JP2001199007A - 生分解性積層シート状物 - Google Patents

生分解性積層シート状物

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JP2001199007A JP2000014663A JP2000014663A JP2001199007A JP 2001199007 A JP2001199007 A JP 2001199007A JP 2000014663 A JP2000014663 A JP 2000014663A JP 2000014663 A JP2000014663 A JP 2000014663A JP 2001199007 A JP2001199007 A JP 2001199007A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水蒸気やガス等のバリア性が良好で、ヒートシ
ール性に優れ、かつ環境問題を生じない、生分解性の積
層シート状物を得ること。 【解決手段】生分解性のシート状物であり、これは、ア
ルミニウム層の一方の面側にポリ乳酸系重合体を主成分
とする2軸延伸シート状物Aを有し、他方の面側にポリ
乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物Bを有
する生分解性積層シート状物であって、ポリ乳酸系重合
体を主成分とする2軸延伸シート状物Aの融点と、ポリ
乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物Bの融
点との差が10℃以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生分解性積層シート
状物に関し、特に、ガス等のバリヤー性およびヒートシ
ール性を有する生分解性積層シート状物に関する。
【0002】
【従来の技術】食品保存用袋などの一般的な包装材料を
はじめ、漁業用、農業用、建築用、医療用などのプラス
チックフィルムには、透明性及びヒートシール性に優れ
たプラスチックフィルムが要求されることがある。プラ
スチックフィルム等の多くが、特にプラスチック包装材
は一般に使い捨てされるものであり、使用後、廃棄処分
されることが多く、その廃棄が問題となっている。一般
的な包装用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等
が挙げられるが、これらの材料は燃焼時の発熱量が多
く、燃焼処理中に燃焼炉をいためる恐れがある。また、
現在でも使用量の多いポリ塩化ビニルは、その自己消火
性のため燃焼することができない。このような焼却でき
ない材料も含めプラスチック製品は土中に埋設処理され
ることが多いが、これらは化学的に安定で生分解性がな
いため、ほとんど分解されることなく残留し、蓄積され
る。そのため、これらは自然環境下に散乱して動植物の
生活環境を汚染するだけでなく、ゴミ処理用地の能力を
短期間で飽和させてしまう。
【0003】そこで、燃焼熱量が低く、かつ人体等に安
全である、生分解性の材料が要求され、多くの研究がな
されており、その一つとして、ポリ乳酸が知られてい
る。ポリ乳酸は、燃焼熱量がポリエチレンの半分以下で
あり、土中や水中で自然に加水分解が進行し、次いで微
生物により無害な分解物となる。ポリ乳酸を用いたフィ
ルムやシート、容器(成形物)等の開発が盛んに行われ
ている。
【0004】しかし、ポリ乳酸には水蒸気バリア性、ガ
スバリア性がないので、例えば包装材として使用する場
合には、かかるバリア性の改良は重要な課題であった。
水蒸気バリア性等を付与するためにアルミニウム箔を積
層したシートが、例えば特開平8−290526号、特
開平11−35058号に開示されているが、これらの
シートはヒートシール性が十分ではなかった。一般にヒ
ートシール性を付与するためには、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、芳香族−脂肪族系ポリエステル共重合体などのヒ
ートシール材からなるフィルムが設けられるが、かかる
ヒートシール材は生分解性がないため、廃棄処分の際に
環境問題等が生じた。したがって、水蒸気やガス等のバ
リア性が良好で、ヒートシール性にも優れ、かつ環境問
題を生じない、という全ての条件を満たすプラスチック
材料の出現が切望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、水蒸
気やガス等のバリア性が良好で、ヒートシール性に優
れ、かつ自然環境下で生分解性のあるプラスチックシー
