JP3501331B2 - 環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の配座異性体及びそれらの製造方法 - Google Patents
環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の配座異性体及びそれらの製造方法Info
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Description
抽出に用いることのできるコーン型、パーシャルコーン
型及び1,3−オルタネート型環状フェノール硫化物テ
トラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)及びそ
れぞれの選択的製造方法に関する。
格を4以上含む環状フェノール硫化物群を見い出し(特
願平8−70902)、さらに、これらの環状フェノー
ル硫化物群が金属捕捉剤、イオンセンサー、基質特異性
センサー、分離膜材料、触媒、あるいはその他イオンや
分子認識を利用した機能性分子の中間体などとして有用
であることを見い出した。ところで、フェノール環をメ
チレン基で結合したカリックスアレーン類に関しても、
フェノール骨格を4個含むカリックス[4]アレーンの
場合は4種類の立体配座をとることが知られており、4
個のフェノール環がすべて同一方向を向いているものは
コーン型(cone)、1個のフェノール環のみが他の
3個と逆方向を向いているものはパーシャルコーン型
(partial cone)、隣り合った2個のフェ
ノール環が逆方向を向いているものは1,3−オルタネ
ート型(1,3−alternate)、及び隣り合っ
た同じ向きの2個のフェノール環の1組と逆方向の2個
のフェノール環の1組からなるものは1,2−オルタネ
ート型(1,2−alternate)とそれぞれ呼ば
れている。従って、基本骨格にフェノール骨格を4個含
む環状フェノール硫化物の場合、フェノール環の回転に
より、4種類の立体配座をとることが予測できる。
種類の立体配座をとる配座異性体は、確認されていな
い。したがって、本発明が解決しようとする課題は、特
定の金属などのレセプターとなりうる一般式(1)、
(2)及び(3)でそれぞれ表されるコーン型、パーシ
ャルコーン型及び1,3−オルタネート型環状フェノー
ル硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテ
ル)の配座異性体を提供すること、及びそれらの配座異
性体を選択的にしかも容易に製造できる方法を提供する
ことにある。
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、一般式(5)で表
される環状フェノール硫化物とハロゲン化酢酸エチルと
の反応により環状フェノール硫化物のエーテルを製造す
る方法において、金属試薬の種類を変えることにより、
コーン型、パーシャルコーン型及び1,3−オルタネー
ト型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボ
ニルメチルエーテル)のそれぞれの選択的製造方法を見
い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、一般式(1)、(2)及び(3)でそれぞれ表され
るコーン型、パーシャルコーン型及び1,3−オルタネ
ート型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカル
ボニルメチルエーテル)の各配座異性体を提供するもの
である。
原子、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基であり、複
数のYはそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよ
い。)また、本発明は、一般式(5)
化水素基又はハロゲン化炭化水素基であり、複数のYは
それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)で
表される環状フェノール硫化物とハロゲン化酢酸エチル
をNa2CO3の存在下で反応させて一般式(1)で表さ
れるコーン型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキ
シカルボニルメチルエーテル)を製造することを特徴と
するコーン型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキ
シカルボニルメチルエーテル)の製造方法を提供するも
のである。
環状フェノール硫化物とハロゲン化酢酸エチルをK2C
O3の存在下で反応させて一般式(2)で表されるパー
シャルコーン型環状フェノール硫化物テトラキス(エト
キシカルボニルメチルエーテル)を製造することを特徴
とするパーシャルコーン型環状フェノール硫化物テトラ
キス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の製造方法
を提供するものである。さらに、本発明は、一般式
(5)で表される環状フェノール硫化物とハロゲン化酢
酸エチルをCs2CO3の存在下で反応させて一般式
(3)で表される1,3−オルタネート型環状フェノー
ル硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテ
ル)を製造することを特徴とする1,3−オルタネート
型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニ
ルメチルエーテル)の製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
ン型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボ
ニルメチルエーテル)は、4個のフェノール環がすべて
同一方向を向いているコーン型の配座異性体である。一
般式(2)で表されるパーシャルコーン型環状フェノー
ル硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテ
ル)は、1個のフェノール環のみが他の3個とは逆方向
を向いているパーシャルコーン型の配座異性体である。
