JP3498513B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法

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JP3498513B2
JP3498513B2 JP01521997A JP1521997A JP3498513B2 JP 3498513 B2 JP3498513 B2 JP 3498513B2 JP 01521997 A JP01521997 A JP 01521997A JP 1521997 A JP1521997 A JP 1521997A JP 3498513 B2 JP3498513 B2 JP 3498513B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール性水酸
基、及び芳香族ポリカーボネート樹脂の主鎖構造を破壊
しない条件下で除去可能な保護基で保護されたフェノー
ル性水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(芳香族ポリエステルカーボネート樹脂も含む)
の製造方法、および、分岐度の高い芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の製造方法に関する。本発明の実施により得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂は、中空容器成形材
料、光ディスク基盤成形材料、電気部品の封止材料、光
学レンズ材料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明非
晶性、熱可塑性、溶液塗布性、優れた機械的物性、耐熱
性、多種材料との密着性等の優れた特徴を生かした機能
性用途、例えばカメラや眼鏡用レンズ、自動車のヘッド
ランプカバー、光ディスクやコンパクトディスクのよう
な用途に用いられる透明構造材料、あるいは電子写真感
光体等のバインダーのような機能性低分子化合物の支持
媒体としての用途が広がりつつある。
【0003】これらの用途において、樹脂は、静電防止
効果、電荷輸送効果、化学結合エネルギーを熱エネルギ
ーへ変換する蓄熱機能、蛍光能、金属や無機物等の種々
の物質との密着性、光ディスク等の光学透明材料として
求められる複屈折の低減効果等が要求される。これらの
要求性能を満たすのに芳香族ポリカーボネート樹脂の分
子鎖中に機能性官能基の導入反応に使用可能な反応性官
能基、例えば水酸基、チオール基、アミノ基、イミノ
基、ハロゲン化メチル基、カルボキシル基、エステル
基、アミド基、ニトリル基、オキサゾリニル基、酸無水
物基、ピリジニル基、ビニル基、アリル基、あるいは適
当な保護基で保護されたこれらの官能基等が存在してい
ることが好ましい。
【0004】ビスフェノール化合物と炭酸ジエステルと
を溶融重縮合させて分子両末端にフェノール性水酸基を
有する線状芳香族ポリカーボネート樹脂を製造すること
は理論上可能である。しかし、この線状芳香族ポリカー
ボネート樹脂のフェノール性水酸基濃度は、理論的にも
最大2/Mn(但しMnは数平均分子量)を越えないた
め機能付与の点で限界があるばかりか、末端基数を上昇
させるべく得られる樹脂の分子量を抑制した場合には得
られる樹脂の曲げ強度、引張強度等の機械的物性が極端
に低く実用的でなく、又、高末端フェノール化を目指し
た場合に分子量の制御が容易でなく、かつ、得られる芳
香族ポリカーボネート樹脂が着色し易い。よって、通常
は、フェノール性水酸基濃度は30%以下の芳香族ポリ
カーボネート樹脂が実用化されている。
【0005】芳香族ポリカーボネート樹脂の単位分子量
当たりの末端基数を大きくする従来技術としては、3官
能以上の多官能モノマー、例えば1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノール
あるいは、トリメリット酸等の多価カルボン酸を分岐剤
として用い、これとビスフェノール化合物とホスゲンと
を反応させて、またはこの分岐剤とビスフェノール化合
物と炭酸ジエステルとを反応させて分岐した芳香族ポリ
カーボネート樹脂を製造することは知られている(例え
ば特公平3−15658、特開平5−271400各号
公報)。
【0006】かかる分岐を有する芳香族ポリカーボネー
ト樹脂は、従来主にブロー成形等の低いせん断速度での
高い溶融粘度を要する用途を念頭に置いて開発されてき
た。しかし、分岐剤の量を増加させようとしても、これ
がある量[通常数モル%程度]を越えると分岐と同時に
起こり得る架橋の割合も増加するので、分岐剤を多く加
える割には分岐鎖末端基数を増加させられないばかり
か、極端な場合にはゲルを生成し、熱可塑性や溶剤溶解
性を大きく損なう欠点があった。
【0007】更に、末端停止剤としてp−t−ブチルフ
ェノール等の一価フェノール類を用い、これを前述のビ
スフェノール化合物、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと
共に反応させて分子末端がp−t−ブチルフェノール等
の一価フェノール類で封止された芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を得る方法が提案されている。かかる末端基の結
合様式は芳香族ポリカーボネート樹脂の高分子主鎖構造
と化学的性質が極めて類似している。従って、ポリカー
ボネート樹脂の製造後、該主鎖構造を破壊することなく
かかる末端基のみを酸を用いて除去してフェノール性水
酸基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を生成せしめ
ることは事実上不可能であった。一方、特殊な結合様式
として、例えばエステル結合により末端基を導入してそ
の熱安定性や溶融流動性を改良する例が、特開昭63−
48331号、同63−51429号および特開平5−
9283号、特許第2564565号公報に開示されて
いるが、エステル結合を除去する条件下では該樹脂の高
分子主鎖構造はやはり通常破壊されるため、かような場
合でも末端基の除去によりフェノール性水酸基を生成せ
しめることは事実上不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1は、反応性
官能基が導入された芳香族ポリカーボネート樹脂(芳香
族ポリエステルカーボネート樹脂も含まれる)の製造方
法の提供を目的とする。本発明の2は、分子末端フェノ
ール性水酸基濃度の高い芳香族ポリカーボネート樹脂の
製法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の1は、一般式
(I)で示されるフェノール性水酸基の少くとも1つが
保護基Xにより保護された多官能性化合物
【0010】
【化2】(XO−)n RY1 2 (I)
【0011】[式中、Xはフェノール性水酸基の保護基
を、Rは芳香族環を含む有機残基を、nは1、2、3ま
たは4のいずれかの自然数を示す。また、Y1 及びY2
は共にRの芳香族環に結合する官能基であり、共にフェ
ノール性水酸基(−OH)を示す。]を0.1〜100
モル%の割合で含有するビスフェノール化合物と、ホス
ゲンまたは炭酸ジエステル、必要により末端停止剤を反
応させて重量平均分子量(Mw)が5,000〜10
0,000、フェノール性水酸基の一部が保護基Xによ
り保護された芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方
法を提供するものである。本発明の2は、上記で得た芳
香族ポリカーボネート樹脂の保護基Xを酸により取り除
き、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の数平均分子
量をMn、末端停止剤濃度tモル/g、及びフェノール
性水酸基濃度をpモル/gとしたとき、
【0012】
【数3】1.01×2/Mn<(t+p)
【0013】の条件を満たす芳香族ポリカーボネート樹
脂を製造する方法を提供するものである。
【0014】
【作用】保護基Xとしてアルカリにより分解されないマ
スク剤を用いることにより重縮合反応を安定に行うこと
ができる。又、保護基Xが官能基を有するときは、得ら
れた芳香族ポリカーボネート樹脂は、水酸基以外の反応
性官能基を有するものとなる。更に、得られた芳香族ポ
リカーボネート樹脂の前記保護基Xを酸により解離して
フェノール性水酸基に戻すことができ、フェノール性水
酸基濃度の高い、反応性に富んだ芳香族ポリカーボネー
ト樹脂となる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の芳香族ポリカーボネート
樹脂は、原料として式(I)で示されるフェノール性水
酸基の少くとも1つが保護基Xにより保護された多官能
性化合物
【0016】
【化3】(XO−)n RY1 2 (I)
【0017】[式中、Xはフェノール性水酸基の保護基
を、Rは芳香族環を含む有機残基を、nは1、2、3ま
たは4のいずれかの自然数を示す。また、Y1 及びY2
は共にRの芳香族環に結合する官能基であり、共にフェ
ノール性水酸基(−OH)を示す。]を用いる以外は、
従来の界面重合法、エステル交換法により製造される。
また、その高分子主鎖は直鎖状でも分岐を有するもので
あっても良い。更に、原料として芳香族ジカルボン酸誘
導体、芳香族モノカルボン酸誘導体を添加して芳香族ポ
リエステルカーボネート樹脂とすることもできる。
【0018】保護基Xを有する多官能性化合物:
(I)で示される多官能性化合物
【0019】
【化4】(XO−)n RY1 2 (I)
【0020】[式中、Xは保護基を、Rは芳香族環を含
む有機残基を、nは1、2、3、4のいずれかの自然数
をそれぞれ表わす。また、Y1 及びY2 は共にR中の芳
香族環に結合する官能基であり、該樹脂が芳香族ポリカ
ーボネートの場合は共にフェノール性水酸基を示す。]
において、Rで表される芳香族環を含む有機残基とは、
単一の芳香族環、複数の芳香族環が炭素−炭素単結合で
連結した構造、あるいは複数の芳香族環が任意の非芳香
族構造で連結された構造を意味し、これらは、本発明の
効果を妨害しない限りにおいてアルキル基やハロゲン原
子等の任意の置換基を結合していても良い。ここで任意
の非芳香族構造としては、一般式−(CH2 n −(n
は自然数)で表される任意の炭素数のメチレン鎖、かか
るメチレン鎖の任意の位置にメチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル
基、ステアリル基等の任意のアルキル基が結合したアル
キル鎖、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペ
ンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シク
ロオクタン環、シクロデカン環、ノルボルネン環、アダ
マンタン環、フルオレン環等の任意の炭素数及び環数の
脂環、かかる脂環の任意の位置に上記の任意のアルキル
基を有する脂環、エーテル基、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等のポリエーテル基、ケトン基等の炭素及び酸
素原子よりなる構造、−CH=CH−、−CF=CH
−、−CCl=CH−、−CF=CF−等の炭素−炭素
二重結合及びその共役連鎖、炭素−炭素三重結合(−C
≡C−)及びその共役連鎖、一般式−(SiR2 n
(Rは任意のアルキル基又はアリール基、nは自然数)
で表される任意の長さの有機シラン鎖、ジメチルシロキ
サン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサ
ン等一般式−(O−SiR2 n −(Rは任意のアルキ
ル基又はアリール基、nは自然数)で表される任意の長
さのシロキサン鎖等が例示される。
【0021】上記の単一の芳香族環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環等の炭素
原子のみからなる芳香族環、ピリジン環、キノリン環等
の窒素原子を含む芳香族環等が例示される。上記の複数
の芳香族環が炭素−炭素単結合で連結した構造として
は、ビフェニル、1,3,5−トリフェニルベンゼン、
ビナフチル、ビアントラセニル、ビピリジル等の同一の
2つの芳香族環が結合した構造、1−フェニルナフタレ
ン、2−フェニルナフタレン、1,4−ジフェニルナフ
タレン、1,6−ジフェニルナフタレン等の異種芳香族
環が結合した構造が挙げられる。
