JP3499142B2 - 鉄系構造材料の製造法 - Google Patents

鉄系構造材料の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄系構造材料の製
造法に関する。 【0002】 【従来の技術】鉄鋼の構造材料を製造するに当たり、そ
の鉄鋼材料の結晶粒径を微細化することにより延性を劣
化させることなく強度を向上することができ、構造材料
の強靭化法として従来から多くの研究がなされている。
しかし、溶解、鋳造、圧延などの工程を経る従来のプロ
セスで量産される鉄鋼材料では、せいぜい1μm程度ま
での微細化が限界とされている。構造材料の強度を更に
向上するには、その組織の結晶粒径は微細なほど好まし
い。こうした中、最近、結晶粒径を1μm未満にまで超
微細化できる新しいプロセスとしてメカニカルミリング
法が提案されている。代表的メカニカルミリング法はボ
ールミルを用いたものである。これは、鋼製容器などに
金属粉末と鋼製などの硬質ボールを充填し、この容器を
振動又は遊星運動させることにより、ボールと粉末が衝
突する際に非常に高い塑性歪みを金属粉末に付与し結晶
粒径を微細化する方法である。この方法により、例え
ば、Materials Transaction,
JIM, Vol.36, No.2(1995)の2
89頁〜296頁に報告されているように、純鉄粉末に
メカニカルミリング処理を施すことにより、その平均結
晶粒径をおよそ20〜30ナノメートル程度にまで超微
細化し、且つそのビッカース硬度が950にまで達する
ことが報告されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このようにして得られ
た平均結晶粒径が1μm未満である超微細組織を有する
鉄材は粉状であるため、これを用い構造材料を製造する
には、この超微細組織を有する粉末を固化成形し、バル
ク材、即ち、構造材料として使用に耐える十分な密度を
有する金属塊としなければならない。その固化成形のた
めには、焼結、HIP処理などの加熱処理が必要とな
る。ところが、その超微細組織から成る粉末は、800
℃を越えるような高温に保持し緻密化して鉄系構造材料
を製造するときは、その高温の加熱により母相の平均結
晶粒径は、数〜数十ミクロンに粗大化してしまい、強度
が著しく低い構造材料として得られる結果をもたらす危
険が極めて高いので、その超微細組織の平均結晶粒径が
加熱により1μm以上にならないように粗大化を抑制し
て固化成形して良好な強度および延性を有する構造材料
を得るには、超微細組織の平均結晶粒径が1μm以上に
粗大化する危険性の少ない、例えば、800℃未満での
焼結やHIP処理などの加熱処理を行うか、鋼製容器内
に真空封入して圧延するなどの方法を用いている。しか
し乍ら、このような方法では、良好な強度および延性を
有する構造材料を製造するには相当の時間がかゝり、生
産性に乏しく量産化は困難である。従って、平均結晶粒
径1μm未満である超微細組織から成る鉄系合金粉末を
用いて800℃以上の高温域で加熱燒結しても、その結
晶粒径の粗大化が生ずることなく、母相の平均結晶粒径
が1μm未満に抑制された超微細組織から成り、強度お
よび延性に優れた鉄系構造材料が高能率に得られ、量産
性の向上をもたらす鉄系構造材料の製造法の開発が望ま
れる。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決した平均結晶粒径が1μm未満の鉄系合金を800
℃以上の高温域で加熱し、燒結成形処理した後でも母相
の平均結晶粒径が1μm未満の超微細組織から成る強度
および延性の向上した鉄系構造材料の製造を可能とし、
且つ高能率化し、量産性の向上をもたらす鉄系構造材料
の製造法を提供するもので、Ti:3〜6wt.%、
O:0.1〜1.5wt.%の範囲であって、且つTi
とOの配合割合を、上限(0.2×Tiwt.%+0.