ト状物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。即ち本発明の生分解性積層シート状物は、アルミ
ニウム層の一方の面側にポリ乳酸系重合体を主成分とす
る2軸延伸シート状物Aを有し、他方の面側にポリ乳酸
系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物Bを有する
生分解性積層シート状物であって、該ポリ乳酸系重合体
を主成分とする2軸延伸シート状物Aの融点と、該ポリ
乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物Bの融
点との差が10℃以上であることを特徴とする。ここ
で、前記ポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シー
ト状物A、および前記ポリ乳酸系重合体を主成分とする
2軸延伸シート状物Bのうち、融点の高い方のポリ乳酸
系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物は、JIS
K 7198で測定される周波数10Hz、120℃
での動的貯蔵弾性率(E’)が100MPa以上である
ことができる。また、前記ポリ乳酸系重合体を主成分と
する2軸延伸シート状物A、および前記ポリ乳酸系重合
体を主成分とする2軸延伸シート状物Bのうち、融点の
高い方のポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シー
ト状物の結晶化融解熱量(△Hm)が20J/g以上で
あることができる。
【0007】本発明の生分解性積層シート状物は、ヒー
トシール材として、通常のプラスチック製ヒートシール
材ではなく、ポリ乳酸系重合体を用いるので生分解性が
あり、使用後の廃棄等において、環境問題が発生するこ
ともない。本発明の生分解性積層シート状物は、ヒート
シールする層とは反対側の面に該層の材料より融点の高
い2軸延伸のポリ乳酸系重合体の層(支持層)を有する
ので、支持層が溶け出すこともなく、印刷等を施すこと
ができる。また、膜厚の薄いアルミニウム箔を用いるの
で、自然に分解し、環境問題を生じることもない。本発
明の生分解性積層シート状物はポリ乳酸系重合体を用い
るので人体に安全であり、食品等と接触する場合にも使
用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の生分解性積層シート状物は、アルミニウム
層の一方の面にポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延
伸シート状物Aを、他方にポリ乳酸系重合体を主成分と
する2軸延伸シート状物Bを有する。
【0009】ここでシート状物とは、シート又はシート
状物をいう。JISにおける定義上、シートとは、薄
く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さな平らな
製品をいい、フィルムとは、長さ及び幅に比べて厚さが
極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平
らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう
(JIS K 6900)。したがって、シートの中で
も厚さの特に薄いものがフィルムであるといえる。しか
し、シートとフィルムとの境界は定かでなく、明確に区
別することは困難であるので、本願においては、上記の
とおり、シートとフィルムの両方を含んだ概念として
「シート状物」の用語を使用する。
【0010】本発明において使用されるポリ乳酸系重合
体は、L−乳酸、D−乳酸またはDL−乳酸単位を主成
分とする重合体、またはこれらの重合体の混合物である
が、、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対しては、D−乳
酸が、D−乳酸に対しては、L−乳酸)を共重合するこ
とができる。ポリ乳酸系重合体は、少量の共重合成分と
して他のヒドロキシカルボン酸等を含んでいてもよく、
また少量の鎖延長剤残基を含んでいてもよい。ポリ乳酸
に共重合される共重合成分等のモノマーとしては、グリ
コール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、
2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−
ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−
メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪
族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラク
トン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0011】本発明においては、重合法として、縮合重
合法、開環重合法等公知の方法を採用することができ
る。例えば、縮合重合法では、L−乳酸、D−乳酸、D
L−乳酸等を直接脱水縮合重合して、任意の組成を有す
るポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法(ラ
クチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、
必要に応じて重合調節剤、触媒等を適宜選択、使用する
ことによりポリ乳酸系重合体を得ることができる。
【0012】本発明において使用されるポリ乳酸系重合
体の重量平均分子量(Mw)は6万〜70万の範囲であ
ることが好ましく、より好ましくは8万〜40万、特に
好ましくは10万〜30万である。ポリ乳酸系重合体の
重量平均分子量が6万以上であれば実用可能なレベルの
機械物性や耐熱性等を発現することができ、重量平均分
子量が70万以下であれば、溶融粘度が高くなりすぎて
成形加工性が劣ることもない。
【0013】ポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸
シート状物A(以下「2軸延伸シート状物A」というこ
ともある)、およびポリ乳酸系重合体を主成分とする2
軸延伸シート状物B(以下「2軸延伸シート状物B」と
いうこともある)は、各々の2軸延伸シート状物の融点
の差が10℃以上である。本発明の生分解性積層シート
状物においては、通常、融点の低い方の2軸延伸シート
状物がヒートシール材として機能し、融点の高い方の2
軸延伸シート状物が支持層、保護層等として機能する
が、融点の差が10℃より小さいと、シールするために
ヒートシール材を加熱して溶融する際に、融点の高い方
の2軸延伸シート状物も溶融または半溶融の状態とな
り、シール部のきれいな仕上がりを達成することはでき
ない。本発明においては、2軸延伸シート状物Aと2軸
延伸シート状物Bの融点の差は20℃以上であることが
好ましく、30℃以上であることが更に好ましい。な
お、本発明において「2軸延伸シート状物の融点」と
は、ポリ乳酸系重合体を主成分とするシート状物に2軸
延伸を施した後の延伸シート状物の融点を意味する。融
点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)を用い、JI
S K 7122に基づいて測定する。
【0014】2軸延伸シート状物Aおよび2軸延伸シー
ト状物Bのうち、融点の高い方の2軸延伸シート状物
(仮に、2軸延伸シート状物Aとする)は、JIS−K
−7198に基づいて、周波数10Hz、温度120℃
で測定される動的貯蔵弾性率(E’)が100MPa以
上であることが好ましい。動的貯蔵弾性率(E’)が1
00MPa以上であれば、本発明の生分解性積層シート
状物をヒートシールする際に、保護層として機能する2
軸延伸シート状物Aの耐熱性は十分であり、加熱板(加
熱バー)に粘着することもない。したがって、加熱板か
ら2軸延伸シート状物Aを容易にその表面を傷つけるこ
となく剥がすことができ、シール部のきれいな仕上がり
を達成することができる。動的貯蔵弾性率(E’)はポ
リ乳酸系重合体の結晶性により異なってくる数値であ
り、結晶化度が高いほど同温度で比較した場合の動的貯
蔵弾性率(E’)は大きくなる。実際には、ポリ乳酸系
重合体からなる延伸シート状物の120℃での動的貯蔵
弾性率(E’)は350MPaが上限である。
【0015】2軸延伸シート状物Aおよび2軸延伸シー
ト状物Bは、ポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂組成
物をTダイ、Iダイ、丸ダイ等から押し出して得られた
シート状または円筒状のシート状物を、冷却キャストロ
ールや水、圧空等により急冷し、非結晶に近い状態で固
化させた後、ロール法、テンター法、チューブラー法等
により2軸に延伸することにより得られる。一般に、シ
ート状物を2軸延伸するには、縦延伸をロール法で、横
延伸をテンター法で行う逐次2軸延伸法により、または
縦横同時にテンターで延伸する同時2軸延伸法により行
われる。
【0016】延伸条件としては、延伸温度が55〜90
℃、好ましくは65〜80℃であり、縦延伸倍率が1.
