JP3496976B2 - 撥水剤組成物 - Google Patents

撥水剤組成物

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豊 堀江
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は撥水剤組成物に関し、特に
は衣料、雨具等の表面に塗布して乾燥させることによ
り、良好な撥水性を付与できるシリコーン系の撥水剤組
成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】従来より、パーフル
オロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基、お
よびアクリル基もしくはメタクリル基を有する重合性化
合物の重合体が、繊維の撥水剤として有用であることは
知られており、ヘキサン、石油ターペンなどの石油系溶
剤で希釈し、噴射剤を用いて簡便に使用できるエアゾル
タイプとして、衣料、雨具等に広く適用されている。し
かしながら、近年環境衛生上の問題が重要視され、石油
系溶剤の使用の制限が考慮されてきており、より安全な
水やアルコール類を希釈剤として用いるタイプのものが
望まれている。一方、ケイ素原子に結合した水素原子を
含むメチルハイドロジェンポリシロキサンも、繊維の撥
水剤として広く使用されており、このような撥水剤は一
般にメチルハイドロジェンポリシロキサンを乳化剤によ
って乳化したものを処理液としており、水を希釈剤とし
て使用しているが(米国特許第2588366 号、同第261248
2 号明細書参照)、加熱硬化型であるために、処理に加
熱設備が必要となるなど、取扱い上の簡便さに欠けると
いう欠点を有している。また、ハロゲン化シランの加水
分解物またはその縮合物と、チタンアルコキシド等の有
機チタン化合物を含有する常温硬化型の撥水剤組成物が
知られているが(特公昭30−7568号、同31−3798号公報
参照)、ハロゲン化シランの加水分解物またはその縮合
物の末端シラノールと、有機チタン化合物との反応性が
非常に高いために、これらの成分を配合すると同時に部
分的に縮合が生じ、この縮合物との親和性が低いアルコ
ールを溶剤として使用した場合、組成物の安定性が著し
く劣るという問題点があった。
【0003】
【発明の目的】本発明の目的は、上記問題点を解決し、
安全な溶媒を使用しながら良好な安定性を示し、室温硬
化が可能で取扱いが簡便であり、良好な撥水性を付与す
ることができる撥水剤組成物を提供することにある。
【0004】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成するため
鋭意検討を重ねた結果、両末端をアルコキシ基で封鎖さ
れたポリオルガノシロキサンと金属アルコキシドと特定
アルコールを配合することにより良好な特性を有する
撥水剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。即ち本発明は、 (A) 両末端をアルコキシ基で封鎖されたポリオルガノシ
ロキサン 1.0重量部 (B) 金属アルコキシドまたはその部分加水分解縮合物
0.1〜10重量部 (C) エタノール又はイソプロパノール 10〜1000重量部 を含有する撥水剤組成物である。
【0005】以下に本発明を詳細に説明する。(A) 成分
の、分子中に少なくとも1個の加水分解性基を有するポ
リオルガノシロキサンにおいて、加水分解性基としては
アルコキシ基、アミノキシ基、ケトオキシム基、アセト
キシ基、アミド基、アルケニルオキシ基等が例示され、
硬化反応時に生成する副生成物の臭気の少ないこと、硬
化性が良好なことから、アルコキシ基が好ましく、特に
メトキシ基、エトキシ基が好ましい。これらの加水分解
性基はポリオルガノシロキサンの主鎖または側鎖あるい
は両方に含有されるが、得られる組成物の硬化性が良好
なことから末端に含有されることが好ましい。ポリオル
ガノシロキサンのその他の置換基としては、メチル基、
エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基などのアルキル基、シ
クロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキ
ル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ビニル
基、アリル基などのアルケニル基、3,3,3 −トリフルオ
ロプロピル基などのハロゲン置換炭化水素基、γ−アミ
ノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノ
プロピル基などのアミノアルキル基が例示される。これ
らの中でも良好な撥水性を示すことから、アルキル基、
アリール基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好
