JP3498364B2 - 自動車 - Google Patents
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- JP3498364B2 JP3498364B2 JP13094994A JP13094994A JP3498364B2 JP 3498364 B2 JP3498364 B2 JP 3498364B2 JP 13094994 A JP13094994 A JP 13094994A JP 13094994 A JP13094994 A JP 13094994A JP 3498364 B2 JP3498364 B2 JP 3498364B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農用走行車体等の自動
車の車高を調節するための構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】走行車体に植付作業機やその他の作業機
を選択的に装着することができ、苗の植付作業以外に管
理作業にも使用することのできる管理田植機が開発され
ている。植付作業を行う時は、走行車体の車高が低い方
が機体が安定して好ましいが、稲がある程度成育した時
点で行う管理作業の場合は、稲を跨ぐ程度に走行車体の
車高を高くしなければならない。よって、この種の管理
田植機用の走行車体には、前輪および後輪を機体に対し
て上下動させることにより車高を調節する機構が設けら
れている。 【0003】後輪の上下動機構に関して言えば、上下に
回動自在な支持体に後輪が支持されており、該支持体を
油圧シリンダ等のアクチュエータによって上下に回動さ
せることにより、後輪を機体に対して上下動させる構成
となっている。このため、後輪を上下動させると、それ
と同時に後輪が前後に移動する。例えば、回動中心の前
方かつ下方に偏心させて後輪が支持体に支持されている
ならば、後輪を機体に対して下動(車高上げ)させる
と、後輪が後方へ移動し、ホイールベースが広くなる。 【0004】また、この種の走行車体は、旋回時に操作
性をよくするために、後輪側がサイドクラッチ・ブレー
キとして構成され、後輪のクラッチを切ると、それと同
時に後輪にブレーキがかかるようになっていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記構成の走行車体を
車高調節するに際し、次のような場合に不都合があっ
た。例えば、機体の前部を畦側に向けて圃場内の畦際で
車高を上げようとする場合、後輪はブレーキがかかって
いて移動できないから、ホイールベースを広げるために
前輪が前進しようとするが、前輪は畦に当接しているの
で前進することができず、車高調節ができなかった。走
行車体のステップフロアへは機体の前部から人が乗り降
りすることが可能で、実際に農道や畦からの乗り降りの
ために、機体の前部を畦側に向けて畦際に停止させるこ
とが多い。このため、上記状態で車高調節できないとい
うことは、極めて不便である。そこで、畦際等でも車高
調節ができる走行車体が待望されている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に
かかる自動車は、前輪2と駆動後輪3とを備え、アクチ
ュエータにより駆動後輪3を上下方向および前後方向に
移動可能とした自動車において、前記駆動後輪3を制動
することなく該駆動後輪への伝動を停止する伝動停止手
段を設けるとともに、該駆動後輪3は、上位にあるほど
前側に位置し、下位にあるほど後側に位置するように構
成し、前輪車軸2aを支持する前輪ファイナルケース8
は、フロントアクスル6の端部に設けた縦軸ケース7の
下端部に回動中心軸8a回りに回動自在に設けて、前記
縦軸ケース内部に設けた縦軸7aの回転をベベルギヤG
1,G2とカウンタ軸7bを介して伝達される回転力に
より回動するように構成し、前記前輪2は、前輪ファイ
ナルケース8を円周軌跡のほぼ前半分の範囲で回動させ
ることにより上下し、前輪上げ位置FW1では前輪車軸
2aが前記円周軌跡における上死点Z1より少し手前の
位置に位置し、前輪下げ位置FW2では前輪車軸2aが
円周軌跡における下死点Z2を少し越えた位置に位置す
るように設定し、かつ前輪下げ位置FW2及び前輪上げ
位置FW1では、ストッパS1,S2により前輪ファイ
ナルケース8のそれ以上の回動が規制されるように構成
したことを特徴としている。 【0007】 【作用】アクチュエータにより上下方向および前後方向
に移動する駆動後輪は、制動することなく伝動を停止す
ると、前後に自在に移動可能となり、他の車輪の前後動
が拘束された状態であっても車高調節を行える。この駆
動後輪は、上位にあるほど前側に位置し、下位にあるほ
ど後側に位置するので、畦際等で前輪を下げてから駆動
後輪を下げようとすると、畦に当接した前輪が機体に対
し後側に移動しようとするが、この力はストッパによっ
て支えられ、前輪の移動が規制される。また、前輪は、
前輪ファイナルケースを円周軌跡のほぼ前半分の範囲で
回動させることにより上下し、前輪上げ位置では前輪車
軸が前記円周軌跡における上死点より少し手前の位置に
位置し、前輪下げ位置では前輪車軸が円周軌跡における
下死点を少し越えた位置に位置するように設定されてい
るので、ファイナルケースを回動可能な側に回動させる
には機体の重量に反した力が必要となり、それぞれの位
置で前輪が安定する。 【0008】 【実施例】以下、本発明にかかる自動車の1例として、
図1〜14に示す管理田植機の走行車体について説明す
る。 【0009】この走行車体1は四輪駆動車両であり、駆
動輪である左右一対の前輪2,2および後輪3,3を備
えている。機体の前部に配したミッションケース5の左
右側面部からフロントアクスルケース6,6が左右側方
に延ばされ、その先端部に縦軸ケース7,7が固定して
設けられ、さらにその下端部に前輪ファイナルケース
8,8が回動中心軸8a,8a回りに回動自在に設けら
れ、この前輪ファイナルケース8,8の外側部から外向
きに突出する前輪車軸2a,2aに前輪2,2が取り付
けられている。縦軸ケース7はフロントアクスルケース
側の上部ケース7Uと前輪ファイナルケース側の下部ケ
ース7Lとからなり、上部ケース7Uに対して下部ケー
ス7Lは変向可能になっている。 【0010】前輪車軸2aは回動中心軸8aから偏心し
ており、回動中心軸8a回りの前輪ファイナルケース8
を回動させることにより、機体に対する前輪2の上下位
置が調節することができる。前輪ファイナルケース8の
回動範囲は、前輪ファイナルケース8の外面部に固着の
