JP3499208B2 - ポリ乳酸系重合体シート状物 - Google Patents

ポリ乳酸系重合体シート状物

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JP3499208B2
JP3499208B2 JP2000350398A JP2000350398A JP3499208B2 JP 3499208 B2 JP3499208 B2 JP 3499208B2 JP 2000350398 A JP2000350398 A JP 2000350398A JP 2000350398 A JP2000350398 A JP 2000350398A JP 3499208 B2 JP3499208 B2 JP 3499208B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリ乳酸系重合体シ
ート状物に関し、特に、表面滑り性が改良されたポリ乳
酸系重合体シート状物に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック製品の廃棄処理問題が近年
クローズアップされてきた。ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラ
スチック材料は燃焼時の発熱量が多く、燃焼処理中に燃
焼炉をいためるおそれがあり、また現在でも使用量の多
いポリ塩化ビニルはその自己消化性のため燃焼すること
ができない。このような焼却できない材料も含めプラス
チック製品は土中に埋設処理されることが多いが、これ
らは化学的に安定で生分解性がないため、ほとんど分解
されることなく残留し、蓄積される。そのため、ゴミ処
理用地の能力を短期間で飽和させてしまう。そこで、燃
焼熱量が低く、かつ人体等に安全である生分解性の材料
が要求され、多くの研究がなされてきた。その一つとし
てポリ乳酸が知られている。ポリ乳酸は、燃焼熱量がポ
リエチレンの半分以下であり、土中や水中で自然に加水
分解が進行し、次いで微生物により無害な分解物とな
る。現在、ポリ乳酸を用いたフィルムやシート、ボトル
などの容器(成型物)等の開発が盛んに行われている。
【発明が解決しようとする課題】しかし、フィルムやシ
ートの表面の滑り性が悪いと、フィルムやシートの巻き
取りの際に、あるいはフィルムをラミネートしたりフィ
ルム等に印刷を施した後ワインダー等で連続して巻き取
る際に、フィルムの蛇行や皺が生じる等の問題が発生し
た。表面滑りを改良するために微細粒子やアンチブロッ
キング剤を混合することが行われてきた。有機系のアン
チブロッキング剤(滑剤)を配合した組成物やフィルム
に関する報告は数件ある。例えば、特開平8−2736
3号公報ではポリ乳酸系ポリマーにアンチブロッキング
剤を配合して射出成形後の金型からの離形性を改良する
技術が開示されており、特開平8−183898号公報
では分解速度を抑制するために高級脂肪族カルボン酸の
金属塩やアミド等を配合することが開示されている。特
開平9−278997号公報には優れた耐候性を持続さ
せるためにシリカ等のアンチブロッキング剤を配合した
乳酸系ポリマーフィルムが開示されており、特開平9−
278998号公報には乳酸系ポリマーに赤外線吸収能
を持つ無機粉体と滑剤を併用して保温性を付与し、か
つ、その持続性を改善する技術が開示されており、特開
平9−286908号公報及び特開平9−286909
号公報には、乳酸系ポリマーに滑剤及び/又はアンチブ
ロッキング剤と、防曇剤とを配合して防曇性を持続させ
る技術が開示されている。しかし、ここで使用されてい
るアンチブロッキング剤(滑剤)の効果は従来の汎用フ
ィルムで発揮する効果の域をでない。本発明は上記問題
点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、
フィルムの二次加工性を考慮しつつ、フィルムの製造工
程に適した滑り性を有するポリ乳酸系重合体シート状物
を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のポリ乳酸系
重合体シート状物は、ポリ乳酸系重合体のガラス転移温
度がTg(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッ
キング剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm
<Tmの関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体
100重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01
〜0.3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤
を含有せず)からなるシート状物を、温度が(Tm
30)℃〜Tm℃の範囲で熱処理することを特徴とす
る。本発明の別の態様のポリ乳酸系重合体シート状物
は、ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がTg(℃)、
融点がTm(℃)で、アンチブロッキング剤の融点が
Tm(℃)であるとき、Tg<Tm<Tmの関係
