JP3484273B2 - 摩擦係合装置のバツキングプレートの製造法 - Google Patents

摩擦係合装置のバツキングプレートの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式多板クラツチある
いは湿式多板ブレーキ等の摩擦係合板と油圧とにより作
動されるピストンにより、クラツチ作用またはブレーキ
作用を行なう摩擦係合装置において、前記ピストンの作
動時に該ピストンと協同して前記摩擦係合板を係合せし
めるバツキングプレートの製造方法に関し、特に車輌用
自動変速装置におけるクラツチまたはブレーキ用のバツ
キングプレートの製造に好適な方法である。
【0002】
【従来の技術】車輌用自動変速装置における摩擦係合装
置は、通常ピストンを内蔵したドラムまたはハウジング
の筒状壁に、平面形状を環状とした第1の群の摩擦係合
板を、その外周縁に突出せしめて形成したスプライン係
合爪により前記筒状壁内周面にスプライン係合せしめる
とともに、前記ドラムまたはハウジングの筒状壁の内部
において前記筒状壁と同心的に相対回転可能に配設され
た筒状部材に、平面形状を環状とした第2の群の摩擦係
合板を、その内周縁に突出せしめて形成したスプライン
係合爪により前記筒状部材外周面にスプライン係合せし
め、前記ピストンの作動により前記第1の群および第2
の群の摩擦係合板を前記スプライン係合を介して軸方向
に移動させて相対的に摩擦係合せしめることにより、前
記ドラムまたはハウジングと筒状部材との間のクラツチ
作用またはブレーキ作用を行なわせたものである。
【0003】前記摩擦係合装置においては、通常前記ド
ラムまたはハウジングの筒状壁または筒状部材の何れか
一方に、前記ピストンによる摩擦係合板の押圧力を受け
て摩擦係合を達成するためのバツキングプレートを必須
とする。このバツキングプレートは、鋼材により、前記
第1の群または第2の群の摩擦係合板とほぼ同一の平面
形状に形成され、そのスプライン係合爪により前記筒状
壁または筒状部材に摺動自在に係合され、かつ前記摩擦
係合板に接触する面と反対側の面において、前記筒状壁
の内周面または筒状部材の外周面に刻設された周溝に嵌
装係止せしめたスナツプリングにより、前記ピストンの
押圧力に抗してその位置に係止される。前記バツキング
プレートは、その摩擦係合板に接する面においては、前
記ピストンにより摩擦係合板に加えられる押圧力と、該
摩擦係合板による摩擦を受けるので、一定以上の表面硬
さが要求される。なお前記バツキングプレートの摩擦係
合板に接触する面と反対側の面は、前記スプライン爪を
突設した側の周縁部に段部を介して他側の周縁部より肉
薄の係合部を環状に形成し、該係合部を前記スナツプリ
ングに係止せしめることにより、摩擦係合装置の軸方向
長さを短縮せしめるのが通例である。
【0004】これを図10および図11により示す。図
10には、車輌用自動変速装置におけるギヤトレインの
一部をなす遊星歯車機構70のリングギヤ71を第1の
軸61に係脱自在とする湿式多板クラツチの形式の摩擦
係合装置60が示されている。この摩擦係合装置60
は、前記第1の軸61と一体に形成されたドラム62の
内部に該ドラム62の筒状壁63に外周を摺動自在とし
て収容されたピストン64と、平面形状を環状とし外周
縁に突出せしめて形成したスプライン係合爪により前記
筒状壁63の内周面にスプライン係合せしめられて前記
第1の軸61の軸方向に摺動自在とされた複数個の第1
の群の摩擦係合板65,65と、前記遊星歯車機構70
のリングギヤ71の支承部材72に固定されて前記ドラ
ム62の内部においてその筒状壁63と同心的に位置せ
しめられる筒状部材73と、該筒状部材73の外周面に
スプライン係合せしめられて前記第1の軸61の軸方向
に摺動自在とされた複数個の第2の群の摩擦係合板6
6,66と、平面形状を前記第1の群の摩擦係合部材と
ほぼ同一寸法、同一形状とされ前記ドラム62の内部に
おいて前記筒状壁63の内周面にスプライン係合せしめ
られるバツキングプレート10と、前記筒状壁63の内
周面に刻設された周溝に嵌装係止せしめたスナツプリン
グ67とからなる。
【0005】前記バツキングプレート10は、スナツプ
リング67に当接する第1の面11のドラム62の筒状
