JP3497299B2 - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物

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JP3497299B2
JP3497299B2 JP27703195A JP27703195A JP3497299B2 JP 3497299 B2 JP3497299 B2 JP 3497299B2 JP 27703195 A JP27703195 A JP 27703195A JP 27703195 A JP27703195 A JP 27703195A JP 3497299 B2 JP3497299 B2 JP 3497299B2
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修 乙井
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東燃化学株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリプロピレン樹脂
組成物に関し、特に耐候性及び塗装性に優れ、自動車の
外装用として好適なポリプロピレン樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリオ
レフィンは、軽量であり、かつ機械的強度等に優れてい
るので、各種の分野に広く利用されている。特に自動車
においてはその内外装用の樹脂材料として、その部位に
応じたグレードの結晶性ポリオレフィン及び/又はオレ
フィン系エラストマーが使用されるようになってきてい
る。しかしながら、ポリオレフィン樹脂は耐候性が必ず
しも十分でないので、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光
安定剤等の耐候剤が添加されている。
【0003】ところで、従来自動車の外装用の樹脂材料
としては黒色が主流であったが、近年グレー系に着色さ
れた樹脂材料が要求されている。しかしながら、グレー
系の着色材料を用いる場合に、従来の耐候剤の添加処方
では、十分な耐候性が得られないという問題が生じた。
また耐候剤の添加量を増やすと、製造コストが高くなる
とともに、耐候剤がブリードアウトしてくるため、塗料
が固化しにくく、塗膜外観が悪くなるという問題もあ
る。
【0004】したがって、本発明の目的は、耐候性及び
塗装性に優れ、自動車の外装用として好適なポリプロピ
レン樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、プロピレン−エチレンブロック
共重合体に、オレフィン系エラストマー、無機フィラ
ー、特定の耐候剤及び顔料を特定量添加することによ
り、優れた耐候性及び塗装性を有するポリプロピレン樹
脂組成物が得られることを見出し、本発明に想到した。
【0006】すなわち、本発明のポリプロピレン樹脂組
成物は、(a) 1〜120g/10分のメルトフローレー
トを有するプロピレン−エチレンブロック共重合体50
〜75重量%と、(b) オレフィン系エラストマー20〜
35重量%と、(c) 無機フィラー5〜20重量%とから
なり、さらに前記(a) 〜(c) の合計100重量部に対し
て、(d) 黒色顔料0.3〜0.7重量部と、(e) 白色顔
料0.1〜7重量部と、(f) ヒンダードフェノール系酸
化防止剤0.05〜0.2重量部と、(g) 紫外線吸収剤
0.1〜0.4重量部と、(h) ヒンダードアミン系光安
定剤0.05〜0.3重量部とを含有することを特徴と
する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明を以下詳細に説明する。 [1] ポリプロピレン樹脂組成物の各成分 (1) プロピレン−エチレンブロック共重合体 本発明において使用するプロピレン−エチレンブロック
共重合体は、多段重合により合成されるものが好まし
い。
【0008】多段重合では、まずチーグラ触媒等の存在
下でプロピレンを重合することにより、結晶性プロピレ
ンホモポリマー部分(少量のコモノマー成分を含んでい
てもよい)を生成し、次の段階でエチレン+プロピレン
に切替えてプロピレン−エチレン共重合部分を生成す
る。
【0009】上記多段重合により合成されたプロピレン
−エチレンブロック共重合体は、実質的に結晶性ホモ
ポリプロピレン部分と、プロピレン−エチレン共重合
部分と、少量の結晶性ホモポリエチレン部分とからな
るものであり、それぞれの部分は単独のポリマーとして
存在していても、あるいはそれぞれが結合した状態にあ
ってもよい。なお、上記各部分は基本的にはプロピレン
及び/又はエチレンとからなるものであるが、他のα−
オレフィンやジエン系モノマー等を少量含有していても
よい。
【0010】このようなプロピレン−エチレンブロック
共重合体のメルトフローレート(MFR、230℃、荷
重2.16kgで測定)は1〜120g/10分、好ま
しくは10〜90g/10分である。MFRの値が1g
/10分未満では得られる組成物の成形性、特に射出成
形性が低下し、一方120g/10分を越えると機械的
強度が低下する。またエチレンの含有量は、1〜15重
量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
【0011】(2) オレフィン系エラストマー 本発明において、オレフィン系エラストマーとは、エチ
レン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセ
ン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの
共重合体ゴムであり、特にエチレンとエチレン以外のα
−オレフィンとの共重合体ゴムが好ましい。このような
共重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共
重合体ゴム(EPR)、これにジエン化合物を共重合し
たエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPD
M)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)等が挙
げられる。
【0012】具体的には、エチレン−プロピレン共重合
体ゴム(EPR)は、エチレンの含有量が50〜90モ
ル%、プロピレンの含有量が50〜10モル%であるの
が好ましい。より好ましい範囲は、エチレンが70〜8
0モル%、プロピレンが30〜20モル%である。な
お、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EP
DM)の場合、ジエン化合物としては、エチリデンノル
ボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン等が挙げられる。上記EPR(EPDMを含む)のM
FRは0.5〜20g/10分が好ましく、0.5〜1
0g/10分がより好ましい。
【0013】またエチレン−ブテン共重合体ゴム(EB
