JP3486113B2 - Ta固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

Ta固体電解コンデンサの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はTa固体電解コンデ
ンサの製造方法に関し、特に静電容量の低下を抑えつつ
絶縁破壊電圧を高めることのできるTa固体電解コンデ
ンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、固体電解コンデンサは、陽極体、
誘電体層(酸化物層)、導電性物質層(固体電解質
層)、陰極層から概略構成されている。以下、従来の固
体電解コンデンサの製造方法の一例について説明する。
まず、陽極体の製造方法について説明する。Ta金属粉
末に、成形性を高めるためのバインダを混合し、プレス
成形用の造粒粉を作製する。この造粒粉を使用してプレ
ス工法により陽極リード(Ta金属を使用)を埋設した
圧縮成型体を形成する。この成型体を1300〜160
0℃程度の高温、10-6Torr程度の高真空中で焼結
することにより、固体電解コンデンサ用の陽極体を得
る。
【0003】理論上は、陽極体の材料としては、「弁作
用金属」と呼ばれる一群の金属材料が使用できるはずで
あるが、実用化されている材料はその中のTa、Alだ
けである。しかもAlの場合は、上記のような焼結によ
り陽極体を製造することは少なく、エッチング箔を用い
ることが一般的に行われている。そのため、上記の方法
によって陽極体を製造する場合、現時点ではその材料は
殆どTaのみに限定される。
【0004】次に、誘電体層(酸化物層)の形成につい
て説明する。上記の陽極体の表面に誘電体層を形成する
ため、陽極酸化と呼ばれる手法により誘電体層としての
酸化物層を形成する。陽極酸化は、陽極体と通電のため
の対抗電極を電解質溶液中に浸漬し、陽極体を正電位、
対抗電極をそれ以下の電位に保ち通電することにより酸
化物層を陽極体表面に形成する方法である。このときの
陽極体−対抗電極間の電位差は化成電圧と呼ばれ、この
化成電圧を制御することにより酸化物層の厚みを容易に
決めることができる点がこの工法の特徴である。また、
この陽極酸化を経た陽極体は化成体と呼ばれる。
【0005】次に、固体電解質層の形成について説明す
る。上記の化成体の酸化物層の外側に、陽極体金属に対
応する対抗電極面としての導電性物質層を形成すると、
コンデンサとしての基本構造が得られることになる。こ
の導電性物質層のことを固体電解質層と呼ぶ。固体電解
質層としては、硝酸マンガンを熱分解することにより得
られる二酸化マンガンを用いるのが一般的であるが、最
近はポリピロール等の導電性有機高分子を化学重合、電
解重合等により層状に形成したものも用いられている。
【0006】次に、陰極層の形成について説明する。上
記の固体電解質層形成後の化成体の外側に、更に導電性
物質層を形成するが、この層を陰極層と呼ぶ。陰極層は
固体電解質層と実装用の外部端子(陰極)を接続させ、
接続抵抗の減少、コンデンサの外装時および実装時のス
トレス緩和等の作用を併せ持つ。陰極層の形成には、グ
ラファイトペースト、銀ペーストが併用されるのが一般
的である。最後に外部端子および外装を形成する。上記
の陰極形成後の素子に実装のための金属製外部端子を溶
接、接着等で取り付け、さらに耐湿性向上、ハンドリン
グ性向上等を目的として、樹脂等で外装し固体電解コン
デンサを得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、固体電
解コンデンサの陽極体材料として使用できる金属は「弁
作用金属」と呼ばれる一群であるが、実用化されている
のはTa、Alのみである。その理由としては、他の弁
作用金属は陽極酸化により形成される皮膜が絶縁性でな
い、あるいは、絶縁性を有していても固体電解コンデン
サとして実用にならない低い水準に止まることが挙げら
れる。
【0008】AlとTaも陽極酸化皮膜の形成方法に差
があり、Alでは陽極酸化の工程で様々な物質と反応さ
せ皮膜の特性を制御しているが、Taの場合、反応性が
非常に低いため、陽極酸化工程で酸化皮膜の組成を変え
ることは行われていない。ただし、陽極酸化中に化成液
