JP3482560B2 - 加圧水型原子炉の燃料運用方法及び加圧水型原子炉炉心 - Google Patents

加圧水型原子炉の燃料運用方法及び加圧水型原子炉炉心

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JP3482560B2 JP2001089538A JP2001089538A JP3482560B2 JP 3482560 B2 JP3482560 B2 JP 3482560B2 JP 2001089538 A JP2001089538 A JP 2001089538A JP 2001089538 A JP2001089538 A JP 2001089538A JP 3482560 B2 JP3482560 B2 JP 3482560B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加圧水型原子炉用燃
料の運用方法及び加圧水型原子炉炉心に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の加圧水型原子炉(以下、「PW
R」と記す)用燃料の運用法について、以下に述べる。
【0003】1)燃料運用について、 燃料運用とは、PWRの使用燃料の選定およびその装荷
パターンを決定することであり、a.先3サイクル程度
を対象とした詳細検討、b.先10サイクル程度を対象
とした簡略検討がある。
【0004】使用燃料の選定とは、PWRの前サイクル
終了時に新サイクル(当該サイクル)の構成燃料を決定
することであり、除却(取り出し)燃料、継続使用燃
料、一時保管燃料、新燃料などの体数を決定することで
ある。また、装荷パターンとは、選択した燃料の炉内配
置のことである。
【0005】装荷パターンによってその炉心の安全性、
経済性は決定される。炉心内には120〜200体程度
の燃料が装荷される。具体的には、2ループ炉心では1
21体、3ループ炉心では157体、4ループ炉心では
193体の燃料が装荷される。従って、装荷位置の組み
合わせは天文学的数値になり、優れたパターンを作成す
るには、高度の知識・熟練と検討時間を要する。
【0006】2)従来の検討法 従来の使用燃料の選択法と装荷パターン検討手順を以下
に述べる。 2-1)新燃料体数の決定 PWRでは炉心の1/4対称性保持のため、新燃料は通
常4体単位で増減させる。新燃料4体で、炉心の大きさ
や取り出し燃料によっても異なるが、概ね60〜80p
pm臨界ボロン濃度(PWRでは1次冷却材中にホウ素
10(10B)を混入しているが、炉心が臨界となるボ
ロン濃度のこと。サイクル初期は高い。)が変動する。
炉心のサイクル長(運転期間)は予め発電計画にて決め
られているため、そのサイクル長(運転期間)を満足す
るように、即ち、サイクル末期まで原子炉を全出力にて
運転できるだけの炉心反応度を得られるように、新燃料
体数を決定する。
【0007】過去の炉心のサイクル長と新燃料体数よ
り、内外挿的に所要サイクル長を満足するように新燃料
体数を決める。基本的にはそのようにして予め決められ
た長期燃料取替計画に準じている。これは、 ・中性子経済向上のため、必要以上に炉心の低漏洩化度
を強くすると取出し燃焼度が悪化する場合が多く、経済
性は必ずしも向上しない ・今サイクル新燃料を4体減らせても次サイクル4体増
えるので無意味との考えから、必要以上に強い低漏洩化
度を採用して、新燃料体数を減らしたりすることはあま
りなかった。
【0008】2-2)取り出し燃料の決定 新燃料体数が決まれば、前サイクル装荷燃料の内、設計
燃焼度(保証燃焼度)を満足した燃料および設計燃焼度
への余裕が少ないものから順に新燃料体数と同数の燃料
を取り出す。
【0009】2-3)最外周燃料配置の決定 通常、新燃料は炉内の出力分布を平坦化させるため、炉
心最外周に装荷する。一方、炉心の中性子漏洩量を減少
させ、炉心の中性子経済を向上させるために既燃焼燃料
を炉心最外周に装荷する考え方がある。これを低漏洩型
炉心(LLLP)といい、最外周に配置される燃料の燃
焼度と体数により、低漏洩の効果は変化し、一般に最外
周に配置される既燃焼燃料の燃焼度が高いほど、また既
燃焼燃料の体数が多いほど、低漏洩の効果は増大する。
しかしながら、その低漏洩化度の強さに応じて炉心の平
坦化は損なわれ、出力ピーキングなどの炉心特性は悪化
する。
【0010】このため、従来は炉心の安全性確保のた
め、こうした低漏洩化の見地からは、取り分け低漏洩化
を強める方向では、最外周配置を検討することはなく、
最外周配置によって炉心の反応度が変化するので、専ら
サイクル末期のボロン濃度が高すぎたり低すぎたりしな
いよう(即ち、炉心反応度に過不足がないよう)最外周
燃料の燃焼度と体数を調整するのみだった。
【0011】2-4)新燃料配置の決定 最外周燃料の既燃焼燃料の体数が決まれば、それ以外の
最外周位置に可燃性毒物無しの新燃料を装荷する。新燃
料体数は既に決まっているので、最外周に配置できない
新燃料は炉心内部に装荷されるが、新燃料をそのまま炉
心内部に装荷すると出力ピーキング係数が制限値を逸脱
するため、可燃性毒物とともに装荷する。以前はクラス
タ状のBPRを燃料に挿入していたが、近年は燃料ペレ