が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体100重量部に対
し、アンチブロッキング剤を0.01〜0.3重量部の
範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤を含有せず)から
なるシート状物を、温度が(Tm−30)℃〜Tm
℃の範囲で熱処理し、さらに少なくとも一軸方向に延伸
することを特徴とする。本発明の他の態様のポリ乳酸系
重合体シート状物は、ポリ乳酸系重合体のガラス転移温
度がTg(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッ
キング剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm
<Tmの関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体
100重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01
〜0.3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤
を含有せず)からなるシート状物を、温度が(Tm
30)℃〜Tm℃の範囲で少なくとも一方向に延伸処
理することを特徴とする。ここで、前記アンチブロッキ
ング剤は脂肪酸アミド系または脂肪酸塩系のアンチブロ
ッキング剤であることができる。本発明のポリ乳酸系重
合体シート状物の製造方法は、ポリ乳酸系重合体のガラ
ス転移温度がTg(℃)、融点がTm(℃)で、アン
チブロッキング剤の融点がTm(℃)であるとき、T
g<Tm<Tmの関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸
系重合体100重量部に対し、アンチブロッキング剤を
0.01〜0.3重量部の範囲で配合された樹脂組成物
(防曇剤を含有せず)からなるシート状物を、温度が
(Tm−30)℃〜Tm℃の範囲で熱処理するか、
又は温度が(Tm−30)℃〜Tm℃の範囲で少な
くとも一方向に延伸処理することを特徴とする。ここ
で、前記シート状物は、前記樹脂組成物を用いて、Tダ
イキャスト法、インフレーション法、テンター法、ロー
ル延伸法及びチューブラー法からなる群から選ばれる少
なくとも1つの方法によって形成されることができる。
本発明によれば、ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度が
Tg(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッキン
グ剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm
Tmの関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体10
0重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01〜
0.3重量部の範囲で配合された樹脂組成物からなるシ
ート状物を、温度が(Tm−30)℃〜Tm℃の範
囲で熱処理するか、又は温度が(Tm−30)℃〜T
℃の範囲で少なくとも一方向に延伸処理することに
より、ポリ乳酸系重合体シート状物のインキ密着性を改
良することができる。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系重合体シート状物は、ポリ乳酸系重
合体100重量部にアンチブロッキング剤を0.01〜
0.3重量部の範囲で配合した樹脂組成物を主成分と
し、これをシート状に形成したものを特定の温度範囲内
で熱処理するか、特定の温度範囲内で少なくとも一方向
に延伸処理することにより得られる。ただし、ポリ乳酸
系重合体のガラス転移温度をTg(℃)、その融点をT
(℃)、アンチブロッキング剤の融点をTm
(℃)とすると、Tg<Tm<Tmの関係を満た
すことが必要である。ポリ乳酸系重合体のガラス転移温
度(Tg)は一般的には50〜60℃であるが、アンチ
ブロッキング剤の融点TmがTgより低いと、常温に
おいてシート状物中をアンチブロッキング剤が拡散して
表面に移行し、表面濡れ性を低下させるので、印刷イン
キや接着剤の密着性が低下することがある。一方、アン
チブロッキング剤の融点Tmがポリ乳酸系重合体の融
点Tmより高いと、シート状物を熱処理してもアンチ
ブロッキング剤が拡散せずシート状物の内部に閉じこめ
られてしまうので、滑り性を改良させることができず、
シート状物の巻き取り等に問題が発生する。また、拡散
させるために熱処理の温度を高めると、ポリ乳酸系重合
体シート状物の融解温度に達してシート状物が破断等を
生じる。
【0005】ここでシート状物とは、シート又はフィル
ムをいう。JISにおける定義上、シートとは、薄く、
一般にその厚さが長さと幅のわりには小さな平らな製品
をいい、フィルムとは、長さ及び幅に比べて厚さが極め
て小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな
製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう(J
IS K 6900)。したがって、シートの中でも厚
