JP3493352B2 - 高密度部材を有する偏心ロータと同ロータの製法及び同ロータを用いた扁平コアレス振動モータ - Google Patents

高密度部材を有する偏心ロータと同ロータの製法及び同ロータを用いた扁平コアレス振動モータ

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JP3493352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、移動体通信装置のサ
イレントコール手段用振動モータ用として高密度部材を
備えた偏心ロータと同ロータの製法及び同ロータを用い
る扁平コアレス振動モータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ページャや携帯電話機等の移
動体通信装置のサイレントコール手段として図7に示す
ように円筒直流モータMの出力軸Sにタングステン合金
製の偏心ウエイトWを配し、回転時にこの偏心ウエイト
Wの遠心力を利用して振動を発生させるようにしたもの
が知られている。
【0003】ところが、上記従来の出力軸Sに偏心ウエ
イトWを付加するものでは、ページャなどの機器側にお
いて、この偏心ウエイトWの旋回空間を配慮しなくては
ならないなど、設計的な制約があり、高価なタングステ
ン合金を使用するためコスト的にも問題があった。
【0004】 このため、
本出願人は先に出力軸をなくして内蔵するロータ自体を
偏心させたものとして、扁平型では特公平8−1097
2号(USP5,036,239号、カナダ2,01
7,395号)を、また円筒コアレス型振動モータでは
特願平2−309070号(米国特許5107155
号)として提案している。これらのモータは、出力軸、
偏心ウエイトがないので、設計的な制約を受けず、使い
勝手がよいし、旋回時の危険性がないなど市場に好評を
もって迎えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような内蔵型偏心
ロータを備えた振動モータは出力軸が不要となるため軸
をハウジングの固定したいわゆる軸固定型モータにする
ことができる。このような軸固定型モータとして本出願
人は、先に特公平6−81443号、特許287262
3号を提案している。これらは、極めて細いコアレス巻
線を有するので、取り扱いに細心の注意が必要であっ
て、従来はいずれも成形加工が必要であるので、部品点
数や加工工数が増加してしまう問題が包合されている。
また、最近においては、携帯機器の小型化志向に伴い、
内蔵する振動モータも可及的に小型なものが要求され、
扁平型では直径10mm以下のものが要求されている。
このようなサイズでは、内蔵の空心電機子コイルを偏心
させただけでは、重心の半径方向への移動がわずかとな
って期待した振動量が得られない。そこで、どうしても
タングステン合金入りで混合量を増加して高密度の樹脂
を使用せざるを得ないが、今度はコミュテータと樹脂部
分との導通性により電源に対して並列低い値の抵抗が入
ることになり、消費電流の増大をまねく問題がある。
【0006】この発明の第1の目的は、超小型ながらも
半径方向への重心の移動を確保して望む振動量を得よう
とするものである。この発明の第2の目的は、金属を含
む高密度部材を使用しながらも空心電機子コイルや印刷
配線コミュテータと樹脂との絶縁を確保して消費電流が
犠牲にならない扁平ロータを提供するにある。この発明
の第3の目的は、空心電機子コイルが容易に取り付けで
き、端末の処理も断線問題が出ないようにした製造方法
を提供するにある。この発明の第4の目的は、超小型化
された扁平振動モータを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の基本的な課題解決
手段は、請求項1に示す発明のようにロータベース
(1)は中心に設けられた軸受ホルダ(1b)と、この
軸受ホルダの外方に偏心して設けられた空心電機子コイ
ル位置決め用ガイド(1c、1f)と、空心電機子コイ
ル載置面(1e)と、印刷配線コミュテータ部材載置ガ
イド(1d)とが比重9以上の金属を含む樹脂で一体成