一対のストッパS1,S2と下部ケース7Lに固着のス
トッパ受け9によって規制された円周のほぼ前半分の範
囲θとなっている。図5(a)に示す如く、ストッパS
1をストッパ受け9の係合部9aに係合させると、機体
に対し前輪2が高くなった前輪上げ位置FW1(車高h
1 )となり、また、図5(b)に示す如く、ストッパS
2をストッパ受け9の係合部9bに係合させると、機体
に対し前輪2が低くなった前輪下げ位置FW2(車高h
2 )となる。この前輪上下調節の方法については後述す
る。それぞれの位置FW1,FW2に調節した後、縦軸
ケース7側から挿入する固定ボルト100,…を前輪フ
ァイナルケース8にねじ込んで、両ケース7,8が回動
しないように固定する。 【0011】なお、前輪上げ位置FW1は前輪ファイナ
ルケース8を上側に回動させた場合に円周の上死点Z1
より少し手前の位置に設定され、かつ、前輪下げ位置F
W2は前輪ファイナルケース8を下側に回動させた場合
に円周の下死点Z2を少し越えた位置に設定されてい
る。これは、前輪上げ位置FW1もしくは前輪下げ位置
FW2に前輪がある時、前輪ファイナルケース8を回動
可能側に回動させるには機体の重量に反した力が要する
ので、それぞれの位置FW1,FW2で前輪2が安定す
るからである。 【0012】縦軸ケース7内の縦軸7aの回転は、ベベ
ルギヤG1,G2によってカウンタ軸7bに伝えられ、
さらにギヤG3,G4によってカウンタ軸7bから前輪
ファイナルケース8の回動中心軸8aへ伝えられる。従
来は、図15に示すように、縦軸7aから回動中心軸8
aへ直接伝動していたので、ベベルギヤG1,G2を内
蔵している縦軸ケース7の下部が前輪上げ位置FW1に
ある前輪ファイナルケース8の下部よりも下方に張り出
していた。このため、この縦軸ケース7の下部が水田内
作業時に泥を押すという障害があった。これに対し、本
実施例の縦軸ケース7の下部は前輪ファイナルケース8
の下部よりも下方に張り出していないため、水田内作業
時の泥押しが少ない。 【0013】縦軸ケース7と前輪ファイナルケース8の
スラスト面はOリング101によってシールされてい
る。また、縦軸ケース7の筒状部の先端部には、両ケー
ス7,8の抜け止め用のC型止め輪102が取り付けら
れている。このC型止め輪102は、縦軸ケース7と前
輪ファイナルケース8を固定した状態において、C型止
め輪102と前輪ファイナルケース8との間に隙間dが
設けられている。このため、車高調節時に固定ボルト1
00,…を外した際、Oリング101の弾力により前輪
ファイナルケース8が縦軸ケース7から離れる方向へ隙
間d分だけ移動し、Oリング101の押付け代が少なく
なり、前輪ファイナルケース8の回動抵抗が減少する。 【0014】前輪2は、円板状のホイールディスク10
5の外周部に円環状のリム106を取り付け、その周囲
にゴムモールドしてタイヤ107を成形したもので、ホ
イールディスク105の内周部を前輪車軸2aに固着の
フランジ120にセットボルト121,…にて固定して
装着されている。そして、前輪2の内部に入り込んだ前
輪ファイナルケース8に、前輪2の内側をほとんど隙間
なく遮蔽するカバー123が取り付けられている。この
ため、植付作業時における、前輪2の内部への泥の侵入
が防止され、前輪ファイナルケース8による泥押しが生
じない。また、管理作業時に作物が前輪2に巻き込まれ
ることがない。 【0015】また、ミッションケース5の背面部には左
右一対のメインフレーム10,10の前端部が固着さ
れ、さらにメインフレーム10,10の後端部には横フ
レーム11が固着されている。そして、横フレーム11
の左右中央部に軸心が前後水平に向いた後輪ローリング
軸12が固定状態で嵌合し、該後輪ローリング軸の突出
部に後輪フレーム13がローリング自在に支持されてい
る。この後輪フレーム13の左右端部に後輪入力ケース
15,15が一体に設けられ、さらに該後輪入力ケース
に対し回動中心軸16a,16a回りに回動自在に後輪
支持体である後輪ファイナルケース16,16が設けら
れ、その外側部から外向きに突出する後輪車軸3a,3
aに後輪3,3が取り付けられている。後輪車軸3aは
回動中心軸16aから偏心しており、回動中心軸16a
回りの後輪ファイナルケース16の角度が変わると、機
体に対する後輪3の上下位置が変わるとともに、ホイー
ルベースが変化するようになっている。 【0016】後輪ファイナルケース16,16の角度を
変えるアクチュエータは後輪昇降シリンダ18,18で
ある。これら後輪昇降シリンダ18,18は複動式の油
圧シリンダであって、シリンダ体側がメインフレーム1
0,10に枢着され、ピストン側が後輪フレーム13の
外周部に回動自在に嵌合する筒体19,19に固着した
揺動アーム20,20の先端に連結されている。左右の
後輪昇降シリンダ18,18は共通の後輪昇降バルブ2
5(図11参照)によって制御される。筒体19,19
には揺動アーム20,20とは別に連動アーム22,2
2が固着されており、その連動アーム22,22の先端
部が後輪ファイナルケース16,16の内面部に突設し
た連結軸23,23に回動自在に連結されている。 【0017】後輪昇降シリンダ18,18を伸縮作動さ
せることにより後輪ファイナルケース16,16が図7
におけるαの範囲内で回動し、後輪ファイナルケース1
6,16が上向きに回動すると機体に対し後輪3,3が
上昇し(車高H 1 )、後輪ファイナルケース16,16
が下向きに回動すると機体に対し後輪3,3が下降する
(車高H2 )。また、後輪3,3が上位にある程後輪
3,3の前後位置が前側になり、後輪3,3が下位にあ
る程後輪3,3の前後位置が後側になる。 【0018】エンジン30はメインフレーム10,10
の上に設けられている。エンジン30の回転動力が、第
1ベルト伝動装置31を介してHST32に伝えられる
とともに、第2ベルト伝動装置33を介してジェネレー
タ34に伝えられる。さらに、HST32によって変速
後の回転動力が、無段変速機構を有する第3ベルト伝動
装置36を介してミッションケース5に伝えられるとと
もに、第4ベルト伝動装置37を介して油圧ポンプ3
8,39に伝えられる。また、HST入力軸32aから
は第5ベルト伝動装置47を介して、植付作業機以外の
作業機を駆動するための汎用クラッチ48へ伝動され
る。 【0019】第3ベルト伝動装置36のミッション側プ
ーリ36aとミッション入力軸5aの伝動部は主クラッ
チAとして構成されている。この主クラッチAを経由し
てミッションケース5に入力された回転動力は、主変速
装置Bによって変速した後、走行用動力と作業機用動力
に分けられる。 【0020】走行用動力は、フロントデフ装置Cを経由