さの特に薄いものがフィルムであるといえる。しかし、
シートとフィルムとの境界は定かでなく、明確に区別す
ることは困難であるので、本願においては、上記のとお
り、シートとフィルムの両方を含んだ概念として「シー
ト状物」の用語を使用する。
【0006】本発明においては、ポリ乳酸系重合体10
0重量部に対して、アンチブロッキング剤を0.01〜
0.3重量部配合した樹脂組成物を用いる。アンチブロ
ッキング剤の配合量が0.01重量部未満ではシート状
物の滑り性を向上させることができず、0.3重量部よ
り多いとシート状物表面にアンチブロッキング剤が過剰
に移行して印刷インキや接着剤との密着性を低下させて
しまう。
【0007】本発明に用いられるアンチブロッキング剤
としては、脂肪酸アミド系または脂肪酸塩系のアンチブ
ロッキング剤が好ましく用いられる。脂肪酸アミドとし
ては、例えば、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、
モンタン酸アミド、エルカ酸アミド、ヒドロキシステア
リン酸アミド、オレイン酸アミド、リシノール酸アミ
ド、N−ステアリルステアリン酸アミド、メチロールス
テアリン酸アミド等のモノアミド系化合物や、エチレン
ビスラウリル酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミ
ド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキ
サメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスオ
レイン酸アミド、N,N−ジスステアリルイソフタル酸
アミド等のビスアミド化合物が挙げられる。脂肪酸塩と
しては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アル
ミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウ
ム、ステアリン酸鉛、オレイン酸ソーダ、ラウリン酸バ
リウム、ラウリン酸亜鉛、1,2−ヒドロキシステアリ
ン酸リチウム等が挙げられる。これらのアンチブロッキ
ング剤は、ポリ乳酸系重合体、特に、少なくとも一軸方
向に延伸されたシート状物の製造において好適に使用さ
れる。
【0008】本発明において使用されるポリ乳酸系重合
体は、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構
造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位が
L−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)やこれ
らの混合体を主成分とするものをいう。本発明において
は、ポリ乳酸と他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジカ
ルボン酸および/または脂肪族ジオールとの共重合体で
あってもよく、また少量の鎖延長剤残基を含んでもよ
い。ただし共重合体の場合には、ポリ乳酸系重合体を5
0重量%以上含む。ポリ乳酸に共重合されるモノマーと
しては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳
酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3
−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキ
シ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪
酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳
酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バ
レロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0009】ポリ乳酸系重合体の重合方法としては、縮
合重合法、開環重合法等公知の方法を採用することがで
きる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳
酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して
任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができ
る。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状
2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を
用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸系重合体を
得ることができる。
【0010】本発明において使用されるポリ乳酸系重合
体は、重量平均分子量が6万〜70万であることが好ま
しく、より好ましくは8万〜40万、特に好ましくは1
0万〜30万である。分子量が小さすぎると機械物性や
耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、大きすぎる
と溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る。
【0011】本発明のシート状物には、諸物性を調整す
る目的で、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、滑剤、可塑
剤、無機充填材、着色剤、顔料等を添加することもでき
る。
【0012】本発明のシート状物の製造方法としては、
Tダイキャスト法、インフレーション法等による実質的
に無延伸のシート状物を得る方法や、テンター法、ロー
ル延伸法、チューブラー法等による延伸シート状物を得
る方法がある。本発明においては、テンター法による延
伸シート状物について言及するが、これらに限定される
ものではない。テンター法による二軸延伸シート状物の
製造は、例えば、シート状物を加熱ロールに接触させつ
つロール間の周速差により縦延伸を行い、続いてライン
のレール上を稼働しているクリップでシート状物の両耳
を把持して加熱炉に導き延伸および熱処理を行う、逐次
二軸延伸法が好ましく用いられる。また、クリップでシ
ート状物の両耳を把持して加熱炉に導き、クリップが縦
方向に加速されつつ移動しながら横方向にもシート状物
を延伸して拡大し、すなわちシート状物が縦横同時に延
伸され、続いて熱処理される同時二軸延伸法が好ましく
用いられる。これらの方法によれば、シート状物は加熱
炉で一旦加熱され延伸ならびに熱処理が行われる。した
がって、シート状物はワインダ−にて巻き取られるまで
に数秒から数分間の熱履歴を持ち、このことがシート状
物の性能を左右する重要な工程となる。なお、シート状
物はワインダーに巻き取られるが、シート状物の滑り性
が悪いと、シート状物が蛇行したり、皺がよったりし
て、外観のきれいなシート状物を得ることができない。
【0013】本発明のシート状物は、特定の温度範囲、
すなわち(Tm−30)℃〜Tm ℃の温度範囲で熱
処理されることが必要である。また、本発明の他の態様
のシート状物は、特定の温度範囲、すなわち(Tm
30)℃〜Tm℃の温度範囲で少なくとも一方向に延
伸処理されることが必要である。かかる温度範囲以外の
温度で熱処理または延伸処理を行うと、例えば高温下で
熱処理または延伸処理を行うと、表面のアンチブロッキ
ング剤が融解して滑り性を低下させ、シート状物のブロ
ッキングを生じる。延伸工程においては、予熱や加熱等
が行われるので、予熱温度も含めて延伸温度が特定の温
度範囲内であることが必要である。
【0014】シート状物の厚さは、通常の熱成形技術に
使用できる程度の厚さであれば特に制限されず、具体的
には、総厚さが約0.03〜2.0mmの範囲であるこ
とが好ましい。
【0015】
【実施例】以下に実施例を用いて具体的に説明するが、
これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
【0016】下記に示す実例において、各シート状物の
インキ密着性の評価は下記にしたがって行った。グラビ
ア印刷用インキ「SBL−X 105紅」(大日本イン
キ化学工業(株)製)と硬化剤「SBL Fレジューサ
ー No.2」(大日本インキ化学工業(株)製)とを
9:1の割合で混合して混合インキを調製する。A4サ
イズに切り出したポリ乳酸系重合体シート状物の上に、
調製した混合インキを#6のメイヤーバーで2回塗布
し、直ちに70℃に設定したオーブン中で20秒間乾燥
させる。次いで、シート状物を40℃のオーブン中で2
日間エージングを行う。エージング後のシート状物につ
いて、「JIS Z1711 ポリエチレンフィルム製
袋 8.5 印刷剥離強さ試験」に準拠してインキ密着
性の試験を行った。評価基準は、試験に用いた剥離後の
テープを観察して、シート状物上の混合インキがテープ
を貼った部分の面積の1/2以上剥離してテープに付着
していた場合を記号「×」で、インキの剥離状態が1/
10程度である場合を「△」、全く剥離しない場合を
「○」で示す。
【0017】(実例1)L−乳酸とD−乳酸との割合が
98:2のポリ乳酸(融点が166℃、分子量が約20
万)を乾燥して十分に水分を除去した後、直径40mm
の同方向二軸押出機に投入して、設定温度210℃でシ
ート状に押し出し、回転する冷却ドラムで急冷固化させ
て実質的に非晶質のシート状物を作製した。次いで、連
続的にシート状物を温水循環式ロールと接触させつつ赤
外線ヒーターを併用して加熱し、73℃とし、周速に差
のあるロール間で縦方向に3.0倍に延伸し、次いでシ
ート状物の両耳をクリップで把持しながらテンターに導
き、シート状物の流れ方向とは垂直の方向に77℃で
3.5倍に横延伸した後、120℃で約15秒間熱処理
を行い、厚さ40μmのシート状物を作製した。作製し
たシート状物について、インキ密着性の試験を行った。
その結果を表1に示す。このシート状物をワインダーで
巻き取ったところ、多数の皺が発生し、ワインダーの巻
き取りの張力を変更してみたが、皺を発生させずに巻き
取ることは出来なかった。なお、表1には、シート状物
の巻き取り性の結果および総合評価も併せて示したが、
巻き取り性が良好な場合を記号「○」で、実用上問題の
ない場合を「△」で、巻き取り性が不良で実用上問題で
ある場合を「×」で示した。また、総合評価としては、
