JP3497639B2 - ポリエステル異収縮混繊糸およびその製造方法 - Google Patents
ポリエステル異収縮混繊糸およびその製造方法Info
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Description
ニューシルキー素材とそれの経済的に有利な製造方法に
関する。更に詳しくは、本発明は従来素材の持つふくら
み感に加えて柔らかい表面タッチ、ハリコシ感および軽
量感を兼ね備えたポリエステル異収縮混繊糸と、それの
直接紡糸延伸法(スピンドローテイクアップ法ともい
う)による製造方法に関する。
絹に近づける狙いで、古くから知られている(例えば米
国特許第1190078号明細書)。すなわち、熱収縮
率が異なる2成分の繊維群からなる所謂異収縮混繊糸
は、熱処理を受けた時に両成分間に糸長差が生じ、ふく
らみ感が出る。それは天然の絹のふくらみ感の発現原理
を応用したものである。当初は熱収縮率差が小さいもの
から出発し、次第に大きな差を有するものへと進んで行
っている。小さな収縮率差を有するポリエステル異収縮
混繊糸として特公昭51−30620号公報がある。
術として(イ)特公昭53−134946号公報と
(ロ)特開昭55−57013号公報とがある。
(イ)、(ロ)とも低熱収縮成分が実質的にポリエチレ
ンテレフタレートからなり、高熱収縮成分が共重合ポリ
エチレンテレフタレートからなり、高い熱収縮応力を持
つと同時に、大きな沸水収縮率を有するのが特徴であ
る。そして、この(イ)、(ロ)に用いられている共重
合ポリエチレンテレフタレートに使用されているコモノ
マーは2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル]プロパンである。(イ)、(ロ)における2
成分の単糸繊度は同じで、断面形状はトリローバルであ
る。
ステル異収縮混繊糸の製造方法は、2成分の糸を別々に
製造し、後工程で混繊するか、あるいは2成分のポリマ
ーから複合紡糸し、一旦混繊未延伸糸として巻取り、そ
の後延撚するという方法である(例えば図3)。近年の
ファッション衣料の高度化に伴い、シルキー素材の高度
化・多様化が求められるようになってきた。また、一方
では「円高」あるいは「価格破壊」の時代に入り、差別
化素材とは言え高度なコスト競争力が求められるように
なってきた。
て、従来紡糸工程と延撚工程と2段階に分かれていた方
法を連続化し、1段階とした直接紡糸延伸法(スピンド
ローテイクアップ法)が衣料系の一般糸の製造において
は、工業的に広く行われるようになった。一般糸の直接
紡糸延伸法は図1に示すように加熱型第1ゴデットロー
ルと加熱型第2ゴデットロールおよび巻取機からなる延
伸機を用いて行われる。第1ゴデットロールで未延伸糸
を引取ると同時に、それを80〜100℃に加熱し、第
2ゴデットロールと第1ゴデットロール間で、この二つ
のゴデットロールの周速比を利用して延伸する。次い
で、延伸糸は第2ゴデットロール上で100〜180℃
の温度で緩和熱処理を行い、続いて巻取ってチーズ状パ
ッケージを形成するというのが一般的である。
にこの一般的に使う直接紡糸延伸法を適用するだけで
は、如何なる共重合ポリエチレンテレフタレートを用い
たとしても、不満足な熱収縮特性、すなわち低い熱収縮
応力の異収縮混繊糸しか得られない。最近、(ハ)特開
平7−35606号公報および(ニ)特開平7−207
541号公報にポリエステル異収縮混繊糸を直接紡糸延
伸法で得る提案がなされた。(ハ)は第1ゴデットロー
ルを非加熱、鏡面仕上げにすることによって高速におい
ても糸切れを少なく出来るという方法であるが、肝腎の
熱収縮応力が低いものしか得られていない。(ニ)は熱
収縮応力として本発明と同じく、0.28g/d以上を
得ているが、低熱収縮成分としても共重合ポリエチレン
テレフタレートを用い、かつ高熱収縮成分の極限粘度
[η]すなわち分子量を衣料用糸に通常用いられる水準
よりも高くすることによって、これを達成している。そ