中のアニオンが皮膜中へ取り込まれることはあるため、
皮膜の特性改善のために様々な化成液種が用いられてい
る。しかし、それによる皮膜の特性の変動は限られてお
り(例えば、欠陥部の減少による漏れ電流の低減等)、
誘電率、絶縁破壊電圧等の特性はTa25と基本的に変
わらない。
【0009】そのため、Taを使用する場合には、酸化
皮膜の組成変更を目的としてTa粉末中への他物質のド
ーピング(陽極体焼結時にTa粉末と反応させる)、T
aと他物質との合金粉末の使用等が試みられてきたが、
現時点では未だ実用化されていない。一般的に固体電解
コンデンサの耐電圧を向上させるには陽極酸化皮膜を厚
くすることが行われるが、耐電圧とコンデンサの静電容
量は反比例の関係にあり、耐電圧を向上させると静電容
量が低下してしまうという問題点がある。
【0010】エレクトロルミネッセンス(EL)ディス
プレイの絶縁材に使用されているBaTa26は、Ta
25と誘電率は殆ど変わらないが、2倍以上の耐電圧を
有するあることが知られている。このBaTa26を酸
化皮膜として利用できれば、静電容量を低下させること
なく耐電圧の大幅な向上が図れると考えられる。しか
し、前述の通りTa固体電解コンデンサにおいて、その
ような組成の陽極酸化皮膜を得ることは非常に難しい。
また、ELで使用されているような、スパッタ後に加熱
により反応させるという手法は、多孔質体である陽極体
の内部に皮膜が形成できないという欠点があるため使用
できない。
【0011】このような欠点を生じる理由として、Ta
自体の反応性が低いことが挙げられる。通常、Ta固体
電解コンデンサ用の陽極酸化皮膜形成の場合は、1at
m、室温〜90℃程度の条件が選ばれているが、この条
件下では陽極酸化中に化成液のアニオンがTa
膜に取り込まれることはあっても、それらがTaまたは
Taと反応を起こすことはない。従って、上記の
陽極酸化の条件下で化成液としてBa塩等の水溶液を用
いても、Ba化合物を陽極酸化皮膜として得ることはで
きない。上記の点を鑑み、本発明は、Ta陽極体の陽極
酸化後、あるいは陽極酸化時に皮膜組成を変化させて、
特性改善を行ったTa固体電解コンデンサの製造方法
提供することを目的とする。
【0012】
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係るTa固体電
解コンデンサの製造方法は、Taの粉末とバインダを混
合してプレス成形した圧縮物を焼結して得られた陽極体
を陽極酸化して、陽極体表層にTa酸化物層を形
成し、次いで水熱合成法を用いて前記Ta層の一
部をBaTa層に変化させて、Ta層とB
aTa層の複合酸化物層を誘電体層として有する
陽極体を得ることを特徴とする。すなわち、陽極体表層
のTa層を水熱合成法により処理して、その一部
をBaTa層に変化させることで、静電容量低下
を抑えつつ誘電体層の耐電圧を向上させたTa固体電解
コンデンサを得ることができる。
【0014】また、本発明に係るTa固体電解コンデン
サの製造方法は、Taの粉末とバインダを混合してプレ
ス成形した圧縮物を焼結して得られた陽極体に、陽極酸
化と水熱合成法を同時に行うことによりBaTa26
のみを誘電体層として有する陽極体を得ることを特徴と
する。すなわち、陽極体に陽極酸化と水熱合成法を同時
に行うことにより、陽極体の表層にBaTa26層のみ
を誘電体層として形成することができ、静電容量低下を
抑えつつ誘電体層の耐電圧を向上させたTa固体電解コ
ンデンサを得ることができる。尚、水熱合成法とは、一
般的に高温、高圧下で溶液を用いて特殊な反応を促進さ
せる方法のことであり、本発明では、通常の化成条件で
は生成しないBaTa 26を生成させるための重要な手
法となっている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明について
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態例のみに
限定されるものではない。第1の実施形態例として、T
25層とBaTa26層の複合酸化物層を誘電体層と
して有する固体電解コンデンサの製造方法について説明
する。まず、陽極体の製造方法について述べる。第1の
実施形態例の固体電解コンデンサの陽極体に使用するT