シート状物の性能が総合的に優れている場合を記号
「○」で、劣っており実用上問題である場合を「×」で
示した。
【0018】(実例2)L−乳酸とD−乳酸との割合が
98:2のポリ乳酸(融点が166℃、分子量が約20
万)に、アンチブロッキング剤としてエチレンビスラウ
リン酸アミド(日本化成(株)製、商品名「スリパック
スL」)を1重量部入れて乾燥させる。これを直径40
mmの同方向二軸押出機に投入して、設定温度210℃
で溶融混合し、ストランドにして押し出し、冷却しなが
らペレット状にカットした。このペレットをマスターバ
ッチとして再度乾燥させた。このマスターバッチに、L
−乳酸成分とD−乳酸成分との割合が98:2のポリ乳
酸(融点が166℃、分子量が約20万)を乾燥させた
ものと、さらにエチレンビスラウリン酸アミドをその配
合量がポリ乳酸100重量部に対して0.1重量部とな
るように混合し、直径40mmの同方向二軸押出機に投
入して、設定温度210℃で溶融押出し、回転する冷却
ドラムで急冷固化させ、実質的に非晶質のシート状物を
作製した。続いて、連続的にシート状物を温水循環式ロ
ールと接触させつつ赤外線ヒーターを併用して加熱し7
3℃とし、周速に差のあるロール間で縦方向に3.0倍
に延伸し、次いでシート状物の両端の耳部分をクリップ
で把持しながらテンターに導き、シート状物の流れ方向
とは垂直の方向に77℃で3.5倍に横延伸した後、1
10℃で約15秒間熱処理を行い、厚さ40μmのシー
ト状物を作製した。作製したシート状物について、イン
キ密着性の試験を行った。その結果を表1に示す。な
お、このシート状物をワインダーで巻き取ったところ、
多数の皺が発生し、ワインダーの巻き取りの張力を変更
してみたが、皺を発生させずに巻き取ることは出来なか
った。
【0019】(実例3)実例2において、熱処理温度を
表1に示すように130℃と変更した以外は実例2と同
様にしてシート状物を作製した。得られたシート状物に
ついて、実例2と同様の評価を行った。その結果を表1
に示す。また、作製したシート状物をワインダーで巻き
取ったところ、外観に問題なく、きれいに巻き取ること
ができた。
【0020】(実例4)実例2において、熱処理温度と
アンチブロッキング剤の配合量とを表1に示すように変
更した以外は実例2と同様にしてシート状物を作製し
た。得られたシート状物について、実例2と同様の評価
を行った。その結果を表1に示す。また、作製したシー
ト状物をワインダーで巻き取ったところ、外観良好で、
きれいに巻き取ることができた。
【0021】(実例5)実例2において、熱処理温度と
アンチブロッキング剤の配合量とを表1に示すように変
更した以外は実例2と同様にしてシート状物を作製し
た。得られたシート状物について、実例2と同様の評価
を行った。その結果を表1に示す。また、作製したシー
ト状物をワインダーで巻き取ったところ、皺を発生させ
ずに巻き取ることができなかった。
【0022】(実例6)実例2において、ポリ乳酸をL
−乳酸とD−乳酸との割合が94:6(融点が145
℃、分子量が約18万)のポリ乳酸を使用し、熱処理温
度を160℃に変更した以外は実例2と同様にして、シ
ート状物を作製しようとしたところ、テンター内でシー
ト状物の破断が多発し、外観良好なシート状物を得るこ
とはできなかった。
【0023】(実例7〜10)実例6において、アンチ
ブロッキング剤の種類をエチレンビスステアリン酸アミ
ド(日本化成(株)製、商品名「スリパックスE」)に
変更し、かつ、アンチブロッキング剤の配合量および熱
処理温度を表1に示すように変更し、縦延伸温度を74
℃、横延伸温度を76℃に変更した以外は実例6と同様
にして、厚さ40μmのシート状物を作製した。得られ
たシート状物について、実例6と同様にして評価を行っ
た。その結果を表1に示す。なお、作製したシート状物
をワインダーに巻き取ったところ、実例7〜9では外観
上問題なくきれいに巻き取ることができたが、実例10
では皺が発生した。また、実例9は巻き取り性は良好だ
ったが、インキとの密着性に問題があった。
【0024】(実例11〜13)実例2において、アン
チブロッキング剤の種類をステアリン酸アルミニウム
(堺化学工業(株)製、商品名「SA−2000」)に
変更し、かつ、アンチブロッキング剤の配合量および熱
処理温度を表2に示すように変更し、縦延伸温度を73
℃、横延伸温度を78℃に変更した以外は実例2と同様
にして、厚さ40μmのシート状物を作製した。得られ
たシート状物について、実例2と同様にして評価を行っ
た。その結果を表2に示す。なお、作製したシート状物
をワインダーに巻き取ったところ、実例11〜13では
外観上問題なく、きれいに巻き取ることができた。ま
た、実例13は巻き取り性は良好だったが、インキとの
密着性に問題があった。
【0025】(実例14〜15)実例2において、アン
チブロッキング剤の種類をエルカ酸アミド(日本化成
(株)製、商品名「ダイアミッドL−200」)に変更
し、かつ、アンチブロッキング剤の配合量を表2に示す
ように変更し、縦延伸温度を76℃、横延伸温度を78
℃に変更し、さらに熱処理ゾーンの設定温度を50℃
(実質熱処理としての効果のない温度)に変更した以外
は実例2と同様にして、厚さ40μmのシート状物を作
製した。得られたシート状物について、実例2と同様に
