JP3500055B2 - パレット及び搬送台車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば複数の円筒
体を一度に搬送できる搬送台車、及びこの搬送台車用の
パレットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、無軌道無人搬送台車（以下、単に
「搬送台車」と言う）で円筒体を搬送するに際して、搬
送台車に移載装置が装備されていない場合には、搬送台
車上へ円筒体を移載するに際して、クレーン等の移載装
置を使用する必要があるので、この移載装置による搬送
台車上への移載が完了するまで、搬送台車は待機してい
なければならず、搬送台車の稼働率が低下するという問
題があった。

【０００３】そこで、図７に示すように、搬送台車１の
上面に、円筒体２を支承するＶ字状サドル３を上下動す
るリフトアップ装置４を設置し、このリフトアップ装置
４を上昇させることで、地上に固定したスキッド５上に
載置した円筒体２をスキッド５から受取るものが出てき
た。

【０００４】そして、前記Ｖ字状サドル３の傾斜角を変
更可能に構成することで、様々なものを搬送できるもの
が特開昭４９−１１２３１４号で提案されている。ま
た、Ｖ字状サドル３の間隔を変更可能に構成すること
で、様々な径や幅に対応できるものが実公昭５６−３２
２０号で提案されている。また、Ｖ字状サドル３に伸縮
部材を介在させることで、搬送物の横ずれを防止できる
ものが実公昭５６−３２２１号で提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、走行中にお
ける搬送台車の安定を図るためには、転倒モーメントを
小さくする必要があり、そのためには、いずれの提案の
ものであっても、円筒体の重量が作用する荷重点を、搬
送台車の幅中心に寄せていくことが肝要である。また、
図７に示すようなものでは、スキッドの形状による制限
から、円筒体を単列でしか配置できない。さらに、搬送
台車の車長を長くすると旋回半径が大きくなるので、い
ずれの提案のものであっても、従来のリフトアップ装置
を設置した搬送台車では、１列当たりに搬送台車上に載
せられる円筒体の数は、３個程度が限度である。

【０００６】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、走行中における搬送台車の安定を
図りつつ、可及的にたくさんの搬送物を運ぶことができ
る搬送台車、及びこの搬送台車用のパレットを提供する
ことを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明は、Ｖ字状サドルを、搬送台車の長手方
向に複数段配置すると共に、この長手方向に配置した少
なくとも１箇所のＶ字状サドルは、前記搬送台車の幅方
向に複数でかつ前記搬送台車の幅方向に移動が自在なよ
うに設けることとしている。そして、このようにするこ
とで、走行中における搬送台車の安定を図りつつ、可及
的にたくさんの搬送物を運ぶことができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のパレットは、搬送台車の
荷台が挿入可能な開口を有し、その上面に搬送物を支承
するＶ字状サドルを配置したパレットであって、前記Ｖ
字状サドルを、前記搬送台車の長手方向に複数段配置す
ると共に、この長手方向に配置した少なくとも１箇所の
Ｖ字状サドルは、前記搬送台車の幅方向に複数でかつ前
記搬送台車の幅方向に移動が自在なように設けているの
である。

【０００９】また、本発明の搬送台車は、パレットを介
してパレットの上面に支承した搬送物を運ぶ搬送台車で
あって、前記した本発明のパレットに設けられた前記搬
送台車の幅方向に移動が自在なＶ字状サドルの駆動機構
を設置したものである。

【００１０】本発明のパレットと搬送台車によれば、Ｖ
字状サドルを搬送台車の幅方向に移動させることで、搬
送物の径に関わらず、搬送物の重量が作用する荷重点
を、可及的に搬送台車の幅中心に寄せていくことができ
るので、多数の搬送物を安定した状態で搬送することが
できる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明のパレットと搬送台車を図１〜
図６に示す一実施例に基づいて説明する。図１は本発明
のパレットの１実施例を示す正面図、図２は図１の平面
図、図３は図１の右側面図、図４は本発明の搬送台車の
１実施例を示す正面図、図５は図４の平面図、図６は本
発明のパレットと搬送台車を使用して６個の搬送物を運
ぶ場合の概略説明図である。

【００１２】図１〜図３において、１１は本発明のパレ
ットであり、図３に示すように、例えば側面視門型に形
成され、後述する本発明の搬送台車２１の荷台２１ａが
挿入できる開口１２を形成していると共に、パレット１
１の上面には、例えば円筒状の搬送物１３を支承するＶ
字状サドル１４が配置されている。

【００１３】図１〜図３に示す実施例では、図１に示す
ように、Ｖ字状サドル１４を長手方向に３段に配置する
と共に、このうちの両側のＶ字状サドル１４を、図２、
図３に示すように、それぞれ幅方向に２個ずつ配置し、
中央のＶ字状サドル１４は幅方向の中心位置に１個、固
定配置したものを示している。そして、それぞれ幅方向
に２個ずつ配置した両側のＶ字状サドル１４は、例え
ば、ライナーやガイドローラによって幅方向に移動が自
在なように設けられている。なお、１５はパレット１１
のほぼ四隅に設けられた位置決め孔である。

【００１４】図４及び図５において、２１は本発明の搬
送台車であり、走行用モータ２１ｂによる車輪２１ｃの
正逆回転により走行路上を移動するものである。そし
て、本発明の搬送台車２１は、前記した本発明のパレッ
ト１１の開口１２に挿入される荷台２１ａが、昇降機構
である例えば油圧シリンダ２２のロッドの出退動によっ
て昇降動するようになっている。

【００１５】加えて、本発明の搬送台車２１では、荷台
２１ａの上面に、前記した本発明のパレット１１に移動
自在に設けたＶ字状サドル１４を、幅方向に移動させる
駆動機構、例えば幅寄せシリンダー２３を設けている。