5〜5倍、好ましくは2〜4倍、横延伸倍率が1.5〜
5倍、好ましくは2〜4倍であり、延伸速度が10〜1
00,000%/分、好ましくは100〜10,000
%/分である。しかしながら、延伸条件の適正範囲はポ
リ乳酸系重合体の組成や、未延伸シート状物の熱履歴に
よって異なってくるので、シート状物の面内配向指数お
よび面配向指数を見ながら適宜、定める。
【0017】延伸した後、延伸シート状物に熱処理が施
されるが、延伸シート状物の熱収縮を抑制するために
は、延伸シート状物を把持した状態で熱処理する必要が
ある。テンター法では、通常、クリップでシート状物を
把持した状態で延伸するので、延伸後、そのまま熱処理
を施すことができる。熱処理条件は、使用するポリ乳酸
系重合体の融点にもよるが、熱処理温度が100℃以
上、ポリ乳酸系重合体の融点以下の範囲内の温度であ
り、熱処理時間が3秒以上であることが好ましい。熱処
理条件がかかる範囲内であればシート状物の熱収縮率は
小さくなり、シート状物の二次加工工程においてシート
状物の収縮等による問題を生じることもない。かかる問
題を生じさせないための熱収縮率は、80℃の温水中に
10秒間浸した後のシート状物の熱収縮率が5%以下と
なるようにすることであり、好ましくは3%以下であ
る。また、熱処理温度がポリ乳酸系重合体の融点以下で
あれば、熱処理中にシート状物が融解したり破断が生じ
ることもない。
【0018】本発明においては、2軸延伸シート状物A
および2軸延伸シート状物Bのうち、融点の低い方のシ
ート状物の材料は、例えば、融点の高い方のシート状物
をまず選択し、次いでこのシート状物を基準にしてこれ
より融点が10℃以上低い材料の中から任意に選択する
ことができる。2軸延伸シート状物Aおよび2軸延伸シ
ート状物Bには、諸物性を調整する目的で、熱安定剤、
光安定剤、光吸収剤、滑剤、可塑剤、無機充填材、着色
剤、顔料等を添加することもできる。さらに、シート状
物A及び/又はシート状物Bの一方あるいは双方の面に
コロナ処理を施すことにより、接着性、印刷性の向上を
図ることもできる。
【0019】本発明においては、水蒸気およびガス等の
バリア性を付与するため、アルミニウム層を積層する。
アルミニウムは自然環境下で酸化され、膜厚の薄いもの
は最終的に崩壊する。本発明においては、約0.02μ
m〜約100μmのアルミニウム層が積層されることが
好ましい。アルミニウム層としては、従来から包装材等
に使用されているアルミニウム箔等を用いることができ
るが、例えば、厚さ2〜100μmのアルミニウム箔を
用いることができる。また、アルミニウム箔以外にも、
アルミニウム蒸着等により、アルミニウム層とすること
ができ、この場合のアルミニウム層の厚さは、例えば約
0.02μm〜約0.2μmであり、好ましくは約0.
04μm〜0.1μmである。アルミニウム層を積層す
るには、通常使用される公知の方法を用いることができ
るが、例えば、アルミニウム箔等を接着剤を用いて2軸
延伸シート状物A等に積層してもよいし、2軸延伸シー
ト状物A等にアルミニウムを蒸着させてもよい。なお、
アルミニウム層には必要に応じてコロナ処理等の各種表
面処理が施されていてもよい。
【0020】本発明の生分解性積層シート状物は、3層
構造に限定されるものではない。すなわち、2軸延伸シ
ート状物A及び/又は2軸延伸シート状物Bは、アルミ
ニウム層の上に直接設けられていても、その間に別の層
(例えば、接着層)を介して設けられていてもよく、ま
た、2軸延伸シート状物A及び/又は2軸延伸シート状
物Bの上には、それぞれ他の層(例えば、コート層、ス
キン層、印刷層)が設けられていてもよい。すなわち、
本発明の生分解性積層シート状物の層構成は、例えば、
2軸延伸シート状物A/アルミニウム層/2軸延伸シー
ト状物Bのような3層構成でもよいし、2軸延伸シート
