JP3486665B2 - イソプリメベロシドとその製造方法、及び利用酵素 - Google Patents

イソプリメベロシドとその製造方法、及び利用酵素

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JP3486665B2 JP07751793A JP7751793A JP3486665B2 JP 3486665 B2 JP3486665 B2 JP 3486665B2 JP 07751793 A JP07751793 A JP 07751793A JP 7751793 A JP7751793 A JP 7751793A JP 3486665 B2 JP3486665 B2 JP 3486665B2
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖の製造に関するもの
であって、特に、従来未知の新規糖転移酵素を用いるイ
ソプリメベロシドの製造に関するものである。
【0002】イソプリメベロースはキシロースがグルコ
ースにα−1,6結合した二糖類であり、キシログルカ
ンの基本構成単位として知られている。この二糖は自然
界にα−キシロシダーゼを生産する微生物が少ないこと
から、微生物の汚染に対して他の二糖類に比べて安定で
あること、また古くから食品素材として利用されてきた
タマリンド種子グルカンの構成成分であることから、安
全性に優れているなどの特徴を有している。イソプリメ
ベロシドは、このような特性をもつイソプリメベロース
残基を糖部分としてもつヘテロオリゴ配糖体であり、ア
グリコン部分を適当に選択することにより、微生物汚染
に抵抗性のある安全性の高い天然型界面活性剤や化粧品
素材、食品添加物等の用途が期待される。
【0003】
【従来の技術】キシログルカンは、高等植物の一次細胞
壁を構成する重要なヘミセルロース成分であると同時
に、熱帯性のマメ科植物、タマリンドの種子貯蔵多糖と
して大量に得られ、古くから織物のサイジング剤あるい
は食品の増粘剤として利用されてきた。しかし、近年、
これらの需要は頭打ちであり、キシログルカンを原料と
した新しい製品の開発が望まれている。最近、キシラン
あるいはガラクタンなどの比較的多量に得られる植物ヘ
ミセルロースを原料として、これらを酵素分解してキシ
ロオリゴ糖やガラクトオリゴ糖を生産する技術が開発さ
れ、ヘミセルロースを原料とする新しいオリゴ糖の用途
開発が試みられるようになってきたが、キシログルカン
を原料とする技術の開発は進んでいない。
【0004】一方、糖質の利用において最も先行してい
る分野である澱粉糖工業においては、加水分解産物の利
用から一歩進んで、糖転移酵素をもちいて澱粉あるいは
澱粉加水分解物から、より付加価値の高い転移生成物を
製造する技術が開発されつつある。各種のヘミセルロー
ス原料についても、従来から糖転移作用を持つ酵素の存
在は知られていたが、未だ澱粉糖工業にみられるような
展開はみられない。これは、ヘミセルロースの構造が複
雑で、転移生成物の構造が一定でないこと、原料ヘミセ
ルロースを多量に調製することが澱粉に比較して困難な
こと、また十分な機能をもつ糖転移酵素の開発が進んで
いないことなどが原因であり、キシログルカンについて
も他のヘミセルロース同様ほとんど研究開発がなされて
いないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】キシログルカンは、タ
マリンド種子から多量に調製する方法が既に確立されて
いること、またその構造がヘテロではあるものの、キシ
ロシル−α−1,6−グルコース(イソプリメベロー
ス)を基本繰り返し構造単位とする、比較的一定の構造
をもつことなどから、これに作用する酵素を開発するこ
とができれば、構造の一定した生成物がえられる可能性
をもっている。したがって、この基本単位であるイソプ
リメベロース残基を認識し、これを適当な受容体に転移
する酵素が開発できれば、従来知られていなかった、各
種の新しいイソプリメベロシドの特異的な製造が可能と
なり、キシログルカンの新しい用途を開発できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、古くから
サイジング剤として利用されてきたタマリンド種子多
糖、キシログルカンのより高度な利用法を提供するとい
う観点から、キシログルカンあるいはキシログルカンか
ら調製されるヘテロオリゴ糖を供与体として、従来まっ
たく知られていなかったイソプリメベロース(キシロシ
ル−α−1,6−グルコース)単位の糖転移により、新
しいイソプリメベロシドの簡便な調製法を開発すること
を目指し、イソプリメベロシル転移酵素の開発に着手し
た。その結果、糸状菌の一種ユーペニシリウム属の一菌
株が、イソプリメベロシル転移作用をもつ新しい糖転移
酵素を生産することを見いだした。すなわち、各種のア
ルコール類を本酵素の受容体とし、またキシログルカン
ヘテロオリゴ糖をイソプリメベロース残基の供与体とす
る糖転移反応の結果、水酸基の修飾されたイソプリメベ
ロース誘導体が効率よく生成することを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0007】本発明は、イソプリメベロシル転移酵素を
酵素触媒として用い、キシログルカン部分水解物から水
酸基の修飾されたイソプリメベロース誘導体を製造する
技術に関するものである。
【0008】以下に、本発明の内容を具体的に説明す
る。本発明においては、該酵素生産菌の例示菌株として
ユーペニシリウム属菌が有効に利用される。
【0009】次に、本発明において使用されるイソプリ
メベロシル転移酵素A生産菌の菌学的性質を示すと下記
の通りである。
【0010】生育:酵母エキス添加ツァペック寒天培地
上での生育は、25℃、7日間で直径35mmに達す
る。集落は最初白色で後に淡褐色。気生菌糸はわずかに
羊毛状を呈する。培養後期には、集落裏面は暗赤褐色を
呈する。集落表面に多量の閉子のう殻を生じ、周辺には
わずかに分生子形成構造をもつ。37℃で生育するが、
25℃に比較して生育は遅い。 菌糸:直径は1.0〜2.5μm、無色で隔壁が認めら
れる。また、表面は平滑である。 閉子のう殻:表在性。球形で淡色、直径約0.1−0.
