JP3498439B2 - 硬化性樹脂組成物とそれを用いた成形体およびその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物とそれを用いた成形体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、新規な硬化性樹
脂組成物と、それを用いた、耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤
性等にすぐれた成形体と、その製造方法とに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリクス樹脂とを組み合わ
せた複合材料は、軽量、高剛性、高強度であるため、金
属に代わる構造材料として、種々の分野において、広く
用いられている。上記強化繊維としては、たとえば炭素
繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等があげられ、一方、
マトリクス樹脂としては、成形性や硬化後の機械的特
性、電気的特性等にすぐれたエポキシ樹脂が多用されて
いる。
【0003】しかし、複合材料からなる成形体の耐熱性
は、マトリクス樹脂の耐熱温度によってきまるため、耐
熱温度の低いエポキシ樹脂をマトリクス樹脂として用い
た成形体は、高度の耐熱性が要求される分野には不向き
であった。そこで近時、耐熱性にすぐれたマトリクス樹
脂として、1分子中に2個以上のシアナト基を有する多
官能シアナト化合物を主成分とし、トリアジン環を形成
して硬化するシアネートエステル樹脂や、あるいはビス
マレインイミドと芳香族ジアミンとを主成分とするポリ
アミノビスマレイミド樹脂等が提案されている。
【0004】このうちとくにシアネートエステル樹脂
は、常温で低粘度の液状であるため、たとえば連続繊維
状の強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させて、マンドレ
ルの周囲に巻回した後、マトリクス樹脂を硬化させる、
いわゆるフィラメントワインディング法によって製造さ
れる成形体や、あるいは真空注入法によって製造される
成形体等に好適に使用できるものとして期待されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記シアネ
ートエステル樹脂単独の硬化物は靱性が低いため、脆く
かつ割れやすいので、成形体の耐衝撃性が不十分になる
おそれがあり、靱性の改良が重要な課題であった。マト
リクス樹脂の靱性を改良する方法として、たとえばエポ
キシ樹脂の場合は、古くからゴム弾性を有する成分(た
とえばブタジエン−アクリロニトリル共重合体等)の添
加による改質が検討されているが、この方法は耐熱性の
低下が著しいため、前記のように高度の耐熱性が要求さ
れる分野に使用されるシアネートエステル樹脂の改質方
法としては不適当であった。
【0006】そこで、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエ
ーテルスルホン、ポリスルホン等の、高い耐熱性を有す
る熱可塑性樹脂を使用して、耐熱性の低下を抑制しつ
つ、マトリクス樹脂の靱性を改良することが検討され
た。これら熱可塑性樹脂の多くは、硬化前のシアネート
エステル樹脂に対して難溶性であるため、たとえばジク
ロロメタン等の有機溶剤に溶かして、シアネートエステ
ル樹脂に混合される。
【0007】ところが、上記のようにして混合した熱可
塑性樹脂は、シアネートエステル樹脂との相溶性が十分
でなく、その結果、熱可塑性樹脂による靱性の改良効果
が十分にえられない場合があった。また、上記のように
有機溶剤を使用するために、その除去工程が必要となっ
たり、除去した有機溶剤の回収設備が必要となったりす
るために、製造コスト増につながるという問題もあっ
た。
【0008】そこで、 上記熱可塑性樹脂が硬化前のエポキシ樹脂との相溶
性にすぐれ、良好に溶解すること、 エポキシ樹脂とシアネートエステル樹脂との相溶性
が良好であること、 エポキシ樹脂を使用すると、熱可塑性樹脂とシアネ
ートエステル樹脂とを、有機溶剤を使用せずに混合でき
ること、を利用して、まずエポキシ樹脂に熱可塑性樹脂
を溶解したのち、さらにシアネートエステル樹脂を加え
た、シアネートエステル樹脂/エポキシ樹脂/熱可塑性
樹脂という、3元系の硬化性樹脂組成物について、種々
提案がなされた。
【0009】上記3元系の硬化性樹脂組成物は、エポキ
シ樹脂とシアネートエステル樹脂の硬化前は、エポキシ
樹脂の作用によって3成分が均一な相溶系を形成する
が、上記両硬化性樹脂の硬化にともなって、当該両硬化
性樹脂と熱可塑性樹脂とが相分離する。そして、硬化後
の相分離構造中に分散された熱可塑性樹脂によって、硬
化物に靱性が付与され、成形体の耐衝撃性が向上するも
のと考えられる。
【0010】上記3元系の硬化性樹脂組成物の例として
は、たとえば熱可塑性樹脂として高分子量ダイマー酸系
ポリアミド樹脂を使用したもの(特開昭64−6019
号公報参照)や、あるいは上記熱可塑性樹脂としてポリ
エーテルイミド樹脂とポリアリレート樹脂とを併用した
もの(特開昭63−183916号公報参照)等があげ
られる。
【0011】しかし、これらの方法はいずれも、硬化性
樹脂に比べて耐熱性の低い熱可塑性樹脂を配合するもの
であるため、硬化後の成形体における耐熱性の低下は、
程度差こそあれ、避けられない問題であった。また熱可
塑性樹脂は、硬化性樹脂に比べて耐溶剤性が十分でない
という問題もあった。たとえばポリエーテルイミド樹脂
は、熱可塑性樹脂の中では耐溶剤性にすぐれるものであ
るが、それでも、洗浄剤として多用されるハロゲン化ア
ルキル類(たとえばジクロロメタン、トリクロロエタ
ン)等の極性溶剤には短時間で溶解してしまうため、当
該ポリエーテルイミド樹脂を含む複合材料からなる成形
体は、上記極性溶剤を使用する洗浄工程を含む用途には
使用できなかった。
【0012】また前述したように、硬化前のシアネート
エステル樹脂自体は低粘度であるが、これにエポキシ樹
脂と熱可塑性樹脂とを加えた、前記3元系の硬化性樹脂
組成物は高粘度となるため、前記フィラメントワインデ
ィング法等に使用する際には、粘度を落とすべく、適当
な有機溶剤に溶解する必要があり、その除去の工程でボ
イドが発生したり、あるいは上記の工程で除去されずに
残留した有機溶剤が、成形体の機械的な物性を低下させ
るという問題があった。さらに、これらの問題の発生を
防止するには、オートクレーブ等の高価な設備を用い
た、加圧、加熱下での硬化が必要であった。
【0013】この発明の目的は、シアネートエステル樹
脂を含み、しかも耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性等にすぐ
れた成形体を形成しうる硬化性樹脂組成物と、それを用
