JP3504513B2 - 金 型 - Google Patents

金 型

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JP3504513B2
JP3504513B2 JP30896498A JP30896498A JP3504513B2 JP 3504513 B2 JP3504513 B2 JP 3504513B2 JP 30896498 A JP30896498 A JP 30896498A JP 30896498 A JP30896498 A JP 30896498A JP 3504513 B2 JP3504513 B2 JP 3504513B2
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良雄 原賀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性部材よりなる
弾性パンチの弾性変形を利用して金属板等のワークに任
意の形状の絞り加工等の成形加工を施すことができる
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばパンチプレス等を用いて板
状のワークに絞り加工等の成形加工を行う場合、その成
形加工の形状に対応した凹部を備えた下型(雌型)と上
記凹部に対応する上型(雄型)とをパンチプレスに装着
し、上記下型と上型との間にワークを位置せしめた後、
上型を下降せしめることにより、上下の金型によってワ
ークに所望形状の成形加工を行っている。なお、上型を
雌型とし、下型を雄型とする場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のごと
くパンチプレス等に上下の金型を装着して板状のワーク
に成形加工を行う場合、その成形加工の形状に対応した
専用の金型が必要であり、成形加工の形状が種々ある場
合には各成形加工の形状に対応した多くの金型が必要で
あるという問題がある。
【0004】さらに、例えば成形加工の形状が同一形状
であっても、対象とするワークの板厚が異なる場合には
上下の金型のクリアランスを板厚に対応して調節しなけ
ればならず、板厚が異なる場合の対応が厄介であるとい
う問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前述のごとき従
来の問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明
は、所望の形状の凹部を備えた雌型に対してワークを押
圧可能の筒状のホルダー内に弾性パンチを備え、この
性パンチを相対的に加圧可能のスライドパンチを設け、
前記弾性パンチが前記スライドパンチによって押圧され
る側の端部の外周に、テーパ面を形成した構成である
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
金型において、前記ホルダーは、円筒形状のホルダー本
体と、このホルダー本体の上部に取付けたスライドホル
ダー部と、前記ホルダー本体の下部に着脱可能に取付け
たしわ押さえホルダー部とに3分割してあり、前記しわ
押さえホルダー部は、前記弾性パンチの押圧力を受ける
テーパ面を備えかつワークを押圧する押圧力受部を備え
た構成である
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面を用いて詳細に説明する。
【0024】図1〜図4は本発明に係る成形加工方法を
その工程順に示す断面図、図5は図2のA部拡大詳細
図、図6は本発明に係る成形加工方法によって加工され
た製品の部分斜視図である。
【0025】先ず、本発明に係る成形加工を行うための
金型の基本構成を図1に基づいて説明する。
【0026】図1において、符号1はプレスにおける定
盤状のボルスター、タレットパンチプレスにおける下部
タレット等に相当する下型ホルダであって、その上には
金属プレート2がセットされ、この金属プレート2の上
には雌型の1例としての積層型3が載置されてセットさ
れている。この積層型3は複数枚(図示例では、4枚)
の金属プレート3aを積層して構成されており、この金
型3には所望の形状(本実施の形態では、逆円錐台状)
の凹部3bが形成されている。
【0027】そして、上記積層型3の上には被加工物
