図9に示すようにそれら
複数個の音響光学素子内の所定の隣接する2つの音響光
学素子(17A’,17B)内にリレー光学系(54
A,54B)を配置し、その所定の隣接する2つの音響
光学素子内の超音波作用領域をそのリレー光学系に関し
て共役な位置に配置するようにしてもよい。また、例え
ば図10に示すように、それら複数個の音響光学素子
(17A,17B)の超音波作用領域のその光束の進行
方向に対する中点と実質的に共役な位置に、その互いに
周波数の異なる2光束の周辺のノイズ光を遮断する視野
絞り(57)を設けることが望ましい。次に、本発明に
よる別の位置検出装置は、例えば図12に示すように上
記の本発明の位置検出装置における複数個の音響光学素
子の代わりに1つの音響光学素子を用いて、この1つの
音響光学素子内に形成される複数の超音波作用領域に対
して(A1)式の条件を満たすものである。また、本発
明の露光装置は、マスク(1)上に形成された所定のパ
ターンを基板(4)上に転写露光する露光装置におい
て、そのマスクとその基板との位置合わせを行うための
上記の本発明による位置検出装置を備えるものである。
また、本発明の露光方法は、マスク(1)上に形成され
た所定のパターンを基板(4)上に転写露光する露光方
法において、上記の本発明による位置検出装置を用いて
そのマスクとその基板との位置合わせを行うものであ
る。
【0015】
【作用】斯かる本発明の位置検出装置によれば、2光束
生成手段から互いに周波数の異なる2光束が供給される
ため、それら2光束を使用することによりヘテロダイン
干渉方式で高精度に位置検出が行われる。この際に、そ
の2光束生成手段は、複数個の音響光学素子(17A,
17B)を用いて互いに周波数の異なる2光束を生成
し、しかもこれら2光束の周波数差は所定の値(例えば
1MHz程度以下)にビートダウンされている。
【0016】一般に、例えば図4において、音響光学素
子(17A)に超音波を加えた場合は、その音響光学素
子内にいわば位相格子(粗密波)ができたことと等価に
なり、その位相格子による回折光の内、たとえば0次光
と1次回折光とを取り出して再結像させると、その位相
格子のピッチと等しいピッチの干渉縞ができる。その超
音波が進行波であると、その位相格子及びその像である
干渉縞は音速で移動する。これは、1次回折光が周波数
変調を受けたことを意味し、その変調周波数fは、干渉
縞の移動速度をV、干渉縞のピッチをpとして、次式で
表される。
【0017】f=V/p (A4) 又は、超音波の音速をv’、超音波の波長をΛ’とし
て、変調周波数fは次のようになる。 f=v’/Λ’ (A5) 通常、音速v’は数千m/s、波長Λ’は数十μmなの
で、変調周波数fは数十MHzになってしまい、通常の
信号処理回路での処理が困難となる。そこで、変調周波
数fの値を小さくするために、本発明では例えば2個の
音響光学素子(17A,17B)を所定間隔で配列し、
これらに互いに僅かに異なる周波数f1,f2 の超音波
を加える。これにより所定間隔で2つの音響光学素子内
に超音波作用領域(48A,48B)が形成される。
【0018】従って、不図示の光源手段からの周波数f
0 の光束L0 が、第1の音響光学素子(17A)に例え
ばほぼ垂直に入射すると、その光束L0 は音響光学素子
(17A)内の超音波作用領域(48A)内の点Pでラ
マン−ナス回折を受けて、0次光LA 、及び±1次回折
光L0(1),L0(-1)が発生する。その0次光LA は第2
の音響光学素子(17B)にほぼ垂直に入射し、音響光
学素子(17B)内の超音波作用領域(48B)内の点
Qにおける回折により±1次回折光LA(1),L A(-1)が
発生する。そして、+1次回折光L0(1)及びLA(1)は光
束L1(1)として同一方向に進み、それと対称に−1次回
折光L0(-1)及びLA(-1)も光束L2(-1)として同一方
向に進む。これらの2組の光束L1(1),L2(-1)が回折
格子状マークに例えば対称に入射し、その回折格子状マ
ークから同一方向に発生する回折光の干渉光(ヘテロダ
インビーム)が受光されるので、その干渉光は±1次回
折光L0(1),L0(-1)、及び±1次回折光LA(1),L
A(-1)を合成したものである。
【0019】この場合、±1次回折光L0(1),L0(-1)
は±f1 の周波数変調を受け、及び±1次回折光L
A(1),LA(-1)は±f2 の周波数変調を受けている。ま
た、第1の音響光学素子(17A)内の点Pと第2の音
響光学素子(17B)内の点Qとの空気内に換算した間
隔(空気長)をsとする。ここで、空気長とは、光束の
進行方向に厚さdで屈折率(相対屈折率)nの媒体につ
いてはd/nで定義される。その空気長で表した間隔s
を用い、図5に示すように、+1次回折光の入射方向に
対する角度をθとすると、+1次回折光L0(1)とLA(1)
との間には次のような光路差δが生ずる。
【0020】 δ=s−r≒s・θ2 /2 (A6) 従って、それら2つの光束の間には次のような位相差φ
が生じることになる。 φ≒(s・θ2 /2)・(2π/λ) (A7) 次に、±1次回折光L0(1),L0(-1)、及び±1次回折
光LA(1),LA(-1)よりなる4つの光束を合成した干渉
光を光電変換して得られる光ビート信号について考察す
る。それら4つの光束とも振幅(これをAとする)が等
しいとすると、得られる干渉光の光強度I(t)は次式
で表される。
【0021】 I(t)=[Acos(ω1・t)+Acos(ω2・t+φ) +Acos(ω3・t)+Acos(ω4・t+φ)]2 (A8) 但し、tは時間であり、各変数は次のように定義され
る。 ω1 =2π・(f0 +f1 ),ω2 =2π・(f0 −f
2 ),ω3 =2π・(f0 −f1 ),ω4 =2π・(f
0 +f2 )。
【0022】その(A8)式を整理すると次のようにな
る。但し、関数g1(f1,t),g2(f2,t),g3(f1,
2,t)はそれぞれ周波数f1 、周波数f2 、及び周波
数f 1,f2 の余弦を含む所定の関数である。 I(t)/A2 =2+cos 4πf1 t+cos 4πf2 t +2cos φ[cos{2π(f1+f2)t}+cos{2π(f1-f2)t}] +(cos4πf0 t)g1(f1,t) +{cos(4πf0 t+2φ)}g2(f2,t) +2{cos(4πf0 t+φ)}g3(f1,f2,t) (A9) この場合、周波数f0 は入射する光の周波数(1014
z以上)であり、通常の光電検出器では検出できないの
で、周波数f0 を含む項は時間平均により消えてしま
う。従って、(A9)式中で検出可能な光強度I(t)
は次のようになる。
【0023】 I(t)/A2 =2+cos 4πf1 t+cos 4πf2 t +2cos φ[cos{2π(f1+f2)t}+cos{2π(f1-f2)t}] (A10) この(A10)式の光強度I(t)は、図6の曲線8で
表わされているように、低周波の信号に高周波成分が重
畳されたような信号となる。更に、通常の音響光学素子
の場合、変調周波数f1,f2 も107 Hz以上と高周波
であるので、通常の光電検出器では応答できない周波数
である。また、より完全に周波数f1 、周波数f2 、及
び周波数(f1+f2)を有する成分を消すためには、ロー
パスフィルタ回路を設けて周波数が(f1-f2)を超える