して左右のフロントアクスル6a,6a、縦軸7a,7
a、回動中心軸8a,8a、前輪車軸2a,2aの順に
伝動されるとともに、リヤデフ装置Dを経由して左右の
リヤデフ軸5b,5b、後輪出力軸5c,5c、後輪伝
動軸40,40、後輪入力軸15a,15a、回動中心
軸16a,16a、後輪車軸3a,3aの順に伝動され
る。なお、デフ装置C,Dは、デフ機能を停止させるデ
フロック機構Ca,Daを有する。 【0021】リヤデフ軸5b,5bから後輪出力軸5
c,5cへの伝動部には、図10に示すサイドクラッチ
・ブレーキE,Eが設けられている。同図におけるg1
はリヤデフ軸5bに取り付けたベベルギヤ、g2は後輪
出力軸5cに回転自在に嵌合するベベルギヤである。サ
イドクラッチ41は多板クラッチであって、ベベルギヤ
g2にスプライン嵌合する外筒体41aの駆動板41
b,…と後輪出力軸5cに一体に設けた内筒体41cの
受動板41d,…とが対向させられており、リング状の
板バネ41e,…によってスライダ41fを外筒体41
aに押し付けることにより、駆動板41b,…と受動板
41d,…とが圧接されクラッチ入になる。シフタ41
gを操作してスライダ41fによる外筒体41aの押し
付けを解除すると、駆動板41b,…と受動板41d,
…が離れクラッチ切になる。 【0022】ブレーキ42は、後輪出力軸5cに取り付
けたドラム42a,…にシュー42b,…を押し付け
て、後輪出力軸5cの回転を制動するようになってい
る。前記シフタ41gをクラッチ切側に操作する際に、
スライダ41fがディスク42cを押圧してシュー42
b,…がドラム42a,…を押し付けるようになってい
るので、サイドクラッチ切動作に連動して後輪3にブレ
ーキがかかる。 【0023】上記サイドクラッチ・ブレーキE,Eを操
作する後輪ブレーキペダル55E,55Eには、後輪
3,3を制動することなく該後輪への伝動を停止操作す
る伝動停止手段が設けられている。この伝動停止手段
は、図12に示すように、後輪ブレーキペダル55Eの
基部の外周面に突起55aが形成され、その突起55a
に係合する凹部55bを備えた円弧状の抵抗部材55c
がスプリング55dによって基部側に押し付けられてい
る。 【0024】ペダルを踏んでいない時はP1 の位置にあ
り、サイドクラッチ41は入で、かつブレーキ42がか
かっていない状態である。ペダルを少し踏んでP2 の位
置になると、突起55aが凹部55bに係合し、ペダル
を踏む足に若干の抵抗が与えられる。この時、サイドク
ラッチ41は切で、かつブレーキ42がかかっていない
状態でなる。さらに、ペダルを踏み込んでP3 の位置に
なると、サイドクラッチ41は切で、かつブレーキ42
がかかった状態でなる。 【0025】後輪伝動軸40はユニバーサルジョイント
43,43を介して後輪出力軸5cおよび後輪入力軸1
5aに連結され、かつ後輪伝動軸40は伸縮自在に構成
されているので、後輪3,3のローリングによって後輪
出力軸5cと後輪入力軸15aの位置関係や距離が変わ
ってもそれに対応できるようになっている。 【0026】また、作業機用動力は、株間変速装置Fに
よって変速した後、作業機伝動軸45を介して植付クラ
ッチケース46に伝えられ、ここでPTO軸46aと施
肥駆動軸46bに分離して取り出される。この植付クラ
ッチケース46内には、植付作業機の駆動を入切させる
とともに駆動を切った時に植付作業機を所定の位相で停
止させる植付クラッチGが内蔵されている。 【0027】操縦座席50はエンジン30の上側を覆う
エンジンカバー51の上に設置されている。そして、操
縦座席50の前方のフロントカバー52の上方に操縦ハ
ンドル53が設けられている。また、フロントカバー5
2および操縦座席50の周辺部に、各種レバー54,
…、各種ペダル55,…等が設けられている。エンジン
カバー51およびフロントカバー52の下部の周りは水
平状のフロアステップ57となり、その上を操縦者が歩
行等をすることができるようになっている。 【0028】また、後輪フレーム13には、スタンド5
8が下方に降ろした状態と水平に収納した状態とに回動
可能に設けられている。このスタンド58の使用に際し
ては、機体に対して後輪3,3を下げた状態でスタンド
58を降ろし、然る後、機体に対して後輪3,3を上げ
て機体をスタンド58に支持させるようにする。スタン
ド58はローリング自在な後輪フレーム13に設けられ
ているため、未舗装の農道等の平坦でない所で使用して
も機体が左右に傾かない。 【0029】作業機装着装置59は平行リンク構成であ
って、1本アッパリンク60および左右一対のロアリン
ク61,61を備えている。これらリンク60,61,
61は、その基部側がメインフレーム10,10の後端
部に立設したリンクベースフレーム62に回動自在に取
り付けられ、その先端側に走行車体側ヒッチ63が連結
されている。メインフレーム10,10に固着した支持
部材(図示せず)とアッパリンク60に一体形成したス
イングアーム64の先端部との間に作業機昇降シリンダ
65が介装されており、該シリンダを伸縮させることに
より、アッパリンク60が上下に回動し、走行車体側ヒ
ッチ63に装着した作業機がほぼ一定姿勢のまま昇降す
る。この作業機昇降シリンダ65は作業機昇降バルブ6
6(図11参照)で制御される。 【0030】油圧回路は図11のように組まれている。
すなわち、2つの油圧ポンプ38,39を備え、一方の
油圧ポンプ38は後輪昇降シリンダ18,18と作業機
昇降シリンダ65に油を送り、もう一方の油圧ポンプ3
9はパワーステアリング用のトルクジェネレータ68に
油を送るようになっている。また、作業機昇降バルブ6
6が中立である時にのみ、後輪昇降バルブ25に油が供
給されるようになっている。 【0031】走行車体1は以上のように構成され、作業
目的に応じて、前輪2,2および後輪3,3の機体に対
する上下位置を適宜調節する。また、走行車体1には機
体の前後傾斜を検出する水平センサ24が設けられてい
て、その水平センサの検出結果に基づき、機体を前後水
平に維持する前後水平制御を行うこともできるようにな
っている。 【0032】前輪を上げ位置FW1から下げ位置FW2
にする場合は、ミッションを後進に入れ、左右の後輪ブ
レーキペダル55E,55EをP3 の位置までいっぱい
に踏み込む。すると、サイドクラッチ41,41が切れ
ると同時に後輪ブレーキ42,42がかかり、後輪3,
3の回転が停止する。一方、前輪2,2は回転したまま
であるので、前輪2,2は地面を転動しようとする。後
輪3,3と地面との摩擦抵抗の方が前輪2,2による推
進力よりも大きいので、機体は移動することができず、
