JP3502877B2 - 単独運転時のタービンの運転方法 - Google Patents

単独運転時のタービンの運転方法

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JP3502877B2
JP3502877B2 JP23987996A JP23987996A JP3502877B2 JP 3502877 B2 JP3502877 B2 JP 3502877B2 JP 23987996 A JP23987996 A JP 23987996A JP 23987996 A JP23987996 A JP 23987996A JP 3502877 B2 JP3502877 B2 JP 3502877B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再熱サイクルの火
力発電設備における単独運転時の蒸気タービンの運転方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業用のプラント等に設備され、高圧タ
ービン、中低圧タービンから構成される再熱サイクルの
火力発電設備において、発電設備と連係された電力系統
の事故等によりプラントの電力設備と電力系統との連係
が遮断されると、発電機の負荷が低下する単独運転が発
生する。この単独運転は、大きく三つに分けられる。
1)事業用火力発電所等において自分の発電所の所内負
荷のみの運転となるいわゆる所内単独運転、2)発電所
の近傍の地域負荷を担って単独運転となる地域単独運
転、及び、3)製鉄所等の産業用プラントに設置された
発電設備が構内の負荷を担う単独運転いわゆる構内単独
運転である。1)の所内単独運転の場合には、所内負荷
は発電機定格出力の5〜10パーセント程度であり、ま
た、単独運転発生前のタービン負荷と単独運転後のター
ビン負荷の関係は、図10に示すように、単独運転発生
前のタービン負荷(パーセント)を横軸に、単独運転後
のタービンの負荷(パーセント)を縦軸にとった場合、
単独運転の範囲は図中の黒塗のパターンの領域となり、
単独運転移行後のタービンの出力は、定格の約10パー
セント程度以下と低い値である。このため、単独運転移
行時の負荷遮断は通常の負荷遮断と変わらないため、単
独運転への移行は容易である。しかしながら、2)の地
域単独運転及び3)の構内単独運転では、単独運転移行
後の負荷は発電機定格出力の0〜100パーセント迄の
任意の容量となるため、1)の場合の5〜10パーセン
ト程度に制限される場合に比べ、高い負荷を担っての運
転となる可能性があり、また、単独運転発生前のタービ
ン負荷と単独運転後のタービン負荷の関係は、図11に
示すように、単独運転の範囲は、図中の黒塗のパターン
の領域となり、1)の所内単独運転のケースに比べ、単
独運転後のタービンの負荷が高い運転となる。このよう
な場合、従来は単独運転への移行が困難であった。
【0003】具体的には、単独運転の発生時は、電力系
統への送電が遮断され、発電機出力はステップ状に急減
する。一方、ガバナ及びボイラは単独運転後の出力に見
合った位置にランバックし、タービン出力は負荷急減に
追随しようとするが、ガバナの遅れやタービンの出力を
制御する蒸気加減弁、インターセプト弁の時間遅れや行
き過ぎなどにより、発電機出力とタービン出力に偏差が
生じる。これにより、周波数に過渡現象としての変動が
生じる。このとき、2)の地域単独運転及び3)の構内
単独運転の場合(以下、まとめて「構内単独運転」とい
う。)は、単独運転発生後の負荷が高くなることがある
ため、従来の制御方法では、一時的に周波数の過渡の低
下を招き、このため、周波数がタービンの制限を超えな
いように、低周波数継電器(図示せず)が動作し、これ
によりタービンをトリップし、単独運転移行の失敗に至
る可能性が大きかった。
【0004】ここで、構内単独運転が発生した時の従来
の制御方法を図12を用いて説明する。前述のように、
構内単独運転の発生時は、発電機の出力が急減するた
め、ボイラの出力を低下させ、蒸気流量を負荷に見合っ
た量に減少させることが必要である。しかし、ボイラの
時定数が大きく(一般に、分のオーダー)、瞬時の追随
ができないため、従来では、ボイラが追随するまでの間