成分を除去すればよい。その結果、光電検出器で検出さ
れる干渉縞の光強度I(t)は、次のようになる。言い
換えると、隣接する2つの音響光学素子からの回折光を
混合することにより、周波数が検出し易い(f1-f2)に
までビートダウンされた光ビート信号が得られることに
なる。
【0024】 I(t)=2A2 [1+(cos φ)cos{2π(f1-f2)t}] (A11) このように最終的に検出される光強度I(t)を、位相
差φが0.3πの場合について示した波形が図6の曲線
9で表されている。この(A11)式より分かるよう
に、検出される光強度I(t)のビート周波数は(f1-
2)であり、信号コントラストはcos φにより決定され
る。即ち、位相差φがmπ(mは整数)のとき、信号コ
ントラストは最大となり、位相差φが(m+1/2)π
のとき、信号コントラストは0になってしまう。通常、
信号コントラスト(cos φ)が1/2以上であれば、そ
の光ビート信号が正常に検出できるため、光ビート信号
が正常に検出できる条件は、上述の(A1)式となる。
【0025】その(A1)式を(A7)式を用いて表わ
すと、次式が得られる。 (m−1/3)λ/θ2 <s<(m+1/3)λ/θ2 (A12) また、回折光の回折角θは、光の波長λ、及び音響光学
素子の内部を進行する超音波の波長Λを用いて、次のよ
うに表される。 θ≒λ/Λ (A13) この(A13)式を(A12)式に代入することによ
り、上述の(A2)式が得られる。また、音響光学素子
に関しては、内部を進行する超音波の音速vは、超音波
の周波数f及び超音波の波長Λを用いて、v=f・Λで
表される。従って、超音波の波長は次のようになる。
【0026】Λ=v/f (A14) この(A14)式を、(A2)式に代入すると、(A
3)式が得られる。また、本発明は例えば図14に示す
ように、入射する光束を複数の音響光学素子(17A,
17B)によりブラッグ回折(音響ブラッグ回折)させ
る場合にも適用される。この場合にも、隣接する音響光
学素子からの回折光の位相差φについて(A1)式の条
件が満たされると、得られる光ビート信号のコントラス
トが1/2以上となって、容易に位置検出が行われる。
【0027】上述のように本発明で得られる光ビート信
号のコントラストを最大とするには、隣接する音響光学
素子からの回折光の位相差φを0とすればよいが、2つ
の音響光学素子を直列に並べる場合にはその実現は困難
である。それに対して、図9に示すように、2つの音響
光学素子(17A’,17B)の間にリレー光学系(5
4A,54B)を配置したときには、それら2つの音響
光学素子を共役な位置に配置することができる。これに
より、光ビート信号のコントラストが最大となる。
【0028】また、隣接する音響光学素子からの回折光
の重なった部分だけが有効であるため、その重なった部
分以外の光束を視野絞り(57)により除去することに
より、得られる光ビート信号のSN比が向上する。
【0029】
【実施例】以下、本発明による位置検出装置の第1実施
例につき図1〜図8を参照して説明する。本実施例は、
投影露光装置のヘテロダイン干渉型のアライメント系に
本発明を適用したものであり、且つラマン−ナス回折を
利用する例である。図1は本実施例の投影露光装置を示
し、この図1において、所定の回路パターンが形成さ
れ、そのパターン周辺部にアライメント用の回折格子マ
ークRMが形成されたレチクル1は、2次元的に移動可
能なレチクルステージ2上に保持されている。レチクル
1は、投影光学系(投影対物レンズ)3に関してウエハ
4と共役となるように配置されている。
【0030】そして、照明光学系40からの露光光は、
レチクル上方に光軸に対して45゜の傾斜角で斜設され
たダイクロイックミラー6により下方へ反射され、レチ
クル1を均一な照度で照明する。その露光光のもとで、
レチクル上のパターンは投影光学系3によりウエハ4上
の各ショット領域に転写される。なお、ウエハ4上の各
ショット領域には、レチクル1上に形成された回折格子
マークRMと同様のアライメント用の回折格子マークW
Mが付設されている。
【0031】ウエハ4は、ステップ・アンド・リピート
方式で2次元的に移動するウエハステージ5上に保持さ
れ、ウエハ上の1つのショット領域でのレチクルパター
ンの転写が完了すると、ウエハ4は次のショット位置ま
でステッピングされる。レチクルステージ2及びウエハ
ステージ5におけるx方向、y方向及び回転(θ)方向
の位置を独立に検出するための不図示の干渉計が各ステ
ージに設けられており、各方向における各ステージの駆
動は不図示の駆動モータにより行われる。
【0032】一方、回折格子マークRM及びWMの位置
検出を行うためのアライメント光学系が、ダイクロイッ
クミラー6の上方に設けられている。以下、そのアライ
メント光学系について説明する。この図1のアライメン
ト光学系において、露光光とは異なる波長帯の光を供給
するXeランプ、ハロゲンランプ等の白色光源10から
の白色光は、口径可変な可変絞り11及びコンデンサー
レンズ12を介することにより平行な光束L0 に変換さ
れた後、所定の波長域の光を抽出するバンドパスフィル
ター13を介して第1の音響光学素子(以下、「AO
M」と呼ぶ)17Aにほぼ垂直に入射する。第1のAO
M17Aの後に所定間隔で第2のAOM17Bが配置さ
れ、AOM17A及び17Bは、それぞれ周波数f1
びf2 (f1 >f2 とする)の高周波信号SF1 及びS
2 で逆方向から駆動されており、所定の波長域の光束
0 はAOM17A,17Bによりラマン−ナス(Rama
n-Nath)回折作用を受ける。以下では、回折光の次数は
高周波信号SF1 による進行波の進行方向を基準にして
考える。
【0033】ここで、光束L0 の周波数(中心周波数)
をf0 とすると、光束L0 による2つのAOM17A,
17Bからの+1次回折光の混合光(以下、「光束L1
(1)」と称する。)は、それら2つのAOMにより実質
的に(f1 −f2 )/2の周波数変調を受け、光束L0
による2つのAOM17A,17Bからの−1次回折光
の混合光(以下、「光束L2 (-1)」と称する。)は、そ
れら2つのAOM17により実質的に(f2 −f1 )/
2の周波数変調を受ける。但し、(A10)式で説明し
たように、光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)には周波数f
1 ,f2 以上の高周波数で変調された成分も含まれてい
る。
【0034】その後、光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)
は、レンズ18a、反射ミラー20、レンズ18b、レ
ンズ21を介し、ビームスプリッター22によりそれぞ
れ2分割される。なお、レンズ18aとレンズ18bと
で構成されるリレー光学系の間には、光束L1 (1) と光
束L2 (-1)とを抽出するための空間フィルター19が設
けられている。そして、AOM17からは0次光及び高
次回折光も発生するが、これらは空間フィルター19に
より阻止される。また、レンズ18aとレンズ20との
間に視野絞り57が配置されている。
【0035】ビームスプリッター22を透過した光束L
1 (1) 及び光束L2 (-1)はレンズ23により集光され、