一般式(3)で表される1,3−オルタネート型環状フ
ェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチル
エーテル)は、隣り合った2個のフェノール環が逆の方
向を向いている1,3−オルタネート型の配座異性体で
ある。
(3)において、Yは水素原子、炭化水素基又はハロゲ
ン化炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は、1以上
であれば特に制限されないが、好ましくは1〜30、よ
り好ましくは1〜18である。これらの炭化水素基とし
ては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳
香族炭化水素基、芳香族−脂肪族炭化水素基等が挙げら
れる。飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、
例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、
n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペン
チル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t
ert−オクチル、n−ノニル、イソノニル、n−ドデ
シル、及びエチレンやプロピレン、ブチレンの重合物あ
るいはそれらの共重合物からなる基などが挙げられる。
不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例え
ばビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、及
びアセチレンやブタジエン、イソプレンの重合物あるい
はそれらの共重合物からなる基などが挙げられる。脂環
式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロヘ
キシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル
などが挙げられる。脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な
具体例としては、例えばシクロヘキシルメチル、シクロ
ヘキシルエチルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基の
適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなど
のアリール基、メチルフェニル、ジメチルフェニル、ト
リメチルフェニル、エチルフェニル、ブチルフェニルな
どのアルキルアリール基などが挙げられる。芳香族−脂
肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばベンジ
ル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチ
ル、メチルフェニルエチルなどが挙げられる。また、ハ
ロゲン化炭化水素基は、前記の炭化水素基にハロゲン原
子が置換したものが挙げられる。ハロゲン原子は、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子のいずれでもよい。一
般式(1)〜(3)において、Yは1分子中に4個存在
するが、それらのYはそれぞれ同一であってもよいし、
異なってもよい。
(3)でそれぞれ表されるコーン型、パーシャルコーン
型及び1,3−オルタネート型環状フェノール硫化物テ
トラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の各配
座異性体の製造方法について説明する。本発明の製造方
法において使用する原料は、上記一般式(5)の環状フ
ェノール硫化物である。一般式(5)中のYは水素原
子、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基であり、上記
一般式(1)〜(3)におけるYと同様である。一般式
(5)において、Yは1分子中に4個存在するが、それ
らのYはそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよ
い。一般式(5)の環状フェノール硫化物の製造例は、
特願平8−70902号明細書に記載されている。適当
な製造例としては、先ず一般式(6)
れる4位に炭化水素基を有するアルキルフェノール類
と、適当量の単体硫黄を、適当量のアルカリ金属試薬及
びアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくとも1種の
金属試薬の存在下反応させる方法である。アルキルフェ
ノール類と単体硫黄の原料仕込比は、アルキルフェノー
ル類1グラム当量に対し、単体硫黄が0.1グラム当量
以上であり、好ましくは0.35グラム当量以上であ
る。単体硫黄の原料仕込比の上限は特に限定されない
が、アルキルフェノール類1グラム当量に対し、20グ
ラム当量以下が好ましく、特に10グラム当量以下が好
ましい。
リ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金
属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハ
ロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカ
リ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単
体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金
属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、ア
ルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類
金属などが挙げられる。アルカリ金属試薬またはアルカ
リ土類金属試薬の使用量は、アルキルフェノール類1グ
ラム当量に対し、0.005グラム当量以上であり、好
ましくは0.01グラム当量以上である。アルカリ金属
