JP3484241B2 - 冷陰極およびその製造方法 - Google Patents

冷陰極およびその製造方法

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JP3484241B2 JP26948394A JP26948394A JP3484241B2 JP 3484241 B2 JP3484241 B2 JP 3484241B2 JP 26948394 A JP26948394 A JP 26948394A JP 26948394 A JP26948394 A JP 26948394A JP 3484241 B2 JP3484241 B2 JP 3484241B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は主として真空マイクロ
エレクトロニクスにおける冷陰極及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図42は真空マイクロエレクトロニクス
において使用される一般的な冷陰極の構成を示す断面図
である。図42において、シリコン(Si)基板1の主
面上に、高さ約1μm程度のコーン形状の冷陰極2が形
成されている。また、シリコン基板1の主面上には陰極
2を取り囲むように、シリコン酸化膜3、ゲート電極4
が順に形成されて積層構造をなしている。なお、陰極2
およびゲート電極4の材料には例えばモリブデン(M
o)、ニオブ(Nb)のような金属が用いられている。
【0003】次に動作について説明する。ゲート電極4
を正電位として、ゲート電極4とシリコン基板1との間
に100V程度の電圧を印加して、陰極2の先端部に1
7V/cm程度の強い電界を発生させ、電界放射によ
り先端部から電子を引き出すことで陰極2を電子源とし
て用いることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の陰極
2を通って流れる電流は、陰極2の形状に大きく左右さ
れ、先端が鋭くなる程大きくなるが、陰極2を複数形成
する場合、先端部の形状を再現性良く、均一に作ること
が難しく素子の動作特性にばらつきを生じるという問題
点を有している。
【0005】また、素子の動作中に真空度が急激に低下
した場合などには、ゲート電極4と陰極2間に異常電流
が流れ、異常電流によりゲート電極4と陰極2間がショ
ートして過電流が流れ、素子を破壊してしまうという問
題点を有している。
【0006】上記のような問題点を改善するための構成
が特開平1−154426に開示されている。図43は
特開平1−154426に開示された冷陰極電極の構造
を示す断面図である。図43においてガラス基板150
の主面上にアルミニウム(Al)などで導電層160が
形成され、その上に非晶質シリコンなどで抵抗層170
が形成され、さらにその上にコーン形状の陰極120が
複数形成されている。また、抵抗層170の上には陰極
120を取り囲むように、シリコン酸化膜130、ゲー
ト電極140が順に形成されて積層構造をなしている。
このような構成では導電層160を通って陰極120に
流れる電流は抵抗層170により制限されることにな
り、異常電流によるゲート電極140と陰極120間の
ショートを防止して素子の破壊を防止することができ
る。
【0007】しかしながら、図43に示すように同一の
抵抗層170上に複数の陰極120を設けた場合、抵抗
層170を流れる電流による電圧降下により、隣り合う
陰極120間の電位が異なることになり、特性上の不均
一を招くことになるという原理的な問題点を有してい
る。通常は数百〜数千個の陰極120を並列接続して使
用するので、これは重大な問題となる。
【0008】上記のような問題点を改善するための構成
が特開平4−249026に開示されている。図44は
特開平4−249026に開示された冷陰極電極の構造
を示す断面図である。図44において、ガラス基板25
0の主面上に導電層260が形成され、その上に選択的
にダイオード270が形成されている。ダイオード27
0は導電層260の表面上に選択的に設けられた金属層
280と、当該金属層280の上に形成された半導体層
290とからなり、半導体層290の上にはコーン形状
の陰極220が形成されている。なお、金属層280と
して金(Au)、半導体層290として非晶質シリコン
が使用される。また、導電層260の上からダイオード
270の表面にかけては陰極220を取り囲むように、
シリコン酸化膜230が形成され、その上にはゲート電
極240が形成されて積層構造をなしている。
【0009】このような構成ではダイオード270に流
れる逆方向特性の電流により陰極220に流れる電流が
制限されることになる。しかしながら、このような構成
の冷陰極電極を得るには、陰極220とは別にその下部
に、導電層260、金属層280、半導体層290を順
次積層することが必要となり、製造工程が複雑になると
いう欠点がある。
【0010】本発明は上記のような問題点を解消するた
めになされたもので、陰極を流れる電流の制御性が良好
かつ、過電流に対して自動的に電流を制限する機能を有
する構造が簡単で製作容易な冷陰極を得ることを目的と
し、さらにこの冷陰極に適した製造方法を提供すること
を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明に
係る冷陰極は、第1導電型の半導体基板と一体で形成さ
れ、鋭角な先端部を有する陰極を備えた冷陰極におい
て、前記陰極は前記先端部を除いて、表面から内部にか
けて第2導電型の半導体領域を備え、その接合面がPN
接合となっていることを特徴とする。
【0012】請求項2記載の本発明に係る冷陰極は、前
記半導体基板上に前記陰極を取り囲むように形成された
絶縁層と、前記絶縁層上に形成された電極層とをさらに
備えるている。
【0013】請求項3記載の本発明に係る冷陰極は、第
1導電型の半導体基板と一体で形成され、鋭角な先端部
を有する陰極を備えた冷陰極において、前記陰極の前記
先端部を除いて、表面から内部にかけて、その接合面が
PN接合となる第2導電型の半導体領域を備え、前記冷
陰極の周囲の前記半導体基板上に設けられ、その端部が
前記陰極の基板側端部に接触する導電層を備えている。
【0014】請求項4記載の本発明に係る冷陰極は、前
記導電層が前記半導体基板の基板材と金属との合金層で
ある。
【0015】請求項5記載の本発明に係る冷陰極は、前
記導電層が金属層である。
【0016】請求項6記載の本発明に係る冷陰極は、前
記導電層上に、前記陰極を取り囲むように形成された絶
縁層と、前記絶縁層上に形成された電極層とをさらに備
えている。
【0017】請求項7記載の本発明に係る冷陰極は、前
記第1導電型がN型であり、前記第2導電型がP型とな
っている。
【0018】請求項8記載の本発明に係る冷陰極は、半
導体基板と一体で形成され、鋭角な先端部を有する陰極
を備えた冷陰極において、前記陰極は前記先端部を除く
表面上および前記半導体基板の表面上に金属層を備え、
少なくとも前記陰極の前記表面との接合面がショットキ
ー接合となっていることを特徴とする。
【0019】請求項9記載の本発明に係る冷陰極は、前
記半導体基板の表面から内部にかけて、前記半導体基板
と同一の導電型で比較的高濃度の半導体領域をさらに備
えている。
【0020】請求項10記載の本発明に係る冷陰極は、
前記金属層と前記半導体基板の表面との間に、前記半導
体基板との界面にオーミック接触を形成する金属で構成
されたオーミック電極金属層をさらに備えている。
【0021】請求項11記載の本発明に係る冷陰極は、
前記半導体基板の表面から内部にかけて、結晶格子が乱
れた格子欠陥領域をさらに備えている。
【0022】請求項12記載の本発明に係る冷陰極は、
前記金属層上に前記陰極を取り囲むように形成された絶
縁層と、前記絶縁層上に形成された電極層とをさらに備
えている。
【0023】請求項13記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(a)第1導電型の半導体基板の主面上に選択
的にマスク層を形成する工程と、(b)前記マスク層をエ
ッチングマスクとして、前記半導体基板を選択的にエッ
チングして、前記マスク層の下に、前記半導体基板と一
体となった鋭角な先端部を有する陰極を形成する工程
と、(c)前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部
にかけて、第2導電型の不純物を導入して第2導電型の
半導体領域を形成する工程とを備えている。
【0024】請求項14記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(c)の後に、(d)全面に絶縁層を形成
する工程と、(e)前記絶縁層上に電極層を形成する工程
と、(f)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク
層と共に除去する工程とをさらに備えている。
【0025】請求項15記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(a)第1導電型の半導体基板の主面上に選択
的にマスク層を形成する工程と、(b)前記マスク層をエ
ッチングマスクとして、前記半導体基板を選択的にエッ
チングして、前記マスク層の下に、前記半導体基板と一
体となった鋭角な先端部を有する陰極を形成する工程
と、(c)前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部
にかけて第2導電型の不純物を導入して第2導電型の半
導体領域を形成する工程と、(d)前記冷陰極の周囲の前
記半導体基板上に、その端部が前記陰極の基板側端部に
接触するように導電層を形成する工程とを備えている。
【0026】請求項16記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(c)が、(c-1)前記マスク層を遮蔽体
として、前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部
にかけてイオン注入法により前記第2導電型の不純物を
導入する工程を有する。
【0027】請求項17記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(a)が、(a-1)前記マスク層を第1導
電型の不純物を含む材料で形成する工程を有し、前記工
程(c)が、(c-2)前記陰極の全表面から内部にかけて熱拡
散法により前記第2導電型の不純物を導入する工程と、
(c-3)前記マスク層に含まれた第1導電型の不純物を熱
拡散法により前記陰極の前記先端部に導入して、前記先
端部表面を第1導電型に置換する工程とを有している。
【0028】請求項18記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(d)が、(d-1)前記半導体基板と合金
を形成する合金用金属層を前記半導体領域の上に形成す
る工程と、(d-2)前記合金用金属層を熱拡散により前記
半導体領域内に拡散して前記半導体基板との合金層を形
成する工程とを有している。
【0029】請求項19記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(d)が、(d-3)前記マスク層をエッチ
ングマスクとして、前記陰極の周囲の前記半導体基板の