状物A/接着層/アルミニウム層/接着層/2軸延伸シ
ート状物Bのような5層構成でもよいし、スキン層/2
軸延伸シート状物A/アルミニウム層/2軸延伸シート
状物Bのような4層構成でもよい。
【0021】例えば、本発明の生分解性積層シート状物
を用いて包装体を形成する場合には、2軸延伸シート状
物A、2軸延伸シート状物Bのうち、融点の高い方の2
軸延伸シート状物が外層となるようにし、融点の低い方
の2軸延伸シート状物を内側にしてヒートシール層とし
て貼り合わせる。外層の2軸延伸シート状物は、通常、
裏印刷を施す層となり、内側の2軸延伸シート状物は包
装される内容物と接する層となる。本発明においては、
内側の内容物と接する部分の材料がポリ乳酸で形成され
ているので、食品等を包装することもできる。
【0022】接着剤としては、ビニル系、アクリル系、
ポリアミド系、ポリエステル系、ゴム系、ウレタン系等
の接着剤を一般に用いることができるが、接着剤も生分
解性にすることができる。生分解性の接着剤としては、
でんぷん、アミロース、アミロペクチン等の多糖類、
膠、ゼラチン、カゼイン、ゼイン、コラーゲン等の蛋白
質類やポリペプチド類、未加硫天然ゴム、あるいは脂肪
族ポリエステル等が好ましく用いられる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を具体的に示す
が、本発明はこれらにより何ら制限されるものではな
い。なお、融点(Tm)、結晶化融解熱量(△Hm)、
および動的貯蔵弾性率(E’)の値は下記に示すような
条件で求めた。
【0024】融点(Tm)および結晶化融解熱量(△H
m) 示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー製)
を用い、JIS K7121およびJIS K 712
2に基づいて、融解熱を測定した。すなわち、作成され
た2軸延伸シート状物から試験片10mgを切り取り、
これについて標準状態で状態調節を行った後、窒素ガス
流量25ml/分、加熱温度10℃/分で200℃まで
昇温する間に描かれるDSC曲線から、吸熱ピークおよ
びその面積を読みとり、それぞれを融点(Tm)、結晶
化融解熱量(△Hm)とした。120℃での動的貯蔵弾性率(E’) 動的粘弾性測定装置「VES−II型」((株)岩本製作
所製)を用い、JISK 7198に基づいて、室温以
上、ポリ乳酸系重合体の融解温度以下の範囲内で、昇温
速度1℃/分、周波数10Hzで測定を行った。得られ
た粘弾性カーブから120℃での動的貯蔵弾性率
(E’)を求めた。
【0025】シート状物No.1〜No.5の作成 (1)シート状物No.1 重量平均分子量が約20万のポリ乳酸(融点175℃)
100重量部と、平均粒径約2.5μmの粒状二酸化ケ
イ素(シリカ)(商品名「サイリシア430」、富士シ
リシア化学(株)製)1重量部とを、それぞれ乾燥させ
て十分に水分を除去した後、径(Φ)40mmの同方向
二軸押出機に投入し、約200℃で溶融混合し、ストラ
ンドにして押出し、冷却しながらペレット状にカットし
た。このペレットをマスターバッチとして、再度乾燥さ
せ、同様に乾燥させた上述のポリ乳酸に対し10%の割
合で混合し、径(Φ)40mmの同方向二軸押出機に投
入し、設定温度210℃でシート状に押出した後、回転
する冷却ドラムで急冷固化させ、実質的に非晶質のシー
ト状物を得た。ただし、得られたシート状物を温水循環
式ロールと接触させつつ赤外線ヒーターを併用して加熱
し、周速差ロール間で縦方向に70℃で2.4倍、次い
でこの縦延伸シート状物をクリップで把持しながらテン
ターに導き、フィルム流れの垂直方向に70℃で2.7
倍に延伸した後、130℃で約25秒間、熱処理し、厚
さ25μmの二軸延伸シート状物(シート状物No.
