JP3496157B2 - ポリゴンミラーの製造方法 - Google Patents

ポリゴンミラーの製造方法

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JP3496157B2 JP35773292A JP35773292A JP3496157B2 JP 3496157 B2 JP3496157 B2 JP 3496157B2 JP 35773292 A JP35773292 A JP 35773292A JP 35773292 A JP35773292 A JP 35773292A JP 3496157 B2 JP3496157 B2 JP 3496157B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ポリゴンミラーの製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】例えばレーザプリンター等のレーザ光利
用機器において、レーザ光発振源からのレーザ光を偏向
走査するための手段としてポリゴンミラーが用いられて
いる。 【0003】このポリゴンミラーは、多辺形の板状体で
あって各辺に係る周面部分に反射面が形成されているも
のである。このポリゴンミラーを回転させ、周回移動す
る反射面にレーザ光を入射させることにより、反射され
るレーザ光が偏向・走査される。 【0004】最近において、アルミニウム合金等よりな
る金属素材をダイヤモンドバイトにより鏡面加工してポ
リゴンミラーの反射面を形成することが行われている。
図8は、そのようなダイヤモンドバイトにおけるダイヤ
モンドチップの形状を示す概略図である。同図(a)に
示すダイヤモンドチップは、半円筒形状のすくい面1を
有し、このすくい面1と前逃げ面2とにより円弧状の副
切刃3が形成されているもの(以下「すくい面R形」と
もいう)であり、同図(b)に示すダイヤモンドチップ
は、平坦なすくい面1’と、湾曲状の前逃げ面2’とに
より円弧状の副切刃3’が形成されているもの(以下
「ノーズR形」ともいう)である。なお、図8におい
て、4は横逃げ面、5は主切刃である。 【0005】これらのダイヤモンドバイトを用いてポリ
ゴンミラーの反射面を得るためには、先ず、主切刃5に
よって金属素材を切削し、切削された面を、副切刃3
(3’)によりバニシ仕上することによりスクラッチ等
を除去して鏡面に仕上げる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、すくい
面R形のバイトおよびノーズR形のバイトは、これらの
切刃形状を精度よく加工することが困難であり、同一形
状のバイトを作製しようとしても、形状誤差が避けられ
ずバラツキが出る。すなわち、結晶に異方性のある単結
晶ダイヤモンドを、半円筒面乃至湾曲面の形状に精度良
く研磨することは実際上困難であり、副切刃3(3’)
の円弧形状を高精度で正確に形成することができず、形
成される切刃稜において、微細なチッピングやうねり等
の欠陥が発生しやすい。そして、このような欠陥を有す
るバイトを用いてポリゴンミラーの反射面を加工する場
合、表面的には鏡面に加工できても当該加工面には微小
なうねりや凹凸が生じ、散乱光の発生や反射率の低下を
招来して、ポリゴンミラーとしての性能が著しく損なわ
れる。このように、すくい面R形のバイトおよびノーズ
R形のバイトを用いたポリゴンミラーの製造方法は、不
具合品の発生や生産効率の低下を避けることができず、
好適な製造方法であるとはいえない。 【0007】一方、本発明者らは、図9に示すような、
ダイヤモンドチップのすくい面6および前逃げ面7が平
坦で、主切刃8と副切刃9が直線状(以下「平刃形状」
ともいう)であるダイヤモンドバイトを用いてポリゴン
ミラーの反射面を鏡面加工することについて検討を行っ
た。 【0008】この平刃形状のダイヤモンドバイトを用い
た鏡面加工は以下のようにして行われる。先ず、反射面
