JP3491907B2 - 肥厚性瘢痕、ケロイド用皮膚外用剤 - Google Patents

肥厚性瘢痕、ケロイド用皮膚外用剤

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JP3491907B2
JP3491907B2 JP09195292A JP9195292A JP3491907B2 JP 3491907 B2 JP3491907 B2 JP 3491907B2 JP 09195292 A JP09195292 A JP 09195292A JP 9195292 A JP9195292 A JP 9195292A JP 3491907 B2 JP3491907 B2 JP 3491907B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、肥厚性瘢痕およびケ
ロイドの予防的治療用皮膚外用剤に関する。 【0002】 【従来の技術】肥厚性瘢痕およびケロイドの治療剤とし
て現在用いられている薬剤としては、ステロイド剤、ヘ
パリン類似物質がある。 【0003】しかし、ステロイド剤はその強い抗炎症効
果とともに強い副作用があり、肥厚性瘢痕、ケロイド等
では創傷治癒の遅延、皮膚の萎縮、接触性皮膚炎様発疹
等が問題になっている。一方、ヘパリン類似物質は、こ
れらの疾患に対して作用が弱く、また、その血液凝固阻
止作用から出血性血液疾患には禁忌とされており、これ
らに代る有用な薬剤が望まれてきた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、肥厚性瘢
痕およびケロイドの予防的治療に有効な皮膚用外用剤を
提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら疾
患に対し有効な薬剤の開発を目途し種々の基礎的検討の
結果、ケトチフェンまたはその塩、およびロベンザリッ
ト塩がこれらに効果があることを見いだした。 【0006】肥厚性瘢痕、ケロイドは熱傷または創傷に
よりおこる傷の治癒経過の遷延が原因する疾患で、膠原
線維を主とする瘢痕組織が過量に生産されて起こるとさ
れている。この結果、皮膚の修復過程で瘢痕が周囲より
隆起し、赤みや硬化が著明となり、しばしば痒みや圧痛
を伴なう。 【0007】本発明はこれらの原因となる線維芽細胞に
対する作用、コラーゲン萎縮抑制作用に対する作用等を
試験し、その効果を認めた。また、in vivo試験
として創傷治癒試験(切創傷)を行ない、これらに対し
てもその効果を確認した。 【0008】 本発明に掲げる薬剤は、肥厚性瘢痕、ケ
ロイドに対しては従来用途がなく、例えばフマール酸ケ
トチフェンは喘息等アレルギー疾患に、ロベンザリット
二ナトリウムはリューマチ疾患に、DADAは肝臓疾患
に、シメチジンは潰瘍疾患に、パンテノールはパントテ
ン酸欠乏症に用いられており、本発明は、これらの肥厚
性瘢痕、ケロイド疾患に対する予防的治療用外用剤とし
ての用途を見出したものである。 【0009】外用剤の剤型としてパップ剤、ゲル剤、軟
膏剤、クリーム剤、液剤、テープ剤がよく、薬剤の使用
量は0.01重量%〜10.0重量%がよく、好ましく
は0.05重量%〜5重量%がよい。 【0010】 【発明の効果】本発明によれば、皮膚用外用剤における
薬効成分として、ケトチフェンまたはその塩、およびロ
ベンザリット塩を用いることにより、肥厚性瘢痕、ケロ
イドに対して予防的治療効果を発揮することができる。 【0011】 【実施例】 実施例1 ソルビトール32.9gを予製剤1とし、ゼラチン2g
とPVA(ポリビニルアルコール)1gを水13gに加
え加熱溶解したものを予製剤2とする。別に、グリセリ
ン23gにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム1.2g
とCMC−Na(カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム)1.0gおよびポリアクリル酸デンプン・アクリル
酸共重合体1.1gとポリアクリル酸ナトリウム3gを
加え充分分散させたものを予製剤3とした。予製剤4と
してミリスチン酸イソプロピル2g、ソルビン酸脂肪酸
エステル1g、l−メントール0.3gの混合物を、そ
して予製剤5としてメトキシエチレン無水マレイン酸共
重合体0.4gを水5gに溶解したものを、さらに予製
剤6としてモノラウリン酸ポリエチレングリコール0.