して直接紡糸延伸法についての具体的方法、条件の開示
はない。
素材に要求されているのは、従来素材の持つふくらみ感
やシルキーな光沢感に加えて柔らかい表面タッチ、ハリ
コシ感、軽量感などの風合である。また、後加工の経済
性から要請されるのは、糸のパッケージのラージ化(巻
重量増)である。巻重量が小さいほどクリールすなわち
糸準備の回数が多くなって人手を多くとり、不経済であ
るからである。
延撚の2段階法で製造される関係上、パーン形状(図
7)でたかだか3Kg巻である。一方、直接紡糸延伸法
のチーズ状パッケージ(図8)では6〜12Kg巻も可
能である。そこで本発明は第1に、従来のシルキー素材
の特徴に加えて柔らかい表面タッチ、ハリコシ感および
軽量感を兼ね備えたニューシルキー素材およびそれの大
型パッケージの提供を課題とする。また、本発明は第2
に、このようなニューシルキー素材を製造する上で、お
よびそれを後加工工程で使用する上で、経済的に有利
な、すなわち低コストである直接紡糸延伸法によってニ
ューシルキー素材、すなわち新たなポリエステル異収縮
混繊糸を製造する方法の提供を課題とする。
果、ポリエステル異収縮混繊糸の低収縮成分を、比較的
単糸繊度が小さい異型糸となし、高収縮成分を比較的単
糸繊度の大きい中空糸となすことで、狙いのニューシル
キー素材の特性が得られることを見出し、更に延伸後の
熱処理を従来の直接紡糸延伸法のような緩和状態で行う
のではなく、緊張状態で行うことによって、従来の紡糸
−延撚の2段階法で得られるような、高い熱収縮率と熱
収縮率差および高い熱収縮応力を有するポリエステル異
収縮混繊糸を直接紡糸延伸法でも得られることを見出
し、本発明の完成にった。
の合計3つの発明からなる。すなわち、物質の第1発明
は、低熱収縮成分と高熱収縮成分とからなるポリエステ
ル異収縮混繊糸であって、該低熱収縮成分が実質的にポ
リエチレンテレフタレートからなり、該高熱収縮成分が
融解開始温度200℃以上で極限粘度[η]が0.65以下の
共重合ポリエチレンテレフタレートからなり、該異収縮
混繊糸の沸水収縮率が18〜25%、かつ熱収縮応力の
極値が0.28g/d以上で、両収縮成分間の沸水収縮
率差が12〜23%であり、かつ該低熱収縮成分の単糸
の50%以上が異型断面で、その繊度が1.5デニール
以下で、該高熱収縮成分の各単糸が中空で、その繊度が
3〜5デニールであり、しかも無撚でチーズ状パッケー
ジに巻かれていることを特徴とするポリエステル異収縮
混繊糸である。
後の糸長(cm)
ルを複合紡糸し、得られた混繊未延伸糸を2段の加熱型
ゴデットロールを利用する直接紡糸延伸法による延伸熱
処理によってポリエステル異収縮混繊糸を製造するに際
し、低熱収縮成分として実質的にポリエチレンテレフタ
レートを用い、高熱収縮成分として融解開始温度200
℃で極限粘度[η]が0.65以下の共重合ポリエチレ
ンテレフタレートを用いた混繊未延伸糸を第1ゴデット
ロールと第2ゴデットロール間で加熱延伸して混繊延伸
糸となし、続いて糸の導入部の近傍のみにヒーターを内
蔵し、かつ該ヒーター内蔵部のロール表面温度が110
〜160℃に保たれた傾斜温度型の第2ゴデットロール
上で該混繊延伸糸を緊張熱処理し、その後実質的に緩和
収縮することなくチーズ状パッケージとして巻取ること
を特徴とするポリエステル異収縮混繊糸の製造方法であ
る。
ルを同一紡口口金から複合紡糸し、得られた混繊未延伸
糸を、少なくとも第1段目および第2段目が加熱型ゴデ
ットロールである3段式ゴデットロール型直接紡糸延伸
法によって、異収縮混繊糸糸の沸水収縮率が18〜25
%、且つ熱収縮応力が0.28g/d以上で、両収縮成
分間の沸水収縮率差が12〜23%の高収縮率且つ高熱
応力であるポリエステル異収縮混繊糸を製造するに際
し、低熱収縮成分として実質的にポリエチレンテレフタ
レートを用い、高熱収縮成分として融解開始温度200
℃以上で極限粘度[η]が0.65以下の共重合ポリエ
チレンテレフタレートを用いた混繊未延伸糸を第1ゴデ
ットロールと第2ゴデットロール間で加熱延伸して混繊