ット中に直接可燃性毒物を混入するガドリニア入り燃料
が主流である。このガドリニア入り燃料はガドリニアが
燃え尽きるサイクル中期に出力が大きくなるため、出力
ピーキング係数が高くなりすぎないよう工夫して配置す
る。
【0012】2-5)既燃焼燃料配置の決定 新燃料配置と最外周燃料とが決まれば、その他の使用燃
料、即ち、継続使用燃料(この時、まれに一過的に再使
用燃料〔過去のサイクルでの一時保管燃料〕)の配置を
検討する。配置の検討にあたっては、出力ピーキング係
数や最高燃焼度、原子炉停止余裕など11の安全性確認
項目全てを満足するように試行錯誤を繰り返す。
【0013】2-6)経済性評価法 また、経済性の比較についても、従来は取り出し平均燃
焼度の比較あるいは次サイクルへの引継燃料の平均燃焼
度の比較のみであり、取り出し平均燃焼度或いは引継燃
料の平均燃焼度が同一である2つの炉心の経済性の優劣
については定量的には評価できなかった。なお、取り出
し平均燃焼度と引継燃料平均燃焼度は着目点は異なるが
相補的な関係にあり、「取り出し平均燃焼度が高い」と
いうことと「引継燃料平均燃焼度が低い」ということは
全く等価で経済性が良好ということである。
【0014】実際は取り出し平均燃焼度(引継燃料平均
燃焼度)が同一でも、引継燃料の燃焼度分布が異なれば
先のサイクルの経済性は大きく変わるため、先のサイク
ルヘの影響を考慮して経済性を比較する必要がある。従
来はこの様な先のサイクルヘの影響を考慮するための指
標はなく、真に経済的な装荷パターンの比較はできなか
った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、PWR
の使用燃料の選定及びその装荷方法に関し、原子炉燃料
を有効に利用し、原子燃料サイクルコストの低減を図る
ことを目的として鋭意努力した結果、本発明をなすに至
った。
【0016】即ち、PWRの燃料運用において、使用燃
料の選定およびその装荷パターンの組み合わせば単純計
算すると膨大な数になるが、本発明を採用することによ
り、その膨大な組み合わせの中から経済的に最適若しく
は最適なものとほぼ同等の解を得ることができる。ま
た、従来は装荷パターンの経済性を比較する明確な指標
がなかったが、本発明ではこれについても新たに有効な
方法を提示する。
【0017】本発明は、PWRの燃料運用時に最適な検
討方針を解析者に与え、新たな経済性評価指標を用い
て、常に経済的に最適な解を得ることのできるPWRの
燃料運用方法及びPWR炉心を得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発
明に係るPWRの燃料運用方法は、PWRの使用燃料の
選定及びその装荷パターンを決定する燃料運用方法にお
いて、炉心の中性子低漏洩化のために、下記に示す低漏
洩化指標について予め定められた範囲内で可能な限り強
い低漏洩化度の指標値を選定する低漏洩化度決定工程
と、 〔低漏洩化指標〕=Σ〔最外周のn回燃焼燃料の炉外に
面している面の総数〕×n 前記低漏洩化度決定工程で決定された低漏洩化度で、必
要な運転期間を満足する最小の新燃料体数を決定する最
小新燃料体数決定工程と、前記新燃料体数が決定され炉
心に余剰反応度が発生する場合に、余剰反応度を零とす
るように先サイクルから引き継ぐ継続使用燃料の一部を
一時保管燃料として選定し、代わりに、先サイクル終了
時で取り出す予定であった燃料又は過去のサイクルで取
り出されていた一時保管燃料から選ばれた燃料に入れ替
える一時保管燃料選定工程と、前記最小新燃料体数決定
工程で決定された新燃料と、前記一時保管燃料の代替と
して入れ替えた燃料とを低漏洩化指標が前記予め定めら
れた範囲内となるよう炉心に装荷しつつ、炉心の安全性
を満足するよう装荷パターンを1つ以上決定する装荷パ
ターン決定工程と、前記装荷パターン決定工程で決定さ
れた装荷パターンによる経済性を評価する際に、各サイ
クル末期における引継使用燃料の燃焼度を次サイクルに
引き継ぐ経時サイクルについて経済性が最も高い装荷パ
ターンを選択する経済性評価工程とを備えたものであ
る。
【0019】請求項2に記載された発明に係るPWRの
燃料運用方法は、請求項1に記載の低漏洩化度決定工程
において、前記低漏洩化指標値を、40〜68の範囲内
で選定するものである。
【0020】請求項3に記載された発明に係るPWRの
燃料運用方法は、請求項1又は2に記載の一時保管燃料
の選定は、次サイクル及び次々サイクルにおいても装荷
が予定された燃料の燃焼度の若い燃料を選択するもので
ある。
【0021】請求項4に記載された発明に係るPWRの
燃料運用方法は、請求項1〜3の何れかに記載の装荷パ
ターン決定工程で、炉心の安全性について満足が得られ
ない場合に、前記低漏洩化度決定工程で選定する低漏洩
化指標値を1ランク下げて前記装荷パターン決定工程を
繰り返すものである。
【0022】請求項5に記載された発明に係るPWRの
燃料運用方法は、請求項1〜4の何れかに記載の経済性
評価工程で、1点炉モデルによりサイクル長の増減量を
燃料サイクルコストに換算して、個々の炉心の経済性を
比較するものである。
【0023】請求項6に記載された発明に係るPWR炉