その結果、前輪ファイナルケース8,8が回動中心軸8
a,8aを支点にして前輪の回転駆動方向と逆向きに回
動し、前輪2,2が上げ位置FW1から下げ位置FW2
へ移動する。 【0033】逆に、下げ位置FW2から前輪を上げ位置
FW1にする場合は、ミッションを前進に入れ、後輪ブ
レーキペダル55E,55Eを踏み込む。すると、前輪
ファイナルケース8,8が前記前輪下げ時とは逆方向に
回動し、前輪2,2が機体に対して上昇する。 【0034】なお、前輪ファイナルケース回動作動時に
フロントデフ装置Cをロックしておくと、左右の前輪フ
ァイナルケース8,8が一様に回動作動するので、前輪
上下調節が安定して行われる。 【0035】また、後輪3,3の上げ下げは、ミッショ
ンをニュートラルに入れ、後輪ブレーキペダル55E,
55EをP2 の位置まで踏み込んだ状態で、後輪昇降シ
リンダ18,18を伸縮させる。すると、後輪ファイナ
ルケース16,16が回動中心軸16a,16aを支点
にして上下に回動し、後輪3,3の上下位置が変わる。
この後輪上下動操作時、後輪ブレーキペダル55E,5
5EがP2 に操作されているので、サイドクラッチ4
1,41は切、かつ後輪ブレーキ42,42はかかって
いない状態であり、後輪3,3は遊転自在である。この
ため、後輪3,3が地面を後方に転動することによりホ
イールベース調整を行うことができ、図1に示すよう
に、前輪2,2が畦に当接した状態で後輪3,3を下げ
ることが可能となっている。 【0036】前後水平制御を機能させておくと、水平セ
ンサ24の検出値が機体水平に維持されるように後輪昇
降シリンダ18,18が制御され、前輪ファイナルケー
ス8,8の回動に応じて後輪ファイナルケース16,1
6も上下に回動し、機体に対する後輪3,3の上下位置
が変化する。これによって、機体を水平に保ったまま車
高を調節することができる。 【0037】植付作業に使用するときは、図13に示す
ように、走行車体1の車高を低くし、作業機装着装置5
9に植付作業機70を装着する。図13の状態は操縦座
席50の後側に施肥装置80が設けられ、苗植付けと同
時に植え付けた苗の側部近傍に施肥を施すようになって
いる。また。管理作業に使用するときは、図14に示す
ように、走行車体1の車高を高くし、作業機装着装置5
9に粒状物散布機90を装着する。 【0038】 【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかる自
動車は、アクチュエータを用いて駆動車輪を上下方向お
よび前後方向に移動させ、車高とホイールベースを同時
に調節する構成であって、駆動車輪を制動することなく
該駆動車輪への伝動を停止することにより、他の車輪の
前後動が拘束された状態であっても車高調節を行えるよ
うになった。また、畦際等で、前輪を下げてから駆動後
輪を下げるとき、前輪が畦に当接して機体に対し後側へ
移動しようとするが、この力はストッパによって支持さ
れ、前輪の移動が確実に防止されるようになった。この
力をファイナルケースを回動させる駆動装置で受けよう
とすると、当該駆動装置を堅牢で大掛かりなものとする
必要があるが、本発明では、比較的簡単な構造で前輪の
移動を防止することが可能である。さらに、前輪上げ位
置では前輪車軸が前記円周軌跡における上死点より少し
手前の位置に位置し、前輪下げ位置では前輪車軸が円周
軌跡における下死点を少し越えた位置に位置するように
設定されているので、ファイナルケースを回動可能な側
に回動させるには機体の重量に反した力が必要となり、
それぞれの位置で前輪が安定する。また、前輪ファイナ
ルケースには、縦軸ケース内部に設けた縦軸の回転をベ
ベルギヤとカウンタ軸を介して回転を伝達するので、縦
軸ケースの下部が当該ファイナルケースの下部よりも下
側に張り出さないようにすることができ、水田内作業時
のファイナルケースによる泥押しが少なくなる。
車の車高を調節するための構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】走行車体に植付作業機やその他の作業機
を選択的に装着することができ、苗の植付作業以外に管
理作業にも使用することのできる管理田植機が開発され
ている。植付作業を行う時は、走行車体の車高が低い方
が機体が安定して好ましいが、稲がある程度成育した時
点で行う管理作業の場合は、稲を跨ぐ程度に走行車体の
車高を高くしなければならない。よって、この種の管理
田植機用の走行車体には、前輪および後輪を機体に対し
て上下動させることにより車高を調節する機構が設けら
れている。 【0003】後輪の上下動機構に関して言えば、上下に
回動自在な支持体に後輪が支持されており、該支持体を
油圧シリンダ等のアクチュエータによって上下に回動さ
せることにより、後輪を機体に対して上下動させる構成
となっている。このため、後輪を上下動させると、それ
と同時に後輪が前後に移動する。例えば、回動中心の前
方かつ下方に偏心させて後輪が支持体に支持されている
ならば、後輪を機体に対して下動(車高上げ)させる
と、後輪が後方へ移動し、ホイールベースが広くなる。 【0004】また、この種の走行車体は、旋回時に操作
性をよくするために、後輪側がサイドクラッチ・ブレー
キとして構成され、後輪のクラッチを切ると、それと同
時に後輪にブレーキがかかるようになっていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記構成の走行車体を
車高調節するに際し、次のような場合に不都合があっ
た。例えば、機体の前部を畦側に向けて圃場内の畦際で
車高を上げようとする場合、後輪はブレーキがかかって
いて移動できないから、ホイールベースを広げるために
前輪が前進しようとするが、前輪は畦に当接しているの
で前進することができず、車高調節ができなかった。走
行車体のステップフロアへは機体の前部から人が乗り降
りすることが可能で、実際に農道や畦からの乗り降りの
ために、機体の前部を畦側に向けて畦際に停止させるこ
とが多い。このため、上記状態で車高調節できないとい
うことは、極めて不便である。そこで、畦際等でも車高
調節ができる走行車体が待望されている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に
かかる自動車は、前輪2と駆動後輪3とを備え、アクチ
ュエータにより駆動後輪3を上下方向および前後方向に
移動可能とした自動車において、前記駆動後輪3を制動
することなく該駆動後輪への伝動を停止する伝動停止手
段を設けるとともに、該駆動後輪3は、上位にあるほど
前側に位置し、下位にあるほど後側に位置するように構