延伸糸となし、続いて表面温度を110〜160℃に保
った第2ゴデットロールに捲回し、かつ第3ゴデットロ
ールと第2ゴデットロールの周速比を1.00〜1.1
0とすることによって、該混繊延伸糸を第2ゴデットロ
ール上で緊張熱処理し、その後50℃以下に保たれた第
3ゴデットロールを介し、実質的に緩和収縮することな
くチーズ状パッケージとして巻取ることを特徴とするポ
リエステル異収縮混繊糸の製造方法である。
らなるポリエステル異収縮混繊糸とその製造方法を対象
とするもので、特に熱収縮特性、その中でも沸水収縮率
と乾熱で測定する熱収縮応力の極値が重要な要件であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の物
質発明について説明する。本発明の低熱収縮成分は実質
的にポリエチレンテレフタレートからなることが必要で
ある。ホモポリマーのポリエチレンテレフタレートは、
繊維にした時、熱収縮応力は高く、その極値は0.28
g/d以上であるが、沸水収縮率はたかだか10%であ
るので、低熱収縮成分にふさわしい。また、本発明の高
熱収縮成分は示差走査熱量計(DSC)で測定する融解
開始温度(通称Tm1 )が200℃以上で極限粘度
[η]が0.65以下の共重合ポリエチレンテレフタレ
ートからなることが必要である。共重合ポリエチレンテ
レフタレートは、コモノマーの種類と共重合比率の選択
によって、繊維にした時に熱収縮応力の極値が0.28
g/d以上であり、且つ沸水収縮率が18%以上となり
得るので、高熱収縮成分にふさわしい。
レフタレートのTm1 は200℃以上でなければならな
い。ポリエステル繊維は後加工工程では200℃前後の
熱処理を受けることが多々ある。もしTm1 が200℃
未満であれば、その熱処理によって一部融解が起こり、
所望の布帛が得られなくなる。Tm1の好ましい範囲は
215℃以上である。さらに、高熱収縮成分の共重合ポ
リエチレンテレフタレートの極限粘度[η]は0.65
以下でなければならない。[η]が0.65を越える
と、通常の溶融重合に続いて固相重合が必要になり、コ
スト高となるばかりか、紡糸時に溶融粘度が高くなるの
で高圧型の紡糸機が必要となる。[η]の好ましい範囲
は 0.62〜0.55である。
タレートに用いられる最も好ましいコモノマーは2,2
−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル]スルホン、ネオペンチルグリコールなど
比較的バルキーな構造のコモノマーであり、これらと他
のコモノマーとを組合わせたものも次に好ましい。上記
の低熱収縮成分と高熱収縮成分のポリエステルは公知の
重合方法で製造されるもので良く、熱安定剤や艶消剤な
どの添加剤を含んでいても良い。本発明におけるポリエ
ステル異収縮混繊糸は、図4に示すようにその熱収縮応
力の極値が0.28g/d以上でなければならない。熱
収縮応力の極値が0.28g/d未満では、無加重処理
での沸水収縮率が高くても、染色工程などでの熱処理時
に、織物の拘束に打ち勝って繊維が収縮出来ず、その結
果ふくらみ感が出ない。
率は18〜30%でなければならない。18%未満で
は、仮に熱収縮応力の極値が0.28g/d以上と高く
ても、織物にした時、染色工程などの熱処理工程での収
縮の度合いが低く、これは収縮率差、ひいては糸長差が
生じない原因となる。この沸水収縮率が30%を越える
と、布帛の過大な収縮が起こり、風合いの硬化や布幅の
不足が生じる。この沸水収縮率の好ましい範囲は20〜
25%である。このポリエステル異収縮混繊糸の高熱収
縮成分と低熱収縮成分の沸水収縮率差は10〜25%で
なければならない。この沸水収縮率差が10%未満で
は、熱処理後の織物での収縮が十分であっても、糸長差
が足りず十分なふくらみ感が得られないので、ニューシ
ルキー素材として不適格なものとなる。また、沸水収縮
率差が25%を越えると糸長差が過大となり、熱処理後
の織物の表面が不均一なものとなり、商品価値を失う。
沸水収縮率差の好ましい範囲は13〜23%である。