は、高圧タービンバイパス弁及び低圧タービンバイパス
弁を全開または部分開し、余剰蒸気(高温再熱蒸気)を
逃がすバイパス運転を行う。図12には、低圧タービン
バイパス弁を制御して高温再熱蒸気圧力を調整する制御
装置を示す。この制御装置は、高圧タービンの出力に比
例した高圧タービン初段後圧力信号を圧力検出器13に
より検出し、この圧力信号を関数発生器14(図5に詳
述する。)により高温再熱蒸気の設定値に変換する。こ
の高温再熱蒸気圧力の設定値と圧力検出器16によって
検出した実際の高温再熱蒸気圧力の偏差を減算器17に
より求め、比例積分器18により比例積分して自動/手
動ステーション19を介して低圧タービンバイパス弁8
を制御し、実際の再熱蒸気圧力が設定値と一致するよう
に、すなわち、減算器17の出力が零(ゼロ)となるよ
うにフィードバック制御する。なお、タービンの低負荷
時には、最低圧力(タービン定格出力時の圧力即ち定格
圧力の約20パーセント)の信号SG12を用いて、高
値選択回路15により関数発生器14の設定値と比較
し、この場合、最低圧力の信号SG12の方が高く、こ
の最低圧力である信号SG12を設定値としてフィード
バック制御する。この結果、通常運転時(単独運転に移
行する前)においては、図13に示すように、タービン
出力と発電機出力が等しく、加速トルク(減速トルク)
=0が成立し、定格回転数一定(発電機周波数)で運転
している。しかし、構内単独運転が発生すると、発電機
出力はステップ状に急減し、タービン出力と発電機出力
の平衡が崩れ、周波数が過度的に変動する。
【0005】図13に、蒸気加減弁、インターセプト弁
及び高低圧タービンバイパス弁の動きを併せて示し、従
来の構内単独運転における再熱蒸気圧力と周波数の変動
状態を説明する。図13において、単独運転が発生する
と、まず、(区間I)において、発電機出力はステップ
状に急減する。タービン出力と発電機出力の平衡が崩
れ、タービン出力>発電機出力となり、(タービン出
力)−(発電機出力)が加速トルクとなり、タービン/
発電機はこの加速トルクに比例する加速度で速度上昇す
る。次に、(区間II)において、この速度の上昇によ
り、ガバナが一定時間遅れの後、動作し、蒸気加減弁、
インターセプト弁をほぼ全閉近くまで急閉する。これに
より、高圧タービンへの蒸気の流入量=主蒸気流量が低
下し、高圧タービンの出力が低下する。また、イ)イン
ターセプト弁が閉することにより、中低圧タービンへの
蒸気流入量は減少し、ロ)高圧タービンの初段後の圧力
が主蒸気流量の減少に従い低下し、これにより高温再熱
蒸気圧力が低下する。イ)、ロ)の結果、中低圧タービ
ンの出力も同様に減少する。これにより、(区間I)と
は逆に(区間II)では、タービン出力<発電機出力とな
り、(発電機出力)−(タービン出力)が減速トルクと
なり、タービン/発電機はこの減速トルクに比例する減
速度で速度下降する。この領域の周波数の下降が一般に
大きくなるため、タービンを保護する低周波数継電器の
整定値(一般的に60Hz定格で−2.5〜3.0H
z)を下回り、タービンをトリップする。この結果、単
独運転への移行が失敗に至る。なお、周波数の下降が低
周波数継電器の整定値に達しない程度であれば、その後
の(区間III)において、蒸気加減弁、インターセプト
弁の開度が単独運転後のタービン出力に見合った位置に
振動しながら、収束し、また、高温再熱蒸気圧力も単独
運転後のタービン出力相当の圧力に落ち着いているた
め、周波数(回転数)も定格周波数(50Hzまたは6
0Hz)に収束する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の制御方法では、
構内単独運転の発生時には周波数が大きく変動し、その
後ガバナの制御により定格周波数に落ち着くが、その過
程において、特に、周波数が低周波数側に過度に振れ、
タービンの許容周波数を外れるために、タービンはこの
状態で運転を継続することができない。このため、ター
ビンを保護する目的で低周波数継電器が動作し、タービ
ントリップに至り、構内単独運転への移行が失敗する可
能性が大であった。
【0007】本発明の課題は、単独運転時に発生する周
波数(回転数)の過度の低下を抑制し、構内単独運転を