【0022】上記の複数の芳香族環が任意の非芳香族構
造で連結された構造としては、ジフェニルメタン、1,
1−ジフェニルエタン、1,2−ジフェニルエタン、ト
リフェニルメタン、,1,1,1−トリフェニルエタ
ン、1,1,2−トリフェニルエタン、2,2−ジフェ
ニルプロパン、1,3−ジフェニル−2−メチルプロパ
ン、1,3,4,5−テトラフェニルネオペンタン等の
アルキル基を有する構造、1,3−ジフェニルシクロペ
ンタン、1,3−ジフェニルシクロヘキサン、1,4−
ジフェニルシクロヘキサン、2,2−ジフェニルノルボ
ルネン、2,2−ジフェニルアダマンタン、9,9−ジ
フェニルフルオレン、1,3,5−トリフェニルシクロ
ヘキサン等の脂環を有する構造、ジフェニルエーテル、
フェニルナフチルエーテル、ジナフチルエーテル、,
1,3,5−トリス(ベンジルオキシ)ベンゼン等のエ
ーテル基を有する構造、α,ω−ジフェニルポリエチレ
ングリコール、α,ω−ジフェニルポリテトラメチレン
グリコール等のポリエーテル鎖を有する構造、ベンゾフ
ェノン、アントラキノン等のケトン基を有する構造、ジ
フェニルビニレン、1,1−ジフェニル−1−クロロエ
テン、1,2−ジフェニル−1−クロロエテン、1,2
−ジフェニル−1,2−ジクロロエテン、ジフェニルア
セチレン、1,2−ジフェニルブタジエン、1,3−ジ
フェニルブタジエン、1,4−ジフェニルブタジエン、
1,4−ジフェニルブタジエン等の不飽和炭素−炭素結
合を有する構造、ジフェニルシラン、1,1−ジフェニ
ルジシラン、1,2−ジフェニルジシラン等のシラン鎖
を有する構造、α,ω−ジフェニルポリジメチルシロキ
サン等のシロキサン鎖を有する構造等が挙げられる。
【0023】これらの芳香族環を含む有機残基Rの具体
例のうち、単一の芳香族環はフェノール性水酸基を多く
含む場合には一般式(I)のモノマーの耐酸化性や反応
性を悪くする場合があるので、ビフェニル、1,3,5
−トリフェニルベンゼン、ビナフチル等の複数の芳香族
環が炭素−炭素単結合で連結した構造、あるいは、トリ
フェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン等の
アルキル基を有する構造、1,4−ジフェニルシクロヘ
キサン、2,2−ジフェニルノルボルネン、2,2−ジ
フェニルアダマンタン、1,3,5−トリフェニルシク
ロヘキサン等の脂環を有する構造、ジフェニルエーテ
ル、1,3,5−トリス(ベンジルオキシ)ベンゼン等
のエーテル基を有する構造、α,ω−ジフェニルポリエ
チレングリコール等のポリエーテル鎖を有する構造、ジ
フェニルビニレン、ジフェニルアセチレン等の不飽和炭
素−炭素結合を有する構造、α,ω−ジフェニルポリジ
メチルシロキサン等のシロキサン鎖を有する構造等の複
数の芳香族環が任意の非芳香族構造で連結された構造等
がより好適で、中でもトリフェニルメタン、1,1,1
−トリフェニルエタン等のアルキル基を有する構造は、
化学的安定性や調製の容易さから最も好適である。但
し、かかる有機残基Rは、一般式(I)においてすべて
の官能基(XO−、Y1 、及びY2 )をその芳香族環に
直接結合していなければならない。
【0024】一般式(I)においてXO−で表される保
護されたフェノール性水酸基の構造は、本第一発明の樹
脂の重合条件下で安定に存在し、その後該樹脂の主鎖構
造を破壊しない条件下で除去できるものである限りにお
いて制限はない。XO−なる構造としては、例えば公知
の界面重合法又はピリジン法を採用する場合には、メト
キシメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、メチル
チオメチルエーテル、t−ブチルエーテル、テトラヒド
ロピラニルエーテル、トリメチルシリルエーテル、イソ
プロピルジメチルシリルエーテル、イソブチルジメチル
シリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、
アリルエーテル等のエーテル結合、t−ブチルカーボネ
ート、t−ペンチルカーボネート、t−ヘキシルカーボ
ネート、t−ヘプチルカーボネート、t−オクチルカー
ボネート、t−ノニルカーボネート、t−デシルカーボ
ネート等の三級炭素が酸素原子に結合したアルキルカー
ボネート結合、イソプロピルカーボネート、イソブチル
カーボネート、イソペンチルカーボネート、イソヘキシ
ルカーボネート、イソヘプチルカーボネート、イソオク
チルカーボネート、イソノニルカーボネート、イソデシ
ルカーボネート等の二級炭素が酸素原子に結合したアル
キルカーボネート結合、n−ブチルカーボネート、n−
プロピルカーボネート、エチルカーボネート、メチルカ
ーボネート等の一級炭素が酸素原子に結合したアルキル
カーボネート結合、特に2つのフェノール性水酸基が隣
接している場合にはアセトン、シクロヘキサノン、ベン
ゾフェノン等のケトン類によるケタール構造等や環状ボ
レート(ホウ酸エステル)等、該重合法に用いられるア
ルカリ水溶液、アミン触媒、ピリジン等との接触に室温
近傍で比較的安定でかつ室温近傍の酸性条件で脱保護可
能な構造、あるいはベンジルエーテル、ベンジルカーボ
ネート等の接触還元により脱保護可能な構造が使用可能
である。このうちエトキシエチルエーテル、メトキシメ
チルエーテル等のエーテル結合、t−ブチルカーボネー
ト、t−ペンチルカーボネート、t−ヘキシルカーボネ
ート等の三級炭素が酸素原子に結合したアルキルカーボ
ネート結合、イソプロピルカーボネート、イソブチルカ
ーボネート、イソペンチルカーボネート、イソヘキシル
カーボネート等の二級炭素が酸素原子に結合したアルキ
ルカーボネート結合、2つのフェノール性水酸基が隣接
している場合にはアセトン、シクロヘキサノン等のケト
ン類によるケタール構造や環状ボレート(ホウ酸エステ
ル)等がより好ましく用いられ、エトキシエチルエーテ
ル等のエーテル結合、t−ブチルカーボネート、t−ペ
ンチルカーボネート、t−ヘキシルカーボネート等の三
級炭素が酸素原子に結合したアルキルカーボネート結合
が更に好ましく用いられ、中でもt−ブチルカーボネー
ト(保護基Xとしてはt−ブチルオキシカルボニル基)
とエトキシエチルエーテル(保護基Xとしてはエトキシ
エチル基)が最も好ましい。
【0025】一方、公知の溶融重合法を採用する場合に
は、メトキシメチルエーテル、エトキシエチルエーテ
ル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルエーテル等の
エーテル結合、特に2つのフェノール性水酸基が隣接し
ている場合にはアセトナイド等のケタール構造等、該重
合に使用される高温での求核攻撃条件下でも比較的安定
でかつ室温近傍の酸性条件または接触還元により脱保護
可能な構造が使用可能である。このうち、熱安定性の点
でベンジルエーテルが最も好ましい。なお、複数種のX
O−構造が一般式(I)で示される保持されたフェノー
ル性水酸基を有するモノマーに含まれていても構わな
い。また、本発明に使用できないXO−構造としては、
エステル結合、芳香族カーボネート結合が挙げられる。
【0026】一般式(I)に示されるモノマーにおい
て、自然数nは、保護されたフェノール性水酸基(XO
−)の数を表わすが、これは1、2、3、又は4である
必要がある。nが4を超えると、該モノマー中のXO−
基が多すぎ、本発明の目的である機能性構造の導入反応
における立体障害となり、該導入反応を制御できなくな
る場合がある。従って、より好ましいnの値としては
1、2、又は3、最も好ましくは1又は2である。
【0027】好適な保護されたフェノール性水酸基を有
する多官能性化合物を、保護基Xを除いた形で例示する
と、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−n−
プロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−n−ブタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)−n−ペンタン、1,1,1−トリス(4
−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、トリス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1
−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−n−プロパン、1,1,1−トリス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、1,
1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−n−ペンタン、1,1,1,−トリス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、トリス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−n−プロパ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)−n−ブタン、1,1,1−トリス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−n−
ペンタン、1,1,1,−トリス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、トリス(3
−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,
1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エ
タン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)−n−プロパン、1,1,1−トリス(3
−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、
1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)−n−ペンタン、1,1,1,−トリス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、トリ
ス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)−n−プロパン、1,1,1−ト
リス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−n−ブ
タン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)−n−ペンタン、1,1,1,−トリス
(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサ
ン、2,2−ビス{4′,4′−ビス(4″−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキシル}プロパン、α,α′,
α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5
−トリイソプロピルベンゼン、1,3,5−トリス
(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、トリス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、フログルシン、
1,3,5−トリヒドロキシナフタレン、1,3,6−
トリヒドロキシナフタレン、1,3,7−トリヒドロキ
シナフタレン、1,3,8−トリヒドロキシナフタレ
ン、1,4,5−トリヒドロキシナフタレン、1,4,
6−トリヒドロキシナフタレン、1,4,7−トリヒド
ロキシナフタレン、1,4,8−トリヒドロキシナフタ
レン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)アミン等の3
つのフェノール性水酸基を有する化合物;
【0028】テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,3,4,5−テトラキス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ネオペンタン、1,3,5,7−テトラヒドロ
キシナフタレン、1,4,5,8−テトラヒドロキシナ
フタレン等の4つのフェノール性水酸基を有する化合
物;
【0029】トリス(4−ヒドロキシフェニル)(4−
