JP3495006B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
鋼の連続鋳造方法Info
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Description
し、詳細には鋳造時のδ→γ変態に伴う体積収縮による
鋳片凹みを低減し、該凹みが原因で生じる割れの発生を
防止することのできる鋼の連続鋳造方法に関するもので
ある。
する鋳片凹み(以下、鋳片凹みを「ディプレッション」
と称することがある)や割れは、圧延後の製品疵となる
ので、その発生機構の究明や防止対策が検討されてい
る。この検討結果から、ディプレッションや割れの原因
は、凝固中および凝固後のδ→γ変態に伴う体積収縮に
あることがわかっている。そこで、δ→γ変態に伴う体
積収縮を防止するために、種々の技術が開示されてい
る。
104号、特開平10-29043号などには、モールド壁面の一
部に熱伝導率の低い材料を埋め込み、凝固シェル形成時
の緩冷却を実施する技術が開示されている。これらの技
術は、縦割れやディプレッションが、鋳型内での初期凝
固における凝固シェル厚の不均一性が原因で発生するこ
とに着目し、この不均一性を低減するために、鋳型内抜
熱量を制御するものである。しかしながら、これらの技
術では、モールドを新たな形状のものに加工・交換しな
ければいけないという煩雑さがある。
ロセス』Vol.4、No.4(1991)P.1256〜1257、同じくP.1
284には、鋳型内にパウダー(CaO、SiO2を主成分
とし、Al2O3,Na2Oなどの酸化物成分を含有した
もの)を添加して緩冷却することは、縦割れや凹み欠陥
を防止するのに有効であることが示されている。しか
し、この技術では、鋳造成分が鋳片凹みや縦割れの発生
に与える影響は何ら検討されていなかった。
号、特開平11-197797号、特開平11-197798号などには、
鋳片凹みや縦割れの発生は溶鋼成分に影響されることを
指摘し、溶鋼中に含有される成分の適正な範囲が規定さ
れている。しかしながら、溶鋼中の成分範囲を規定した
だけでは、根本的な解決策にはなり得なかった。
況に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋳造時の
δ→γ変態に伴う体積収縮による鋳片凹みを低減し、該
凹みが原因で生じる割れの発生を防止することができる
鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
のできた鋼の連続鋳造方法とは、L+δ→δ+γ変態を
伴う鋼の連続鋳造において、完全固相域になった時点の
δ体積とγ体積の生成比率が [δ体積/γ体積]≦15 となるように連続鋳造する点に要旨を有するものであ
り、具体的には、下記計算式(1)で示されるA値を満
足するように成分調整後連続鋳造する。 A値=(Cb−Co)/(Co−Ca)≦15 ・・・(1) ここで、 Co=[at%C] Ca=0.4633+0.2[at%Si]−0.09[at%Mn]−0.1 1[at%P]−0.68[at%S]+0.11[at%Cr]+0.15[ at%Mo]+0.11[at%Ti] Cb=0.74+0.52[at%Si]−0.15[at%Mn]+0.15 [at%P]−1.27[at%S]+0.21[at%Cr]+0.36[a t%Mo]+0.35[at%Ti]−0.40[at%Cu]−0.33[a t%Ni] である。尚、[at%元素]は鋼中の各元素含有量を示
し、at%は原子%を示す。
は、炭素鋼または合金鋼の成分元素が次に示す範囲内で
あると良い。at%で、C:3%以下(0%を含まない)、S
i:1.5%以下、Mn:3%以下、P:0.2%以下、S:0.1%
以下、Cr:2%以下、Cu:1.5%以下、Ni:1.5%以
下、Mo:1.5%以下、Ti:0.5%以下。
ときの再結晶温度が1235〜1245℃で、且つ13
00℃での粘度が0.06〜0.08Pa・sの範囲を
満足する連続鋳造用パウダーを使用すると優れた効果を