成分の単糸繊度は1.5デニール以下でなければならな
い。低熱収縮成分は、熱処理後は外側に出て、所謂鞘糸
となるため、布帛の表面タッチと関係する。この単糸繊
度が1.5デニール以上では、好ましい柔らかい表面タ
ッチは得られない。好ましい単糸繊度の範囲は 1.3
デニール以下である。また、この低熱収縮成分の単糸の
50%以上が異型断面であることが、良好な光沢感を得
るには好ましい。
成分の単糸繊度は3〜5デニールでなければならない。
この単糸繊度が3デニール未満では、ハリ、コシ感に欠
けてニューシルキー素材としては不適格なものとなる。
この単糸繊度が5デニールを越えると、ハリ、コシ感が
過大となり、好ましくない。好ましい単糸繊度の範囲は
3〜4.5デニールである。このポリエステル異収縮混
繊糸の高熱収縮成分は中空でなければならない。もし、
中空でなければ、布帛に軽量感を与えることが出来な
い。軽量感とは見掛けの嵩から来る印象よりも軽いと感
じることである。そして低熱収縮成分の断面形状はトリ
ローバルが好ましい。図9は本発明の異収縮混繊糸の断
面形状の好ましい例である。
ーズ状パッケージに巻かれていなければならない。直接
紡糸延伸法で得た糸は通常は巻取機でチーズ状パッケー
ジとして巻かれる。そして延撚機を経て得られる糸はパ
ーン形状に巻かれ有撚であるが、チーズ状パッケージに
巻かれたものは無撚である。近年の後加工工程の近代化
・合理化に追随するには、パッケージのラージ化、すな
わち大量巻きの可能なチーズ状パッケージに巻かれてい
なければならない。パーン状に巻かれた糸を巻き返し
て、チーズ状パッケージにすることも可能であるが、そ
の時には糸は有撚となり、本発明の無撚状のチーズ状パ
ッケージとは区別される。
する。本発明の製造方法は、低熱収縮成分と高熱収縮成
分との2成分のポリエステルを複合紡糸し、得られる未
延伸混繊糸を2段(製法の第1発明と呼ぶ)または3段
(製法の第2発明と呼ぶ)のゴデットロールを利用する
直接紡糸延伸法によってポリエステル混繊糸を製造する
方法を対象とする。製法の発明においても、ポリエステ
ル異収縮成分の低熱収縮成分は実質的にポリエチレンテ
レフタレートで、高熱収縮成分は示差走査熱量計で測定
される融解開始温度(Tm1 )が200℃以上で極限粘
度[η]が0.65以下の共重合ポリエチレンテレフタ
レートでなければならない。その理由および付帯要件は
物質発明と全く同じである。
すように、第1ゴデットロール15に引取られた混繊未
延伸糸は、所定の温度に維持された第1ゴデットロール
15上で数回巻回し(ラップし)、加熱され、第2ゴデ
ットロール17と第1ゴデットロール15の周速比で延
伸されねばならない。第1ゴデットロール15の温度は
70〜100℃が好ましい。この延伸操作によって、所
望の力学的特性、すなわち破断強度、破断伸度などが付
与される。延伸糸は次いで第2ゴデットロール17に導
入され、その第2ゴデットロール17上で数回ラップ
し、緊張状態での熱処理、すなわち緊張熱処理されねば
ならない。
ロール17は糸の導入部のみにヒーターを内蔵する傾斜
温度型ゴデットロール(図5)であり、このロールの表
面は図6に示すように傾斜温度を示すような、すなわち
糸の導入部が高温で出口部が低温状態でなければならな
い。糸の導入部近傍、すなわちヒーター内蔵部のロール
表面温度は110〜160℃でなければならず、出口部
では30〜70℃が好ましい。このように、傾斜温度型
ゴデットロールで緊張熱処理が可能なのは、糸の緊張状
態の高い第2ゴデットロールの前半(糸の導入部付近)
が高温であるために糸の緊張熱処理が起こり、第2ゴデ
ットロールの後半(糸の出口部付近)は低温であるため
に糸は冷却され、緩和が起こらないからだと推察され
る。
緊張熱処理効果を顕著にするためには、第2ゴデットロ
ールとして糸の導入部の直径よりも糸の出口の直径が大
きい、所謂テーパー型ロールが好ましい。テーパー型ゴ
デットロールの場合、糸はラップされるにしたがい徐々
に径比に従って伸長されて行き、ゴデットロール上では