成し、前輪車軸2aを支持する前輪ファイナルケース8
は、フロントアクスル6の端部に設けた縦軸ケース7の
下端部に回動中心軸8a回りに回動自在に設けて、前記
縦軸ケース内部に設けた縦軸7aの回転をベベルギヤG
1,G2とカウンタ軸7bを介して伝達される回転力に
より回動するように構成し、前記前輪2は、前輪ファイ
ナルケース8を円周軌跡のほぼ前半分の範囲で回動させ
ることにより上下し、前輪上げ位置FW1では前輪車軸
2aが前記円周軌跡における上死点Z1より少し手前の
位置に位置し、前輪下げ位置FW2では前輪車軸2aが
円周軌跡における下死点Z2を少し越えた位置に位置す
るように設定し、かつ前輪下げ位置FW2及び前輪上げ
位置FW1では、ストッパS1,S2により前輪ファイ
ナルケース8のそれ以上の回動が規制されるように構成
したことを特徴としている。 【0007】 【作用】アクチュエータにより上下方向および前後方向
に移動する駆動後輪は、制動することなく伝動を停止す
ると、前後に自在に移動可能となり、他の車輪の前後動
が拘束された状態であっても車高調節を行える。この駆
動後輪は、上位にあるほど前側に位置し、下位にあるほ
ど後側に位置するので、畦際等で前輪を下げてから駆動
後輪を下げようとすると、畦に当接した前輪が機体に対
し後側に移動しようとするが、この力はストッパによっ
て支えられ、前輪の移動が規制される。また、前輪は、
前輪ファイナルケースを円周軌跡のほぼ前半分の範囲で
回動させることにより上下し、前輪上げ位置では前輪車
軸が前記円周軌跡における上死点より少し手前の位置に
位置し、前輪下げ位置では前輪車軸が円周軌跡における
下死点を少し越えた位置に位置するように設定されてい
るので、ファイナルケースを回動可能な側に回動させる
には機体の重量に反した力が必要となり、それぞれの位
置で前輪が安定する。 【0008】 【実施例】以下、本発明にかかる自動車の1例として、
図1〜14に示す管理田植機の走行車体について説明す
る。 【0009】この走行車体1は四輪駆動車両であり、駆
動輪である左右一対の前輪2,2および後輪3,3を備
えている。機体の前部に配したミッションケース5の左
右側面部からフロントアクスルケース6,6が左右側方
に延ばされ、その先端部に縦軸ケース7,7が固定して
設けられ、さらにその下端部に前輪ファイナルケース
8,8が回動中心軸8a,8a回りに回動自在に設けら
れ、この前輪ファイナルケース8,8の外側部から外向
きに突出する前輪車軸2a,2aに前輪2,2が取り付
けられている。縦軸ケース7はフロントアクスルケース
側の上部ケース7Uと前輪ファイナルケース側の下部ケ
ース7Lとからなり、上部ケース7Uに対して下部ケー
ス7Lは変向可能になっている。 【0010】前輪車軸2aは回動中心軸8aから偏心し
ており、回動中心軸8a回りの前輪ファイナルケース8
を回動させることにより、機体に対する前輪2の上下位
置が調節することができる。前輪ファイナルケース8の
回動範囲は、前輪ファイナルケース8の外面部に固着の
一対のストッパS1,S2と下部ケース7Lに固着のス
トッパ受け9によって規制された円周のほぼ前半分の範
囲θとなっている。図5(a)に示す如く、ストッパS
1をストッパ受け9の係合部9aに係合させると、機体
に対し前輪2が高くなった前輪上げ位置FW1(車高h
1 )となり、また、図5(b)に示す如く、ストッパS
2をストッパ受け9の係合部9bに係合させると、機体
に対し前輪2が低くなった前輪下げ位置FW2(車高h
2 )となる。この前輪上下調節の方法については後述す
る。それぞれの位置FW1,FW2に調節した後、縦軸
ケース7側から挿入する固定ボルト100,…を前輪フ
ァイナルケース8にねじ込んで、両ケース7,8が回動
しないように固定する。 【0011】なお、前輪上げ位置FW1は前輪ファイナ
ルケース8を上側に回動させた場合に円周の上死点Z1
より少し手前の位置に設定され、かつ、前輪下げ位置F
W2は前輪ファイナルケース8を下側に回動させた場合
に円周の下死点Z2を少し越えた位置に設定されてい
る。これは、前輪上げ位置FW1もしくは前輪下げ位置
FW2に前輪がある時、前輪ファイナルケース8を回動
可能側に回動させるには機体の重量に反した力が要する
ので、それぞれの位置FW1,FW2で前輪2が安定す
るからである。 【0012】縦軸ケース7内の縦軸7aの回転は、ベベ
ルギヤG1,G2によってカウンタ軸7bに伝えられ、
さらにギヤG3,G4によってカウンタ軸7bから前輪
ファイナルケース8の回動中心軸8aへ伝えられる。従
来は、図15に示すように、縦軸7aから回動中心軸8
aへ直接伝動していたので、ベベルギヤG1,G2を内
蔵している縦軸ケース7の下部が前輪上げ位置FW1に
ある前輪ファイナルケース8の下部よりも下方に張り出
していた。このため、この縦軸ケース7の下部が水田内
作業時に泥を押すという障害があった。これに対し、本
実施例の縦軸ケース7の下部は前輪ファイナルケース8
の下部よりも下方に張り出していないため、水田内作業
時の泥押しが少ない。 【0013】縦軸ケース7と前輪ファイナルケース8の
スラスト面はOリング101によってシールされてい
る。また、縦軸ケース7の筒状部の先端部には、両ケー
ス7,8の抜け止め用のC型止め輪102が取り付けら
れている。このC型止め輪102は、縦軸ケース7と前
輪ファイナルケース8を固定した状態において、C型止
め輪102と前輪ファイナルケース8との間に隙間dが
設けられている。このため、車高調節時に固定ボルト1
00,…を外した際、Oリング101の弾力により前輪
ファイナルケース8が縦軸ケース7から離れる方向へ隙
間d分だけ移動し、Oリング101の押付け代が少なく
なり、前輪ファイナルケース8の回動抵抗が減少する。 【0014】前輪2は、円板状のホイールディスク10
5の外周部に円環状のリム106を取り付け、その周囲
にゴムモールドしてタイヤ107を成形したもので、ホ
イールディスク105の内周部を前輪車軸2aに固着の
フランジ120にセットボルト121,…にて固定して
装着されている。そして、前輪2の内部に入り込んだ前
輪ファイナルケース8に、前輪2の内側をほとんど隙間
なく遮蔽するカバー123が取り付けられている。この
ため、植付作業時における、前輪2の内部への泥の侵入
が防止され、前輪ファイナルケース8による泥押しが生
じない。また、管理作業時に作物が前輪2に巻き込まれ
ることがない。 【0015】また、ミッションケース5の背面部には左
右一対のメインフレーム10,10の前端部が固着さ
れ、さらにメインフレーム10,10の後端部には横フ