を形成すべき金属素材にダイヤモンドバイトを当接す
る。ここに、ダイヤモンドバイトは、その送り方向に対
して、主切刃が一定の角度(切り込み角)を有し、副切
刃がほぼ平行になるよう当接される。次いで、図10に
示すように、ダイヤモンドバイトを一定のピッチで送り
運動させる(図10中、送り方向を「矢印v」で表
す)。これにより、主切刃8によって金属素材Wが切り
込まれる。主切刃8によって切り込まれた金属素材Wの
表面にはスクラッチp等が発生し、また、主切刃8が通
過した直後の表面は、主切刃8により圧縮されて押し上
げられる(主切刃8の通過直後における表面のレベルを
一点鎖線で表す)。この圧縮された表面は、金属素材W
の弾性回復によって復元され(復元時における表面のレ
ベルを実線で表す)、その表面に存在するスクラッチp
等は、後続する副切刃9によって潰されもしくは剥離除
去される。このような副切刃9のバニシ仕上げにより、
表面状態が整えられて鏡面が形成される。 【0009】そして、上記のような平刃形状のダイヤモ
ンドバイトは主切刃および副切刃がそれぞれ直線状であ
るので、切刃の研磨加工を行うにあたって結晶方位を考
慮することができ、このようにして得られた平刃形状の
ダイヤモンドバイトは、その形状誤差が小さく、チッピ
ングやうねり等の欠陥のない高精度の切刃稜を有するも
のとなる。従って、バイトの精度のバラツキに起因する
不具合品の発生や生産効率の低下をある程度抑制するこ
とができる。 【0010】しかしながら、平刃形状のバイトを用いて
ポリゴンミラーの反射面を得る場合においては、主切刃
による切削時に発生する切屑の厚みと、副切刃によるバ
ニシ仕上げ時に発生する切屑の厚みとが大きく異なるた
め、バニシ仕上げ時に発生する切屑が分断されて切粉が
発生し、発生した切粉が、金属素材とバイトとの間に噛
み込まれてスクラッチ発生の原因となることがあり、こ
のような場合には安定した鏡面形成を行うことができな
い。 【0011】本発明は、以上のような事情に基いてなさ
れたものであって、本発明の目的は、切削・バニシ仕上
げ性能のバラツキがなく、光の散乱がなくて反射率の高
いポリゴンミラーを安定的に製造する方法を提供するこ
とにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明のポリゴンミラー
の製造方法は、ダイヤモンドチップがシャンクに保持さ
れたダイヤモンドバイトを、金属素材に当接させながら
送り運動させることにより、反射面の鏡面加工を行うポ
リゴンミラーの製造方法において、前記ダイヤモンドチ
ップは、単結晶ダイヤモンドによって形成され、すくい
面および横逃げ面が交わって形成された直線状の主切刃
と、すくい面および前逃げ面が交わって形成された直線
状の副切刃および直線状の微小切削刃とを有してなり、
前逃げ面側から見たすくい面は、切刃コーナより副切刃
側に0.1〜0.4mmだけ離間した位置から主切刃側
に向かって主切刃側が低くなるよう傾斜角θで傾斜し、
その傾斜角と前逃げ面の逃げ角とによって、すくい面側
から見た切刃コーナが0.1μmを超えて0.6μm以
下の範囲で後退し、後退した切刃コーナと副切刃の一端
とを結ぶ直線状の前記微小切削刃が形成され、すくい面
側から見て、ダイヤモンドバイトの送り運動方向と微小
切削刃の伸びる方向とのなす角度が0.01〜0.2°
の範囲になるよう、ダイヤモンドバイトをセッティング
し、ダイヤモンドバイトの送り運動に伴って、主切刃に
よる切削加工、微小切削刃による微小切削加工および副
切刃によるバニシ仕上げ加工が連続的に行われることを
特徴とする。 【0013】また、すくい面側から見て、ダイヤモンド
バイトの送り運動方向と微小切削刃の伸びる方向とのな
す角度が0.01〜0.2°の範囲になるよう、ダイヤ
モンドバイトをセッティングすることが好ましい。 【0014】 【作用】(1)ダイヤモンドチップが単結晶ダイヤモン
ドによって形成されており、主切刃、副切刃および微小
切削刃がそれぞれ直線状であるので、バイト自体の形状