試薬またはアルカリ土類金属試薬の使用量の上限は特に
制限はないが、好ましくは10グラム当量以下であり、
特に好ましくは5グラム当量以下である。
能基に置換することにより、一般式(5)で表される環
状フェノール硫化物を製造することができる。Rの脱ア
ルキル化方法例は、特願平8−252240に記載され
ているように、超強酸や塩化アルミニウムなどの酸触媒
の存在下行う方法が挙げられる。
される環状フェノール硫化物を、炭酸アルカリ金属試薬
の存在下、ハロゲン化酢酸エチルと反応させることによ
り、一般式(1)で表されるコーン型の、一般式(2)
で表されるパーシャルコーン型の、及び一般式(3)で
表される1,3−オルタネート型の環状フェノール硫化
物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)を
それぞれ製造することができる。この反応に用いるハロ
ゲン化酢酸エチルとしては、ヨード酢酸エチル、クロロ
酢酸エチル、ブロモ酢酸エチル、フルオロ酢酸エチルが
挙げられるが、ヨード酢酸エチル、クロロ酢酸エチル、
ブロモ酢酸エチルが好ましい。ハロゲン化酢酸エチルの
使用量は、一般式(5)で表される環状フェノール硫化
物1分子中の水酸基に対し、1.0グラム当量以上であ
ればよい。使用量の上限は特にないが、5.0グラム当
量以下でよく、さらには4.0グラム当量以下でもよ
い。
(1)で表されるコーン型の環状フェノール硫化物テト
ラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)を選択的
に製造する場合は、Na2CO3が挙げられ、一般式
(2)で表されるパーシャルコーン型の環状フェノール
硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテ
ル)を選択的に製造する場合は、K2CO3が挙げられ、
また、一般式(3)で表される1,3−オルタネート型
の環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニ
ルメチルエーテル)を選択的に製造する場合は、Cs2
CO3が挙げられる。金属試薬の使用量には特に制限は
ないが、一般式(5)で表される環状フェノール硫化物
1分子中の水酸基に対し、1.0グラム当量以上であれ
ばよい。使用量の上限は特にないが、5.0グラム当量
以下でよく、さらには4.0グラム当量以下でもよい。
うことが好ましいが、必ずしも不活性ガス雰囲気下で行
う必要はない。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、
アルゴンなどが挙げられる。本発明の反応には、必要に
応じて溶媒を用いることが好ましい。好適な溶媒として
は、DMF、DMSO、N−メチルピロリドン、テトラ
メチルウレア、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙
げられる。ただし、溶媒を使用する場合、溶媒により反
応の選択性が異なることがあるため、注意を要する。例
えば、DMFを使用した場合、炭酸アルカリ金属試薬と
してNa2CO3を用いると、一般式(2)で表される
パーシャルコーン型のエーテルが生成する。溶媒の使用
量は、特に制限ないが、通常一般式(5)で表される環
状フェノール硫化物1g当り5〜100mlにすればよ
いが、好ましくは10〜50mlである。本発明の反応
の反応温度は、室温以上100℃以下が好ましい。本発
明の反応の反応時間は、特に制限ないが、通常1時間か
ら1週間にすればよい。なお、反応生成物が一般式
(1)〜(3)で表される環状フェノール硫化物テトラ
キス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の配座異性
体混合物である場合には、通常の分離手段によって、例
えばシリカゲルクロマトグラフィーなどを用いて分離す
ることができる。
説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限
定されるものではない。 製造例 4−tert−ブチルフェノール45.2gに、単体硫
黄14.4gおよび水酸化ナトリウム3.0gを加え、
窒素気流中、撹拌しながら、4時間かけて徐々に230
℃に加熱し、さらに2時間撹拌を続けた。この間、反応
で生成する水および硫化水素を除去した。反応中に留出
した水は約0.8gであり、反応により生成した硫化水
素は約6gであった。この反応混合物を室温まで冷却
し、エーテル500mlを加え溶解させた後、1規定の
硫酸水溶液で加水分解した。分液したエーテル層からエ
ーテルを留去して得られた反応混合物を、さらにシリカ
ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)に
より分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセ
トンから再結晶させたところ、無色透明の結晶である
5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−2
5,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,1
4,20−テトラチア[19.3.1.13,719,131
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン(I)4.32gが得ら
れた。この生成物は、一般式(5)において、Y=t−
ブチルである環状フェノール硫化物である。
5,26,27,28−テトラキス(エトキシカルボニ
ルメトキシ)−2,8,14,20−テトラチア[1
9.3.1.13,719,13115,19]オクタコサ−1(2
5),3,5,7(28),9,11,13(27),
15,17,19(26),21,23−ドデカエン
(コーン型)の合成 製造例で得られた環状フェノール硫化物(I)、すなわ
ち、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル
−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,
8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン4.98gにアセト
