JP3495846B2 - 連続圧延機の制御装置 - Google Patents

連続圧延機の制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼等の圧延設備
における連続圧延機の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、熱間連続圧延機による圧延材料の
長手方向の板厚精度向上に対する要求が益々厳しくなっ
ており、さらに、板幅に対してもその精度向上が強く要
請されている。このうち板厚に対しては、圧延ロールの
開度又はスタンド間の材料張力を制御する方法が採用さ
れている。一方、板幅に対してはスタンド間に配置され
たエッジャーのロールギャップ操作によってその制御が
行われていた。 【0003】 図はスタンド間材料のループ量及び張
力の各制御系の概略構成図である。同図において、圧延
材1は、圧延ロール2を有する上流スタンド(以下、i
スタンドとも言う)で圧延された後、圧延ロール3を有
する下流スタンド(以下、i+1スタンドとも言う)で
圧延される。圧延ロール2及び3はそれぞれ電動機4で
駆動され、これらの電動機4はそれぞれ速度制御装置5
によって速度制御される。 【0004】また、iスタンド及びi+1スタンド間に
ルーパロール6が設置されている。ルーパロール6は電
動機を内蔵するルーパ装置27によってその高さが制御さ
れる。すなわち、ルーパアームの角度θを検出するルー
パ角度検出器10の出力に基づいてルーパ高さ位置演算装
置11がルーパロール6の高さを演算し、その高さが基準
値に一致するように、ルーパ高さ制御装置12がルーパ駆
動電動機を速度制御する。 【0005】一方、ルーパロール6にはその上下方向の
加速度を検出する加速度計7と、圧延材1から受ける荷
重を検出するルーパ荷重検出器8とが付帯的に設けら
れ、これらの各出力信号に基づいて張力検出装置9がi
スタンド及びi+1スタンド間の材料張力を検出する。
さらに、張力検出装置9による張力検出値が基準値に一
致するように、張力制御装置13がi+1スタンドの速度
制御装置5に対する速度基準を補正するように構成され
ている。 【0006】 図はiスタンド及びi+1スタンド間
に設置されるエッジャー及びその制御系の概略構成図で
ある。同図において、圧延材1を板幅方向に圧下する一
対のエッジャーロール14が設けられている。これらのエ
ッジャーロール14のギャップはエッジャー装置23によっ
て制御される。このエッジャー装置23は電動機15によっ
て駆動せしめられるスクリュー16と、油圧シリンダー18
とを備え、このうち、電動機15が電動開度装置17によ
り、油圧シリンダー18が油圧開度調整装置19によりそれ
ぞれ制御される。この場合、信号の分離器32がロールギ
ャップの設定値を電動開度装置17に与えて電動開度装置
17に初期ギャップの設定操作を行わしめ、その後に補正
値を油圧開度調整装置19に与えてロールギャップを高速
修正させる構成になっている。なお、エッジャーロール
14には、その開度を検出する開度検出器20と、その荷重
を検出する荷重検出器21とが設けられ、検出された開度
0 及び荷重Pに基づいてエッジャーロール開度調整装
置22が板幅を基準値に一致させるロールギャップの補正
値ΔSAWC を演算して加算器31に加えている。加算器31
はロールギャップの基準値SREF にこの補正値ΔSAWC
を加算して分離器32に加える。分離器32は前述したよう
に、ロールギャップの基準値SREF を電動開度装置17に
加え、ロールギャップの補正値ΔSAWC を油圧開度調整
装置19に加えることになる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上述した熱間連続圧延
機でスタンド間の材料のループ量と張力とを制御する場
合、先ず、ルーパ高さ位置演算装置11によって演算され
たルーパ高さをルーパ高さ目標値に追随させるようにル
ーパ高さ制御装置12がルーパ駆動電動機を速度制御し、
次に、張力検出装置9の張力検出値を目標値に追随させ
るように張力制御装置13がi+1スタンドの速度制御装
置5に対する速度基準を補正していた。 【0008】 ところで、図(a)に示すように、i
スタンド及びi+1スタンド間の圧延材1に圧縮力が作
用した場合、張力Tu は同図(b)に示すように降下
し、板厚hは同図(c)に示すように厚くなり、板幅B
は同図(d)に示すように広くなる。このことを以下に
説明する。 【0009】一般に、iスタンド及びi+1スタンド間