形されることによって偏心構成され、さらに、このロー
タベースの回転中心には焼結含油軸受(12)が配さ
れ、前記空心電機子コイル位置決め用ガイドを利用して
空心電機子コイル(2)が載置され、前記印刷配線コミ
ュテータ部材(3)が前記印刷配線コミュテータ部材載
置ガイドを利用して電位のある導電部と前記ロータベー
スが接触しないように配置され、その端末が前記印刷配
線コミュテータ部材に前記空心電機子コイルとオーバー
ラップしない位置で、かつ、旋回外周以内となるように
結線されれば達成できる。この偏心ロータを製造するに
は、請求項2に示すようにロータベースが中心に設けら
れた軸受ホルダ(1b)と、この軸受ホルダの外方に偏
心して設けられた空心電機子コイル位置決め用ガイド
(1c、1f)と、空心電機子コイル載置面(1e)
と、印刷配線コミュテータ部材載置ガイド(1d)とが
比重9以上の金属を含む樹脂で一体成形されることによ
って偏心構成される工程;このロータベースの回転中心
には焼結含油軸受(12)が配される工程;前記空心電
機子コイル位置決め用ガイドを利用して空心電機子コイ
ル(2)が載置される工程;前記印刷配線コミュテータ
部材(3)が前記印刷配線コミュテータ部材載置ガイド
を利 用して電位のある導電部と前記ロータベースが接触
しないように配置される工程;前記空心電機子コイル端
末を旋回外周以内で前記空心電機子コイルとオーバーラ
ップしない位置で結線させる工程なる構成要素で達成で
きる。そして、このような偏心ロータを振動モータにす
るには、請求項3に示す発明のように請求項1に記載の
高密度部材を備えた偏心ロータ(R)が格納されるケー
ス(4)とブラケット(5)からなるハウジング(H)
と、 基端が前記ブラケットに固定されると共に他端か
ら前記偏心ロータを前記焼結含油軸受を介して回転自在
に装着され、この他端が前記ケースに受け止められた軸
(J)と、前記偏心ロータに電力を供給するブラシ
(6)とが備えられたものにすればよい。
【0008】上記請求項1に示す課題達成手段によれ
ば、印刷配線コミュテータ部材はロータベースから絶縁
されているので、金属が含まれた高密度樹脂部材からな
るロータベースが採用でき、焼結含油軸受によって摺動
ロスが少なく、超小型でありながら重心の半径方向に移
動量が大となって回転時に良好な振動が得られる。請求
項2に示す課題達成手段によれば、高比重部材を使用し
ながらも絶縁の問題がなく振動量の大で、摺動ロスの少
ない偏心ロータが製造できる。請求項3に示すような課
題達成手段によれば、超小型な扁平型振動モータが得ら
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す各実施の形態に
基づき本発明の構成を説明する。図1は本発明の印刷配
線コミュテータ部材を備えた偏心ロータの実施の形態と
して同偏心ロータを構成するロータベースの平面図であ
る。図2は図1のA−A線断面図である。図3は同ロー
タベースに空心電機子コイルを取り付けた状態の平面図
である。図4は同偏心ロータ完成状態の平面図である。
図5は図4のB−B線断面図である。図6は図4の偏心
ロータをB−B線で切断した扁平型コアレス振動モータ
の縦断面図である。
【0010】図1、図2において、1はタングステン合
金をポリアミドにバインドした比重10の高密度樹脂か
らなるロータベースで、中心に軸受装着孔11aを有す
る軸受ホルダ1bとその外方に2個の空心電機子コイル
位置決めガイド1c、1c及び後述の印刷配線コミュテ
ータを載置する3個のポール1d‥‥を一括して射出成
形することによって立ち上げ、前記2個の空心電機子コ
イル位置決めガイド1c、1cの周囲に後述の空心電機
子コイルを載置できる面1eを有し、後述の空心電機子
コイルを載置したとき、外径部の一部が位置決めされる
銀杏葉型ウエイト部1fを有し、さらに、前記軸受ホル
ダ1bの外径部分が空心電機子コイルを載置する際位置
を規制させるようになっている。このように、空心電機
子コイルの位置決めガイドは外径部を利用してもできる
ものである。なお、高密度部材は比重8から12程度ま
で選定でき、比重8程度以下では動摩擦係数0.4
(1.5kg/cm2)程度が得られるので焼結含油軸