この集光位置に設けられた参照用の回折格子24上に
は、ピッチ方向に沿って流れる干渉縞が形成される。そ
して、この回折格子24を介した回折光が光電検出器2
5にて参照用の光ビート信号として光電検出される。光
電検出器25から出力される信号には、(A10)式か
ら分かるように、本来の周波数(f1 −f2 )の光ビー
ト信号の他に周波数f1 程度の高周波成分が含まれてい
るため、その高周波成分を周波数f1 /2程度以下の信
号のみを通過させるローパスフィルタ回路(LPF)5
3aを介して除去し、その光ビート信号のみを位相検出
系50に供給する。
【0036】一方、ビームスプリッター22で反射され
た光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)は、リレー光学系(2
6a,26b,27)、ビームスプリッター28、平行
平面板37を通過する。この平行平面板37は、投影光
学系3の瞳共役位置又はその近傍に、アライメント光学
系の光軸に対して傾角可変に設けられ、テレセントリッ
ク性を維持するための機能を有する。なお、平行平面板
37の代わりに、厚さが厚い粗調整用の平行平面板と、
厚さが薄い微調整用の平行平面板とを組み合わせた構成
としても良い。
【0037】平行平面板37を通過した光束L1 (1) 及
び光束L2 (-1)は、対物レンズ38、ダイクロイックミ
ラー6を介して、所定の交差角を持つ2方向からレチク
ル1上の回折格子マークRMを照明する。なお、投影光
学系3がアライメント光に対して色収差補正されていな
い場合には、対物レンズ38は、特開昭63−2831
29号公報にて提案されている2焦点光学系で構成する
ことが望ましい。これにより、2焦点光学系に入射する
2光束は互いに直交する偏光光にそれぞれ分割され、第
1焦点へ向かう一方の偏光光同士がレチクル1上で集光
し、第2焦点へ向かう他方の偏光光同士がウエハ4上で
集光する。
【0038】さて、光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)は、
レチクル1上の回折格子マークRMを照明するが、レチ
クル1には、図2(a)に示す如く、回折格子マークR
Mと並列にアライメント光の透過窓P0 が設けられてお
り、図2(b)に示す如く、この透過窓P0 に対応する
ウエハ4上の位置に、回折格子マークWMが形成されて
いる。
【0039】光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)は、回折格
子マークRM及び透過窓P0 を覆うように2方向から照
明し、これにより回折格子マークRM上には、ピッチ方
向に沿って流れる干渉縞が発生する。そして、この回折
格子マークRMの法線方向(投影光学系3の光軸方向)
には、光束L1 (1) の+1次回折光、及び光束L2 (-1)
の−1次回折光がそれぞれ発生する。
【0040】ここで、光束L1 (1) と光束L2 (-1)とが
回折格子マークRMを2方向から照明するときの交差角
は、回折格子マークRMのピッチをPRM、光源10から
供給される光の基準波長をλ0 、光束L1 (1) または光
束L2 (-1)の回折格子マークRMに対する入射角をθRM
とするとき、 sin θRM=λ0 /PRM (B1) の関係を満足するように設定されている。
【0041】これにより、回折格子マークRMから発生
する±1次回折光は、再びダイクロイックミラー6、対
物レンズ38、平行平面板37を通過した後、ビームス
プリッター28で反射されて、レンズ29、ビームスプ
リッター30を介して、視野絞り34に達する。この視
野絞り34は、レチクル1と共役な位置に設けられてお
り、具体的には、図3(a)の斜線で示す如く、レチク
ル1の回折格子マークRMからの回折光のみを通過させ
るように、回折格子マークRMの位置に対応して開口部
RMが設けられている。
【0042】このため、視野絞り34を通過した回折格
子マークRMからの回折光は0次回折光をカットする空
間フィルター35によりフィルタリングされて、±1次
回折光のみが光電検出器36に達し、この光電検出器3
6にてレチクル1の位置情報を含んだ光ビート信号が光
電検出される。光電検出器36から出力される信号も、
周波数f1 /2程度以下の信号を通過させるローパスフ
ィルタ回路(LPF)53cを介して位相検出系50に
供給される。
【0043】一方、上記レチクル1の透過窓P0 を通過
した光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)の一部は、投影光学
系3を介して、ウエハ4上の回折格子マークWMを所定
の交差角を持った2方向から照明し、これにより回折格
子マークRM上には、ピッチ方向に沿って流れる干渉縞
が発生する。そして、この回折格子マークWMの法線方
向(投影光学系3の光軸方向)には、光束L1 (1) の−
1次回折光、及び光束L2 (-1)の+1次回折光がそれぞ
れ発生する。
【0044】ここで、光束L1 (1) と光束L2 (-1)とが
回折格子マークRMを2方向から照明するときの交差角
は、回折格子マークWMのピッチをPWM、光源10から
供給される光の基準波長をλ0 、光束L1 (1) または光
束L2 (-1)の回折格子マークWMに対する入射角をθWM
とするとき、 sin θWM=λ0 /PWM (B2) の関係を満足するように設定されている。
【0045】これにより、回折格子マークWMから発生
する±1次回折光は、再び投影光学系3、透過窓P0
ダイクロイックミラー6、対物レンズ38、平行平面板
37を通過した後、ビームスプリッター28で反射され
て、レンズ29、ビームスプリッター30を介して、視
野絞り31に達する。この視野絞り31は、ウエハ4と
共役な位置に設けられており、具体的には、図3(b)
の斜線で示す如く、ウエハ4の回折格子マークWMから
の回折光のみを通過させるように、回折格子マークWM
の位置に対応して開口部SWMが設けられている。
【0046】このため、視野絞り31を通過した回折格
子マークWMからの回折光は0次回折光をカットする空
間フィルター32によりフィルタリングされて、±1次
回折光のみが光電検出器33に達し、この光電検出器3
3にてウエハ4の位置情報を含んだ光ビート信号が光電
検出される。光電検出器36から出力される信号も、周
波数f1 /2程度以下の信号を通過させるローパスフィ
ルタ回路(LPF)53bを介して位相検出系50に供
給される。
【0047】ここで、各空間フィルター32,35はア
ライメント光学系の瞳と略共役な位置、即ち投影光学系
3の瞳(射出瞳)と実質的に共役な位置に配置され、レ
チクル1、ウエハ4上に形成された回折格子マークR
M,WMからの0次回折光(正反射光)を遮断し、±1
次回折光(レチクル1、ウエハ4の回折格子マークに対
して垂直方向に発生する回折光)のみを通過させるよう
に設定されている。また、光電検出器33及び36は、
対物レンズ38及びレンズ29に関して、それぞれレチ
クル1及びウエハ4と略々共役となるように配置されて
いる。
【0048】さて、以上にて説明したアライメント光学
系の構成により、各光電検出器25,33,36からそ
れぞれローパスフィルタ回路53a,53b,53cを
介して得られる3つの信号は、ともに同じ周波数Δf
(=2(f1 −f2 ))の正弦波状の光ビート信号を含