壁63の内周面にスプライン係合せしめられる周縁に
は、前記バツキングプレート10の半径方向の幅を少な
くとも前記スナツプリング67による係止に必要とされ
る幅とした凹部12が凹設されるのを通例とし、この凹
部12の形成により薄肉部13とされた周縁部の自由端
縁にはスプライン係合爪14が形成され、前記筒状壁6
3の軸方向に摺動自在とされる。摩擦係合装置60の作
動時には第1および第2の群の摩擦係合板65,66は
ピストン64によつてバツキングプレート10に向つて
押圧され、摩擦係合板65,66どうしの間の摩擦およ
び摩擦係合板65,66のうちの1枚とバツキングプレ
ート10と第2の面15との間の摩擦とにより筒状壁6
3と支承部材52とが一体的に連結されるに至る。図1
0において摩擦係合装置60をリングギヤ71を制動す
る湿式多板式ブレーキに構成するときには、第1の群の
摩擦係合板65は、ドラム62の筒状壁63の内周面に
スプライン係合されるのに代えて、車輌用自動変速装置
のハウジングに形成された筒状壁の内周面にスプライン
係合される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の摩擦係合装置6
0においてバツキングプレート10に薄肉部13を形成
する場合には、環状に打ち抜いたバツキングプレート1
0の素材板の周縁に沿つて切削加工を施して凹部12を
形成することにより薄肉部13を形成していた。ところ
でバツキングプレート10は摩擦係合装置60の係脱時
に、その第2の面15には前記摩擦係合板65,66に
よる摩擦とピストン64による押圧力を前記第2の面1
5に受けるので、素材板として所定の表面硬さを有する
ことが求められるが、バツキングプレート10には摩擦
係合板65,66より伝達される回転力をドラム62と
のスプライン係合により制止する機能が必要であるとこ
ろから、図11から明らかなようにバツキングプレート
10のスプライン係止爪14はドラム62の内周面に形
成されたスプライン溝の側面に強く当接せしめられる。
そこで従来は、バツキングプレート10のスプライン係
合爪に求められる強度より強度の低い鋼板よりバツキン
グプレート10の平面形状と同一形状の素材板をプレス
加工により打ち抜いた素材板を熱処理して所望の表面硬
さのものとし、その後前記素材板を切削加工により前記
凹部12を切削することにより薄肉部13を形成してい
たが、熱処理および切削加工の組合せは加工時間が長い
うえ、素材板の搬送を複雑にして量産性を損ない、また
製品であるバツキングプレートの加工精度の向上に難点
があつた。そこで本発明は、機械加工工程の組合せによ
りスプライン係合爪の表面硬さを残余の部分の表面硬さ
より大とした摩擦係合装置のバツキングプレートの製造
法を提供することを課題とする。
【0007】本発明は摩擦係合装置のバツキングプレー
トを製造するにあたり、鋼板の打ち抜き加工による素材
板の形成、素材板への鍛圧加工による薄肉部の成形およ
び素材板の剪断加工による最終成形の結合によつて、上
記課題を解決しようとするものであつて、厚さのほぼ一
定な鋼板より円形の内周縁および円形の外周縁を同心的
に備える平面形状を環状とした素材板を打ち抜き加工に
より形成する第1の工程と、前記第1の工程により得ら
れた素材板の前記一方の周縁をパイロツト部材の円筒形
周面に嵌装せしめ、該素材板の前記内周縁および外周縁
の何れか一方の周縁より、該素素板の半径方向の幅を前
記スナツプリングによる係合に必要な幅の環状の圧接面
とした第1の面を形成して該第1の面に第1のパンチ部
材を対応させ、該素材板の前記第1の面の残余の部分で
ある第2の面に前記パンチ部材を案内する第1の押え部
材の平坦面を対応させてそれぞれ挾持せしめ、前記第1
のパンチ部材を前記第1のダイ部材に向け摺動せしめて
前記素材板に鍛圧加工を施して、少なくとも前記第1の
面に前記素材板の半径方向の幅を前記スナツプリングに
よる係合に必要とされる幅とした凹部を凹設した薄肉部
を形成する第2の工程と、前記第2の工程を施した素材
板の前記薄肉部に、該薄肉部の自由端に所定のスプライ
ン係合爪を剪断加工により形成する第3の工程とよりな
るバツキングプレートの製造法に係る。
【0008】
【実施例】以下に、摩擦係合装置のスナツプリングによ