受を使用しないで構成できる。ここで、前記軸受ホルダ
の軸受装着孔11aにスリーブ型焼結含油軸受12をは
め込んで偏心ロータRを構成したもので、図中、1g
は、前記軸受ホルダ1bの部分に配された空心電機子コ
イル端末導出溝、1hは、このロータベース1を後述の
偏心ロータとして完成してモータに組み込んだ際、ハウ
ジングの一部に摺接させるための土手部である。なお、
前記スリーブ型焼結含油軸受12を装着するには、前記
軸受ホルダ1bを成形するとき一体に成形させても、あ
るいは、後から圧入させてもよい。
【0011】このようにしたロータベース1の前記空心
電機子コイルの内径の位置決めガイド1c‥‥に、図3
に示すように空心電機子コイル2、2をはめ込み、前記
空心電機子コイル位置決めガイド1c‥‥の頂部を溶
解、あるいは先に前記空心電機子コイル載置面1eに接
着剤を塗布し接着した後、図4、図5に示すように、印
刷配線コミュテータ部材3を電位のある導体部分が前記
高密度部材から絶縁させるためにこの電位部分を避ける
ようにして透孔3aを前記ポール1dにはめ込み、ポー
ル1dの頂部を溶解して載置固着し、前記印刷配線コミ
ュテータ部材3に前記空心電機コイル2とオーバーラッ
プしない位置で旋回外周以内で、かつ、反重心側に設け
られた端末結線パターン3bに前記空心電機子コイルの
端末2a‥‥を結線させるようにして偏心ロータRとし
て完成したものである。ここで印刷配線コミュテータ部
材3は、中央に軸挿入孔を設けるとともに平面からみて
円形に形成され、片面(一面)に平板型コミュテータを
構成する6個の貴金属で表面処理したセグメント3s‥
‥が配され、これらのセグメントの内、対向するセグメ
ント同士をショートする導体をスルーホール3c‥‥を
介して裏面に形成してある。
【0012】上記偏心ロータを製造する方法をまとめる
と、次のような構成となる。すなわち、ロータベースが
中心に設けられた軸受ホルダ(1b)と、この軸受ホル
ダの外方に偏心して設けられた空心電機子コイル位置決
め用ガイド(1c、1f)と、空心電機子コイル載置面
(1e)と、印刷配線コミュテータ部材載置ガイド(1
d)とが比重9以上の金属を含む樹脂で一体成形される
ことによって偏心構成される工程;このロータベースの
回転中心には焼結含油軸受(12)が配される工程;
記空心電機子コイル位置決め用ガイドを利用して空心電
機子コイル(2)が載置される工程;前記印刷配線コミ
ュテータ部材(3)が前記印刷配線コミュテータ部材載
置ガイドを利用して電位のある導電部と前記ロータベー
スが接触しないように配置される工程;前記空心電機子
コイル端末を旋回外周から出ないように前記空心電機子
コイルとオーバーラップしない位置で結線させる工程か
らなるもので偏心ロータとして完成させる。
【0013】このようにした偏心ロータRを扁平コアレ
ス振動モータにするには、図6に示すようなものとな
る。すなわち、偏心ロータRは、ケース4とブラケット
5からなるハウジングHに格納され、前記ブラケット5
の中央に固定された軸Jに、前記軸受け孔1aを介して
回転自在に装着し、前記ブラケット5に配され、前記印
刷配線コミュテータ部材に摺接させたブラシ6によって
電力を供給され、空隙を介して扁平なマグネット7によ
って駆動されるのである。図中、8は前記ブラシ6を植
設して外方から電力を供給する0.1mm厚のエポキシ
基板からなるブラシベースである。
【0014】この発明は、その技術的思想、特徴から逸
脱することなく、他のいろいろな実施の形態をとること
ができる。そのため、前述の実施の形態は単なる例示に
過ぎず限定的に解釈してはならない。この発明の技術的
範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細
書本文には拘束されない。
【0015】
【発明の効果】この発明による扁平な偏心ロータは、超
小型ながらも半径方向への重心の移動を確保して望む振
動量を得ることができ、金属を含む高密度部材を使用し
ながらも空心電機子コイルや印刷配線コミュテータと樹
脂との絶縁を確保でき、空心電機子コイルが容易に取り
付けでき、端末の処理も断線問題が出ないように製造で