表面から内部にかけての前記半導体領域をエッチングに
より除去する工程と、(d-4)前記工程(d-3)により除去さ
れた領域と、前記陰極の基板側端部の領域に金属層を形
成する工程とを有している。
【0030】請求項20記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(d)の後に、(e)全面に絶縁層を形成
する工程と、(f)前記絶縁層上に電極層を形成する工程
と、(g)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク
層と共に除去する工程とをさらに備えている。
【0031】請求項21記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(a)半導体基板の主面上に選択的にマスク層
を形成する工程と、(b)前記マスク層をエッチングマス
クとして、前記半導体基板を選択的にエッチングして、
前記マスク層の下に、前記半導体基板と一体となった鋭
角な先端部を有する陰極を形成する工程と、(c)前記陰
極の前記先端部を除く表面上および前記半導体基板の表
面上に、少なくとも前記陰極の前記表面との接合面がシ
ョットキー接合となる金属層を形成する工程とを備えて
いる。
【0032】請求項22記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(d)前記マスク層を遮蔽体として、イオン注
入法により前記半導体基板の表面から内部にかけて前記
半導体基板と同一の導電型の不純物を導入し、比較的高
濃度の半導体領域を形成する工程をさらに備えている。
【0033】請求項23記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(e)前記マスク層を遮蔽体として、前記半導
体基板の表面上に、前記半導体基板との界面にオーミッ
ク接触を形成する金属でオーミック電極金属層を形成す
る工程をさらに備えている。
【0034】請求項24記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、(f)前記マスク層を遮蔽体として、イオン注
入法により前記半導体基板の表面から内部にかけて不活
性ガスのイオンを導入し、結晶格子が乱れた格子欠陥領
域を形成する工程をさらに備えている。
【0035】請求項25記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法は、前記工程(c)の後に、(g)全面に絶縁層を形成
する工程と、(h)前記絶縁層上に電極層を形成する工程
と、(i)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク
層と共に除去する工程とをさらに備えている。
【0036】
【作用】請求項1記載の本発明に係る冷陰極によれば、
陰極の先端部を除いて、表面から内部にかけて第2導電
型の半導体領域を備え、その接合面がPN接合となって
いるので、陰極に流れる電流はPN接合の近傍に形成さ
れるチャネル領域を流れることになり、電流量はチャネ
ルの面積により決まる抵抗で制御されることになる。
【0037】請求項2記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極を流れる電流量が制御可能な陰極の周囲に、陰
極の先端部から電子を放出させるための電極を備えた冷
陰極が得られる。
【0038】請求項3記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極に流れる電流はPN接合の近傍に形成されるチ
ャネル領域を流れることになり、電流量はチャネルの面
積により決まる抵抗で制御されるとともに、陰極の基板
側端部に接触するように導電層が設けられているので、
PN接合が部分的に半導体基板に短絡されることにな
る。従って陰極に電流が流れる場合に、陰極の上部と下
部では電位差が大きくなり、その電位差がPN接合に逆
バイアスとして印加され、逆バイアス電圧の大きくなる
上部ほど空乏層の広がりが大きくなる。よって、空乏層
が接触するほどに逆バイアス電圧が増加した場合には、
空乏層中の空間電荷で制限される電流以上は流れなくな
り、過電流が流れることが防止される。
【0039】請求項4記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、導電層が半導体基板の基板材と金属との合金層であ
るので、PN接合が半導体基板に部分的に短絡されると
共に半導体基板表面の抵抗が下がることになる。
【0040】請求項5記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、導電層が金属層であるので、半導体基板表面の抵抗
がさらに低くなる。
【0041】請求項6記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極を流れる電流量が制御可能かつ過電流が流れる
ことが防止される陰極の周囲に、陰極の先端部から電子
を放出させるための電極を備えた冷陰極が得られる。
【0042】請求項7記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、半導体基板がN型であり表面から内部にかけての半
導体領域がN型となるので、PN接合は動作時には電流
の流れる方向に対して逆バイアスされることになる。
【0043】請求項8記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極の先端部を除く表面上および半導体基板の表面
上に金属層を備え、少なくとも陰極の表面との接合面が
ショットキー接合となっているので、陰極に流れる電流
は、ショットキー接合の近傍に形成されるチャネル領域
を流れることになり、電流量はチャネルの面積により決
まる抵抗で制御されることになる。
【0044】請求項9記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極に流れる電流は、ショットキー接合の近傍に形
成されるチャネル領域を流れることになり、電流量はチ
ャネルの面積により決まる抵抗で制御されるとともに、
半導体基板の表面から内部にかけて比較的高濃度の半導
体領域が形成されているので、金属層と半導体基板との
接合面はショットキー接合とならずオーミック接触とな
るので、ショットキー接合が部分的に半導体基板に短絡
されることになる。従って陰極に電流が流れる場合に、
陰極の上部と下部では電位差が大きくなり、その電位差
がショットキー接合に逆バイアスとして印加され、逆バ
イアス電圧の大きくなる上部ほど空乏層の広がりが大き
くなる。よって、空乏層が接触するほどに逆バイアス電
圧が増加した場合には、空乏層中の空間電荷で制限され
る電流以上は流れなくなり、過電流が流れることが防止
される。
【0045】請求項10記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、オーミック電極金属層により半導体基板との界面
にオーミック接触が形成されるので、その部分はショッ
トキー接合とならず、陰極と金属層の接合面のみがショ
ットキー接合となる。
【0046】請求項11記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、半導体基板の表面から内部にかけて格子欠陥領域
が設けられているので、金属層と半導体基板との接合面
はショットキー接合とならず、陰極と金属層の接合面の
みがショットキー接合となる。
【0047】請求項12記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、陰極を流れる電流量が制御可能かつ過電流が流れ
ることが防止される陰極の周囲に、陰極の先端部から電
子を放出させるための電極を備えた冷陰極が得られる。
【0048】請求項13記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して第1導電型の半
導体基板と一体で形成され、その先端部を除いて、表面
から内部にかけて第2導電型の半導体領域を備え、その
接合面がPN接合となっている陰極を有した冷陰極が容
易に得られる。
【0049】請求項14記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【0050】請求項15記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して第1導電型の半
導体基板と一体で形成され、その先端部を除いて、表面
から内部にかけて設けられた第2導電型の半導体領域と
の接合面がPN接合となっている陰極を有し、冷陰極の
周囲の半導体基板上に、その端部が陰極の基板側端部に
接触するように設けられた導電層を備えた冷陰極が容易
に得られる。
【0051】請求項16記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、陰極の先端
部を除いて、表面から内部にかけてイオン注入法により
第2導電型の不純物を導入することにより、陰極の先端
部を除いて、表面から内部にかけて容易に第2導電型の
不純物を導入するこができる。
【0052】請求項17記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を第1導電型の不純物を含む
材料で形成した後、陰極の全表面から内部にかけて熱拡
散法により第2導電型の不純物を導入し、マスク層に含
まれた第1導電型の不純物を熱拡散法により陰極の先端
部に導入して、先端部表面を第1導電型に置換すること
により、陰極の先端部を除いて、表面から内部にかけて
第2導電型の不純物が導入された構成が、熱拡散法を用
いて形成されることになる。
【0053】請求項18記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、半導体領域の上に形成した合金用金属
層を熱拡散法により半導体領域内に拡散して、半導体基
板との合金層を形成することで、陰極の基板側端部に接
触するように設けられた導電層を備えた冷陰極が容易に
得られる。
【0054】請求項19記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層をエッチングマスクとして、
陰極の周囲の半導体基板の表面から内部にかけての半導
体領域をエッチングにより除去し、その領域に金属層を
形成すことで、陰極の基板側端部に接触するように設け
られた導電層を備えた冷陰極が容易に得られる。
【0055】請求項20記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【0056】請求項21記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して半導体基板と一
体で形成された陰極の先端部を除く表面上、および半導
体基板の表面上に、少なくとも陰極の表面との接合面が
ショットキー接合となる金属層を有した冷陰極が容易に
得られる。
【0057】請求項22記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、イオン注入
法により半導体基板の表面から内部にかけて半導体基板
と同一の導電型の不純物を導入することにより、半導体
基板の表面から内部にかけて比較的高濃度の半導体領域