3)wt.%、下限(0.3×Tiwt.%−1.2)
wt.%の関係を満たす図1に斜線で示す範囲内とし、
残部Feから成るように配合し、この配合物を圧砕手段
により平均結晶粒径が1μm未満となるように超微細化
を行うと共に合金化を行い、TiとOの含有量の割合が
図1における斜線で示す範囲内であり、残部Feから成
る鉄系合金粉末を製造し、次いで、この鉄系合金粉末
800〜1150℃の高温域で加熱し、粒径0.01〜
0.3μmのチタン系酸化物を析出させると共に燒結
形することを特徴とする。 【0005】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を詳述
する。本発明の鉄系構造材料を製造するには、その製造
原料として、Fe材、Ti材、O材を用意する。主材で
あるFe材としては、純鉄、炭素鋼などの鉄系材から選
んだその少なくとも一種を用意し、Ti材としては、金
属チタン、Fe−Ti合金、Fe−Ti金属間化合物或
いはTi2 O,TiO,Ti2 3 ,Ti3 5 ,Ti
2 などのチタン系酸化物から選んだその少なくとも一
種を用意し、O材としては、チタン系酸化物或いはFe
2 O,Fe2 3 ,Fe3 4 などの鉄系酸化物から選
んだ少なくとも一種或いは気体酸素又は酸素とアルゴン
或いはヘリウムとの混合気体のO材を用意する。上記の
所望のFe材を主体とし、これに少量の上記の所望のT
i材とO材を用い、Ti元素とO元素の配合割合が図1
に斜線で示す範囲内で配合し、残部Feから成る配合物
とし、これをメカニカルミリング法或いはその他の圧砕
手段により、平均結晶粒径が1μm未満の超微細組織を
得ると共に、体心立方構造を有するFe−Ti−Oの固
溶体から成り、TiとOの成分量の割合が図1に斜線で
示す範囲内で含有する鉄系合金粉末を製造する。然ると
きは、この鉄系合金粉末を原料として用い、焼結、HI
P処理などの固化成形、熱間押出し或いは熱間鍛造、熱
間圧延などの800〜1150℃の高温域で加熱し、燒
成形処理を行うときは、上記の超微細組織を有するF
e−Ti−O合金中に平均粒径0.01μm〜0.3μ
mの超微細な子から成るチタン系酸化物が微細に析出
することにより、母相は平均結晶粒径が1μm未満の超
微細な組織に維持された強度においてビッカース硬度3
00以上、伸びにおいて3%以上を有する優れた特性を
有する良好な鉄系構造材料が得られることが認められ
た。 【0006】本発明の実施態様を更に具体例により詳述
する。Fe材として純鉄粉末を選択し、Ti材として金
属チタン粉末を選択し、O材としてFe2 3 粉末を選
択し、これらを配合し配合物を調製するが、この場合、
その配合物として、Fe元素、Ti元素、O元素が夫々
次のような含有量で含有するように配合する。即ち、そ
の3成分の組成は、重量でTi:3〜6wt.%、O:
0.1〜1.5wt.%の範囲であって、且つTiとO
の配合割合を上限(0.2×Tiwt.%+0.3)w
t.%、下限(0.3×Tiwt.%−1.2)wt.
%の関係を満たす図1に斜線で示す範囲内とし、残部F
eから成るように配合する。次に、この配合物粉体を、
圧砕手段で、例えばメカニカルミリング法で処理し、結
晶粒の微細化と合金化を行う。即ち、該配合物粉体を鋼
製などの硬質ボールを適量充填された鋼製容器に入れ、
該容器を振動又は遊星運動させて、これらの平均結晶粒
径を1μm未満に超微細化すると共に、体心立方構造の
Fe−Ti−O固溶体である鉄系合金粉末を製造する。
而して、この鉄系合金は勿論上記の特定の夫々の含有量
から成るFe、Ti、Oの成分組成から成り、TiとO
の含有量の割合は、図1の斜線で示す範囲内で得られ
る。茲で、注目すべきは、後記する本発明の鉄系合金
と比較用鉄系合金粉末とを800℃以上の高温域で加
熱加圧成形処理した比較試験結果から明らかなように、
特に、鉄系合金中のTiおよびOの含有量と両者の含有
量の割合が図1の斜線で示す範囲内でなければ、母相の
平均結晶粒径が1μm未満であり、3%以上の伸びとビ
ッカース硬さ300以上の強度を有する実用上優れた鉄
系構造材料が得られないことである。 【0007】本発明は、図1に斜線で示す範囲内の配合
組成割合でTiとOを含有し且つ平均粒径1μm未満の
鉄系合金粉末を製造した後、これを用い鉄系構造材料を
製造するために、これを加熱昇温し、焼結処理やHIP
処理などにより800℃〜1150℃の高温域で加熱固
化成形したとき、その昇温途中で非常に微細な粒径0.