り係止される第1の面を図5に平面図で示し、図5の線
VI−VIに沿う断面図を図6に示したバツキングプレ
ート10の製造法の一実施例を、図1ないし図3により
説明する。図5および図6に示すバツキングプレート1
0は、その第1の面11の外周縁に沿つて凹部12によ
り形成された薄肉部13と、該薄肉部13の外周の自由
縁に放射方向にスプライン係合爪14の8個とを形成し
たものである。上記バツキングプレート10を成形製造
するにあたり、摩擦係合装置の摩擦係合板との摩擦摺動
に耐える表面硬度を有する鋼板を準備し、第1の工程と
して、厚さほぼ一定の前記鋼板より、図1に示すように
円形の内周縁21および外周縁22を同心的に備えた平
面形状を環状とする素材板20を打抜き加工により成形
する。
【0009】次に、第1の工程で得られた素材板20を
鍛圧加工装置30に移す。図2に示す鍛圧加工装置30
は、前記素材板20の内周縁21に嵌着される円筒形の
外周面32を有する第1のパイロツト部材31と、該パ
イロツト部材31の円筒形の外周面32に嵌合する内周
面と前記パイロツト部材31の外周面32に垂直な平面
とされた第1の型面34とを有する第1のダイ部材33
と、前記した形成しようとする凹部12の内径に等しい
内径とされた円筒状内周面36および前記パイロツト部
材31の外周面32に垂直な平面とされた成形型面37
とを有する第1のパンチ部材35と、前記パイロツト部
材31の外周面32および第1のパンチ部材35の内周
面にそれぞれ嵌合される円筒形の内外周面と、前記パイ
ロツト部材31の外周面に垂直な平面とされた第2の型
面39とを有する第1の押え部材38とを備える。第2
の工程においては、前記素材板20はその内周縁21を
前記第1のパイロツト部材31の外周面32に嵌装さ
れ、その一面24(第2の面という)を前記第1のダイ
部材33の第1の型面34上に当接せしめられて装着さ
れ、押え部材38によりその他面23(第1の面とい
う)の内周縁21がわを押え部材38の第2の型面39
により前記第1のダイ部材33に向けて圧接された状態
で保持される。この状態において第1のパンチ部材35
を素材板20に向けて作動せしめ鍛圧加工を施す。この
鍛圧加工の結果、素材板20の第1の面23の外周部に
は、第1のパンチ部材35の内周面36および成形型面
37とによる凹部12が形成されて素材板20の外周縁
に沿つた部分は薄肉部13に成形され、かつこの第1の
パンチ部材35による鍛圧加工により、その成形型面3
7によつて凹部12を形成された薄肉部13の表面硬さ
は、素材板20の残余の部分の表面硬さに比して向上せ
しめられる。なお前記素材板20の第2の表面24は第
1のパンチ部材35の型面34により平坦に保持され
る。
【0010】さらに前記第2の工程において凹部12を
鍛圧加工した素材板20を剪断加工装置40に移す。図
3に示す剪断加工装置40は、前記素材板20の内周縁
21に嵌着される円筒形の外周面42を有する第2のパ
イロツト部材41と、該パイロツト部材41の前記外周
面42に嵌合する内周面と前記パイロツト部材41の外
周面42に垂直な平面とされた第3の型面44および後
述する形状の外周面45を備えた第2のダイ部材43
と、前記パイロツト部材41の外周面42に嵌合する内
周面47と前記第2のパイロツト部材41の外周面42
に垂直に延在し、前記素材板20の薄肉部13の表面を
含む前記素材板20の第1の面23に衝合する段部を有
する第4の型面48および後述する外周面49とを有す
る第2の押え部材46と、前記第2のダイ部材43の外
周面45と第2の押え部材46の外周面49に係合して
これら外周面に対し摺動可能な内周面51と前記第2の
パイロツト部材41の外周面42にほぼ垂直に延在する
刃型面52とを有する第2のパンチ部材50、ならびに
前記第2のダイ部材43の外周面に摺動自在に係合する
内周面54と前記第2のパイロツト部材41の外周面4
2に垂直な平面内に延在する第5の型面55とを有する
払い板53とより成る。
【0011】前記第2のダイ部材43の外周面45およ
び第2の押え部材46の外周面49は、ともに前記第2
のパイロツト部材41の外周面42に垂直な面内におい
て成形製造しようとするバツキングプレート10の平面
形状における外周縁の形状と同一の断面形状とされ、本