を容易に形成することができる。
【0058】請求項23記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、半導体基板
の表面上に、半導体基板との界面にオーミック接触を形
成する金属でオーミック電極金属層を形成することによ
り、半導体基板との界面がショットキー接合とならず、
陰極と金属層の接合面のみがショットキー接合となった
冷陰極が得られる。
【0059】請求項24記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、イオン注入
法により前記半導体基板の表面から内部にかけて不活性
ガスのイオンを導入し、結晶格子が乱れた格子欠陥領域
を形成することにより、半導体基板との界面がショット
キー接合とならず、陰極と金属層の接合面のみがショッ
トキー接合となった冷陰極が得られる。
【0060】請求項25記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【0061】
【実施例】
<第1の実施例>本発明に係る冷陰極の第1の実施例を
図1〜図8を用いて説明する。図1は本実施例の冷陰極
100の構成を示す断面図である。図1において、N型
シリコン基板11の主面上にN型シリコン基板11と一
体でコーン形状の陰極22が形成され、陰極22の表面
内およびN型シリコン基板11の表面内にはP型シリコ
ン領域15が形成され、N型シリコンとのPN接合16
を形成している。ここで、P型シリコン領域15は陰極
22の先端部には形成されていない。
【0062】また、表面内にP型シリコン領域15が形
成されたN型シリコン基板11の上には陰極22を取り
囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート電極14が順
に形成されて積層構造をなしている。
【0063】次に、図1〜図3を用いて動作について説
明する。図2は陰極22を動作させるための接続構成を
示す図であり、図3は陰極22の動作特性を示す図であ
る。図2において、ゲート電極14を正電位として陰極
22との間に印加電圧V0が与えられ、ゲート電極14
と陰極22の先端部との間に電圧V1、陰極22の先端
部と基底部との間に電圧V2が配分されている。
【0064】この接続構成での電圧−電流特性(V−I
特性)を図3に示す。図3において、横軸を電圧、縦軸
を電流とした場合、ゲート電極14と陰極22の先端部
との間のV−I特性が特性Aとして、陰極22の先端部
と基底部との間のV−I特性が特性Bとして表されてい
る。特性Aはよく知られているファウラーノルドハイム
の法則に従う特性であり、印加電圧V0が与えられ、冷
陰極からの電子のトンネル放射が生じ始める電圧を越え
ると急激に電流が増加する。
【0065】従来の陰極のように内部にPN接合16が
存在しない場合、陰極の先端部と基底部との間のV−I
特性は陰極の形状と固有抵抗で決まり、図3の特性Cで
示すように傾きが急な特性となる。しかしながら、図1
に示す構成の陰極22の場合、陰極22の先端部と基底
部との間のV−I特性は特性Bで示されるように、特性
Cに比べて傾きは緩やかになる。このような特性になる
ことについて以下に説明する。
【0066】図4に動作中の陰極22の模式図を示す。
図4において、陰極22の表面内およびN型シリコン基
板11の表面内に形成されたP型シリコン領域15と、
N型シリコンとで、電流の流れる方向に対して逆バイア
スになるようなPN接合16が形成されている。そのP
N接合16の近傍にはいわゆる空乏層ができており、そ
の端面を空乏層領域面17として示す。空乏層内には電
荷が存在しないので電流が流れることはできず、空乏層
外のみを電流が流れることになる。ここで、電流通過可
能領域のうち、空乏層が最も接近して、最も狭くなった
部分をチャネル18と呼称する。
【0067】この場合、陰極22の内部の抵抗値は、チ
ャネル18の面積とN型シリコン基板11の固有抵抗で
決まることになるが、当然のことながらチャネル18の
面積は、陰極22の平均的な面積より小さくなるので、
抵抗値はPN接合16を有しない場合に比べて大きくな
る。従って、陰極22の先端部と基底部との間のV−I
特性は特性Bのようになる。
【0068】また印加電圧V0は、陰極22の先端部と
基底部との間の電圧V2と、印加電圧V0からゲート電極
14と陰極22の先端部との間の電圧V1を差し引いた
残りの電圧とが等しくなるように、すなわち電圧V1と
電圧V2との合計が印加電圧V0となるように配分され、
そのときの電流はI0に抑えられることになる。
【0069】図3において、このような電圧配分となる
点を図示すると、特性BにおいてはポイントP1、特性
AにおいてはポイントP2となり、印加電圧V0における
仮想点はポイントP3となり、電圧0における仮想点は
ポイントP0となる。この場合、P0−P1間の電圧とP2
−P3間の電圧が等しく、ポイントP0の電流値がI0と
なっていることが図示されている。
【0070】以上説明したように、表面内部にPN接合
16を備えることで、陰極22単体で独立して電流を制
御することができる。ここで、陰極22の抵抗値はチャ
ネル18の面積によって決まり、チャネル18の面積は
空乏層の大きさによって決まる。従って、後に説明する
P型シリコン領域15を形成する際のイオン注入の条
件、あるいは、イオン注入後に行う熱処理(アニール)
の条件により、陰極22の抵抗値を自由に設定すること
ができる。なお、空乏層が接触してチャネルが存在しな
い状態、すなわちピンチオフの状態の場合が最も抵抗値
は大きくなる。
【0071】次に、冷陰極100の製造方法を工程を順
に示した断面図である図5〜図8を用いて説明する。ま
ず、図5に示す工程において、N型シリコン基板11の
主面上にマスク用シリコン酸化膜12を選択的に形成す
る。これはシリコン酸化膜をN型シリコン基板11の全
面に形成した後、写真製版技術によりパターンニングし
たもので、その断面幅は約1〜2μm程度である。この
マスク用シリコン酸化膜12は以下の工程でエッチング
マスクおよびリフトオフのスペーサとして使用されるも
のであって、その材質はシリコン窒化膜あるいはアルミ
ナ膜などであっても構わない。
【0072】次に図6に示す工程において、マスク用シ
リコン酸化膜12をマスクとしてN型シリコン基板11
をエッチングしてコーン形状の陰極22を形成する。
【0073】次に図7に示す工程において、イオン注入
法によりP型不純物となる元素、例えばボロンイオン6
0を注入してP型シリコン領域15を形成する。この
際、N型シリコン基板11に対して、イオンが斜めから
入射するようにN型シリコン基板11を傾け、かつ回転
させることにより、ボロンイオン60はマスク用シリコ
ン酸化膜12の影になる部分には注入されないので、P
型シリコン領域15は陰極22の先端部を除く部分にの
み形成されることになる。なお、基板を回転させながら
斜めにイオン注入を行う技術は現在の半導体製造におい
て広く用いられている技術であり、本発明の実現に十分
に利用可能な技術である。
【0074】コーン形状の陰極22の形成の一例として
は、まず、断面形状が台形となるようにN型シリコン基
板11をエッチングし、いわゆる陰極22の原型を形成
し、その原型の表面を熱酸化によって酸化して所望の厚
さの酸化層を形成する。この酸化層に囲まれた中央部分
が、最終的にコーン形状の陰極22となる。従って、こ
の段階ではマスク用シリコン酸化膜12は台形の原型の
上面に形成されていることになり、安定に保たれてい
る。なお、原型の表面に形成された酸化層は、後に、マ
スク用シリコン酸化膜12をリフトオフ法により除去す
る工程において共に除去されるが、これらの工程は本発
明の本質ではなく、周知の技術でもあるので、これ以上
の説明は省略する。
【0075】次に図8に示す工程において、マスク用シ
リコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のN型
シリコン基板11上にシリコン酸化膜13、ゲート電極
14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法で形成
する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上にもシ
リコン酸化膜13およびゲート電極層141が形成され
るが、マスク用シリコン酸化膜12をスペーサとしてリ
フトオフ法によりマスク用シリコン酸化膜12上のシリ
コン酸化膜13およびゲート電極層141を除去するこ
とにより図1に示す冷陰極100が得られる。
【0076】ここで、リフトオフに際しては、マスク用
シリコン酸化膜12を選択的にエッチングし、シリコン
酸化膜13のエッチングは抑制する必要があるが、その
ためには真空蒸着法と化学蒸着法などのように両酸化膜
を異なった形成方法で形成するか、あるいはSiO2
SiOのように化学量論的組成比を変えることによりエ
ッチング比を変えることができ、リフトオフを容易に行
うことができる。
【0077】なお、シリコン酸化膜のどちらかを他の材
質の膜、例えばシリコン窒化膜あるいはアルミナ膜とし
てもよい。
【0078】以上説明したように、先端部を除く表面内
にPN接合16を有するコーン形状の陰極22は、構造
が簡単であり製作が容易であり、陰極22の形成に用い
た、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコン酸化膜1
3およびゲート電極14の形成にも転用できるので、冷
陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0079】<第2の実施例>本発明に係る冷陰極の第
2の実施例を図9〜図13を用いて説明する。図9は本
実施例の冷陰極200の構成を示す断面図である。図9
において、N型シリコン基板11の主面上にN型シリコ
ン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成され、
先端部分を除く陰極22の表面内にはP型シリコン領域
15が形成され、N型シリコンとPN接合16を形成し
ている。P型シリコン領域15に接触するように、N型
シリコン基板11の表面上および表面内にアルミニウム
・シリコン合金領域20が形成されている。
【0080】また、アルミニウム・シリコン合金領域2
0の上には陰極22を取り囲むように、シリコン酸化膜
13、ゲート電極14が順に形成されて積層構造をなし
ている。
【0081】次に冷陰極200の動作について図10を
用いて説明する。図10は動作中の陰極22の模式図で
ある。図10において、陰極22の表面内に形成された
P型シリコン領域15とN型シリコンとで、電流の流れ
る方向に対して逆バイアスになるようなPN接合16が
形成されている。そのPN接合16の近傍にはいわゆる
空乏層ができており、その端面を空乏層領域面17とし
て示す。空乏層内には電荷が存在しないので電流が流れ
ることはできず、空乏層外のみを電流が流れることにな
る。ここで、電流通過可能領域のうち、空乏層が最も接
近して、最も狭くなった部分をチャネル18と呼称す
る。
【0082】ここで、アルミニウム・シリコン合金領域
20とN型シリコン基板11との接合部分はPN接合1
6ではなく、陰極22の表面内にのみPN接合16が形
成されており、P型シリコン領域15のN型シリコン基
板11側の端部はアルミニウム・シリコン合金領域20