得ることができる。
べく様々な角度から検討した。その結果、上記構成を採
用すれば、鋳造時のδ→γ変態に伴う体積収縮による鋳
片凹みを効果的に低減することができ、これによって割
れの発生を防止することができることを見出し、本発明
を完成した。以下、本発明の作用効果について説明す
る。
その格子構造の変化にあることが知られている。すなわ
ち、δ相は体心立方格子(bcc)であるのに対し、γ相
は面心立方格子(fcc)であり、「疎」な格子構造のδ
相が「密」な格子構造のγ相に変態する際に、体積収縮
が起こるのである。
し、鋳造過程におけるδ相の生成を制御すれば体積収縮
による鋳片凹みを低減できるのではないかとの着想を得
た。この基本原理を図を用いて説明する。
示す説明図であり、Lは液相、δはフェライト、γはオ
ーステナイトを夫々示している。尚、便宜上Fe−C系
の場合(炭素鋼の場合)を取り上げて説明するが、これ
は本発明の範囲を限定する性質のものではなく、 Si
やMnなどの合金元素が添加された各種合金鋼であって
も原理は同じである。
には、L+δ相(図1のA点)が完全固相域であるδ+γ
相(図1のB点)に変態する時点において、γ相を多く生
成する様に成分調整後連続鋳造すれば、δ相の生成が低
減され、δ+γ→γ変態(図1のB点からC点への変態)
に伴う鋳片凹みが低減できるのである。
(図1のB点)のδ体積とγ体積の生成比率が、[δ体積
/γ体積]≦15となるように制御する必要がある。つま
り、δ体積とγ体積の生成比率が[δ体積/γ体積]≦
15である鋳片をさらに冷却しても、δ→γ変態に伴う体
積収縮は鋳片凹みにほとんど影響を与えない。よって、
このような鋳片をさらに製品に加工しても、品質欠陥は
生じない。好ましくは、[δ体積/γ体積]≦8となる
ように成分調整後連続鋳造するのが良い。また、製品加
工時に冷間鍛造する際は、鋳片の皮下におけるわずかな
割れも、品質欠陥の発生に大きく影響を与えるので、
[δ体積/γ体積]≦1となるように成分調整後連続鋳
造すると一層好ましい。しかしながら、完全固相域にな
った時点の[δ体積/γ体積]が15を超えると、δ→γ
変態に伴う体積収縮が顕著になって鋳片表面の疵やデプ
レッションなどが多く発生し、皮下割れが発生しやすく
なる。
積とγ体積の生成比率を制御するには、溶鋼の成分を予
め調整後鋳造する方法が推奨される。具体的には、完全
固相域になった時点のδ相とγ相の体積は、夫々 δ=(Cb−Co)/(Cb−Ca)×100 % γ=(Co−Ca)/(Cb−Ca)×100 % と示されるので、[δ体積/γ体積]は、 [δ体積/γ体積]=[(Cb−Co)/(Cb−Ca)×10
0]/[(Co−Ca)/(Cb−Ca)×100] =(Cb−Co)/(Co−Ca) と示される。よって、本発明では、下記計算式(1)で
示されるA値を満足するように成分調整後連続鋳造すれ
ば良い。 A値=(Cb−Co)/(Co−Ca)≦15 ・・・(1) ここで、 Co=[at%C] Ca=0.4633+0.2[at%Si]−0.09[at%Mn]−0.11[at%P]−0.68[at%S ]+0.11[at%Cr]+0.15[at%Mo]+0.11[at%Ti] Cb=0.74+0.52[at%Si]−0.15[at%Mn]+0.15[at%P]−1.27[at%S] +0.21[at%Cr]+0.36[at%Mo]+0.35[at%Ti]−0.40[at%Cu]−0. 33[at%Ni] を夫々示す。CaやCbの値は、熱力学を基に導出されたも
のであり、各種元素がδ→γ変態時の体積収縮に及ぼす
影響度合いを示すものである。
されていない炭素鋼の場合は、Ca=0.4633,Cb=0.74と
なるので、A値が上記式(1)を満足するように[at%
C]を算出し、成分調整後連続鋳造すればよい。一方、
各種元素を含有する合金鋼の場合は、上記式(1)を満
足するように、合金成分の添加元素量を算出し、成分調
整後連続鋳造すればよい。この場合、C以外の元素につ
いては1種以上添加されていれば良い。