15mm。2〜3週間以内に成熟する。 殻壁:厚壁細胞よりなる。 子のう:亜球形〜長楕円形で消失性。8胞子。 子のう胞子:レンズ型、3×2μm。赤道面につばをも
つが溝は不明瞭。粗面で刺状の突起を多数生ずる。 分生子形成構造:ペニシリウム型、ペニシリは単輪生お
よび分岐をもつ散開型、フィアライドは3〜6本輪生
し、先端は細まる。 分生子:楕円形〜亜球形で連鎖する。
【0011】以上の菌学的性質について、S.Udag
awa and Y.Hori「Antonie va
n Leeuwenhoek 39巻 pp313−3
19(1973)」および宇田川俊一「防菌防黴 7巻
pp13−25(1979)」を参照した結果、本菌
はユーペニシリウム(Eupenicillium)属
に分類される糸状菌と考えるのが妥当であり、本菌をユ
ーペニシリウム属菌M9株(Eupenicilliu
m sp.M9)と命名した。本菌はFERMP−13
342として工業技術院微生物工業技術研究所(現、生
命工学工業技術研究所)に寄託されている。
【0012】本発明のユーペニシリウム属によるイソプ
リメベロシル転移酵素Aを生産するためには、通常、タ
マリンド種子キシログルカンを炭素源とし、これに窒素
源として、硝酸塩、アンモニウム塩あるいはペプトン、
酵母エキスのような無機または有機の窒素源と少量の金
属塩を含む液体または固体培地を用い、20〜40℃
で、2〜15日間程度、好気的に培養される。イソプリ
メベロシル転移酵素Aは菌体外に生産される酵素である
ため、液体培地の場合は、培養後濾過あるいは遠心分離
した上澄液を、そして固体培養の場合は培養後、水また
は適当な無機塩類で抽出した液を、粗酵素液として用い
ることができる。粗酵素液は、そのまま使用してもよい
が、例えば硫安塩析法やアセトン沈澱法など公知の方法
により、酵素粉末を得ることができる。このようにして
得られた、イソプリメベロシル転移酵素A標品は次のよ
うな性質を持っている。
【0013】(1)分子量 精製されたイソプリメベロシル転移酵素Aは、分子量約
98,000である。
【0014】(2)作用 イソプリメベロシル転移酵素Aは、非還元末端にイソプ
リメベロース残基を有するヘテロオリゴ糖に作用し、こ
れに含まれるイソプリメベロース単位をイソプリメベロ
ース供与体として、受容体のアルコール性水酸基に転移
し、イソプリメベロシル転移生成物を生成する。この転
移作用について、キシログルカンヘテロオリゴ7糖の場
合を例に具体的に説明する。すなわち、キシログルカン
ヘテロオリゴ7糖は3単位のイソプリメベロース残基と
グルコースがβ−1,4−グルコシド結合により結合し
た、重合度7のヘテロオリゴ糖であるが、この反応にお
いて、本ヘテロオリゴ糖に含有されるイソプリメベロー
ス残基は、該酵素によって非還元末端側から順次切り出
され、適当なアルコール性水酸基をもつ受容体へと転移
され、イソプリメベロースを糖部分としてもつ配糖体を
生成する。
【0015】本酵素は、基質ヘテロオリゴ糖の濃度が1
%という低い濃度で明かな転移活性を有し、またイソプ
リメベロース残基を特異的に受容体のアルコール性水酸
基に転移する。このような作用をもつ糖転移酵素はこれ
までまったく知られていなかったものであり、本発明に
よる開示が最初のものである。そこで、本酵素をイソプ
リメベロシル転移酵素Aと命名した。
【0016】(3)供与体 供与体としては、非還元末端側にイソプリメベロース単
位をもつヘテロオリゴ糖が利用できるが、実用上キシロ
グルカンを公知のエンド型セルラーゼで分解して得られ
る重度3以上のヘテロオリゴ糖が適している。
【0017】(4)受容体 各種の単糖類、オリゴ糖類、およびグリセロールを含む
糖アルコール類は広く本酵素反応の受容体となる。ま
た、有機化学的合成手法あるいは天然物より得られる糖
以外の各種アルコール類のうち、水溶性および微水溶性
のアルコール類は、受容体となり、その水酸基に対して
イソプリメベロシル転移が起こり、イソプリメベロース
誘導体を生成する。
【0018】(5)作用pHおよび最適作用pH 本酵素の作用pH範囲は、45℃で10分間作用させた
とき図1aに示したように、pH3.5〜6であり、最
適作用pHは約4.5に認められた。
【0019】(6)安定pH範囲 クエン酸−リン酸塩緩衝液中で、25℃24時間放置し
たときの安定pH範囲は、図1bに示したように、約p