(ワーク)である金属板4がセットされており、この金
属板4の上には前記雌型と対応する雄型が設けられてい
る。この雄型における略円筒状のホルダー5の中央部に
は上下に異径の2段孔5a,5bが穿設されている。ホ
ルダー5は鋼製であり、このホルダー5の底面には開口
する小径の円孔5bの高さhはホルダー5の全体の高さ
Hに対して十分小さく(本実施例の形態では、h=2m
m)設定されている。
【0028】又、ホルダー5の大小異径の円孔5a,5
bの繋ぎ部分には下方に向かって絞られた(縮径する)
テーパ面5cが形成されており、図5に詳細に示すよう
に、このテーパ面5cの傾斜角αは、α=3°〜45°
(本実施の形態では、α=12°)に設定されている。
上記テーパ面を備えた部分は、ホルダー5内に内装した
弾性パンチ6からの押圧力を受ける押圧力受部5Fを形
成しているものである。
【0029】ところで、図1に示すセット状態において
は、ホルダー5はその底面に開口する小径の円孔5bが
前記積層型3の凹部3bの上方に位置するように位置決
めされており、該ホルダー5の大径の円孔5a内にはウ
レタン、ゴム等の弾性体によって略円柱状に成型された
前記弾性パンチ6が収納されている。そして、この弾性
パンチ6の上面には、ホルダー5の大径の円孔5a内を
相対的に上下動して前記弾性パンチ6を加圧する加圧部
材の1例として円柱状のスライドパンチ7が当接してい
る。
【0030】ここで、図1に示すセット状態において
は、上記弾性パンチ6はその外径dがホルダー5の円孔
5aの内径Dよりも小さく(d<D)設定されており、
両者の間にはリング状の所定の隙間δが形成されてい
る。又、この弾性パンチ6の上下の端部外周にはそれぞ
れ上方向と下方向に向かって絞られた(縮径する)テー
パ面6a,6bが形成されている。尚、前記スライドパ
ンチ7は不図示の油圧プレス機構によってホルダー5内
を上下動せしめられ、且つ、所望のプレスによって荷重
を加えられる。
【0031】而して、以上説明した、積層型(雌型)
3,雄型のホルダー5、弾性パンチ6及び加圧部材とし
てのスライドパンチ7とによって本発明に係る成形加工
用の金型が構成される。この金型を用いて行われる成形
加工を図1〜図6に基づいて以下に説明する。
【0032】図1に示すセット状態において、不図示の
油圧プレスが駆動され、ラム等によってスライドパンチ
7に所定のプレス荷重Pが加えられると、図2に示すよ
うにホルダー5内に収納された弾性パンチ6がスライド
パンチ7によって押圧(加圧)されて弾性変形(圧縮変
形)し、この弾性パンチ6は拡径してその外周面がホル
ダー5の円孔5aの内周面に密着するとともに、その下
端部外周に形成されたテーパ面6bがホルダー5のテー
パ面5cに沿って小径の円孔5b側へスムーズに流れ込
み、図示のように弾性パンチ6の下部がホルダー5の円
孔5bに押し出されてワークである金属板4の上面に当
接する。
【0033】このとき、ホルダー5の押圧力受部5Fに
は所定の傾斜角αを有するテーパ面5cが形成されてい
るため、図5に示すように、このテーパ面5cには弾性
パンチ6から押圧力Fが作用し、従って、ホルダー5は
その押圧力Fの鉛直成分F・cosαによって金属板4
を押圧する。この結果、ホルダー5はしわ押さえ(ブラ
ンクホルダー)としても機能する。
【0034】ここで、前記ホルダー5は、弾性パンチ6
からの押圧力を押圧力受部5Fで受けることによってワ
ーク4を雌型3との間に挾圧している。この挾圧力は、
スライドパンチ7の加圧力が大きくなって弾性パンチ6
が強力に圧縮されると大きくなるものであって、弾性パ
ンチ6がスライドパンチ7によって押圧される押圧力が
大きくなれば大きくなる関係にあるものである。
【0035】尚、弾性パンチ6の上端外周に形成された
テーパ面6aの傾斜角を変えて弾性パンチ6の上面の面
積(受圧面積)を変えれば、加工初期における弾性パン
チ6の上面の面圧を調整することができ、例えば面圧を
大きくする場合はテーパ面6aの傾斜角を大きくして弾
性パンチ6の上面の面積(受圧面積)を小さくすれば良
い。
【0036】そして、その後もプレス荷重Pが継続して
弾性パンチ6に加え続けられると、図3に示すように、
弾性パンチ6は更に弾性変形してその一部が金属板4と
共に積層型3の凹部3bに押し込まれるため、この弾性
パンチ6は積層型3の凹部3bに対応する凸形状を有す