いた成形体と、その製造方法とを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らはまず、前記ポリエーテルイミド樹脂等の
熱可塑性樹脂よりもさらに高い耐熱性を有する全芳香族
ポリイミド樹脂を、熱可塑性樹脂に代えて、前記3元系
の硬化性樹脂組成物に使用することを検討した。かかる
全芳香族ポリイミド樹脂は、熱可塑性樹脂のような明確
な融点を持たず、熱分解温度まで固体状を維持し、熱分
解温度に達すると徐々に熱分解するという、熱可塑性樹
脂とは全く異なる樹脂であり、シアネートエステル樹脂
と同等またはそれ以上の高い耐熱性を有しているため、
シアネートエステル樹脂と併用できれば、硬化後の成形
体に高い耐熱性を付与できることが期待された。
【0015】また上記全芳香族ポリイミド樹脂は、たと
えば反応途中のポリアミド酸の段階のワニスから成形し
たフィルム状のものが、伸びが大きく高い靱性を有して
いることから、熱可塑性樹脂と同様に、シアネートエス
テル樹脂の靱性を改善し、成形体の耐衝撃性を向上する
効果を有することが予測された。しかし、上記全芳香族
ポリイミド樹脂は、濃硫酸にわずかに溶ける以外は全く
溶解性を有しないため、そのままでは使用できないとい
う問題があった。
【0016】 全芳香族ポリイミド樹脂の粉末を添加す
ることも検討したが、粉末の焼結体は、シアネートエス
テル樹脂の硬化物と同様に靱性の低いものであるため、
かかる粉末を使用しても、シアネートエステル樹脂の靱
性を改良し、成形体の耐衝撃性を向上できるとは考えら
れなかった。そこでつぎに、発明者らは、全芳香族ポリ
イミド樹脂の分子構造に手を加えることで、当該全芳香
族ポリイミド樹脂のもつ高い耐熱性を維持しつつ、たと
えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、
メチルエチルケトン、クロロホルム、トルエン、ベンゼ
ン、クレゾール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリドン等の有機溶剤やエポキシ樹脂等に対する溶解性
を付与した、 (1)
【0017】
【化学式2】
【0018】で表される繰り返し単位を有する、ガラス
転移温度260℃以上の芳香族ポリイミド樹脂(いわゆ
る可溶性ポリイミド樹脂)の使用を検討した。その結
果、上記可溶性ポリイミド樹脂をエポキシ樹脂に溶解し
て、シアネートエステル樹脂に添加した、シアネートエ
ステル樹脂/エポキシ樹脂/可溶性ポリイミド樹脂とい
う、3元系の硬化性樹脂組成物は、従来の、熱可塑性樹
脂を含む3元系の硬化性樹脂組成物と同様に、両硬化性
樹脂の硬化前は均一な相溶系となるが、両硬化性樹脂の
硬化にともなって、当該両硬化性樹脂と可溶性ポリイミ
ド樹脂とが相分離して相分離構造が形成され、この相分
離構造中に分散された可溶性ポリイミド樹脂の作用によ
ってシアネートエステル樹脂の靱性が改良され、耐衝撃
性が向上した成形体がえられることが明らかとなった。
また可溶性ポリイミド樹脂は、前記のように全芳香族ポ
リイミド樹脂と同様の高い耐熱性を有するため、上記3
元系の硬化性樹脂組成物を硬化させた成形体は、シアネ
ートエステル樹脂の持つ高い耐熱性が十二分に発揮さ
れ、耐熱性にすぐれることもわかった
【0019】 しかも上記可溶性ポリイミド樹脂は、可
溶性とはいうものの、ポリエーテルイミド樹脂等の熱可
塑性樹脂と比べると、有機溶剤に対する溶解性が低いた
め、上記成形体は、耐溶剤性にもすぐれていることが確
認された。また、上記可溶性ポリイミド樹脂についてさ
らに検討したところ、かかる可溶性ポリイミド樹脂はシ
アネートエステル樹脂に対しても良好な相溶性を有し、
エポキシ樹脂を使用しない、シアネートエステル樹脂/
可溶性ポリイミド樹脂という、2元系の硬化性樹脂組成
物としても十分に使用可能であることが判明した。すな
わち上記2元系の硬化性樹脂組成物は、シアネートエス
テル樹脂の硬化前は、均一な相溶系となるが、シアネー
トエステル樹脂の硬化にともなって、当該シアネートエ
ステル樹脂と可溶性ポリイミド樹脂とが相分離して相分
離構造が形成され、この相分離構造中に分散された可溶
性ポリイミド樹脂の作用によってシアネートエステル樹
脂の靱性が改良され、耐衝撃性が向上した成形体がえら
れるのである。
【0020】しかも、上記2元系の硬化性樹脂組成物を
硬化させた成形体は、エポキシ樹脂を含む3元系の硬化
性樹脂組成物からなるものに比べてさらに高い耐熱性を
有するとともに、十分な耐溶剤性も有することがわかっ
た。なお、上記2元系の硬化性樹脂組成物においては、
混合する際に有機溶剤が必要であるが、上記のごとく、
この2元系の硬化性樹脂組成物を硬化させた成形体は高
い耐熱性を有するため、硬化性樹脂組成物を、エポキシ
樹脂を含む(つまり無溶剤系の)3元系とするか、ある
いはエポキシ樹脂を含まない(つまり溶剤を必要とす
る)2元系とするかは、成形体の目的に応じて使い分け
ればよい。
【0021】 よってこの発明の硬化性樹脂組成物は、
硬化性樹脂として、 (A) シアネートエステル樹脂、および (B) 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ樹脂、のうち少なくともシアネートエステル樹脂を含
有しているとともに、 (C) 前記式 (1) で表される繰り返し単位を有し、かつ
記シアネートエステル樹脂およびエポキシ樹脂のうちの
少なくとも一方に対する溶解性を有する、ガラス転移温
度260℃以上の可溶性ポリイミド樹脂、を含有してい
ることを特徴としている。
【0022】上記構成からなる、この発明の硬化性樹脂
組成物によれば、前述したように、耐熱性、耐衝撃性、
耐溶剤性等にすぐれた成形体を形成することが可能とな
る。またこの発明の成形体は、強化繊維に含浸させたマ
トリクス樹脂を硬化させた複合材料からなる成形体であ
って、上記マトリクス樹脂として、この発明の硬化性樹
脂組成物を使用したことを特徴としており、かかるこの
発明の成形体は、前記硬化性樹脂の作用により、耐熱
性、耐衝撃性、耐溶剤性等にすぐれたものとなる。
【0023】なお、この発明の硬化性樹脂組成物は高粘
度であるため、フィラメントワインディング法等に使用
する際には、粘度を落とすべく、適当な有機溶剤に溶解
する必要がある。そこで発明者らは、前述したオートク
レーブ等の高価な設備を用いずに、なおかつ成形体にボ
イドが発生したり、あるいは残留した有機溶剤によって
成形体の機械的な物性が低下したりしない成形体の製造
方法について検討を行った。
【0024】その結果、マンドレルの周囲に巻回する途
中で、有機溶剤を揮発させて除去する操作を繰り返し行
えば、オートクレーブ等を使用しない常圧条件下で、ボ
イドや有機溶剤の残留といった問題を生じることなく、
前記のように耐熱性、耐衝撃性、耐溶剤性等にすぐれた
成形体を製造できることを見いだし、この発明の成形体
の製造方法を完成するに至った。
【0025】すなわちこの発明の成形体の製造方法は、
連続繊維状の強化繊維に硬化性樹脂組成物の溶液を含浸