心は、請求項1〜5の何れかに記載されたPWRの燃料
運用方法によって選定された使用燃料及び決定された装
荷パターンで装荷されたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明においては、炉心の中性子
低漏洩化のために、下記に示す低漏洩化指標について予
め定められた範囲内で可能な限り強い低漏洩化度の指標
値を選定する低漏洩化度決定工程と、 〔低漏洩化指標〕=Σ〔最外周のn回燃焼燃料の炉外に
面している面の総数〕×n 前記低漏洩化度決定工程で決定された低漏洩化度で、必
要な運転期間を満足する最小の新燃料体数を決定する最
小新燃料体数決定工程と、前記新燃料体数が決定され炉
心に余剰反応度が発生する場合に、余剰反応度を零とす
るように先サイクルから引き継ぐ継続使用燃料の一部を
一時保管燃料として選定し、代わりに、先サイクル終了
時で取り出す予定であった燃料又は過去のサイクルで取
り出されていた一時保管燃料から選ばれた燃料に入れ替
える一時保管燃料選定工程と、前記最小新燃料体数決定
工程で決定された新燃料と、前記一時保管燃料の代替と
して入れ替えた燃料とを低漏洩化指標が前記予め定めら
れた範囲内となるよう炉心に装荷しつつ、炉心の安全性
を満足するよう装荷パターンを1つ以上決定する装荷パ
ターン決定工程と、前記装荷パターン決定工程で決定さ
れた装荷パターンによる経済性を評価する際に、各サイ
クル末期における引継使用燃料の燃焼度を次サイクルに
引き継ぐ経時サイクルについて経済性が最も高い装荷パ
ターンを選択する経済性評価工程とにより、PWRの使
用燃料の選定およびその装荷パターンを決定する燃料運
用方法である。
【0025】これにより、PWRの燃料運用時に最適な
検討方針を解析者に与え、新たな経済性評価指標を用い
て、常に経済的に最適な解を得ることのできるPWRの
燃料運用方法及びPWR炉心を得ることができる。
【0026】より具体的に本発明の燃料運用方法の構成
及び作用を説明する。 1)基本原則 本発明では、非常に広範な比較検討の結果、燃料運用の
経済性向上のための基本原則として以下の原則a)〜原
則d)の新しい知見を得た。 a)新燃料はできるだけ先送りして使用した方が(即
ち、当該サイクルの次以降に使う方が)よい。換言すれ
ば、当該サイクルの新燃料体数は出来るだけ少ない方が
よい。 b)引継使用燃料の燃焼度分布が経済性に大きく影響す
る。引継使用燃料の平均燃焼度が同一でも、燃焼度の低
い燃料(次サイクル、次次サイクルに使用可能燃料)の
燃焼度が低いほど経済性に優れている。燃焼度の高い燃
料(次サイクルのみ使用可能燃料)の燃焼度が低い場
合、平均燃焼度は低くても先のサイクルでの反動が大き
く、見かけほど経済性は良くない。 c)炉心の余剰反応度は可能な限り小さくする。余剰反
応度が大きいほど、経済性の損失は大きい。 d)炉心の低漏洩化は、炉心の安全性を満足する範囲
で、可能な限り強い方が経済的に優れている。
【0027】これらの基本原則の内、原則a)について
は、従来は新燃料の総数が同一であれば経済的に差はな
いと考えられており、当該サイクルの次以降のサイクル
で使うことの効用については、必ずしも周知の事実には
なっていない。これについては、今回導入した一点炉モ
デルを用いた経済性比較評価により、定量的にその利得
を評価することが可能となった。従って、最小新燃料体
数決定工程で、必要な運転期間を満足する最小の新燃料
体数を決定する。
【0028】原則b)については従来は、全く認識され
ていない事実である。これについても、今回導入した一
点炉モデルを用いた経済性比較評価により定量的にその
利得を評価することが可能となった。従って、一時保管
燃料選定行程では、体数は少なくてもできるだけ燃焼度
の低い(反応度の高い)燃料を選定するようにする。ま
た、装荷パターン決定工程でも、装荷パターンを1つ以
上決定し、決定された装荷パターンによる経済性を経済
性評価工程において、評価する。この際に、各サイクル
末期における全ての燃料のうち、次サイクルの新燃料体
数分を差し引いた燃料について燃焼度を次サイクルに引
き継いで経時サイクルについて経済性が最も高い装荷パ
ターンを選択する。
【0029】原則c)については、概念的には周知であ
ると思われる。従って、炉心に余剰反応度が発生する場
合に、一時保管燃料選定工程で、余剰反応度を零とする
ように先サイクルから引き継ぐ継続使用燃料の一部を一
時保管燃料として選定し、代わりに、先サイクル終了時
で取り出す予定であった燃料又は過去のサイクルで取り
出されていた一時保管燃料から選ばれた燃料に入れ替え
る。
【0030】原則d)については、「低漏洩化が強い方
が中性子経済的に優れている」というのは、概念的に周
知の事実である。しかしながら、低漏洩化のために燃焼
度の高い燃料を炉心最外周に配置するとその燃料の取り
出し燃焼度は低くなるため、中性子経済は向上しても燃
料サイクルコストの低減にはならないと考えられてい
た。従って、従来は「低漏洩化が強いほど燃料サイクル
コストの低減になる」とは言えなかったが、本発明を採
用すれば、中性子経済性が向上した分、燃料サイクルコ
ストの経済性も向上させることができる。本発明では、
低漏洩化度決定工程では、低漏洩化指標の範囲内で可能