る上型(剛体)として機能し、金属板4の一部を積層型
3の凹部3bの形状に沿って塑性変形させてこれを絞り
加工する。尚、このときもホルダー5のテーパ面5cに
は弾性パンチ6から押圧力F(図5参照)が作用するた
め、前述と同様にホルダー5はしわ押さえ(ブランクホ
ルダー)としても機能して金属板4にしわが発生するの
を防いでいる。
【0037】ところで、上述のように弾性パンチ6を圧
縮すると、弾性パンチ6の1部がホルダー5の内周面と
スライドパンチ7の外周面との間に入り込んでかじり現
象を生じる傾向にあるが、本例においては、弾性パンチ
6に適宜面取りのテーパ面6aが形成してあるので、前
記ホルダー5とスライドパンチ7との間への入り込みを
抑制でき、上述のごときかじり現象を防止することがで
きる。
【0038】以上のようにして、金属板4に所望の形状
の絞り加工が施された後、プレス荷重Pを除去(除荷)
すれば、図4に示すように、弾性体からなる弾性パンチ
6は元の状態(図1に示すセット状態)に復帰するた
め、以後、同様の工程を繰り返せば、絞り加工によって
金属板4に図6に示すような凹部4aを連続的に形成す
ることができる。尚、本実施の形態に係る成形加工方法
においては、金属板4に傷等は発生しないが、金属板4
とホルダー5の間にフィルムやテープ等を介在させれ
ば、ホルダー5の押圧力に伴う金属板4の損傷をより確
実に防ぐことができる。
【0039】以上のように、本実施の形態においては、
積層型3と弾性パンチ6の間にワークである金属板4を
介在させ、弾性パンチ6を押圧してこれを弾性変形せし
め、この弾性パンチ6の一部を金属板4と共に積層型3
の凹部3bに押し込むことによって金属板4に積層型3
の凹部3bの形状に沿った(倣った)絞り加工を施すよ
うにしたため、弾性パンチ6はプレス加工における上型
(雄型)として機能し、従って、少量多品種の製品の製
造において、プレス加工における高価な金型を用いるこ
となく任意の形状の絞り加工を安価に、容易且つ短時間
に行うことができる。
【0040】したがって、雄型としての上型が共通であ
っても雌型としての下型における凹部の形状を種々変更
することにより、例えば、図7に示すように金属板8に
矩形状の凸部8aや図8に示すように金属板9に矩形状
の凹部9a及び小径のビス座9bを形成することがで
き、更には図9に示すように金属板10に半球状の凸部
10aを形成することができる。すなわち、1つの上型
(雄型)でもって複数の下型(雌型)に対応できるもの
である。
【0041】又、本実施の形態では、ホルダー5の押圧
力受部5Fには所定の傾斜角αを有するテーパ面5cを
形成したため、このテーパ面5cに弾性パンチ6から作
用する押圧力Fの鉛直成分F・cosαによってホルダ
ー5が金属板4を雌型に押圧して挾圧するので、該ホル
ダー5がしわ押さえ(ブランクホルダー)としても機能
するために専用のしわ押さえが不要となり、成形金型の
構造がより単純化してそのコストダウンがより容易に図
られる。
【0042】<実施の形態2>次に、本発明の実施の形
態2に係る成形金型を図10に基づいて説明する。
【0043】図10は本実施の形態に係る成形金型の断
面図であり、該成形金型は、雌型としての下型を構成す
るダイ13と、このダイ13の上方に配された雄型とし
ての上型を備え、上記上型は、略円筒状のホルダー15
と円柱状の弾性パンチ16及び加圧部材としてのスライ
ドパンチ17を含んで構成されている。ここで、上記ダ
イ13の上面には所望の形状(本実施の形態では、逆円
錐台状)の凹部13bが形成されている。
【0044】而して、前記ホルダー15はスライドホル
ダー部15Aと円筒状のホルダー本体15B及びしわ押
さえホルダー部15Cに3分割されており、ホルダー本
体15Bの上部にスライドホルダー部15Aを、下部に
しわ押さえホルダー部15Cをそれぞれ脱着可能に組み
付けて構成されている。
【0045】即ち、リング状に成形されたスライドホル
ダー部15Aは、その下面内周部に突設された凸部15
aをホルダー本体15Bの上端内周部に嵌合して位置決
めした状態で複数本のボルト21(図10には1本のみ
図示)によってホルダー本体15Bの上部に取付けられ
ている。又、前記しわ押さえホルダー部15Cは、その
上面外周部に突設されたリング状の凸部15bをホルダ
ー本体15Bの下面外周部に形成されたリング状の凹部