レーム11が固着されている。そして、横フレーム11
の左右中央部に軸心が前後水平に向いた後輪ローリング
軸12が固定状態で嵌合し、該後輪ローリング軸の突出
部に後輪フレーム13がローリング自在に支持されてい
る。この後輪フレーム13の左右端部に後輪入力ケース
15,15が一体に設けられ、さらに該後輪入力ケース
に対し回動中心軸16a,16a回りに回動自在に後輪
支持体である後輪ファイナルケース16,16が設けら
れ、その外側部から外向きに突出する後輪車軸3a,3
aに後輪3,3が取り付けられている。後輪車軸3aは
回動中心軸16aから偏心しており、回動中心軸16a
回りの後輪ファイナルケース16の角度が変わると、機
体に対する後輪3の上下位置が変わるとともに、ホイー
ルベースが変化するようになっている。 【0016】後輪ファイナルケース16,16の角度を
変えるアクチュエータは後輪昇降シリンダ18,18で
ある。これら後輪昇降シリンダ18,18は複動式の油
圧シリンダであって、シリンダ体側がメインフレーム1
0,10に枢着され、ピストン側が後輪フレーム13の
外周部に回動自在に嵌合する筒体19,19に固着した
揺動アーム20,20の先端に連結されている。左右の
後輪昇降シリンダ18,18は共通の後輪昇降バルブ2
5(図11参照)によって制御される。筒体19,19
には揺動アーム20,20とは別に連動アーム22,2
2が固着されており、その連動アーム22,22の先端
部が後輪ファイナルケース16,16の内面部に突設し
た連結軸23,23に回動自在に連結されている。 【0017】後輪昇降シリンダ18,18を伸縮作動さ
せることにより後輪ファイナルケース16,16が図7
におけるαの範囲内で回動し、後輪ファイナルケース1
6,16が上向きに回動すると機体に対し後輪3,3が
上昇し(車高H 1 )、後輪ファイナルケース16,16
が下向きに回動すると機体に対し後輪3,3が下降する
(車高H2 )。また、後輪3,3が上位にある程後輪
3,3の前後位置が前側になり、後輪3,3が下位にあ
る程後輪3,3の前後位置が後側になる。 【0018】エンジン30はメインフレーム10,10
の上に設けられている。エンジン30の回転動力が、第
1ベルト伝動装置31を介してHST32に伝えられる
とともに、第2ベルト伝動装置33を介してジェネレー
タ34に伝えられる。さらに、HST32によって変速
後の回転動力が、無段変速機構を有する第3ベルト伝動
装置36を介してミッションケース5に伝えられるとと
もに、第4ベルト伝動装置37を介して油圧ポンプ3
8,39に伝えられる。また、HST入力軸32aから
は第5ベルト伝動装置47を介して、植付作業機以外の
作業機を駆動するための汎用クラッチ48へ伝動され
る。 【0019】第3ベルト伝動装置36のミッション側プ
ーリ36aとミッション入力軸5aの伝動部は主クラッ
チAとして構成されている。この主クラッチAを経由し
てミッションケース5に入力された回転動力は、主変速
装置Bによって変速した後、走行用動力と作業機用動力
に分けられる。 【0020】走行用動力は、フロントデフ装置Cを経由
して左右のフロントアクスル6a,6a、縦軸7a,7
a、回動中心軸8a,8a、前輪車軸2a,2aの順に
伝動されるとともに、リヤデフ装置Dを経由して左右の
リヤデフ軸5b,5b、後輪出力軸5c,5c、後輪伝
動軸40,40、後輪入力軸15a,15a、回動中心
軸16a,16a、後輪車軸3a,3aの順に伝動され
る。なお、デフ装置C,Dは、デフ機能を停止させるデ
フロック機構Ca,Daを有する。 【0021】リヤデフ軸5b,5bから後輪出力軸5
c,5cへの伝動部には、図10に示すサイドクラッチ
・ブレーキE,Eが設けられている。同図におけるg1
はリヤデフ軸5bに取り付けたベベルギヤ、g2は後輪
出力軸5cに回転自在に嵌合するベベルギヤである。サ
イドクラッチ41は多板クラッチであって、ベベルギヤ
g2にスプライン嵌合する外筒体41aの駆動板41
b,…と後輪出力軸5cに一体に設けた内筒体41cの
受動板41d,…とが対向させられており、リング状の
板バネ41e,…によってスライダ41fを外筒体41
aに押し付けることにより、駆動板41b,…と受動板
41d,…とが圧接されクラッチ入になる。シフタ41
gを操作してスライダ41fによる外筒体41aの押し
付けを解除すると、駆動板41b,…と受動板41d,
…が離れクラッチ切になる。 【0022】ブレーキ42は、後輪出力軸5cに取り付
けたドラム42a,…にシュー42b,…を押し付け
て、後輪出力軸5cの回転を制動するようになってい
る。前記シフタ41gをクラッチ切側に操作する際に、
スライダ41fがディスク42cを押圧してシュー42
b,…がドラム42a,…を押し付けるようになってい
るので、サイドクラッチ切動作に連動して後輪3にブレ
ーキがかかる。 【0023】上記サイドクラッチ・ブレーキE,Eを操
作する後輪ブレーキペダル55E,55Eには、後輪
3,3を制動することなく該後輪への伝動を停止操作す
る伝動停止手段が設けられている。この伝動停止手段
は、図12に示すように、後輪ブレーキペダル55Eの
基部の外周面に突起55aが形成され、その突起55a
に係合する凹部55bを備えた円弧状の抵抗部材55c
がスプリング55dによって基部側に押し付けられてい
る。 【0024】ペダルを踏んでいない時はP1 の位置にあ
り、サイドクラッチ41は入で、かつブレーキ42がか
かっていない状態である。ペダルを少し踏んでP2 の位
置になると、突起55aが凹部55bに係合し、ペダル
を踏む足に若干の抵抗が与えられる。この時、サイドク
ラッチ41は切で、かつブレーキ42がかかっていない
状態でなる。さらに、ペダルを踏み込んでP3 の位置に
なると、サイドクラッチ41は切で、かつブレーキ42
がかかった状態でなる。 【0025】後輪伝動軸40はユニバーサルジョイント
43,43を介して後輪出力軸5cおよび後輪入力軸1
5aに連結され、かつ後輪伝動軸40は伸縮自在に構成
されているので、後輪3,3のローリングによって後輪
出力軸5cと後輪入力軸15aの位置関係や距離が変わ
ってもそれに対応できるようになっている。 【0026】また、作業機用動力は、株間変速装置Fに
よって変速した後、作業機伝動軸45を介して植付クラ
ッチケース46に伝えられ、ここでPTO軸46aと施
肥駆動軸46bに分離して取り出される。この植付クラ
ッチケース46内には、植付作業機の駆動を入切させる
とともに駆動を切った時に植付作業機を所定の位相で停
止させる植付クラッチGが内蔵されている。 【0027】操縦座席50はエンジン30の上側を覆う