の圧延材1に加わる張力Tu は、iスタンド出側の材料
速度をvi 、i+1スタンド入側の材料速度をVi+1
すると、フックの法則を用いると次式で表現することが
できる。 【0010】 【数1】 ただし E:材料のヤング率 L:スタンド間距離 である。 【0011】(1)式から明らかなように、iスタンド
出側の材料速度をvi とi+1スタンド入側の材料速度
をVi+1 とが等しければ張力変化を生じない。すなわ
ち、i+1スタンドの圧下及びロール速度を操作し、i
スタンド及びi+1スタンド間張力を一定にする制御が
行われている状態では、定常的にvi =Vi+1 が成立し
ている。しかし、この平衡状態がくずれてvi とVi+1
とが異なる場合に低張力又は圧縮力が働くことになる。 【0012】 ここで、圧縮力が働くのは、vi >V
i+1 となった場合であり、このとき、i+1スタンドに
おいて材料が詰まり気味の状態となるため、図(b)
に示すように張力Tu が下がると同時に、図(c),
(d)に示すように板厚hは厚くなり、板幅Bは広くな
る。この場合、張力変動分が微小であれば特に問題を生
じないが、一定のレベルすなわち張力下限値Tu L 以下
になると板厚変動及び板幅変動は下流スタンドへ影響す
る。これらの変動のうち、板厚変動は従来のAGC(自
動板厚制御)によって修正できるが、板幅変動に対して
は特に補正は行われていなかった。 【0013】一方、エッジャーを備えていない制御装置
にあっては、その板幅をオペレータが監視する構成にな
っている。従来装置には低張力状態になったこと、ある
いは、材料張力が過大になったことをオペレータに積極
的に報知する手段を持たなかったので、板幅変動への対
処が遅れるという問題もあった。 【0014】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたもので、スタンド間の低張力状態に起因する板幅変
動を速やかに修正することにより、安定な圧延状態を保
持すると共に、製品品質の向上を図り得る連続圧延機の
制御装置を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明は、エッジャーが
配置されたスタンド間から見て、上流側のスタンド間の
圧延材張力を張力検出手段が検出すると、低張力検出手
段が低張力状態を検出すると共に、張力基準値に対する
板幅変化分を演算する一方、補正タイミング信号発生手
段が低張力状態の材料位置がエッジャーに到達する時間
を演算し、その到達時刻に補正タイミング信号を出力す
るようにし、そこで、エッジャーギャップ補正手段は演
算された板幅変化分を補正するエッジャーのロールギャ
ップ補正量を演算し、補正タイミング信号に合わせてエ
ッジャーのロールギヤップを補正する構成としたので、
低張力に起因する板幅変動分がその下流のスタンド間の
エッジャーによって速やかに修正される。 【0016】 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す好適な
実施形態に基づいて詳細に説明する。 図1は本発明の
第1の実施形態の概略構成図である。図中、従来装置を
示す図又は図と同一の要素には同一の符号を付して
その説明を省略する。この実施形態は上流のスタンド間
の材料張力が零に近い低張力状態になったとき、この低
張力状態に起因する板幅変動をその下流のスタンド間に
設けられたエッジャーによって修正するもので、張力検
出装置9が圧延材張力を検出すると、その検出値は、図
に示した張力制御装置13(図1では省略)と低張力検
出装置28とに加えられる。低張力検出装置28は、検出さ
れた圧延材張力が、所定値以下の低張力状態になったと
き、張力基準値に対する偏差を演算すると共に、この偏
差に対応する板幅変化分ΔBを演算するものである。エ
ッジャーギャップ補正装置29は演算された板幅変化分を
記憶し、この板幅変化分を補正するエッジャーのロール
ギャップ補正量ΔSBIN を演算して、加算器31に加える
ことにより、ロールギャップの基準値SREF を補正する
ものである。なお、エッジャーのロールギャップ補正量
ΔSBIN を加えるタイミング信号を生成するために、補
正出力タイミング装置30が設けられている。この補正出
力タイミング装置30は、i+1スタンドの速度基準V
REF i+1 に基づいて、低張力検出装置28によって検出さ
れた低張力の材料位置がその下流のスタンド間に設けら
れたエッジャーロール14に到達する時間を演算してエッ