ン70ml、Na2CO38.34g及びブロモ酢酸エチ
ル7.0mlを順次加え、窒素雰囲気下、30時間加熱
環流した。放冷後、Na2CO3をろ過し、アセトンを留
去し、さらに減圧乾燥によりブロモ酢酸エチルを留去し
た。この反応混合物から、シリカゲルクロマトグラフィ
ー(酢酸エチル/n−ヘキサン)及び再結晶(エタノー
ル)を行うことにより、白色粉状結晶の5,11,1
7,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,2
7,28−テトラキス(エトキシカルボニルメトキシ)
−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.1
3,719,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,
7(28),9,11,13(27),15,17,1
9(26),21,23−ドデカエン(コーン型)(I
I)5.68gを得た。収率は約77%であった。以下
に物性を示す。 融点:180.0〜180.6℃、1H−NMR:
(δ,ppm,CDCl3)7.29(s,8H,Ar
H),5.18(s,8H,OCH2CO),4.21
(q,J=7.2Hz,8H,COOCH2),1.2
8(t,J=7.2Hz,12H,CH3),1.09
(s,36H,C(CH3)3)、IR:(cm-1,KB
r)2965(CH伸縮),1757,1732(CO
伸縮)、MS(m/z):1064(M+)、元素分析
値 % 理論値 for C56H72S4O12:C,6
3.13;H,6.81;S,12.04、測定値:
C,63.18;H,6.62;S,12.22
5,26,27,28−テトラキス(エトキシカルボニ
ルメトキシ)−2,8,14,20−テトラチア[1
9.3.1.13,719,13115,19]オクタコサ−1(2
5),3,5,7(28),9,11,13(27),
15,17,19(26),21,23−ドデカエン
(パーシャルコーン型)の合成 製造例で得られた環状フェノール硫化物(I)、すなわ
ち、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル
−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,
8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン0.07gにアセト
ン2ml、K2CO30.08g及びブロモ酢酸エチル
0.9mlを順次加え、窒素雰囲気下、6時間加熱環流
した。放冷後、K2CO3をろ過し、アセトンを留去し、
さらに減圧乾燥によりブロモ酢酸エチルを留去した。こ
の反応混合物から、シリカゲルクロマトグラフィー(酢
酸エチル/n−ヘキサン)及び再結晶(エタノール)を
行うことにより、白色粉状結晶の5,11,17,23
−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28
−テトラキス(エトキシカルボニルメトキシ)−2,
8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン(パーシャルコーン
型)(III)0.63gを得た。収率は約60%であ
った。以下に物性を示す。 融点:212.0〜212.8℃、1H−NMR:
(δ,ppm,CDCl3)7.86(s,2H,Ar
H),7.54(s,2H,ArH),7.52(d,
J=2.5Hz,2H,ArH),7.01(d,J=
2.5Hz,2H,ArH),4.78(d,J=1
5.2Hz,2H,OCH2CO),4.74(s,2
H,OCH2CO),4.71(d,J=15.2H
z,2H,OCH2CO),4.65(s,2H,OC
H2CO),4.14−4.29(m,6H,COOC
H2),3.98(q,J=7.2Hz,2H,COO
CH2),1.32(t,J=7.2Hz,3H,C
H3),1.27(t,J=7.2Hz,6H,C
H3),1.13(t,J=7.2Hz,3H,C
H3),1.43(s,9H,C(CH3)3),1.3
1(s,9H,C(CH3)3),1.05(s,18
H,C(CH3)3),IR:(cm-1,KBr)296
0(CH伸縮),1761,1735(CO伸縮)、元
素分析値 % 理論値 for C56H72S4O12:
C,63.13;H,6.81;S,12.04、測定
値:C,63.00;H,6.66;S,12.21
5,26,27,28−テトラキス(エトキシカルボニ
ルメトキシ)−2,8,14,20−テトラチア[1
9.3.1.13,719,13115,19]オクタコサ−1(2
5),3,5,7(28),9,11,13(27),
15,17,19(26),21,23−ドデカエン
(1,3−オルタネート型)の合成 製造例で得られた環状フェノール硫化物(I)、すなわ
ち、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル
−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,
8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン1.00gにアセト
ン30ml、Cs2CO32.77g及びブロモ酢酸エチ
ル1.3mlを順次加え、窒素雰囲気下、4時間加熱環
流した。放冷後、Cs2CO3をろ過し、アセトンを留去
し、さらに減圧乾燥によりブロモ酢酸エチルを留去し
た。この反応混合物から、シリカゲルクロマトグラフィ
ー(ベンゼン/n−ヘキサン)及び再結晶(ベンゼン)
を行うことにより、白色粉状結晶の5,11,17,2
3−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,2
8−テトラキス(エトキシカルボニルメトキシ)−2,
8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン(1,3−オルタネ
ート型)(IV)1.01gを得た。収率は約68%で
あった。以下に物性を示す。 融点:329.5〜331.0℃(分解)、1H−NM
R:(δ,ppm,CDCl3)7.51(s,8H,
ArH),4.60(s,8H,OCH2CO),4.