15cに嵌合して位置決めした状態で複数本のボルト2
2(図10には1本のみ図示)によってホルダー本体1
5Bの下部に取付けられている。
【0046】尚、ホルダー15のしわ押さえホルダー部
15Cには下方に向かって絞られたテーパ面15dを備
えた押圧力受部15Fが形成されている。
【0047】又、前記弾性パンチ16は実施の形態1と
同様にウレタン、ゴム等の弾性体によって構成されてお
り、前記スライドパンチ17は大小異径の2段円柱状に
成形され、その下半部の大径部17aはホルダー15内
に嵌入されている。そして、このスライドパンチ17の
下面は弾性パンチ16の上面に当接しており、段部17
bはホルダー15の前記スライドホルダー部15Aに当
接している。従って、スライドパンチ17とホルダー1
5及び弾性パンチ16は、しわ押さえホルダー部15C
がワーク4に当接するまでは一体的に上下動する。
【0048】而して、上記スライドパンチ17はその上
端部がシャンク23とボルト24によってプレス装置に
おいて上下動自在のラム25に取り付けられており、図
示のように被加工物(ワーク)である金属板4を雌型と
してのダイ13上に載置してセットした状態で、プレス
装置のラム25を駆動して、雄型としての上型のスライ
ドパンチ17とホルダー15及び弾性パンチ16を下動
させれば、ホルダー15(しわ押さえホルダー部15
C)の下端面が金属板4に当接して停止し、その後、ス
ライドパンチ17が更に相対的に下動されると、弾性パ
ンチ16がスライドパンチ17によって押圧(加圧)さ
れて弾性変形(圧縮変形)し、前記実施の形態1と同様
に弾性パンチ16はダイ13の凹部13bに対応する凸
形状を有する上型(剛体)として機能し、金属板4の一
部をダイ13の凹部13bの形状に沿って塑性変形させ
て絞り加工するため、金属板4には図6に示すような凹
部4aが形成される。
【0049】そして、上記圧縮加工工程において、ホル
ダー15のしわ押さえホルダー部15Cは、押圧力受部
15Fにおいて所定の傾斜角αを有するテーパ面15d
に弾性パンチ16から作用する力Fの鉛直成分F・co
sα(図5参照)によって金属板4に押圧して該金属板
4にしわが発生するのを防ぐ。
【0050】ところで、ホルダー15のしわ押さえホル
ダー部15Cが金属板4を押さえる力(押圧力)は金属
板4の板厚や材質によって異なるが、押圧力はしわ押さ
えホルダー部15Cのテーパ面15dの傾斜角αを変え
ることによって調整することができる。具体的には、テ
ーパ面15dの傾斜角αを小さく設定する程、押圧力F
・cosαを大きくすることができる。
【0051】而して、本実施の形態ではホルダー15を
分割してしわ押さえホルダー部15Cをホルダー本体1
5Bに対して脱着可能に取り付けたため、該しわ押さえ
ホルダー部15Cを容易に着脱交換することができる。
例えば、図11に示すようにテーパ面15dの傾斜角α
が異なる3種類のしわ押さえホルダー部15C,15
C’,15C”を準備しておき、これらの中から金属板
4の板厚や材質に応じて最適なものを選択してこれをホ
ルダー本体15Bに取り付ければ良い。
【0052】ここで、図11(a)はテーパ面15dの
傾斜角αをα=45°〜89°に設定した低圧用のしわ
押さえホルダー部15Cを、同図(b)はテーパ面15
dの傾斜角αをα=0°〜45°に設定した中圧用のし
わ押さえホルダー部15C’を、同図(c)はテーパ面
15dの傾斜角αをα=0°に設定した高圧用のしわ押
さえホルダー部15C”をそれぞれ示している。尚、テ
ーパ面15dの傾斜角αの他、幅寸法Aも調整すること
によって金属板4に対する押圧力を調整することができ
る。
【0053】以上のように、本実施の形態に係る成形金
型によれば、ホルダー15を分割してしわ押さえホルダ
ー部15Cをホルダー本体15Bに対して脱着交換可能
に取り付けたため、ホルダー15の全体を交換すること
なく、しわ押さえホルダー部15Cのみを交換すること
によって金属板4への押圧力を該金属板4の板厚や材質
に適した値に調整することができるとともに、ホルダー
15のしわ押さえホルダー部15Cを除くスライドホル
ダー部15Aとホルダー本体15Bを共用することがで
きるためにコストダウンを図ることができる。
【0054】尚、本実施の形態においても実施の形態1
と同様の効果が得られることは勿論である。
【0055】<実施の形態3>次に、本発明の実施の形