R)は、エチレンの含有量が70〜85モル%、ブテン
−1の含有量が15〜30モル%であるのが好ましい。
より好ましい範囲は、エチレンが75〜85モル%、ブ
テン−1が25〜15モル%である。上記EBRのMF
Rは、1〜30g/10分が好ましく、1〜20g/1
0分がより好ましい。
【0014】(3) 無機フィラー 本発明に用いる無機フィラーは、樹脂等の充填材、強化
材として一般に用いられているものであり、例えばタル
ク、マイカ、繊維結晶性ケイ酸カルシウム、炭酸カルシ
ウム等が挙げられる。これらのうちでは特にタルクが好
ましい。上記無機フィラーの平均粒径は15μm以下の
ものを用いるのが好ましい。なお、針状あるいは繊維状
物の場合、繊維径が1〜100μmで、アスペクト比が
3〜30のものが好ましい。
【0015】(4) 顔料 本発明に用いる顔料は黒色顔料及び白色顔料である。黒
色顔料としてはカーボンブラックが挙げられ、また白色
顔料としてはチタンホワイトが挙げられる。黒色顔料に
対する白色顔料の重量比は、0.2〜10が好ましく、
1〜6がより好ましい。
【0016】またポリプロピレン樹脂組成物において、
ハンターの色差式で規定されるL値は14.5〜23.
0であり、a値は1.5〜−0.3であり、b値は−
1.0〜−2.5であるのが好ましい。さらにL値、a
値及びb値が上記範囲内にあれば、黒色顔料及び白色顔
料以外の顔料も配合することができる。
【0017】(5) 耐候剤 本発明のポリプロピレン樹脂組成物に用いる耐候剤は、
(a) ヒンダードフェノール系酸化防止剤、(b) 紫外線吸
収剤及び(c) ヒンダードアミン系光安定剤である。
【0018】(a) ヒンダードフェノール系酸化防止剤 ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ
フェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリ
ル(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、ジステアリル(3,5−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、2,2’−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチル
フェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−
3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコ
ールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブ
チル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス
(4,6−ジ−t−−ブチルフェノール)、2,2’−
エチリデンビス(4−sec−ブチル−6−t−ブチル
フェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス
〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ
−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テ
レフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル
−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシア
ヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,
3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル) プロピオニルオキシエチル〕イソ
シアヌレート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔メチ
レン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕、2−t−ブチル−4−メ
チル−6−(2’−アクリロイルオキシ−3’−t−ブ
チル−5’−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビ
ス(1’,1’−ジメチル−2’−ヒドロキシエチル)
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ
ンデカン、ビス〔β−(3−t −ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル) プロピオネート等が挙げられ
る。これらのうちでは、1,3,5−トリス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌ
レート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔メチレン−
3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕等が好ましい。これらは単独でも
2種以上混合しても用いることができる。
【0019】(b) 紫外線吸収剤 紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体、ベンゾフェ
ノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系のもの
等が挙げられる。これらの中では、ベンゾトリアゾール
系及びベンゾエート系のものが好ましい。ベンゾトリア
ゾール系の紫外線吸収剤としては、例えば2−(3−t
−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−
ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t −ブ
チル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−
t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げる
ことができる。ベンゾエート系の紫外線吸収剤として
は、例えば2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサ
デシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ゾエートなどを挙げることができる。これらは単独でも
2種以上混合しても用いることができる。
【0020】(c) ヒンダードアミン系光安定剤 本発明に用いるヒンダードアミン系光安定剤としては、
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジニル)セバケート、トリス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロアセ
テート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)エステル、コハク酸−ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エス
テル、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、コハク
酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒド
ロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮
合物、ポリ[ {6−(1,1,3,3−テトラメチルブ
チル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}] 、N,N’−ビ
ス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−
ビス[ N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)アミノ] −6−クロロ−1,
3,5トリアジン縮合物、1−[ 2−{3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ}エチル] −4−{3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベン
ジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−
1,3,8−トリアザスピロ[ 4,5] ウンデカン−
2,4−ジオン、8−アセチル−3−ドデシル−7,
7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピ
ロ[ 4,5] デカン−ジオン、1,6,11−トリス[
{4,6−ビス(N−ブチル−N(1,2,2,6,6
−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−1,
3,5−トリアジン−2−イル}アミノ] ウンデカン、
テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸エス
テル、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボン酸エステル、1,1’−(1,2−エタンジイル)
ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペリジノン)、
N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル
−N−アミノオキザアミド、ポリ[ 6−モリホリノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][4−(2,
2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ] ヘキサ
メチレン−[ 4−(2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジル)イミノ] 、ポリメチルプロピル−3−オキシ−
[ 4(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]
シロキサン、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[ 4
(1,2,2,6,6−ペンタメチル)ピペリジニ
ル)] シロキサン、1,5−ジオキサスピロ[ 5,5]
ウンデカン−3,3−ジカルボン酸エステルと2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−4−アールとの縮合
物、1,1’,1”−[ 1,3,5−トリアジン−2,
4,6−トリイル−トリス{(シクロヘキシルイミノ)
−2,1−エタンジイル}] −トリス−[ 3,3,5,
5−テトラメチルピペラジン−2−オン] 、N−(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−3−
[ (2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル)アミノ] −プロパナミド等が挙げられる。これらの
中でも、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−
ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ{[ (6−
(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジイル] [ 2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ] ヘキサメ
エチレン[ (2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)イミノ] }が好ましい。これらは単独でも2種
以上混合しても用いることができる。
【0021】[2] 配合割合 上述した各成分の配合割合は、プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体が50〜75重量%、好ましくは55〜
70重量%であり、オレフィン系エラストマーが20〜
35重量%、好ましくは20〜30重量%であり、無機
フィラーが5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%
である。
【0022】プロピレン−エチレンブロック共重合体の
配合量が50重量%未満では延性、硬度等が低く、一方
75重量%を越えると耐衝撃性が低下する。またオレフ
ィン系エラストマーの配合量が20重量%未満では、耐
衝撃性、引張強度等が低く、一方35重量%を越えると
硬度、曲げ弾性率等の機械的強度が低下する。さらに無
機フィラーの配合量が5重量%未満では剛性が低く、一
方20重量%を越えると成形性が低下する。
【0023】黒色顔料及び白色顔料の配合量は、プロピ
レン−エチレンブロック共重合体、オレフィン系エラス
トマー及び無機フィラーの合計100重量部に対して、
それぞれ0.3〜0.7重量部、及び0.1〜7重量部
である。また黒色顔料及び白色顔料以外の顔料を配合す
る場合には、全顔料の配合量はプロピレン−エチレンブ
ロック共重合体、オレフィン系エラストマー及び無機フ
ィラーの合計100重量部に対して、0.3〜10重量
部である。
【0024】耐候剤については、プロピレン−エチレン
ブロック共重合体、オレフィン系エラストマー及び無機
フィラーの合計100重量部に対して、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤が0.05〜0.2重量部、好まし
くは0.1〜0.2重量部であり、紫外線吸収剤が0.
1〜0.4重量部、好ましくは0.15〜0.4重量部
であり、ヒンダードアミン系光安定剤が0.05〜0.