んでおり、位相差検出系50内の光ビート信号抽出部
(フーリエ変換回路)にて3つの光電信号からそれぞれ
周波数Δfの正弦波状の光ビート信号を精度良く抽出す
る。
【0049】今、位置合わせされていない状態でレチク
ル1、ウエハ4が任意の位置で停止しているとすると、
この光ビート信号は、一定の位相だけずれることにな
る。ここで、レチクル1及びウエハ4からの各光ビート
信号の位相差(±180゜)は、レチクル1及びウエハ
4上にそれぞれ形成された回折格子マークの格子ピッチ
の1/2以内の相対位置ずれ量に一義的に対応してい
る。
【0050】このため、レチクル1とウエハ4とが格子
配列方向に対して相対移動すると、相対位置ずれ量が各
回折格子マークRM,WMの格子ピッチの1/2以下の
精度でプリアライメントされ、主制御系51は、サーボ
系52により位相差検出系50で得られた位相差が0又
は所定の値となるようにレチクルステージ2又はウエハ
ステージ5を2次元移動させて位置合わせを行う。これ
により高精度で位置合わせが行われる。
【0051】また、光電検出器25により得られる参照
用の光ビート信号を基準信号として、この基準信号と各
回折格子マークRM,WMからの光ビート信号との各々
の位相差が零又は所定の値となるように位置合わせを行
っても良い。また、AOM17を駆動する駆動信号を基
準信号として利用することもできる。次に、本実施例に
おいて、互いに異なる周波数の2光束を生成する部分に
ついてより具体的な構成及び原理を図4を参照しながら
説明する。
【0052】図4に示す如く、白色光の光束L0 が第1
のAOM17Aに対して垂直に入射すると、AOM17
Aのラマン−ナス回折作用により、AOM17Aから各
波長毎に0次光LA 、+1次回折光L0(1)、−1次回折
光L0(-1) 、及び他の高次回折光が発生し、これらの光
束は第2のAOM17Bに垂直に入射する。このとき、
AOM17Aの法線方向に対する回折光の回折角を
φ2 、AOM17A内の進行波47Aの波長をΛG 、そ
の進行波の速度をv、光の波長をλ(周波数f0)、回折
光の次数を1次とするとき、以下の関係が成立する。
【0053】ΛG =v/f1 (B3) sin φ2 =λ/ΛG (B4) そして、第1のAOM17Aからの0次光LA により、
第2のAOM17Bのラマン−ナス回折作用により、A
OM17Bから各波長毎に0次光、+1次回折光L
A(1)、−1次回折光LA(-1) 、及び他の高次回折光が発
生する。そして、本例ではAOM17Aからの+1次回
折光L0(1)でAOM17Bをそのまま透過した光束と、
AOM17Bからの+1次回折光LA(1)とを混合した光
束L1(1)が使用される。また、AOM17Aからの−1
次回折光L0(-1) でAOM17Bをそのまま透過した光
束と、AOM17Bからの−1次回折光LA(-1) とを混
合した光束L2(-1) が使用される。また、+1次回折光
0(1)は周波数(f0+f1)に周波数変調され、+1次回
折光LA(1)は周波数(f0-f2)に周波数変調され、−1
次回折光L0(-1) は周波数(f0-f1)に周波数変調さ
れ、−1次回折光LA(-1)は周波数(f0+f2)に周波数
変調されている。従って、実質的に光束L1(1)の変調周
波数は(f1-f2)、光束L2(-1) の変調周波数は(f2-
1)となっている。
【0054】そして、本例ではAOM17Aの超音波作
用領域48Aの中心PとAOM17Bの超音波作用領域
17Bの中心Qとの空気長に換算した間隔sは、(A
2)式又は(A3)式の条件を満たすように設定されて
いる。図7に示すように、AOM17A及び17Bの屈
折率をそれぞれn1 及びn2 として、AOM17A内の
超音波作用領域の中心PからAOM17Aの射出面まで
の間隔をg1 、AOM17Aと17Bとの間隔をg3
AOM17Bの入射面からAOM17B内の超音波作用
領域の中心Qまでの間隔をg2 とした場合、空気長に換
算した間隔sは次のように表される。
【0055】 s=g1/n1 +g2/n2 +g3 (B5) (A2)式又は(A3)式の条件が満たされているた
め、本例では図4において、AOM17Aからの+1次
回折光L0(1)(又は−1次回折光L0(-1))と、AOM1
7Bからの+1次回折光LA(1)(又は−1次回折光L
A(-1))との位相差φは、整数mを用いて(m−1/3)πか
ら(m+1/3)πの間にあり、得られる光ビート信号のコ
ントラストが高くなっている。なお、その位相差φは、
mπにできるだけ近いことが望ましいのは言うまでもな
い。
【0056】また、第2のAOM17Bにおける回折角
φ2'はほぼ回折角φ2 とみなすことができる。そして、
その回折角φ2 は、図1のレンズ系18a〜対物レンズ
38を経て回折格子マークRMに対する入射角θ
RM((B1)式参照)となっている。従って、2つの光
束L1(1)及びL2(-1) が回折格子マークRMに入射する
ことにより、その回折格子マークRMから垂直上方に±
1次回折光が射出される。
【0057】図1に戻り、本実施例では、所定の波長域
を持つ+1次回折光よりなる光束L 1 (1) と、所定の波
長域を持つ−1次回折光よりなる光束L2 (-1)とを各回
折格子24,RM,WMに対して各波長の光毎に異なる
入射角のもとで対称に照射できるため、各回折格子2
4,RM,WMの垂直方向には各波長毎の±1次回折光
を常に発生させることができ、その結果、各波長の±1
次回折光により所定の周波数Δf(=f1 −f2 )を含
む光ビート光を生成することができる。従って、所定の
周波数Δfを含む多波長のビート光を各光電検出器2
5,33,36にてそれぞれ光電検出(各回折格子の位
置情報を含んだビート光を各波長毎に複数検出)でき
る。その結果、各波長のビート光による平均化効果によ
り各回折格子マークの非対称性を影響を抑えつつ、多波
長光によるフォトレジスト層の薄膜干渉の影響(光量変
化等の影響)を解消でき、ヘテロダイン干渉法による高
精度なアライメントが達成できる。
【0058】しかも、回折格子14(光束分割手段)に
よって入射方向(光軸方向)に対して対称に分割された
白色光(多波長光)は、リレー光学系15a,15b及
びAOM17を対称かつ並列的に進行するので、分割光
束間には光路長差が原理的に発生しない。このため、分
割光束間の波面は位相差が0の状態で揃っているため、
高精度なアライメントが可能となるばかりか、調整容易
でコンパクトな装置が実現できる。
【0059】次に、本実施例で使用される2つのAOM
17A,17Bの具体的な構成、及び変形例の構成につ
き図8〜図12を参照して説明する。図8は、図1中で
使用されているAOM17A,17Bを示し、この図8
の第1のAOM17Aにおいて、音響光学媒体41Aの
一方の側面に電極板42A、超音波発生用のトランスデ
ューサ43A、及び電極板44Aが順次固定され、他方
の側面に吸音材46Aが固定され、電極板42A及び4
4Aの間に高周波電源45Aから周波数f1 の駆動信号
が供給され、これにより進行波47Aが形成される。ま
た、第2のAOM17Bにおいて、音響光学媒体41B
の他方の側面に電極板42B、超音波発生用のトランス
デューサ43B、及び電極板44Bが順次固定され、一
方の側面に吸音材46Aが固定され、電極板42B及び