させ、マンドレルの周囲に巻回した後、硬化性樹脂組成
物を硬化させるフィラメントワインディング法により成
形体を製造するに際し、硬化性樹脂組成物の溶液を含浸
した強化繊維の巻回操作を一旦停止させて、マンドレル
上の強化繊維に含浸された溶液から、有機溶剤を揮発さ
せて除去する操作を、巻回された強化繊維の厚みが60
0μmを超えない範囲ごとに、繰り返し行うことを特徴
としている。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。ま
ず、この発明の硬化性樹脂組成物について説明する。こ
の発明の硬化性樹脂組成物は、前記のように、硬化性樹
脂として、 (A) シアネートエステル樹脂、および (B) 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ樹脂、のうち少なくともシアネートエステル樹脂を含
有しているとともに、 (C) 前記式 (1) で表される繰り返し単位を有し、かつ
記シアネートエステル樹脂およびエポキシ樹脂のうちの
少なくとも一方に対する溶解性を有する、ガラス転移温
度260℃以上の可溶性ポリイミド樹脂、を含有したも
のである。
【0027】上記のうち(A) のシアネートエステル樹脂
としては、前述したように、1分子中に2個以上のシア
ナト基を有する多官能シアナト化合物を主成分とし、ト
リアジン環を形成して硬化するものがあげられる。かか
るシアネートエステル樹脂を構成する多官能シアナト化
合物としては、これに限定されないが、たとえば一般式
(2) :
【0028】
【化2】
【0029】〔式中R1 は、x価の芳香族性の有機基を
示し、xは2〜6の整数を示す。〕で表される化合物が
あげられる。上記のうち基R1 に相当する芳香族性の有
機基としては、たとえばベンゼン、ビフェニル、テルフ
ェニル、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族
環から誘導される2〜6価の芳香族基や、あるいは2つ
の芳香族環が、
【0030】
【化3】
【0031】〔式中RA およびRB は、同一または異な
って、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のア
ルキル基を示す。〕等の2価の橋かけ基で結合された基
等があげられる。上記一般式(2) で表される多官能シア
ナト化合物の具体例としては、これに限定されないが、
たとえばビス(シアナトフェニル)メタン、ビス(シア
ナトフェニル)エタン、ビス(シアナトフェニル)プロ
パン、ビス(シアナトフェニル)エーテル、ビス(シア
ナトフェニル)スルホン、ジシアナトビフェニル、ジシ
アナトベンゼン、トリシアナトベンゼン、ジシアナトナ
フタレン、トリシアナトナフタレン等があげられる。こ
れらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用す
ることもできる。
【0032】(A) のシアネートエステル樹脂は、上記多
官能シアナト化合物をそのままの形で含有してもよく、
また多官能シアナト化合物の10〜50重量%程度を3
量化して、トリアジン環を形成したプレポリマーの形で
含有してもよい。また、成形体の耐熱性をさらに向上し
たい場合には、上記多官能シアナト化合物に、1分子中
に2個以上のマレインイミド基またはマレインイミド基
から誘導される基を有する多官能マレインイミド化合物
を添加してもよい。
【0033】かかる多官能マレインイミド化合物として
は、これに限定されないが、たとえば一般式(3) :
【0034】
【化4】
【0035】〔式中R2 は、y価の芳香族基または脂肪
族基を示し、yは2〜6の整数を示す。X1 およびX2
は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子また
は炭素数1〜5程度のアルキル基を示す。〕で表される
化合物があげられる。上記のうち基R2 に相当する芳香
族基としては、前記基R1 のところで説明したのと同様
に、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレ
ン、アントラセン、ピレン等の芳香族環から誘導される
2〜6価の芳香族基や、あるいは2つの芳香族環が、
【0036】
【化5】
【0037】〔式中RA およびRB は、同一または異な
って、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のア
ルキル基を示す。〕等の2価の橋かけ基で結合された基
等があげられる。また脂肪族基としては、たとえば炭素
数1〜10程度の直鎖状、分岐状、あるいは脂環状の、
2〜6価の脂肪族基があげられる。
【0038】上記のうち基R2 が芳香族基であるもの
は、成形体の耐熱性の向上に貢献し、基R2 が脂肪族基
であるものは、成形体の柔軟性の向上に寄与する。上記
一般式(3) で表される多官能マレインイミド化合物の具
体例としては、これに限定されないが、たとえばビス
(マレインイミドフェニル)メタン、ビス(マレインイ
ミドフェニル)エタン、ビス(マレインイミドフェニ
ル)プロパン、ビス(マレインイミドフェニル)エーテ
ル、ビス(マレインイミドフェニル)スルホン、ジマレ
インイミドビフェニル、ジマレインイミドベンゼン、ト
リマレインイミドベンゼン、ジマレインイミドナフタレ
ン、トリマレインイミドナフタレン等があげられる。ま
た、上記多官能マレインイミド化合物を、たとえば2〜
6個のアミノ基を有するポリアミンと反応させることで
合成されるプレポリマーの形で使用してもよい。これら
はそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用するこ
ともできる。
【0039】シアネートエステル樹脂は、前述したよう
に(a) 多官能シアナト化合物またはそのプレポリマー
(シアナト成分と総称する)のみからなる場合と、上記
(a) のシアナト成分に、(b) 多官能マレインイミド化合
物またはそのプレポリマー(マレインイミド成分と総称
する)を併用する場合とがある。そして、上記両者を併
用する場合には、下記式から求められる、シアナト成分
(a) とマレインイミド成分(b) との総量中に占める、マ
レインイミド成分(b) の含有割合が、60重量%以下で
あるのが好ましい。
【0040】
【数1】
【0041】〔式中、aはシアナト成分(a) の配合量
(g)、bはマレインイミド成分(b) の配合量(g)で
ある。〕
【0042】上記マレインイミド成分(b) の含有割合が
60重量%を超えたシアネートエステル樹脂は、硬化前
の状態において半固形となるため、かかるシアネートエ
ステル樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、複合材料として
成形するのが困難になるおそれがある。また、上記シア
ネートエステル樹脂の硬化物は靱性が低いため、可溶性