【００１６】そして、本実施例では、幅寄せシリンダー
２３のロッドの出退動により、所定の間隔を存して配置
したスライダー２４とブロック２５を一体的に移動させ
ることで、これらスライダー２４とブロック２５でＶ字
状サドル１４の裏面側に垂下状に突設した挟持片１４ａ
を挟んでＶ字状サドル１４を移動させるものを示してい
る。

【００１７】なお、２６は搬送台車２１のほぼ四隅にお
ける、前記パレット１１の位置決め孔１５との相対位置
に設けられた位置決めコーンである。

【００１８】本発明のパレット１１及び搬送台車２１は
上記した構成であり、これらパレット１１及び搬送台車
２１を用いて搬送物１３を移動する方法について説明す
る。 先ず、所定の位置に置かれたパレット１１のＶ字
状サドル１４上に、例えば図８に示すような、一度に２
個の搬送物１３を運ぶことができるリフター６を用いて
搬送物１３を載置する。

【００１９】次に、図６に示すように、搬送物１３を載
置したパレット１１の開口１２に、搬送台車２１の荷台
２１ａを挿入する。なお、この挿入に際し、パレット１
１に対する搬送台車２１の位置決めは、搬送台車２１の
前後及び両側面に設置したセンサーによって、位置決め
コーン２６がパレット１１の位置決め孔１５に合致する
位置で位置決めされる。

【００２０】パレット１１に対して搬送台車２１を位置
決め停止した後は、油圧シリンダー２２のロッドを突出
動作させて荷台２１ａを上昇させる。これにより、位置
決めコーン２６がパレット１１の位置決め孔１５に嵌入
した状態でパレット１１を持ち上げることになる。

【００２１】パレット１１を持ち上げた後は、幅寄せシ
リンダー２３のロッドを突出動作させ、Ｖ字状サドル１
４を搬送台車２１の幅方向中心に向けて移動させる。以
上の操作により、安定した状態で、多数（図１〜図３に
示す実施例では５個）の搬送物１３を一度に所定の場所
まで搬送することができることになる。

【００２２】本実施例では請求項１のパレット１１と請
求項２の搬送台車２１を用いて搬送物１３を運ぶものに
ついて説明したが、これに代えて、請求項１のパレット
１１にＶ字状サドル１４の幅方向駆動機構を設置したパ
レットを使用し、また、搬送台車２１として、請求項２
の搬送台車２１におけるＶ字状サドル１４の幅方向駆動
機構を省略した搬送台車を使用したものでも良い。

【００２３】また、搬送物を支承するＶ字状サドルを、
長手方向に複数段配置すると共に、この長手方向に配置
した少なくとも１箇所のＶ字状サドルは、幅方向に複数
で、かつ、駆動機構によって、幅方向に移動が可能なよ
うに、荷台に設けた搬送台車を使用する場合には、上記
したパレットは不要である。

【００２４】また、本実施例では、シリンダーによっ
て、荷台の昇降や、Ｖ字状サドルの幅寄せを行うものを
開示したが、モーターとねじ機構等を用いて行うなどの
設計変更も本発明の技術的範囲に含まれることは言うま
でもない。

【００２５】また、図４及び図５に示す実施例では、荷
台２１ａ全体を昇降させるものを示したが、昇降によっ
てパレットを持ち上げることができるものであれば、図
６に示すように、荷台２１ａの一部を昇降させるもので
あっても良い。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１及び請求
項２に記載のパレットと搬送台車を使用すれば、搬送台
車の稼働率を下げることなく、一度に多数の搬送物を運
ぶことができる。加えて、上記した本発明を使用すれ
ば、図８に示したような、一度に２個の搬送物を運べる
リフターを使用できるので、より搬送効率が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパレットの１実施例を示す正面図であ
る。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の右側面図である。

【図４】本発明の搬送台車の１実施例を示す正面図であ
る。

【図５】図４の平面図である。

【図６】本発明のパレットと搬送台車を使用して６個の
搬送物を運ぶ場合の概略説明図である。

【図７】従来のパレットと搬送台車を使用して搬送物を
運ぶ場合の概略説明図である。

【図８】一度に２個の搬送物を運ぶことができるリフタ
ーの一例を示す図である。

【符号の説明】

１１ パレット １２ 開口 １３ 搬送物 １４ Ｖ字状サドル ２１ 搬送台車 ２１ａ 荷台 ２２ 油圧シリンダー ２３ 幅寄せシリンダー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹谷 泰規 大阪府大阪市中央区北浜４丁目５番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 長谷川 清 愛知県豊川市穂ノ原２−20 日本車輌製 造株式会社内 (72)発明者 松原 正光 愛知県豊川市穂ノ原２−20 日本車輌製 造株式会社内 (56)参考文献 特開 平６−9037（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−99829（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭56−3221（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B62B 3/10 B60P 3/00 B60P 7/12 B61D 3/16 B65D 19/44

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送台車の荷台が挿入可能な開口を有
   し、その上面に搬送物を支承するＶ字状サドルを配置し
   たパレットであって、前記Ｖ字状サドルを、前記搬送台
   車の長手方向に複数段配置すると共に、この長手方向に
   配置した少なくとも１箇所のＶ字状サドルは、前記搬送
   台車の幅方向に複数でかつ前記搬送台車の幅方向に移動
   が自在なように設けたことを特徴とするパレット。
2. 【請求項２】 パレットを介してパレットの上面に支承
   した搬送物を運ぶ搬送台車であって、請求項１記載のパ
   レットに設けられた前記搬送台車の幅方向に移動が自在
   なＶ字状サドルの駆動機構を設置したことを特徴とする
   搬送台車。