44Bの間に高周波電源45Bから周波数f2 の駆動信
号が供給され、これにより第1のAOM17A内の進行
波47Aと逆方向に進行する進行波47Bが形成され
る。吸音材46A及び46Bは、それぞれ対向するトラ
ンスデューサ43A及び43Bからの超音波(進行波)
を吸収して、反射波の発生を防止する役割を果たす。
【0060】この場合、音響光学媒体41A,41Bと
しては、通常のガラスの他に、2酸化テルル(TeO2)
の単結晶、水晶、石英、モリブデン酸鉛単結晶等が使用
できる。また、吸音材46A,46Bとしては、音響イ
ンピーダンスが音響光学媒体41A,41Bのそれと近
く、且つ音波を吸収し易い材料が使用できる。音響イン
ピーダンスとは、密度と音速との積である。具体的に、
吸音材46A,46Bとしては、鉛又はアルミニウム等
の金属膜が使用できる。また、トランスデューサ43
A,43Bとしては、リチウムナイオベイト(LiNb
3)の単結晶、LiIO3 の単結晶、Ba3 NaNb5
15の単結晶等が使用できる。
【0061】また、トランスデューサ43Aと吸音材4
6Aとにより挟まれた領域が第1の超音波作用領域を形
成し、トランスデューサ43Bと吸音材46Bとにより
挟まれた領域が第2の超音波作用領域を形成している。
そして、入射する光束L0 の内で、AOM17A内の進
行波47Aによる+1次回折光L0(1)、及びAOM17
B内の進行波47Bによる+1次回折光LA(1)の混合光
が光束L1(1)となり、進行波47Aによる−1次回折光
0(-1) 、及び進行波47Bによる−1次回折光LA(-
1) の混合光が光束L2(-1) となっている。そして、光
束L1(1)の変調周波数は実質的に(f1-f2)/2であ
り、光束L2 の変調周波数は実質的に−(f 1-f2)/2
である。一例として、トランスデューサの駆動周波数f
1 は(20MHz+数10kHz)程度、駆動周波数f
2 は20MHz程度であり、ビート周波数である(f1-
2)は数10kHzである。
【0062】この場合、AOM17A内の超音波作用領
域の中心とAOM17B内の超音波作用領域の中心との
空気長に換算した間隔sは、(A2)式又は(A3)式
の条件を満たすように設定されている。具体的に、入射
する光束L0 の中心波長を633nm、光束L0 のビー
ム径を2mmとする。そして、AOM17A,17B内
の超音波の音速vを3000m/sとすると、間隔sは
一例として約35.5mmとなる。また、図8より分か
るように、AOM17Aからの+1次回折光L 0(1)と、
AOM17Bからの+1次回折光LA(1)とは間隔sにほ
ぼ比例して位置ずれしているが、間隔sが35.5mm
程度の場合には、その位置ずれ量は0.15mm程度の
僅かな量である。
【0063】但し、それら2つの回折光の位置ずれ量が
僅かでもあると、位置ずれした部分の光束はノイズ光と
なり、そのままそのノイズ光を受光すると、得られる光
ビート信号のコントラストが低下する要因となる。そこ
で、図1の実施例ではそのようなノイズ光を除去するた
めの視野絞り57が設けられている。図10は、図1の
要部を簡略化して示し、この図10において、図1のレ
ンズ18a〜レンズ18bまでの光学系がリレーレンズ
系55として表されている。この場合、リレーレンズ系
55に関して、AOM17Aの中心とAOM17Bの中
心との中点と共役な位置に視野絞り57が配置されてい
る。そして、2つの回折光L0(1)及びLA(1)の重畳領域
56Aの周辺部の光束と、回折光L0(-1) 及びLA(-1)
の重畳領域56Bの周辺部の光束とを、その視野絞り5
7で遮光している。本例によれば、得られる光束L1(1)
及びL2(-1) はそれぞれ必要な周波数変調が施された成
分のみであるため、最終的に得られる光ビート信号のコ
ントラストが向上する。
【0064】なお、その2つのAOM17A,17Bの
間隔sはできれば0となるのが望ましいが、図8のよう
に隣接して配置するときには、間隔sは0にはなり得な
い。そこで、実質的に間隔sを0にするには、2つのA
OMの間にリレーレンズ系を配置すればよい。図9は、
そのようにリレーレンズ系を配置した変形例を示し、こ
の図9において、第1のAOM17A’と第2のAOM
17Bとの間に、2枚のレンズ54A及び54Bよりな
る等倍のリレーレンズ系が配置されている。第1のAO
M17A’は、図8の第1のAOM17Aを上下反転し
て進行波の方向を逆にしたものである。また、レンズ5
4A及び54Bの焦点距離をFD1 及びFD2 として、
AOM17A’の超音波作用領域の中心Pをレンズ54
Aの前側焦点に配置し、2枚のレンズ54A及び54B
の間隔を(FD1 +FD2 )に設定し、レンズ54Bの
後側焦点にAOM17Bの超音波作用領域の中心Qを配
置する。即ち、そのリレーレンズ系により、AOM17
A’の超音波作用領域の中心Pと、AOM17Bの超音
波作用領域の中心Qとが共役となっている。この場合、
レンズ54A,54Bよりなるリレーレンズ系は両側テ
レセントリックであることが望ましい。また、1回のリ
レーにより、2つのAOM17A’,17B内の進行波
の方向は同じ方向に設定されている。
【0065】この変形例では、入射する光束L0 による
AOM17A’内の中心Pからの−1次回折光L0(-1)
、+1次回折光LA(1)、及び0次光LA は、それぞれ
リレーレンズ系を介してAOM17B内の中心Qで交差
する。従って、その中心Qからは、その0次光LA によ
るAOM17Bからの+1次回折光LA(1)と、+1次回
折光L0(1)とがほぼ完全に重なった状態で射出され、そ
の0次光LA によるAOM17Bからの−1次回折光L
A(-1) と、−1次回折光L0(-1) とがほぼ完全に重なっ
た状態で射出される。従って、アライメント用の光束の
利用効率が高くなり、且つ得られる光ビート信号のコン
トラストが高くなる利点がある。
【0066】次に、AOMの変形例につき説明する。第
1の変形例は、互いに逆方向に進行波が進むAOMを交
互に3個以上配置したものである。図11は、そのよう
な第1の変形例を示し、この図11において、入射する
光束L0 の進行方向に順次、AOM17C,17D,1
7E,17Fが配置され、これらのAOM内には交互に
逆方向に周波数f1 の進行波、及び周波数f2 の進行波
が供給されている。また本例でも、隣接する2つのAO
Mの間隔sは、それぞれ(A2)式又は(A3)式の条
件を満たすように設定されている。そして、入射する光
束L0 による、AOM17C〜17Fからの+1次回折
光の混合光が光束L1(1)となり、AOM17C〜17F
からの−1次回折光の混合光が光束L 2(-1) となり、こ
れらの2光束を干渉させることにより、ビート周波数が
(f1−f2)の光ビート信号が得られる。
【0067】この場合、複数個のAOM17C〜17F
の音響光学媒体は材質が異なっていてもかまわないが、
各音響光学媒体内の超音波の波長はほぼ等しいことが望
ましい。材質が異なっていて音速が違う場合でも、超音
波の速度v及び周波数fを用いて波長Λ=v/fとなる
ため、超音波の周波数fを変えることにより超音波の波
長Λを等しくすることが可能である。
【0068】次に、AOMの第2の変形例につき説明す
る。本例は、1つの音響光学媒体内に複数個の進行波を
交互に逆方向に供給するものである。図12は、その第