緊張状態が保たれるために、十分な緊張熱処理が行われ
る。一方、製法第2発明(図2)では、第2ゴデットロ
ール17は傾斜温度型ではなく、ゴデットロール全体に
ヒーターを内蔵する通常の加熱型ゴデットロールでよ
く、延伸糸は表面温度が110℃〜160℃に保たれた
第2ゴデットロール17に捲回し、かつ第3ゴデットロ
ール18と第2ゴデットロールの周速比を1.00〜
1.10とすることによって緊張熱処理されねばならな
い。
0℃未満であれば、沸水収縮率が30%以上となり、布
帛の過大な収縮が起こり、風合の硬化が生じるので好ま
しくない。また、第2ゴデットロールの表面温度が16
0℃以上であれば、沸水収縮率差が10%未満となり、
布帛の風合いが悪くなる。第2ゴデットロールの好まし
い温度範囲は120〜150℃である。第3ゴデットロ
ール18、第2ゴデットロール17の周速比が1.00
未満であれば、十分な緊張熱処理が達成されず、1.1
0を越えると再延伸が起こり、毛羽発生につながる。周
速比の好ましい範囲は1.01〜1.05である。
なければならない。50℃を越えると、第3ゴデットロ
ールと巻取機の間で緩和収縮が起こり、熱収縮応力の低
下をきたす。好ましくは40℃以下10℃以上である。
製法の発明においては、それぞれ第2ゴデットロール1
7および第3ゴデットロール18を出た異収縮混繊糸は
インタレーサー19によって交絡を付与することもで
き、続いて巻取機20によってチーズ状パッケージに巻
取られる。
のポリマーを複合紡糸し、混繊未延伸糸にする方法は、
公知の方法、例えば米国特許第3381074号明細書
に記載の方法で良い。すなわち、2本の押出機3、4に
よって実質的なポリエチレンテレフタレートおよび共重
合ポリエチレンテレフタレートを溶融押出し、両ポリマ
ーが合流することなく送液されるように作られたスピン
ヘッド7およびパック8を経て、両ポリマーは紡糸口金
9の別々の孔から吐出される。その後冷却され、仕上げ
剤を付与された後、所定の速度で回転している延伸機の
第1ゴデットロール15に引取られ、混繊未延伸糸14
となる。ただし、延伸機の第1ゴデットロールより前に
配置された別の引取りロール(プレテンションロール)
で引取って混繊未延伸糸を得て、その後に延伸機の第1
ゴデットロール15に導入しても良い。
糸部について説明する。ポリエチレンテレフタレートを
A側および共重合ポリエチレンテレフタレートをB側に
供給する。両ポリマーの乾燥後のペレットがそれぞれの
ホッパー1、2に供給され、続いて押出機3、4で溶融
され、融液はそれぞれのベンド5、6を経てスピンヘッ
ド7に供給される。両ポリマーはそれぞれ計量され、別
々の流路8を経て、紡糸口金9に達する。両ポリマーは
合流することなく紡糸口金9の別々の孔から吐出され、
2種類のフィラメント群10、11となる。細化しつつ
冷却風12で冷却された後、仕上げ剤付与装置13で仕
上げ剤を付与され、引取りロール15で所定の速度で引
取られ、延伸機に供給される。
明する。実施例を含む本発明においては、熱収縮応力の
極値、融解開始温度および極限粘度を以下の方法で測定
する。 (1)熱収縮応力の極値 熱応力測定装置(例えばカネボウエンジニアリング社
製、商品名KE−2)を用いて測定する。糸(マルチフ
ィラメント)を20cmの長さに切り取り、これの両端
を結んで輪を作り、測定機に装填する。初荷重0.05
g/d、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力
の温度変化をチャートに描かせる。熱応力曲線のピーク
値を読み取る。その値が熱収縮応力の極値である。
し、パンに詰める。20℃/分の昇温速度で昇温し熱量
曲線をチャートに描かせる。得られた熱量曲線の融点ピ
ークから、融解開始温度を読み取る。 (3)極限粘度[η] 極限粘度[η]は35℃オルソクロロフェノール中で、
ポリマー濃度1g/dlで測定する。