誤差が小さく、欠陥のない高精度の切刃稜を有するもの
となる。従って、使用するバイトの精度のバラツキに起
因する不具合品の発生が抑制され、ポリゴンミラーの生
産性の向上を図ることができる。 (2)すくい面の端部が主切刃側が低くなるよう傾斜し
ているので、その傾斜角と前逃げ面の逃げ角とによって
切刃コーナが後退し、主切刃と、副切刃との間に微小切
削刃が形成される。そして、ダイヤモンドバイトの送り
運動に伴って、主切刃による切削加工、微小切削刃によ
る微小切削加工および副切刃によるバニシ仕上げ加工が
連続的に行われるため、ポリゴンミラーの反射面の鏡面
加工を安定的に行うことができる。換言すれば、主切刃
により発生する厚い切屑と、副切刃により発生する極め
て薄い切屑とが、微小切削刃による切屑を介して連続的
につながり、切屑の分断によって発生した切粉が金属素
材とバイトとの間に噛み込まれることに起因するスクラ
ッチ等の問題を解決することができる。また、副切刃に
よるバニシ仕上げ加工の前に、微小切削刃による微小切
削加工が行われるため、副切刃への負担(切削抵抗)が
極めて小さくなって副切刃の磨滅・破損等が抑制されて
バイト自体の寿命が長くなり、生産性を更に向上させる
ことができる。そして、このような好ましい条件下で製
造されるポリゴンミラーは、その反射面における光の散
乱がなくて反射率の高いものとなることは勿論である。 (3)微小切削刃に係るすくい面の傾斜距離および切刃
コーナの後退距離を一定の範囲に規定することにより、
後述する実施例からも明らかなように、更に好ましい反
射面を有するポリゴンミラーを製造することができる。 【0015】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
るが、本発明がこれらに限定されるものではない。 【0016】図1は本発明の製造方法に用いる切削加工
機の概略を示し、同図(a)は平面図、(b)は正面図
である。同図において、10は特定形状のダイヤモンド
チップを保持したダイヤモンドバイト、20は、ダイヤ
モンドバイト10が固定されたスピンドル、30は、ス
ピンドル20の回転軸に固定されたベルト車、31はベ
ルトである。スピンドル20は、図示しないモータによ
り、ベルト31およびベルト車30を介して回転する。 【0017】一方、Wは、ポリゴンミラーを得るための
金属素材(反射面数が8)であり、これらの金属素材W
は、複数枚重られた状態で、可動テーブル32上の素材
保持具33に保持されている。可動テーブル32は、切
り込み方向(同図の矢印Xで示す方向)および送り方向
(同図の矢印Yで示す方向)への移動が可能である。 【0018】この切削加工機を用いた鏡面加工は以下の
ようにして行われる。先ず、可動テーブル32をX方向
へ移動させて、ダイヤモンドチップ10を金属素材Wの
一面w1に当接させ、次いで、スピンドル20を回転さ
せるとともに、可動テーブル32をY方向に送り運動さ
せる。これにより、一面w1の鏡面加工が行われる。図
2は金属素材Wの一面において、ダイヤモンドバイトの
移動軌跡を模式的に示した説明図である。金属素材Wの
一面w1の鏡面加工が完了すると、当該金属素材Wが素
材保持具33と共にZ方向に45°回転し、一面w2の
鏡面加工が同様にして行われる。以下、順次金属素材W
の各面が鏡面加工される。 【0019】本発明の製造方法は、鏡面の形成加工にあ
たって、単結晶ダイヤモンドによって形成された特定形
状のダイヤモンドチップを有するダイヤモンドバイトを
使用する点に特徴を有するものである。以下本発明に用
いるダイヤモンドバイトの形状について説明する。 【0020】図3は本発明の方法に用いるダイヤモンド
バイトの概略説明図である。このダイヤモンドバイト
は、超硬合金等からなるインサート60にダイヤモンド
チップ50が固着され、インサート60がシャンク70
の先端に接合されて構成されている。 【0021】図4はダイヤモンドチップ50の先端部に