2の変形例のAOM17Gを示し、この図12におい
て、音響光学媒体41Gの一方の側面に空気長に換算し
た間隔sで順次、吸音材46C、電極板に挟まれたトラ
ンスデューサ43D、吸音材46E、及び電極板に挟ま
れたトランスデューサ43Fが固定されている。また、
音響光学媒体41Gの他方の側面に、吸音材46C、ト
ランスデューサ43D、吸音材46E、及びトランスデ
ューサ43Fに対向するように、電極板に挟まれたトラ
ンスデューサ43C、吸音材46D、電極板に挟まれた
トランスデューサ43E、及び吸音材46Fが固定され
ている。そして、音響光学媒体41G内には、トランス
デューサ43C〜43Fにより周波数f1 の進行波と周
波数f2 の進行波とが交互に逆方向に供給されている。
【0069】本例のAOM17Gを使用しても、図11
の複数個のAOM17C〜17Fを使用した場合と同様
に、入射する光束L0 より所定の周波数差を有する2光
束を生成することができる。次に、本発明の第2実施例
につき図13を参照して説明する。本実施例も、投影露
光装置のヘテロダイン干渉型のアライメント系に本発明
を適用したものであり、図13において図1に対応する
部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。但
し、本例はブラッグ回折(音響ブラッグ回折)領域で音
響光学素子を使用する例である。
【0070】図13において、白色光源10からの白色
光は、口径可変な可変絞り11及びコンデンサーレンズ
12を介することにより平行光束L0 に変換された後、
所定の波長域の光を抽出するバンドパスフィルター13
を介して回折格子14に垂直に入射する。この回折格子
14に垂直に入射した平行光束L0 は、回折格子14の
回折作用によって所定の波長域をもつ±1次回折光
1 ,L2 に分割される。
【0071】さて、所定の波長域を持つ±1次回折光
(以下、単に「光束」と呼ぶ)L1 ,L2 は、レンズ1
5a及び15bを有するリレー光学系15によって集光
された後、直列して配列されたAOM17A及び17B
に対し等しい入射角のもとで対称に入射する。なお、レ
ンズ15aとレンズ15bとの間には、回折格子14か
らの±1次回折光を抽出するための空間フィルター16
が設けられている。
【0072】AOM17A及び17Bは、それぞれ周波
数f1 及びf2 (f1 >f2 )の高周波信号SF1 及び
SF2 で逆方向から駆動されており、所定の波長域の光
束L 1 及びL2 はAOM17A,17Bによりブラッグ
回折作用を受ける。以下では、回折光の次数は高周波信
号SF1 による進行波の進行方向を基準にして考える。
【0073】このとき、所定の波長域の光束L1 及びL
2 の中心周波数をそれぞれf0 とすると、光束L1 の第
1のAOM17Aによる+1次回折光と、第2のAOM
17Bによる+1次回折光との混合光が光束L1(1)とな
り、光束L2 のAOM17Aによる−1次回折光と、A
OM17Bによる−1次回折光との混合光が光束L2(-
1) となっている。そして、光束L1(1)は2つのAOM
17A,17Bにより実質的に(f1-f2)/2で周波数
変調され、他方の光束L2(-1) は2つのAOM17A,
17Bにより実質的に−(f1-f2)/2で周波数変調さ
れて、それら2つの光束の干渉光のビート周波数は(f
1-f2)にビートダウンされている。
【0074】その後、光束L1 (1) 及び光束L2 (-1)
は、レンズ18a、反射ミラー20、レンズ18b、レ
ンズ21を介し、ビームスプリッター22によりそれぞ
れ2分割される。なお、レンズ18aとレンズ18bと
で構成されるリレー光学系の間には、光束L1 (1) と光
束L2 (-1)とを抽出するための空間フィルター19が設
けられている。そして、AOM17A.17Bからは0
次光及び高次回折光も発生するが、これらは空間フィル
ター19により阻止される。その他の構成は図1の実施
例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】次に、図13に示した第2実施例におい
て、互いに異なる周波数の2光束を生成する部分につい
てより具体的な構成及び原理を図13、及び図14を参
照しながら説明する。図13において、白色光の光束L
0 が回折格子14に対して垂直に入射すると、回折格子
14の回折作用により、各波長毎に各次数の回折光が発
生する。
【0076】このとき、回折格子14の法線方向に対す
る回折光の回折角をφ1 、回折格子14のピッチを
G 、光の波長をλ、回折光の次数をN(整数)とする
とき、以下の(B6)式を満足する各次数の回折光が発
生する。 sin φ1 =Nλ/PG (B6) そして、集光レンズ15aを通過した所定の波長帯の各
次数の回折光は、集光レンズ15aの後側焦点位置(集
光レンズ15bの前側焦点位置)に配置された空間フィ
ルター16によってフィルタリングされ、所定の波長帯
の±1次回折光以外の光は遮蔽され、所定の波長帯の±
1次回折光L1 ,L2 のみが選択されて、集光レンズ1
5bを介してAOM17Aに向かう。
【0077】ここで、空間フィルター16を通過する±
1次回折光L1 ,L2 の回折角を考えると、例えば、照
射光L0 の中心波長λ0 を633nm、光束L0 の波長
帯を(λ0 ±Δλ)(Δλは20nm)、回折格子14
のピッチを4μmとするとき、613nmの最短波長に
よる±1次回折光の回折角は(B6)式より8.82゜
となり、653nmの最長波長による±1次回折光の回
折角は、(B6)式より9.40゜となる。
【0078】従って、613nm〜653nmの波長帯
の光では8.82゜〜9.40°の範囲の回折角の±1
次回折光が発生する。この様に、光の波長が異なるのに
伴い回折角φ1 が変化するが、本実施例ではリレー光学
系15a,15bによって回折格子14の回折点をAO
M17A,17Bの中点にリレーして、各波長の±1次
回折光をAOM17A,17Bの中点で集光させている
ため、回折格子14により対称に2分割される所定の波
長帯の±1次回折光L1 ,L2 は、各波長毎に予め定め
られた入射角φ2 のもとでAOM17A,17Bに対し
対称に入射する。これについて式をもって説明する。
【0079】図14は、図13内の2つのAOM17
A,17Bの拡大図であり、この図14において、所定
の波長域の±1次回折光L1 ,L2 は、入射角φ2 で2
方向からAOM17Aに入射し、各回折光の一部の光束
1A、及びL2Aは第1のAOM17Aによる音響ブラッ
グ回折作用を受けるが、各回折光の残りの光束L1B,L
2BはそのままAOM17Aを透過してAOM17Bに対
称に入射する。そして、残りの光束L1B,L2Bは第2の
AOM17Bによる音響ブラッグ回折作用を受ける。
【0080】この場合、第1のAOM17Aは、光束L
1Aの+1次回折光L1A(1) の回折角と、光束L2Aの−1
次回折光L2A(-1)の回折角とが共にほぼ2φ2 (入射角
φ2の2倍)となる周波数f1 の高周波信号SF1 によ
り駆動されている。また、第2のAOM17Bは、光束
1Bの+1次回折光L1B(1) の回折角と、光束L2Bの−
1次回折光L2B(-1)の回折角とが共にほぼ2φ2 となる
周波数f2 (周波数f 1 より僅かに小さい)の高周波信