カルボキシフェニル)メタン、1,3,4−トリス(4
−ヒドロキシフェニル)−5−(4−カルボキシフェニ
ル)ネオペンタン、3,5,7−トリヒドロキシ−1−
ナフタレンカルボン酸、4,5,8−トリヒドロキシ−
1−ナフタレンカルボン酸、3,5,7−トリヒドロキ
シ−2−ナフタレンカルボン酸、4,5,8−トリヒド
ロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等の3つのフェノー
ル性水酸基と1つのカルボキシル基を有する化合物、
3,5−ビス(3,5−ジヒドロキシベンジルオキシ)
安息香酸、2,5−ビス(3,5−ジヒドロキシベンジ
ルオキシ)安息香酸等の4つのフェノール性水酸基と1
つのカルボキシル基を有する化合物、5−{3,5−ビ
ス(3,5−ジヒドロキシベンジルオキシ)ベンジルオ
キシ}イソフタル酸等の4つのフェノール性水酸基と2
つのカルボキシル基を有する化合物、及び、ここに列挙
した化合物のうちカルボキシル基を有するものについて
該カルボキシル基の1つ又は複数個をメチルエステルや
エチルエステル等のエステル基、酸塩化物等の酸ハロゲ
ン化物基、あるいは酸無水物基に変換した化合物等が挙
げられる。
【0030】これらのうち、トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、α,α′,α″−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベン
ゼン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゼン等の3つのフェノール性水酸基を有する化
合物が保護基の導入反応や重合反応の制御のし易さの点
で好適に使用され、中でも、1,1,1−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、3,5−ジヒドロキシ安
息香酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の3官能化合物
はより好適であり、1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン等のアルキル基上に3つの4−ヒド
ロキシフェニル基を結合した化合物は最も好適である。
なお、複数種の一般式(I)に示される保護されたフェ
ノール性水酸基を有する化合物を使用しても構わない。
【0031】上記の様々な保護基とモノマーの組み合わ
せの中でも、保護基の導入反応や重合反応の制御におい
て本発明に最も好適なのは、1,1,1−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン等のアルキル基上に3つの
4−ヒドロキシフェニル基を結合した化合物の水酸基の
1つが、t−ブチルオキシカルボニル基やエトキシエチ
ル基等の酸性条件で脱保護可能な構造で保護されたモノ
マーであり、これは界面重合法において極めて好適に使
用される。
【0032】なお、一般式(I)に示され上記に例示さ
れたような、複数のフェノール性水酸基の一部を保護さ
れた化合物は、保護試剤の当量を制御した反応により生
成し、所望の保護基数を有する目的化合物を分離精製す
る工程が通常必要である。かかる精製の手法に制限はな
く、蒸留、再結晶、昇華、クロマトグラフィ等既知の任
意の手法が使用できる。この式(I)で示される多官能
性化合物は、ビスフェノール化合物中、0.1〜100
モル%、好ましくは1〜100モル%、更に好ましくは
3〜100モル%、最も好ましくは5〜50モル%であ
る。
【0033】ビスフェノール化合物:ビスフェノール化
合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(通称ビスフェノールA)が最も好適かつ
広範に用いられる。これら以外のビスフェノール化合物
としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n
−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−n−デカン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)トル
イルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−
エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−(4−n−プロピルフェニル)メタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−
n−ブチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−(4−ペンチルフェニル)メタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−(4−ヘキシルフェニル)メ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−フルオ
ロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−(2−フルオロフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−(2−クロロフェニル)
メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオ
ロフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テ
トラクロロフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−エチル−
4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−イソブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタ
ン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−
1−フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1−ビス(3−イソブチル−
4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−
フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−
ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)エタン等の中心炭素に水素原子
が結合しているビスフェノール類、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−n−ペンタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ノナ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デ
カン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
フェニルエタン(通称ビスフェノールP)、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−トルイ
ルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1−(4−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−(4−n−プロピルフェ
ニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−(4−イソプロピルフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−n−
ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−(4−ペンチルフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−
ヘキシルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタ
ン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
(4−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−(2−フルオロフェニル)エ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
(2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−テトラフルオロフェニルエタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−テ
トラクロロフェニルエタン等の中心炭素に1つのメチル
基が結合しているビスフェノール類、2,2−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビ
スフェノールC)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3
−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン等の中心炭素に2つのメチル基が結合し
ているビスフェノール類、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタ
ン、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−フェニル−4
−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、
ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1
−ジフェニルメタン等のジフェニルメタン誘導体である
ビスフェノール類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)、1,
1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3
−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等
のシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1
−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン誘導体であるビスフェノ
ール類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フル
オレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス
(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5
−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等
のフルオレン誘導体であるビスフェノール類、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオ
クタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロデカン等のシクロアルカン誘導体であるビスフェノ
ール類、4,4′−ビフェノール等の芳香族環が直接結
合したビスフェノール類、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、ビス(3−イソブチル−4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フルオロ
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−
ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のス
ルホン誘導体であるビスフェノール類、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−エチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−イ
ソブチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)
エーテル等のエーテル結合を有するビスフェノール類、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルフィド、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキ
シフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジフルオロ−
4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のスルフィド結
合を有するビスフェノール類、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−
エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス
(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキ
シド、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)
スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホキシド等のスルホキシド誘導体で
あるビスフェノール類、フェノールフタレイン等のヘテ
ロ原子含有脂肪族環を有するビスフェノール類、ヒドロ
キノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノン等のジヒ
ドロキシベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ
ナフタレン類、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ
−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、1,1
−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)パーフルオロエタン、2,2−ビス
(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフ
ェニル)パーフルオロプロパン等の炭素−水素結合のな
いビスフェノール類等が例示される。
【0034】ホスゲン:ホスゲンとしては、できるだけ
純粋のものがよく、四塩化炭素や塩化メチレン等の不純
物を含有しないものが好ましい。
【0035】炭酸ジエステル:炭酸ジエステルとして
は、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネー
ト、ジ−n−ブチルカーボネート等のビスアルキルカー
ボネート、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボ
ネート、ジ−4−クロロフェニルカーボネート、ジ−4
−ニトロフェニルカーボネート等のビスアリールカーボ
ネート、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カー
ボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネ
ート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、カル
ボジイミダゾール、4−ニトロフェニルクロロフォルメ
ート等の活性化された炭酸誘導体、クロロ蟻酸トリクロ
ロメチル等のホスゲンオリゴマー、末端クロロフォルメ
ート基を有する芳香族ポリカーボネートのオリゴマー、
末端クロロフォルメート基を有する芳香族ポリエステル
カーボネートのオリゴマー等が例示され、ビスフェノー
ル類との反応性を有する限りにおいて特に制限はない
が、溶融重合法ではジフェニルカーボネート等のビスア
リールカーボネートが特に好ましく用いられる。
【0036】任意成分:本発明のポリカーボネートの樹
脂の製造において、式(I)で示される多官能性化合
物、ビスフェノール化合物、ホスゲンまたは炭酸ジエス
テル以外に芳香族ジカルボン酸誘導体やヒドロキシル基
を有するモノカルボン酸、例えば乳酸、リンゴ酸等を共
重合成分として用いて芳香族ポリエステルカーボネート
樹脂とすることができる。又、末端停止剤を反応成分に
添付して得られる樹脂の分子量を調整することもでき
る。更に、フェノール性水酸基を3個以上有する多官能
性ポリフェノールを共重合成分として分岐ポリカーボネ
ート樹脂を得ることができる。
【0037】芳香族ジカルボン酸誘導体とは、芳香族ジ
カルボン酸、あるいはそのカルボキシル基の一方または
両方がエステル、酸ハロゲン化物、酸無水物のいずれか
に変換された化合物を意味し、該樹脂の重合成分である
一般式(I)で示されるモノマーやビスフェノール類に
含まれるフェノール性水酸基との縮合反応性を有するも
のである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸等のベンゼン誘導体、1,
2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフ
タレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン
酸、2,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタ
レンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレン誘導体
等が例示される。特に好ましい芳香族ジカルボン酸誘導
体としては、テレフタル酸、イソフタル酸等のベンゼン
誘導体、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレ
ン誘導体のような芳香族ジカルボン酸、及びこれらのジ
メチルエステルや二酸塩化物が挙げられる。
【0038】フェノール性水酸基を1つ有する芳香族モ
ノカルボン酸誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香
酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸
(サリチル酸)等の安息香酸誘導体、5−ヒドロキシ−
1−ナフタレンジカルボン酸、5−ヒドロキシ−2−ナ
フタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−1−ナフタレ
ンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンジカ
ルボン酸等のナフタレンカルボン酸誘導体等のフェノー
ル性水酸基を1つ有する芳香族モノカルボン酸、該芳香
族モノカルボン酸のメチルエステル等のフェノール性水
酸基を1つ有する芳香族モノカルボン酸エステル、該芳
香族モノカルボン酸に含まれる水酸基をアセチル化した
化合物等が挙げられる。これらのうち、p−ヒドロキシ
安息香酸及びそのメチルエステル、あるいはアセチル化
p−ヒドロキシ安息香酸等のp−ヒドロキシ安息香酸誘
導体が、重合反応性等の理由で最も好ましく用いられ
る。
【0039】末端停止剤として1つのフェノール性水酸
基を有する化合物を使用しても良い。かかる末端停止剤
としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾー
ル、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、
2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノ
ール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチル
フェノール、3,5−ジメチルフェノール、4−エチル
フェノール、4−イソプロピルフェノール、4−n−プ
ロピルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−イ
ソブチルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−
t−オクチルフェノール、ノニルフェノール、4−フェ
ニルフェノール、トリブロモフェノール、4−ドデシル
フェノール、4−ステアリルフェノール等のアルキル
基、アリール基、ハロゲン原子等を有する1価フェノー
ルが挙げられる。また、複数のフェノール性水酸基を有
する化合物、即ち、1,2−ジヒドロキシベンゼン、
1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシ
ベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類、1,2−ナフト
ジオール、1,3−ナフトジオール、1,4−ナフトジ
オール、1,6−ナフトジオール、1,7−ナフトジオ
ール、1,8−ナフトジオール、2,3−ナフトジオー
ル、2,4−ナフトジオール、2,5−ナフトジオー
ル、2,6−ナフトジオール、2,7−ナフトジオール
等のジヒドロキシナフタレン類、ビスフェノールA、ビ
スフェノールP、ビスフェノールC、ビスフェノール
Z、ビスフェノール等に代表される既に例示したビスフ
ェノール類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン等に代表される既に例示した3つのフェノール性水
酸基を有する化合物、テトラキス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,3,4,5−テトラキス(4−ヒド
ロキシフェニル)ネオペンタン、1,3,5,7−テト
ラヒドロキシナフタレン等の既に例示した4つのフェノ
ール性水酸基を有する化合物等において、これらの水酸
基のうち1つを除いた残りすべてを一般式(I)におい
て定義したXO−なる形で保護した化合物は、芳香族ポ
リカーボネート樹脂の好ましい末端停止剤として使用で
きる。なぜならば、かかる保護されたフェノール性水酸
基は、一般式(I)で示されるモノマー中のXO−基と
同様の効果を奏するからである。
【0040】芳香族ポリエステルカーボネート樹脂に
は、前段で述べた1つのフェノール性水酸基を有する化
合物以外に、公知の該樹脂の製造技術で知られている末
端停止剤として、芳香族モノカルボン酸類、あるいはそ
のエステルや酸ハロゲン化物を使用しても良い。かかる
芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、2−メチル
安息香酸、3−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸、
2,3−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香
酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息
香酸、3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安
息香酸、4−エチル安息香酸、4−イソプロピル安息香
酸、4−n−プロピル安息香酸、4−t−ブチル安息香
酸、4−イソブチル安息香酸、4−n−ブチル安息香
酸、4−t−オクチル安息香酸、ノニル安息香酸、4−
フェニル安息香酸、トリブロモ安息香酸、4−ドデシル
安息香酸、4−ステアリル安息香酸等のアルキル基、ア
リール基、ハロゲン原子等を有する安息香酸誘導体等が
代表的なものとして挙げられる。また、複数のフェノー
ル性水酸基と1つのカルボキシル基を有する化合物、即
ち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロ
キシ安息香酸、3,6−ジヒドロキシ−1−ナフタレン
カルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−カ
ルボキシフェニル)メタン、1−(4−カルボキシフェ
ニル)−3,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベン
ゼン等の1つのカルボキシル基と2つのフェノール性水
酸基を有する化合物、トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)(4−カルボキシフェニル)メタン、3,5,7−
トリヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等の3つの
フェノール性水酸基と1つのカルボキシル基を有する化
合物、3,5−ビス(3,5−ジヒドロキシベンジルオ
キシ)安息香酸等の4つのフェノール性水酸基と1つの
カルボキシル基を有する化合物等において、すべての水
酸基を一般式(I)において定義したXO−なる形で保
護した化合物は、前段の芳香族ポリエステルカーボネー
ト樹脂の末端停止剤に関する記述同様の考え方により、
芳香族ポリエステルカーボネート樹脂の好ましい末端停
止剤として使用できる。
【0041】製造方法:ポリカーボネート樹脂を製造す
る方法としては、例えば、(1)ビスフェノール化合物
のアルカリ金属塩と求核攻撃に対し活性なホスゲンとを
原料とし、生成ポリマーを溶解する有機溶剤とアルカリ
水との界面にて重縮合反応させる界面重合法、(2)ビ
スフェノール化合物と求核攻撃に対し活性な炭酸エステ
ル誘導体とを原料とし、ピリジン等の有機塩基中で重縮
合反応させるピリジン法、(3)ビスフェノール化合物
とビスアルキルカーボネートやビスアリールカーボネー
ト等の炭酸ジエステルとを原料とし、溶融重縮合させる
溶融重合法等の従来から知られているいずれの方法を適
用しても良い。但し、該保護基Xの選択の幅や得られる
樹脂の品質の観点からは、上記の界面重合法が特に好適
である。この場合、該重合法における複数モノマーの共
重合の公知の技術や知見がそのまま適用される。即ち、
当業者に広く知られているホスゲンを炭酸エステル誘導
体として使用する場合に常用される2段階反応におい
て、一般式(I)で示される保護されたフェノール性水
酸基を有するモノマーの一部又は全部を、第1段反応で
あるホスゲンとビスフェノール化合物との接触によりオ
リゴマーを得る反応、又は第2段反応である高分子量化
反応のいずれの段階で添加しても良い。また、ビスフェ
ノール化合物に対するホスゲン、アルカリ、アミン触媒
等の使用量比、反応溶液の濃度、温度や反応時間等も目
的に応じ任意に設定して構わない。
【0042】ポリカーボネート樹脂の精製等の後処理工
程は、保護されたフェノール性水酸基(XO−)が安定
に存在する条件、あるいは該XO−基の一部の脱保護反
応を制御可能な条件である必要がある。例えば、保護基
Xが酸性条件において不安定である場合には、公知の界
面重合法において常用される酸性水溶液との接触(洗
浄)工程の削除、あるいは該水溶液の酸性度の制御等が
要求される。特に保護基Xの除去の度合いを制御して得
られる本第一発明の樹脂は、その溶剤溶解性を制御でき
るので、例えばフォトレジスト用途等に有用である。
【0043】ポリカーボネート樹脂:本発明の第1のポ
リカーボネート樹脂における保護されたフェノール性水
酸基(XO−)の量は、一般式(I)で示されるモノマ
ーやXO−基を有する末端停止剤の重合工程での使用
量、又は重合工程後の適当な後処理工程での保護基Xの
除去反応により制御される。即ち、本第一発明の樹脂
は、重合工程の仕込み原料に含まれるXO−基の全量が
残存する樹脂、及び該XO−基の一部が脱保護された樹
脂の両者を含む。なお、該XO−基の存在は、例えば 1
Hまたは13Cの核磁気共鳴スペクトル(NMR)法によ
り、保護基Xに特有のシグナルを検出することで調べる
ことができる。通常、ビスフェノール化合物中の0.1
〜100モル%、好ましくは1〜100モル%、より好
ましくは3〜100モル%、特に好ましくは5〜50モ
ル%である。
【0044】保護基Xの解離:保護基Xを有するポリカ
ーボネート樹脂は、この樹脂を酸性水溶液と接触させる
ことにより行われる。酸としては、塩酸、硫酸、ベンゼ
ンスルホン酸、p−メチルベンゼンスルホン酸等の強
酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の脂肪酸等
が挙げられる。この第二発明の芳香族ポリカーボネート
樹脂は、数平均分子量をMn、末端停止剤濃度をtモル
/g、及びフェノール性水酸基濃度をpモル/gとした
とき、
【0045】
【数4】1.01×2/Mn<(t+p)
【0046】の式を満たすものである。この関係式、該
樹脂が直鎖状高分子鎖よりなるものと仮定した場合、1
g当たりの末端停止剤モル数(t)とフェノール性水酸
基モル数(p)との和が、1g当たりの総末端基モル数
である2/Mnに係数1.01を乗じたものよりも大き
いことに相当する。
【0047】上記の諸量のうち、末端停止剤濃度tは、
該樹脂中のカーボネート結合をアルカリ加水分解して得
られる生成物を液体クロマトグラフィ(以下LCと略)
等で分析することにより定量できる。また、フェノール
性水酸基濃度pは、塩化メチレンのような良溶媒中に
て、例えば四塩化チタンの添加により生成するフェノー
ル性水酸基錯体の比色定量により求めることができる。
なお該樹脂の重合成分、即ちビスフェノール類、芳香族
ジカルボン酸類、末端停止剤、あるいは3官能以上の分
岐剤等の化学構造は、例えばLC分析においてそれぞれ
の純粋なフラクションを集め、これを核磁気共鳴(NM
R)や赤外吸収(IR)等の分光学的手法、あるいは更
に元素分析や質量分析等を組み合わせることで決定する
ことができる。
【0048】数平均分子量Mnは、高分子主鎖が直鎖状
の場合には総末端濃度(単位はモル/g、以下Tと略)
の逆数に2を乗じて決定される。与えられた芳香族ポリ
カーボネート樹脂あるいは芳香族ポリエステルカーボネ
ート樹脂が直鎖状高分子主鎖のみからなるか否かは、例
えば下記の手順のような分岐剤分析により判定できる。
即ち、まず、該樹脂中に含まれている可能性のある保護
されていないフェノール性水酸基をすべて相当するアル
キルエーテルとする。かかるエーテル化は、該樹脂の良
溶媒中における高分子主鎖中のカーボネート結合を切断
しない条件でのアルキルエーテル化、例えばジアゾメ
タンをシリカゲルの共存下に作用させる中性条件でのメ
チルエーテル化、シクロヘキセンを三フッ化ホウ素エ
ーテラート(BF3 ・Et2 O)の共存下作用させるル
イス酸性条件でのシクロヘキシルエーテル化、イソブ
チレンを触媒量の硫酸の共存下作用させるプロトン酸触
媒条件でのt−ブチルエーテル化、あるいはヨウ化メ
チル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、
ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル、臭化ブチル、臭化ベ
ンジル等のハロゲン化アルキル(大過剰量を使用)を、
酸化銀等の脱ハロゲン化試薬の共存下に該樹脂に対して
作用させる反応等により行われる。次いで該樹脂の高分
子主鎖中のカーボネート結合やエステル結合を無水条件
で過剰量のナトリウムメトキシドを作用させる加メタノ
ール分解反応を行い、最後に得られた分解物をLC等に
より分析を行う。
【0049】かかる分岐剤分析の結果、アルキルエーテ
ル化されていないフェノール性水酸基またはメチルエス
テル化されたカルボキシル基のいずれかを分子中に3つ
以上有する化合物が検出されれば、これらの多官能化合
物は高分子主鎖中で分岐点となっていたものと判定され
る。その理由は、該樹脂の分岐剤として使用されるフェ
ノール性水酸基あるいは芳香族環に結合するカルボキシ
ル基を3つ以上有する化合物が、(a)分岐に関与せず
に高分子主鎖に取り込まれている場合、即ち分岐剤の水
酸基あるいはカルボキシル基が保護されていない状態で
高分子主鎖中に存在している場合には、かかる水酸基は
該アルキルエーテル化反応を受け、またかかるカルボキ
シル基は該加メタノール分解反応ではメチルエステル化
されず、一方、(b)分岐点として高分子主鎖に取り込
まれている場合には、分岐剤のフェノール性水酸基は該
アルキルエーテル化反応を受けず、また分岐剤のカルボ
キシル基は該加メタノール分解反応を受けメチルエステ
ルに変換されるためである。なお、一方の水酸基のみア
ルキルエーテル化されたビスフェノール類が検出されれ
ば、これはフェノール性水酸基末端由来であることもわ
かる。
【0050】上記した分岐剤分析の具体的な手順は一つ
の例であり、アルキルエーテル化(第一反応、即ちフェ
ノール性水酸基の保護反応)と加メタノール分解(第二
反応、即ち高分子主鎖中のカーボネート結合やエステル
結合の切断反応)の組み合わせ以外でも、一般に、該第
二反応の条件下で安定な保護基を該第一反応において高
分子主鎖中のカーボネート結合を切断せずに高収率で導
入できれば、かかる分岐剤分析の手順として採用でき
る。
【0051】一般に、芳香族ポリカーボネート樹脂、あ
るいは耐加水分解性等に優れた実用的な価値のある芳香
族ポリエステルカーボネート樹脂の高分子主鎖の末端
は、実質的に末端停止剤による封鎖末端かフェノール性
水酸基のいずれかであることが知られている。従って、
与えられた該樹脂が直鎖状高分子主鎖よりなる場合の総
末端濃度Tは、LC等により分岐剤を含まないものと判
定されれば末端停止剤濃度tとフェノール性水酸基濃度
pとの和(t+p)、分岐剤を含むものと判定されれば
該分岐剤分析から算出されるアルキルエーテル化された
フェノール性水酸基の濃度(モル/g)を該(t+p)
の値から差し引いた値とする。かかるTの値を使用し
て、数平均分子量Mnを最終的に決定できる。
【0052】一方、該分岐剤分析により高分子主鎖が分
岐を有するものと判定された場合のMnは、上記の総末
端濃度Tの測定からは決定できない。かかる場合には、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法に
より、テトラヒドロフラン(THF)等を流動相とし、
リビング重合等で調製される分子量分布の狭いポリスチ
レン等を対照として測定される見かけの数平均分子量M
(GPC) に基づくが、かかる分岐した高分子主鎖の真の
数平均分子量をより正確に見積もるために、Mnが既知
である数種の直鎖状高分子のGPC測定を広い分子量範
囲においてあらかじめ行い、これにより得られる見かけ
の数平均分子量Mn(GPC) とMnとの関係を表す検量線
を使用して、分岐した高分子主鎖のMn(GPC) をMnに
換算する。
【0053】本第二発明のポリカーボネート樹脂の分子
量分布に特に制限はないが、重量平均分子量Mwと数平
均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が(3)式の関係を
満たすことが望ましい。Mw/Mnの値が3.5を超え
【0054】
【数5】2.0≦Mw/Mn<3.5 (3)
【0055】ると該樹脂の分子量分布が広くなりすぎる
ために、本第二発明が念頭に置く高機能性を付与した分
野での応用において、所望の機能の精密な制御に支障を
来す場合があるので好ましくなく、また、逐次重合によ
り合成される縮合系高分子であるためこの値を2.0未
満とすることは原理的にできない。Mw/Mn値は、か
かる理由により好ましくは2.0以上3.2未満、更に
好ましくは2.0以上3.0未満、最も好ましくは2.
0以上2.8未満とする。なお、かかるMw/Mn値
は、与えられた該樹脂において、その高分子主鎖の分岐
の有無にかかわらず、当業者が常用するゲルパーミエー
ションクロマトグラフィ(GPC)法により、例えばテ
トラヒドロフラン(THF)を流動相としリビング重合
等で調製される分子量分布の狭いポリスチレン等を対照
として測定される見かけの重量平均分子量Mw(GPC)
見かけの数平均分子量Mn(GPC) の比(Mw(GPC) /M
(GPC ) )をそのまま使用して構わない。
【0056】一般に、芳香族ポリカーボネート樹脂ある
いは芳香族ポリエステルカーボネート樹脂の製造におい
て末端停止剤の添加は数平均分子量を制御する手段とし
て公知であるが、高分子主鎖がすべて直鎖状ならば末端
停止剤濃度tは2/Mnを超えることは理論的にあり得
ない。また、何らかの理由で末端停止剤で停止されてい
ない末端(通常フェノール性水酸基末端となるので該p
の値で取り扱える)が生成しても、高分子主鎖がすべて
直鎖状であり末端以外の位置にフェノール性水酸基を含
まなければ、該(t+p)の値はやはり2/Mnを超え
得ない。一方、高分子主鎖に分岐を導入すれば、同一分
子量でも総末端基数(即ちt+p)は増加するので、分
岐剤を重合時に共存させる公知技術により(t+p)の
値が2/Mnを超えるものを作ることは可能である。
【0057】ところがかかる従来技術では、本発明の目
的とする高機能の付与に必要なフェノール性水酸基を、
ゲルを生成することなく、あるいはMw/Mn値を3.
