JP3492841B2 - インクジェットヘッド及びこれを使用するインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットヘッド及びこれを使用するインクジェットプリンタ

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JP3492841B2
JP3492841B2 JP3683996A JP3683996A JP3492841B2 JP 3492841 B2 JP3492841 B2 JP 3492841B2 JP 3683996 A JP3683996 A JP 3683996A JP 3683996 A JP3683996 A JP 3683996A JP 3492841 B2 JP3492841 B2 JP 3492841B2
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文夫 田畑
滋 明間
修司 小池
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秀雄 加藤
浩一 乃川
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14419Manifold

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  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出し
て記録を行うインクジェットヘッドに関する。近年、イ
ンクジェットプリンタにおいて高速で品質のよい記録を
行うためには、インク滴の吐出の安定を図る必要があ
る。
【0002】
【従来の技術】図10に、インクジェットプリンタの全
体の概念図を示す。図10に示すインクジェットプリン
タ1は、回転駆動される搬送手段であるプラテンロール
2が外面の半周に巻き付けられた記録紙3を用紙送りす
るもので、プラテンロール2の軸方向と平行に2本のス
テーシャフト4a,4bが固定される。このステーシャ
フト4a,4bに摺動自在にキャリッジ5が設けられて
往復駆動される。このキャリッジ上にインクジェットヘ
ッドユニット6がインク滴を吐出するノズルを記録紙3
側に向って配置されて構成される。そして、インク供給
手段としてのインク溜まり7よりチューブ8を介してイ
ンクジェットヘッドユニット6のインクが供給されるも
のである。
【0003】そこで、図11に、従来のインクジェット
ヘッドの分解斜視図を示す。図11に示すインクジェッ
トヘッド10は、上記インクジェットヘッドユニット6
を構成するもので、部品ごとに分解して示しており、金
属又はヤング率が3GPa程度以上のプラスチック等の
ような剛性の高い部材(例えば感光性フィルム)で形成
された長方形状の外壁11に囲まれて、圧力室12が形
成されている。
【0004】圧力室12内には、インク供給路13から
インク液が充填され、その前面側(図において上方)に
は、ノズル孔14が穿設されたノズル板15が接合され
ている。ノズル孔14は、外方の印字部(図示せず)に
向いており、圧力室12内のインク液がノズル孔14か
らインク滴となって印字部に向かって吐出される。
【0005】圧力室12の裏面側には、例えばヤング率
が0.1〜10MPa程度のゴム又は樹脂等からなる弾
力性のある弾性体層16を間に挟み込んで、弾性変形可
能な加圧板17が配置されている。加圧板17は長方形
状に形成されて全面で圧力室12に面しており、長手方
向の両端部において、細いリブ18によって支持体19
に連結されている。それと直角の方向では自由端になっ
ている。
【0006】その加圧板17の裏面には、電圧が印加さ
れると変形するピエゾ素子21が密着して配置されてい
る。加圧板17に対するピエゾ素子21の当接面は長方
形であり、その長手方向は加圧板17の長手方向と一致
している。21aは電極である。
【0007】このように構成されたインクジェットヘッ
ド10では、ピエゾ素子21に電圧を印加することによ
り、ピエゾ素子21が収縮して加圧板17が下方に膨ら
むように弾性変形する。加圧板17はリブ18によって
支持体19に連結されているが、リブ18の幅を狭く形
成してあるので、大きく撓むことができ、下方にほぼ平
行移動する。この動作によって、インク供給路13から
圧力室12内へインク液が吸い込まれる。