によってN型シリコン基板11に短絡され抵抗が低くな
っている。従って陰極22に電流が流れる場合に、陰極
22の上部と下部では電位差が大きくなり、その電位差
がPN接合16に逆バイアスとして印加されることにな
る。図10に示すように逆バイアス電圧の大きくなる上
部ほど空乏層の広がりは大きくなる。PN接合16から
延在する空乏層領域面17が接近し、チャネル18の抵
抗値が増加すると陰極22に流れる電流の増加する割合
が緩やかになる。やがて、空乏層が接触する状態、いわ
ゆるパンチスルーになると、空乏層中の空間電荷で制限
される電流以上は流れなくなり、陰極22に流れる電流
は飽和してしまう。
【0083】この状態でのV−I特性を図3に特性Dと
して示す。図3において、陰極22には空間電荷制限電
流であるIp以上の電流は流れないことが示されてい
る。従って冷陰極200の動作は、通常においては電流
I0が定常的に流れているが、何らかの原因によって電
流I0を越える電流が流れる事態が発生しても、電流Ip
以上には流れず、自動的に電流が制限されることにな
る。よって、過電流により陰極22が破壊されることが
自動的に防止される。
【0084】また、同一のN型シリコン基板11上に複
数の陰極22を備え、それらを並列動作させる場合、N
型シリコン基板11の表面上および表面内にはアルミニ
ウム・シリコン合金領域20が形成されているので、N
型シリコン基板11の抵抗が下がり、かつ、N型シリコ
ン基板11の表面の電位が共通化されるので、陰極相互
間の電位差の発生を抑制して均一な動作を行わせること
ができる。
【0085】次に、冷陰極200の製造方法を工程を順
に示した断面図である図11〜図13を用いて説明す
る。ここで、図11に示す工程までは、冷陰極100の
製造方法として説明した図5〜図7に示す工程と同様で
あるので重複する説明は省略する。
【0086】図11に示す工程において、マスク用シリ
コン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のN型シ
リコン基板11上にアルミニウム(Al)層19を形成
する。このときマスク用シリコン酸化膜12上にもアル
ミニウム層19が形成されることになる。
【0087】次に図12に示す工程において、500℃
以上の温度で熱処理を行い、アルミニウムをN型シリコ
ン基板11内に熱拡散し、先の工程で形成したN型シリ
コン基板11内のP型シリコン領域15をアルミニウム
・シリコン合金領域20に変換する。従って、この部分
はPN接合の機能を失い、アルミニウム・シリコン合金
領域20と陰極22の側面表面内に形成されたP型シリ
コン領域15とは自動的に接続されことになる。なお、
アルミニウム・シリコン合金領域20はN型シリコン基
板11の表面よりも盛り上がるように形成されることに
なる。
【0088】次に図13に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のア
ルミニウム・シリコン合金領域20上にシリコン酸化膜
13、ゲート電極14となるゲート電極層141を順次
真空蒸着法で形成する。このとき、マスク用シリコン酸
化膜12上のアルミニウム層19の上にもシリコン酸化
膜13およびゲート電極層141が形成されるが、マス
ク用シリコン酸化膜12をスペーサとしてリフトオフ法
によりマスク用シリコン酸化膜12上のアルミニウム層
19、シリコン酸化膜13およびゲート電極層141を
除去することにより図9に示す冷陰極200が得られ
る。
【0089】以上説明したように、先端部を除く表面内
にPN接合16を有するコーン形状の陰極22は、構造
が簡単で製作が容易であり、PN接合16をN型シリコ
ン基板11に短絡するアルミニウム・シリコン合金領域
20も容易に形成できる。また、陰極22の形成に用い
た、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコン酸化膜1
3およびゲート電極14の形成にも転用できるので、冷
陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0090】<変形例>以上説明した第2の実施例にお
いては、P型シリコン領域15に引き続いて、N型シリ
コン基板11の表面上および表面内にアルミニウム・シ
リコン合金領域20を形成した例を示したが、金(A
u)あるいは銅(Cu)とシリコンとの合金領域を形成
しても良い。
【0091】<第3の実施例>本発明に係る冷陰極の第
3の実施例を図14〜図18を用いて説明する。図14
は本実施例の冷陰極300の構成を示す断面図である。
図14において、N型シリコン基板11の主面上にN型
シリコン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成
され、陰極22の表面内にはP型シリコン領域15が形
成され、N型シリコンとPN接合16を形成している。
ここで、P型シリコン領域15は陰極22の先端部には
形成されていない。N型シリコン基板11の表面上には
P型シリコン領域15の終端部に接続されるようにアル
ミニウム層19が形成され、アルミニウム層19は部分
的にP型シリコン領域15の表面を覆っている。
【0092】また、アルミニウム層19の上には陰極2
2を取り囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート電極
14が順に形成されて積層構造をなしている。
【0093】次に冷陰極300の動作について図15を
用いて説明する。図15は動作中の陰極22の模式図で
ある。図15において、アルミニウム層19とN型シリ
コン基板11との接合部分はPN接合16ではなく、陰
極22の表面内にのみPN接合16が形成されており、
P型シリコン領域15のN型シリコン基板11側の端部
はアルミニウム層19によってN型シリコン基板11に
短絡され抵抗が低くなっている。
【0094】従って、PN接合16の近傍に形成された
空乏層は、逆バイアス電圧の大きくなる上部ほど空乏層
の広がりは大きくなる。PN接合16から延在する空乏
層領域面17が接近し、空乏層が接触する状態、いわゆ
るパンチスルーになると、空乏層中の空間電荷で制限さ
れる電流以上は流れなくなり、陰極22に流れる電流が
飽和するという特性は、図3を用いて説明した第2の実
施例の特性Dと同様であり、通常においては電流I0が
定常的に流れているが、何らかの原因によって電流I0
を越える電流が流れる事態が発生しても、電流Ip以上
には流れず、自動的に電流が制限されることになる。よ
って、過電流により陰極22が破壊されることが防止さ
れる。
【0095】また、同一のN型シリコン基板11上に複
数の陰極22を備え、それらを並列動作させる場合、N
型シリコン基板11の表面上のは導電層であるアルミニ
ウム層19が形成されているので、N型シリコン基板1
1の抵抗がさらに低下し、かつ、N型シリコン基板11
の表面の電位が共通化されるので、陰極相互間の電位差
の発生を抑制して均一な動作を行わせることができる。
【0096】次に、冷陰極300の製造方法を工程を順
に示した断面図である図16〜図18を用いて説明す
る。ここで、図16に示す工程までは、冷陰極100の
製造方法として説明した図5〜図7に示す工程と同様で
あるので重複する説明は省略する。
【0097】図16に示す工程において、イオンエッチ
ングあるいは反応性イオンエッチング等の異方性エッチ
ング技術を用いて、マスク用シリコン酸化膜12をマス
クとしてN型シリコン基板11をエッチングし、陰極2
2の下部の裾部分およびN型シリコン基板11の表面内
のP型シリコン領域15を除去する。
【0098】次に図17に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のN
型シリコン基板11上にアルミニウム層19を形成す
る。このときアルミニウム層19がP型シリコン領域1
5の終端部に確実に接続されるように、P型シリコン領
域15の表面も部分的にアルミニウム層19で覆う。
【0099】次に図18に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のア
ルミニウム層19の上にシリコン酸化膜13、ゲート電
極14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法で形
成する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上のア
ルミニウム層19の上にもシリコン酸化膜13およびゲ
ート電極層141が形成されるが、マスク用シリコン酸
化膜12をスペーサとしてリフトオフ法によりマスク用
シリコン酸化膜12上のアルミニウム層19、シリコン
酸化膜13およびゲート電極層141を除去することに
より図14に示す冷陰極300が得られる。
【0100】以上説明したように、先端部を除く表面内
にPN接合16を有するコーン形状の陰極22は、構造
が簡単で製作が容易であり、PN接合16をN型シリコ
ン基板11に短絡するアルミニウム層19も容易に形成
できる。また、陰極22の形成に用いた、マスク用シリ
コン酸化膜12を、シリコン酸化膜13およびゲート電
極14の形成にも転用できるので、冷陰極の製造工程が
簡略化されることになる。
【0101】<第4の実施例>以上説明した本発明に係
る冷陰極の第1〜第3の実施例においては、陰極22の
表面内にP型シリコン領域15を形成する方法として、
P型不純物をイオン注入して形成する方法を用いたが、
以下に図19〜図22に示すような方法を用いても良
い。
【0102】すなわち、図19に示す工程において、N
型シリコン基板11の主面上にマスク用シリコン酸化膜
120を選択的に形成する。これはシリコン酸化膜をN
型シリコン基板11の全面に形成した後、写真製版技術
によりパターンニングしたもので、その断面幅は約1〜
2μm程度である。このマスク用シリコン酸化膜120
として、シリコンに対してN型の不純物となる、例えば
リン(P)を含むシリコン酸化膜、即ちリンドープシリ
コン酸化膜を用いる。この材料は例えば周知のものとし
てはPSG(Phospho-Silicate Glass)などがある。マ
スク用シリコン酸化膜120は、以下の工程でエッチン
グマスクおよびリフトオフのスペーサとして使用され
る。
【0103】次に図20に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜120マスクとしてN型シリコン基板1
1をエッチングしてコーン形状の陰極22を形成する。
【0104】次に図21に示す工程において、ジボラン
(B26)の高温雰囲気中で、P型不純物となるボロン
61を陰極22の表面内およびN型シリコン基板11の
表面内に拡散させて、P型シリコン領域15を形成す
る。
【0105】次に図22に示す工程において、高温の熱
処理を行うことによりマスク用シリコン酸化膜120中
のリン71を陰極22との接点を通して、陰極22中に
拡散させる。リン71の濃度をボロン61の濃度より高
くすることにより、リン71が拡散した陰極22の先端
部分はN型半導体領域となる。
【0106】従って、先端部分を除く陰極22の表面内
にP型シリコン領域15が形成されることになる。以下
の工程は第1の実施例および第2の実施例において説明
した冷陰極100〜300を得るためのそれぞれの工程
と同様である。このように、高価なイオン注入装置を必