5未満に抑えながら高濃度で導入することは極めて困難
であった。換言すれば、可能な限りフェノール性水酸基
濃度を向上させるべく、末端停止剤量を極端に減らした
りあるいは全く使用しない条件で従来の分岐手法を用い
ても、Mw/Mn値を3.5未満に制御しながら1.0
1×2/Mnを超えるt+pの値を有する該樹脂を再現
性良く得ることは事実上不可能であった。従って、本記
述における(1)と(2)の2つの式は、本第二発明の
樹脂において初めて達成される、末端以外、即ち高分子
主鎖中のフェノール性水酸基の存在を特徴づけるもので
ある。
【0058】上記の(t+p)の値に特に制限はなく、
所望の機能性官能基濃度、分子量、分岐度等に応じて、
末端停止剤、一般式(I)で示される保護されたフェノ
ール性水酸基(XO−)を有するモノマー、あるいは該
XO−基を有する末端停止剤等の使用量により制御され
る。具体的には、機能性官能基を高濃度で導入する観点
からは(1)式における2/Mnの係数を、好ましくは
1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましく
は2.0以上、最も好ましくは2.5以上とする。
【0059】本第二発明の樹脂は、本第一発明で製造さ
れた樹脂における一般式(I)で示される保護されたフ
ェノール性水酸基を有するモノマーの保護基Xを除去す
ることにより製造される。こうして現れる高分子主鎖中
のフェノール性水酸基は、所望の機能性官能基の結合反
応に利用される。該フェノール性水酸基は、分岐鎖の成
長反応にも利用できる。かかる分岐鎖の種類や成長反応
の様式に特に制限はなく、芳香族ポリカーボネート鎖あ
るいは芳香族ポリエステルカーボネート鎖自身、あるい
は該フェノール性水酸基を利用して例えばビニル基含有
構造を導入すれば、様々なビニル基含有モノマーを公知
のラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の様式
で重合させることも可能である。かかる分岐構造を作る
目的では、該水酸基と反応可能な官能基を複数有する適
当な結合剤、例えばテレフタロイルジクロライド、イソ
フタロイルジクロライド等の2価芳香族カルボン酸の2
価酸塩化物、トリメリット酸やトリメシン酸等の3価芳
香族カルボン酸の3価酸塩化物、ピロメリット酸等の4
価芳香族カルボン酸の4価酸塩化物等を反応させて、本
第一発明の該樹脂の高分子主鎖どうしを直接結合するこ
ともできる。
【0060】本第二発明の樹脂の高分子主鎖中のフェノ
ール性水酸基に結合する対象となる有用な化学構造とし
ては、例えば、静電防止効果のあるスルホン酸塩やりん
酸塩等の構造、電荷輸送効果のあるヘテロ原子や芳香族
環を含む構造、液晶性を示す構造、化学結合エネルギー
を熱エネルギーへ変換する蓄熱機能を有する構造、蛍光
能のある芳香族環やポリフィリン環等を有する構造等の
機能を有する化学構造が例示される。また、チオール基
(−SH)等の金属との親和性に優れた置換基を有する
構造、アルコキシシリル基等の無機物との親和性や反応
性に優れた置換基を有する構造、水酸基・アミノ基・カ
ルボキシル基等の親水性基を有する構造等を結合すれ
ば、幅広い物質との密着性や相溶性に優れたものとする
ことも可能であり、具体的にはポリマーアロイ用相溶化
剤、金属・ガラス・セラミックス等との接着性樹脂等へ
の応用が可能である。更に、負の固有複屈折を有する構
造、あるいは空間的かさ高さのために高分子主鎖の配向
を緩和する効果のある構造等を結合した場合、光ディス
ク等の光学透明材料に求められる場合のある複屈折の低
減効果を制御できる場合もある。
【0061】本第一及び第二発明の樹脂の分子量は、該
樹脂自身の機械的物性が要求される場合には、テトラヒ
ドロフラン(THF)溶媒によるゲルパーミエーション
クロマトグラフィ(GPC)によって測定される単分子
量分散ポリスチレンを対照としての重量平均分子量Mw
(GPC) を通常5,000〜100,000、靱性や溶融
成形容易性を考慮するとより好ましくは10,000〜
80,000、更に好ましくは15,000〜65,0
00とするが、該樹脂の高分子鎖に機能性官能基を結合
するような用途においてはかかる機能の発現を最重要視
すべきであり、分子量は任意に設定可能である。また、
該樹脂から分岐鎖を成長させる場合には、出来上がりの
分岐高分子の特性、例えば溶融粘度、非ニュートニアン
流動性、機械的物性等のバランスを最適化すべく、原料
となる該樹脂の分子量や保護されたフェノール性水酸基
を有するモノマーの使用量等を制御することが望まし
い。
【0062】本第一及び第二発明のポリカーボネート樹
脂は、任意のマトリックス成分、例えば熱可塑性樹脂や
溶剤等に分散あるいは溶解して使用することもできる。
また、該樹脂を用いたいかなる生成物、即ち例えば機能
性官能基を結合した状態や分岐高分子とした状態の生成
物を、任意のマトリックス成分、例えば熱可塑性樹脂や
溶剤等に分散あるいは溶解して使用することもできる。
更に、かかる分散あるいは溶解状態での使用に際し、任
意の添加剤、例えばりん系熱安定剤、紫外線吸収剤、離
型剤、帯電防止剤等を、本発明の目的を損なわない限り
において併用しても構わない。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが本発明はその要旨を変えない限り、これらの実
施例に限定されるものではない。また実施例中の各測定
項目は以下の方法で求めた。
【0064】オリゴマーの分析 (a)オリゴマー溶液濃度:参考例のオリゴマー溶液の
溶媒を蒸発乾固させ重量を測定し、体積重量濃度として
求めた。 (b)オリゴマー溶液の末端クロロフォルメート基濃
度:参考例のオリゴマー溶液を塩化メチレンで6倍に希
釈し、過剰量のアニリンを加えてクロロフォルメート末
端を定量的に分解した後脱塩水を加えて均一溶液とし、
生成したアニリン塩酸塩をフェノールフタレインをpH
指示薬として0.1規定の水酸化カリウムエタノール溶
液にて中和滴定を行い規定度として求めた。 (c)オリゴマー溶液の末端フェノール性水酸基濃度:
5v/v%の酢酸の塩化メチレン溶液、5mLの四塩化
チタンと20mLの該酢酸溶液を含み200mLの定容
とした塩化メチレン溶液をそれぞれ調製した。まず検量
線作成用に、水酸基濃度が約0、4、8、12ppmと
なるようそれぞれ精秤されたビスフェノールAを含み、
かつ該酢酸溶液4mLと該四塩化チタン溶液10mLを
も加えた25mLの定容とした塩化メチレン溶液を4種
類調製し、直ちに546nmの波長の光の吸光度を測定
し、水酸基濃度と該吸光度との関係を表す検量線を求め
た。サンプルの測定は、上記の検量線作成の手順におい
て、ビスフェノールAの代わりに参考例のオリゴマー溶
液50μLを加えた溶液を調製して行い、該検量線に基
づき水酸基濃度を算出した。
【0065】ポリマーの分析 (d)末端停止剤濃度t:合成した芳香族ポリカーボネ
ート樹脂の末端停止剤として使用した4−t−ブチルフ
ェノールを、以下の手順のアルカリ分解と液体クロマト
グラフィ(LC)分析により定量した。 1)検量線の作成:ビスフェノールA(BPAと略)と
安息香酸メチル(MBと略)を精秤し、メタノールを溶
媒とし、濃度が正確にわかっている3種類の溶液を作成
した。これらを、アクリロニトリル/水(1/1v/
v)を流動相とするLC(島津製作所製LC−3A、検
出器はSPD−2A、データ処理はクロマトパックC−
R2AX、カラムはNucleosil ODS 7μ
m;4.6mm直径×30cm)にて展開し、BPAと
MBのピーク面積比と実際の重量比との相関を見るため
の検量線を作成した。
【0066】2)サンプルの作成と測定:合成した芳香
族ポリカーボネート0.2gを精秤し、塩化メチレン約
2mLに溶解後、1規定の水酸化カリウムメタノール溶
液25mLを加え、65℃の湯浴中30分間撹拌しなが
らアルカリ分解した。これを100mLのメスフラスコ
に完全に移し、脱塩水20mLを加え、更に5規定の塩
酸を加えてpHを2.5〜3程度とした後、適量の安息
香酸メチル(MB)を溶解しメタノールで定容とした。
この溶液を上記LC条件で分析し、停止剤とMBのピー
ク面積比と上記の検量線より、ポリマー中の末端停止剤
濃度t(モル/g)を求めた。
【0067】(e)フェノール性水酸基濃度p:オリゴ
マー溶液の末端フェノール性水酸基濃度の測定に準じて
測定した(単位はモル/g)。 (f)数平均分子量Mn:末端停止剤濃度tとフェノー
ル性水酸基濃度pの和の逆数に2を乗じて求めた。これ
は、本実施例では共重合成分として水酸基の1つがt−
ブチルオキシカルボニル基(以下BOC基と略)で保護
された1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン(以下MBTPと略)を用いたが、高分子鎖中に取
り込まれた該BOC基はアルカリ界面重合条件下ほぼ定
量的に残存し、従って、生成した高分子鎖は直鎖状であ
りBOC基の除去で生ずる主鎖中のフェノール製水酸基
は事実上存在しないものと考えられたためである。かか
るBOC基の安定性の根拠は、実施例2中の本第一発明
に相当する芳香族ポリカーボネートの製造と比較例1
(実施例2においてMBTPの代わりに等モルのビスフ
ェノールAを使用した)との比較において、アルカリ
界面重合後の水相と有機相の分液性は同等であったこと
(脱BOC化によりフェノール性水酸基が多く含まれれ
ばその乳化効果により該分液性は極度に悪化する)、及
び末端停止剤濃度tとフェノール性水酸基濃度pの値
が同等であったこと(即ち末端提示剤の効果等の重合挙
動は同等)の2点である。
【0068】(g)分子量分布:ゲルパーミエーション
クロマトグラフィ(GPC)により、重量平均分子量と
数平均分子量との比(Mw/Mn)を測定した。GPC
測定は、東ソー社製TSKゲル(分子量1万程度以上用
グレード:GMHXL、分子量数百〜1万程度用グレー
ド:G−2000)を用い、展開溶媒はテトラヒドロフ
ラン(THF)、測定温度は40℃、対照は単分散ポリ