ましい。本発明において、(A) 成分のポリオルガノシロ
キサンとして分岐構造を有するものを使用することによ
り、得られる撥水性皮膜の強度を高めることができる
が、分岐構造すなわち3官能部分が多くなると撥水性が
低下するほか、撥水性皮膜が硬くなるため、繊維などに
使用した場合に風合いが硬くなる。このため、(A)成分
のポリオルガノシロキサンは直鎖状あるいは部分的に分
岐構造を含む、基本的に直鎖状の構造が好ましい。分岐
構造の割合としては3官能シロキサン単位が2官能シロ
キサン単位の50モル%以下が好ましく、特に2官能シロ
キサン単位だけからなる直鎖状構造が好ましい。また分
子量に限定はないが、アルコールへの溶解性が良好であ
り、また得られる撥水性皮膜の特性が良好なことから25
℃での粘度が5〜100cSt、特に10〜80cSt となる分子量
であることが好ましい。以上のことから、本発明におい
ては、両末端をアルコキシ基で封鎖された、直鎖状のポ
リジオルガノシロキサンが好ましく、特にポリジメチル
シロキサン、ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサン
共重合体が好ましい。
【0006】(B) 成分の金属アルコキシドとしては、シ
リコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系
など金属アルコキシドが好適に用いられ、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキ
シシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシチタ
ン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタ
ン、テトラブトキシチタン、トリメトキシアルミニウ
ム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシア
ルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、テト
ラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウ
ム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキ
シジルコニウムなどが例示される。組成物の硬化性が良
好なことから、各金属に直結するアルキル基、アリル基
を含まないアルコキシド、例えばテトラアルコキシシラ
ン、テトラアルコキシチタン、トリアルコキシアルミニ
ウム、テトラアルコキシジルコニウムが好ましい。(B)
成分としては、これらの金属アルコキシドの部分加水分
解縮合物、あるいはこれらの混合物でもよく、さらに2
種類以上の金属アルコキシドまたはその部分加水分解縮
合物の混合物でもよい。金属アルコキシドの種類として
は、組成物の硬化性が良好なことからチタン系、ジルコ
ニウム系、特にチタン系を使用することが好ましい。
(B) 成分の量は、(A) 成分のポリオルガノシロキサン
1.0重量部に対して0.1〜10重量部である。0.1 重量部よ
り少ない場合は組成物の硬化性が不十分であり、また10
重量部より多い場合は組成物の保存安定性が低下し好ま
しくない。好ましくは 0.2〜5.0 重量部、特に 0.3〜1.
0 重量部である。
【0007】(C) 成分のアルコールとしてはメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど、
あるいはこれらの混合物が例示され、適度な揮発性と、
良好な作業性が得られることから沸点が60〜200 ℃、特
に64〜150 ℃のものが好ましく使用され、中でも(A) 成
分との相溶性が良好なことからエタノール、イソプロパ
ノール、特にエタノールが好ましい。(C) 成分の量は、
組成物のポットライフが良好であり、均質な撥水処理が
行え、良好な特性を有する撥水性皮膜が得られることか
ら、(A) 成分 1.0重量部に対して10〜1000重量部、好ま
しくは15〜500 重量部、特に好ましくは20〜100 重量部
使用される。
【0008】本発明の撥水剤組成物は (A)〜(C) 成分以
外に本発明の特徴を損なわない範囲で、縮合反応用触媒
として従来公知のスズ、亜鉛、鉛、コバルトなどの有機
金属化合物、染料、顔料などの着色剤、雲母、シリカ、
シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、ポリエチレ
ン粉末などの微粉末、従来公知の帯電防止剤、柔軟剤、
防しわ剤、耐熱剤、難燃剤等の他の添加剤を併用しても
よい。
【0009】本発明の撥水剤は、各成分を混合して均一
な組成物とすることにより得られるが、さらにLPG、
チッ素ガス、二酸化炭素ガスなどの噴射剤を加えて、エ
アゾール化して使用することができる。この使用方法
は、衣料、雨具、スキーウェアなどの対象物に、霧状に
スプレーできるためにより短時間でアルコールが揮発