な限り低漏洩化を強くするものとする。以降の装荷パタ
ーン決定工程で炉心の安全性を満足する装荷パターンを
作成できない場合、低漏洩化度を1ランク弱めて再度検
討する。
【0031】2)燃料運用検討方針 上記基本原則を踏まえ、経済的に最適な燃料運用の検討
法を以下に述べる。以下の燃料運用作成手順が、本発明
における新たな手法である。
【0032】2-1)低漏洩化度の極大化 炉心の低漏洩化は、炉心の安全性を満足する範囲で、可
能な限り強くする。あまり低漏洩化度を強くしすぎると
炉内出力分布の平坦化が損なわれ、出力ピーキング係数
などの炉心パラメータが悪化する。それらの炉心の安全
性を満足する範囲で、低漏洩化度をできる限り強くす
る。具体的には、40〜68の範囲内で選定する。 〔低漏洩化指標〕=Σ〔最外周のn回燃焼燃料の炉外に
面している面の総数〕×n
【0033】具体的な例を示すと、最外周の炉外に面し
ている面の総数としては、炉心の形状により相違する。
図1は炉外に面する面のうちL字コーナ、I字コーナの
定義を示す説明図である。a図は4ループ炉心、b図は
3ループ炉心、c図は2ループ炉心の代表的な1/4構
成を示す。各図において、斜線部が炉外に面している面
が1つのI字コーナ、交差線部が炉外に面している面が
2つのL字コーナである。
【0034】例えば、最外周燃料36体のうち、新燃
料:20体、1回燃焼燃料:8体(L字コーナ8体)、
2回燃焼燃料:8体(L字コーナ8体)の試算1、又
は、新燃料:16体、1回燃焼燃料:4体(I字コーナ
4体)、2回燃焼燃料:16体(L字コーナ16体)の
試算2の場合には、 〔低漏洩化指標〕=20×0+8×2+8×2×2 =48(試算1) 16×0+4×1+16×2×2=68(試算2) となる。
【0035】低漏洩化指標が40よりも低い場合は経済
性が低く、68よりも高い場合は炉心を成立させること
が困難である。実際のパターン検討時には、例えば、最
も低漏洩化が強い低漏洩化度68より検討を開始し、炉
心の安全性を満足できない場合は低漏洩化度を下げてい
く。なお、低漏洩化度が同一の場合は、最外周の低漏洩
化の為の既使用燃料の体数が多い方を優先させる。
【0036】2-2)最小新燃料体数の決定 低漏洩化度は既に 2-1) で決まっているので、次にこの
低漏洩化度で必要な運転期間を満足する新燃料体数を決
定する。新燃料体数は必要な運転期間を満足する最小の
体数とする。炉心全体の燃料体数は炉心毎に一定である
ので、新燃料体数が決まった時点で必要な既燃焼燃料体
数も一意に決まる。
【0037】既燃焼燃料には前サイクルから引き継ぐ継
続使用燃料と過去のサイクルの一時保管燃料である再使
用燃料とがある。これらの既燃焼燃料から燃焼度の低い
順(反応度の高い順)に必要体数選択する。この結果、
反応度が余っている場合には次ステップ 2-3) に示すよ
うに継続使用燃料を温在(一時保存)することで対応す
る。
【0038】必要な新燃料体数を決定した際に、全ての
新燃料を炉心の最外周に配置することができない場合が
ある。最外周の燃料配置は 2-1) で既に決めているの
で、最外周に配置できない新燃料は、可燃性毒物を併用
し炉心内部に装荷する。この点は従来と同じように取り
扱う。
【0039】2-3)一時保管燃料の選定 新燃料体数は通常4体単位で増減させるため、炉心反応
度は不連続に変化する。このため、新燃料体数の調整だ
けではサイクル末期ボロン濃度が目標値を上回り、余剰
反応度が発生する場合がある。炉心に余剰反応度が発生
した場合、余剰反応度が零になるように継続使用燃料を
入れ替える。
【0040】余剰反応度をうち消すためにある燃料を4
体一時保管する場合、替わりに4体の燃料を炉心に装荷
する必要がある。この燃料としては、取り出し平均燃焼
度の向上と最高燃焼度制限との観点から、取り出し予定
燃料の内、最も燃焼度の低い4体の燃料が選定される。
【0041】このようにして一時保管燃料の替わりに炉
心に装荷される燃料は、炉心内で最も燃焼度が高くなっ
ているため、通常これらが低漏洩化燃料として新たに炉
心最外周に配置され、替わりにそれまで最外周に配置さ
れていた燃料は炉内に装荷されることになる。このよう
に取り出し予定であった燃料を有効利用することによ
り、取り出し燃焼度は向上するため、かくして低漏洩化
炉心の問題点とされていた取り出し燃焼度の低下が改善
されることになる。
【0042】交換燃料の選定の際には、新たに装荷され
る燃料と入れ替わりに炉外に出される燃料との燃焼度差
から炉心におけるボロン濃度変化を概略予測する。
【0043】一時保管燃料の選択にあたっては、基本原
則b)に則り、可能な限り燃焼度の低い燃料が含まれる
ようにする。即ち、以下の点に留意する。 ・8体よりも4体とする。(少数体の方が燃焼度を低く
できるため) ・平均的に燃焼度が若いものを選択するより、少数でも
とにかく燃焼度の低いものを数多く選択する。(例:2
0GWd/tを8体するより、10GWd/tと30G
Wd/tを4体ずつのほうが良い)
【0044】2-4)装荷パターンの決定 決定した燃料構成にて、炉心の安全性を満足するよう装
荷パターンを決定する。また、従来通り、取り出し平均
燃焼度が上がるようにも考慮する。炉心安全性が満足で