ポリイミド樹脂を添加しても十分な耐衝撃性がえられな
いおそれもある。
【0043】なお、上記マレインイミド成分(b) の含有
割合は、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる成形体にお
ける、耐熱性と耐衝撃性とのバランスを考慮すると、上
記範囲内でもとくに5〜30重量%の範囲内であるの
が、さらに好ましい。(A) のシアネートエステル樹脂
が、上記シアナト成分(a) とマレインイミド成分(b) の
2成分からなる場合、両者を単に混合した混合物でもよ
く、あるいは上記混合物の少なくとも一部を予備反応さ
せたプレポリマーでもよい。
【0044】(B) のエポキシ樹脂としては、1分子中に
2個以上のエポキシ基を有する、種々のエポキシ樹脂
が、いずれも使用可能であるが、とくにこのエポキシ樹
脂を含む3元系の硬化性樹脂組成物において有機溶剤を
省略するために、かかるエポキシ樹脂は、それ自体、液
状であるのが好ましい。かかるエポキシ樹脂としては、
これに限定されないが、平均分子量200〜1000程
度の、2官能または多官能のエポキシ樹脂、たとえば油
化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート828,
エピコート1001、ダウケミカル(株)製の商品名D
ER−331等のビスフェノールA型液状エポキシ樹
脂;住友化学(株)製の商品名ELM434,ELM1
20,ELM100、チバガイギー(株)製の商品名M
Y720、東都化成(株)製の商品名YH434等のグ
リシジルアミン型液状エポキシ樹脂;東都化成(株)製
の商品名YDF8170C、大日本インキ化学工業
(株)製の商品名エピクロン830等のビスフェノール
F型エポキシ樹脂;油化シェルエポキシ(株)製の商品
名エピコート152,エピコート154等のフェノール
ノボラック型液状エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業
(株)製の商品名エピクロン152等のブロム化ビスフ
ェノールA型液状エポキシ樹脂;住友化学(株)製の商
品名ESCN−220等のクレゾールノボラック型液状
エポキシ樹脂などがあげられる。これらはそれぞれ単独
で使用される他、2種以上を併用してもよい。
【0045】上記の中でもとくにビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂は低粘度の液状であり、可溶性ポリイミド樹
脂を溶解しても流動性を維持するため、(A) のシアネー
トエステル樹脂と混合した際に均一な相溶系がえられる
とともに、強化繊維への含浸や型内への流し込みが容易
であるという利点があり、この発明に好適に使用され
る。
【0046】 (C)の可溶性ポリイミド樹脂としては、
前述したように、全芳香族ポリイミド樹脂の分子構造に
手を加えることで、当該全芳香族ポリイミド樹脂のもつ
高い耐熱性を維持しつつ、シアネートエステル樹脂およ
びエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方に対する溶解性
を付与した、前記式 (1) で表される繰り返し単位を有す
る、ガラス転移温度260℃以上の可溶性ポリイミド樹
脂が使用される
【0047】可溶性ポリイミド樹脂のガラス転移温度が
260℃以上に限定されるのは、ガラス転移温度が26
0℃未満のポリイミド樹脂では、硬化後の成形体におけ
る耐熱性が低下するからである。なお可溶性ポリイミド
樹脂のガラス転移温度は、硬化後の成形体における耐熱
性を考慮すると、上記範囲内でもとくに280℃以上で
あるのが好ましい。
【0048】なお、上記可溶性ポリイミド樹脂の、シア
ネートエステル樹脂、エポキシ樹脂に対する溶解性の程
度については、この発明ではとくに限定されないが、当
該可溶性ポリイミド樹脂は、シアネートエステル樹脂お
よびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方に対して、8
重量%以上の割合で溶解可能であるのが好ましい。
【0049】可溶性ポリイミド樹脂の、シアネートエス
テル樹脂、エポキシ樹脂に対する溶解量がともに上記範
囲未満では、均一な相溶系がえられないために、成形体
の靱性を改良する効果がえられないおそれがある。な
お、ここでいう可溶性ポリイミド樹脂の溶解量は、下記
の方法により求められる。
【0050】まず、所定量のシアネートエステル樹脂ま
たはエポキシ樹脂と、所定量の可溶性ポリイミド樹脂と
を、ジクロロメタン等の溶剤に溶かして均一に分散させ
る。つぎに真空加熱等によって溶剤を除去し、所定の温
度で2時間、かく拌した後の混合物を観察し、混合物中
に、可溶性ポリイミド樹脂が固形の状態で存在せず、当
該混合物が半透明で均一の相を示した場合に、可溶性ポ
リイミド樹脂が溶解したと判定する。
【0051】そしてこの判定を、可溶性ポリイミド樹脂
の配合量を変化させつつ繰り返し行って、可溶性ポリイ
ミド樹脂が混合物中に析出せずに溶解したと判定でき
る、当該可溶性ポリイミド樹脂の配合量の上限値pmax
(g)を求め、下記式により、可溶性ポリイミド樹脂の
溶解量を算出する。
【0052】
【数2】
【0053】〔式中、pmax (g)は可溶性ポリイミド
樹脂の配合量の上限値、r(g)はシアネートエステル
樹脂またはエポキシ樹脂の配合量である。〕
【0054】なお、上記可溶性ポリイミド樹脂の溶解量
は、普通、常温での溶解量、すなわち常温で上記の測定
を行った際の溶解量をさすが、この発明では、可溶性ポ
リイミド樹脂の、シアネートエステル樹脂またはエポキ
シ樹脂に対する溶解を170℃以下の加熱条件下で行っ
てもよく、その場合は、常温での溶解量が上記範囲未満
であっても、溶解時の加熱温度で上記の測定を行った際
の溶解量が上記の条件を満たしていればよい。
【0055】ここにおいて加熱温度が170℃以下に限
定されるのは、それ以上の温度では、シアネートエステ
ル樹脂がごく短時間でゲル化して、均一に混合できなく
なるからである。なお、上記可溶性ポリイミド樹脂の溶
解量は、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂に対す
る相溶性と、硬化過程での相分離のしやすさとのバラン
スを考慮すると、上記範囲内でもとくに20〜60重量
%の範囲内であるのが好ましい。
【0056】 かかる条件を満たす、式(1):
【0057】
【化6】
【0058】で表される繰り返し単位を有する可溶性ポ
リイミド樹脂としては、旭チバ(株)製の商品名マトリ
ミド5218ガラス転移温度320℃、溶解量(対シ
アネートエステル樹脂、25℃)30重量%、溶解量
(対エポキシ樹脂、150℃)60重量%〕があげられ
る。
【0059】 かかる商品名マトリミド5218は、耐
熱性にすぐれるとともに、シアネートエステル樹脂やエ
ポキシ樹脂に対する溶解性にもすぐれるため、とくに好
適に使用される。
【0060】たとえば熱可塑性樹脂の中で最高レベルの