し、すみやかに撥水効果を発揮することができ、ムラな
く塗布しやすいことから、特に好適である。あるいはま
た、はけ塗り、ローラ法、浸漬法などでも処理すること
ができ、対象物に良好な撥水性を付与することができ
る。
【0010】
【発明の効果】本発明の撥水剤組成物は、衣料、雨具、
スキーウェアの他に、建物、家具、自動車、柵、塀など
の木材、石材、金属、プラスチック、ガラス、セラミッ
クス、ゴムなどにも適用でき、常温で乾燥することによ
り、アルコールの揮発と同時に優れた撥水性を付与する
ことができる。またさらに、例えば繊維などを対象にし
た場合には、繊維に柔軟性および深色効果を同時に付与
することができるなど、感触、外観を改善する効果も有
する。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。尚、実施例中、部は重量部を、%は重量%を示
し、粘度は25℃での値を示す。本実施例においては、以
下の各成分を使用した。 (A) 成分のポリオルガノシロキサン A-1 :粘度が10cSt の両末端メトキシ基封鎖ポリジメチ
ルシロキサン A-2 :粘度が15cSt の両末端メトキシ基封鎖ポリジメチ
ルシロキサン A-3 :粘度が30cSt の両末端イソプロポキシ基封鎖ポリ
ジメチルシロキサン A-4 :粘度が70cSt の両末端エトキシ基封鎖ポリジメチ
ルシロキサン−ポリ−γ−アミノプロピルメチルシロキ
サン共重合体*1) A-5 :粘度が30cSt の両末端メトキシ基封鎖ポリジメチ
ルシロキサン−ポリジフェニルシロキサン共重合体*2) a-1 :粘度が20cSt の両末端ヒドロキシル基封鎖ポリジ
メチルシロキサン a-2 :粘度が20cSt の両末端トリメチルシリル基封鎖ポ
リジメチルシロキサン a-3 :粘度が25cSt のポリメチルシルセスキオキサン *1) :全有機基中のγ−アミノプロピル基の含有量は3
モル% *2) :全有機基中のフェニル基の含有量は20モル% (B) 成分の金属アルコキシド B-1 :テトラブトキシチタンの部分縮合物 B-2 :テトライソプロポキシチタン 実施例1〜11、比較例1〜5 上記したポリオルガノシロキサン、金属アルコキシドお
よびエタノールを表1に示す割合で混合して撥水剤を得
た。得られた撥水剤を用いて黒色の綿布並びにテトロン
−綿混紡布を処理し、その撥水性、外観(色合い)およ
び風合いの評価を行った。結果を表3に示す。処理方
法、撥水性、外観、風合いの評価方法は以下に示す通り
である。 1)処理方法 撥水剤に試験布(20×20cm)を浸漬し、マングルで絞り
(絞り率50%)、室温で10分間乾燥し、処理を行った。 2)撥水性試験 得られた処理布を用いJIS L 1092のスプレー法によって
撥水性を評価した。撥水性は該試験法に基づく評価基準
(表2)により判定した。 3)外観(色合い) 得られた処理布の外観を目視により観察し、以下のよう
に深色効果の有無を判定した。 ○:未処理布より深みのある色合い △:未処理布と同様な色合い 4)風合い 得られた処理布を用い、5人のパネラーにより以下のよ
うに風合いを判定した。 ○:未処理布より柔軟な風合い △:未処理布と同様な風合い ×:未処理布よりかたい風合い
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】表3に示すように、本発明の撥水剤組成物
は、塗布した後に室温で乾燥するだけで、対象物に優れ
た撥水性を付与することができ、また繊維に使用した場
合にはさらに柔軟性(風合い)や深色効果(色合い)を
付与できることがわかる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−113041(JP,A) 特開 平4−300958(JP,A) 特公 昭30−7568(JP,B1) 特公 昭31−3798(JP,B1) 特公 昭47−21962(JP,B1) 特公 昭47−7797(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/18 D06M 15/643 C09D 183/00 - 183/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 両末端をアルコキシ基で封鎖された
    リオルガノシロキサン 1.0重量部 (B) 金属アルコキシドまたはその部分加水分解縮合物
    0.1〜10重量部 (C) エタノール又はイソプロパノール 10〜1000重量部 を含有する撥水剤組成物。
  2. 【請求項2】(B) 金属アルコキシドがチタンアルコキシ
    ドである請求項1記載の撥水剤組成物。
  3. 【請求項3】(A) ポリオルガノシロキサンが 25 ℃での粘
    度が5〜 100cSt のものである請求項1記載の撥水剤組成
    物。
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