されるものではないが、例えば、C:3%以下(0%を含ま
ない)、Si:1.5%以下、Mn:3%以下、P:0.2%以
下、S:0.1%以下、Cr:2%以下、Cu:1.5%以下、N
i:1.5%以下、Mo:1.5%以下、Ti:0.5%以下が例示
できる。
性に応じて各種添加元素量を調整すればよく、A値が15
以下、好ましくは8以下、さらに好ましくは1以下となる
様に添加元素量を選択すればよい。尚、上記成分元素の
他、微量元素や不可避不純物を含むことは許容できるも
のである。
という観点では、鋼の成分調整をすると共に、鋳片の冷
却速度を制御することも有効である。例えば、鋳片を緩
やかに冷却(徐冷)すると、鋳片の温度分布が均一とな
るので、凝固シェル成長及びδ+γ→γ変態が均一に進
行する。よって、体積収縮のばらつきが少なくなり、鋳
片凹みが生じにくくなる。尚、冷却速度を制御する手段
として、2次冷却の水量を変化させたり、或いは鋳片の
引抜き速度を変化させることが挙げられる。
鋳型内の凝固シェルを緩冷却するために、高再結晶温度
のモールドパウダーを使用することが好ましく、具体的
には、振動片式粘度計を用いて測定したときの再結晶温
度が1235〜1245℃であり、且つ1300℃での粘度が0.06〜
0.08Pa・s(0.6〜0.8poise)の範囲を満足するものが良
い。
振動片式粘度計を用いた理由は、従来の測定機器と比べ
て測定精度が高いからであり、これによってモールドパ
ウダーの物性と鋳片品質との関係を明らかにすることが
できるからである。そして、振動片式粘度計を用いて測
定したときの再結晶温度が1235〜1245℃であり、且つ13
00℃での粘度が0.06〜0.08Pa・s(0.6〜0.8poise)のも
のであると、鋳型と凝固シェルの間にモールドパウダー
が適当量流入し、凝固遅れや潤滑不足という問題が発生
せず、鋼材を連続鋳造することができる。しかし、再結
晶温度が1235℃より低い場合や、粘度が0.06Pa・s(0.6p
oise)より低いモールドパウダーを使用すると、鋳型と
凝固シェルの間にモールドパウダーが過剰かつ不均一流
入してしまい、体積収縮のばらつきが発生してしまう。
その結果、鋳片の凹みが大きくなる。一方、モールドパ
ウダーの再結晶温度が1245℃を超える場合や、粘度が0.
08Pa・s(0.8poise)を超えるものを使用すると、鋳型と
凝固シェルの間に流入するモールドパウダーがほとんど
無く、潤滑不足になる。従って、鋳片が鋳型から引抜か
れる際に、引抜き方向の力が増大してシェルがブレーク
アウトを起こす。
が特願平1-164874号などに開示した粘度測定装置であ
り、一定の加振力で振動させた白金製の振動片および熱
電対を、溶融したモールドパウダー中に挿入し、振動の
変化量と温度の変化を測定することにより、粘度と再結
晶温度を測定するものである。
度および粘度が上述の範囲内であればよく、その組成は
特に限定されず公知のものが使用できる。例えば、Ca
OやSiO2、フラックス、炭材などを混合して用いる
ことができる。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
添加元素量を適宜調整した。これを表1に示す。 A値=(Cb−Co)/(Co−Ca) ・・・(2) 但し、 Co=[at%C] Ca=0.4633+0.2[at%Si]−0.09[at%Mn]−0.11[at%P]−0.68[at%S ]+0.11[at%Cr]+0.15[at%Mo]+0.11[at%Ti] Cb=0.74+0.52[at%Si]−0.15[at%Mn]+0.15[at%P]−1.27[at%S] +0.21[at%Cr]+0.36[at%Mo]+0.35[at%Ti]−0.40[at%Cu]−0. 33[at%Ni] である。
曲げ型連続鋳造機を用いて引抜き速度1.8m/minで連続鋳
造した。鋳造後の鋳片凹みは、鋳片欠陥指数で評価し、
結果を表1に示す。
凹みの度合いを数値化したものであり、鋳片欠陥指数が
1以下のものでは、後の熱間圧延やユーザーにおける冷