おける形状を示す説明図であり、同図(a)、(b)お
よび(c)は、それぞれ、正面図(前逃げ面側から見た
図)、平面図(すくい面側から見た図)および側断面図
〔(a)におけるD−D断面図〕である。 【0022】このダイヤモンドチップ50は、すくい面
51および横逃げ面52が交わって形成された主切刃5
0Aと、すくい面51および前逃げ面53が交わって形
成された副切刃50Bとを有してなり、主切刃50Aお
よび副切刃50Bは、それぞれ直線状の切刃である。図
4(a)に示すように、すくい面51は、その一端側に
おいて、切刃コーナ54より副切刃50B側に距離Lだ
け離間した位置から主切刃50A側に向かって傾斜角θ
で傾斜している。一方、同図(c)に示すように、前逃
げ面53は逃げ角γを有している。そして、すくい面5
1の傾斜角θと前逃げ面53の逃げ角γによって、同図
(b)に示すように、切刃コーナ54は、一定距離t
(t≒L・tanθ・tanγ)だけ後退し、この切刃
コーナ54と副切刃50Bの一端との間には微小切削刃
50Cが形成されている。この微小切削刃50Cは、主
切刃50Aが直線状であり、すくい面51の傾斜角θが
一定であることから直線状に形成される。 【0023】なお、すくい面における傾斜は、図5
(a),(b)に示すように、他端側に形成されていて
もよく、何れの側に傾斜を設けるかは、バイトの送り方
向によって決定される。また、図5(c),(d)に示
すように、すくい面の両端側に傾斜を設け、「主切刃5
0A−微小切刃50C−副切刃50B−微小切刃50C
−主切刃50A」が連続する切刃形状のものであっても
よい。 【0024】このような形状のダイヤモンドチップを有
するダイヤモンドバイトを用いて、以下のようにして反
射面の鏡面加工を行う。 (1)金属素材Wに対してダイヤモンドバイト50を当
接する〔図6(a)参照〕。ここに、ダイヤモンドバイ
ト50は、送り方向Vに対して、主切刃50Aが一定の
切り込み角度αを有し、副切刃50Bが一定角度βを有
するように当接される。ここに、主切刃50Aの切り込
み角度αとしては、金属素材Wがアルミニウム合金であ
る場合、通常10〜30°の角度範囲で設定され、副切
刃50Bの当接角βとしては通常0〜0.1°の範囲に
なるようにセッティングされる。また、本発明の方法に
おいては、送り方向Vと微小切削刃50Cとのなす角度
δが0.01〜0.2°となるようセッティングするこ
とが好ましく、特に好ましくは0.08°近傍である。 【0025】(2)このセッティング状態を維持しなが
ら、一定のピッチで送り運動させる〔図6(b)参
照〕。これにより、金属素材Wの切削および鏡面の形成
過程は、次のようになると考えられる。先ず、主切刃5
0Aが送り量の距離ずつ金属素材Wを切り込む。主切刃
50Aにより切削された金属素材Wの表面(切削面)
は、主切刃50Aに連続する微小切削刃50Cによって
微小切削されることにより、その表面状態がある程度整
えられる。このように微小切削された切削面には、スク
ラッチ等が僅かに残存することになるが、これらスクラ
ッチ等は、微小切削刃50Cに連続する副切刃50Bに
よってバニシ仕上げされることにより完全に除去され、
これにより鏡面が形成される。 【0026】このように、送り運動に伴って、主切刃5
0Aによる切削加工、微小切削刃50Cによる微小切削
加工および副切刃50Bによるバニシ仕上げ加工が連続
的に行われるため、ポリゴンミラーの反射面の鏡面加工
を安定的に行うことができ、高精度に鏡面加工された反
射面が得られる。 【0027】また、上記のような切刃形状のダイヤモン
ドバイトで切削・鏡面加工を行う場合においては、主切
刃50Aにより発生した厚い切屑と、副切刃50Bによ
り発生した薄い切屑とが、微小切削刃50Cによる切屑
を介して連続的につながり、副切刃50Bによるバニシ
仕上げ時の切屑が分断されて発生した切粉が金属素材と
バイトとの間に噛み込まれることに起因するスクラッチ
等の残存が防止され安定した切削が行なえる。これに対