【0008】そこでピエゾ素子21に対する印加電圧を
ゼロにすると、ピエゾ素子21が弾性で元の位置に戻
り、それによって加圧板17が圧力室12側に押されて
元の位置に戻る。この動作によって、圧力室12内のイ
ンク液が、ノズル孔14から印字部へインク滴となって
吐出される。
【0009】ここで、図12に従来のインクジェットヘ
ッドの全体平面図を示すと共に、図13に従来のインク
ジェットのVI−VI断面図を示す。上記インクジェットヘ
ッド10は図11に示されるように単独で形成されてい
るのでなく、例えば図12及びそのVI−VI断面を示す図
13に示されるように、多数のインクジェットヘッド1
0が一体的に形成されている。23は、インク供給路1
3に送られるインク液が通るインク通路である。
【0010】図13に示される24は、支持体19とピ
エゾ素子21を支持、連結してインクジェットヘッド全
体を支えるベースフレームである。また25は、インク
吐出時のインク通路23(インク供給路13)内のイン
ク液の圧力変動を吸収するための薄膜状の圧力ダンパで
ある。
【0011】続いて、図14に、ヘッドの動作の説明図
を示す。図14(A)は長手方向断面図、図14(B)
は横方向断面図である。図14(A),(B)におい
て、インク液が圧力室12内からノズル孔14へ押し出
される際には、圧力室12内に約10〜15気圧(1〜
1.5MPa)のインク圧力が発生して、加圧板17を
ピエゾ素子21側に撓ませる。
【0012】加圧板17に対して、長手方向には圧力室
12の長さの80〜90%の範囲にピエゾ素子21が当
接している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のインク
ジェットヘッド10は、外壁11と加圧板17との間に
介在される弾性体層16はヤング率が10MPa以下で
あることから、加圧板17を接着するときの加圧加熱工
程において薄膜が減少して厚み制御が不安定となり、各
ノズル14間のインク噴射特性にばらつきを生じてイン
ク吐出性の安定性に欠けるという問題がある。
【0014】ここで、図15に、従来のインクジェット
ヘッドの圧力室内の状態の説明図を示す。図15に示す
インクジェットヘッド10は上述のノズル板の構成を2
層のノズル板15a,15bとして導通路14aを形成
した場合を示したもので作用的には図11と同様であ
る。ところで、インクジェットヘッド10は、圧力室1
2へのインク充填が、通常ノズル孔14上にゴムキャッ
プ26a付の吸引装置26が装着されて行われる。この
吸引装置26はプリンタ内に設けられてノズル孔14の
目詰まり等を防止するためのバックアップユニットに設
けられる。
【0015】この場合、圧力室12を構成する部材がそ
れぞれの機能に応じたものが選択され、例えば外壁11
がステンレススチールで形成されてインク液との濡れ性
が悪く、当該部分に気泡27が残留され易く、特に角奥
の部分に残留する。気泡27の残留量を減少させるため
には吸引装置26による吸引力を増加させることが有効
であるが装置が高価となって実用的ではない。従って、
気泡27の残留によりピエゾ素子21が加圧板17を押
しても気泡27が圧力を吸収してインク吐出が不安定に
なると共に、周波数特性が劣化するという問題がある。
【0016】また、図16及び図17に、従来のインク
ジェットヘッドの加圧板とピエゾ素子の位置関係の説明
図を示す。図16に示すように、ピエゾ素子21が加圧
板17に対して幅方向の中心がずれて取り付けられてい
ると、該ピエゾ素子21との接続部を支点として加圧板
17に作用するモーメントがピエゾ素子21との接続部
分の右側と左側で等しくならず加圧板17が傾く。これ
により、圧力が逃げることとなって圧力室12内に発生
される圧力が所定の値より低下してインク粒子の吐出安
定性を低下させるという問題がある。
【0017】さらに、図17(A)に示すようにピエゾ
素子21が圧力室12の中心線に平行に配置される場合
には中心線に対して上下対称となり、リブ18には曲げ
モーメントと剪断力による応力が生じるが、図17
(B)に示すよう、圧力室12の中心線に対してピエゾ
素子21が上下非対称に回転状態で配置されていると、
加圧板17は図14の変形に加えて中心線回りに生じる
モーメント(矢印)によって捩じられ、リブ18には上
記曲げモーメントと剪断力の応力に加えて上記捩じりモ
ーメントによる応力が加わり、該リブ18の強度が弱く