きない場合には、低漏洩化度を1ランク下げて 2-2) 以
下を繰り返す。
【0045】3)経済性の比較法(経済性評価工程) 前記2)燃料運用検討方針によって、幾つかの装荷パタ
ーンが決定される。決定された個々の装荷パターンにつ
いて経済性を評価して経済性が最も高い装荷パターンを
選択する。燃料運用の経済性を比較する際、従来は取り
出し平均燃焼度の比較あるいは引継使用燃料の平均燃焼
度の比較のみであり、これらが同一の2つの炉心の経済
性の優劣については定量的に評価できなかった。
【0046】実際は取り出し平均燃焼度が同一でも、引
継使用燃料の燃焼度分布が異なれば先のサイクルの経済
性は大きく変わるため、先サイクルヘの影響を考慮して
経済性を比較する必要がある。
【0047】本発明では先のサイクルヘの影響を考慮す
るため、1点炉モデルによる評価法を導入した。1点炉
モデルは燃料の反応度をバッチ毎に線形に近似し、炉心
平均反応度およびサイクル長を評価するために広く用い
られているモデルである。しかしながら、1点炉モデル
は通常先10サイクル程度のおよその新燃料体数をサー
ベイする際に用いられたり、燃料運用に関する理論的考
察を行う際のツールとして用いられるのみであり、実機
装荷パターンの経済性比較に応用された例は無い。
【0048】本発明では、作成した装荷パターンのサイ
クル末期における次サイクルの新燃料体数分を除く全て
の燃料の燃焼度をそれぞれ引き継ぎ、1点炉モデルにて
サイクル長の増減を先10サイクルについて評価する。
サイクル長の増減の基準となる炉心としては、平衡炉心
などを選択するが、パターンの優劣を相対的に評価する
場合には基準炉心は何でも良い。サイクル長の増減量を
後述する燃料サイクルコストに換算し、個々の炉心の経
済性を比較する。
【0049】図2は燃焼度の低い燃料が多い場合の炉心
平均燃焼度差とサイクル長延長効果とを示す説明図であ
る。図3は燃焼度の高い燃料が多い場合の炉心平均燃焼
度差とサイクル長延長効果とを示す説明図である。図4
は燃焼度の高い燃料又は燃焼度の低い燃料のみが若い場
合の炉心平均燃焼度差とサイクル長延長効果とを比較し
た説明図である。
【0050】図2に示す通り、燃焼度の低い燃料では、
1サイクルのみ燃焼度を引き継ぐ反動を考慮しない場合
には、第2サイクルで、初期炉心平均燃焼度が13.3
3と小さくなり、この点にのみサイクル長延長効果のメ
リット(+1.67)が生じている。一方、各サイクル
末期における全ての燃料の燃焼度を各々引き継いで反動
を考慮した場合には、第3サイクルで第2サイクルの反
動(第2サイクルのサイクル長が延びた分、引継使用燃
料の燃焼度が増加し、第3サイクルの炉心平均燃焼度が
高くなる)により、サイクル長延長効果のデメリット
(−1.11)及び第6サイクルにも若干のデメリット
が生じるが、その他第4、第5、第7サイクルでは若干
のサイクル長延長効果のメリットが生じ、合計ではサイ
クル長延長効果のメリットは+0.75という結果が生
じている。
【0051】図3に示す通り、燃焼度の高い燃料では、
1サイクルのみ燃焼度を引き継ぐ反動を考慮しない場合
には、第2サイクルで、初期炉心平均燃焼度が16.6
7と高くなり、この点にのみサイクル長延長効果のデメ
リット(−1.67)が生じている。一方、各サイクル
末期における全ての燃料の燃焼度を各々引き継いで反動
を考慮した場合には、第3サイクルで第2サイクルの反
動(第2サイクルのサイクル長が短くなった分、引継使
用燃料の燃焼度が低下し、第3サイクルの炉心平均燃焼
度が若くなっている)により、サイクル長延長効果のメ
リット(+1.11)及び第6サイクルにも若干のメリ
ットが生じ、反面第2で大きなデメリットの他に、第
4、第5、第7サイクル等では若干のサイクル長延長効
果のデメリットが生じ、合計ではサイクル長延長効果の
デメリットは−0.84という結果が生じている。
【0052】図4に示す通り、燃焼度の低い燃料のみが
若い場合に、各サイクル末期における全ての燃料の燃焼
度を各々引き継いで反動を考慮すると、合計ではサイク
ル長延長効果のメリットは+1.67という結果が生じ
ている。また、燃焼度の高い燃料のみが若い場合に、各
サイクル末期における全ての燃料の燃焼度を各々引き継
いで反動を考慮すると、合計ではサイクル長延長効果の
メリットは+0.84という結果が生じている。
【0053】本手法により、引継使用燃料の平均燃焼度
が同一でも、燃焼度の低い燃料(次サイクル、次次サイ
クルに使用可能燃料)の燃焼度が低いほど経済性に優れ
ていることが判った。燃焼度の高い燃料(次サイクルの
み使用可能燃料)の燃焼度が低い場合、平均燃焼度は低
くても先のサイクルでの反動が大きく、見かけほど経済
性は良くない。
【0054】尚、1点炉モデルでは炉内燃料配置は考慮
できないため、炉心の漏洩量などは評価できないが、そ
のため逆に客観的に公平な装荷パターンの比較が可能で
ある。何れにせよ、本発明を用いることにより、先のサ
イクルにおける反動も考慮でき、引継使用燃料平均燃焼
度では評価できなかった真の経済性についても比較する
ことが可能となる。
【0055】図5は先に示した本発明での燃料運用作成
手順を従来法と対比して説明した説明図である。本手法
と対比した従来法では、最適な解を得るためには、装荷