耐熱性を示す熱可塑性ポリイミド樹脂〔たとえば三井東
圧化学(株)製の商品名AURUM〕は、ガラス転移温
度が250℃である。これに対し、上記マトリミド52
18のガラス転移温度は、前記のように320℃であ
り、このマトリミド5218がいかに高耐熱性であるか
がわかる。
【0061】上記(A)(B)および(C) の3成分の、硬化性
樹脂組成物中での含有量はとくに限定されないが、(A)
のシアネートエステル樹脂と(C) の可溶性ポリイミド樹
脂の2成分からなる2元系の硬化性樹脂組成物の場合
は、シアネートエステル樹脂の含有量が60〜95重量
%の範囲内で、かつ可溶性ポリイミド樹脂の含有量が5
〜40重量%の範囲内であるのが好ましい。
【0062】2元系の硬化性樹脂組成物において、シア
ネートエステル樹脂の含有量が上記範囲未満では、成形
が容易でなくなるおそれがある。また上記2元系の硬化
性樹脂組成物において、シアネートエステル樹脂の含有
量が上記範囲を超えた結果として、可溶性ポリイミド樹
脂の含有量が上記範囲を下回った場合には、当該可溶性
ポリイミド樹脂による、シアネートエステル樹脂の靱性
を改善する効果が不十分となって、やはり成形体の耐衝
撃性が低下するおそれがある。
【0063】なお、シアネートエステル樹脂の含有量
は、成形性と成形体の耐衝撃性とのバランスを考慮する
と、上記範囲内でもとくに75〜92重量%の範囲内で
あるのが好ましい。一方、(A) のシアネートエステル樹
脂、(B) のエポキシ樹脂、および(C) の可溶性ポリイミ
ド樹脂の3成分からなる3元系の硬化性樹脂組成物の場
合は、シアネートエステル樹脂の含有量が20〜90重
量%の範囲内、エポキシ樹脂の含有量が5〜60重量%
の範囲内で、かつ可溶性ポリイミド樹脂の含有量が5〜
40重量%の範囲内であるのが好ましい。
【0064】3元系の硬化性樹脂組成物において、シア
ネートエステル樹脂の含有量が上記範囲未満では、成形
体の耐熱性が不十分となるおそれがある。また上記3元
系の硬化性樹脂組成物において、シアネートエステル樹
脂の含有量が上記範囲を超えた結果として、可溶性ポリ
イミド樹脂の含有量が上記範囲を下回った場合には、前
記と同様に、当該可溶性ポリイミド樹脂による、シアネ
ートエステル樹脂の靱性を改善する効果が不十分となっ
て、やはり成形体の耐衝撃性が低下するおそれがある。
【0065】なお、シアネートエステル樹脂の含有量
は、成形体の耐熱性と耐衝撃性とのバランスを考慮する
と、上記範囲内でもとくに50〜80重量%の範囲内で
あるのが好ましい。またエポキシ樹脂の含有量が上記範
囲未満では、当該エポキシ樹脂の溶剤としての効果が十
分にえられず、相溶性が不十分となって、可溶性ポリイ
ミド樹脂による、シアネートエステル樹脂の靱性を改善
する効果が十分にえられないおそれがある。
【0066】また、上記エポキシ樹脂の含有量が上記範
囲を超えた場合には、成形体の耐熱性が不十分となるお
それがある。なおエポキシ樹脂の含有量は、成形体の耐
熱性と耐衝撃性とのバランスを考慮すると、上記範囲内
でもとくに10〜40重量%の範囲内であるのが好まし
い。
【0067】さらに3元系の硬化性樹脂組成物におい
て、可溶性ポリイミド樹脂の含有量が前記範囲未満で
は、当該可溶性ポリイミド樹脂による、シアネートエス
テル樹脂の靱性を改善する効果が不十分となって、成形
体の耐衝撃性が低下するおそれがある。また逆に、可溶
性ポリイミド樹脂の含有量が前記範囲を超えた場合に
は、可溶性ポリイミド樹脂の全量を、シアネートエステ
ル樹脂およびエポキシ樹脂と均一に相溶させることがで
きず、均一な硬化性樹脂組成物がえられないおそれがあ
る。
【0068】なお、可溶性ポリイミド樹脂の含有量は、
シアネートエステル樹脂およびエポキシ樹脂との相溶性
と、成形体の耐衝撃性とのバランスを考慮すると、上記
範囲内でもとくに8〜25重量%であるのが好ましい。
上記の各成分からなる、この発明の硬化性樹脂組成物
は、前述したようにその硬化の過程で、シアネートエス
テル樹脂、またはシアネートエステル樹脂とエポキシ樹
脂との混合樹脂と、可溶性ポリイミド樹脂との相分離構
造が構成される。そしてこの相分離構造中に分散された
可溶性ポリイミド樹脂によって、硬化物に靱性が付与さ
れ、成形体の耐衝撃性が向上すると考えられる。
【0069】このため、この発明の硬化性樹脂組成物に
おいては、可溶性ポリイミド樹脂の分散状態、すなわち
最終硬化物の相分離構造が、硬化物の靱性、ひいては成
形体の耐衝撃性を大きく左右することになる。そして、
上記最終硬化物の相分離構造は、硬化前の各成分の相溶
性の大小に影響される。そこで各成分の相溶性を最適化
して、成形体の耐衝撃性を最大にしうる相分離構造をえ
るべく、この発明の硬化性樹脂組成物には、熱可塑性樹
脂を添加することもできる。ただし上記熱可塑性樹脂
は、成形体の耐熱性に大きな影響を及ぼさないように、
ガラス転移温度Tgが150℃以上の、耐熱性にすぐれ
たものに限定される。また上記熱可塑性樹脂は、成形体
の耐衝撃性を低下させないために、前記(A) 〜(C) の各
成分、とくに(B) のエポキシ樹脂との相溶性にすぐれた
ものであることが好ましい。
【0070】かかる条件を満たす熱可塑性樹脂として
は、これに限定されないが、たとえばポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等があげられ
る。上記熱可塑性樹脂の添加量はとくに限定されない
が、前記(A) および(C) の2成分、または(A) 〜(C) の
3成分からなる硬化性樹脂組成物100重量部に対し
て、3〜40重量部程度であるのが好ましい。
【0071】熱可塑性樹脂の添加量が上記範囲未満で
は、その添加効果が十分にえられず、熱可塑性樹脂を添
加することがむだになるおそれがあり、逆に添加量が上
記範囲を超えた場合には、成形体の耐熱性が低下するお
それがある。なお上記熱可塑性樹脂の添加量は、上記範
囲内でもとくに5〜20重量部程度であるのが好まし
い。
【0072】また、前述した可溶性ポリイミド樹脂の分
散状態、すなわち最終硬化物の相分離構造は、例えば硬
化速度等の、硬化条件にも影響される。そこで硬化条件
を最適化して、成形体の耐衝撃性を最大にしうる相分離
構造をえるべく、この発明の硬化性樹脂組成物には、シ
アネートエステル樹脂およびエポキシ樹脂の硬化を促進
する硬化促進剤を添加することが好ましい。
【0073】上記硬化促進剤としては、たとえばナフテ
ン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテ
ン酸マンガン、オクチル酸銅、オクチル酸亜鉛、オクチ
ル酸コバルト、オクチル酸マンガン等のカルボン酸金属
塩類と、ノニルフェノール等の水酸化物との混合物、あ
るいは上記混合物にさらに、第3級アミン類またはイミ
ダゾール類を添加した混合物等が好適に使用される。
【0074】かかる硬化促進剤は、従来と同程度の添加
量を添加すればよい。その他、この発明の硬化性樹脂組