間鍛造など製品加工でも欠陥が発生しないことが分かっ
ている。一方、鋳片欠陥指数が1を超えるものでは、鋳
片を最終製品に加工するまでの間に、割れなどの欠陥を
生じるので、製品としての品質を維持することができな
くなる。
2から明らかな様に、A値と鋳片欠陥指数は相関関係があ
ることが分かる。すなわち、A値が15以下であると、L
+δ相が完全固相域になった際にγ相が多く生成してい
るので、δ+γ→γ変態時に体積収縮はほとんど発生し
ない。よって、鋳片凹みもほとんど見られず、鋳片欠陥
指数は1以下となっている。
連続鋳造すると、L+δ→δ+γ変態時にγ相はほとん
ど生成せず、δ相が多く生成することとなる。よって、
γ+δ→γ変態時に体積収縮が起こり、鋳片の凹みが多
く見られる。従って、鋳片欠陥指数も1を超え、後の加
工時に品質欠陥を生じる。
鋳造する際に、物性の違うモールドパウダーを用いて、
モールドパウダーの物性が鋳片割れに与える影響を調べ
た。モールドパウダーの物性は、神戸製鋼所社製の振動
片式粘度計を用いて再結晶温度と、1300℃での粘度を測
定した。結果を図3に示す。尚、鋳片割れは、割れ発生
率を用いて評価し、試験片100個中に鋳片欠陥指数が1を
超えるものがいくつ占めるかを割合で算出した。評価基
準は、下記の通りである。 <割れ発生率> ○:0%以上10%未満 △:10%以上40%未満 ×:40%以上 図3から明らかな様に、振動片式粘度計を用いて測定し
たときの再結晶温度が1235〜1245℃で、且つ1300℃での
粘度が0.06〜0.08Pa・sの範囲の連続鋳造用パウダー
を使用することによって、割れの発生率を10%未満に低
減していることがわかる。すなわち、本発明の要件を満
足する様に成分調整後連続鋳造する際に、上記モールド
パウダーを併用すると、鋳片欠陥指数が1以下の高品質
な鋳片を90%以上の割合で製造することができる。
造時のδ→γ変態に伴う体積収縮による鋳片凹みを低減
し、該凹みが原因で生じる割れの発生を防止することが
できる鋼の連続鋳造方法が実現できた。
明原理の説明図である。
る。
及ぼす影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 L+δ→δ+γ変態を伴う鋼の連続鋳造
において、下記計算式(1)で示されるA値を満足するように成分
調整後、 振動片式粘度計を用いて測定したときの再結晶温度が1
235〜1245℃で、且つ1300℃での粘度が0.
06〜0.08Pa・sの範囲を満足する連続鋳造用パ
ウダーを使用して連続鋳造することを特徴とする鋼の連
続鋳造方法。 A値=(C b −C o )/(C o −C a )≦15 ・・・
(1) ここで、 C o =[at%C] C a =0.4633+0.2[at%Si]−0.09
[at%Mn]−0.11[at%P]−0.68[a
t%S]+0.11[at%Cr]+0.15[at%
Mo]+0.11[at%Ti] C b =0.74+0.52[at%Si]−0.15
[at%Mn]+0.15[at%P]−1.27[a
t%S]+0.21[at%Cr]+0.36[at%
Mo]+0.35[at%Ti]−0.40[at%C
u]−0.33[at%Ni] である。 - 【請求項2】 炭素鋼または合金鋼の成分元素が下記範
囲内である請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。 at%で、C:3%以下(0%を含まない)、Si:
1.5%以下、Mn:3%以下、P:0.2%以下、
S:0.1%以下、Cr:2%以下、Cu:1.5%以
下、Ni:1.5%以下、Mo:1.5%以下、Ti:
0.5%以下。
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JP2001068235A JP3495006B2 (ja) | 2001-03-12 | 2001-03-12 | 鋼の連続鋳造方法 |
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