して評価を行った。その結果を表2に示す。なお、作製
したシート状物をワインダーに巻き取ったところ、実例
14〜15では外観上問題なく、きれいに巻き取ること
ができた。また、実例15は巻き取り性は良好だった
が、インキとの密着性に問題があった。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明に
よれば、シート状物の二次加工性を考慮しつつ、シート
状物の製造工程に適した滑り性を有するポリ乳酸系重合
体シート状物を提供することができる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がT
    g(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッキング
    剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm<T
    の関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体100
    重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01〜0.
    3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤を含有
    せず)からなるシート状物を、温度が(Tm−30)
    ℃〜Tm℃の範囲で熱処理することを特徴とするポリ
    乳酸系重合体シート状物。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がT
    g(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッキング
    剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm<T
    の関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体100
    重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01〜0.
    3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤を含有
    せず)からなるシート状物を、温度が(Tm−30)
    ℃〜Tm℃の範囲で熱処理し、さらに少なくとも一軸
    方向に延伸することを特徴とするポリ乳酸系重合体シー
    ト状物。
  3. 【請求項3】 ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がT
    g(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッキング
    剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm<T
    の関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体100
    重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01〜0.
    3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤を含有
    せず)からなるシート状物を、温度が(Tm−30)
    ℃〜Tm℃の範囲で少なくとも一方向に延伸処理する
    ことを特徴とするポリ乳酸系重合体シート状物。
  4. 【請求項4】 前記アンチブロッキング剤が脂肪酸アミ
    ド系または脂肪酸塩系のアンチブロッキング剤であるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の
    ポリ乳酸系重合体シート状物。
  5. 【請求項5】 ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がT
    g(℃)、融点がTm(℃)で、アンチブロッキング
    剤の融点がTm(℃)であるとき、Tg<Tm<T
    の関係が成り立ち、かつ、ポリ乳酸系重合体100
    重量部に対し、アンチブロッキング剤を0.01〜0.
    3重量部の範囲で配合された樹脂組成物(防曇剤を含有
    せず)からなるシート状物を、温度が(Tm−30)
    ℃〜Tm℃の範囲で熱処理するか、又は温度が(Tm
    −30)℃〜Tm℃の範囲で少なくとも一方向に延
    伸処理することを特徴とするポリ乳酸系重合体シート状
    物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記シート状物が、前記樹脂組成物を用
    いて、Tダイキャスト法、インフレーション法、テンタ
    ー法、ロール延伸法及びチューブラー法からなる群から
    選ばれる少なくとも1つの方法によって形成されること
    を特徴とする請求項5記載のポリ乳酸系重合体シート状
    物の製造方法。
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