パターンについて、考えられるすべての組み合わせにつ
いて実施する必要があり、膨大な労力を要している。通
常、このような膨大な作業は実施されないので、従来法
では最適な解を得ることが事実上不可能である。
【0056】
【実施例】本発明の実施例を以下に示す。以下の例は3
ループPWRプラントにおける解析例であり、いずれも
同一の炉心から燃料を引き継ぎ、当該サイクルの装荷パ
ターンを作成している。
【0057】使用燃料を表1に示す。図6は表1に示し
た使用燃料で、本発明のPWRの燃料運用方法に従った
PWR炉心の実施例を比較した説明図である。a図はケ
ース1,b図はケース2,c図はケース3,d図はケー
ス4の1/4炉心の配置を示す。尚、当該サイクルの所
要サイクル長は15.4GWd/tであり、所要サイク
ル長時のボロン濃度を30ppmとしている。
【0058】また、表1において、平均燃焼度でたとえ
ば8体の平均が11.2、一方、図6は個々の燃料のた
め、11.3や11.4が出てくる。これは、平均した
表1と、ある象限のみ図示している図6とは完全には一
致しないためである。
【0059】図6のa図に示す通り、ケース1は、長期
燃料取替計画に従い、新燃料を56体とした。低漏洩化
度の決定においては、所要サイクル長時点での余剰ボロ
ン濃度が最小(30ppm)になるように調整し、低漏
洩化度を8(2回燃焼燃料4体を最外周に配置)とし
た。継続使用燃料は、燃焼度の低い順に必要体数選択し
ており、一時保管よる温存は実施していない。即ち、従
来の方法と同一である。
【0060】
【表1】
【0061】図6のb図に示す通り、ケース2は2回燃
焼燃料12体を最外周に配置し、低漏洩化したものであ
り、低漏洩化度は40である。この装荷パターンではサ
イクル長を満足するための新燃料は56体となる。この
場合所要サイクル長時点での余剰ボロン濃度は70pp
m(ボロン濃度は100ppm)程度であり、これをう
ち消す(余剰ボロン濃度を0ppmにする、即ちボロン
濃度を30ppmにする)ために15.4GWd/t、
18.1GWd/tの燃料4体ずつを一時保管として取
り出し、替わりに33.1GWd/t燃料8体を装荷し
ている。
【0062】図6のc図に示す通り、ケース3は1回燃
焼燃料8体と2回燃焼燃料8体にて低漏洩化したもので
あり、低漏洩化度は48である。この場合新燃料52体
で所要サイクル長時点での余剰ボロン濃度はちょうど零
となり、一時保管燃料は無い。
【0063】図6のd図に示す通り、ケース4は2回燃
焼燃料16体にて低漏洩化したものであり、低漏洩化度
は64である。この装荷パターンではサイクル長を満足
するための新燃料は52体となり、更に所要サイクル長
時点での余剰ボロン濃度は45ppm(ボロン濃度は7
5ppm)程度であり、これをうち消す(余剰ボロン濃
度を0ppmにする、即ちボロン濃度を30ppmにす
る)ために15.4GWd/t燃料4体を一時保管燃料
として温存している。
【0064】ケース1〜4の経済性の比較を表2に示
す。表2において、サイクル長延長効果は大きいほど経
済性に優れていることを示している。従来(これまでの
経済性比較)では次サイクルの引継燃焼平均燃焼度でし
か経済性を比較できなかったが、本発明による1点炉モ
デルを用いることにより、先のサイクルでの反動を考慮
した正味の経済性(利得)を評価できる。一般には次サ
イクルの引継炉心平均燃焼度は小さいほど経済性に優れ
ていると考えられているが、正味の利得で評価すると、
引継燃焼度だけでは正しい経済性評価ができないことが
判る。
【0065】
【表2】
【0066】詳しくは、ケース1が最も経済性が低く、
ケース4が最も経済性に優れていることがわかる。炉心
の漏洩量が小さくなる(低漏洩化度が大きくなる)ほど
経済性が向上していることがわかる。
【0067】ケース1は2回燃焼燃料4体にて低漏洩化
炉心としている。余剰反応度はほぼ0ppmである。燃
料の温存はなく、経済性は最も低い。
【0068】また、ケース2は15GWd/tと18G
Wd/tの燃焼度の低い燃料を8体温存できているこ
と、最外周新燃料の体数が多いため1回燃焼燃料の燃焼
度が低いことにより、次サイクルの引継炉心平均燃焼度
は全ケース中最も優れている。しかしながら、18GW
d/tの温存燃料は次サイクルにのみ装荷可能で次次サ
イクルには装荷できないため、反動が大きい。このた
め、正味の経済性はケース3、4に比べると良くない。
この様な効果は本発明による経済性の比較法を用いるこ
とにより、初めて評価可能となった。
【0069】更に、ケース3は引継炉心平均燃焼度では
ケース4と大差はないが、先のサイクルまで考慮した正
味の経済性ではケース4よりも大きく劣る。ケース3で
は炉心最外周に配置された1回燃焼燃料に反応度が蓄積
されているが、これらの燃料は22GWd/t程度まで
燃焼しており、次サイクルにしか装荷できない。このた
め、次サイクルの引継炉心平均燃焼度はかなり低くなる
ものの、次次サイクル以降での反動が大きく、実質の経
済性はさほど改善しないものである。
【0070】また、ケース4は新燃料が4体少なく、か
つ、15GWd/t程度の燃焼度の非常に低い燃料を温
存できているため、全てのケース中最も経済性が高い。