エンジンカバー51の上に設置されている。そして、操
縦座席50の前方のフロントカバー52の上方に操縦ハ
ンドル53が設けられている。また、フロントカバー5
2および操縦座席50の周辺部に、各種レバー54,
…、各種ペダル55,…等が設けられている。エンジン
カバー51およびフロントカバー52の下部の周りは水
平状のフロアステップ57となり、その上を操縦者が歩
行等をすることができるようになっている。 【0028】また、後輪フレーム13には、スタンド5
8が下方に降ろした状態と水平に収納した状態とに回動
可能に設けられている。このスタンド58の使用に際し
ては、機体に対して後輪3,3を下げた状態でスタンド
58を降ろし、然る後、機体に対して後輪3,3を上げ
て機体をスタンド58に支持させるようにする。スタン
ド58はローリング自在な後輪フレーム13に設けられ
ているため、未舗装の農道等の平坦でない所で使用して
も機体が左右に傾かない。 【0029】作業機装着装置59は平行リンク構成であ
って、1本アッパリンク60および左右一対のロアリン
ク61,61を備えている。これらリンク60,61,
61は、その基部側がメインフレーム10,10の後端
部に立設したリンクベースフレーム62に回動自在に取
り付けられ、その先端側に走行車体側ヒッチ63が連結
されている。メインフレーム10,10に固着した支持
部材(図示せず)とアッパリンク60に一体形成したス
イングアーム64の先端部との間に作業機昇降シリンダ
65が介装されており、該シリンダを伸縮させることに
より、アッパリンク60が上下に回動し、走行車体側ヒ
ッチ63に装着した作業機がほぼ一定姿勢のまま昇降す
る。この作業機昇降シリンダ65は作業機昇降バルブ6
6(図11参照)で制御される。 【0030】油圧回路は図11のように組まれている。
すなわち、2つの油圧ポンプ38,39を備え、一方の
油圧ポンプ38は後輪昇降シリンダ18,18と作業機
昇降シリンダ65に油を送り、もう一方の油圧ポンプ3
9はパワーステアリング用のトルクジェネレータ68に
油を送るようになっている。また、作業機昇降バルブ6
6が中立である時にのみ、後輪昇降バルブ25に油が供
給されるようになっている。 【0031】走行車体1は以上のように構成され、作業
目的に応じて、前輪2,2および後輪3,3の機体に対
する上下位置を適宜調節する。また、走行車体1には機
体の前後傾斜を検出する水平センサ24が設けられてい
て、その水平センサの検出結果に基づき、機体を前後水
平に維持する前後水平制御を行うこともできるようにな
っている。 【0032】前輪を上げ位置FW1から下げ位置FW2
にする場合は、ミッションを後進に入れ、左右の後輪ブ
レーキペダル55E,55EをP3 の位置までいっぱい
に踏み込む。すると、サイドクラッチ41,41が切れ
ると同時に後輪ブレーキ42,42がかかり、後輪3,
3の回転が停止する。一方、前輪2,2は回転したまま
であるので、前輪2,2は地面を転動しようとする。後
輪3,3と地面との摩擦抵抗の方が前輪2,2による推
進力よりも大きいので、機体は移動することができず、
その結果、前輪ファイナルケース8,8が回動中心軸8
a,8aを支点にして前輪の回転駆動方向と逆向きに回
動し、前輪2,2が上げ位置FW1から下げ位置FW2
へ移動する。 【0033】逆に、下げ位置FW2から前輪を上げ位置
FW1にする場合は、ミッションを前進に入れ、後輪ブ
レーキペダル55E,55Eを踏み込む。すると、前輪
ファイナルケース8,8が前記前輪下げ時とは逆方向に
回動し、前輪2,2が機体に対して上昇する。 【0034】なお、前輪ファイナルケース回動作動時に
フロントデフ装置Cをロックしておくと、左右の前輪フ
ァイナルケース8,8が一様に回動作動するので、前輪
上下調節が安定して行われる。 【0035】また、後輪3,3の上げ下げは、ミッショ
ンをニュートラルに入れ、後輪ブレーキペダル55E,
55EをP2 の位置まで踏み込んだ状態で、後輪昇降シ
リンダ18,18を伸縮させる。すると、後輪ファイナ
ルケース16,16が回動中心軸16a,16aを支点
にして上下に回動し、後輪3,3の上下位置が変わる。
この後輪上下動操作時、後輪ブレーキペダル55E,5
5EがP2 に操作されているので、サイドクラッチ4
1,41は切、かつ後輪ブレーキ42,42はかかって
いない状態であり、後輪3,3は遊転自在である。この
ため、後輪3,3が地面を後方に転動することによりホ
イールベース調整を行うことができ、図1に示すよう
に、前輪2,2が畦に当接した状態で後輪3,3を下げ
ることが可能となっている。 【0036】前後水平制御を機能させておくと、水平セ
ンサ24の検出値が機体水平に維持されるように後輪昇
降シリンダ18,18が制御され、前輪ファイナルケー
ス8,8の回動に応じて後輪ファイナルケース16,1
6も上下に回動し、機体に対する後輪3,3の上下位置
が変化する。これによって、機体を水平に保ったまま車
高を調節することができる。 【0037】植付作業に使用するときは、図13に示す
ように、走行車体1の車高を低くし、作業機装着装置5
9に植付作業機70を装着する。図13の状態は操縦座
席50の後側に施肥装置80が設けられ、苗植付けと同
時に植え付けた苗の側部近傍に施肥を施すようになって
いる。また。管理作業に使用するときは、図14に示す
ように、走行車体1の車高を高くし、作業機装着装置5
9に粒状物散布機90を装着する。 【0038】 【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかる自
動車は、アクチュエータを用いて駆動車輪を上下方向お
よび前後方向に移動させ、車高とホイールベースを同時
に調節する構成であって、駆動車輪を制動することなく
該駆動車輪への伝動を停止することにより、他の車輪の
前後動が拘束された状態であっても車高調節を行えるよ
うになった。また、畦際等で、前輪を下げてから駆動後
輪を下げるとき、前輪が畦に当接して機体に対し後側へ
移動しようとするが、この力はストッパによって支持さ
れ、前輪の移動が確実に防止されるようになった。この
力をファイナルケースを回動させる駆動装置で受けよう
とすると、当該駆動装置を堅牢で大掛かりなものとする
必要があるが、本発明では、比較的簡単な構造で前輪の
移動を防止することが可能である。さらに、前輪上げ位
置では前輪車軸が前記円周軌跡における上死点より少し
手前の位置に位置し、前輪下げ位置では前輪車軸が円周
軌跡における下死点を少し越えた位置に位置するように
設定されているので、ファイナルケースを回動可能な側
に回動させるには機体の重量に反した力が必要となり、