実施例においては、図5に示すように円形の外周縁に8
個のスプライン係合爪14を半径方向に突設せしめた外
周形状の筒状面に形成される。そして前記第2のダイ部
材43の外周面45および/または第2の押え部材46
の外周面49に嵌合される第2のパンチ部材50の内周
面51および払い板53の内周面54の前記パイロツト
部材41の外周面42に垂直な面内における断面形状
は、前記外周面45,49に密に係合する形状とされ
る。第3の工程においては、前記第2の工程を施された
素材板20の第2の面24を前記第2のダイ部材43の
第3の型面44に、素材板20の第1の面23を第2の
押え部材46の第4の型面48とにそれぞれ衝合せしめ
て押圧挾持させ、第2のパンチ部材50を前記第2の押
え部材46の外周面49から第2のダイ部材43の外周
面45に沿つて摺動させ、前記素材板20の外周縁に剪
断加工を施す。これにより、外周縁がわの第1の面11
に形成した凹部12により薄肉部13が形成され、第2
の面15は平坦面とされた、図5および図6に示すバツ
キングプレート10を成形製造することができ、スプラ
イン係合爪14を形成した薄肉部13の表面硬さはバツ
キングプレート10の内周縁がわよりも大とされる。な
お、前記第3の工程の剪断加工の工程において第2のパ
ンチ部材50による剪断に先立ち、払い板53を素材板
20の第2の面24に当接せしめておき、第2のパンチ
部材50とともに摺動せしめて剪断加工を施すことによ
り、素材板20の外周縁剪断面のダレを小さく抑えるこ
とができ、得られるバツキングプレート10の外周縁部
の形状を良好とする。
【0012】また、本発明の第3の工程に、フアインブ
ランキング法による剪断加工を施す実施例を図4に示
す。図4に示す剪断加工装置40aは図3に示す剪断加
工装置40と対比すると、第2のパイロツト部材41、
第2のダイ部材43および第2の押え部材46の構成は
同一であり、第2のパンチ部材50はその位置と剪断加
工のための移動方向は異なるが機能は同一であるため、
図4では前記各部材41,43,46,50の各部分
は、図3における同一部分に付したと同一符号により説
明する。図4において符号56はフアインブランキング
法に採用される払い部材であり、その内周面57は第2
の押え部材46の外周面49に摺動自在に係合し、その
型面58(以下第6の型面という)は第2のパイロツト
部材43の外周面に垂直な平面内に延在するとともに、
前記第6の型面58には、前記内周面57に近接した位
置に該内周面57と同心的に、頂点を突縁とする断面三
角形のノツチ59が、前記頂点を第2のパンチ部材50
の刃型面52に指向せしめられて、突出せしめられ、一
体に形成されている。図4に示す剪断加工においては、
素材板20の第2の面24に第2のパンチ部材50の刃
型面52を当接させた状態で、先ず押え部材56の第6
の型面58を素材板20の第1の面23に押圧せしめ、
第6の型面58に突設したノツチ59を素材板20の第
1の面23にくい込ませ、この状態を維持しつつ第2の
パンチ部材50を押え部材56の方向に摺動させて、素
材板20の外周縁部の剪断加工を行う。この剪断加工に
よるときは、素材板20の外周縁部は前記ノツチ59の
くい込みにより押え部材56の第6の型面58と第2の
パンチ部材50の刃型面52との間に挾圧堅持されて剪
断されるから、得られるバツキングプレート10のスプ
ライン係合爪14を有する周縁部は鋼材の剪断面とな
り、破断面は殆ど出現しない。従つてバツキングプレー
ト10の周端面に剪断加工硬化が現われ、特にスプライ
ン係合爪14の係合部の表面硬さを向上させることがで
きる。
【0013】本発明における他の実施例として、前記第
1の工程における鋼板から素材板20を打抜きにより成
形するにあたり、円形の外周縁の所定位置に前記外周縁
の半径方向外方に突出せしめて、成形しようとするスプ
ライン係合爪とほぼ同一形状の係合爪成形部を突設形成
した素材板、即ち外周縁の寸法形状を、円形外周縁の所
定位置にスプライン係合爪を一体に突出形成せしめた製
造対象であるバツキングプレートの外周縁の寸法形状と
ほぼ同一とした素材板を成形し、この素材板に第2の工
程および第3の工程を順次施すことにより、バツキング
プレートを製造することができる。この実施例において
