JP3481438B2 - 閾値マトリクスの作成方法およびそのための記録媒体 - Google Patents

閾値マトリクスの作成方法およびそのための記録媒体

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JP3481438B2 JP33652897A JP33652897A JP3481438B2 JP 3481438 B2 JP3481438 B2 JP 3481438B2 JP 33652897 A JP33652897 A JP 33652897A JP 33652897 A JP33652897 A JP 33652897A JP 3481438 B2 JP3481438 B2 JP 3481438B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、繰り返しブロッ
ク内の各画素に割り当てられた閾値を画像信号と比較す
ることによって多階調画像をハーフトーン化する技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】多階調画像を印刷する際には、多階調画
像を2値化する処理が行われる。2値化処理の方法とし
ては、網点を用いる方法や、ディザパターンを用いる方
法などの種々のものがある。この明細書においては、こ
のような種々の2値化を「ハーフトーン化」と呼び、ハ
ーフトーン化によって作成された2値画像を「ハーフト
ーン画像」と呼ぶ。
【0003】ハーフトーン画像を生成する際には、繰り
返しブロック内の各画素に割り当てられた閾値と多階調
画像信号とを比較することによって、ハーフトーン画像
を記録するための2値信号を形成する方法が一般的であ
る。ハーフトーン化に網点を用いる場合には、繰り返し
ブロックを規定する方式としては、1つの網点が形成さ
れる網点セルを1つの繰り返しブロックとする方式と、
複数の網点セルを含むより大きな領域を1つの繰り返し
ブロックとする方式とがある。
【0004】図1は、1つの網点セルを1つの繰り返し
ブロック(「繰り返し領域」とも呼ぶ)とする方式を示
す説明図である。この方式では、各網点セルの4つの角
が、画素の格子の角に一致する。従って、この網点セル
をタイル状に繰り返し適用することによって、全画像平
面を覆うことができる。但し、この方式では、実現でき
る網線数(「スクリーン線数」とも呼ぶ)や網角度
(「スクリーン角度」とも呼ぶ)がかなり限定されてし
まうという問題がある。この理由は、各網点セルの4つ
の角が画素の格子の角に一致しなければならないからで
ある。
【0005】図2は、複数の網点セルをふくむ広い領域
を1つの繰り返しブロックとする方式を示す説明図であ
る。この例では、4×4個の網点セルを含む領域が、1
つの繰り返しブロックとして用いられている。このよう
な複数の網点セルを含む繰り返しブロックは、一般に
「スーパーセル」とも呼ばれている。スーパーセルの4
つの角は画素の格子の角に一致するが、各網点セルの4
つの角は、必ずしも画素の格子の角には一致していな
い。スーパーセル方式では、1つのスーパーセルを構成
する網点セルの数に融通性があるので、いわゆる有理正
接法において、網線数や網角度をより自由に実現するこ
とができる。ここで、有理正接法とは、網角度の正接
(tan )が有理数となるような網点の形成方法を言う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スーパーセ
ル内の複数の網点セルにおける網点の大きさは、画像の
階調によって互いに異なる場合がある。このような網点
のサイズのバラツキに規則性があると、肉眼では画像の
ムラがあるものと認識される。このような画像のムラ
は、「フォーメーションムラ」と呼ばれており、特に、
画像信号のレベルが0%に近いハイライト領域や、画像
信号レベルが100%に近いシャドー領域において目立
つ傾向にある。しかし、従来は、スーパーセル方式にお
いて、このような画像のムラを低減することができる技
術が知られていなかった。このような問題は、スーパー
セルを用いたハーフトーン化に限らず、一般に、繰り返
しブロック内に複数のドットを形成し、各ドットの大き
さが画像信号レベルの増大に応じて成長するようなハー
フトーン化技術に共通する問題であった。ここで、「ド
ット」とは記録された画素の集合を意味しており、網点
もドットの一種である。
【0007】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、複数のドットが
形成される繰り返しブロックを用いてハーフトーン化を
行う際に、ハーフトーン画像のムラを低減することので
きる技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の
法は、記録された画素の集合であるドットが複数個形成
される所定形状の領域である繰り返しブロックについ
て、前記繰り返しブロック内の各画素に割り当てられた
閾値を有する閾値マトリクスを作成する方法であって、
(a)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
設定する工程と、(b)前記繰り返しブロック内の画素
の中から複数の点灯候補画素を選択する工程と、(c)
前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ仮点灯させ
た状態であって、かつ、前記点灯候補画素よりも前の点
灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記複数の濃度
測定位置において濃度値をそれぞれ算出するとともに、
算出された濃度値を用いて前記繰り返しブロック内の2