01〜0.3μmのチタン系酸化物が上記の特定の範囲
内のTi−Oの配合組成割合に基づいて析出するため、
その1μm未満の平均結晶粒径が数μm〜数10μmに
粗大化することが防止され、その結果、母相の平均結晶
粒径は1μm未満の超微細組織から成る優れた強度と伸
びを有する鉄系合金構造材料が得られる。これに対し、
後記の比較試験により明らかにするように、本発明にお
いて特定する上記の配合組成を有する鉄系合金粉末とは
異なり、TiおよびOの配合組成割合が図1に斜線で示
す範囲外で含有する配合組成の鉄系合金粉末を用いて上
記と同じ800℃以上の温の条件で加熱加圧成形して
鉄系構造材料を製造した場合は、上記の特定の範囲外の
Ti−Oの配合組成割合であるため、本発明が目的とす
る上記の所要の母相平均結晶粒が1ミクロンm未満
である強度と伸びの両特性の優れた鉄系構造材料は得ら
れないことが判った。こゝで、チタンは、鉄に対してA
3 変態点を上昇させA4 変態点を下降させるγループ型
の状態図を生成する元素であり、高温域で母相を体心立
方構造の鉄固溶体に安定化させる効果がある。 【0008】尚、Fe材には、Si、Mn、P、Sなど
の不可避的不純物を微量に含んでも何等差支えない。ま
た、Fe材は、炭素を含有する場合があるが、高温域で
体心立方構造の鉄固溶体が安定で且つ上述のチタン系酸
化物の析出を妨げない範囲の含有量であれば、これを含
んでも何等差支えない。これらの点を考慮すると、Fe
材中の炭素量は0.3wt.%未満とすることが好まし
い。また、O材として固体のO材に代え、気体酸素或い
は酸素とアルゴン又はヘリウムの混合気体を使用する場
合は、配合物を密閉容器に入れこれらの気体を注入し、
Fe材やTi材とをメカニカルミリング処理する際にこ
れらに結合させてその所定量を含有させるようにする。 【0009】このように、本発明の鉄系構造材料の製造
法によれば、上記の特定の配合物を調製し、これをメカ
ニカルミリング法などの圧砕手段により、平均結晶粒径
1μm未満に超微細化され且つ合金化されたTi−Oの
組成成分量が図1の斜線で示す範囲内である鉄系合金
を得た後、この鉄系合金粉末を焼結、HIP処理など
により800〜1150℃の高温域で固化成形するとき
は、その加熱の初期段階で上記の超微細なチタン系酸化
物を析出させることができるので、上記の加熱処理中に
母材の超微細組織の粗大化を抑制し、母相の平均結晶粒
径1μm未満である強度および延性の両特性に優れた鉄
系構造材料が得られる。圧砕手段、メカニカルミリ
ング法に限定するものではなく、平均結晶粒径1μm未
の超微細化と合金化をなし得る任意の圧砕手段を採用
できる ゝで重要なことは、上記の鉄系合金として
予め、図1に斜線で示す範囲内の配合割合でTi元素お
よびO元素を配合してあり、且つ残部Feから成る配合
物を圧砕処理して平均結晶粒径1μm未満であり且つ図
1に斜線で示す範囲内のTi−Oの配合組成成分を有す
る鉄系合金粉末とし、上記のように800℃以上の高温
域で加熱燒結成形するとき、上記の超微細な粒子から成
るチタン系酸化物が析出するので、その母相平均結晶
粒径1μm未満に抑制することができることが判っ
。多くの実験によれば、700℃〜850℃(時効処
理)でチタン系酸化物の析出が生ずるので、生産効率を
高めるため、0℃〜1150℃の高温域加熱し、
燒結成形するとき、その昇温過程で上記のチタン酸化物
析出し、母相である1μm未満の結晶粒の粗大化を抑
制できると共に、燒結が行われ、成形品として母相の平
均結晶粒径が1μm以下の超微細組織を有する良好な強
度および延性をもつ鉄系構造材料が得られる。 【0010】実施例 次に本発明の具体的な実施例を詳述する。本発明鉄系合
粉末の製造: Fe材として純鉄粉末(神戸製鋼株式会社製ファインア
トメル300NH)、Ti材として純Ti粉末(住友シ
チックス株式会社製TILOP150)、O材としてF
2 3 を選択し、これらを下記表1に示すようにTi
成分およびO成分の添加量(配合量)を図1に黒点で示
す配合比となるように配合し、その夫々に残部Feを配
合し、同表に示す目標とする12種類の鉄系合金の化学
組成を夫々有する粉状の配合物A,B,…Lを調製し、
その夫々の配合物A,B,…Lについて、これを、鋼製
の例えばSUS304の容器内に同製のボールと共に該
配合物粉末と該ボールの重量費が1:10となるように
入れ、アルゴン雰囲気中で遊星ボールミルによりこれら
混合物の夫々の結晶粒径の超微細化処理と合金化処理を
行うメカニカルミリングを100時間行い、夫々の本発
明の鉄系合金粉末A,B,…Lを製造した。このように
して得た12種類の鉄系合金粉末の構成相をX線回折法
により評価したところ、いずれも均質な体心立方構造で
ある鉄固溶体であり、また、表1に示す配合物の化学組
成と変わらない化学組成から成り、図1における斜線で
囲む範囲内の黒点で示す夫々の本発明の鉄系合金粉末
得られていることを確認した。また、走査型電子顕微鏡
(SEM)により母相の組織観察した所、いずれも平均