成功させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、構内単独運転の発生時に、再熱蒸気圧力を単独運転
前の圧力に保持するように設定し、この設定圧力に基づ
いて低圧タービンバイパス弁の開度を調節し、中低圧タ
ービンの出力を通常の高中圧運転より高めに制御する。
また、構内単独運転の発生時に、再熱蒸気圧力を単独運
転発生前の圧力より低いが、単独運転発生後の発電機の
負荷に見合った圧力より高い値に保持するように設定
し、この設定圧力に基づいて低圧タービンバイパス弁の
開度を調節し、中低圧タービンの出力を通常の高中圧運
転より高めに制御する。ここで、一定に保持した再熱蒸
気圧力の設定値を本来の負荷に見合った値に戻すため、
構内単独運転の発生時に保持した設定圧力を降下させる
と同時に、高圧タービンの初段後圧力を上昇させる。そ
して、この両圧力が等しくなったとき、再熱蒸気圧力が
高圧タービンの初段後圧力に比例する高中圧運転に移行
する。
【0009】本発明は、中低圧タービンの出力を通常の
高中圧運転の場合(ガバナの位置により決められた値、
すなわち、構内単独運転後の必要なタービンの出力)よ
り高めに制御することによって、タービン全体の出力を
ガバナの位置より高めの値に保ち、その結果、構内単独
運転への移行時の周波数の過度の低下を抑制し、構内単
独運転への移行を確実に成功させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。図1は、本発明を適用する再熱サイク
ルの火力発電設備の蒸気系統を示す。ボイラ1より発生
した蒸気は、蒸気加減弁3を通り、高圧タービン4で仕
事をした後、ボイラ1で再び熱せられて、再熱蒸気とし
て高温再熱蒸気管10からインターセプト弁5を通り、
中圧タービン6、低圧タービン7でさらに仕事をし、復
水器11へと流れる。通常運転時では、高圧タービンバ
イパス弁2及び低圧タービンバイパス弁8は全閉で運転
される。この火力発電設備の蒸気系統において、タービ
ンの出力調整は、ガバナ(図示せず)により蒸気加減弁
3の開度を調整し、高圧タービン4への流入蒸気流量を
変化させることによって行う。また、高圧タービン4へ
の流入蒸気流量が変化すると、それに応じて再熱蒸気圧
力が比例して変化することになり、これにより中圧ター
ビン6、低圧タービン7も高圧タービン4の出力に応
じ、比例した出力となる(詳しくは後述する。)。
【0011】図2は、図1の火力発電設備の起動特性を
示す。まず、ボイラ1を最初に点火し、蒸気を発生す
る。発生した蒸気は、高圧タービンバイパス弁2及び低
圧タービンバイパス弁8を通って復水器10に至るいわ
ゆるボイラ単独運転となる。次に、タービンを起動す
る。最初は、インターセプト弁5を開き、中圧タービン
6及び低圧タービン7のみに蒸気を流し、この運転状態
でタービンの回転数を定格速度まで上昇させる。中圧タ
ービン6及び低圧タービン7のみに蒸気を流すこの運転
を中圧運転と呼ぶ。次に、この状態でインターセプト弁
5をさらに開き、約5パーセントの初負荷(発電機出
力)をとる。ここまでの間は、再熱蒸気圧力(高圧ター
ビン排気圧力)は低圧タービンバイパス弁8により最低
圧力(タービン定格出力時の圧力即ち定格圧力の約20
パーセント)に制御されている。次に、負荷(発電機出
力)上昇に移る。約5パーセントの初負荷から約20パ
ーセント負荷まで速やかに負荷上昇しながら、蒸気加減
弁3を開き、高圧タービン4に蒸気を導入し、高圧ター
ビン、中低圧タービンの総てのタービンが負荷をとる高
中圧運転に移行する。この時には、高圧タービン4及び
中圧タービン6と低圧タービン7に蒸気がとられ、各々
主蒸気圧力及び再熱蒸気圧力を一定圧力に制御するため
に、高圧タービンバイパス弁2及び低圧タービンバイパ
ス弁8は、全閉近くまで閉じる。この後、さらに負荷上
昇する過程において、再熱蒸気圧力は、蒸気加減弁3の
開度の増加により、上昇制御され、負荷(発電機出力)
は定格負荷に達する。
【0012】図3は、本発明を適用するプラントの単線
結線を示す。図3において、電力系統30とプラントに
設置する複数の発電設備発電機(ここでは、該当する発
電設備32と他の発電設備34とする。)を系統連係の