スチレン、検出は屈折率変化により実施した。
【0069】参考例1(オリゴマーの合成) 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン(通称ビスフェノールP)を原料とし、ホスゲ
ンを吹き込みながら塩化メチレンと水酸化ナトリウム水
溶液との2相系での界面反応を行って、濃度23.6重
量%、末端クロロフォルメート基濃度0.78N、末端
フェノール性水酸基濃度0.16Nのオリゴマー溶液を
得た。
【0070】参考例2(オリゴマーの合成) 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)を原料とし、ホスゲンを吹き込み
ながら塩化メチレンと水酸化ナトリウム水溶液との2相
系での界面反応を行って、濃度23.6重量%、末端ク
ロロフォルメート基濃度0.51N、末端フェノール性
水酸基濃度0.08Nのオリゴマー溶液を得た。
【0071】参考例3(水酸基の1つがBOC基で保護
された3価フェノールの合成) 3,000mLの4つ口フラスコ内に、1200mLの
無水テトラヒドロフランを入れ、更に1,1,1−トリ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下THPEと
略)448gを加えて完全にこれを溶解させた。さらに
炭酸カリウム202gを加えた後、室温で30分間撹拌
した。一方、18−クラウン−6 0.6gを無水テト
ラヒドロフラン30mLに完全に溶解させた後、これに
ジ−t−ブチルジカーボネート31.8gを加えて均一
になるまで撹拌し、滴下漏斗に入れた。この滴下漏斗よ
り先程の4つ口フラスコ中へ内容物を30分かけて滴下
した。この際、4つ口フラスコ中は撹拌状態のままとし
た。滴下終了後、4つ口フラスコをオイルバス中で40
℃へと加温し、そのまま3時間撹拌を続けた。撹拌後、
18−クラウン−6を減圧濾過により除去し、エバポレ
ーターにより溶媒を除去後、40℃で減圧乾燥を行っ
た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
(塩化メチレン/ジエチルエーテルの混合系で展開)に
より精製し、目的とする水酸基の1つがBOC基で保護
された1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン(MBTP)を単離した(純度は99%以上、収率
90%)。なお生成物の同定は、 1H及び13C−NM
R、FT−IR、元素分析により実施し、純度はHPL
CのUV吸収ピークの面積から計算した。
【0072】参考例4(オリゴマーの合成) 参考例3で得たMBTPを原料とし、ホスゲンを吹き込
みながら塩化メチレンと水酸化ナトリウム水溶液との2
相系での界面反応を行って、濃度42.1重量%、末端
クロロフォルメート基濃度0.53N、末端フェノール
性水酸基濃度0.08Nのオリゴマー溶液を得た。
【0073】実施例1 参考例1で得られたビスフェノールP由来のオリゴマー
溶液171mL、4−t−ブチルフェノール2.33
g、塩化メチレン91.3mLを撹拌機とバッフル付き
反応器に仕込み激しく撹拌しながら、脱塩水50.0m
L、2重量%トリエチルアミン水溶液0.62mL、参
考例3で得られたMBTP3.15gをこの順に添加
し、最後に25重量%水酸化ナトリウム水溶液28.2
mLを滴下し3時間撹拌した。その後、有機相のポリマ
ー濃度が8重量%となるよう塩化メチレンを加え、更に
脱塩水140mLを加えしばらく撹拌した後、撹拌を止
めて反応液を2相に分離し有機相を回収した。なお、こ
の2相分離の際の分液性については、30分静置後特に
エマルジョンの形成は認められず良好であった。
【0074】この有機相を219mLの0.1規定水酸
化ナトリウム水溶液とともに再び激しく撹拌して数分洗
浄後、静置して分液した。こうして得た有機相を2等分
し、一方は脱塩水による洗浄を水相が中性となるまで繰
り返し、次いで塩化メチレンを蒸発留去し本第一発明に
相当するBOC基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂
を得た。このものの末端停止剤濃度tは3.50×10
-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは1.06
×10-5(モル/g)、数平均分子量Mnは5,546
であった。
【0075】もう一方の溶液については、過剰量の1規
定の希塩酸、次いで脱塩水の順で洗浄後、塩化メチレン
を蒸発留去し、本第二発明に相当するフェノール性水酸
基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹脂を
得た。このものの末端停止剤濃度tは3.45×10-4
(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは1.15×
10-4(モル/g)であり、また数平均分子量Mnとし
て上記のBOC基を有するポリマーの値を使用すると、
t、p、及びMnの3者の関係は、1.28×2/Mn
=(t+p)であった。
【0076】実施例2 参考例1で得られたビスフェノールP由来のオリゴマー
溶液159mL、4−t−ブチルフェノール2.29
g、塩化メチレン103mL、脱塩水55.5mL、2
重量%トリエチルアミン水溶液0.63mL、参考例3
で得られたMBTP6.20g、25重量%水酸化ナト
リウム水溶液23.2mLを使用して実施例1と同様の
条件と手順でポリマーの製造を行った。重合工程終了後
の2相分離の分液性は、実施例1と同様に良好であっ
た。得られた本第一発明に相当するBOC基を有する芳
香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは3.5
0×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは
9.91×10-6(モル/g)、数平均分子量Mnは
5,557であった。
【0077】一方、本第二発明に相当するフェノール性
水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹
脂の末端停止剤濃度tは3.47×10-4(モル/
g)、フェノール性水酸基濃度pは2.13×10
-4(モル/g)であり、また数平均分子量Mnとして上
記のBOC基を有するポリマーの値を使用すると、t、
p、及びMnの3者の関係は、1.56×2/Mn=
(t+p)であった。
【0078】実施例3 参考例1で得られたビスフェノールP由来のオリゴマー
溶液146mL、4−t−ブチルフェノール1.12
g、塩化メチレン117mL、脱塩水60.4mL、2
重量%トリエチルアミン水溶液0.64mL、参考例3
で得られたMBTP9.71g、25重量%水酸化ナト
リウム水溶液18.3mLを使用して実施例1と同様の
条件と手順でポリマーの製造を行った。重合工程終了後
の2相分離の分液性は、実施例1と同様に良好であっ
た。得られた本第一発明に相当するBOC基を有する芳
香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは2.2
5×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは
7.67×10-6(モル/g)、数平均分子量Mnは
8,596であった。
【0079】一方、本第二発明に相当するフェノール性
水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹
脂の末端停止剤濃度tは2.22×10-4(モル/
g)、フェノール性水酸基濃度pは3.62×10
-4(モル/g)であり、また数平均分子量Mnとして上
記のBOC基を有するポリマーの値を使用すると、t、
p、及びMnの3者の関係は、2.51×2/Mn=
(t+p)であった。
【0080】実施例4 参考例2で得られたビスフェノールA由来のオリゴマー
溶液161mL、4−t−ブチルフェノール1.43
g、塩化メチレン76.8mL、脱塩水54.7mL、
2重量%トリエチルアミン水溶液0.50mL、参考例
3で得られたMBTP3.86g、25重量%水酸化ナ
トリウム水溶液12.2mLを使用して実施例1と同様
の条件と手順でポリマーの製造を行った。重合工程終了
後の2相分離の分液性は、実施例1と同様に良好であっ
た。得られた本第一発明に相当するBOC基を有する芳
香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは2.3
3×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは
8.66×10-6(モル/g)、数平均分子量Mnは
8,276であった。
【0081】一方、本第二発明に相当するフェノール性
水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹
脂の末端停止剤濃度tは2.34×10-4(モル/
g)、フェノール性水酸基濃度pは1.29×10
-4(モル/g)であり、また数平均分子量Mnとして上
記のBOC基を有するポリマーの値を使用すると、t、
p、及びMnの3者の関係は、1.50×2/Mn=
(t+p)であった。
【0082】実施例5 参考例2で得られたビスフェノールA由来のオリゴマー
溶液174mL、4−t−ブチルフェノール1.47
g、塩化メチレン67.2mL、脱塩水50.8mL、
2重量%トリエチルアミン水溶液0.50mL、参考例
3で得られたMBTP0.478g、25重量%水酸化
ナトリウム水溶液20.9mLを使用して実施例1と同
様の条件と手順でポリマーの製造を行った。重合工程終
了後の2相分離の分液性は、実施例1と同様に良好であ
った。得られた本第一発明に相当するBOC基を有する
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは2.