引継炉心平均燃焼度ではケース2に劣るが、これは炉内
に装荷された新燃料の燃焼が進行するためである。しか
しながら、新燃料4体と15GWd/tの燃料4体を温
存しており、これらは当然次次サイクルにも装荷可能で
あるため、反動が小さく正味の経済性は全ケースの中最
も優れている。ただし、本ケースの低漏洩化度はかなり
強いため出力ピーキングや炉内外出力差の抑制が難し
い。本ケースでは炉心は成立したが、常に炉心が成立す
るとは限らない。このため、低漏洩化度は24〜32と
ある程度の幅が必要である。
【0071】以上の通り、従来の方法であれば、燃料運
用の経済性向上は装荷パターンの改善のみであり、燃料
構成の変更まで実施することはまれであった。また、燃
料構成を変更するとしても、 ・余剰反応度は一時保管燃料に温存する場合と、最外周
燃料に温存する場合とでは、どちらが優れているのか? ・低漏洩化の度合いの経済的な最適点はどこか? ・どのように一時保管燃料を選定すれば経済的に優れて
いるのか? 等については、その都度非常に広範なケース設定(数1
0ケース)のもとで比較検討解析を実施し、最適なもの
を選定する必要があった(通常そのような広範な検討は
実施されない)。
【0072】しかし、本発明による装荷パターンは、従
来の検討方法による装荷パターンと比較し、燃料サイク
ルコストにして数千万〜数億円の削減効果があり、経済
的効果が非常に大きい。しかも、本発明による方法を用
いれば広範な比較検討を実施する必要が無く、初めから
経済的に最適な燃料装荷パターンを得ることができ、そ
の解析労力は数10分の1に縮小できる。実際の効果は
炉心毎、あるいは引き継いだ燃料構成毎でまちまちであ
るが、前出のケースの例で試算すると、従来法(ケース
1)と比べ、ケース2で1.2億円、ケース3で1.7
億円、ケース4で2.5億円程度の燃料費削減効果があ
る[(サイクル長延長効果)×(炉心ウラン重量:7
1.5t)×(熱効率:34%)×(燃料サイクルコス
ト:1.7¥/kWh)×1E6kW/GW×24h/
dにて算出)]。
【0073】本発明の方法に従えば、ケース2、3、4
と3種類の装荷パターンを作成する必要もなく、初めか
ら最適なケース4の装荷パターンを作成することとな
る。ただし、前述のようにもしケース4で出力ピーキン
グや炉内外出力差を抑制できない場合はケース3のよう
に低漏洩化度を弱める必要がある。即ち、まず低漏洩化
度が最大の値である68での検討を行い、68では不成
立であったので低漏洩化度の値が64のケース4を実施
し、ケース4で成立するため、ケース3,2,1は不要
となる。尚、ケース4で炉心の安全性を満足できない等
の不成立の場合にはケース3,2,1へと徐々に低漏洩
化度を弱めていく。
【0074】さらに本発明の効果として、運転計画の変
更に対する柔軟性が挙げられる。運転計画の変更には、 ・所要サイクル長の急な増減 ・使用予定燃料の損傷による使用燃料の変更 などがあるが、積極的に反応度の高い燃料を温存してい
る本発明では、軽微な修正のみでこれらに対応できる場
合が多い。従来の手法では燃料を温存せず炉心の余剰反
応度を最適化しているため、サイクル長の増減や使用可
能燃料の変更があった場合は初めから装荷パターンを作
り直す必要がある。これに対し本発明では、例えば急な
サイクル長の延長については温存燃料を使用することに
より炉心反応度の増加が可能であったり、使用予定燃料
が損傷した場合なども温存燃料と損傷燃料を入れ替える
のみで対応できる可能性が高い。
【0075】本発明の要点を以下に示す。 ・本発明はPWRの燃料運用の最適化に関わるものであ
る。 ・低漏洩化により積極的に炉心の反応度上げ、新燃料体
数を最小とし、その結果炉心に余剰反応度が発生した場
合に、できるだけ燃焼度の低い燃料を一時保管燃料とし
て余剰反応度を温存する。 ・燃料の温存を実施すれば、低漏洩化炉心にするほど経
済性は向上する。 ・引継使用燃料の燃焼度分布が経済性に大きく影響す
る。例え平均の燃焼度は同一でも、次サイクルのみでな
く、次次サイクルにも装荷可能な燃料(燃焼度の低い燃
料)の燃焼度をより低くした方が経済性に優れている。
【0076】・以上を反映した燃料運用の作成手順は まず低漏洩化度を決定、極大化 新燃料体数を決定、最小化 反応度調整のため、一時保管燃料を選定 である。 ・先のサイクルでの反動を考慮した経済性の評価のた
め、1点炉モデルを用いた指標を新たに定義した。 ・上記の発明を燃料運用自動解析システムに導入し、経
済的に最適な燃料運用を自動で作成すればよい。
【0077】
【発明の効果】本発明は以上説明した通り、PWRの燃
料運用時に最適な検討方針を解析者に与え、新たな経済
性評価指標を用いて、常に経済的に最適な解を得ること
のできるPWRの燃料運用方法及びPWR炉心を得るこ
とができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】炉外に面する面のうちL字コーナ、I字コーナ
の定義を示す説明図である。a図は4ループ炉心、b図
は3ループ炉心、c図は2ループ炉心の代表的な1/4
構成を示す。
【図2】燃焼度の低い燃料が多い場合の炉心平均燃焼度
差とサイクル長延長効果とを示す説明図である。