それぞれの位置で前輪が安定する。また、前輪ファイナ
ルケースには、縦軸ケース内部に設けた縦軸の回転をベ
ベルギヤとカウンタ軸を介して回転を伝達するので、縦
軸ケースの下部が当該ファイナルケースの下部よりも下
側に張り出さないようにすることができ、水田内作業時
のファイナルケースによる泥押しが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走行車体の側面図である。
【図2】走行車体の一部を省略した平面図である。
【図3】前輪支持部の正面断面図である。
【図4】図3の要部を拡大した図である。
【図5】前輪支持部の側面図であり、(a)は前輪上げ
位置にある状態を表し、(b)は前輪下げ位置にある状
態を表している。 【図6】後輪支持部の背面断面図である。 【図7】後輪支持部の側面図である。 【図8】走行車体の要部の側面図である。 【図9】伝動系統図である。 【図10】サイドクラッチ・ブレーキの半分を外形、残
り半分を断面で表した図である。 【図11】油圧回路図である。 【図12】後輪ブレーキペダルの側面図である。 【図13】植付作業機を装着した状態を表す管理田植機
の側面図である。 【図14】粒状物散布機を装着した状態を表す管理田植
機の側面図である。 【図15】従来の前輪支持部の正面断面図である。 【符号の説明】 1 走行車体(自動車) 2 前輪 3 後輪 18 後輪昇降シリンダ(アクチュエータ) 55E 後輪ブレーキペダル 59 作業機装着装置 70 植付作業機 80 施肥装置 90 粒状物散布機
位置にある状態を表し、(b)は前輪下げ位置にある状
態を表している。 【図6】後輪支持部の背面断面図である。 【図7】後輪支持部の側面図である。 【図8】走行車体の要部の側面図である。 【図9】伝動系統図である。 【図10】サイドクラッチ・ブレーキの半分を外形、残
り半分を断面で表した図である。 【図11】油圧回路図である。 【図12】後輪ブレーキペダルの側面図である。 【図13】植付作業機を装着した状態を表す管理田植機
の側面図である。 【図14】粒状物散布機を装着した状態を表す管理田植
機の側面図である。 【図15】従来の前輪支持部の正面断面図である。 【符号の説明】 1 走行車体(自動車) 2 前輪 3 後輪 18 後輪昇降シリンダ(アクチュエータ) 55E 後輪ブレーキペダル 59 作業機装着装置 70 植付作業機 80 施肥装置 90 粒状物散布機
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 野村 勝
愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農
機株式会社技術部内
(72)発明者 谷本 真丈
愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農
機株式会社技術部内
(72)発明者 越智 一志
愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農
機株式会社技術部内
(56)参考文献 特開 平5−56711(JP,A)
特開 平1−153332(JP,A)
特開 昭62−273127(JP,A)
実開 昭56−153116(JP,U)
実開 平3−95725(JP,U)
実開 昭62−187928(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A01C 11/02
B60G 17/00
B60K 17/30
B62D 11/08
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 前輪2と駆動後輪3とを備え、アクチュ
エータにより駆動後輪3を上下方向および前後方向に移
動可能とした自動車において、前記駆動後輪3を制動す
ることなく該駆動後輪への伝動を停止する伝動停止手段
を設けるとともに、該駆動後輪3は、上位にあるほど前
側に位置し、下位にあるほど後側に位置するように構成
し、前輪車軸2aを支持する前輪ファイナルケース8
は、フロントアクスル6の端部に設けた縦軸ケース7の
下端部に回動中心軸8a回りに回動自在に設けて、前記
縦軸ケース内部に設けた縦軸7aの回転をベベルギヤG
1,G2とカウンタ軸7bを介して伝達される回転力に
より回動するように構成し、前記前輪2は、前輪ファイ
ナルケース8を円周軌跡のほぼ前半分の範囲で回動させ
ることにより上下し、前輪上げ位置FW1では前輪車軸
2aが前記円周軌跡における上死点Z1より少し手前の
位置に位置し、前輪下げ位置FW2では前輪車軸2aが
円周軌跡における下死点Z2を少し越えた位置に位置す
るように設定し、かつ前輪下げ位置FW2及び前輪上げ
位置FW1では、ストッパS1,S2により前輪ファイ
ナルケース8のそれ以上の回動が規制されるように構成
したことを特徴とする自動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13094994A JP3498364B2 (ja) | 1994-05-19 | 1994-05-19 | 自動車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13094994A JP3498364B2 (ja) | 1994-05-19 | 1994-05-19 | 自動車 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07312932A JPH07312932A (ja) | 1995-12-05 |
JP3498364B2 true JP3498364B2 (ja) | 2004-02-16 |
Family
ID=15046428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13094994A Expired - Fee Related JP3498364B2 (ja) | 1994-05-19 | 1994-05-19 | 自動車 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3498364B2 (ja) |
-
1994
- 1994-05-19 JP JP13094994A patent/JP3498364B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07312932A (ja) | 1995-12-05 |
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