は、前記第2の工程における鍛圧加工にあたり、素材板
の鍛圧加工を施すべき部分の面積が前述した実施例に比
して小とすることができるため、より小さな加工力で鍛
圧加工を施すことができる。さらにこの実施例において
は、第3の工程において剪断加工を施す際には、前記第
2の工程において薄肉部13が形成された結果として前
記素材板の外周縁に沿い拡大された自由端縁部分を剪断
加工により成形するのみであるから、剪断加工による取
りしろが前述の実施例に比して少なくなり、前記素材板
の外周縁剪断面のダレを小さく抑えることができる。
【0014】以下に本発明の打抜き加工と鍛圧加工との
結合による鋼材の表面硬さの向上効果を実験例によつて
示す。本実験にあたつて、厚さ4.2mmの鋼板(新日本
製鉄 SAPH440)を用意し、この鋼板より外径をほぼ11
8.3mm、内径をほぼ104.3mmとする環状の素材板
を、本発明の第1工程により成形し、その素材板の両面
の表面硬さを、半径が1mm異なる点において測定した。
測定結果を図7に示す。図7の(a)は素材板の一半径
に沿う断面を示し、得られるバツキングプレートの第1
の面となる素材板20の第1の面23における測定点を
白の三角印、素材板20の第2の面24における測定点
を黒の三角印で示し、これら三角印に付した数字符号は
図7の(b)の図表において同一の数字符号を付した線
と対応する。また図7の(b)に示す図表中丸印で示し
た測定値は素材板の第1の面23における各測定点の測
定値を示し、黒の角印で示した測定値は前記第2の面2
4における各測定点の測定値を示す(以下図8および図
9も同様とする)。図7の(b)から明らかなように素
材板の表面硬さは第1の面23においても、第2の面2
4においてもほぼ180〜190Hvであつた。
【0015】次に前記図7の(a)に示す素材板20
に、本発明の第2の工程による鍛圧加工を施した。この
鍛圧加工は素材板20の半径においてほぼ110mmより
外周がわに施して、素材板20の第1の面23より1mm
だけ第1のパンチ部材35の成形型面37を素材板に圧
入せしめた。鍛圧条件は600トン単発プレス機を用
い、加工速度は17SPM(サイクル/分)での1サイ
クルを、室温において行つた。図8の(a)は、素材板
の一半径に沿う断面により、鍛圧加工後の素材板の断面
形状を示している。測定結果は図8の(b)に示すよう
に、第1のパンチ部材35による鍛圧加工を受けない部
分の測定点(数字符号1〜5に相当する部分)における
測定値は、図7の(b)の該当部分とほとんど差異はな
いが、鍛圧加工を受けた部分においては、第1の面23
および第2の面24上の各測定点において表面硬さはほ
ぼ200Hvから225Hvにまで増大し、表面硬さの
向上を示している。この素材板は、半径がほぼ118mm
の付近(測定点13と14との間)をスプライン係合爪
14の最大半径部とするように、第3の工程で剪断加工
される。なお図8において素材板の第1の面23におけ
る測定点6,7における表面硬さは、測定点5,6間に
形成された段部の影響と測定器具の形状との関連で、測
定不能であつたので、図8の(b)においては、測定点
5,8間の第1の表面23の表面硬さを破線で接続して
示した。
【0016】さらに前記鋼板から、本発明の第1の工程
により、図7の(a)に示す素材板と同一寸法の素材板
20を打抜き加工により成形し、該素材板20の半径に
おいてほぼ110mmより外周がわを、該素材板20の第
1の面23より1mmだけ第1のパンチ部材35の成形型
面37を素材板20に圧入せしめて薄肉部を形成した。
この素材板20に直ちに本発明の第3の工程による剪断
加工を施し、半径がほぼ118mmの付近をスプライン係
止爪14の最大半径部とするように素材板20の外周縁
22を成形した。加工方法は、第2の工程においては、
110トン単発プレス機を用い加工速度を17SPMで
の1サイクルの鍛圧加工を施し、第3の工程においては
600トン単発プレス機を用い加工速度を60SPMで
剪断した。何れの加工も室温で行つた。剪断加工を施し
た素材板20一半径に沿う断面を図9の(a)に示す。
表面硬さの測定結果は図9の(b)に示すとおりであつ
て、素材板20の鍛圧を受けた部分における表面硬さは
200〜225Hvであり、鋼板の表面硬さ180〜1