き、超小型化された扁平振動モータを安価に提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷配線コミュテータ部材を備えた偏
心ロータの実施の形態として同偏心ロータを構成するロ
ータベースの平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】同ロータベースに空心電機子コイルを取り付け
た状態の平面図である。
【図4】同偏心ロータ完成状態の平面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】 図4の偏心ロータをB−B線で切断した扁平
型コアレス振動モータの縦断面図である。
【図7】従来の振動モータの斜視図である。
【符号の説明】
1、11 ロータベース 2 空心電機子コイル 3 印刷配線コミュテータ部材 3b 端末結線パターン 4 ケース 5 ブラケット 6 ブラシ 7 マグネット J 軸 H ハウジング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02K 13/04 H02K 13/04 15/02 15/02 P 15/04 15/04 E 23/58 23/58 A

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータベース(1)は中心に設けられた
    軸受ホルダ(1b)と、この軸受ホルダの外方に偏心し
    て設けられた空心電機子コイル位置決め用ガイド(1
    c、1f)と、空心電機子コイル載置面(1e)と、印
    刷配線コミュテータ部材載置ガイド(1d)とが比重9
    以上の金属を含む樹脂で一体成形されることによって偏
    心構成され、さらに、このロータベースの回転中心には
    焼結含油軸受(12)が配され、前記空心電機子コイル
    位置決め用ガイドを利用して空心電機子コイル(2)が
    載置され、前記印刷配線コミュテータ部材(3)が前記
    印刷配線コミュテータ部材載置ガイドを利用して電位の
    ある導電部と前記ロータベースが接触しないように配置
    され、その端末が前記印刷配線コミュテータ部材に前記
    空心電機子コイルとオーバーラップしない位置で、か
    つ、旋回外周以内で結線されたことを特徴とする高密度
    部材を備えた偏心ロータ。
  2. 【請求項2】 次の構成要素からなる偏心ロータの製造
    方法;ロータベースが中心に設けられた軸受ホルダ(1b)
    と、この軸受ホルダの外方に偏心して設けられた空心電
    機子コイル位置決め用ガイド(1c、1f)と、空心電
    機子コイル載置面(1e)と、印刷配線コミュテータ部
    材載置ガイド(1d)とが比重9以上の金属を含む樹脂
    で一体成形されることによって偏心構成される工程; このロータベースの回転中心には焼結含油軸受(12)
    が配される工程; 前記空心電機子コイル位置決め用ガイドを利用して空心
    電機子コイル(2)が載置される工程; 前記印刷配線コミュテータ部材(3)が前記印刷配線コ
    ミュテータ部材載置ガイドを利用して電位のある導電部
    と前記ロータベースが接触しないように配置される
    程; 前記空心電機子コイル端末を旋回外周から出ないように
    前記空心電機子コイルとオーバーラップしない位置でか
    つ旋回外周以内で結線させる工程。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の高密度部材を備えた偏
    心ロータ(R)が格納されるケース(4)とブラケット
    (5)からなるハウジング(H)と、 一端が前記ブラ
    ケットに固定されると共に他端から前記偏心ロータを前
    記焼結含油軸受を介して回転自在に装着されたものでこ
    の他端が前記ケースに受け止められた軸(J)と、前記
    偏心ロータに電力を供給するブラシ(6)とが備えられ
    扁平コアレス振動モータ。
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