態3に係る成形金型を図12に基づいて説明する。尚、
図12は本実施の形態に係る成形金型の断面図であり、
本図においては図10に示した同一要素には同一符号を
付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0056】本実施の形態は成形金型をNCタレットパ
ンチプレスに装着して成形加工を自動化した例を示し、
成形金型の基本構成は前記実施の形態2のそれと同一で
ある。
【0057】本実施の形態では、弾性パンチ16とスラ
イドパンチ17を保持して成る雄型としての上型におけ
るホルダー15をNCタレットパンチプレスの上部タレ
ット26に上下動可能に保持するとともに、ホルダー1
5のスライドホルダー部15Aの外周をホルダー本体1
5Bの外方へ延出して鍔部とし、この鍔部と上部タレッ
ト26との間にリフタースプリング27を縮装してホル
ダー15と弾性パンチ16及びスライドパンチ17を上
方に付勢支持している。
【0058】而して、図示のように被加工物(ワーク)
である金属板4を雌型としてのダイ13上に載置してセ
ットした状態で、NCタレットパンチプレスにおいて上
下動自在のストライカ28で雄型としての上型における
スライドパンチ17を押圧すれば、該スライドパンチ1
7がホルダー15及び弾性パンチ16と共にリフタース
プリング27の付勢力に抗して下動し、ホルダー15
(しわ押さえホルダー部15C)の下端面が金属板4に
当接して停止する。
【0059】その後、スライドパンチ17が更に押圧さ
れて相対的に下動すると、弾性パンチ16がスライドパ
ンチ17によって押圧加圧されて弾性変形(圧縮変形)
し、前記実施の形態1と同様に弾性パンチ16はダイ1
3の凹部13bに対応する凸形状を有する上型(剛体)
として機能し、金属板4の一部をダイ13の凹部13b
の形状に沿って塑性変形させて絞り加工するため、金属
板4には図6に示すような凹部4aが形成される。
【0060】以上のようにして、金属板4に所望の形状
の絞り加工が施された後、NCタレットパンチプレスの
ストライカ28を上動させて除荷すれば、ホルダー15
と弾性パンチ16及びスライドパンチ17はリフタース
プリング27の弾発力によって上動して、図12に示す
元のセット状態に復帰し、以後同様に金属板4に対する
絞り加工を自動的に行うことができる。
【0061】而して、本実施形態によれば、前記実施の
形態1,2と同様の効果が得られる他、成形加工を自動
的に効率良く行うことができるという効果が得られる。
【0062】<実施の形態4>図13は、本発明の実施
の形態4に係る成形金型の断面を示す説明図である。
【0063】この実施の形態において、図12の実施の
形態3と異なるところは、雄型としての上型においての
加圧部材としてのスライドパンチ17の上部に一体的に
備えたパンチヘッド29とホルダー15との間に、コイ
ルスプリング、ウレタンゴムなどのごとき強力な弾性部
材31を設けた構成である。
【0064】上記構成においては、ストライカ28を下
降せしめて加圧部材としてのスライドパンチ17を下降
して弾性パンチ16を加圧するとき、弾性部材31も加
圧されることとなる。したがって、ホルダー15でもっ
てワーク4をダイ31に押圧(加圧)する力は、ホルダ
ー15が弾性パンチ16から受ける押圧力と弾性部材3
1から受ける押圧力の和となり、より大きくなる。
【0065】すなわち、前記構成においては、弾性パン
チ16からホルダー15が受ける押圧力が小さい時に、
弾性部材31が補助してホルダー15を押圧することと
なるものである。よって、弾性パンチ16からホルダー
15が受ける押圧力を大きくすることができない場合に
有効である。
【0066】<実施の形態5>図14は、本発明の実施
の形態5に係る成形金型の断面を示す説明図である。
【0067】この実施の形態において、図13に示した
実施の形態4と相違するところは、雄型としての上型に
おいてのホルダー15におけるしわ押さえホルダー部1
5Cから押圧力受部15Fを省略し、弾性パンチ16の
下面をしわ押さえホルダー部15Cの下面とほぼ同一高
さに設けた構成である。
【0068】上記構成においては、ホルダー15は弾性
部材31から受ける押圧力でもってワーク4をダイ13
へ押圧(加圧)するものであるから、弾性部材31の弾
性係数をより大きくし、弾性部材31をより強力にする