58×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度p
は9.01×10-6(モル/g)、数平均分子量Mnは
7,490であった。
【0083】一方、本第二発明に相当するフェノール性
水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹
脂の末端停止剤濃度tは2.56×10-4(モル/
g)、フェノール性水酸基濃度pは1.57×10
-5(モル/g)であり、また数平均分子量Mnとして上
記のBOC基を有するポリマーの値を使用すると、t、
p、及びMnの3者の関係は、1.02×2/Mn=
(t+p)であった。
【0084】実施例6 参考例4で得られたMBTP由来のオリゴマー溶液17
4mL、4−t−ブチルフェノール1.47g、塩化メ
チレン119.9mL、脱塩水90.7mL、2重量%
トリエチルアミン水溶液0.50mL、25重量%水酸
化ナトリウム水溶液21.0mLを使用して実施例1と
同様の条件と手順でポリマーの製造を行った。重合工程
終了後の2相分離の分液性は、実施例1と同様に良好で
あった。得られた本第一発明に相当するBOC基を有す
る芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは
1.53×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃
度pは5.24×10-6(モル/g)、数平均分子量M
nは12,639であった。
【0085】一方、本第二発明に相当するフェノール性
水酸基を高分子鎖中に有する芳香族ポリカーボネート樹
脂は、上記のBOC基を有するポリマー溶液を濃縮・乾
固し、次いでテトラヒドロフランに溶解し直し、更に過
剰量の1規定の希塩酸を加えて室温で撹拌して得た。こ
のものの末端停止剤濃度tは1.51×10-4(モル/
g)、フェノール性水酸基濃度pは2.26×10
-3(モル/g)であった。該希塩酸との撹拌処理による
脱BOC基反応が定量的に進行したと仮定すると、本実
施例のポリマーは全てのビスフェノール成分がMBTP
であるので、上記のBOC基を有するポリマーの数平均
分子量Mn値に基づいた補正Mn値は9,704とな
る。従って、この補正Mn値を使用すると、t、p、及
びMnの3者の関係は、11.7×2/Mn=(t+
p)であった。なお、実施例1〜6の本第一発明に相当
するBOC基を有するポリマーは、すべて、 1H及び13
C−NMRスペクトルにおいてt−ブチル基に帰属され
るシグナルを与え、BOC基の存在が確認された。
【0086】比較例1 MBTPの代わりに等モルのビスフェノールA(3.4
8g)を用いた他は、すべて実施例2と同様の条件と手
順でポリマーの製造を行った。但し、重合工程終了後の
後処理は、実施例1中のフェノール性水酸基を高分子鎖
中に有するポリマーを得るための工程、即ち分液、酸洗
浄、及び水洗を行った。重合工程終了後の2相分離の分
液性は、実施例1と同様に良好であった。得られた芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤濃度tは3.70
×10-4(モル/g)、フェノール性水酸基濃度pは
1.05×10-5(モル/g)、数平均分子量Mnは
5,256であった。従って、t、p、及びMnの3者
の関係は、1.00×2/Mn=(t+p)であった。
【0087】比較例2 MBTPの代わりに等モルのTHPE(4.67g)を
用いた他は、すべて実施例2と同様の条件と手順でポリ
マーの製造を行った。その結果、25重量%水酸化ナト
リウム水溶液添加後、反応液は急激に増粘し撹拌翼に巻
き付いたため、以後の実施例2の手順を踏むことは不可
能であった。
【0088】比較例3 実施例4において、4−t−ブチルフェノールを1.0
0g、MBTPの代わりにTHPEを1.57g使用
し、トリエチルアミンを反応開始から5分後に加えた他
はすべて実施例4と同様の条件と手順でポリマーの製造
を行った。重合工程終了後の2相分離の分液性は、実施
例4と同様に良好であった。得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の末端停止剤濃度tは1.65×10-4(モ
ル/g)、フェノール性水酸基濃度pは8.94×10
-6(モル/g)であった。数平均分子量Mnは上記のG
PC条件で測定された値に基づいて決定したが、本比較
例のような分岐した高分子主鎖の数平均分子量をより正
確に見積もるために、末端基定量に基づくMnが既知で
ある数種の直鎖状高分子のGPC測定を広い分子量範囲
においてあらかじめ行い、これにより得られる見かけの
数平均分子量Mn(GPC ) とMnとの関係を表す検量線を
使用して、分岐した高分子主鎖のMn(GPC) をMnに換
算する補正を加えた。その結果得られたMnは、11,
500であった。
【0089】一方、希塩酸との撹拌処理を行った場合、
末端停止剤濃度tは1.61×10 -4(モル/g)、フ
ェノール性水酸基濃度pは8.89×10-6(モル/
g)であり、また数平均分子量Mnとして上記の値を使
用すると、t、p、及びMnの3者の関係は、1.00
×2/Mn=(t+p)であった。
【0090】比較例4 内容積300mLのフラスコに、ビスフェノールA4
5.7g、ジフェニルカーボネート45.0g、THP
E0.61g、メチルフェニルエーテル5.4×10-3
g、酢酸亜鉛4.4×10-4g、N,N−ジメチル−4
−アミノピリジン1.2×10-3gを仕込み、フラスコ
内部を窒素置換し、160℃に加熱した。原料溶融後3
0分間は160℃、大気圧で撹拌し、その後240℃ま
で徐々に昇温しながら系内を5Torrまで徐々に減圧
し、フェノール約30mLを留去した。更にその後、2
70℃、0.4Torrまで昇温・減圧し、最終的にこ
の状態で1.5時間反応させて生成物を得た。得られた
芳香族ポリカーボネート樹脂のフェノール性水酸基濃度
pは2.42×10-4(モル/g)であった。末端停止
剤は使用しなかったので末端停止剤濃度tは測定しなか
った。数平均分子量Mnは上記のGPC条件で測定され
た値に基づいて決定したが、比較例3同様の補正を加え
た。その結果得られたMnは、8,255であった。
t、p、及びMnの3者の関係は、1.00×2/Mn
=(t+p)であった。実施例1〜6、及び比較例1〜
4の結果を表1にまとめた。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】実施例2と比較例2との比較、あるいは
従来技術による比較例3及び4の与えた2/Mnの係数
及びMw/Mnの値からわかるように、本発明は、従来
の分岐技術では達成困難であった。高いフェノール性水
酸基濃度を有する新規な芳香族ポリカーボネート樹脂あ
るいは芳香族ポリエステルカーボネート樹脂を容易に提
供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−330887(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示されるフェノール性水
    酸基の少くとも1つが保護基Xにより保護された多官能
    性化合物 【化1】(XO−)n RY1 2 (I) [式中、Xはフェノール性水酸基の保護基を、Rは芳香
    族環を含む有機残基を、nは1、2、3または4のいず
    れかの自然数を示す。また、Y1 及びY2 は共にRの芳
    香族環に結合する官能基であり、共にフェノール性水酸
    基(−OH)を示す。]を0.1〜100モル%の割合
    で含有するビスフェノール化合物と、ホスゲンまたは炭
    酸ジエステル、必要により末端停止剤を反応させて重量
    平均分子量(Mw)が5,000〜100,000、フ
    ェノール性水酸基の一部が保護基Xにより保護された芳
    香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法。
  2. 【請求項2】 保護基Xがアルキルオキシカルボニル基
    であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 保護基Xがt−ブチルオキシカルボニル
    基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリ
    カーボネート樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1で製造された保護基Xを有する
    芳香族ポリカーボネート樹脂の保護基Xを酸性条件下で
    除去して、数平均分子量をMn、末端停止剤濃度をt
    (モル/g)、及びフェノール性水酸基濃度をp(モル
    /g)とすると、次式の関係を満たす芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂を製造する方法。 【数1】(1.01×2/Mn)<(t+p)
  5. 【請求項5】 芳香族ポリカーボネート樹脂が、その重
    量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとすると、次
    式の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の芳
    香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。 【数2】2.0≦Mw/Mn<3.5
  6. 【請求項6】 芳香族ポリカーボネート樹脂からの保護
    基Xの除去が、溶剤に溶解した芳香族ポリカーボネート
    樹脂の溶液に酸性水溶液を接触させることにより行われ
    ることを特徴とする請求項4に記載の芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 式(I)で示される多官能性化合物が、
    1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
    1モルにジ−t−ブチルジカーボネート1モルを反応
    させて得られたものである、請求項1に記載の芳香族ポ
    リカーボネート樹脂の製造方法。
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