号SF2 により駆動されている。
【0081】今、AOM17A,17Bのブラッグ回折
による回折角の平均値をθb1(=2φ2 )とし、AOM
17A,17B内を横切る進行波(超音波)47A,4
7Bの速度の平均値をv、光の波長をλとすると、AO
M17A,17B内を横切る超音波47A,47B(進
行波)の波長の平均値Λ1 及び回折角の平均値θb1につ
いて、それぞれ次の(B7)式、(B8)式の関係が成
立する。
【0082】 Λ=v/f,(f=(f1 +f2 )/2) (B7) sin θb1=λ/Λ (B8) よって、(B7)式及び(B8)式より、AOM17
A,17Bによる回折角の平均値θb (=2φ2 )は、
最終的に次式の如くなる。 sin θb1=f・λ/v(又は、sin2φ2 =f・λ/v) (B9) 従って、AOM17Aからの+1次回折光L1A(1) 及び
AOM17Bからの+1次回折光L1B(1) よりなる光束
1(1)と、AOM17Aからの−1次回折光L 2A(-1)及
びAOM17Bからの−1次回折光L2B(-1)よりなる光
束L2(-1)とは、各波長毎に(B9)式を満足する回折
角を持ってAOM17Bから対称に射出される。
【0083】なお、図13のリレー光学系15a,15
bの倍率をβ1 とし、リレー光学系15a,15bが正
弦条件を満足しているとすると、次の関係が成立する。 β1 =sin φ1 /sin φ2 ≒2sin φ1 /sin(2φ2 ) (B10) (B6)式、(B9)式及び(B10)式より以下の
(B11)式が導出される。
【0084】 β1 =(2v)/(PG・f) (B11) よって、リレー光学系15a,15bは、上の(B1
1)式を満足するように構成することが望ましい。ま
た、図14において、AOM17Aの超音波作用領域の
中心とAOM17Bの超音波作用領域の中心との間隔s
は、AOM17Aからの+1次回折光L1A(1) (又は−
1次回折光L2A(-1))とAOM17Bからの+1次回折
光L1B(1) (又は−1次回折光L2B(-1))との位相差φ
BRが、整数mを用いて次の範囲内に収まるように設定さ
れる。
【0085】 (m−1/3)π<φBR<(m+1/3)π (B12) これにより、光束L1(1)及びL2(-1) を干渉させた場合
に得られる光ビート信号のコントラストが1/2以上と
なり、正確に位置検出を行うことができる。また、その
位相差φBRはmπに近い程良いことは明かである。ま
た、図14において、光束L1A及びL2AのAOM17A
での0次光59、及び光束L1B及びL2BのAOM17B
での0次光60の光束L2 (-1)及び光束L1(1)に対する
混入を防ぐために、進行波47A,47Bの各進行方向
と入射する2光束L1 ,L2 の張る平面とは非平行にし
てある。これにより、0次光59及び60は、図13の
空間フィルター19により完全に除去できる。
【0086】更に、上述の第2実施例では、図13に示
すように、光源手段(10〜12)から供給される白色
光(多波長光)を光束分割手段としての回折格子14に
よって入射方向(光軸方向)に対して対称に分割してい
るが、回折格子14とは別の光束分割手段を使用しても
よく、例えば、図16に示すごときウオラストンプリズ
ム140を用いても良い。更に、図15に示すように、
複数の単色光源100〜102から射出される波長λ1
〜λ3 の光束を反射型回折格子103を用いて同軸に合
成して光束L0 とし、この光束L0 を図1又は図13の
白色光源から射出される光束L0 の代わりに使用しても
よい。
【0087】また、図1及び図13に示した各実施例と
も、各光電検出器25,33,36により光電検出され
る信号から、位相差検出系50内部の光ビート信号抽出
部にて所定の周波数のビート信号が抽出されている。し
かしながら、各光電検出器25,33,36と位相差検
出系50との間の電気的な経路間に、光ビート信号抽出
部(フーリエ変換回路)をそれぞれ配置し、各光電検出
器25,33,36から出力される光電信号をそれぞれ
独立にフーリエ変換しても良い。
【0088】このように、本発明は上述実施例に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取
り得る。
【0089】
【発明の効果】本発明の位置検出装置によれば、必要に
応じて複数波長の光(白色光を含む)による光ビート信
号が得られるため、各波長の光ビート信号、即ち複数の
光ビート信号による平均化効果によって、各回折格子状
マークの非対称性による悪影響を抑えることができる。
しかも、多波長光(白色光)により被検面上の回折格子
マークを照射しているため、フォトレジスト層等の薄膜
干渉の影響を解消しながら、ヘテロダイン干渉法による
高精度な位置検出が達成できる。
【0090】更に、多波長光(白色光)は2光束生成手
段により入射方向に対して対称に分割された後、各光学
系を光軸に対して対称かつ並列的に進行するため、分割
光束間には光路長差が原理的に発生しない。このため、
分割光束間の波面が揃っているため、高精度な位置合わ
せが可能となるばかりか、調整容易でコンパクトな装置
が実現できる。更に、隣接して配置された複数個の音響
光学素子内に交互に逆向きの超音波を供給するという簡
単な構成で、ラマン−ナス回折を利用する場合でも、ブ
ラッグ回折を利用する場合でも、ビートダウンされた低
い周波数の光ビート信号を得ることができる。
【0091】また、隣接する2つの音響光学素子からの
回折光の位相差φにつき(A1)式の条件を満たす場合
には、複数の回折光の干渉光を光電変換することにより
コントラストの高い、即ちSN比の高い光ビート信号を
得ることができる。これにより、位置検出用の光の利用
効率も高くなる利点がある。また、複数個の音響光学素
子内の所定の隣接する2つの音響光学素子内にリレー光
学系を配置し、その所定の隣接する2つの音響光学素子
内の超音波作用領域をそのリレー光学系に関して共役な
位置に配置することにより、その隣接する2つの音響光
学素子の間隔を実質的に0にすることができるため、得
られる光ビート信号のコントラストが最大となる。しか
も、その隣接する2つの音響光学素子からの回折光の位
置ずれがなくなるため、光の利用効率も最大となる利点
がある。
【0092】また、複数個の音響光学素子の超音波作用
領域の入射する光束の進行方向に対する中点と実質的に
共役な位置に、互いに周波数の異なる2光束の周辺のノ
イズ光を遮断する視野絞りを設けた場合には、位置検出
とは関係のない光束が遮断されるため、得られる光ビー
ト信号のコントラスト(SN比)が更に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例の投影露光装置の概略
構成を示す構成図である。
【図2】第1実施例で使用される各回折格子マークを示
す拡大平面図である。
【図3】第1実施例のアライメント光学系内に設けられ
た各視野絞りを示す拡大平面図である。
【図4】図1内の2光束生成部(互いに異なる周波数の
2光束を生成する部分)の構成を示す概念図である。
【図5】本発明における2つの音響光学素子からの回折
光の位相差の説明に供する図である。
【図6】本発明により得られる干渉光の光強度I(t)
の一例を示す波形図である。
【図7】空気長に換算した間隔の計算方法の説明図であ
る。