22(q,J=7.2Hz,8H,COOCH2),
1.28(t,J=7.2Hz,12H,CH3),
1.25(s,36H,C(CH3)3)、IR:(cm
-1,KBr)2960(CH伸縮),1764,173
6(CO伸縮)、元素分析値 % 理論値 for C
56H72S4O12:C,63.13;H,6.81;S,
12.04、測定値:C,63.12;H,6.72;
S,12.11
−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラ
キス(エトキシカルボニルメトキシ)−2,8,14,
20−テトラチア[19.3.1.13,71
9,13115,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエンのコーン型(I
I)、パーシャルコーン型(III)及び1,3−オル
タネート型(IV)を用いて、これらを有機溶媒に溶解
させて、アルカリ金属イオンを含む水溶液と接触させる
ことにより、アルカリ金属イオンの抽出を行った。抽出
実験は、環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカ
ルボニルメチルエーテル)のコーン型(II)、パーシ
ャルコーン型(III)及び1,3−オルタネート型
(IV)のそれぞれを塩化メチレンに溶解させ2.5x
10-3Mとした溶液10mlと、アルカリ金属水酸化物
が0.1M及びピクリン酸が2.5x10-4Mである水
溶液10mlとを30分間振とうすることにより行い、
振とうした後の塩化メチレン溶液中のピクリン酸濃度を
377nmにおける吸光度を測定し、抽出率を求めた。
アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb及びCs
をそれぞれ用いた。その結果、環状フェノール硫化物テ
トラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)のコー
ン型(II)を用いた場合は、他のアルカリ金属に比較
してNaイオンに対する親和性が高く、この場合抽出率
は53%であった。これに対して、1,3−オルタネー
ト型(III)を用いた場合は、Rbイオンに対する優
れた抽出能が認められ、抽出率は85%であった。ま
た、パーシャルコーン型(IV)はKイオンとの親和性
が高く、この場合の抽出率は21%であった。
ス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の配座異性体
は、4つのフェノール骨格を硫黄原子によって連結さ
せ、環状結合を形成している化合物の全く新規な配座異
性体であり、特定の金属捕捉剤などとして有用である。
また、本発明の環状フェノール硫化物テトラキス(エト
キシカルボニルメチルエーテル)の配座異性体の製造方
法によると、選択的に、かつ容易に環状フェノール硫化
物テトラキス(エトキシカルボニルメチルエーテル)の
配座異性体を製造することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】一般式(1)、(2)及び(3)でそれぞ
れ表されるコーン型、パーシャルコーン型及び1,3−
オルタネート型環状フェノール硫化物テトラキス(エト
キシカルボニルメチルエーテル)の各配座異性体。 【化1】 (上記一般式(1)〜(3)中、Yは水素原子、炭化水
素基又はハロゲン化炭化水素基であり、複数のYはそれ
ぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。) - 【請求項2】一般式(5) 【化2】 (上記一般式(5)中、Yは水素原子、炭化水素基又は
ハロゲン化炭化水素基であり、複数のYはそれぞれ同一
であってもよいし、異なってもよい。)で表される環状
フェノール硫化物とハロゲン化酢酸エチルをNa2CO3
の存在下で反応させて一般式(1)で表されるコーン型
環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニル
メチルエーテル)を製造することを特徴とするコーン型
環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニル
メチルエーテル)の製造方法。 - 【請求項3】一般式(5)で表される環状フェノール硫
化物とハロゲン化酢酸エチルをK2CO3の存在下で反応
させて一般式(2)で表されるパーシャルコーン型環状
フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニルメチ
ルエーテル)を製造することを特徴とするパーシャルコ
ーン型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカル
ボニルメチルエーテル)の製造方法。 - 【請求項4】一般式(5)で表される環状フェノール硫
化物とハロゲン化酢酸エチルをCs2CO3の存在下で反
応させて一般式(3)で表される1,3−オルタネート
型環状フェノール硫化物テトラキス(エトキシカルボニ
ルメチルエーテル)を製造することを特徴とする1,3
−オルタネート型環状フェノール硫化物テトラキス(エ
トキシカルボニルメチルエーテル)の製造方法。
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- 1996-12-16 JP JP35261996A patent/JP3501331B2/ja not_active Expired - Fee Related
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