遮断器31を介して接続し、構内電気負荷IM33に電
力を供給する。電力変換器WTは各発電設備発電機の発
電電力及び構内電気負荷IMの負荷電力を計測し、それ
ぞれ信号、、を発信する。
【0013】図4は、本発明に基づく構内単独運転発生
時のタービンの運転方法を説明するプラントの制御フロ
ーであり、ここでは、プラントの制御装置35と該当す
る発電設備の制御装置36の関係を示す。図4におい
て、プラントの制御装置35は、図3の各電力変換器W
Tからの電力信号、、を入力し、この電力信号
、、に基づいて構内単独運転の発生時に該当する
発電設備の制御装置36に対する必要運転容量38を演
算する。そして、系統連係の遮断器31がトリップし、
構内単独運転発生37が入力されたとき、該当する発電
設備の制御装置36に構内単独運転時の必要運転容量3
8と共に構内単独運転発生の信号39を出力する。該当
する発電設備の制御装置36では、自分の電力変換器W
Tからの電力信号を入力し、構内単独運転時の必要運
転容量38に基づいてボイラ、タービンを制御する。
【0014】ここで、タービン出力(高圧タービン初段
後圧力)と再熱蒸気圧力(設定)との関係を図5に示
す。再熱蒸気圧力は、高圧タービンの出力にほぼ比例し
た値になる((タービン出力100パーント−再熱蒸気
圧力設定値100パーント)及び(タービン無負荷出力
−再熱蒸気圧力設定値0パーント)を結ぶ直線23)。
また、低負荷時には、規定の最低圧力(タービン定格出
力時の圧力即ち定格圧力の約20パーセント)12にな
る。
【0015】また、中低圧タービン6,7の出力と高圧
タービン4の出力の関係は、高温再熱蒸気圧力が最低圧
力になる負荷を除いて、高圧タービンの出力が定格のα
パーセント(このとき、高圧タービン初段後の圧力もα
パーセント)のとき、高温再熱蒸気圧力も定格圧力のα
パーセントとなる。この結果、高圧再熱蒸気圧力をパラ
メーターとして、高圧タービン、中低圧タービンは、常
に定格値に対して同じ割合となって、同じ出力比とな
る。これを式で表わせば、 中低圧タービン出力=(高温再熱蒸気流量) =(インターセプト弁の開度)*(高温再熱蒸気圧力) 従って、中低圧タービン出力は高温再熱蒸気圧力に比例
し、また、先に述べたように、高温再熱蒸気圧力は高圧
タービン4の出力にほぼ等しいため、 中低圧タービン出力∝(高温再熱蒸気圧力)∝(高圧ター
ビン出力) となる。このように、中低圧タービン6,7の出力は高
圧タービン4の出力に比例する。高圧タービン4の出力
が定格のαパーセントの時は中低圧タービン6,7も定
格のαパーセントになり、高圧タービン4、中低圧ター
ビン6,7は定格運転時と同じ出力比で運転される。例
えば、一般的に、高圧タービン4と中低圧タービン6,
7の出力比は、高圧タービンが30パーセント、中低圧
タービンが70パーセント程度であり、中低圧タービン
6,7の出力は高圧タービン4の2倍程度ある。すなわ
ち、通常の高中圧運転時では、タービンの出力に関係な
く、タービンの出力の内、高圧タービンが約30パーセ
ント、中低圧タービン6,7が約70パーセントの一定
の出力分担で運転している。
【0016】次に、図6を用いて、本発明の一実施形態
に基づく構内単独運転発生時のタービンの運転方法を説
明する。図6は、図4の該当する発電設備の制御装置3
6の詳細構成であり、低圧タービンバイパス弁を制御し
て高温再熱蒸気圧力を調整する例を示す。本実施形態の
制御装置は、高圧タービン初段後圧力を検出する圧力検
出器13、タービン出力(高圧タービン初段後圧力)に
基づいて再熱蒸気圧力を設定する関数発生器14、高値
選択回路15、実際の高温再熱蒸気圧力を検出する圧力
検出器16、減算器17、比例積分器18、自動/手動
ステーション19、アナログスイッチ20からなり、図
12の従来の制御装置に比し、アナログスイッチ20を
設ける点において異なる。ここで、アナログスイッチ2
0は、通常時、高値選択回路15の出力をそのまま出力
とし、構内単独運転発生時に、この信号が端子aに入力
されると、アナログスイッチ20の入力が高値選択回路
15の出力のb端子からアナログスイッチ20の出力が
入力されているc端子に切り替える。また、SG12
は、高圧タービン初段後圧力の最低圧力(タービン定格