H3.0〜7.0であった。
【0020】(7)作用温度範囲および最適作用温度 1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖を供与体およびグ
ルコースを受容体として用い、pH5.0で30分間作
用させたとき、図2aに示したように、約55℃までの
高温まで転移活性が認められたが、最適作用温度は45
℃であった。一方、糖以外のアルコール類を受容体とし
て用いたときは、図2bに示したように作用温度の低下
がおこり、15%プロピルアルコール存在下では、50
℃まで作用し、最適作用温度は45℃であった。
【0021】(8)熱安定性 イソプリメベロシル転移酵素Aを0.1M酢酸緩衝液
(pH5.0)のもとで、各温度で1時間加熱処理した
残存活性は、図3aに示したように、50℃まではほと
んど失活せず、60℃で約50%そして65℃、1時間
の加熱で約95%が活性を失った。また、15%n−プ
ロピルアルコール存在下、pH5.0で加熱処理した場
合は、図3bに示したように、40℃まではほとんど失
活せず、50℃で約50%、そして55℃、1時間の加
熱で約95%が活性を失った。
【0022】(9)阻害剤 各種金属イオンのうちで、1mM以上の水銀イオンおよ
び銅イオンにより、本酵素は強く阻害された。
【0023】(10)精製法 本酵素は培養濾液を、限外濾過で濃縮・脱塩後、陰イオ
ン交換体(Q−セファロース FF)、陽イオン交換体
(S−セファロース FF)のカラムを用いたイオン交
換および吸着クロマトグラフィー、さらにバイオゲルA
0.5mカラムによるゲル濾過により、ディスクゲル電
気泳動的に均一にまで分離精製できた。
【0024】(11)活性測定法 本酵素は、低濃度キシログルカンヘテロオリゴ7糖に作
用させたとき、これを加水分解してイソプリメベロース
を生成することから、タマリンド種子キシログルカンか
ら調製した、還元キシログルカンヘテロオリゴ7糖の
0.1%水溶液100μ(pH5.0)に対して、適量
の酵素を添加し全量を200μlとし、50℃で10分
間反応させ、生成する還元力をNelson−Somo
gyi法で測定して活性を求めた。この条件で、1分間
に1μgのグルコースに相当する還元力を生成する酵素
量を1単位とした。
【0025】(12)基質特異性 各種の基質に対して、本酵素を、酵素濃度0.05U、
温度45℃、反応時間18時間で反応させ、HPLC、
Nelson−Somogyi法によって分析し、本酵
素の基質特異性をみた。
【0026】その結果、本酵素は、キシログルカン オ
リゴ ヘプタ(オクタ、ノナ)サッカライド(濃度、各
0.5mM)を、いずれも100%分解した。
【0027】以上のような性質を持つイソプリメベロシ
ル転移酵素Aをもちいて、イソプリメベロシドを生成せ
しめる反応は、通常酢酸緩衝液等の溶液中で行われる。
供与体ヘテロオリゴ糖の濃度は0.1%以上、好ましく
は1%以上がよく、また受容体アルコールの濃度は5%
以上30%以下の範囲で適宜決定されるが、好ましくは
15%〜20%の範囲で添加される。該酵素の使用量は
特に制限されず、適宜決定されるが、通常0.5単位/
ml以上、好ましくは2単位/ml以上とするのがよ
い。また、反応温度は、酵素の失活しない温度で行えば
良く、通常20℃〜60℃の範囲から選択されるが、好
ましくは30℃〜50℃の範囲で行われる。さらに、反
応系のpHは酵素の失活しない範囲であればよいが、通
常は3.5〜7の範囲、好ましくは4〜5.5の範囲に
するのがよい。このような条件下で行われる反応の時間
は、受容体の種類すなわち生成物の種類によって適宜決
定されるが、通常数十分〜48時間の範囲でイソプリメ
ベロシドの生成量が最大となる反応時間が選択される。
【0028】受容体アルコールとしては、低級ないし高
級アルコール、アルキルジオール、単糖、二糖、オリゴ
糖、糖アルコールその他アルコール性水酸基を有する化
合物が適宜使用可能であって、アルコールの種類を変え
ることにより、下記の化2で示される新規化合物、イソ
プリメベロースを糖部分として有する配糖体(イソプリ
メベロシド)が各種得られる。なお式中、−−−はβ−
1,4又はα−1,6結合を示し、Rはアルコール、ア
ルキルジオール、単糖類、オリゴ糖類、又は糖アルコー
ルを示す。
【0029】
【化2】
【0030】
【実施例】以下、本発明をさらに詳しく説明する実施例