要とするイオン注入法を用いることなく、比較的安価な
拡散炉を用いることによっても本発明に係る冷陰極を得
ることができ、冷陰極の製造コストを低減することがで
きる。
【0107】<第5の実施例>本発明に係る冷陰極の第
5の実施例を図23〜図26を用いて説明する。図23
は本実施例の冷陰極400の構成を示す断面図である。
図23において、N型シリコン基板11の主面上にN型
シリコン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成
され、陰極22の表面上にはショットキー金属層31が
形成され、N型シリコンとのショットキー接合26を形
成している。ここで、ショットキー金属層31は陰極2
2の先端部の表面上には形成されていない。
【0108】また、ショットキー金属層31の上には陰
極22を取り囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート
電極14が順に形成されて積層構造をなしている。
【0109】次に冷陰極400の動作について図24を
用いて説明する。図24は動作中の陰極22の模式図で
ある。図24において、陰極22の表面上に形成された
ショットキー金属層31とN型シリコンとで、電流の流
れる方向に対して逆バイアスになるようなショットキー
接合26が形成されている。そのショットキー接合26
の近傍にはいわゆる空乏層ができており、その端面を空
乏層領域面27として示す。空乏層内には電荷が存在し
ないので電流が流れることはできず、空乏層外のみを電
流が流れることになる。ここで、電流通過可能領域のう
ち、空乏層が最も接近して、最も狭くなった部分をチャ
ネル18と呼称する。
【0110】この場合、陰極22の内部の抵抗は、チャ
ンネル18の面積とN型シリコン基板11の固有抵抗で
決まることになるが、当然のことながらチャンネル18
の面積は陰極22の平均的な面積より小さくなるので、
抵抗値はショットキー接合26を有しない場合に比べて
大きくなる、従って陰極22の先端部と基底部との間の
V−I特性は図3に示す特性Bと同様となる。
【0111】また、印加電圧V0は、陰極22の先端部
と基底部との間の電圧V2と、印加電圧V0からゲート電
極14と陰極22の先端部との間の電圧V1を差し引い
た残りの電圧とが等しくなるように、すなわち電圧V1
と電圧V2との合計が印加電圧V0となるように配分さ
れ、そのときの電流はI0に抑えられることになる。
【0112】図3において、このような電圧配分となる
点を図示すると、特性BにおいてはポイントP1、特性
AにおいてはポイントP2となり、印加電圧V0における
仮想点はポイントP3となり、電圧0における仮想点は
ポイントP0となる。この場合、P0−P1間の電圧とP2
−P3間の電圧が等しく、ポイントP0の電流値がI0と
なっていることが図示されている。
【0113】以上説明したように、表面内部にショット
キー接合26を備えることで、冷陰極100と同様に陰
極22単体で独立して電流を制御することができる。こ
こで、陰極22の抵抗値はチャンネル18の面積によっ
て決まり、チャンネル18の面積は空乏層の大きさによ
って決まる。従って、後に説明するショットキー金属層
を形成する際の条件により、陰極22の抵抗値を自由に
設定することができる。なお、空乏層が接触してチャン
ネルが存在しない状態すなわちピンチオフの状態の場合
が最も抵抗値が大きくなることも冷陰極100と同様で
ある。
【0114】また、同一のN型シリコン基板11上に複
数の陰極22を備え、それらを並列動作させる場合、N
型シリコン基板11の表面上にはショットキー金属層3
1が形成されているので、N型シリコン基板11の抵抗
が下がり、かつ、N型シリコン基板11の表面の電位が
共通化されるので、陰極相互間の電位差の発生を抑制し
て均一な動作を行わせることができることも冷陰極20
0および冷陰極300と同様である。
【0115】なお、N型シリコンとショットキー接合2
6を形成するショットキー金属層31の材質としてはA
l、Mo、Nbなどを使用することができる。また、シ
リコン以外の半導体基板とショットキー接合を形成する
金属についても「LSIハンドブック」(電子通信学会
編,オーム社刊,昭和59年11月発行)第51頁に詳
しく記載されているので、例示は省略する。
【0116】次に、冷陰極400の製造方法を工程を順
に示した断面図である図25および図26を用いて説明
する。ここで、図25に示す工程までは、冷陰極100
の製造方法として説明した図5および図6に示す工程と
同様であるので重複する説明は省略する。
【0117】図25に示す工程において、マスク用シリ
コン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のN型シ
リコン基板11上および陰極22の表面上に、例えばア
ルミニウムでショットキー金属層31を形成する。この
とき陰極22の先端部分にはショットキー金属層31が
形成されないようにする。ショットキー金属層31の形
成方法は、真空蒸着法により、N型シリコン基板11を
回転させつつ、斜め方向から例えばアルミニウムを蒸着
させる。これによりマスク用シリコン酸化膜12の影に
なる部分にはアルミニウムが蒸着しないので、図25に
示すように陰極22の先端部分にはショットキー金属層
31が形成されることはない。なお、チャネル18の面
積はショットキー接合26を形成するショットキー金属
層31の形成位置を変えることにより、任意に変えるこ
とができ、それに伴って陰極22の抵抗値を変えること
ができる。
【0118】次に図26に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のシ
ョットキー金属層31の上にシリコン酸化膜13、ゲー
ト電極14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法
で形成する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上
のショットキー金属層31の上にもシリコン酸化膜13
およびゲート電極層141が形成されるが、マスク用シ
リコン酸化膜12をスペーサとしてリフトオフ法により
マスク用シリコン酸化膜12上のショットキー金属層3
1、シリコン酸化膜13およびゲート電極層141を除
去することにより図23に示す冷陰極400が得られ
る。
【0119】以上説明したように、先端部を除く表面上
にショットキー接合26を有するコーン形状の陰極22
は、構造が簡単で製作が容易であり、また、陰極22の
形成に用いた、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコ
ン酸化膜13およびゲート電極14の形成にも転用でき
るので、冷陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0120】<第6の実施例>本発明に係る冷陰極の第
6の実施例を図27〜図31を用いて説明する。図27
は本実施例の冷陰極500の構成を示す断面図である。
図27において、N型シリコン基板11の主面上にN型
シリコン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成
されている。陰極22の周囲のN型シリコン基板11の
表面内には、N型不純物の濃度が高いN+領域21が形
成され、N+領域21上および先端部分を除く陰極22
の表面上にはショットキー金属層31が形成されてい
る。
【0121】また、ショットキー金属層31の上には陰
極22を取り囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート
電極14が順に形成されて積層構造をなしている。
【0122】次に冷陰極500の動作について図28を
用いて説明する。図28は動作中の陰極22の模式図で
ある。図28において、ショットキー金属層31とN+
領域21との接触面はショットキー接合とはならず、オ
ーミック接触となる。このことは前出の「LSIハンド
ブック」の第52頁に記載されているので詳細な説明は
省略する。従って、陰極22の表面上に形成されたショ
ットキー金属層31とN型シリコンとで、電流の流れる
方向に対して逆バイアスになるようなショットキー接合
26が形成され、空乏層は陰極22内部のみに形成さ
れ、陰極22の下部はオーミック接触によりN型シリコ
ン基板11に短絡されることになる。この場合、電流が
流れることにより生じる陰極22上部と下部の電位差は
ショットキー接合26に逆バイアスとして印加されるこ
とになり、逆バイアスの大きくなる上部ほど空乏層の広
がりは大きくなる。
【0123】左右のショットキー接合26から延在する
空乏層領域面27が接近し、やがて、空乏層が接触する
状態、いわゆるパンチスルーになると、空乏層中の空間
電荷で制限される電流以上は流れなくなり、陰極22に
流れる電流は飽和してしまう。
【0124】この状態でのV−I特性は図3に示す特性
Dと同様であり、陰極22には空間電荷制限電流である
Ip以上の電流は流れず、何らかの原因によって電流I0
を越える電流が流れる事態が発生しても、電流Ip以上
には流れず、自動的に電流が制限されることは第2およ
び第3の実施例で説明した冷陰極200および冷陰極3
00と同様である。
【0125】次に、冷陰極500の製造方法を工程を順
に示した断面図である図29〜図31を用いて説明す
る。ここで、図29に示す工程までは、冷陰極100の
製造方法として説明した図5および図6に示す工程と同
様であるので重複する説明は省略する。
【0126】図29に示す工程において、イオン注入法
によりN型シリコン基板11の表面内にN型不純物、例
えばリンイオン70を垂直上方から注入する。この場
合、マスク用シリコン酸化膜12の影になる部分、すな
わち陰極22にはリンイオン70が注入されず、陰極2
2を除くN型シリコン基板11の表面内にのみN+領域
21が形成されることになる。
【0127】次に、図30に示す工程において、マスク
用シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲の
+領域21上および陰極22の表面上に、例えばアル
ミニウムでショットキー金属層31を形成する。このと
き陰極22の先端部分にはショットキー金属層31が形
成されないようにする。ショットキー金属層31の形成
方法として、真空蒸着法により、N型シリコン基板11
を回転させつつ、斜め方向から蒸着する。これによりマ
スク用シリコン酸化膜12の影になる部分にはアルミニ
ウムが蒸着されないので、図30に示すように陰極22
の先端部分にはショットキー金属層31が形成されるこ
とはない。
【0128】次に図31に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のシ
ョットキー金属層31の上にシリコン酸化膜13、ゲー
ト電極14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法
で形成する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上
のショットキー金属層31の上にもシリコン酸化膜13
およびゲート電極層141が形成されるが、マスク用シ
リコン酸化膜12をスペーサとしてリフトオフ法により
マスク用シリコン酸化膜12上のショットキー金属層3
1、シリコン酸化膜13およびゲート電極層141を除