出力時の圧力即ち定格圧力の約20パーセント)の信号
である。
【0017】通常運転では、高温再熱蒸気圧力が最低圧
力になる負荷を除いて、高圧タービン4の出力に比例し
た値である高圧タービン初段後圧力を圧力検出器13に
より検出し、この圧力信号を関数発生器14により図5
に示す高圧タービン4の出力(高圧タービン初段後圧
力)に対応した高温再熱蒸気の設定値(実線)23に変
換する。この設定値(実線)23と高圧タービン初段後
圧力の最低圧力の信号12を比較し、この場合、高値選
択回路15によって高い値の高温再熱蒸気圧力の設定値
(実線)23を選択し、アナログスイッチ20のb端子
に入力する。アナログスイッチ20ではそのまま出力
し、高温再熱蒸気圧力の設定値(実線)23と圧力検出
器16によって検出した実際の高温再熱蒸気圧力の偏差
を減算器17により求める。この偏差を比例積分器18
により比例積分して制御信号に変換し、自動/手動ステ
ーション19を介して低圧タービンバイパス弁8を制御
し、実際の再熱蒸気圧力が設定値と一致するように、す
なわち、減算器17の出力が零(ゼロ)となるようにフ
ィードバック制御する。なお、タービンの低負荷(高温
再熱蒸気圧力が最低圧力になる負荷)時には、高値選択
回路15によって高圧タービン初段後圧力の最低圧力の
信号12を選択し、同様にアナログスイッチ20を介し
てフィードバック制御する。一方、図4に述べたように
構内単独運転が発生すると、構内単独運転発生信号39
が端子aに入力され、アナログスイッチ20の入力が高
値選択回路15の出力のb端子からアナログスイッチ2
0の出力が入力されているc端子に切り替わり、アナロ
グスイッチ20の出力すなわち高温再熱蒸気圧力の設定
値(実線)23をその時点でロックする。この結果、構
内単独運転の信号39の入力により、高温再熱蒸気圧力
の設定値23は、図7に示すように、その時の値に一定
に保持される。
【0018】図7に、蒸気加減弁3、インターセプト弁
5及び高低圧タービンバイパス弁2,8の動きを併せて
示し、本実施形態の構内単独運転における再熱蒸気圧力
(設定)と周波数の変動状態を説明する。通常運転時で
は、タービン出力と発電機出力が等しく、この結果、加
速トルク(減速トルク)=0が成立し、定格回転数一定
(発電機周波数)で運転している。このような状態にお
いて、、単独運転が発生すると(区間I)、発電機出力
はステップ状に急減し、タービン出力と発電機出力の平
衡が崩れ、タービン出力>発電機出力となり、(タービ
ン出力)−(発電機出力)が加速トルクとなり、タービ
ン/発電機はこの加速トルクに比例する加速度で速度上
昇する。次に(区間II)、この速度の上昇により、ガバ
ナが一定時間遅れの後、動作し、加減弁3、インターセ
プト弁5をほぼ全閉近くまで急閉する。これにより、高
圧タービン4への蒸気の流入量=主蒸気流量が低下し、
高圧タービン4の出力が低下する。また、イ)インター
セプト弁5が閉することにより、中低圧タービン6,7
への蒸気流入量が減少し、ロ)高圧タービン4の初段後
の圧力が主蒸気流量の減少に従い低下し、これにより、
高温再熱蒸気圧力が低下する。イ)、ロ)の結果、中低
圧タービン6,7の出力も同様に減少する。これによ
り、(区間I)とは逆に(区間II)では、タービン出力
<発電機出力となり、(発電機出力)−(タービン出
力)が減速トルクとなり、タービン/発電機はこの減速
トルクに比例する減速度で速度下降する。すなわち、構
内単独運転発生と同時に高圧タービン初段後の圧力が低
下するが、図6に示した制御により、高圧タービン初段
後の圧力の低下とは無関係に、アナログスイッチ20が
高温再熱蒸気圧力の設定を単独運転発生前の値に一定に
保持するため、図13に示す従来の方法に比べ、低圧タ
ービンバイパス弁8の開度が小さくなるように調節さ
れ、これにより、高温再熱蒸気圧力は高めになり、これ
に伴いタービンの出力も高くなる(区間II)。発電機周
波数は(区間II)において従来の制御の場合の図13と
同様に過渡的に変動するが、その周波数の低下は小さく
なり、周波数継電器の整定値を下回らず、周波数継電器
の動作によるタービンのトリップを防止する。因に、点
線は従来の再熱蒸気圧力(設定)、一点鎖線は高圧ター
ビン初段後圧力を示す。このように、本実施形態では、