【図8】第1実施例で使用される音響光学素子を示す構
成図である。
【図9】2つの音響光学素子間にリレーレンズ系を配置
した変形例を示す構成図である。
【図10】図1における視野絞り57の作用の説明に供
する概念図である。
【図11】音響光学素子の第1の変形例を示す構成図で
ある。
【図12】音響光学素子の第2の変形例を示す構成図で
ある。
【図13】本発明の第2実施例の投影露光装置の概略構
成を示す構成図である。
【図14】第2実施例でブラッグ回折により周波数の異
なる2光束を生成する部分の構成を示す拡大図である。
【図15】互いに異なる波長の光を射出する複数の光源
とブレーズド型の反射型回折格子とによって光源手段を
構成した例を示す図である。
【図16】光束分割手段をウオラストンプリズムで構成
した例を示す図である。
【符号の説明】
1 レチクル 3 投影光学系 4 ウエハ RM,WM 回折格子マーク 10 白色光源 11 可変絞り 12 コンデンサーレンズ 13 バンドパスフィルター 14 回折格子 15a,15b 第1リレー光学系 17A〜17G,17A’ 音響光学素子(AOM) 18a,18b 第2リレー光学系 16,19 空間フィルター 38 対物レンズ 57 視野絞り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−241726(JP,A) 特開 平6−82215(JP,A) 特開 平6−310404(JP,A) 特開 平3−168719(JP,A) 特開 平2−227604(JP,A) 特開 昭63−283129(JP,A) 特開 平2−176512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20 521 G03F 9/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに周波数の異なる2光束を生成する
    2光束生成手段と、該2光束生成手段からの2光束を集
    光して被検物体上に形成された回折格子状マークに対し
    て前記2光束を所定の2方向から照射する対物光学系
    と、前記回折格子状マークから発生する複数の回折光よ
    りなる干渉光を光電的に検出する光電検出器とを有し、
    該光電検出器の検出信号に基づいて前記被検物体の位置
    を検出する位置検出装置において、 前記2光束生成手段は、複数波長の光を含む光束又は単
    一波長の光束を生成する光源手段と、該光源手段からの
    光束から互いに周波数の異なる2光束を生成する複数個
    の音響光学素子とを備え、 該複数個の音響光学素子内の超音波の進行方向は交互に
    逆向きに設定され、該複数個の音響光学素子内の隣接す
    る2つの音響光学素子の超音波作用領域の前記光束の進
    行方向に対する間隔は、それぞれ前記隣接する2つの音
    響光学素子の超音波作用領域から同一方向に回折される
    回折光の位相差φが、整数mを用いて、 (m−1/3)π<φ<(m+1/3)π で表される範囲内にあることを特徴とする位置検出装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の位置検出装置であって、 前記複数個の音響光学素子内の隣接する2つの音響光学
    素子の超音波作用領域の前記光束の進行方向に対する空
    気中に換算した間隔sは、 前記互いに周波数の異なる2光束の空気内での平均波長
    をλ、前記隣接する2つの音響光学素子内での超音波の
    平均波長をΛ、該超音波の音速をv、該超音波の平均周
    波数をfとして、整数mを用いて、 (m−1/3)Λ2/λ<s<(m+1/3)Λ2/λ 即ち、 (m−1/3)v2/(λf2)<s<(m+1/3)v2/(λf2) で表される範囲内にあることを特徴とする位置検出装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の位置検出装置であ
    って、 前記複数個の音響光学素子内の所定の隣接する2つの音
    響光学素子内にリレー光学系を配置し、前記所定の隣接
    する2つの音響光学素子内の超音波作用領域を前記リレ
    ー光学系に関して共役な位置に配置することを特徴とす
    る位置検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、又は3記載の位置検出装
    置であって、 前記複数個の音響光学素子の超音波作用領域の前記光束
    の進行方向に対する中点と実質的に共役な位置に、前記
    互いに周波数の異なる2光束の周辺のノイズ光を遮断す
    る視野絞りを設けることを特徴とする位置検出装置。
  5. 【請求項5】 互いに周波数の異なる2光束を生成する
    2光束生成手段と、該2光束生成手段からの2光束を集
    光して被検物体上に形成された回折格子状マークに対し
    て前記2光束を所定の2方向から照射する対物光学系
    と、前記回折格子状マークから発生する複数の回折光よ
    りなる干渉光を光電的に検出する光電検出器とを有し、
    該光電検出器の検出信号に基づいて前記被検物体の位置
    を検出する位置検出装置において、 前記2光束生成手段は、複数波長の光を含む光束又は単
    一波長の光束を生成する光源手段と、該光源手段からの
    光束から互いに周波数の異なる2光束を生成する音響光
    学素子とを備え、 該音響光学素子内の超音波の進行方向は交互に逆向きに
    設定され、該音響光学素子内の隣接する2つの超音波作
    用領域の前記光束の進行方向に対する間隔は、それぞれ
    前記隣接する2つの超音波作用領域から同一方向に回折
    される回折光の位相差φが、整数mを用いて、 (m−1/3)π<φ<(m+1/3)π で表される範囲内にあることを特徴とする位置検出装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の位置検出装置であって、 前記隣接する2つの超音波作用領域の前記光束の進行方
    向に対する空気中に換算した間隔sは、 前記互いに周波数の異なる2光束の空気内での平均波長
    をλ、前記隣接する2つの超音波作用領域内での超音波
    の平均波長をΛ、該超音波の音速をv、該超音波の平均
    周波数をfとして、整数mを用いて、 (m−1/3)Λ2/λ<s<(m+1/3)Λ2/λ 即ち、 (m−1/3)v2/(λf2)<s<(m+1/3)v2
    (λf2) で表される範囲内にあることを特徴とする位置検出装
    置。
  7. 【請求項7】 マスク上に形成された所定のパターンを
    基板上に転写露光する露光装置において、 前記マスクと前記基板との位置合わせを行うための請求
    項1〜6の何れか一項記載の位置検出装置を備えること
    を特徴とする露光装置。
  8. 【請求項8】 マスク上に形成された所定のパターンを
    基板上に転写露光する露光方法において、 請求項1〜6の何れか一項記載の位置検出装置を用いて
    前記マスクと前記基板との位置合わせを行うことを特徴
    とする露光方法。
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