去することにより図23に示す冷陰極500が得られ
る。
【0129】以上説明したように、先端部を除く表面上
にショットキー接合26を有するコーン形状の陰極22
は、構造が簡単で製作が容易であり、N型シリコン基板
11上のショットキー接合26を短絡させるN+領域2
1の形成も容易である。また、陰極22の形成に用い
た、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコン酸化膜1
3およびゲート電極14の形成にも転用できるので、冷
陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0130】<第7の実施例>本発明に係る冷陰極の第
7の実施例を図32〜図36を用いて説明する。図32
は本実施例の冷陰極600の構成を示す断面図である。
図32において、N型シリコン基板11の主面上にN型
シリコン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成
されている。陰極22の周囲のN型シリコン基板11の
表面上には、オーミック電極金属層41が形成され、先
端部分を除く陰極22の側面表面上からオーミック電極
金属層41の表面上にかけてショットキー金属層31が
形成されている。
【0131】また、ショットキー金属層31の上には陰
極22を取り囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート
電極14が順に形成されて積層構造をなしている。
【0132】次に冷陰極600の動作について図33を
用いて説明する。図33は動作中の陰極22の模式図で
ある。オーミック電極金属層41の材質としてシリコン
との界面に再結合中心を形成する金属、例えば金(A
u)、銅(Cu)などを用いることにより、オーミック
電極金属層41とN型シリコン基板11との接触面は、
前出の「LSIハンドブック」の第53頁に示されるよ
うにオーミック接触となる。
【0133】従って、陰極22の表面上に形成されたシ
ョットキー金属層31とN型シリコンとで、電流の流れ
る方向に対して逆バイアスになるようなショットキー接
合26が形成され、空乏層は陰極22内部のみに形成さ
れ、陰極22の下部はオーミック接触によりN型シリコ
ン基板11に短絡されることになる。この場合、電流が
流れることにより生じる陰極22上部と下部の電位差は
ショットキー接合26に逆バイアスとして印加されるこ
とになり、逆バイアスの大きくなる上部ほど空乏層の広
がりは大きくなり、チャネル18は狭くなる。
【0134】左右のショットキー接合26から延在する
空乏層領域面27が接近し、やがて、空乏層が接触する
状態、いわゆるパンチスルーになると、空乏層中の空間
電荷で制限される電流以上は流れなくなり、陰極22に
流れる電流は飽和してしまう。
【0135】この状態でのV−I特性は図3に示す特性
Dと同様であり、陰極22には空間電荷制限電流である
Ip以上の電流は流れず、何らかの原因によって電流I0
を越える電流が流れる事態が発生しても、電流Ip以上
には流れず、自動的に電流が制限されることは第2およ
び第3の実施例で説明した冷陰極200および冷陰極3
00と同様である。
【0136】次に、冷陰極600の製造方法を工程を順
に示した断面図である図34〜図36を用いて説明す
る。ここで、図34に示す工程までは、冷陰極100の
製造方法として説明した図5および図6に示す工程と同
様であるので重複する説明は省略する。
【0137】図34に示す工程において、マスク用シリ
コン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のN型シ
リコン基板11上に、例えば金でオーミック電極金属層
41を形成する。このとき、オーミック電極金属層41
は陰極22の側面表面には形成されないようにする。
【0138】次に、図35に示す工程において、マスク
用シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲の
オーミック電極金属層41上、および陰極22の表面上
に、例えばアルミニウムでショットキー金属層31を形
成する。このとき陰極22の先端部分にはショットキー
金属層31が形成されないようにする。ショットキー金
属層31の形成方法として、真空蒸着法により、N型シ
リコン基板11を回転させつつ、斜め方向から蒸着する
ことによりマスク用シリコン酸化膜12の影になる部分
には蒸着されないので、図30に示すように陰極22の
先端部分にはショットキー金属層31が形成されること
はない。
【0139】次に図36に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のシ
ョットキー金属層31の上にシリコン酸化膜13、ゲー
ト電極14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法
で形成する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上
には、再結合層41、ショットキー金属層31、シリコ
ン酸化膜13、ゲート電極層141が順次積層される
が、マスク用シリコン酸化膜12をスペーサとしてリフ
トオフすることにより、マスク用シリコン酸化膜12と
共にそれらの層は除去され、図32に示す冷陰極600
が得られる。
【0140】以上説明したように、先端部を除く表面上
にショットキー接合26を有するコーン形状の陰極22
は、構造が簡単で製作が容易であり、N型シリコン基板
11上のショットキー接合26を短絡させるオーミック
電極金属層41の形成も容易である。また、陰極22の
形成に用いた、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコ
ン酸化膜13およびゲート電極14の形成にも転用でき
るので、冷陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0141】<第8の実施例>本発明に係る冷陰極の第
8の実施例を図37〜図41を用いて説明する。図37
は本実施例の冷陰極700の構成を示す断面図である。
図37において、N型シリコン基板11の主面上にN型
シリコン基板11と一体でコーン形状の陰極22が形成
されている。陰極22の周囲のN型シリコン基板11の
表面内には、N型シリコン基板11が変質して格子欠陥
を有する層となった格子欠陥領域51が形成され、先端
部分を除く陰極22の側面表面上から格子欠陥層51の
表面上にかけてショットキー金属層31が形成されてい
る。
【0142】また、ショットキー金属層31の上には陰
極22を取り囲むように、シリコン酸化膜13、ゲート
電極14が順に形成されて積層構造をなしている。
【0143】次に冷陰極700の動作について図38を
用いて説明する。図38は動作中の陰極22の模式図で
ある。図38において格子欠陥領域51の格子欠陥は再
結合中心として作用し、図32に示した第7の実施例の
オーミック電極金属層41と同様に、ショットキー金属
層31をN型シリコン基板11にオーミック接触で短絡
させる。
【0144】従って、陰極22の表面上に形成されたシ
ョットキー金属層31とN型シリコンとで、電流の流れ
る方向に対して逆バイアスになるようなショットキー接
合26が形成されるのみとなり、空乏層は陰極22内部
のみに形成されることになる。この場合、電流が流れる
ことにより生じる陰極22上部と下部の電位差はショッ
トキー接合26に逆バイアスとして印加されることにな
り、逆バイアスの大きくなる上部ほど空乏層の広がりは
大きくなる。
【0145】左右のショットキー接合26から延在する
空乏層領域面27が接近し、空乏層が接触する状態、い
わゆるパンチスルーになると、空乏層中の空間電荷で制
限される電流以上は流れなくなり、陰極22に流れる電
流は飽和してしまう。
【0146】この状態でのV−I特性は図3に示す特性
Dと同様であり、陰極22には空間電荷制限電流である
Ip以上の電流は流れず、何らかの原因によって電流I0
を越える電流が流れる事態が発生しても、電流Ip以上
には流れず、自動的に電流が制限されることは第2およ
び第3の実施例で説明した冷陰極200および冷陰極3
00と同様である。
【0147】次に、冷陰極700の製造方法を工程を順
に示した断面図である図39〜図41を用いて説明す
る。ここで、図39に示す工程までは、冷陰極100の
製造方法として説明した図5および図6に示す工程と同
様であるので重複する説明は省略する。
【0148】図39に示す工程において、マスク用シリ
コン酸化膜12をマスクとしてイオン注入法によりN型
シリコン基板11の表面内に、例えばアルゴン(Ar)
イオン80のような不活性ガスのイオンを垂直上方から
注入する。この場合、マスク用シリコン酸化膜12の影
になる部分、すなわち陰極22にはアルゴンイオン80
が注入されず、陰極22を除くN型シリコン基板11の
表面内にのみアルゴンイオン80が注入され、その部分
の結晶格子が破壊されて格子欠陥を有する格子欠陥領域
51が形成されることになる。
【0149】次に、図40に示す工程において、マスク
用シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲の
格子欠陥領域51上および陰極22の表面上に、例えば
アルミニウムでショットキー金属層31を形成する。こ
のとき陰極22の先端部分にはショットキー金属層31
が形成されないようにする。ショットキー金属層31の
形成方法として、真空蒸着法により、N型シリコン基板
11を回転させつつ、斜め方向から蒸着することにより
マスク用シリコン酸化膜12の影になる部分には蒸着さ
れないので、図40に示すように陰極22の先端部分に
はショットキー金属層31が形成されることはない。
【0150】次に図41に示す工程において、マスク用
シリコン酸化膜12をマスクとして陰極22の周囲のシ
ョットキー金属層31の上にシリコン酸化膜13、ゲー
ト電極14となるゲート電極層141を順次真空蒸着法
で形成する。このとき、マスク用シリコン酸化膜12上
のショットキー金属層31の上にもシリコン酸化膜13
およびゲート電極層141が形成されるが、マスク用シ
リコン酸化膜12をスペーサとしてリフトオフ法により
マスク用シリコン酸化膜12上の、ショットキー金属層
31、シリコン酸化膜13およびゲート電極層141を
除去することにより図37に示す冷陰極700が得られ
る。
【0151】以上説明したように、先端部を除く表面上
にショットキー接合26を有するコーン形状の陰極22
は、構造が簡単で製作が容易であり、N型シリコン基板
11上のショットキー接合26を短絡させる格子欠陥領
域51の形成も容易である。また、陰極22の形成に用
いた、マスク用シリコン酸化膜12を、シリコン酸化膜
13およびゲート電極14の形成にも転用できるので、
冷陰極の製造工程が簡略化されることになる。
【0152】なお、上述した製造方法ではアルゴンイオ
ンを用いて格子欠陥層51を形成した例を示したが、例
えば、クリプトン(Kr)イオンあるいはキセノン(X
e)イオンを用いても良い。
【0153】
【発明の効果】請求項1記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、陰極に流れる電流はPN接合の近傍に形成される
チャネル領域を流れることになり、電流量はチャネルの