なることによるインク吐出が不安定となって印字品質の
低下を招くという問題がある。
【0018】また、図17(C)に示すようにピエゾ素
子21が圧力室12の中心線より平行状態でずれて配置
されている場合には、上下方向で非対称となり、該ピエ
ゾ素子21を駆動したときに中心線の回りに生じるモー
メント(矢印)によって加圧板17が回転しようとし、
リブ18に捩り方向のモーメントによる応力が生じ、こ
の結果、リブ18が上述と同様に強度が弱くなることに
よるインク吐出の不安定性により印字品質の低下を招く
という問題がある。
【0019】そこで、本発明は上記課題に鑑みなされた
もので、インク吐出の安定性を図り、印字品質の向上を
図るインクジェットヘッドを提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1では、インク液が充填される所定数の圧力
室を所定数形成した圧力板の一方に対応するノズル孔を
所定数形成したノズル板が設けられると共に、他方に該
各圧力室に対応する変形自在な加圧部を所定数形成した
加圧板が設けられ、各該加圧部を対応するアクチュエー
タにより変形させて該ノズル孔よりインク滴を吐出させ
るインクジェットヘッドにおいて、前記各圧力室の周囲
であって、前記圧力板と前記加圧板との間に、弾性変形
自在な弾性体層を介在させ、該弾性体層の周囲に、当該
弾性体層の厚さに相当する空隙を形成する位置規制部材
を設けるインクジェットヘッドが構成される。
【0021】請求項2では、請求項1記載のインクジェ
ットヘッドにおいて、前記位置規制部材は、一定厚さの
板部材で形成され、該板部材に前記弾性体層に対応する
部分を開口して形成してなる。請求項3では、求項1又
は2記載のインクジェットヘッドにおいて、前記位置規
制部材は、弾性率が前記弾性体層より大であって弾性率
が少なくとも3GPaの部材が使用されてなる。
【0022】請求項4では、請求項1〜3の何れか一項
に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記位置規制
部材は、フィルム状の部材が使用されてなる。請求項5
では、請求項4記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記位置規制部材は、感光性フィルム部材が使用されて
なる。
【0023】請求項6では、請求項1〜3の何れか一項
に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記位置規制
部材は、液状接着部材を前記圧力板上に印刷により形成
されてなる。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】請求項7では、請求項1〜6の何れか一項
に記載のインクジェットヘッドを備えるインクジェット
ヘッドユニットと、該インクジェットヘッドにインク液
を供給するインク供給手段と、記録紙を搬送する搬送手
段と、搬送される該記録紙に対して該インクジェットヘ
ッドを搭載して印字方向に移動させて記録させるキャリ
ッジと、を有してインクジェットプリンタが構成され
る。
【0029】上述のように請求項1乃至6の発明では、
圧力板と加圧板との間に弾性体層を介在させ、弾性体層
の周囲に該弾性体層の厚さに相当する空隙を形成するも
のであって、弾性率が少なくとも3GPaであり、一定
厚さの感光性フィルム又は液状接着部材で形成された位
置規制部材を設ける。これにより、加圧板が取り付けら
れる時に位置規制の役割をなし弾性体層の厚さを均一に
することから、加圧板の変形が一定となってインク吐出
特性のばらつきがなくインク吐出性の安定性が図られ、
印字品質を向上させることが可能となる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】請求項7の発明では、請求項1乃至6の
ンクジェットヘッドを備えるインクジェットユニットが
キャリッジに搭載されて、搬送される記録紙上を移動さ
せて記録を行わせる。これにより、インク吐出の安定性
から印字品質の良好な記録を行わせることが可能とな
る。
【0034】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の第1実施例の要
部構成図を示す。図1は前述の図10に示すようなイン
クジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッド
ユニットに備えられるインクジェットプリンタの要部を
示したものある。図1(A)は本発明のインクジェット
ヘッド31の上面拡大図であり、図1(B)は図1
(A)のV−V断面図である。
【0035】図1(A),(B)に示すインクジェット
ヘッド31は、所定数のノズル孔32が形成されたノズ
ル板33上に圧力室34となる所定数の開口部分が形成
された圧力板35が設けられる。圧力板35上であって
圧力室34となる部分の周囲には弾性体層36が設けら
れ、該圧力板35上の弾性体層36以外の部分に位置規
制部材としてのスペーサ層37が設けられる。そして、
弾性体層36及びスペーサ層37上であって、圧力室3
4に対応する加圧部38aがスリット38bで形成され
たリブ38cにより弾性変形自在に所定数形成された加
圧板38が設けられる。
【0036】この場合、加圧部38aは弾性体層36上
に位置されるものであり、スペーサ層37は、図1
(A)の状態を列としたときに、列間及びその周囲に設
けられる。このスペーサ層37は、加圧板38が取り付
けられるときに、位置規制の役割をなし、弾性体層36
の厚さを均一にするものである。
【0037】そして、各圧力部38aにアクチュエータ
に圧電部材を使用するものとしてピエゾ素子40が取り
付けられたものである。そこで、図2に、図1の製造説
明図を示す。図2において、ステンレススチール等の厚
さ100μm〜300μmの金属板にプレス加工等によ
り所定数のノズル孔32を形成したノズル板33に厚さ
100μm程度の光硬化性のアクリル系樹脂のドライフ
ィルムをラミネートして厚さを均一に貼着する。ラミネ
ートはノズル板33とドライフィルムを重ねて一定間隔
の2つのローラ間に挿入することで行う。ラミネートさ
れたドライフィルムを、フォトエッチングにより露光現
像して圧力室34となる開口部34aを形成して圧力板
35とする。このとき、図示しないがインク供給路が形
成される。
【0038】この圧力板35上に、さらに同部材で厚さ
15μm程度のドライフィルムをラネミートし、フォト
エッチングにより露光、現像してスペーサ層37を形成
する。この場合、スペーサ層37には圧力室となる開口
部34aを例えば図のように縦列のグループで分割し、
グループごとの開口部37aが形成される。このスペー
サ層37は、弾性率を3GPa以上で形成される。
【0039】次に、スクリーン印刷によりシリコーンゴ
ムを印刷して弾性体層36が形成される。この弾性体層
36は、図に示すようにスペーサ層37の開口部37a
内に位置され、かつ圧力室34となる圧力板35の開口
部34aに対応する部分が開口部分として形成される。
【0040】続いて、例えばPEN(ポリエチレンナフ
タレート)フィルムに、図1(A)に示すようにスリッ
ト38bを形成してリブ38cで連結された加圧部38
aが圧力室34となる部分に対応して形成された加圧板
38を、スペーサ層37及び弾性体層36と接触しない
程度にギャップを設けて位置合わせした後、所定温度で
加熱して弾性体層36を硬化(弾性率1GPa程度とな
る)させることにより、スペーサ層37と加圧板38、
スペーサ層37と圧力板35、弾性体層36と加圧板3
8(加圧部38a)がそれぞれ接着される。
【0041】そして、ピエゾ素子部材のブロック40a
を加圧部38aに対応してくし歯状に形成して、各くし
歯に電極を形成した各ピエゾ素子40を、各加圧部38
aに接着し、さらに図示しないが上記ブロック40aを
保持するホルダを接着すると共に、上記インク供給路に
インク液をインクタンクより供給するためのパイプ等が
接続されるものである。
【0042】すなわち、図2に示すように、ノズル板3
3、圧力板35、スペーサ層37、弾性体層36、及び
加圧板38が積層されたように形成してインクジェット
ヘッド31を製造するものである。また、図2における
上記スペーサ層37の形成をドライフィルムを使用した
場合を示したが、圧力板35上にスクリーン印刷により
例えば液状のエポキシ接着材(硬化時に弾性率3GPa
以上となる)を形成し、低温加熱により粘着性を除いた
後、上述のように弾性体層36をスクリーン印刷するこ
とによっても形成できるものである。
【0043】なお、図2では圧力室34となる開口部3
4aのグループを4列にした場合を示したことにより、
スペーサ層37の開口部37aにおいても4列(4グル
ープ)に構成したもので、4列に限らず同様に形成する