90Hvより著しく向上した。なお図9において素材板
20の第1の面23における測定点6,7の表面硬さ
は、測定点5,6間に形成された段部の影響と測定器具
の形状との関連で測定不能であつたので、図9の(b)
においては測定点5,8間の第1の面23における表面
硬さを破線で接続した。
【0017】上記実験例では、第3の工程における鍛圧
加工条件として、単発プレス機を用いた1サイクル鍛圧
加工を室温で行なうこととしたが、鍛圧加工条件はこれ
に限るものでなく、複数サイクルの鍛圧加工であつても
よい。また図8および図9に示す鍛圧加工結果から明ら
かなように、第1のパンチ部材35により鍛圧加工を施
して凹部12を形成した薄肉部13においては、凹部1
2を形成したバツキングプレート10の第1の面11と
なる素材板20の第1の面23のみならず第2の面15
となる素材板20の第2の面24にもほぼ同様の表面硬
さの増大が認められるところから、本発明の第2の工程
において、前記素材板20の第1の面23に薄肉部13
を形成すると同時に前記素材板20の第1の面23のそ
の余の部分にも若干の鍛圧加工を施すことにより、所望
の表面硬さより硬さの低い鋼板の素材板を用いて、第2
の面24に所望の表面硬さ以上の硬さを有するバツキン
グプレートを得ることもできる。なお前記本発明の実施
例においては、図3および図4とともに説明した第3の
工程においては、素材板にスプライン係合爪を形成すべ
き周縁(本実施例においては外周縁)に剪断加工を施す
ことのみを説明したが、バツキングプレートの寸法精度
を得るために素材板の他側の周縁(内周縁)の剪断加工
を追加しても差支えないことは勿論である。
【0018】
【発明の作用および効果】本発明によれば、第1の工程
において鋼板より打抜き加工により環状の素材板を成形
し、次いで第2の工程により前記素材板の少なくとも環
状をなす第1の面のスプライン係合爪を形成すべき側の
周縁に沿わせて鍛圧加工により凹部を形成することによ
り、該周縁部分に所定の肉厚を有する環状の薄肉部を形
成するとともに、該薄肉部の表面硬さを前記鋼板の表面
硬さより増大させ、さらに第3の工程により前記薄肉部
の自由縁に剪断加工によりスプライン係合爪を形成する
ことによりバツキングプレートを製造するから、少なく
ともスプライン係合爪の部分の表面硬さが、摩擦係合板
と摺動せしめられるバツキングプレートの第2の面の主
要部より大とし、かつスプライン係合爪の部分の精度が
良好なバツキングプレートを製造することができる。そ
して本発明は、第1の工程として鋼板より素材板の打抜
き加工、第2の工程として前記素材板の鍛圧加工、第3
の工程として前記素材板の剪断加工の結合であつて、こ
れらの各工程はすべて機械により加工する工程であるか
ら、得られるバツキングプレートの寸法精度を良好にす
るとともに、素材板の搬送を容易として搬送工程全般を
簡易なものとすることができる。また、前記各工程はす
べてプレス加工またはこれに類似する機械加工で行うこ
とができるので、加工時間を短くでき、量産性に優れ
る。
【0019】さらに本発明においては、第3の工程であ
る剪断工程においてフアインブランキング法を採用すれ
ば、剪断加工時にスプライン係合爪の端縁部の鋼材に破
断面を生ずることなく殆どを剪断面とすることができ、
これにより剪断加工に基く硬度の向上を図ることができ
る。本発明によつて得られるバツキングプレートは、ス
プライン係合爪を形成する周縁部を鍛圧加工により形成
された薄肉部として該薄肉部の表面硬さをバツキングプ
レートの残余の部分の表面硬さより向上せしめてあるの
で、スプライン係合爪か摩擦係合装置の筒状部材のスプ
ラインと摺動、圧接または衝突の繰返しに際して十分な
耐久力を有するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の工程により得られた素材板の一
半径に沿う断面図。
【図2】本発明の第2の工程における素材板の鍛圧加工
と、鍛圧加工装置とを示す断面図。
【図3】本発明の第3の工程における素材板の剪断加工
と、剪断加工装置とを示す断面図。
【図4】本発明の第3の工程における剪断加工の他の方
法とその剪断加工装置とを示す断面図。
【図5】本発明により得られるバツキングプレートの平
面図。