をあげる。
【0031】
【実施例1】キシログルカン0.5%、ペプトン0.8
%、硫酸マグネシウム0.05%、燐酸一カリウム0.
2%、酵母エキス0.05%および塩化ナトリウム0.
1%を含む培地(pH4.9)20mlを200ml容
の三角フラスコにいれ、常法により殺菌後ユーペニシリ
ウム属菌M9株(FERM P−13342)を接種
し、30℃で6日間通気培養した。培養後遠心分離によ
り除菌し、得られた上澄液についてイソプリメベロシル
転移酵素A活性を測定した結果、培養液1ml当り1
2.1単位であった。
【0032】
【実施例2】実施例1で得た粗酵素標品を、濃縮、脱塩
後Q−セファロースFFおよびS−セファロースFFカ
ラムによりイオン交換クロマトグラフィーをおこない活
性画分を得た。この活性画分をさらにバイオゲルA0.
5mカラムによるゲル濾過をおこないイソプリメベロシ
ル転移酵素Aを精製した。精製酵素はディスク電気泳動
的に均一であり、活性の収率は培養上清にたいして12
%であった。また、凍結乾燥酵素標品1mgあたりのイ
ソプリメベロシル転移酵素A活性は、1381単位であ
った。
【0033】
【実施例3】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖に45℃で6
時間作用させ、反応生成物をバイオゲル P−2カラム
により分析した。その結果、加えた基質より大きな重合
度をもつヘテロオリゴ9糖以上の生成物のピークが観察
され、また、これらが重合度2単位で大きくなっている
ことから、イソプリメベロース単位の糖転移反応がおこ
っていることが示された。
【0034】
【実施例4】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖および炭素数
1から6までの直鎖アルキルアルコールをそれぞれ15
%含む反応液中で45℃、8時間反応させ、転移生成物
をリクロソルブNH2カラムをもちいた高速液体クロマ
トグラフィーにより分析した結果、オリゴ7糖に対する
収率が、下記表1に示したような収率でアルキルイソプ
リメベロシドが得られた。
【0035】
【表1】
【0036】
【実施例5】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖および炭素数
2から8までの両末端に水酸基を持つ直鎖アルキルジオ
ールをそれぞれ15%含む反応液中で、45℃、8時間
反応させた後、転移生成物を実施例4と同様に分析し
た。その結果、オリゴ7糖に対する収率が、下記する表
2に示したような収率でそれぞれのジオールから、アル
キル基の末端に水酸基をもったアルキルイソプリメベロ
シドが得られた。
【0037】
【表2】
【0038】
【実施例6】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖およびsec
−ブチルアルコールを15%含む反応液中で、45℃、
6時間反応させた後、転移生成物を実施例4と同様に分
析した。その結果、ヘテロオリゴ7糖に対する収率が6
5.1%でsec−ブチルアルコールの水酸基にイソプ
リメベロースの転移した転移物が得られた。
【0039】
【実施例7】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖および各種単
糖類及び二糖類をそれぞれ15%含む反応液中で、45
℃1時間反応させた後、転移生成物を実施例4と同様に
分析した。その結果、オリゴ7糖に対する収率が、下記
の表3に示したような収率でそれぞれの単糖および二糖
類にイソプリメベロースが転移した、ヘテロオリゴ糖が
得られた。
【0040】
【表3】
【0041】
【実施例8】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖およびサリシ
ンを15%含む反応液中で、45℃、90分間反応させ
た後、転移生成物を実施例4と同様に分析した。その結
果、オリゴ7糖に対する収率が97.9%でサリシンの
グルコ−スにイソプリメベロースが転移した転移物が得
られた。
【0042】
【実施例9】実施例2で得られた精製酵素3.6単位
を、1%キシログルカンヘテロオリゴ7糖およびp−ア
ルブチンを15%含む反応液中で、45℃、4時間反応
させた後、転移生成物を実施例4と同様に分析した。そ
の結果、オリゴ7糖に対する収率が82.5%でp−ア