3重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部である。
【0025】上記耐候剤の配合量が上記下限未満では耐
候性が十分でなく、一方上記上限を越えてもそれに見合
う効果の向上が得られない。
【0026】[3] その他の成分 本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、上述した各成
分の他に、その改質を目的として、他の添加剤、例えば
熱安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡
剤等を添加することができる。
【0027】[4] ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法 本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、上記成分をヘン
シェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー
等を用いて混合し、一軸押出機、二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、ニーダー等で180〜230℃の温度範囲
で溶融混練することによって得ることができる。
【0028】なお、無機フィラー、耐候剤及び/又は顔
料は、樹脂成分(プロピレン−エチレンブロック共重合
体及びオレフィン系エラストマー)のそれぞれ全量に対
して配合してもよいし、また例えば、無機フィラー、耐
候剤及び/又は顔料をプロピレン−エチレンブロック共
重合体(又は結晶性ポリエチレン)に配合して溶融混練
することにより、無機フィラー、耐候剤及び/又は顔料
の含有率の高い、いわゆる予めマスターバッチを製造し
ておき、これにプロピレン−エチレンブロック共重合
体、オレフィン系エラストマー並びに無機フィラー、耐
候剤及び顔料の中でマスターバッチに含まれない成分を
配合してもよい。例えば、顔料25〜75重量%と、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体(又は結晶性ポリ
エチレン)75〜25重量%とを溶融混練してマスター
バッチを予め製造し、これにプロピレン−エチレンブロ
ック共重合体、オレフィン系エラストマー及びその他の
添加剤を配合するのが好ましい。このような方法で添加
剤を配合することにより、プロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体に対する添加剤の分散性を一層良好なものと
することができる。
【0029】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではな
い。
【0030】実施例1〜12及び比較例1〜7 1.原料 (a) プロピレン−エチレンブロック共重合体(BPP) BPP−1:MFR=85g/10分(230 ℃、2.16kg荷
重) エチレン含有量=4重量% BPP−2:MFR=80g/10分 エチレン含有量=4重量%
【0031】(b) オレフィン系エラストマー OE* :エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)
とエチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)との50:
50(重量基準)の混合物。 EPR:MFR=0.8g/10分、エチレン含有量=7
7重量%。 EBR:MFR=2g/10分、エチレン含有量=80重
量%。 (注)*:OEは全ての実施例及び比較例で同じものを
使用した。
【0032】(c) 無機フィラー タルク:平均粒径1μm、商品LMS300、富士タル
ク(株)製。
【0033】(d) 顔料 下記表1に示す配合量の黒色顔料(カーボンブラッ
ク)、白色顔料(チタンホワイト)、その他の顔料、ポ
リエチレン等をスーパーミキサーを用いて、ドライブレ
ンドした後、二軸押出機(池貝(株)製、PCM−4
5)で溶融混練し、マスターバッチ(MS−1〜MS−
4)を得た。
【0034】 表1 マスターバッチの種類 組成(重量%) カーボンブラック 8.5 8.5 8.5 6.7 チタンホワイト 11.0 23.0 23.0 35.0 シアニンブルー 1.0 1.0 2.0 1.0 チタンイエロー 3.0 4.0 7.0 13.0 その他 1.0 8.0 5.0 1.0 ポリエチレン 75.5 55.5 54.5 43.3
【0035】(e) 耐候剤 ・Ph−1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ペン
タエリスリチル−テトラキス〔メチレン−3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート〕) ・Ph−2:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(1,
3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)イソシアヌレート) ・UV−1:ベンゾエート系紫外線吸収剤(2,4−ジ
−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンゾエート) ・UV−2:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−