a粉末は、従来使用していた原料をそのまま用いること
ができる。このTa金属粉末に、成形性を高めるための
バインダを1〜5wt%混合し、プレス成形用の造粒粉
1を作製する。この造粒粉1を使用して、図1に示すよ
うにプレス工法により陽極リード2(Ta金属製)を埋
設した圧縮成型体3を作製する。この成型体3を10-6
Torr以下の真空中または不活性ガス雰囲気中で高温
焼結することにより、図2に示すようなTa固体電解コ
ンデンサ用の陽極体4を得る。
【0016】次に、陽極体4の表層に誘電体層(Ta2
5層)を形成する。陽極体4の表面に誘電体層を形成
するため、陽極体4と通電のための対抗電極を電解質溶
液中に浸漬し、陽極体4を正電位、対抗電極をそれ以下
の電位に保ち通電することにより陽極酸化を行い、第1
の誘電体層6を陽極体表面に形成して、図3に示すよう
な化成体5を得る。このときの第1の誘電体層6はTa
25から成っている。
【0017】次に第1の誘電体層6の表層に第2の誘電
体層7(BaTa26層)を形成する。化成体5をBa
(OH)2水溶液に浸漬し、高温、高圧の飽和水蒸気雰
囲気下に保持することで、第1の誘電体層6(Ta25
層)の表面付近が第2の誘電体層7(BaTa26層)
に変化し、図4に示すように、誘電体層としてTa25
とBaTa26の複合酸化物層を有する化成体5を得
る。
【0018】次に、固体電解質層を形成する。上記の化
成体5の誘電体層6、7の外側に、陽極体金属に対応す
る対抗電極面として固体電解質層を形成すると、コンデ
ンサとしての基本構造が得られる。固体電解質層とし
て、ここでは硝酸マンガンを熱分解することにより得ら
れる二酸化マンガンを用いたが、ポリピロール等の導電
性有機高分子を化学重合、電解重合等により層状に形成
したものを使用することもできる。
【0019】次に、陰極層を形成する。上記固体電解質
層形成後の化成体5の外側に、グラファイトペースト、
銀ペーストから成る陰極層を形成する。最後に外部端子
および外装を形成する。上記の陰極形成後の素子に実装
のための金属製外部端子を溶接して取り付け、さらに樹
脂で外装し第1の実施形態例の固体電解コンデンサを得
る。
【0020】以上説明したように、第1の実施形態例の
固体電解コンデンサにあっては、誘電体層としてTa2
5とBaTa26の複合酸化物層を用いることで、陽
極酸化皮膜を厚くすることなく固体電解コンデンサの耐
電圧を向上させることができ、耐電圧の向上による固体
電解コンデンサの静電容量低下を抑えることができる。
【0021】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば、上記第1の実施形態例では、誘電体層としてTa
25とBaTa26の複合酸化物層を用いたが、BaT
26層のみを誘電体層として有していても差し支えな
い。
【0022】以下、第2の実施形態例として、BaTa
26層のみを誘電体層として有する固体電解コンデンサ
の製造方法について説明する。尚、第2の実施形態例が
第1の実施形態例と異なる工程は誘電体層の形成部分の
みであり、その他の工程については第1の実施形態例を
援用して説明を省略する。上記陽極体4の表面に誘電体
層を形成するため、陽極酸化を行う。このとき、化成液
をBa(OH)2水溶液とし、さらに、高温高圧の飽和
水蒸気雰囲気中で陽極酸化を実施することにより、誘電
体層としてBaTa26層のみが形成される。
【0023】以上説明したように、第2の実施形態例の
固体電解コンデンサにあっては、誘電体層としてBaT
26の酸化物層を用いることで、陽極酸化皮膜を厚く
することなく固体電解コンデンサの耐電圧を向上させる
ことができ、耐電圧の向上による固体電解コンデンサの
静電容量低下を抑えることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。 (実施例1)平均粒径10μmのTa金属粉末にバイン
ダを1〜5wt%混合し、プレス成形用の造粒粉を作製
した。この造粒粉を使用してプレス工法により陽極リー
ド(Ta金属製)を埋設した圧縮成型体を作製した。こ
の成型体を10-6Torr以下の真空中または不活性ガ
ス雰囲気中で、1600℃にて30分焼結することによ
り、Ta固体電解コンデンサ用の陽極体を得た。
【0025】この陽極体を陽極酸化することで、Ta2