6gと被験薬0.5gを水12gに溶解したものを調製
した。予製剤1に予製剤2、予製剤4、予製剤5、予製
剤6を加えた後、予製剤3を加え30分間ニーダ中で撹
拌混合する。これを展延しパップ剤とした。 【0012】実施例2 クエン酸0.3gとカルボキシビニルポリマー5gを水
100gに加え加温溶解したもの30gに、エタノール
30g、プロピレングリコール3g、水31.2g、被
験薬0.5gを加えたのち、10%の水酸化ナトリウム
液を適量加えてゲル化しゲル剤とした。 【0013】実施例3 予製剤1としてソルビタンセスキオレエート3.0g、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.2g、流動パラフ
ィン10.0g、パルミチン酸イソプロピル5.0g、
ワセリン1.0g、パラヒドロキシ安息香酸プロピル
0.1g、レシノール0.5g、被験薬0.5gを加温
溶解した。予製剤2としてパラヒドロキシ安息香酸メチ
ル0.1g、硫酸マグネシウム0.5g、グリセリン
5.0gを加温溶解した。予製剤2を予製剤1に加え精
製水で全量を100gにし、ホモミキサーにて5000
rpmで10分間撹拌した後、通常撹拌で35℃まで撹
拌しクリーム剤とした。 【0014】実施例4 予製剤1としてソルビタンセスキオレエート5.0g、
ポリオキシセチルエーテル0.5g、セタノール6.0
g、ミツロウ3.0g、ワセリン35.0g、パラヒド
ロキシ安息香酸プロピル0.1g、被験薬0.5gを加
温溶解した。また、予製剤2としてパラヒドロキシ安息
香酸メチル0.1g、EDTA−2Na(エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム)0.2gを適量の精製水で加
温溶解した。予製剤2を予製剤1に加えて撹拌し、精製
水を加えて全量を100gにした後、40〜45℃で放
置し軟膏剤とした。 【0015】実施例5 ステアリルアルコール2.1gを水浴上で溶かし、これ
に5.5gのスパン20および流動パラフィン40gを
加えて70℃に加温する。パラヒドロキシ安息香酸メチ
ル0.025gとパラヒドロキシ安息香酸プロピル0.
015gを沸騰水中に溶かし、ツイン20を5.5gお
よびラウリン硫酸ナトリウム1.0g、被験薬0.1g
を加えて溶解し70℃に加温する。油相中に水相を加
え、精製水で全量を100mlとし45℃に冷えるまで
撹拌しローションとした。 【0016】実施例6 アクリル共重合体樹脂粘着剤88.3g、水1.0g、
エマゾール0.2g、モノラウリン酸ポリエチレングリ
コール1.0g、クロタミトン2.0g、l−メントー
ル1.0g、グリセリン6.0g、被験薬0.5gを混
合して展延しテープ剤とした。 【0017】実験例1(線維芽細胞増殖抑制試験) 継代4次線維芽細胞を用いて被験薬の線維芽細胞の増殖
に及ぼす影響を調べた。継代3次線維芽細胞を培養フラ
スコより集め、6穴のマルチウエルプレートに接種す
る。3日後、マルチウエルプレートより培地を吸引除去
し、被験薬を溶解した培地と取り替える。各被験薬の濃
度は2mM、1mM、0.5mM、0.25mMとし
た。6日後に培地を通常の培養培地と取り替える。10
日後、マルチウエルプレート中の細胞数をビュルケルチ
ュルク計算盤で数える。 【0018】結果を後記表1に示す。表1から明らかな
ように、被験薬を投与することにより線維芽細胞増殖の
抑制が認められた。 【0019】実験例2(コラーゲンゲル萎縮抑制試験) コラーゲンゲルの萎縮試験を行ない、被験薬のコラーゲ
ンゲルの萎縮に及ぼす影響を検討した。 【0020】30%コラーゲン液と10倍濃度の培地と
緩衝液の混液を6穴のマルチウエルプレート(1穴9.