成物には、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色
剤、充てん剤等の各種添加剤を、成形体の耐熱性、耐衝
撃性および耐溶剤性等に影響を及ぼさない範囲で、適宜
添加してもよい。上記各成分からなる、この発明の硬化
性樹脂組成物を製造するには、たとえばジクロロメタン
等の溶剤を用いて、各成分を低温で混合する方法や、溶
剤を使用せずに高温で混合する方法等があげられる。
【0075】このうち前者の、溶剤を用いて各成分を低
温で混合する方法によって製造された硬化性樹脂組成物
は、低粘度の溶液であるため、強化繊維への含浸や型内
への流し込みが容易であり、フィラメントワインディン
グ法、積層成形法等の、強化繊維への含浸を伴う方法に
よって製造される成形体や、真空注入法等の、型内への
流し込みによって製造される成形体等に好適に使用でき
る。
【0076】一方、後者の、各成分を溶剤を使用せずに
高温で混合する方法によって製造された硬化性樹脂組成
物は、強化繊維への含浸や型内への流し込みは容易でな
いが、ボイドが発生するおそれがないので、たとえば射
出成形法等によって製造される肉厚の成形体等に好適に
使用できる。なお上記高温での混合法では、前述したよ
うにシアネートエステル樹脂がゲル化するのを防止する
ために、加熱混合の温度を前記170℃以下に限定した
り、あるいはまずエポキシ樹脂に可溶性ポリイミド樹脂
を高温で溶解した後、温度を下げてシアネートエステル
樹脂を混合したりするのが望ましい。
【0077】つぎに、この発明の成形体について説明す
る。この発明の成形体は、この発明の硬化性樹脂組成物
と強化繊維による複合材料からなるものである。この発
明の構成は、前記フィラメントワインディング法、積層
成形法、真空注入法、射出成形法等の、種々の成形法に
よって製造される、あらゆる成形体に適用される。
【0078】強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊
維、ボロン繊維、アラミド繊維等の、従来公知の種々の
強化繊維が、いずれも使用可能であるが、とくに炭素繊
維、ガラス繊維が、硬化性樹脂組成物との親和性にすぐ
れるため、好適に採用される。強化繊維の繊維長、添加
量等は、前述した成形法に応じて、適宜変更すればよ
い。たとえばフィラメントワインディング法には、繊維
束等の長尺、連続繊維状の強化繊維が使用され、積層成
形法には、強化繊維を織布状あるいは不織布状としたシ
ートが使用される。また真空注入法、射出成形法には、
たとえばウィスカー状等の短繊維状の強化繊維が使用さ
れる。
【0079】フィラメントワインディング法によってこ
の発明の成形体をえるには、連続繊維状の強化繊維に硬
化性樹脂組成物の溶液を含浸させ、マンドレルの周囲に
巻回した後、硬化性樹脂組成物を加熱して硬化させれば
よい。かかるフィラメントワインディング法によって製
造された成形体は筒状または中空状であり、たとえば各
種配管や容器(タンク)等に使用される。
【0080】また積層成形法によってこの発明の成形体
をえるには、連続繊維状の強化繊維からなるシートに硬
化性樹脂組成物の溶液を含浸させ、乾燥させてえたプリ
プレグを1層単独で、あるいは2層以上積層し、プレス
により加熱、加圧成形した後、さらに加熱して硬化性樹
脂組成物を硬化させればよい。かかる積層成形法によっ
て製造された成形体は板状であり、たとえばプリント基
板、建材等に使用される。
【0081】さらに、オートクレーブを用いて加熱、加
圧成形すれば、より複雑な形状の成形体がえられ、各種
構造部材に使用できる。
【0082】真空注入法によってこの発明の成形体をえ
るには、短繊維状の強化繊維を配合した硬化性樹脂組成
物の溶液を、真空引きした型内に注入した後、さらに真
空引きして有機溶剤を除去し、次いで、型を加熱して硬
化性樹脂組成物を硬化させればよい。また射出成形法に
よってこの発明の成形体をえるには、短繊維状の強化繊
維を混練した硬化性樹脂組成物を、射出成形機を用いて
型内に注入したのち、型を加熱して硬化性樹脂組成物を
硬化させればよい。また、あらかじめ強化繊維をセット
した型内に硬化性樹脂組成物を注入したのち、型を加熱
して硬化性樹脂組成物を硬化させてもよい。
【0083】かかる真空注入法、射出成形法によって製
造された成形体は、型の形状に応じた種々の形状とする
ことができる。つぎに、この発明の成形体の製造方法に
ついて説明する。この発明の製造方法は、前述したフィ
ラメントワインディング法に関するものであって、硬化
性樹脂組成物の溶液を含浸した強化繊維の巻回操作を一
旦停止させて、強化繊維に含浸された溶液から、有機溶
剤を揮発させて除去する操作を、巻回された強化繊維の
厚みが600μmを超えない範囲ごとに、繰り返し行う
ことを特徴としている。
【0084】上記の工程において、有機溶剤を揮発させ
て除去する操作を、巻回された強化繊維の厚みが600
μmを超えない範囲ごとに行うのは、強化繊維の厚みが
600μm以上では、巻回された中の方の強化繊維の溶
剤を、常圧条件下で完全に除去することができず、ボイ
ドや有機溶剤の残留を防止できないためである。なお、
有機溶剤を揮発させて除去する操作は、ボイドや有機溶
剤の残留をさらに確実に防止するためには、巻回された
強化繊維の厚みが300μmを超えない範囲ごとに行う
のが好ましい。
【0085】有機溶剤を揮発除去するには、熱風を吹き
付ける、赤外線を照射する等の方法によって、巻回され
た強化繊維を加熱すればよい。加熱の温度は、硬化性樹
脂組成物の硬化温度以下であればとくに限定されない
が、ボイドの発生を確実に防止するには、さらに溶剤の
沸点以下であるのが好ましい。
【0086】上記この発明の製造方法に使用する、硬化
性樹脂組成物の溶液は、上記ボイドや有機溶剤の残留を
防止する観点からすると、溶剤が少ないのが好ましい。
しかし、あまりに溶剤が少ないと、溶液の粘度が高くな
って、強化繊維に連続的に含浸させるのが容易でなくな
り、硬化性樹脂組成物が十分に含浸されていない部分が
生じて、成形体の耐衝撃性等が低下するおそれがある。
【0087】これらの問題を解消するため、この発明で
は、硬化性樹脂組成物の溶液の粘度が25℃で10〜1
000cP程度となるように、溶剤の量を調整するのが
好ましい。硬化性樹脂組成物の溶液の粘度が上記範囲未
満では、溶剤の量が多過ぎて、ボイドや有機溶剤の残留
を防止できなくなるおそれがある。
【0088】一方、溶液の粘度が上記範囲を超えた場合
には、強化繊維に連続的に含浸させるのが容易でなくな
り、硬化性樹脂組成物が十分に含浸されていない部分が
生じて、成形体の耐衝撃性等が低下するおそれがある。
なお、硬化性樹脂組成物の溶液の粘度は、ボイドの防止
と、繊維への含浸性とのバランスを考慮すると、上記範
囲内でもとくに100〜400cP程度であるのが好ま
しい。
【0089】強化繊維に含浸させる樹脂量は、成形体の
強度等を考慮すると、溶剤を除去した後の表面に余剰樹