ことができるものである。このように、加圧板38を接
着するに際して、弾性体層36より高弾性率な厚さ一定
のスペーサ層37により、弾性体層36の厚さを一定と
することができ、インク液の吐出特性がノズル板33に
よらず一定となってインク吐出の安定性が向上し、ひい
ては印字品質を向上させることができるものである。
【0044】次に、図3に、本発明の第2実施例の要部
構成図を示す。図3(A)はインクジェットヘッド41
の側断面図であり、図3(B)は内部平面図である。図
3(A),(B)に示すインクジェットヘッド41は、
ノズル孔42が所定数形成されたノズル板43に導通路
42aが形成された導通板43aが取り付けられ、該導
通板43aに3層の流路部材45a〜45cで形成した
圧力板45が取り付けられて圧力室46が形成される。
【0045】この圧力板45は流路部材45bにはイン
ク供給路46aが形成され、流路部材45cにはノズル
孔42側に該圧力板45方向に突部47aが形成され
る。すなわち、圧力板45と一体に突部47aが形成さ
れる。そして、圧力板45の最下層の流路部材45cに
弾性体層48を介在させて、該圧力室46に対応する加
圧部49aが所定数形成された加圧板49が取着され
る。なお、図示しないが、各加圧部49aには図1
(B)に示すようにピエゾ素子が取り付けられる。
【0046】例えば、ノズル孔42の径を50μm、圧
力室46の幅を200μm、圧力室46の深さを100
μmとし、導通路42aの直径を200μmとする。ま
た、圧力室46へインクを供給するためのインク供給路
46aを幅50μm、長さ100μmとする。
【0047】この場合、ノズル板43はSUS304
(ステンレススチール)の板で構成されており、圧力室
46の壁を構成する流路部材45a〜45cを、ドライ
フィルムを積層して形成したものであり、圧力室46お
よびインク供給路46aを上記ドライフィルムをパター
ンマスクにより露光、現像して作製したものである。ま
た、加圧板49は、PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルムを使用し、弾性体層48には弾性率がヤン
グ率0.5〜10MPaのゴム状のものとしてシリコー
ンゴムを使用し、印刷法により形成したものである。そ
して、加工板を接合してヘッドを作製したものである。
【0048】ここで、弾性体層48として使用したシリ
コーンゴムとインクとの濡れ性としての接触角が80度
であり、他の構成部材(ドライフィルム)の30度に比
べて悪い。ここで、接触角とは、インク液が壁に接触し
て濡れ広がったときの壁面とインク液盛り上りとの角度
をいうものであり、角度が大きくなるほど濡れ広がりが
悪いことを示す。因に、インク液として水性インク(粘
度2.0cp、表面張力53dyn/cm)、の主成分
が水、ジエチレングリコール10〜20wt%、染料2
〜10wt%で構成されている場合に、ステンレススチ
ール(SUS304)との接触角が61度、シリコーン
ゴムとの接触角が100度、PENとの接触角が55
度、ドライフィルムとの接触角が58度である。
【0049】そこで、上記突部47aを、厚さ50μm
で圧力室46内に50μm突出させるように形成する。
すなわち、厚さが圧力室46の深さの0.1〜0.8の
範囲内になるようにし、突き出し量を突き出し厚さ(突
部47aと弾性体層48との厚さ)の0.1〜10倍の
範囲になるように形成するものである。
【0050】例えば、ノズル板43にノズル孔42を6
4個形成したものとして、総てのノズル孔42をゴムキ
ャップで覆って吸引ポンプで0.4atmの圧力で1秒
間吸引させた場合、圧力室64の導通路42aの近傍の
総てに気泡が残留しないという結果が得られた。ここ
で、図15に示すように突部を設けない場合には同条件
で40個の圧力室で気泡が残留した結果が得られた。
【0051】このように、突部47aを設けることによ
り、気泡残留を防止することができ、良好なインク注入
を実現することができるもので、これをプリンタに搭載
して1時間の連続印字を行ってもインク吐出の不安定な
印字動作が見られず、安定してインク吐出を行うことが
確認できたものである。これにより、印字品質を向上さ
せることができるものである。
【0052】続いて、図4に、第2実施例の他の実施例
の要部断面図を示す。図4(A)に示すインクジェット
ヘッド41は、圧力板45を形成する流路部材を4層と