(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール) ・HALS:ヒンダードアミン系紫外線吸収剤(ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート)
【0036】2.混練及び成形方法 表2及び3に示す配合量の(a) プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体(BBP)と、(b) オレフィン系エラス
トマー(OE)と、(c) タルクと、(a) 〜(c)の合計1
00重量部に対して表2及び3に示す種類及び配合割合
のマスターバッチ化した顔料(MS−1〜MS−4)
と、各種耐候剤〔Ph−1(0.1重量部)、Ph−2
(0.1重量部)、UV−1(0.25重量部)、UV
−2(0.1重量部)、HALS(0.1重量部)〕
と、ステアリン酸0.1重量部とを配合し、スーパーミ
キサーでドライブレンドし、その後二軸押出機に投入
し、200℃、スクリュー回転数200rpmで混練
し、組成物のペレットを得た。次に得られたペレット
を、射出成形機により、樹脂温度210℃、射出圧力6
50kgf/cm2 及び金型温度40℃で射出成形し、
試験片を得た。
【0037】3.物性測定 各試験片の物性測定は以下の方法で行った。それらの結
果を下記表2及び3に示す。 (1) 色調: ハンターの色差式で規定されるL値、a値
及びb値を測定した。 (2) 剛性:ASTM D790 により測定した。 ○・・・6000kgf/cm2 以上。 ×・・・6000kgf/cm2 未満。 (3) 脆性:ASTM D746 により脆化温度を測定した。 ○・・・−30℃未満。 ×・・・−30℃以上。 (4) ロックウェル硬度:ASTM D785 により測定した(ス
ケールR)。 ○・・・55R 以上。 ×・・・55R 未満。 (5) 耐候性:サンシャインカーボンアーク(スガ試験
(株)製)を使用して促進試験(ブラックパネル83℃、
雨あり)を行い、表面外観を顕微鏡により観察した。 ○・・・1500時間以上、変化が認められなかった。 ×・・・1500時間未満で、変化が認められた。 (6) 塗装性:試験片の表面をイソプロパノールで拭いた
後、RB117(NBC製)及びフレキセン106(日
本ペイント(株)製)をそれぞれ15μm及び100μ
mの厚さに塗布し、120℃で35分間焼き付けた。塗
装品に1cm幅の切れ目を入れて、インストロン型引っ
張り試験機で180°方向に50mm/分の速度で引き剥
がし、その時の荷重をピール強度とした。ピール強度が
800g/cm 以上か否かで塗装性を評価した。 ○・・・800g/cm 以上。 ×・・・800g/cm 未満。
【0038】 表2 実施例No. 組成 成分(a) 〜(c) (重量%) BPP−1 58 58 58 58 BPP−2 ─ ─ ─ ─ OE 30 30 30 30 無機フィラー 12 12 12 12 顔料 MS種類 MS-1 MS-1 MS-1 MS-2 添加量(重量部) MS 3.5 5.8 8.2 3.5 黒色顔料 0.30 0.49 0.70 0.30 白色顔料 0.39 0.64 0.90 0.81 組成物の物性 色調 L値 15.49 15.59 15.49 18.68 a値 0.89 0.77 0.89 0.94 b値 -1.56 -1.53 -1.56 -1.40 剛性 ○ ○ ○ ○ 脆性 ○ ○ ○ ○ ロックウェル硬度 ○ ○ ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ ○ 塗装性 ○ ○ ○ ○
【0039】 表2(つづき) 実施例No. 組成 成分(a) 〜(c) (重量%) BPP−1 58 58 58 58 BPP−2 ─ ─ ─ ─ OE 30 30 30 30 無機フィラー 12 12 12 12 顔料 MS種類 MS-2 MS-2 MS-3 MS-3 添加量(重量部) MS 4.7 7.0 4.7 8.2 黒色顔料 0.40 0.60 0.40 0.70 白色顔料 1.08 1.61 1.08 1.89 組成物の物性 色調 L値 18.76 18.87 19.10 18.89 a値 0.94 0.85 0.20 0.28 b値 -1.44 -1.51 -1.65 -1.75 剛性 ○ ○ ○ ○ 脆性 ○ ○ ○ ○ ロックウェル硬度 ○ ○ ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ ○ 塗装性 ○ ○ ○ ○
【0040】 表2(つづき) 実施例No. 10 11 12 組成 成分(a) 〜(c) (重量%) BPP−1 58 58 58 ─ BPP−2 ─ ─ ─ 60 OE 30 30 30 29 無機フィラー 12 12 12 11 顔料 MS種類 MS-4 MS-4 MS-4 MS-1 添加量(重量部) MS 6.0 7.5 9.0 5.8 黒色顔料 0.40 0.50 0.60 0.49 白色顔料 2.10 2.63 3.15 0.64 組成物の物性 色調 L値 22.20 22.29 22.23 15.59 a値 -0.03 -0.18 -0.03 0.77 b値 -1.20 -1.36 -1.38 -1.53 剛性 ○ ○ ○ ○ 脆性 ○ ○ ○ ○ ロックウェル硬度 ○ ○ ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ ○ 塗装性 ○ ○ ○ ○