して、切刃コーナ54が後退せず、微小切削刃が存在し
ない場合には、副切刃50Bによる切屑が切れぎれとな
り、この切屑の噛み合いによりスクラッチが発生してし
まう。 【0028】〔実験例1〕本発明の製造方法において、
副切刃の接触長さや切刃コーナの後退量が変化すると、
切屑や加工面の形成過程が微妙に変化するため、加工面
の状態にばらつきが生じるおそれがある。特に、微小切
削刃が長過ぎると、加工面に微小うねり等を生じさせて
散乱光などを発生させる不具合がある。そこで、本発明
者らは、ポリゴンミラーの反射面を好適な鏡面状態とす
るために、前逃げ面側から見たすくい面の傾斜長さL
(微小切削刃の長さにほぼ一致する)、並びに、すくい
面側から見た切刃コーナ54の後退量tについて、それ
ぞれ好ましい範囲を求めるべく実験を行った。実験に用
いたダイヤモンドバイト、金属素材および加工条件を以
下に示す。 【0029】(1)ダイヤモンドバイト:図4に示す形
状のダイヤモンドチップを有するダイヤモンドバイト
〔前逃げ角γを3°とし、傾斜長さLおよび後退量t
(傾斜角θ)がそれぞれ異なるチップを有するバイトを
作製した。〕 (2)金属素材:ポリゴンミラー材料(面数6面、対辺
寸法40mm、厚み6mm、材質AL5000系) (3)セッティング状態:主切刃の切り込み角α=10
°,副切刃の当接角β=0.01°〜0.03°,微小
切削刃と送り方向とのなす角度δ=0.08° (4)切削加工機:図1に示す切削加工機 (5)切削条件:回転数1500rpm、送り速度0.
01mm/rev、切込量0.01mm、加工液として
白灯油を用いた。 【0030】上記のように、傾斜長さLおよび後退量t
を変化させた複数種類のダイヤモンドバイトを用いて鏡
面加工を行い、形成されたポリゴンミラーの反射面にレ
ーザ光を照射して反射光に散乱が発生するか否かにより
評価した。評価結果を図7に示す。なお、この図におい
て、「○」は散乱の発生が認められないもの、「×」は
散乱の発生が認められたものである。 【0031】図7の結果から理解されるように、すくい
面の傾斜長さLが0.1〜0.4mmの範囲であって、
かつ切刃コーナの後退量tが0.1μmを越えて0.6
μm以下の範囲においては、散乱の発生が認められな
い。 【0032】以上の実験から、図7中の鎖線で囲んだ範
囲内において、傾斜長さLと後退量tを設定すれば、散
乱の発生のない安定した仕上げ加工ができ、ポリゴンミ
ラーの反射面を高品位な鏡面状態とすることができる。
特に、この範囲の中心部分、すなわちLを0.25m
m、後退量tを0.35μmに設定すると、表面粗さが
極めて良好で、散乱のない高精度な反射面を形成するこ
とができる。なお、上記の好ましい範囲内であれば、す
くい面の傾斜角θおよび前逃げ角γは任意に選択するこ
とができる。 【0033】〔実験例2〕一方、ダイヤモンドバイトを
金属素材にセッテングする際において、好ましいセッテ
ング条件を検討するため、送り方向Vと微小切削刃50
Cとのなす角度δについて、好ましい範囲を求めるべく
実験を行った。実験例1で用いたものと同じ構成のバイ
ト(すくい面の傾斜長さLおよび切刃コーナの後退量t
が上記の好ましい範囲内にあるもの)を用い、前記角度
δをそれぞれ変更してセッテングし、実験例1と同様に
してポリゴンミラーの鏡面加工を行った。形成されたポ
リゴンミラーの反射面にレーザ光を照射して反射光に散
乱が発生するか否かにより評価した。評価結果を表1に
示す。 【0034】 【表1】 【0035】表1に示す結果から理解されるように、送
り方向Vと微小切削刃50Cとのなす角度δが0.01
〜0.2°となるようにセッティングすることが好まし
い。 【0036】 【発明の効果】この発明の製造方法によれば、これに使
用するバイトが欠陥のない高精度の切刃稜を有するの
で、バイトの精度がばらつくことによる不具合品の発生
が抑制され、ポリゴンミラーの生産性の向上を図ること
ができる。また、ダイヤモンドバイトの送り運動に伴っ