タレート(0.5wt%のTiO2を含有する) 高熱収縮成分:2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル]スルホンをジオール成分の10モル
%共重合した、[η]=0.60の共重合ポリエチレン
テレフタレート(0.5wt%のTiO2を含有する) 紡糸機としては図1に示すような複合紡糸機と、それに
連続する2段ゴデットロール式の延伸機を用い、直接紡
糸延伸巻取(スピンドローテイクアップ)を行った。
トロールは共に加熱型で、第1ゴデットロールは通常の
加熱ロール(一定温度型)であるが、第2ゴデットロー
ルは傾斜温度型である。紡糸、延伸、巻取条件は以下の
通りである。この条件下でポリエステル混繊糸48d/
30f、すなわち低熱収縮成分側が単糸1デニール、2
4フィラメントのトリローバル、高熱収縮成分側が単糸
4デニール、6フィラメントの中空の糸を得た。
個装着されており、6本の異収縮混繊糸48d/30f
を同時に紡糸、延伸、巻取られた。各ENDのチーズ状
パッケージの巻重量は6Kgであった。6ENDの異収
縮混繊糸の物性は表1に示す通りである。
編地にし、100℃沸騰水中で30分間熱処理後に評価
したところ、ニューシルキー素材に不可欠なふくらみ感
は勿論のこと柔らかい表面タッチと、適当なハリコシ感
および軽量感のある素晴らしいものであった。
ールを傾斜温度型から通常型に交換して、その温度を1
30℃に設定し、それに伴って巻取速度を巻取張力を
0.20g/dに設定するために4875m/分に変え
ること以外は実施例1と全く同じ条件でポリエステル異
収縮混繊糸48d/30fを製造した。すなわち、本比
較実施例は従来型の直接紡糸延伸方法で本発明と同じ構
成のポリエステル混繊糸を得た例である。得られた糸の
物性を表2に示す。
と同じ方法、同じ条件で評価したところ、ニューシルキ
ー素材に不可欠なふくらみ感に欠け、中空糸を含んでい
るにも拘わらず軽量感の感じられないものであった。
は、実施例1と同様の直接紡糸延伸巻取に於いて、第2
ゴデットロールの種類と温度条件を変化させた場合の効
果を示すものである。第2ゴデットロールとして、実施
例1に用いた傾斜温度型ゴデットロールと同一のもの
と、傾斜温度型で且つ糸の導入部の直径よりも糸の出口
部の直径が大きいテーパー型ゴデットロールの2種類を
使用した。各々のゴデットロールについて、表3〜4に
示す温度条件で直接紡糸延伸巻取を行った。その他は、
実施例1と全く同じ方法、条件で行った。得られた糸の
物性を表3〜4に示す。
ロール式の直接紡糸延伸法に関するものである。実施例
1とは、下記の熱処理条件以外は全く同じ方法、条件で
48d/30f、すなわち低熱収縮成分側が単糸1デニ
ール、24フィラメント、高熱収縮成分側が単糸4デニ
ール、6フィラメントのポリエステル混繊糸を製造し、
各END6Kg巻のチーズ状パッケージを得た。得られ
た糸の物性を表5に示す。
編地にし、100℃沸騰水中で30分間熱処理後に評価
したところ、ニューシルキー素材に不可欠なふくらみ感
は勿論のこと柔らかい表面タッチと、適当なハリコシ感
および軽量感のある素晴らしいものであった。
表面タッチ、ハリコシ感、更には軽量感を兼ね備えた従
来にないニューシルキー素材が提供され、多彩な、審美
性の高い婦人アウター向けテキスタイルの創出が可能と
なる。また、製法が従来の2段階法から1段階法になっ
たことによって製造コストが大幅に削減された。さら
に、パッケージが小量巻きのパーンから大量巻きのチー
ズ状パッケージになったことから、後加工工程での合理
化、コスト削減が可能になった。
る。
る。
号公報)の原理を示す模式図である。
繊糸それぞれの熱収縮応力を示すグラフである。
を示す模式図である。
部間の表面温度を示すグラフである。
模式図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 低熱収縮成分と高熱収縮成分とからなる
ポリエステル異収縮混繊糸であって、該低熱収縮成分が
実質的にポリエチレンテレフタレートからなり、該高熱
収縮成分が融解開始温度200℃以上で極限粘度[η]が