ジャーギャップ補正装置29に加えている。 【0018】上記のように構成された本実施形態の動作
について、特に、従来装置と構成を異にする部分を中心
にして以下に説明する。低張力検出装置28は、張力検出
装置9によって検出されたiスタンド及びi+1スタン
ド間の張力実績値Tu ACT を検索すると共に、この張力
実績値Tu ACTが板幅Bに影響する張力下限値Tu L
り小さいか否かを判別し、Tu ACT <Tu L であると
き、次式の演算を行って板幅変動量ΔBを求める。 【0019】 【数2】 である。 【0020】ここで、低張力検出装置28の張力値の検索
は、圧延材1のどの位置にて低張力が発生したかを検索
し、そのデータを補正出力タイミング装置30に送り込
む。補正出力タイミング装置30はi+1スタンドの速度
基準VREF i+1 に基づき、低張力が発生した材料位置が
エッジャーロール14に到達する時間を演算し、その時間
の経過時にパルス信号をエッジャーギャップ補正装置29
に与える。 【0021】一方、エッジャーギャップ補正装置29は、
低張力検出装置28から送り込まれる板幅補正量を内部の
記憶装置に記憶し、続いて、補正出力タイミング装置30
からタイミング信号が加えられる毎に、記憶された板幅
補正量ΔBに対応する下流側スタンド間のエッジャーの
ロールギャップ補正量ΔSBIN を次式に従って演算し、
加算器31に加える。 【0022】 【数3】 である。この影響係数は、鋼種、サイズ等によって異な
るため、予めテーブルとして記憶させておく。 【0023】かくして、この実施形態によれば、スタン
ド間の材料の圧縮力を含む低張力状態が発生したとき、
その下流のスタンド間に設置されたエッジャーのロール
ギャップを補正するので、安定な圧延状態を保持すると
共に、製品品質の向上を図ることができる。 【0024】なお、上記実施形態では隣接する2スタン
ド間で、上流側のスタンド間の材料の低張力状態に起因
する板幅変動を下流側のスタンド間に設けられたエッジ
ャーによって補正したが、かかる補正は連続圧延機の全
スタンドに適用しても、あるいは、その一部のスタンド
に適用しても良い。 【0025】 【0026】 【0027】 【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明によれば、スタンド間の低張力状態に起因する板幅
変動を速やかに修正することにより、安定な圧延状態を
保持することができ、これによって製品品質の向上を図
ることができる。 【0028】
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロ
ック図。 【図2】従来のスタンド間材料のループ量及び張力の各
制御系の概略構成を示すブロック図。 【図3】スタンド間に設置されたエッジャー及びその従
来の制御系の概略構成を示すブロック図。 【図4】ロール間に圧縮力が作用した場合の張力、板厚
及び板幅の変化を説明するための説明図。 【符号の説明】 2,3 圧延ロール 4,15 電動機 5 速度制御装置 6 ルーパロール 9 張力検出装置 13 張力制御装置 14 エッジャーロール 16 スクリュー 17 電動開度装置 18 油圧シリンダー 19 油圧開度調整装置 22 エッジャーロール開度調整装置 23 エッジャー装置 27 ルーパ装置 28 低張力検出装置 29 エッジャーギャップ補正装置 30 補正出力タイミング装置

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】エッジャーが配置されたスタンド間から見
    て、上流側のスタンド間の圧延材張力を検出する張力検
    出手段と、 検出された圧延材張力が、所定値以下の低張力状態にな
    ったとき、張力基準値に対する偏差を演算すると共に、
    この偏差に対応する板幅変化分を演算する低張力検出手
    段と、 低張力状態の材料位置が前記エッジャーに到達する時間
    を演算し、その到達時刻に補正タイミング信号を出力す
    る補正タイミング信号発生手段と、 演算された前記板幅変化分を記憶し、この板幅変化分を
    補正するための前記エッジャーのロールギャップ補正量
    を演算し、補正対象位置に対応する前記補正タイミング
    信号の出力に合わせて前記エッジャーのロールギヤップ
    を補正するエッジャーギャップ補正手段と、 を備えた連続圧延機の制御装置。
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