単独運転移行時に、高温再熱蒸気圧力の設定を単独運転
発生前の値に一定に保つようにしたので、一時的な周波
数の過渡の低下を抑制し、これにより、周波数がタービ
ンの制限を超えることがなくなり、構内単独運転への移
行を確実に成功させることができる。
【0019】次に、図8を用いて、本発明の他の実施形
態に基づく構内単独運転発生時のタービンの運転方法を
説明する。図8は、蒸気加減弁3、インターセプト弁5
及び高低圧タービンバイパス弁2,8の動きを併せて示
し、本実施形態の構内単独運転における再熱蒸気圧力
(設定)と周波数の変動状態を示す。図7においては、
単独運転移行時に、再熱蒸気圧力(設定)を単独運転前
の一定値の圧力に保持しているが、図8では、周波数の
低下が周波数継電器の整定値を下回らない範囲で、この
再熱蒸気圧力(設定)を単独運転後の負荷に応じてつま
り単独運転後の負荷に見合った圧力よりも高い圧力に保
持する点において異なる。因に、点線は従来の再熱蒸気
圧力(設定)、一点鎖線は高圧タービン初段後圧力を示
す。このように、再熱蒸気圧力(設定)を制御すると、
当然図7に示す発電機周波数よりはその低下が大きくな
るが、周波数継電器の整定値を下回わるまでには至ら
ず、周波数継電器の動作によりタービンをトリップする
ことなく、構内単独運転への移行を確実に成功させるこ
とができる。
【0020】図9は、本発明の他の実施形態に基づく再
熱蒸気圧力(設定)を一定に保った後の通常の圧力に降
下する制御方法を示す。単独運転移行時に、従来の再熱
蒸気圧力(設定)に比し、本発明は再熱蒸気圧力(設
定)を高くすることになり、このため、図13の(区間
II)に示すタービントリップする過度の低周波数の問題
は解消するが、この状態を長く保つと、図7,図8の
(区間III)において逆に高周波数の問題が生じ、ま
た、高圧タービン4の排気温度の上昇の問題も生じてく
る。そこで、図7,図8の(区間III)に入った後は、
図6の減算器17の入力である再熱蒸気圧力の設定値を
本来の負荷に見合った値に戻す必要がある。再熱蒸気圧
力を短い時間(例えば、20秒程度)で高中圧運転の値
に戻すために、再熱蒸気圧力の設定(圧力保持)を直線
22に示すように降下させる。この再熱蒸気圧力の設定
の降下に基づいて低圧タービンバイパス弁8が急開す
る。この結果、再熱蒸気圧力が下がり、タービンの出力
の低下となる。一方、タービンの出力を持ち上げるため
に、ガバナを動作して、加減弁3が除々に開していく。
加減弁3が除々に開くと、主蒸気が高圧タービン4に除
々に流入し、それに従い高圧タービン4の初段後の圧力
が図9の直線21に示すように上昇する。再熱蒸気圧力
の設定22との交点dにおいて再熱蒸気圧力が高圧ター
ビン初段後の圧力と等しくなり、この切替点dで設定を
本来の負荷に見合った値に切り替える。このようにし
て、本実施形態では、再熱蒸気圧力が高圧タービンの初
段後の圧力(すなわち、高圧タービンの出力)に比例す
る高中圧運転に速やかに且つ円滑に切り替えることがで
き、また、高圧タービンの排気温度の上昇を防止するこ
とができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
単独運転移行時に、高温再熱蒸気圧力の設定を単独運転
発生前の値に保持し、または、単独運転後の負荷に見合
った圧力よりも高い圧力に保持するので、一時的な周波
数の過渡の低下を抑制し、これにより、タービンのトリ
ップをなくし、構内単独運転への移行を確実に成功させ
ることができる。また、単独運転移行後、一定に保った
再熱蒸気圧力(設定)を本来の高中圧運転の値に戻すた
めに、この再熱蒸気圧力の設定を降下させることによ
り、高圧タービンの初段後の圧力を上昇させるように制
御し、この再熱蒸気圧力の設定と高圧タービンの初段後
の圧力が等しくなったとき、再熱蒸気圧力の設定を本来
の負荷に見合った値に切り替えるようにしたので、通常
の高中圧運転に速やかに且つ円滑に移行することがで
き、また、高圧タービンの排気温度の上昇を防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する再熱サイクルの火力発電設備
の蒸気系統図
【図2】図1の火力発電設備の起動特性図
【図3】本発明を適用するプラントの単線結線図