ことによって容易に対応できるものである。
【0069】この構成においては、押圧力受部15Fを
省略した構成であるからホルダー15をストレートの筒
状に形成することが可能であり、例えばパイプ材等を利
用することができ、その製作をより容易に行うことがで
きるものである。
【0070】<実施の形態6>図15は、本発明の実施
の形態6に係る成形金型の断面を示す説明図である。
【0071】この実施の形態において、所望の形状の凹
部33bを備えた雌型33を上型に備え、上記雌型33
と協働する雄型を下型に備えた態様である。すなわち下
型は、例えばタレットパンチプレス(図示省略)におけ
る下部タレットLTに支持されるケーシング35を備え
ており、このケーシング35内には、前記雌型33に対
してワーク4を相対的に押圧可能の筒状のホルダー37
を相対的に上下動可能に内装している。
【0072】上記ホルダー37内にはウレタンゴムまた
はゴム等の弾性体よりなる弾性パンチ39が内装してあ
り、この弾性パンチ39の下面と前記ケーシング35の
底部との間には、前記弾性パンチ39を相対的に加圧
(押圧)可能の加圧部材41が設けてある。そして、上
記ホルダー37,弾性パンチ39及び加圧部材41は、
ユニットとして、ケーシング35に対して着脱交換可能
に設けてある。したがって、ワーク4の板厚、材質、成
形形状に対応して、例えば図16に示すように適正のホ
ルダー37,弾性パンチ39及び加圧部材41に着脱交
換することができる。
【0073】前記弾性パンチ39は、ホルダー37の内
径にほぼ等しい径の大径部39Dを備えると共に、前記
ホルダー37に形成した押圧力受部37Fの内径にほぼ
等しい小径部39dを前記大径部39Dから突出した態
様に備えており、かつ前記大径部39Dには、ホルダー
37の前記押圧力受部37Fのテーパ面37Tに面接触
したテーパ面状の押圧力伝達部39Tを備えている。
【0074】さらに、前記弾性パンチ39における大径
部39Dの外周面には、端部から前記押圧力伝達部39
Tに至る適数本の溝39Gが形成してある。この溝39
Gは、ホルダー37のテーパ面37Tと弾性パンチ39
の前記押圧力伝達部39Tとの接触部へ外気を導くこと
によって上記接触部の密着を防止するためのものであ
る。
【0075】ところで、前記弾性パンチ39における小
径部39dの端面39Fは平面状に形成してあるが、前
記雌型33の凹部33bの形状に沿ってワーク4が正確
に変形するように、弾性パンチ39における小径部39
dの端面の形状は、凹部33bの形状に対応した形状で
あることが望ましいが、ある程度の汎用性を有する形状
として、例えば図17(A),(B)に示すように凸球
面形状又は凹球面形状などの非平面形状であることが望
ましい。
【0076】また、弾性パンチ39は、ホルダー37の
内周面との摩擦を少なくするために、例えばモリブデン
等のごとき潤滑剤を含有した構成であることが望まし
い。この場合、弾性パンチ39の大径部39Dの外周面
とホルダー37の内周面との接触面積が大きいので、こ
の部分の摩擦を小さくするために、大径部39Dの外周
部分のみに潤滑剤を含有した構成とすることが望まし
い。さらに、弾性パンチ39における大径部39Dと小
径部39dとの硬度を異にし、弾性パンチ39からホル
ダー37への押圧力の伝達が充分に行われ得ると共に小
径部39dがホルダー37から突出しワーク4を雌型3
3の凹部33bに沿って充分に押圧するようにすること
が望ましい。
【0077】上述のごとき雄型としての下型と対応する
上型は、例えばタレットパンチプレス(図示省略)にお
ける上部タレットUTにリフタースプリングSPを介し
て上下動自在に支持された雌型ホルダ43を備えてお
り、この雌型ホルダ43の下面に前記雌型33が複数の
ボルト(図示省略)を介して着脱交換可能に取付けてあ
る。なお、上記雌型33の凹部33bには小径のエア抜
き孔33Hが適数設けてある。
【0078】前記雌型ホルダ43にはパンチヘッド45
を上端部に上下位置調節可能に螺着したシャンク47が
相対的に上下動可能に設けてある。このシャンクの下端
部は、雌型ホルダ43に形成した凹部43C内に臨んで
設けてあり、シャンク部47の下端部にはシャープレー
ト49が取付ボルト(図示省略)を介して着脱交換可能
に取付けてある。そして、上記シャープレート49と前
記凹部43Cの底部との間にはリング状のダイプレート