して4層目の流路部材45dのうち、インク供給路46
a側で圧力室46内方向に突部47bを形成したもの
で、この突部47bの下部に弾性体層48が位置され
る。他の構成は図3と同様である。例えば突部47bの
厚さを50μmとし、突き出し量を60μmとして、上
述と同様に64個のノズル孔42の総てを吸引ポンプで
0.3atmの圧力で1秒間吸引した場合に、総ての圧
力室46内での気泡の残留が認められなかったものであ
る。
【0053】因に、突部47bを設けなかった場合の同
条件でのインク注入では30個の圧力室で気泡の発生が
認められた。このように、突部47bを圧力室46のイ
ンク供給路46a側に形成した場合であっても気泡の残
留を防止することができ、インク吐出の安定性が図ら
れ、印字品質の向上を図ることができるものである。
【0054】また、図4(B)に示すインクジェットヘ
ッド41は、図3のインクジェットヘッド41の構成の
うち、圧力板45を構成する流路部材45cには突部を
設けず(従って弾性体層48も突状態としない)、加圧
板49の加圧部49a上のノズル孔42側及びインク供
給路47d側にPETフィルムで例えば厚さ30μm、
圧力室46内への突き出し量を50μmとした突部47
c,47dを設けたものである。この突部47c,47
dは、加圧部49aと一体的に形成してもよく、別部材
として取り付けてもよい。
【0055】そこで、上述と同様に64個のノズル孔4
2の総てを吸引ポンプで0.2atmの圧力で1秒間吸
引した場合に、総ての圧力室46内での気泡の残留が認
められなかったものである。因に、突部47c,47d
を設けなかった場合の同条件でのインク注入では30個
の圧力室で気泡の発生が認められた。
【0056】このように、突部47c,47dを圧力室
46のノズル孔42側及びインク供給路46a側に加圧
部49a上に形成した場合であっても気泡の残留を防止
することができ、インク吐出の安定性が図られ、印字品
質の向上を図ることができるものである。
【0057】次に、図5に、本発明の第3実施例の構成
図を示す。図5(A)は加圧板の平面図、図5(B)は
複数の加圧板の配置の平面図、図5(C)はインクジェ
ットヘッドの部分断面図である。図5(A)に示す加圧
板60に形成された加圧部61は、図5(C)に示され
るインクジェットヘッド51に使用されるもので、支持
板62に連結させるリブ61a,61aの幅を加圧部6
1の幅を越えない範囲で広く、例えば該加圧部61と同
じ幅としたものである。そして、ピエゾ素子52が該加
圧部61の長手方向の中心線を一致させて密着される。
【0058】加圧部61を複数配列してマルチノズルヘ
ッドの加圧板60とする場合、図5(B)に示すよう
に、支持板62(リブ61a,61a)と一体の加圧部
61がスリット64を介在させて配置される。例えば、
樹脂材料をレーザ加工又はエッチング等によりスリット
64が形成される。
【0059】また、一つのインクジェットヘッド51
は、図5(C)に示すように、上記ピエゾ素子52が密
着された加圧部61上に、ノズル孔53が形成されたノ
ズル板54、インク供給路57aが形成された外避(圧
力板)55、及び弾性体56が設けられて圧力室57を
形成している。
【0060】このように、リブ61a,61aの幅が広
いことから、リブ61a,61aへの応力集中が緩和さ
れて応力が低下する。また、加圧部61を幅広く支持す
るために中心軸回りに回転しにくくなり、リブ61a,
61aに使用する捩じりモーメントは小さくなって応力
はさらに小さくなる。一方、加圧部61の圧力室57の
変位体積(インク吸引量)については、リブ61a,6
1aの部分の変形は小さくなるが、斜線部分(図5
(C))が従来のものと同程度に変形するために、変位
体積は従来のものとほぼ同じ値になる。
【0061】ここで、図6に第3実施例の加圧板変位体
積とリブ応力の関係の説明図を示して、具体的数値によ
り説明する。いま、例えばリブ61a,61aの幅が従
来の0.04mmであり、第4実施例を0.262mm
とする。この場合、加圧部61のサイズを1.2mm
(長さ)×0.262mm(幅)×0.075mm(厚
さ)であり、リブ61a,61aのサイズが0.02m
m(長さ)×0.075mm(厚さ)であってリブ幅を
0.04mmと0.262mmとする。なお、ヤング率
(E)は6GPaである。また、弾性体56のサイズを
1.092mm(長さ)×0.190mm(幅)×0.