【0041】 表3 比較例No. 組成 成分(a) 〜(c) (重量%) BPP−1 58 58 58 58 BPP−2 ─ ─ ─ ─ OE 30 30 30 30 無機フィラー 12 12 12 12 顔料 MS種類 MS-1 MS-2 MS-3 MS-4 添加量(重量部) MS 2.3 2.3 2.3 4.0 黒色顔料 0.20 0.20 0.20 0.27 白色顔料 0.25 0.53 0.53 1.40 組成物の物性 色調 L値 15.59 18.76 18.68 22.24 a値 0.89 0.94 0.27 -0.04 b値 -1.53 -1.44 -1.71 -1.35 剛性 ○ ○ ○ ○ 脆性 ○ ○ ○ ○ ロックウェル硬度 ○ ○ ○ ○ 耐候性 × × × × 塗装性 ○ ○ ○ ○
【0042】 表3(つづき) 比較例No. 組成 成分(a) 〜(c) (重量%) BPP−1 58 45 75 BPP−2 ─ ─ ─ OE 30 35 20 無機フィラー 12 20 5 顔料 MS種類 MS-4 MS-1 MS-1 添加量(重量部) MS 11.0 5.8 5.8 黒色顔料 0.74 0.49 0.49 白色顔料 3.85 0.64 0.64 組成物の物性 色調 L値 22.27 15.63 15.47 a値 -0.10 0.76 0.88 b値 -1.26 -1.52 -1.57 剛性 ○ ○ × 脆性 ○ × ○ ロックウェル硬度 × ○ ○ 耐候性 ○ ○ ○ 塗装性 ○ ○ ○
【0043】表2及び3から明らかなように、実施例1
〜12のポリプロピレン樹脂組成物は、剛性、脆性、硬
度、耐候性及び塗装性に優れている。一方比較例1〜7
のポリプロピレン樹脂組成物は、剛性、脆性、硬度、耐
候性及び塗装性の少なくとも1つが劣る。
【0044】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、
1〜120g/10分のメルトフローレート(MFR)
を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体と、オ
レフィン系エラストマーと、無機フィラーと、特定量の
黒色顔料、白色顔料、ヒンダードフェノール系酸化防止
剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添
加してなるので、耐候性及び塗装性に優れている。この
ような組成物は各種用途に適用可能であるが、特に自動
車の外装品用に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C08L 53/00 C08L 23:02 23:02) (72)発明者 斎藤 義治 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3丁目1番 地 東燃化学株式会社 技術開発センタ ー内 (56)参考文献 特開 平4−216832(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 1〜120g/10分のメルトフロ
    ーレートを有するプロピレン−エチレンブロック共重合
    体50〜75重量%と、(b) オレフィン系エラストマー
    20〜35重量%と、(c) 無機フィラー5〜20重量%
    とからなり、さらに前記(a) 〜(c) の合計100重量部
    に対して、(d) 黒色顔料0.3〜0.7重量部と、(e)
    白色顔料0.1〜7重量部と、(f) ヒンダードフェノー
    ル系酸化防止剤0.05〜0.2重量部と、(g) 紫外線
    吸収剤0.1〜0.4重量部と、(h) ヒンダードアミン
    系光安定剤0.05〜0.3重量部とを含有することを
    特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組
    成物において、ハンターの色差式で規定されるL値が1
    4.5〜23.0であり、a値が1.5〜−0.3であ
    り、b値が−1.0〜−2.5であることを特徴とする
    ポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のポリプロピレン
    樹脂組成物において、前記黒色顔料に対する前記白色顔
    料の重量部比が0.2〜10であることを特徴とするポ
    リプロピレン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリプ
    ロピレン樹脂組成物において、少なくとも前記(d) 黒色
    顔料及び白色顔料をプロピレン−エチレンブロック共重
    合体に配合して溶融混練することにより、予めマスター
    バッチを製造し、前記マスターバッチにプロピレン−エ
    チレンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー及
    びその他の添加剤を配合して得られることを特徴とする
    ポリプロピレン樹脂組成物。
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