51が設けてある。
【0079】上記シャープレート49は、パンチヘッド
45を下圧して過負荷が生じたときに、ダイプレート5
1とシャンク47によって打抜かれることによってより
以上の過負荷の発生を防止するもので、上記シャープレ
ート49やダイプレート51等は過負荷安全装置を構成
するものである。
【0080】なお、過負荷安全装置の構成としては、上
記シャープレート49やダイプレート51等による構成
に限ることなく、例えば凹部43Cを密封した構成と
し、過負荷発生時に凹部43C内の流体がシャンク47
により圧縮されて高圧となり、規定以上の高圧となった
ときにリリーフバルブを介して流体を外部に流出する構
成としても良いものである。
【0081】以上のごとき構成において、図18(A)
に示すように、雄型としての下型におけるホルダー37
の上面にワーク4を載置位置決めした後、パンチプレス
におけるラム又はストライカ(図示省略)を下降せし
め、このストライカによって雌型としての上型における
パンチヘッド45を下降せしめると、シャンク47,ス
トリッパプレート49,ダイプレート51を介して雌型
ホルダ43がリフタースプリングSPに抗して下降さ
れ、図18(B)に示すように、雌型33がワーク4に
当接する。
【0082】上型に備えた雌型33の下面がワーク4の
上面に当接した後、ストライカによって前記パンチヘッ
ド45をさらに下降せしめると、ワーク4はホルダー3
7の上面と雌型33との間に挾圧された状態において上
記ホルダー37が弾性パンチ39を圧縮しつつ相対的に
下降される。
【0083】上述のようにホルダー37が弾性パンチ3
9を圧縮しながら相対的に下降すると、弾性パンチ39
は加圧部材41によって相対的に圧縮されることとな
り、図18(C)に示すようにホルダー37から相対的
に上方向へ突出する態様となってワーク4を雌型33の
凹部33b内へ押圧し、最終的には、図18(D)に示
すように、上記凹部33bに沿って(倣って)ワーク4
の成形加工を行うことになる。その後、前記ストライカ
を元の位置に上昇復帰すると、リフタースプリングSP
の作用によって上型が元の位置に上昇復帰されると共
に、下型における弾性パンチ39が基の状態に復帰する
ことにより、下型は元の状態に復帰する。
【0084】前述のごとくワーク4の成形加工を行う
際、前記凹部33bには小径のエア抜き孔33Hが設け
てあり、またケーシング35の底部にも小径のエア抜き
孔35Hが形成してあるので、ホルダ37の下降が円滑
に行われ得ると共に凹部33b内へのワーク4の移動変
形も円滑に行われる。
【0085】さらに、弾性パンチ39には潤滑剤が含有
してあって、ホルダー37と弾性パンチ39との間の摩
擦力が小さいので、ホルダー37内においての弾性パン
チ39の移動が円滑に行われ、雌型33の凹部33b方
向への弾性パンチ39の移動が円滑であってワーク4の
成形加工に対して弾性パンチ39が効果的に作用するも
のである。
【0086】この実施の形態によれば、ワーク4に対し
て上方向へ凸状の成形加工を容易に行うことができるも
のである。
【0087】<実施の形態7>図19は、本発明の実施
の形態7に係る成形金型の断面を示す説明図である。
【0088】この実施の形態において、図15に示した
雄型としての雄型としての下型の構成と相違するところ
は、ホルダー37の下部とケーシング35の底部との間
に、ウレタンゴム、皿バネ、コイルバネなどのごとき弾
性部材55を設けた構成である。
【0089】上記構成においては、ホルダー37が相対
的にワーク4を押圧(加圧)する力は、ホルダー37が
弾性パンチ39から受ける押圧力と弾性部材55から受
ける押圧力の和となり、大きな押圧力となるものであ
る。
【0090】
【発明の効果】以上のごとき発明の実施の形態の説明よ
り理解されるように、本発明によれば、弾性パンチによ
ってワークを雌型の凹部に沿って成形加工を行う時、上
記弾性パンチの1部によってホルダーを押圧し、このホ
ルダーによってワークを雌型に挾圧するものであるか
ら、弾性パンチはワークの成形加工とホルダーの押圧と
の両機能を有することとなり、簡単な構成でもってワー
クの成形加工を行い得るものである。
【0091】また、1つの弾性パンチでもって複数の雌
型に対応可能であり、成形金型の数を少なくすることが
でき、全体として安価に製造できることになる。