014mm(厚さ)、ヤング率(E)が960KPaと
する。さらに、ピエゾ素子52のサイズが0.8mm
(長さ)×0.1mm(幅)×4.5mm(厚さ)と
し、d(変位)定数(d31:31は変位方向を示す)を
−410×10 -12 m/V(駆動電圧50V)とする。
【0062】このとき、ピエゾ素子52の駆動時の加圧
部61の変位体積が図6(A)に示され、リブ61a,
61bの応力が図6(B)に示される。図6(A),
(B)において従来例のものは上記リブの幅が0.04
mmのものである。すなわち、従来のものと比較する
と、変位体積比が0.975(=169.2/173.
6)となって2.5%減少し、応力比が0.587(=
11.5/19.6)となって41.3%減少する。従
って、加圧板61の変位体積は従前のものと略同一であ
るが、リブ61a,61aの応力が大幅に減少したこと
が明らかである。
【0063】また、ピエゾ素子52が、図5(A)に示
すY方向に例えば0.045mmずれて密着された場合
に、リブ61a,61aに生じる捩りモーメントによ
り、図6(C),(D)に示すように加圧板変位体積及
びリブ応力が変化する。図6(C),(D)より従来の
もの(リブ幅0.04mm)と比較すると、変位体積比
が0.976(=166.1/170.2)で2.4%
減少し、応力比が0.637(=12.8/20.1)
で36.3%減少する。すなわち、ピエゾ素子52が位
置ずれして密着されても加圧部61の変位体積は従来の
ものとほぼ同一であり、リブ応力が大幅に低下したもの
である。
【0064】続いて、図7〜図9に、第3実施例の他の
実施例の構成図を示す。図7(A),(B)において、
加圧板60の加圧部61を支持するリブ61a,61b
を例えば矩形状の溝65aを形成したものである。加圧
部61と同一厚さ、同一幅のリブ61a,61bの場合
に、形成材料のヤング率が数十GPa以上として剛性が
高くなると加圧部61が撓みにくくなることから、リブ
61a,61aに溝65aを設けることにより剛性を低
下させて撓み易くしたものである。
【0065】同様に、図8(A)は上記溝65aの部分
を円弧状の溝65bとしたもので、図7より過度の応力
集中部分を生じないようにしたものである。また、図8
(B)は当該リブ61a,61aの板厚を圧力室57方
向にテーパ状の溝65cとしたもので、これによっても
加圧部61を撓み易くしたものである。
【0066】さらに、図9(A),(B)は図5の加圧
部61における少なくとも圧力室57に対応する部分を
高剛性部61bとしたものである。一般に加圧部61の
ヤング率が数GPa以下と小さくなるとリブ61a,6
1bは撓み易くなるが、インク噴射時のインク圧力によ
って圧力室57領域部分の変形が大きくなり、インク圧
力低下を生じてインク粒量、粒速が低下する。上述のよ
うに加圧部61の所定部分を高剛性とすることにより、
加圧部61の過大な変形を防止することができるもので
ある。
【0067】例えば、加圧部61の成型時に該当部分に
ヤング率の高い樹脂材料(例えばPNE:ポリエチレン
ナフタレート)や金属材料を配置し、又は成型時にCF
RP(カーボンファイバ強化プラスチック)等の繊維を
配合する等により、加圧部61に高剛性部61bを形成
することができるものである。
【0068】このように、リブ61a,61bへの応力
が大幅に減少されて耐久性が向上してインク吐出特性の
劣化が軽減されてインク吐出の安定性を図ることがで
き、ひいては印字品質を向上させることができるもので
ある。また、スリット形成の加工時間が短縮されると共
に、高精度が要求されず加工が簡易になるものである。
【0069】
【発明の効果】以上のように請求項1乃至6の発明によ
れば、圧力板と加圧板との間に弾性体層を介在させ、
性体層の周囲に該弾性体層の厚さに相当する空隙を形成
するものであって、弾性率が少なくとも3GPaであ
り、一定厚さの感光性フィルム又は液状接着部材で形成
された位置規制部材を設けることにより、加圧板が取り
付けられる時に位置規制の役割をなし弾性体層の厚さを
均一にすることから、加圧板の変形が一定となってイン
ク吐出特性のばらつきがなくインク吐出性の安定性が図
られ、印字品質を向上させることができる。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】請求項7の発明によれば、請求項1乃至6
インクジェットヘッドを備えるインクジェットユニッ
トがキャリッジに搭載されて、搬送される記録紙上を移
動させて記録を行わせることにより、インク吐出の安定
性から印字品質の良好な記録を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の要部構成図である。
【図2】図1の製造説明図である。
【図3】本発明の第2実施例の要部構成図である。
【図4】第2実施例の他の実施例の要部断面図である。
【図5】本発明の第3実施例の構成図である。
【図6】第3実施例の加工板変位体積とリブ応力の関係
の説明図である。
【図7】第3実施例の他の実施例の構成図(1)であ
る。
【図8】第3実施例の他の実施例の構成図(2)であ
る。
【図9】第3実施例の他の実施例の構成図(3)であ
る。