結晶粒径は0.1μm未満であった。 【0011】 【表1】 【0012】本発明の鉄系構造材料の製造: 次に、上記の製造法により得た夫々の粉状の本発明鉄系
合金A,B,…Lについて真空加圧焼結を施した。即
ち、夫々の各本発明合金をグラファイト製の角柱状型内
に充填し上下から加圧した状態で真空容器内に収容し、
1×10-5トールの真空下で、下記表2に示す条件で焼
結処理した。即ち、先ず加圧した状態で時効温度850
℃で30分加熱して超微細なチタン系酸化物を析出せし
めた後、引続き更に昇温し、焼結温度1000℃および
1100℃で30分加熱して本発明の鉄系構造材料A,
B,…Lを製造した。このようにして得た本発明の鉄系
構造材料について表2に示す夫々の合金の成分組成から
成ることを確認した。図2は、上記の本発明の鉄系構
材料のうち、鉄系合金組成Fe−3Ti−0.5Oから
成る鉄系構造材料BのSEM写真による組織図を示す。
その合金母材の1μm未満の組織中には、結晶粒径が
0.03μm程度の超微細なチタン系酸化物の析出が観
察された。上記の全ての鉄系構造材料A,B,…Lは、
表2に示すように、その母相組織の平均結晶粒径は、上
記の加熱処理後でも1μmより遥かに小さい0.22μ
m〜0.86μmの範囲であった。また、鉄系構造材料
Kから明らかなように、1100℃の高温に加熱されて
も、その平均結晶粒径は、0.75μmと1μmより遥
かに小さく、優れた強度と伸びを保持した製品が得られ
ることが判る。 【0013】 【表2】【0014】上記の各々の本発明合金から成る鉄系構造
材料A,B,…Lについて、その析出物を確認するた
め、1200℃まで昇温加熱してその析出物を1μm程
度にまで粗大化させ、X線回折法により構成相を評価し
たところ、Ti2 3 の回折ピークが認められた。この
ことから、これらの析出物はチタン系酸化物であること
を確認したが、1100℃までの加熱時に観察される
0.1μm未満の超微細析出物については、Ti2 3
以外のチタン系酸化物、即ち、Ti2 O,TiO,Ti
3 5 ,TiO2 、或いはFeを含有するTi−Fe−
O複合酸化物などである可能性もある。また、これらの
超微細析出物は母相である体心立方構造のTi−Fe−
O固溶体と特定の結晶方位関係を有すると予測される。
超微細なチタン系酸化物の厳密な同定および母相との結
晶方位関係については、今後更に検討を要する。 【0015】鉄系構造材料A,B,…Lにつきビッカー
ス硬さの測定と、平行部径4mm、標点間距離16mm
の引張試験片を加工し、クロスヘッド変位0.5mm/
minで常温引張試験を実施し伸び値を測定した。その
結果は、夫々表2に示す通りであった。即ち、これらの
鉄系構造材料は、いずれも、そのビッカース硬さは鉄系
構造材料として実用に適した300を遥かに越え、ま
た、その伸びは、3%を遥かに越える優れた強度と良好
な延性を有する鉄系構造材料が得られることが判った。 【0016】比較例 比較用鉄系合金粉末の製造: 上記実施例と同じFe材、Ti材、O材を用い、下記表
3に示すように、Ti成分とO成分の添加量(配合量)
を図1において本発明の配合物の化学組成範囲外にある
白点で示す配合比となるように配合し、その夫々に残部
Feを配合し、同表に示す目標とする9種類の鉄系合金
の化学組成を夫々有する粉状の配合物M,N,…Uを調
製した以外は、実施例と同じメカニカルミリング法の条
件で超微細化と合金化を行い、下記表3に示す9種類の
比較用鉄系合金粉末M,N,…Uを製造した。 【0017】 【表3】【0018】比較用鉄系構造材料の製造: 上記の製造法により得た9種類の鉄系合金粉末M,N,
…Uについて、上記実施例と同じ条件で時効処理と引続
いて焼結処理を全て1000℃で行い、比較用鉄系構造
材料M,N,…Uを製造した。その夫々について、同様
に成分分析を行い、下記表4に示す成分組成を確認し
た。また、SEMによりその母相組織を観察した。ま
た、更に、上記と同じ方法でビッカース硬さおよび伸び
を測定した。但し、鉄系構造材料Mについては、母相の
平均結晶粒径は35μmで、ビッカース硬さ66であり
問題外であったため、伸びの測定は行わなかった。その
結果を表4に示す。 【0019】 【表4】 【0020】上記表4から明らかなように、鉄系合金粉
末のTi−Oの配合組成割合が本発明が特定する上記の
範囲外であるので、比較用鉄系構造材料N,Oのように
ビッカース硬さおよび伸びの両者とも本発明の目的とす
る所要の値に達しないか構造材料P,Q,R,S,T,
Uのように、ビッカース硬さが300以上あっても、伸
びが3%以下であるか、少なくともいずれか一方の特性
を満足しない製品が得られた。 【0021】本発明者は、種々の試験研究の結果、Fe
材を主体とし、これにTiと酸素(O)を配合し3成分
から成る配合物を調製するに当たり、Ti成分と酸素成
分の含有量の割合を、図1に示す斜線の範囲に含まれる
ように配合し、残部Feから成る配合物を調製する。即
ち、Ti:3〜6wt.%、O:0.1〜1.5wt.