5誘電体層を形成し、化成体を得た。この化成体を
0.2NのBa(OH)2水溶液に浸漬し、そのまま温
度120℃、気圧2atmの飽和水蒸気雰囲気中に約3
0分放置した。これにより、陽極体のTa25誘電体層
の表面付近にBaTa26誘電体層を形成した。
【0026】上記化成体の誘電体層の外側に、硝酸マン
ガンを熱分解することにより得られる二酸化マンガン層
を、陽極体金属に対応する対抗電極面としての固体電解
質層として形成した。上記固体電解質層形成後の化成体
の外側に更にグラファイトペースト、銀ペーストから成
る陰極層を形成した。上記陰極形成後の素子に実装のた
めの金属製外部端子を溶接し、さらに樹脂で外装しTa
固体電解コンデンサを得た。
【0027】(比較例1)BaTa26誘電体層の形成
工程を行わない以外は上記実施例1と同様の方法で、T
a固体電解コンデンサを得た。尚、実施例1、比較例1
とも、30μF−50〜80V程度の静電容量および絶
縁破壊電圧が得られる条件(粉末粒径、粉末量、焼結条
件、化成電圧)を設定して製造した。
【0028】実施例および比較例を比較する手段とし
て、静電容量と絶縁破壊電圧の2特性を用いた。以下に
測定条件を示す。静電容量測定には、測定周波数:12
0Hz、実効値:1.0Vrms、バイアス電圧:1.
5Vという条件を用いた。絶縁破壊電圧測定には、電圧
昇圧速度:10V/min、破壊判定電流:10mAと
いう条件を用いた。
【0029】結果を図5に示す。図5Aは実施例1と比
較例1の絶縁破壊電圧の変化、図5Bは静電容量の変化
を示している。図5Aから実施例1のコンデンサの方が
比較例1のコンデンサより約1.5倍の高い絶縁破壊電
圧を有することが判る。また、図5Bから、実施例1の
コンデンサは、比較例1のコンデンサよりも静電容量は
低下しているものの、低下幅は約3%にすぎないことが
判る。
【0030】図6Aは、化成皮膜を厚くすることで、実
施例1と同程度の絶縁破壊電圧を得る場合の絶縁破壊電
圧の変化、図6Bは静電容量の変化を示している。従来
工法で絶縁破壊電圧を高めるためには、誘電体層である
化成皮膜を厚くするしかない。このため、図6Aに示す
ように絶縁破壊電圧を約1.5倍に設計すると、図6B
に示すように静電容量は約33%減少することになる。
【0031】上記実施例1のTa固体電解コンデンサは
図5のグラフに示す通り、絶縁破壊電圧を比較例1の約
1.5倍に高めることができる。さらに従来は絶縁破壊
電圧の上昇に反比例して減少していた静電容量も、約3
%のわずかな減少幅に留めることができる。この様な効
果が得られる理由は、Ta25の絶縁破壊電圧が1.5
(MV/cm)であるのに対し、BaTa26の絶縁破
壊電圧は3.5(MV/cm)と、Ta25の約2.3
倍も高い絶縁破壊電圧を有していること、比誘電率はT
25の23に対してBaTa26は22と、約4%し
か低下しないことに起因する。
【0032】実施例1のコンデンサの絶縁破壊電圧は約
1.5倍にしか向上していないが、それはTa25層の
一部のみがBaTa26に変化しているためである。ま
た、一般的に高温、高圧下で溶液を用いて特殊な反応を
促進させる方法は水熱合成法と呼ばれており、本発明で
は通常の化成条件では生成しないBaTa26を生成さ
せるための重要な手法となっている。
【0033】他の実施例として、誘電体層の製造方法の
異なる例について説明する。 (実施例2)上記陽極体の表面に陽極酸化により誘電体
層を形成する際に、化成液を0.2NのBa(OH)2
水溶液とし、さらに、温度120℃、気圧2atmの飽
和水蒸気雰囲気中で陽極酸化を実施することにより、誘
電体層としてBaTa26のみが形成される。
【0034】実施例2においては、誘電体層がBaTa
26のみであるため、絶縁破壊電圧は若干実施例1より
も向上する。ただし、実施例2の工法は、高温、高圧の
飽和水蒸気雰囲気下で陽極酸化のための通電を行う必要
があるため、配線の電気的な絶縁等を保持する必要があ
る。
【0035】(実施例3)上記陽極体の表面に誘電体層
を形成するため、実施例1と同様に陽極酸化によりTa
25層を形成した後、その一部を水熱合成法によりBa
Ta26に変化させる。このとき、浸漬用のBa(O
H)2水溶液の濃度を0.1N、雰囲気温度を200℃
とする。