ルブチンの水酸基にイソプリメベロースが転移した転移
物が得られた。
【0043】このように供与体ヘテロオリゴ糖としてO
S−7(キシログルカン オリゴヘプタサッカライ
ド)、そして受容体アルコールとして単糖類及び二糖類
を用いて、図4に示すように各種のイソプリメベロシド
をそれぞれ製造した。
【0044】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に開示したイソプ
リメベロシル転移酵素Aは、キシログルカンから調製さ
れるヘテロオリゴ糖を供与体として、イソプリメベロシ
ル転移をおこなう新規な酵素である。そして、本酵素の
作用により生成する、イソプリメベロース誘導体は、キ
シロースとグルコースからなるヘテロオリゴ糖を糖部分
としてもつ新しい配糖体である。適当な受容体を選ぶこ
とにより、疎水性の修飾部分をもつ配糖体や従来知られ
ていないヘテロオリゴ糖の合成が可能となり、タマリン
ド種子キシログルカンの新しい利用法を提供するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ユーペニシリウム属菌M9株(FERM P−
13342)の生産する、イソプリメベロシル転移酵素
Aの最適作用pH(a)、pH安定範囲(b)をそれぞ
れ示している。
【図2】ユーペニシリウム属菌M9株(FERM P−
13342)の生産する、イソプリメベロシル転移酵素
Aの、酢酸緩衝液中(a)、および15%n−プロピル
アルコール中(b)での最適作用温度を示している。
【図3】ユーペニシリウム属菌M9株(FERM P−
13342)の生産するイソプリメベロシル転移酵素A
の、酢酸緩衝液中(a)、および15%n−プロピルア
ルコール中(b)での熱安定性を示している。
【図4】本発明によって製造されたイソプリメベロシド
の数例を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C12N 9/10 C12N 9/10 (C12N 9/10 C12R 1:645 C12R 1:645) (56)参考文献 特開 平3−188094(JP,A) Journal of Bioche mistry,1985年,Vol.97, p.801−810 Carbohydrate Rese arch,1990年,Vol.200,p. 9−31 Carbohydrate Rese arch,1984年,Vol.129,p. 229−242 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 3/06 C07H 15/04 C08B 37/00 C12P 19/18 C12N 9/10 CA(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の化1で示されるイソプリメベロシ
    ド。 【化1】 (式中、・・・はβ−1,4又はα−1,6結合を示
    し、Rはアルコール、アルキルジオール、又は糖アルコ
    ールを表す。
  2. 【請求項2】ユーペニシリウム属菌由来のイソプリメベ
    ロシル転移酵素Aを、受容体アルコールの存在下で、イ
    ソプリメベロース単位を非還元末端に有するヘテロオリ
    ゴ糖と接触させることを特徴とする、イソプリメベロシ
    ドの製造方法。
  3. 【請求項3】 下記の性質を有するイソプリメベロシル
    転移酵素Aを使用することを特徴とする請求項2に記載
    の方法。 (イ)作用:非還元末端にイソプリメベロース残基を有
    するヘテロオリゴ糖に作用し、これに含まれるイソプリ
    メベロース単位をイソプリメベロース供与体として、受
    容体のアルコール性水酸基に転移し、イソプリメベロシ
    ル転移生成物を生成する。 (ロ)基質特異性:キシログルカン オリゴヘプタサッ
    カライド、キシログルカン オリゴオクタサッカライ
    ド、キシログルカン オリゴノナサッカライドには作用
    する;セロビオース、ゲンチオビオース、キシラン、ア
    ミロペクチンには作用しない。 (ハ)至適pH及び安定pH範囲:至適pHは4.5で
    ある;安定pH範囲は3.0〜7.0である。
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