%の範囲であって、且つ、TiとOの配合割合を、上限
(0.2×Tiwt.%+0.3)wt.%、下限
(0.3×Tiwt.%−1.2)wt.%の関係を満
たす図1に斜線で示す範囲内とし、残部Feからなるよ
うに配合した配合物を調製且つこれらの配合物の合
金化および平均結晶粒径1μm未満の超微細化を行い、
得られたTiとOが図1に斜線で示す配合組成から成る
鉄系合金粉末を用いて、800℃〜1150℃の高温域
で加熱燒結成形処理して鉄系構造材料を生産するので
母相の平均結晶粒径が1μm未満の超微細な組織が維持
された優れたビッカース硬さ300以上で且つ伸び3%
以上を有する鉄系構造材料を高能率に且つ確実に得られ
ることが判った。また、加熱温度が1200℃を越える
とチタン酸化物の粒径が0.3μmを越えるので、母材
の組織の粒の成長抑制効果が得られなくなる嫌いがある
ので、高温の上限を1150℃とすることが好ましい
とが判った。これに対し、配合物中のTiおよびOを図
1に示す特定範囲を逸脱して含有する場合は、これを用
いて同じ800〜1150℃の高温域加熱しても目的
とするビッカース硬さ300以上で且つ延び3%以上
もつ構造材料が得られないことが判った。この理由は未
だ充分解明していないが、Ti−Oの配合組成の割合が
上記特定の範囲外であるので、析出すべきチタン系酸化
物の析出量が少なかったり、TiとFeの金属間化合物
を生成し易くなるなどの結果と思われる。 【0022】 【発明の効果】このように請求項1に係る発明によれ
ば、Ti−Oの配合組成割合を図1に示す特定範囲内に
特定した範囲内で含有し、残部Feから成る配合物と
し、且つこれを圧砕手段により平均結晶粒径が1μm未
満となる鉄系合金粉末に調製し、これを800℃〜11
50℃の高温域で加熱したので、従来の鉄系構造材料で
は得られない新規な鉄系構造材料、即ち、母相の平均結
晶粒径が1μm未満である超微細組織から成ると共に
ッカース硬さ300以上で且つ伸び3%以上を有する鉄
系合金構造材料が得られる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の鉄系構造材料の製造原料であるFe
−Ti−Oの3成分から成る配合物中のTiとOの配合
量の関係を示すグラフ。 【図2】 本発明の鉄系構造材料の1例のSEM写真に
よる組織図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04C 3/04 E04C 3/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 Ti:3〜6wt.%、O:0.1〜
    1.5wt.%の範囲であって、且つTiとOの配合割
    合を、上限(0.2×Tiwt.%+0.3)wt.
    %、下限(0.3×Tiwt.%−1.2)wt.%の
    関係を満たす図1に斜線で示す範囲内とし、残部Feか
    ら成るように配合し、この配合物を圧砕手段により平均
    結晶粒径が1μm未満となるように超微細化を行うと共
    に合金化を行い、TiとOの含有量の割合が図1におけ
    る斜線で示す範囲内であり、残部Feから成る鉄系合金
    粉末を製造し、次いで、この鉄系合金粉末を800〜1
    150℃の高温域で加熱し、粒径0.01〜0.3μm
    のチタン系酸化物を析出させると共に燒結成形すること
    を特徴とする鉄系構造材料の製造法。
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JP2007217742A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Seiko Epson Corp 焼結体の製造方法および焼結体

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