面積により決まる抵抗で制御されることになるので、陰
極単体で独立して制御性良く電流を制限でき、かつ、構
造が簡単で製作容易な冷陰極を得ることができる。
【0154】請求項2記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、絶縁層と陰極との間に電界を形成し、陰極の鋭角な
先端から電子を放出させる従来から多用されている構成
の冷陰極が得られるので、従来の冷陰極との互換性に優
れた冷陰極を得ることができる。
【0155】請求項3記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極に流れる電流はPN接合の近傍に形成されるチ
ャネル領域を流れることになり、電流量はチャネルの面
積により決まる抵抗で制御されるとともに、過電流が流
れることを自動的に防止できるので、過電流による陰極
の破損を防止した冷陰極が得られる。
【0156】請求項4記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、導電層の形成が比較的容易であり、PN接合が半導
体基板に部分的に短絡されると共に半導体基板表面の抵
抗が下がることになる。
【0157】請求項5記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、半導体基板表面の抵抗がさらに低くなるので、半導
体基板上に複数の陰極を形成して並列動作をさせる場合
に、半導体基板表面の電位が共通化され、個々の陰極間
の電位差を低減して、複数の陰極に対して均一な動作を
させることが可能な冷陰極を得ることができる。
【0158】請求項6記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、絶縁層と陰極との間に電界を形成し、陰極の鋭角な
先端から電子を放出させる従来から多用されている構成
の冷陰極が得られるので、従来の冷陰極との互換性に優
れた冷陰極を得ることができる。
【0159】請求項7記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、PN接合は動作時には電流の流れる方向に対して逆
バイアスされるので、請求項1および請求項3記載の冷
陰極の実現に適した構成が得られる。
【0160】請求項8記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極に流れる電流は、ショットキー接合の近傍に形
成されるチャネル領域を流れることになり、電流量がチ
ャネルの面積により決まる抵抗で制御されることになる
ので、陰極単体で独立して制御性良く電流を制限でき、
かつ、構造が簡単で製作容易な冷陰極を得ることができ
る。
【0161】請求項9記載の本発明に係る冷陰極によれ
ば、陰極に流れる電流がチャネルの面積により決まる抵
抗で制御されるとともに、過電流が流れることを自動的
に防止できるので、過電流による陰極の破損を防止した
冷陰極が得られる。
【0162】請求項10記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、陰極と金属層の接合面のみがショットキー接合と
なるので、陰極に流れる電流がチャネルの面積により決
まる抵抗で制御されるとともに、過電流が流れることを
自動的に防止できるので、過電流による陰極の破損を防
止した冷陰極が得られる。
【0163】請求項11記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、陰極と金属層の接合面のみがショットキー接合と
なるので、陰極に流れる電流がチャネルの面積により決
まる抵抗で制御されるとともに、過電流が流れることを
自動的に防止できるので、過電流による陰極の破損を防
止した冷陰極が得られる。
【0164】請求項12記載の本発明に係る冷陰極によ
れば、絶縁層と陰極との間に電界を形成し、陰極の鋭角
な先端から電子を放出させる従来から多用されている構
成の冷陰極が得られるので、従来の冷陰極との互換性に
優れた冷陰極を得ることができる。
【0165】請求項13記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して第1導電型の半
導体基板と一体で形成され、その先端部を除いて、表面
から内部にかけて第2導電型の半導体領域を備え、その
接合面がPN接合となっている陰極を有した冷陰極が容
易に得られる。
【0166】請求項14記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【0167】請求項15記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して第1導電型の半
導体基板と一体で形成され、その先端部を除いて、表面
から内部にかけて設けられた第2導電型の半導体領域と
の接合面がPN接合となっている陰極を有し、冷陰極の
周囲の半導体基板上に、その端部が陰極の基板側端部に
接触するように設けられた導電層を備えた冷陰極が容易
に得られる。
【0168】請求項16記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、陰極の先端部を除いて、表面から内部
にかけて容易に第2導電型の不純物を導入するこができ
るので、製造工程を簡略化できる。
【0169】請求項17記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、陰極の先端部を除いて、表面から内部
にかけて第2導電型の不純物が導入された構成が、熱拡
散法を用いて形成されるので、製造コストが安価にな
る。
【0170】請求項18記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、半導体領域の上に形成した合金用金属
層を熱拡散法により半導体領域内に拡散して、半導体基
板との合金層を形成することで、陰極の基板側端部に接
触するように設けられた導電層を備えた冷陰極が容易に
得られる。
【0171】請求項19記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層をエッチングマスクとして、
半導体基板の表面から内部にかけての半導体領域をエッ
チングにより除去し、その領域に金属層を形成すこと
で、陰極の基板側端部に接触するように設けられた導電
層を備えた冷陰極が容易に得られる。
【0172】請求項20記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【0173】請求項21記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、鋭角な先端部を有して半導体基板と一
体で形成された陰極の先端部を除く表面上、および半導
体基板の表面上に、少なくとも陰極の表面との接合面が
ショットキー接合となる金属層を有した冷陰極が容易に
得られる。
【0174】請求項22記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、半導体基板の表面から内部にかけて
較的高濃度の半導体領域を容易に形成することができる
ので、製造工程を簡略化できる。
【0175】請求項23記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、半導体基板
の表面上に、半導体基板との界面にオーミック接触を形
成する金属でオーミック電極金属層を形成することによ
り、半導体基板との界面がショットキー接合とならず、
陰極と金属層の接合面のみがショットキー接合となった
冷陰極が得られる。
【0176】請求項24記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、マスク層を遮蔽体として、イオン注入
法により前記半導体基板の表面から内部にかけて不活性
ガスのイオンを導入し、結晶格子が乱れた格子欠陥領域
を形成することにより、半導体基板との界面がショット
キー接合とならず、陰極と金属層の接合面のみがショッ
トキー接合となった冷陰極が得られる。
【0177】請求項25記載の本発明に係る冷陰極の製
造方法によれば、工程(b)で用いたマスク層を、絶縁層
および電極層の形成に際して使用し、マスク層を除去す
ることで、マスク層の上に形成された、絶縁層および電
極層が共に除去され、陰極の周囲に絶縁層、電極層が順
に積層された構成が容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の構成を
示す図である。
【図2】 本発明に係る冷陰極の接続構成を示す図であ
る。
【図3】 本発明に係る冷陰極の動作特性を示す図であ
る。
【図4】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の動作状
態を示す模式図である。
【図5】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の製造工
程を示す図である。
【図6】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の製造工
程を示す図である。
【図7】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の製造工
程を示す図である。
【図8】 本発明に係る冷陰極の第1の実施例の製造工
程を示す図である。
【図9】 本発明に係る冷陰極の第2の実施例の構成を
示す図である。
【図10】 本発明に係る冷陰極の第2の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図11】 本発明に係る冷陰極の第2の実施例の製造
工程を示す図である。
【図12】 本発明に係る冷陰極の第2の実施例の製造
工程を示す図である。
【図13】 本発明に係る冷陰極の第2の実施例の製造
工程を示す図である。
【図14】 本発明に係る冷陰極の第3の実施例の構成
を示す図である。
【図15】 本発明に係る冷陰極の第3の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図16】 本発明に係る冷陰極の第3の実施例の製造
工程を示す図である。
【図17】 本発明に係る冷陰極の第3の実施例の製造
工程を示す図である。
【図18】 本発明に係る冷陰極の第3の実施例の製造
工程を示す図である。
【図19】 本発明に係る冷陰極の第4の実施例の製造
工程を示す図である。
【図20】 本発明に係る冷陰極の第4の実施例の製造
工程を示す図である。
【図21】 本発明に係る冷陰極の第4の実施例の製造
工程を示す図である。
【図22】 本発明に係る冷陰極の第4の実施例の製造
工程を示す図である。
【図23】 本発明に係る冷陰極の第5の実施例の構成
を示す図である。
【図24】 本発明に係る冷陰極の第5の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図25】 本発明に係る冷陰極の第5の実施例の製造
工程を示す図である。
【図26】 本発明に係る冷陰極の第5の実施例の製造
工程を示す図である。
【図27】 本発明に係る冷陰極の第6の実施例の構成
を示す図である。
【図28】 本発明に係る冷陰極の第6の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図29】 本発明に係る冷陰極の第6の実施例の製造