【図10】インチジェットプリンタの全体の概念図であ
る。
【図11】従来のインクジェットヘッドの分解斜視図で
ある。
【図12】従来のインクジェットヘッドの全体平面図で
ある。
【図13】従来のインクジェットヘッドのVI−VI断面図
である。
【図14】ヘッドの動作の説明図である。
【図15】従来のインクジェットヘッドの圧力室内の状
態の説明図である。
【図16】従来のインクジェットヘッドの加圧板とピエ
ゾ素子の位置関係の説明図(1)である。
【図17】従来のインクジェットヘッドの加圧板とピエ
ゾ素子の位置関係の説明図(2)である。
【符号の説明】
31,41,51 インクジェットヘッド 32,42,53 ノズル孔 33,43,54 ノズル板 34,46,57 圧力室 35,45 圧力板 36,48,56 弾性体層 37 スペーサ層 38,49,60 加圧板 38a,49a,61 加圧部 40,42 ピエゾ素子 47a〜47d 突部
フロントページの続き (72)発明者 朽網 道徳 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 田畑 文夫 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 明間 滋 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 小池 修司 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 三上 知久 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 加藤 秀雄 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 乃川 浩一 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 右田 和彦 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−290705(JP,A) 特開 平7−290702(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク液が充填される所定数の圧力室を
    所定数形成した圧力板の一方に対応するノズル孔を所定
    数形成したノズル板が設けられると共に、他方に該各圧
    力室に対応する変形自在な加圧部を所定数形成した加圧
    板が設けられ、各該加圧部を対応するアクチュエータに
    より変形させて該ノズル孔よりインク滴を吐出させるイ
    ンクジェットヘッドにおいて、 前記各圧力室の周囲であって、前記圧力板と前記加圧板
    との間に、弾性変形自在な弾性体層を介在させ、該弾性
    体層の周囲に、当該弾性体層の厚さに相当する空隙を形
    成する位置規制部材を設けることを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェットヘッドに
    おいて、前記位置規制部材は、一定厚さの板部材で形成
    され、該板部材に前記弾性体層に対応する部分を開口し
    て形成してなることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のインクジェットヘ
    ッドにおいて、前記位置規制部材は、弾性率が前記弾性
    体層より大であって弾性率が少なくとも3GPaの部材
    が使用されてなることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか一項に記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記位置規制部材は、フィ
    ルム状の部材が使用されてなることを特徴とするインク
    ジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のインクジェットヘッドに
    おいて、前記位置規制部材は、感光性フィルム部材が使
    用されてなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3の何れか一項に記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記位置規制部材は、液状
    接着部材を前記圧力板上に印刷により形成されてなるこ
    とを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れか一項に記載のイン
    クジェットヘッドを備えるインクジェットヘッドユニッ
    トと、 該インクジェットヘッドにインク液を供給するインク供
    給手段と、 記録紙を搬送する搬送手段と、 搬送される該記録紙に対して該インクジェットヘッドを
    搭載して印字方向に移 動させて記録させるキャリッジ
    と、 を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
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