【図4】本発明に基づく構内単独運転発生時のタービン
の運転方法を説明するプラントの制御フロー図
【図5】タービン出力(高圧タービン初段後圧力)と再
熱蒸気圧力(設定)の関係図
【図6】本発明の一実施形態に基づく火力発電設備の制
御装置の詳細構成図
【図7】本発明の一実施形態に基づく再熱蒸気圧力(設
定)と周波数の変動状態図
【図8】本発明の他の実施形態に基づく再熱蒸気圧力
(設定)と周波数の変動状態図
【図9】本発明の他の実施形態に基づく再熱蒸気圧力
(設定)を降下する制御方法を説明する図
【図10】所内単独運転時の領域図
【図11】構内/地域単独運転時の領域図
【図12】従来の火力発電設備の制御装置の詳細構成図
【図13】従来の再熱蒸気圧力と周波数の変動状態図
【符号の説明】
1 ボイラ 2 高圧タービンバイパス弁 3 蒸気加減弁 4 高圧タービン 5 インターセプト弁 6 中圧タービン 7 低圧タービン 8 低圧タービンバイパス弁 9 低温再熱蒸気管 10 高温再熱蒸気管 11 復水器 12 最低圧力信号 13 高圧タービン初段後圧力検出器 14 関数発生器 15 高値選択回路 16 高温再熱蒸気圧力検出器 17 減算器 18 比例積分器 19 自動/手動ステーション 20 アナログスイッチ 21 高圧タービン初段後の圧力曲線 22 再熱蒸気圧力の曲線 23 再熱蒸気圧力の設定曲線
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F01K 7/24 F01K 7/24 K (72)発明者 兼田 英明 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 近藤 聡 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (56)参考文献 特開 昭59−221408(JP,A) 特開 昭63−154807(JP,A) 特開 昭62−139908(JP,A) 特開 昭58−200010(JP,A) 特開 昭58−106107(JP,A) 特開 昭57−76212(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01D 17/24 F01K 7/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧及び低圧タービンバイパスラインを
    有する高圧タービン、中低圧タービンからなる再熱サイ
    クルの火力発電設備において、この発電設備と連係され
    た電力系統が遮断され、発電機の負荷が低下する単独運
    転の発生時に、一時的に再熱蒸気圧力を単独運転発生前
    の圧力に保持するように設定し、この設定圧力に基づい
    て低圧タービンバイパス弁の開度を調節し、中低圧ター
    ビンの出力を通常の高中圧運転より高めに制御すること
    を特徴とする単独運転時のタービンの運転方法。
  2. 【請求項2】 高圧及び低圧タービンバイパスラインを
    有する高圧タービン、中低圧タービンからなる再熱サイ
    クルの火力発電設備において、この発電設備と連係され
    た電力系統が遮断され、発電機の負荷が低下する単独運
    転の発生時に、一時的に再熱蒸気圧力を単独運転発生前
    の圧力より低いが、単独運転発生後の発電機の負荷に見
    合った圧力より高い値に保持するように設定し、この設
    定圧力に基づいて低圧タービンバイパス弁の開度を調節
    し、中低圧タービンの出力を通常の高中圧運転より高め
    に制御することを特徴とする単独運転時のタービンの運
    転方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、単独
    運転の発生時に保持した設定圧力を降下させることによ
    って、高圧タービンの初段後圧力を上昇させ、両圧力が
    等しくなったとき、再熱蒸気圧力が高圧タービンの初段
    後圧力に比例する高中圧運転に移行することを特徴とす
    る単独運転時のタービンの運転方法。
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