【図3】燃焼度の高い燃料が多い場合の炉心平均燃焼度
差とサイクル長延長効果とを示す説明図である。
【図4】燃焼度の高い燃料又は燃焼度の低い燃料のみが
若い場合の炉心平均燃焼度差とサイクル長延長効果とを
比較した説明図である。
【図5】本発明での燃料運用作成手順を従来法と対比し
て説明した説明図である。
【図6】本発明のPWRの燃料運用方法に従ったPWR
炉心の実施例を比較した説明図である。a図はケース
1,b図はケース2,c図はケース3,d図はケース4
の1/4炉心の配置を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−55592(JP,A) 中川正幸 他,核計算法の研究成果と 炉心設計法の進歩,日本原子力学会誌, 日本,社団法人日本原子力学会,1997年 1月30日,Vol.39 No.1,P 3−27 K.Y. Choi, Y.K.Yo on,A proposed Heur istic Methodology for Searching Rel oading Pattern,Jou rnal of the Korean Nuclear Society,K R,Korean Nuclear S ociety,1993年 9月 8日,V o.25 No.2,p193−203 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 5/00 G21C 17/00 GDP

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧水型原子炉の使用燃料の選定及びそ
    の装荷パターンを決定する燃料運用方法において、 炉心の中性子低漏洩化のために、下記に示す低漏洩化指
    標について予め定められた範囲内で可能な限り強い低漏
    洩化度の指標値を選定する低漏洩化度決定工程と、 〔低漏洩化指標〕=Σ〔最外周のn回燃焼燃料の炉外に
    面している面の総数〕×n 前記低漏洩化度決定工程で決定された低漏洩化度で、必
    要な運転期間を満足する最小の新燃料体数を決定する最
    小新燃料体数決定工程と、 前記新燃料体数が決定され炉心に余剰反応度が発生する
    場合に、余剰反応度を零とするように先サイクルから引
    き継ぐ継続使用燃料の一部を一時保管燃料として選定
    し、代わりに、先サイクル終了時で取り出す予定であっ
    た燃料又は過去のサイクルで取り出されていた一時保管
    燃料から選ばれた燃料に入れ替える一時保管燃料選定工
    程と、 前記最小新燃料体数決定工程で決定された新燃料と、前
    記一時保管燃料の代替として入れ替えた燃料とを低漏洩
    化指標が前記予め定められた範囲内となるよう炉心に装
    荷しつつ、炉心の安全性を満足するよう装荷パターンを
    1つ以上決定する装荷パターン決定工程と、 前記装荷パターン決定工程で決定された装荷パターンに
    よる経済性を評価する際に、各サイクル末期における引
    継使用燃料の燃焼度を次サイクルに引き継ぐ経時サイク
    ルについて経済性が最も高い装荷パターンを選択する経
    済性評価工程とを備えたことを特徴とする加圧水型原子
    炉の燃料運用方法。
  2. 【請求項2】 前記低漏洩化度決定工程において、前記
    低漏洩化指標値を、40〜68の範囲内で選定すること
    を特徴とする請求項1に記載の加圧水型原子炉の燃料運
    用方法。
  3. 【請求項3】 前記一時保管燃料の選定は、次サイクル
    及び次々サイクルにも装荷可能な燃料を優先して選択
    し、尚且つ、該燃料の燃焼度を可能な限り若くすること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の加圧水型原子炉の
    燃料運用方法。
  4. 【請求項4】 前記装荷パターン決定工程で、炉心の安
    全性について満足が得られない場合に、前記低漏洩化度
    決定工程で選定する低漏洩化指標値を1ランク下げて前
    記装荷パターン決定工程を繰り返すことを特徴とする請
    求項1〜3の何れかに記載の加圧水型原子炉の燃料運用
    方法。
  5. 【請求項5】 前記経済性評価工程で、1点炉モデルに
    よりサイクル長の増減量を燃料サイクルコストに換算し
    て、個々の炉心の経済性を比較することを特徴とする請
    求項1〜4の何れかに記載の加圧水型原子炉の燃料運用
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載された加圧
    水型原子炉の燃料運用方法によって選定された使用燃料
    及び決定された装荷パターンで装荷されたことを特徴と
    する加圧水型原子炉炉心。
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中川正幸 他,核計算法の研究成果と炉心設計法の進歩,日本原子力学会誌,日本,社団法人日本原子力学会,1997年 1月30日,Vol.39 No.1,P3−27

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