【0036】実施例3においては、Ba(OH)2水溶
液の濃度を下げており、このためより高温の飽和水蒸気
雰囲気が必要となる。実用上は、水溶液濃度は0.1N
以上であることが望ましい。尚、実施例2の場合に用い
るBa(OH)2濃度に関しても全く同じことが言え
る。
【0037】(実施例4)上記陽極体の表面に誘電体層
を形成するため、実施例1と同様に陽極酸化によりTa
25を形成する。その後、Ta25層の一部を水熱合成
法によりBaTa 26に変化させる際に用いる浸漬用の
水溶液として、0.1N以上の濃度のBaO、またはB
aO2の水溶液を用いる。
【0038】実施例4で用いるBaO、またはBaO2
は水と反応するとBa(OH)2となるため、これらの
水溶液はBa(OH)2と同じである。また、その溶解
時に発熱を伴うことから、Ba(OH)2を用いる方が
より簡便である。
【0039】(実施例5)上記陽極体の表面に誘電体層
を形成するため、実施例1と同様に陽極酸化によりTa
25を形成する。その後、Ta25層の一部を水熱合成
法によりBaTa 26に変化させる際に用いる浸漬用の
水溶液として、0.1N以上のBa(NO 32、または
BaHPO4のアンモニア水溶液を用いる。この方法に
おいても実施例1と同様の効果が得られる。
【0040】
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明のTa
固体電解コンデンサの製造方法では、陽極体表層のTa
層を水熱合成法により処理して、その一部をBa
Ta層に変化させることができる。これにより、
誘電体層の耐電圧を向上させたTa固体電解コンデンサ
を得ることができる。また、本発明のTa固体電解コン
デンサの製造方法では、陽極体に陽極酸化と水熱合成法
を同時に行うことにより、陽極体の表層にBaTa
層のみを誘電体層として形成することができる。これ
により、誘電体層の耐電圧を向上させたTa固体電解コ
ンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 圧縮成型体3を示す概略図である。
【図2】 Ta固体電解コンデンサ用の陽極体4を示す
概略図である。
【図3】 誘電体層としてTa25の酸化物層を有する
化成体5を示す概略図である。
【図4】 誘電体層としてTa25とBaTa26の複
合酸化物層を有する化成体5を示す概略図である。
【図5】 図5Aは実施例1と比較例1の絶縁破壊電圧
の変化、図5Bは静電容量の変化を示すグラフである。
【図6】 図6Aは、化成皮膜を厚くすることで実施例
1と同程度の絶縁破壊電圧を得る場合の絶縁破壊電圧の
変化、図6Bは静電容量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 造粒粉 2 陽極リード 3 圧縮成型体 4 陽極体 5 化成体 6 第1の誘電体層(Ta25層) 7 第2の誘電体層(BaTa26層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−320982(JP,A) 特開 平9−134785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/052 H01G 9/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Taの粉末とバインダを混合してプレス
    成形した圧縮物を焼結して得られた陽極体を陽極酸化し
    て、陽極体表層にTa 酸化物層を形成し、次いで
    水熱合成法を用いて前記Ta 層の一部をBaTa
    層に変化させて、Ta 層とBaTa
    層の複合酸化物層を誘電体層として有する陽極体を得る
    ことを特徴とするTa固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 Taの粉末とバインダを混合してプレス
    成形した圧縮物を焼結して得られた陽極体に、陽極酸化
    と水熱合成法を同時に行うことによりBaTa
    のみを誘電体層として有する陽極体を得ることを特徴と
    するTa固体電解コンデンサの製造方法。
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