【0092】さらに、ワークの成形加工に当り、成形加
工の形状が同一であってワークの板厚が変化する場合で
あっても、ワークの板厚の変化に対応して雄型と雌型と
の間のクリアランスの調整が不要であり、ワークの板厚
変化に容易に対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る成形金型と成型加
工方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る成形金型と成型加
工方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る成形金型と成型加
工方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る成形金型と成型加
工方法を示す断面図である。
【図5】図2のA部拡大詳細図である。
【図6】本発明に係る成形加工方法によって加工された
製品の部分斜視図である。
【図7】本発明に係る成形加工方法によって加工された
製品例を示す部分斜視図である。
【図8】本発明に係る成形加工方法によって加工された
製品例を示す部分斜視図である。
【図9】本発明に係る成形加工方法によって加工された
製品例を示す部分斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る成形金型の断面
図である。
【図11】ホルダーのしわ押さえホルダー部の種々の形
態を示す断面図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る成形金型の断面
図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る成形金型の断面
図である。
【図14】本発明の実施の形態5に係る成形金型の断面
図である。
【図15】本発明の実施の形態6に係る成形金型の断面
図である。
【図16】本発明の実施の形態7に係る成形金型の断面
図である。
【図17】本発明に係る弾性パンチの断面説明図であ
る。
【図18】本発明の実施の形態6に係る成形金型による
成形加工の工程説明図である。
【図19】本発明に係る実施の形態8に係る成形金型の
断面説明図である。
【符号の説明】
3 積層型(雌型,下型) 3a 金属プレート 3b 凹部 4 金属板(ワーク) 5 ホルダー 5a,5b 円孔(2段孔) 5c テーパ面 6 弾性パンチ 6a,6b テーパ面 7 スライドパンチ 13 ダイ(雌型,下型) 13b 凹部 15 ホルダー 15A スライドホルダー部 15B ホルダー本体 15C しわ押さえホルダー部 15d テーパ面 16 弾性パンチ 17 スライドパンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 22/00 B21D 22/10 B21D 22/20 B21D 24/00 B21D 37/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の形状の凹部(3b,13b)を備
    えた雌型に対してワークを押圧可能の筒状のホルダー
    (5,15)内に弾性パンチ(6,16)を備え、この
    弾性パンチ(6,16)を相対的に加圧可能のスライド
    パンチ(7,17)を設け、前記弾性パンチ(6,1
    6)が前記スライドパンチ(7,17)によって押圧さ
    れる側の端部の外周に、テーパ面(6a)を形成したこ
    とを特徴とする金型。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金型において、前記ホ
    ルダー(15)は、円筒形状のホルダー本体(15B)
    と、このホルダー本体(15B)の上部に取付けたスラ
    イドホルダー部(15A)と、前記ホルダー本体(15
    B)の下部に着脱可能に取付けたしわ押さえホルダー部
    (15C)とに3分割してあり、前記しわ押さえホルダ
    ー部(15C)は、前記弾性パンチ(16)の押圧力
    (F)を受けるテーパ面(15d)を備えかつワークを
    押圧する押圧力受部(15F)を備えたことを特徴とす
    る金型。
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