0.65以下の共重合ポリエチレンテレフタレートからな
り、該異収縮混繊糸の沸水収縮率が18〜25%、かつ
熱収縮応力の極値が0.28g/d以上で、両収縮成分
間の沸水収縮率差が12〜23%であり、かつ該低熱収
縮成分の単糸の50%以上が異型断面で、その繊度が
1.5デニール以下で、該高熱収縮成分の各単糸が中空
で、その繊度が3〜5デニールであり、しかも無撚でチ
ーズ状パッケージに巻かれていることを特徴とするポリ
エステル異収縮混繊糸。 ただし、沸水収縮率={(L1−L2)/L1}×100% L1:沸騰水処理前の原糸長(cm) L2:無荷重で100℃の沸騰水中に30分間浸漬した
後の糸長(cm) - 【請求項2】 2成分のポリエステルを複合紡糸し、得
られた混繊未延伸糸を2段の加熱型ゴデットロールを利
用する直接紡糸延伸法による延伸熱処理によってポリエ
ステル異収縮混繊糸を製造するに際し、低熱収縮成分と
して実質的にポリエチレンテレフタレートを用い、高熱
収縮成分として融解開始温度200℃で極限粘度[η]
が0.65以下の共重合ポリエチレンテレフタレートを
用いた混繊未延伸糸を第1ゴデットロールと第2ゴデッ
トロール間で加熱延伸して混繊延伸糸となし、続いて糸
の導入部の近傍のみにヒーターを内蔵し、かつ該ヒータ
ー内蔵部のロール表面温度が110〜160℃に保たれ
た傾斜温度型の第2ゴデットロール上で該混繊延伸糸を
緊張熱処理し、その後実質的に緩和収縮することなくチ
ーズ状パッケージとして巻取ることを特徴とするポリエ
ステル異収縮混繊糸の製造方法。 - 【請求項3】第2ゴデットロールが、傾斜温度型でかつ
糸の導入部の直径よりも糸の出口の直径が大きいテーパ
ー型であることを特徴とする請求項2記載のポリエステ
ル異収縮混繊糸の製造方法。 - 【請求項4】 2成分のポリエステルを同一紡口口金か
ら複合紡糸し、得られた混繊未延伸糸を、少なくとも第
1段目および第2段目が加熱型ゴデットロールである3
段式ゴデットロール型直接紡糸延伸法によって、異収縮
混繊糸糸の沸水収縮率が18〜25%、且つ熱収縮応力
が0.28g/d以上で、両収縮成分間の沸水収縮率差
が12〜23%の高収縮率且つ高熱応力であるポリエス
テル異収縮混繊糸を製造するに際し、低熱収縮成分とし
て実質的にポリエチレンテレフタレートを用い、高熱収
縮成分として融解開始温度200℃以上で極限粘度
[η]が0.65以下の共重合ポリエチレンテレフタレ
ートを用いた混繊未延伸糸を第1ゴデットロールと第2
ゴデットロール間で加熱延伸して混繊延伸糸となし、続
いて表面温度を110〜160℃に保った第2ゴデット
ロールに捲回し、かつ第3ゴデットロールと第2ゴデッ
トロールの周速比を1.00〜1.10とすることによ
って、該混繊延伸糸を第2ゴデットロール上で緊張熱処
理し、その後50℃以下に保たれた第3ゴデットロール
を介し、実質的に緩和収縮することなくチーズ状パッケ
ージとして巻取ることを特徴とするポリエステル異収縮
混繊糸の製造方法。
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---|---|---|---|
JP30557595A JP3497639B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | ポリエステル異収縮混繊糸およびその製造方法 |
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JPH09143826A JPH09143826A (ja) | 1997-06-03 |
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1995
- 1995-11-24 JP JP30557595A patent/JP3497639B2/ja not_active Expired - Fee Related
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