て、主切刃による切削加工、微小切削刃による微小切削
加工および副切刃によるバニシ仕上げ加工が連続的に行
われるため、ポリゴンミラーの反射面の鏡面加工を安定
的に行うことができ、このような好ましい条件下で製造
されるポリゴンミラーは、反射面における光の散乱がな
くて反射率の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の製造方法に用いる切削加工機の概略を
示す説明図である。 【図2】金属素材の一面において、ダイヤモンドバイト
の移動軌跡を模式的に示した説明図である。 【図3】本発明の方法に用いるダイヤモンドバイトの概
略説明図である。 【図4】ダイヤモンドチップの先端部における形状を示
す説明図である。 【図5】ダイヤモンドチップの先端部における形状を示
す説明図である。 【図6】本発明の方法に用いるダイヤモンドバイトによ
り、反射面の鏡面加工過程を示す説明図である。 【図7】テスト結果を示すグラフである。 【図8】従来のダイヤモンドバイトにおけるダイヤモン
ドチップの形状を示す概略図である。 【図9】平刃形状のダイヤモンドチップの形状を示す概
略図である。 【図10】平刃形状のダイヤモンドチップによる、反射
面の鏡面加工過程を示す説明図である。 【符号の説明】 10 ダイヤモンドバイト 20 スピンドル 30 ベルト車 31 ベルト 32 可動テーブル 33 素材保持具 50 ダイヤモンドチップ 51 すくい面 52 横逃げ面 53 前逃げ面 54 切刃コーナ 50A 主切刃 50B 副切刃 50C 微小切削刃 60 インサート 70 シャンク W 金属素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩村 義雄 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株 式会社内 (72)発明者 伊藤 豊次 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株 式会社内 (72)発明者 橋本 隆美 東京都八王子市石川町2970番地コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−61701(JP,A) 特開 平4−256505(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ダイヤモンドチップがシャンクに保持さ
    れたダイヤモンドバイトを、金属素材に当接させながら
    送り運動させることにより、反射面の鏡面加工を行うポ
    リゴンミラーの製造方法において、 前記ダイヤモンドチップは、単結晶ダイヤモンドによっ
    て形成され、すくい面および横逃げ面が交わって形成さ
    れた直線状の主切刃と、すくい面および前逃げ面が交わ
    って形成された直線状の副切刃および直線状の微小切削
    刃とを有してなり、 前逃げ面側から見たすくい面は、切刃コーナより副切刃
    側に0.1〜0.4mmだけ離間した位置から主切刃側
    に向かって主切刃側が低くなるよう傾斜角θで傾斜し、
    その傾斜角と前逃げ面の逃げ角とによって、すくい面側
    から見た切刃コーナが0.1μmを超えて0.6μm以
    下の範囲で後退し、後退した切刃コーナと副切刃の一端
    とを結ぶ直線状の前記微小切削刃が形成され、すくい面側から見て、ダイヤモンドバイトの送り運動方
    向と微小切削刃の伸びる方向とのなす角度が0.01〜
    0.2°の範囲になるよう、ダイヤモンドバイトをセッ
    ティングし、 ダイヤモンドバイトの送り運動に伴って、主切刃による
    切削加工、微小切削刃による微小切削加工および副切刃
    によるバニシ仕上げ加工が連続的に行われることを特徴
    とするポリゴンミラーの製造方法。
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