【図6】図5の線VI−VIに沿う断面図。
【図7】本発明の一実験例の素材板の硬度分布を説明す
る線図。
【図8】本発明の一実験例の鍛圧加工を施した素材板の
硬度分布を説明する線図。
【図9】本発明の一実験例の鍛圧加工を施した素材板の
硬度分布を説明する線図。
【図10】車輌用自動変速装置の摩擦係合装置の一例を
示す断面図。
【図11】摩擦係合装置の筒状部材とバツキングプレー
トの関係を示す正面図。
【符号の説明】
10 バツキングプレート 11 その第1の面 12 その凹部 13 その薄肉部 14 そのスプライン係合爪 15 その第2の面 20 素材板 21 その内周縁 22 その外周縁 23 その第1の面 24 その第2の面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21J 1/00 - 13/14 B21J 17/00 - 19/04 B21K 1/00 - 31/00 F16D 11/00 - 23/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同心的にかつ相対回転自在に配置された2
    個の筒状部材と、前記筒状部材の何れか一方にそれぞれ
    スプライン係合されてこれら筒状部材の軸方向に移動自
    在の2群の環状の摩擦係合板と、前記筒状部材の何れか
    一方にスプライン係合爪により係合されるとともにスナ
    ツプリングにより係止される環状のバツキングプレート
    と、前記筒状部材の何れか一方に支承されて前記2組の
    摩擦係合板を前記バツキングプレートに向けて押圧する
    押圧部材とからなる摩擦係合装置における前記バツキン
    グプレートを製造するにあたり、厚さのほぼ一定な鋼板
    より、円形の内周縁および円形の外周縁を同心的に備え
    た、平面形状を環状とする素材板を打抜きにより形成す
    る第1の工程と、 前記第1の工程により得られた素材板の前記一方の周縁
    をパイロツト部材の円筒形周面に嵌装せしめ、該素材板
    前記内周縁および外周縁の何れか一方の周縁より、該
    素素板の半径方向の幅を前記スナツプリングによる係合
    に必要な幅の環状の圧接面とした第1の面を形成して該
    第1の面に第1のパンチ部材を対応させ、該素材板の前
    記第1の面の残余の部分である第2の面に前記パンチ部
    材を案内する第1の押え部材の平坦面を対応させてそれ
    ぞれ挾持せしめ、前記第1のパンチ部材を前記第1のダ
    イ部材に向け摺動せしめて前記素材板に鍛圧加工を施し
    て、少なくとも前記第1の面に前記素材板の半径方向の
    幅を前記スナツプリングによる係合に必要とされる幅と
    した凹部を凹設した薄肉部を形成する第2の工程と、前
    記第2の工程を施した素材板の前記薄肉部に剪断加工を
    施して、該薄肉部の自由縁に所定のスプライン係合爪を
    形成する第3の工程とよりなることを特徴とする、摩擦
    係合装置のバツキングプレートの製造法。
  2. 【請求項2】前記第3の工程は、前記第2の工程を施し
    た素材板の前記第2の面にバツキングプレートの第2の
    面の最終形状と一致せしめた第2のパンチ部材を当接
    し、素材板の前記第1の面にバツキングプレートの第1
    の面の最終形状と一致せしめた第2の押え部材を当接す
    ることにより素材板を固定し、前記第2の押え部材に前
    記第2のダイ部材を摺動せしめて、該第2のダイ部材と
    前記第2のパンチ部材とにより、前記素材板の薄肉部に
    スプライン係合爪を剪断加工により形成することを特徴
    とする請求項1に記載の摩擦係合装置のバツキングプレ
    ートの製造法。
  3. 【請求項3】前記第1の工程において、円形の外周縁の
    半径方向外方に、前記バツキングプレートのスプライン
    係合爪とほぼ同一形状のスプライン係合爪成形部を所定
    位置に突設した素材板を打抜きにより形成することを特
    徴とする請求項1または請求項記載の摩擦係合装置の
    バツキングプレートの製造法。
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