次元濃度値分布を求める工程と、(d)前記2次元濃度
値分布をフーリエ変換してフーリエスペクトルを求める
工程と、(e)前記フーリエスペクトルの所定の空間周
波数範囲にあるスペクトル値の最大値が最も小さな点灯
候補画素を次の点灯位置として決定するとともに、点灯
順位に応じた閾値を割り当てる工程と、(f)前記工程
(b)ないし(e)を、所定数の画素位置に対する閾値
の割り当てが終了するまで継続する工程と、を含む第1
のモードで前記閾値マトリクス内の複数の閾値のうちの
少なくとも一部を決定することを特徴とする
【0009】繰り返しブロック内の濃度分布のフーリエ
スペクトルの交流低周波成分のスペクトル値は、比較的
目に付きやすい濃度変化を示している。従って、交流低
周波成分の所定の範囲のスペクトル値の最大値を小さく
するように閾値マトリクスを決定すれば、ハーフトーン
画像のムラを低減することができる。
【0010】上記方法において、前記所定の範囲は、前
記繰り返しブロックの一辺の長さに相当する周波数の約
1倍から約2倍の範囲であることが好ましい。
【0011】この範囲の低周波成分は特に目立ち易い濃
度変化に対応しているので、これらの範囲のスペクトル
値の最大値を小さくすることによって、特に目立ち易い
ムラを低減することができる。
【0012】また、前記所定の範囲におけるスペクトル
値の最大値と最小値との比の値は約3以下であることが
好ましい。
【0013】こうすれば、所定の範囲のスペクトル値を
平均的に小さく抑えることができるので、目立ち易いム
ラを低減することができる。
【0014】 また、上記方法において、全階調範囲を
階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、第2の階調範
囲と、第3の階調範囲とに少なくとも区分し、前記第1
と第3の階調範囲では前記第1のモードで前記閾値マト
リクス内の閾値を決定するとともに、前記第2の階調範
囲では第2のモードで前記閾値マトリクス内の閾値を決
定し、前記第2のモードは、 (i)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
設定する工程と、 (ii)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の
点灯候補画素を選択する工程と、 (iii)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ
仮点灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よ
りも前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記
複数の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出する
工程と、 (iv)前記複数の濃度測定位置における濃度値の偏差
が最も小さな点灯候補画素を次の点灯位置として決定す
るとともに、点灯順位に応じた閾値を割り当てる工程
と、 (v)前記工程(ii)ないし(iv)を、所定数の画
素位置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する
工程と、を含む ようにしてもよい。
【0015】こうすれば、第1と第3の階調範囲では、
上述した第1のモードの効果によって画像のムラを低減
することができ、また、中間的な第2の階調範囲では、
繰り返しブロック内の濃度分布を小さくすることによっ
て画像のムラを低減することができる。
【0016】上記方法において、前記濃度値は、所定の
濃度測定位置を中心として、複数のドットを含む所定の
範囲において、各画素の記録の有無を示す2値データを
所定の重み関数で平均化することによって算出されるよ
うにしてもよい。
【0017】 本発明による記録媒体は、記録された画
素の集合である複数のドットが形成される所定形状の領
域である繰り返しブロックについて、前記繰り返しブロ
ック内の各画素に割り当てられた閾値の決定処理を実現
するコンピュータプログラムを格納する記録媒体であっ
て、(a)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
設定する工程と、 (b)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の点
灯候補画素を選択する工程と、 (c)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ仮点
灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よりも
前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記複数
の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出するとと
もに、算出された濃度値を用いて前記繰り返しブロック
内の2次元濃度値分布を求める工程と、 (d)前記2次元濃度値分布をフーリエ変換してフーリ
エスペクトルを求める工程と、 (e)前記フーリエスペクトルの所定の空間周波数範囲
にあるスペクトル値の最大値が最も小さな点灯候補画素
を次の点灯位置として決定するとともに、点灯順位に応
じた閾値を割り当てる工程と、 (f)前記工程(b)ないし(e)を、所定数の画素位
置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する工程
と、を含む第1のモードで前記閾値マトリクス内の複数
の閾値のうちの少なくとも一部を決定する処理をコンピ
ュータに実行させる コンピュータプログラムを格納する