脂層ができない程度とするのが望ましい。樹脂量は、た
とえば強化繊維に溶液を連続的に含浸させる含浸層の、
繊維の出口の口径により、調整することができる。巻回
の速度、硬化性樹脂組成物の硬化温度等の条件は、従来
と同様でよい。
【0090】上記この発明の成形体の製造方法によれ
ば、硬化性樹脂組成物の溶液が含浸された強化繊維をマ
ンドレルの周囲に巻回する途中で、有機溶剤を揮発させ
て除去する操作を繰り返し行うので、有機溶剤が原因で
発生するボイドや溶剤の残留がない、耐熱性、耐衝撃
性、耐溶剤性等にすぐれた成形体を、オートクレーブ等
を使用しない常圧条件下で、効率的に製造することがで
きる。
【0091】
【実施例】以下に、この発明を実施例、比較例に基づい
て説明する。 〈硬化性樹脂組成物〉 実施例1 ビスフェノールF型エポキシ樹脂〔前出の東都化成
(株)製の商品名YDF8170C、平均分子量35
0〕100重量部に、可溶性ポリイミド樹脂〔前出の旭
チバ(株)製の商品名マトリミド5218〕75重量部
を加え、150℃に加熱して溶融、混合した。
【0092】つぎに、液温を130℃まで下げた後、シ
アネートエステル樹脂〔旭チバ(株)製の商品名アロシ
ーB30、平均分子量350〕400重量部、ノニルフ
ェノール3重量部、ナフテン酸銅0.8重量部、および
2−エチル−4−メチルイミダゾール2重量部を加えて
かく拌して、3元系の硬化性樹脂組成物を製造した。 実施例2 シアネートエステル樹脂として、上記アロシーB30に
代えて、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパ
ンと、ビス(4−マレインイミドフェニル)メタンと
を、重量比で7:3の割合で混合し、160℃で2時
間、予備反応させてえた、上記両者のプレポリマーを含
むシアネートエステル樹脂400重量部を使用したこと
以外は、実施例1と同様にして3元系の硬化性樹脂組成
物を製造した。 実施例3 シアネートエステル樹脂〔前出の旭チバ(株)製の商品
名アロシーB30〕100重量部に、可溶性ポリイミド
樹脂〔前出の旭チバ(株)製の商品名マトリミド521
8〕15重量部、ノニルフェノール0.6重量部、ナフ
テン酸銅0.15重量部、およびジクロロメタン300
重量部を加えてかく拌して均一に溶解させた後、60℃
で加熱してジクロロメタンを除去して、2元系の硬化性
樹脂組成物を製造した。 実施例4 可溶性ポリイミド樹脂〔前出の旭チバ(株)製の商品名
マトリミド5218〕と、熱可塑性樹脂であるポリエー
テルイミド樹脂〔GEプラスチックス社製の商品名UL
TEM1000、ガラス転移温度217℃〕とを、重量
比で70:30の割合で混合したもの15重量部を使用
したこと以外は、実施例3と同様にして2元系の硬化性
樹脂組成物を製造した。 比較例1 可溶性ポリイミド樹脂を配合しなかったこと以外は、実
施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を製造した。 比較例2 可溶性ポリイミド樹脂に代えて、熱可塑性樹脂であるポ
リエーテルイミド樹脂〔前出のGEプラスチックス社製
の商品名ULTEM1000〕100重量部を使用した
こと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を
製造した。
【0093】上記各実施例、比較例の硬化性樹脂組成物
を、150℃で4時間、ついで180℃で2時間、そし
て230℃で2時間、段階的に昇温して加熱し、硬化さ
せて硬化物をえた。そして上記硬化物のガラス転移温度
Tgを示差走査熱量計で測定して、耐熱性を評価した。
また上記硬化物から、切り欠きつき試験片を切り出し
て、その歪みエネルギー開放率(GIC)を測定し、靱性
を評価した。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1より、可溶性ポリイミド樹脂を配合し
ない比較例1の硬化性樹脂組成物からえた硬化物は、耐
熱性にすぐれるものの靱性が低いことがわかった。ま
た、熱可塑性樹脂であるポリエーテルイミド樹脂を配合
した比較例2の硬化性樹脂組成物からえた硬化物は、比
較例1に比べて靱性が改良されるものの、耐熱性が著し
く低下することがわかった。また、この比較例2の硬化
性樹脂組成物からえた硬化物は、ジクロロメタンに浸漬
したところ、数分で、表面がはげしく浸食されたことか
ら、耐溶剤性が悪いこともわかった。
【0096】これに対し、可溶性ポリイミド樹脂を配合
した実施例1〜4の硬化性樹脂組成物からえた硬化物は
いずれも、比較例1に比べて靱性が改良されるととも
に、耐熱性も良好であることがわかった。また、実施例
1〜4の硬化性樹脂組成物からえた硬化物をジクロロメ
タンに浸漬したところ、いずれのものも24時間経過し
ても変化はみられず、耐溶剤性にもすぐれることが確認
された。 〈成形体〉 実施例5 前記実施例3で作製した硬化性樹脂組成物をジクロロメ
タンに溶解して、炭素繊維〔東レ(株)製の商品名T8
00〕の織布に含浸させた後、60℃に加熱してジクロ
ロメタンを除去してプリプレグを製造した。
【0097】つぎにこのプリプレグ16枚を、繊維の方
向が0°、±45°および90°方向に均等に配される
ように積層して150℃でプレス成形した後、150℃
で4時間、ついで180℃で2時間、そして230℃で
2時間、段階的に昇温して加熱して、硬化性樹脂組成物
を硬化させて、板状の成形体をえた。えられた成形体の
ガラス転移温度Tgを示差走査熱量計で測定したとこ
ろ、277℃であり、耐熱性にすぐれることがわかっ
た。
【0098】また上記成形体の、衝撃後圧縮強度(CA
I)を測定したところ、28kg/mm2 であり、耐衝
撃性にすぐれることがわかった。さらに、上記成形体を
ジクロロメタンに浸漬したところ、24時間経過しても
変化はみられず、耐溶剤性にもすぐれることが確認され
た。 〈成形体の製造方法〉 実施例6 前記実施例3で作製した硬化性樹脂組成物をジクロロメ
タンに溶解して、粘度200cPの溶液を作製した。
【0099】そして、炭素繊維〔前出の東レ(株)製の
商品名T800〕の繊維束(テープ幅6mm、厚み16
0μm)を強化繊維とし、上記溶液をマトリクス樹脂と
して、湿式フィラメントワインディング成形を行った。
成形は、マトリクス樹脂を含浸させた上記強化繊維を、
マンドレルの周囲に1層、巻回して、厚み160μmの
層を形成するごとに巻回を停止し、60℃に加熱してジ
クロロメタンを揮発させて除去する操作を、層の厚みが
2mmになるまで繰り返し行った。
【0100】そして層の厚みが2mmになった段階で巻
回を終了し、150℃で4時間、ついで180℃で2時
間、そして230℃で2時間、段階的に昇温して加熱し
て、硬化性樹脂組成物を硬化させて、筒状の成形体をを
えた。えられた成形体の断面を、走査型電子顕微鏡にて
観察したところ、層中にボイドはなく、繊維が均一に配
列しているのが確認された。