6cm2) に2mlづつ分注し、恒温槽(37℃,5%
CO2 )中で約1時間加温してコラーゲンゲルを作成し
た。各試験薬は、濃度を4mM、2mM、1mM、0.
5mMに調製し、この液1mlを1穴に分注した。 【0021】次に線維芽細胞の浮遊液(3×104個/
ml) を1mlづつ1穴に分注し(濃度はそれぞれ2
mM、1mM、0.5mM、0.25mMとなる)、3
日後に培地を通常培地と取り替え、7日後にコラーゲン
ゲルの大きさを測定した。結果を後記表2に示す。表2
より、被験薬を添加した群ではコラーゲンゲルの萎縮が
抑制された。 【0022】実験例3(切創傷モデル) 皮膚切創傷モデルを用いてゲル剤の効果を検討した。ゲ
ル剤としては、被験薬を0.5%の濃度で含む実施例2
のゲル剤を用いた。 【0023】8週齢のWistar系雄性ラットの背部
皮膚を電気バリカンで刈毛した後、アルコール綿で消毒
後、外科用メスで正中線に沿って3.4cm切開した。
切開創の中央部およびそこから1cm頭部側および尾部
側の計3箇所でミッヘル縫合を施し、3日後にミッヘル
を除去した。 【0024】各被験薬を0.5%の濃度で含むゲル剤を
作成し、皮膚切創作成の翌日から午前と午後の2回、そ
れぞれ0.1gづつ塗布した。皮膚切創作成の4日後
に、切創部の中央2cmを含む皮膚を長さ3cmの短冊
型に取り、片側を固定して牽引し、レオメータで切創が
開裂に要する重量、すなわち創耐張力を測定する。 【0025】その結果を表3に示した。無塗布の群に比
べ、ゲル剤を塗布した群で有意な創耐張力の増加が認め
られた。 【0026】 【表1】表1:線維芽細胞増殖抑制試験 細胞数(×10 3 個/well) 被験薬濃度2mM 1mM 0.5
mM 0.25mM コントロール 43.63; ロベンザリット二ナトリウム 0,
1.50,4.50, 5.25; フマル酸ケトチフェン 0.75, 1.2
5, 3.75, 6.25; mean n=3 【0027】 【表2】表2:コラーゲンゲル萎縮抑制試験 萎縮面積(cm 2 )被験薬濃度 0.25mM 0.5mM 1.0mM
2.0mM コントロール 9.6; ロベンザリット 2.41±1.30,3.40
±0.16, 2.29±1.41, −; 二ナトリウム フマル酸ケト
チフェン 1.63±1.14, 0, 0, 0; mean±S.E. n=3 【0028】 【表3】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−117828(JP,A) 特開 平2−88644(JP,A) 米国特許5002760(US,A) Chemical Abstract s,vol.101,abstract no.78778 Chemical Abstract s.vol.94,abstract n o.185569 Chemical Abstract s.vol.75,abstract n o.3764 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/4535 A61K 31/24 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ケトチフェンまたはその塩、およびロベ
    ンザリット塩から選ばれる少なくとも一種の薬剤を含有
    することを特徴とする肥厚性瘢痕およびケロイドの予防
    的治療用皮膚外用剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115137867B (zh) * 2022-04-26 2023-06-27 温州爱恩思生物科技有限公司 一种含有硅基无机材料的抗瘢痕材料及制备方法与应用

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Chemical Abstracts,vol.101,abstract no.78778
Chemical Abstracts.vol.75,abstract no.3764
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CN115137867B (zh) * 2022-04-26 2023-06-27 温州爱恩思生物科技有限公司 一种含有硅基无机材料的抗瘢痕材料及制备方法与应用

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