1)を作製した。得られたシート状物No.1につい
て、融点(Tm)、結晶化融解熱量(Hm)および12
0℃での動的貯蔵弾性率(E’)を求めた。その結果を
表1に示す。
【0026】(2)シート状物No.2〜No.4 シート状物No.1の作成において、ポリ乳酸系重合体
のD−乳酸の含有率を変化させて、ポリ乳酸系重合体の
未延伸シート状物をそれぞれ作成した。また得られた未
延伸シート状物を用い、シート状物No.1の作成にお
いて、縦延伸および横延伸の温度と延伸倍率、および熱
処理条件を表1に示すように変更した以外は、シート状
物No.1の作成と同様にしてシート状物No.2〜N
o.4の2軸延伸シート状物を作成した。
【0027】(3)シート状物No.5 シート状物No.1の作成において、シート状物No.
4の原料を用いて、ポリ乳酸系重合体の未延伸シートを
作成した。ここでは、延伸せず、このままの未延伸状態
のシート状物をシート状物No.5のシート状物とし
た。ただし、シート状物の厚みは25μmにした。シー
ト状物No.5は、同じ原料を使用した二軸延伸シート
状物No.4とは異なり、DSC測定では融点(Tm)
を観察することができなかった。すなわち、シート状物
No.5は二軸延伸したシート状物と比較して結晶性が
かなり低く、実質的に非晶状態であるので、ガラス転移
点を越える温度では軟化する。動的粘弾性測定において
も120℃の領域での測定はできなかった。つまり、1
20℃では動的貯蔵弾性率(E’)が100MPaを大
きく下回っていることを表している。
【0028】
【表1】
【0029】(実施例1)A4サイズに切り出したシー
ト状物No.1の片面に50W/m/minの強度で
コロナ処理を施し、シート状物表面のぬれ張力を向上さ
せた。なお、コロナ処理の強度が高いほどぬれ張力を向
上させることができるが、高すぎるとコロナ処理中にシ
ート状物の表面が溶融するなどの問題が生じ、外観が損
なわれる。コロナ処理の強度が50W/m/minは
シート状物の外観が損なわれない範囲において最も効果
が期待できるものである。参考までに、ポリオレフィン
系シート状物のコロナ処理の強度は、一般的には、20
〜40W/m/minであり、最大でも500W/m
/minである。厚さ7μmのアルミニウム箔をA4
サイズの大きさに切り出し、このアルミニウム箔の表面
に脂肪族ポリエステル系ドライラミネート用接着剤、商
品名「タケラックA−315」(武田薬品工業(株)
製)と商品名「タケネートA−50」(武田薬品工業
(株)製)とを15:1の割合で混合したものを、メイ
ヤーバーを用いて、厚さ約3μmとなるように塗工し
た。塗工後直ちに、シート状物No.1のコロナ処理を
施した面を接着面に貼り合わせた。ただし、このシート
状物を支持層とした。次いで、アルミニウム箔のもう一
方の面にA4サイズに切り出したシート状物No.2を
同様にして貼り合わせた。このシート状物No.2をヒ
ートシール層とした。得られた生分解性積層シート状物
を40℃で2日間エージングした後、下記に示す評価を
行った。その結果を表2に示す。
【0030】ヒートシール性(接着性)の評価、ヒート
シール時の支持層の変化の評価 得られた生分解性積層シート状物を幅150mm、長さ
128mmに切り出した。切り出したシート状物2枚
を、融点の低い方のシート状物(ヒートシール材)同士
が向き合って接触するように重ね合わせた。この重ね合
わせたシート状物の3辺をヒートシールした。ただし、
ヒートシールは、加熱バーの幅が5mmの加熱板を、圧
力が1.5kgf/cmで、5秒間押し当てた後、放
冷することにより行った。ヒートシール温度はヒートシ
ール材が融着するように、80〜170℃の範囲内で適
宜設定した。なお、ヒートシール温度の設定の目安は、
ヒートシール材の融点以上にすることである。ヒートシ
ール後、ヒートシール部のヒートシール性(接着性)に
ついて、目視および触感により評価を行った。すなわ
ち、接着具合が良好であるものを「○」、接着が不十分
であるものを「×」で示した。また、ヒートシール時に
支持層(印刷層)となる融点の高い方のシート状物が加
熱されて加熱バーに粘着気味であるか、支持層の表面が
融解して仕上りの悪いものを「×」、支持層に若干変化
があり、やや仕上がりの悪いものを「△」、きれいに仕
上ったものを「○」で示した。
【0031】(実施例2、3および比較例1〜3)実施
例1において、アルミニウムに貼り合わせる支持層およ
びヒートシール層のシート状物を表2に示すように変更