【0101】また、上記成形体から試験片を切り出して
強度を測定したところ、繊維方向の強度は260kg/
mm2 、繊維と直交する方向の強度は5.2kg/mm
2 で、かつ層間のせん断強度は11kg/mm2 であ
り、エポキシ樹脂を用いた従来の成形体と同等の強度を
有することが確認された。 比較例3 実施例6で使用したのと同じマトリクス樹脂を含浸させ
た強化繊維を、途中でジクロロメタンを揮発させて除去
する操作を行わずに、層の厚みが2mmになるまで連続
的に、マンドレルの周囲に巻回したこと以外は、実施例
6と同様にして筒状の成形体をえた。
【0102】そしてこの成形体の断面を、走査型電子顕
微鏡にて観察したところ、層中に多数のボイドが発生し
ているのが観察された。また、上記成形体から試験片を
切り出して強度を測定したところ、繊維方向の強度は1
20kg/mm2 、繊維と直交する方向の強度は2.5
kg/mm2 で、かつ層間のせん断強度は5.2kg/
mm2 であり、実施例6に比べて強度が低下しているこ
とが確認された。
【0103】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明の硬化性
樹脂組成物は、高い耐熱性を有するとともに、シアネー
トエステル樹脂の硬化物に靱性を付与する作用を備えた
可溶性ポリイミド樹脂を、上記シアネートエステル樹脂
の靱性を改良するために用いたものゆえ、耐熱性、耐衝
撃性、耐溶剤性等にすぐれた成形体を形成することが可
能となる。
【0104】またこの発明の成形体は、強化繊維を添加
した上記硬化性樹脂組成物を硬化させたものゆえ、耐熱
性、耐衝撃性、耐溶剤性等にすぐれている。さらにこの
発明の成形体の製造方法によれば、強化繊維に含浸させ
た硬化性樹脂組成物の溶液から、当該強化繊維のマンド
レルへの巻回工程の途中で溶剤を除去する工程を繰り返
し行うので、ボイドや溶剤の残留のない成形体を、オー
トクレーブ等を使用しない常圧条件下で製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 63/00 C08L 63/00 (72)発明者 黒田 昌利 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友 電気工業株式会社大阪製作所内 (56)参考文献 特開 昭56−90824(JP,A) 特開 昭63−183916(JP,A) 特開 平1−144462(JP,A) 特開 平4−7384(JP,A) 特開 平4−88021(JP,A) 特開 平5−255592(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 79/00 - 79/08 C08G 73/00 - 73/26

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬化性樹脂として、 (A) シアネートエステル樹脂、および (B) 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
    シ樹脂、のうち少なくともシアネートエステル樹脂を含
    有しているとともに、 (C) (1) 【化1】 で表される繰り返し単位を有し、かつ上記シアネートエ
    ステル樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方
    に対する溶解性を有する、ガラス転移温度260℃以上
    の芳香族ポリイミド樹脂、を含有していることを特徴と
    する硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】シアネートエステル樹脂が、 (a) 1分子中に2個以上のシアナト基を有する多官能
    シアナト化合物、およびこの多官能シアナト化合物から
    合成されるプレポリマーのうちの少なくとも一方と、 (b) 1分子中に2個以上のマレインイミド基を有する
    多官能マレインイミド化合物、およびこの多官能マレイ
    ンイミド化合物から合成されるプレポリマーのうちの少
    なくとも一方と、の混合物、または上記混合物の少なく
    とも一部を予備反応させたプレポリマーである請求項1
    記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】エポキシ樹脂が、ビスフェノールF型エポ
    キシ樹脂である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】シアネートエステル樹脂と芳香族ポリイミ
    ド樹脂の2成分からなり、シアネートエステル樹脂の含
    有量が60〜95重量%の範囲内で、かつ芳香族ポリイ
    ミド樹脂の含有量が5〜40重量%の範囲内である請求
    項1記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】シアネートエステル樹脂とエポキシ樹脂と
    芳香族ポリイミド樹脂の3成分からなり、シアネートエ
    ステル樹脂の含有量が20〜90重量%の範囲内、エポ
    キシ樹脂の含有量が5〜60重量%の範囲内で、かつ芳
    香族ポリイミド樹脂の含有量が5〜40重量%の範囲内
    である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】ガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性
    樹脂をも含有している請求項1記載の硬化性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】連続繊維状または短繊維状の強化繊維を含
    有したマトリクス樹脂を硬化させた複合材料からなる成
    形体であって、上記マトリクス樹脂として、上記請求項
    1ないし6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を使用
    したことを特徴とする成形体。
  8. 【請求項8】強化繊維が、炭素繊維またはガラス繊維で
    ある請求項7記載の成形体。
  9. 【請求項9】連続繊維状の強化繊維に硬化性樹脂組成物
    の溶液を含浸させ、マンドレルの周囲に巻回した後、硬
    化性樹脂組成物を硬化させるフィラメントワインディン
    グ法により、請求項7記載の成形体を製造する方法であ
    って、硬化性樹脂組成物の溶液を含浸した強化繊維の巻
    回操作を一旦停止させて、マンドレル上の強化繊維に含
    浸された溶液から、有機溶剤を揮発させて除去する操作
    を、巻回された強化繊維の厚みが600μmを超えない
    範囲ごとに、繰り返し行うことを特徴とする成形体の製
    造方法。
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