工程を示す図である。
【図30】 本発明に係る冷陰極の第6の実施例の製造
工程を示す図である。
【図31】 本発明に係る冷陰極の第6の実施例の製造
工程を示す図である。
【図32】 本発明に係る冷陰極の第7の実施例の構成
を示す図である。
【図33】 本発明に係る冷陰極の第7の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図34】 本発明に係る冷陰極の第7の実施例の製造
工程を示す図である。
【図35】 本発明に係る冷陰極の第7の実施例の製造
工程を示す図である。
【図36】 本発明に係る冷陰極の第7の実施例の製造
工程を示す図である。
【図37】 本発明に係る冷陰極の第8の実施例の構成
を示す図である。
【図38】 本発明に係る冷陰極の第8の実施例の動作
状態を示す模式図である。
【図39】 本発明に係る冷陰極の第8の実施例の製造
工程を示す図である。
【図40】 本発明に係る冷陰極の第8の実施例の製造
工程を示す図である。
【図41】 本発明に係る冷陰極の第8の実施例の製造
工程を示す図である。
【図42】 従来の冷陰極の構成を示す断面図である。
【図43】 従来の冷陰極の構成を示す断面図である。
【図44】 従来の冷陰極の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
11 N型シリコン基板、12,120 マスク用シリ
コン酸化膜、13 シリコン酸化膜、15 P型シリコ
ン領域、16 PN接合、17、27 空乏層領域面、
19 アルミニウム層、20 アルミニウム・シリコン
合金領域、21N+領域、22 陰極、26 ショット
キー接合、31 ショットキー金属層、41 オーミッ
ク電極金属層、51 格子欠陥領域、60 ボロンイオ
ン、61 ボロン、70 リンイオン、71 リン、8
0 アルゴンイオン、141ゲート電極層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 9/02

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型の半導体基板と一体で形成さ
    れ、鋭角な先端部を有する陰極を備えた冷陰極におい
    て、 前記陰極は前記先端部を除いて、表面から内部にかけて
    第2導電型の半導体領域を備え、その接合面がPN接合
    となっていることを特徴とする冷陰極。
  2. 【請求項2】 前記半導体基板上に前記陰極を取り囲む
    ように形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された
    電極層とをさらに備える請求項1記載の冷陰極。
  3. 【請求項3】 第1導電型の半導体基板と一体で形成さ
    れ、鋭角な先端部を有する陰極を備えた冷陰極におい
    て、 前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部にかけ
    、その接合面がPN接合となる第2導電型の半導体領
    域を備え、前記陰極の周囲の前記半導体基板上に設けられ、その端
    部が前記陰極の基板側端部に接触する 導電層を備える冷
    陰極。
  4. 【請求項4】 前記導電層は前記半導体基板の基板材と
    金属との合金層である請求項3記載の冷陰極。
  5. 【請求項5】 前記導電層は金属層である請求項3記載
    の冷陰極。
  6. 【請求項6】 前記導電層上に、前記陰極を取り囲むよ
    うに形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された電
    極層とをさらに備える請求項3記載の冷陰極。
  7. 【請求項7】 前記第1導電型がN型であり、前記第2
    導電型がP型である請求項1または3記載の冷陰極。
  8. 【請求項8】 半導体基板と一体で形成され、鋭角な先
    端部を有する陰極を備えた冷陰極において、 前記陰極は前記先端部を除く表面上および前記半導体基
    板の表面上に金属層を備え、少なくとも前記陰極の前記
    表面との接合面がショットキー接合となっていることを
    特徴とする冷陰極。
  9. 【請求項9】 前記半導体基板の表面から内部にかけ
    、前記半導体基板と同一の導電型で比較的高濃度の半
    導体領域をさらに備える請求項8記載の冷陰極。
  10. 【請求項10】 前記金属層と前記半導体基板の表面と
    の間に、前記半導体基板との界面にオーミック接触を形
    成する金属で構成されたオーミック電極金属層をさらに
    備える請求項8記載の冷陰極。
  11. 【請求項11】 前記半導体基板の表面から内部にかけ
    、結晶格子が乱れた格子欠陥領域をさらに備える請求
    項8記載の冷陰極。
  12. 【請求項12】 前記金属層上に前記陰極を取り囲むよ
    うに形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された電
    極層とをさらに備える請求項8〜請求項11のいずれか
    に記載の冷陰極。
  13. 【請求項13】 (a)第1導電型の半導体基板の主面上
    に選択的にマスク層を形成する工程と、 (b)前記マスク層をエッチングマスクとして、前記半導
    体基板を選択的にエッチングして、前記マスク層の下
    に、前記半導体基板と一体となった鋭角な先端部を有す
    る陰極を形成する工程と、 (c)前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部にか
    けて、第2導電型の不純物を導入して第2導電型の半導
    体領域を形成する工程とを備える冷陰極の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記工程(c)の後に、 (d)全面に絶縁層を形成する工程と、 (e)前記絶縁層上に電極層を形成する工程と、 (f)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク層と
    共に除去する工程とをさらに備える請求項13記載の冷
    陰極の製造方法。
  15. 【請求項15】 (a)第1導電型の半導体基板の主面上
    に選択的にマスク層を形成する工程と、 (b)前記マスク層をエッチングマスクとして、前記半導
    体基板を選択的にエッチングして、前記マスク層の下
    に、前記半導体基板と一体となった鋭角な先端部を有す
    る陰極を形成する工程と、 (c)前記陰極の前記先端部を除いて、表面から内部にか
    けて、第2導電型の不純物を導入して第2導電型の半導
    体領域を形成する工程と、 (d)前記陰極の周囲の前記半導体基板上に、その端部が
    前記陰極の基板側端部に接触するように導電層を形成す
    る工程とを備える冷陰極の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記工程(c)は、(c-1)前記マスク層を
    遮蔽体として、前記陰極の前記先端部を除いて、表面か
    ら内部にかけてイオン注入法により前記第2導電型の不
    純物を導入する工程を有する請求項12または請求項1
    5記載の冷陰極の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記工程(a)は、 (a-1)前記マスク層を第1導電型の不純物を含む材料で
    形成する工程を有し、前記工程(c)は、 (c-2)前記陰極の全表面から内部にかけて熱拡散法によ
    り前記第2導電型の不純物を導入する工程と、 (c-3)前記マスク層に含まれた第1導電型の不純物を熱
    拡散法により前記陰極の前記先端部に導入して、前記先
    端部表面を第1導電型に置換する工程とを有する請求項
    13または請求項15記載の冷陰極の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記工程(d)は、 (d-1)前記半導体基板と合金を形成する合金用金属層を
    前記半導体領域の上に形成する工程と、 (d-2)前記合金用金属層を熱拡散により前記半導体領域
    内に拡散して前記半導体基板との合金層を形成する工程
    とを有する請求項15記載の冷陰極の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記工程(d)は、 (d-3)前記マスク層をエッチングマスクとして、前記陰
    極の周囲の前記半導体基板の表面から内部にかけての前
    記半導体領域をエッチングにより除去する工程と、 (d-4)前記工程(d-3)により除去された領域と、前記陰極
    の基板側端部の領域に金属層を形成する工程とを有する
    請求項15記載の冷陰極の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記工程(d)の後に、 (e)全面に絶縁層を形成する工程と、 (f)前記絶縁層上に電極層を形成する工程と、 (g)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク層と
    共に除去する工程とをさらに備える請求項15記載の冷
    陰極の製造方法。
  21. 【請求項21】 (a)半導体基板の主面上に選択的にマ
    スク層を形成する工程と、 (b)前記マスク層をエッチングマスクとして、前記半導
    体基板を選択的にエッチングして、前記マスク層の下
    に、前記半導体基板と一体となった鋭角な先端部を有す
    る陰極を形成する工程と、 (c)前記陰極の前記先端部を除く表面上および前記半導
    体基板の表面上に、少なくとも前記陰極の前記表面との
    接合面がショットキー接合となる金属層を形成する工程
    とを備える冷陰極の製造方法。
  22. 【請求項22】 (d)前記マスク層を遮蔽体として、イ
    オン注入法により前記半導体基板の表面から内部にかけ
    前記半導体基板と同一の導電型の不純物を導入し、比
    較的高濃度の半導体領域を形成する工程をさらに備える
    請求項21記載の冷陰極の製造方法。
  23. 【請求項23】 (e)前記マスク層を遮蔽体として、前
    記半導体基板の表面上に、前記半導体基板との界面にオ
    ーミック接触を形成する金属でオーミック電極金属層を
    形成する工程をさらに備える請求項21記載の冷陰極の
    製造方法。
  24. 【請求項24】 (f)前記マスク層を遮蔽体として、イ
    オン注入法により前記半導体基板の表面から内部にかけ
    不活性ガスのイオンを導入し、結晶格子が乱れた格子
    欠陥領域を形成する工程をさらに備える請求項21記載
    の冷陰極の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記工程(c)の後に、 (g)全面に絶縁層を形成する工程と、 (h)前記絶縁層上に電極層を形成する工程と、 (i)前記マスク層上に積層された層を、前記マスク層と
    共に除去する工程とをさらに備える請求項21記載の冷
    陰極の製造方法。
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