した以外は、実施例1と同様にして、生分解性積層シー
ト状物を作製した。得られた生分解性積層シート状物に
ついて、実施例1と同様にして評価を行った。その結果
を表2に示す。
【0032】(実施例4)電子ビーム加熱方式真空蒸着
機(レイボルド社製)を用いて、アルミニウム(Al)
を原料とし、真空度5×10−5の空気雰囲気下で、コ
ロナ処理したシート状物No.1の片面に連続的に蒸着
処理を施した。次いで、このシート状物のアルミニウム
が蒸着されていない方の面に、実施例1と同様にしてA
4サイズに切り出したシート状物No.4を貼り合わせ
て積層シート状物を作成した。得られた積層シート状物
について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を
表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表1および表2から明らかなように、実施
例2〜4は、良好なヒートシール性を示した。また、ア
ルミニウムの両面に貼り合わせたシート状物の融点が比
較的近い実施例1では、やや仕上がりが劣るもののヒー
トシール性には問題がなかった。一方、比較例1では、
ヒートシール(接着)性はあるものの、ヒートシール時
に支持層が融け出し、加熱バーに粘着してきれいに仕上
がらなかった。比較例2は、比較例1と同じ構成の積層
体であるが、ヒートシール温度を下げたので支持層の融
け出しはなかったがシールできなかった。比較例3で
は、ヒートシール温度80〜170℃の範囲でシールを
試みたが、支持層の表面がシールバーに融着してしま
い、きれいに仕上げることはできなかった。なお、本発
明のシート状物は水蒸気やガスのバリア性にも優れてい
た。
【0035】
【発明の効果】以上、詳しく説明したように、本発明の
生分解性積層シート状物は、水蒸気やガス等のバリア性
が良好で、ヒートシール性に優れ、かつ生分解性があり
環境問題を生じない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB10A AK41B AK41C AK41G BA03 BA06 BA26 CB00 EJ38B EJ38C EJ55 GB01 GB04 GB07 GB15 GB66 JA04B JA04C JA20B JC00 JD02 JK07B JL12 YY00B YY00C 4J002 CF181 FD010 GA01 GF00 GG02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム層の一方の面側にポリ乳酸
    系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物Aを有し、
    他方の面側にポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸
    シート状物Bを有する生分解性積層シート状物であっ
    て、該ポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート
    状物Aの融点と、該ポリ乳酸系重合体を主成分とする2
    軸延伸シート状物Bの融点との差が10℃以上であるこ
    とを特徴とする生分解性積層シート状物。
  2. 【請求項2】 前記ポリ乳酸系重合体を主成分とする2
    軸延伸シート状物A、および前記ポリ乳酸系重合体を主
    成分とする2軸延伸シート状物Bのうち、融点の高い方
    のポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物
    は、JISK 7198で測定される周波数10Hz、
    120℃での動的貯蔵弾性率(E’)が100MPa以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性積
    層シート状物。
  3. 【請求項3】 前記ポリ乳酸系重合体を主成分とする2
    軸延伸シート状物A、および前記ポリ乳酸系重合体を主
    成分とする2軸延伸シート状物Bのうち、融点の高い方
    のポリ乳酸系重合体を主成分とする2軸延伸シート状物
    の結晶化融解熱量(△Hm)が20J/g以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性積層
    シート状物。
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