ことを特徴とする。
【0018】
【発明の他の態様】この発明は、以下のような他の態様
も含んでいる。第1の態様は、画像をハーフトーン化す
る装置であって、記録された画素の集合である複数のド
ットが形成される所定形状の領域である繰り返しブロッ
クについて、前記繰り返しブロック内の各画素に割り当
てられた閾値を有する閾値マトリクスを記憶する閾値マ
トリクスメモリと、前記閾値マトリクス内の閾値と画像
信号とを比較することによって、ハーフトーン画像を表
す2値信号を生成する比較器と、を備え、前記閾値マト
リクス内の複数の画素に対する複数の閾値のうちの少な
くとも一部は、前記繰り返しブロックにほぼ一定の画像
信号が与えられたときに、前記繰り返しブロック内に形
成される前記複数のドットの面積率が互いにほぼ等しく
なり、かつ、前記繰り返しブロック内における濃度分布
に関して、前記濃度分布のフーリエスペクトルの交流低
周波成分の所定の範囲におけるスペクトル値の最大値を
小さくするような第1のモードで決定されていることを
特徴とする。
【0019】第2の態様は、コンピュータに上記の発明
の各工程または各手段の機能を実現させるコンピュータ
プログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給
装置としての態様である。こうした態様では、プログラ
ムをネットワーク上のサーバなどに置き、通信経路を介
して、必要なプログラムをコンピュータにダウンロード
し、これを実行することで、上記の方法や装置を実現す
ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】A.ハーフトーン化の階調範囲区
分:次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明す
る。図3は、本発明の第1実施例における階調範囲の区
分を示す説明図である。多階調画像の全階調範囲は、階
調レベルの低い順に第1の階調範囲(「ハイライト領
域」と呼ぶ)GR1と、第2の階調範囲(「中間調領
域」と呼ぶ)GR2と、第3の階調範囲(「シャドー領
域」と呼ぶ)GR3とに区分されている。
【0021】この例では、第1の階調範囲GR1は階調
レベルが0%から約20%までの範囲であり、第2の階
調範囲GR2は階調レベルが約20%から約80%まで
の範囲、第3の階調範囲GR3は階調レベルが約80%
から100%までの範囲である。但し、各階調範囲の境
界の階調レベルは単なる例示であり、これ以外の種々の
区分が可能である。なお、「階調レベル」とは、ドット
面積率や、多階調画像信号の信号レベルを意味する。ま
た、「ドット」とは、記録された画素(通常は黒画素)
の集合を意味し、「ドット面積率」は、画像平面上にお
いてドットが占める面積の割合を意味する。
【0022】繰り返しブロックは複数のドットを含んで
おり、各ドットの大きさは画像信号レベルの増大と共に
増大する。繰り返しブロック内の各画素の閾値を示すマ
トリクス(以下、「閾値マトリクス」と呼ぶ)は、各画
像信号レベルにおいて、繰り返しブロック内のどの画素
が記録されるかを示している。なお、感光材上にハーフ
トーン画像を記録する際には、露光用の光を点灯するこ
とによって画素が黒く記録される。そこで、以下の実施
例では、画素が記録されることを「点灯する」と言う。
【0023】図3の下部に示されているように、ハイラ
イト領域GR1とシャドー領域GR3においては、閾値
マトリクスの決定の際に画像濃度のフーリエスペクトル
が基準として使用される。また、中間調領域GR2にお
いては、画像濃度の偏差が基準として使用される。これ
らの基準の内容については後述する。
【0024】B.第1実施例: (B−1)閾値マトリクス決定の全体手順:図4は、第
1実施例における閾値マトリクスの決定処理の手順を示
すフローチャートである。第1実施例では、複数の網点
を含むスーパーセルが、繰り返しブロックとして使用さ
れる。従って、第1実施例における「ドット」とは、網
点を意味する。
【0025】ステップS1では、繰り返しブロック内の
各網点セル毎に、画素の点灯順位を設定する。図5は、
第1実施例において対象とする繰り返しブロックSCを
示す説明図である。この繰り返しブロックSCは、4×
4個の網点セルHCを含んでいる。繰り返しブロック内
の各網点セルの位置は2桁の数字で特定されており、こ
の2桁の数字を「網点セル番号」と呼ぶ。すなわち、網
点セル番号が「00」の網点セルHC00は、繰り返し
ブロックSCの左上端の位置にあり、網点セル番号が
「33」の網点セルHC33は、繰り返しブロックSC
の右下端の位置にある。ステップS1では、このような
繰り返しブロックSC内の各網点セルHC内の画素につ
いて、各網点セルHC毎に独立した点灯順位が設定され
る。図6は、1つの網点セルHCの中の点灯順位の配列
の一例を示す説明図である。網点セルHC内の各画素に
は、その中心から周辺に向かって値が次第に増大してい
くように点灯順位が設定される。
【0026】なお、この点灯順位は、閾値を決定するた
めに使用されるだけであり、画像信号の増加に応じて各
画素が点灯する順番(最終的な点灯順位)は、最終的に
決定された閾値によって決まる。この意味では、ステッ
プS1で設定される点灯順位は、「予備点灯順位」と呼
ぶこともできる。
【0027】図4のステップS2では、繰り返しブロッ
クSC内の各網点セルの点灯順位データをメインメモリ
内に読込むとともに、繰り返しブロックSC内に複数の
濃度計測点を設定する。図7は、計測点の位置と種類を
示す説明図である。図7(A)は、繰り返しブロックS
Cと網点セルHC00〜HC33の位置関係を示し、図
7(B)は計測点の位置を示している。図7(B)にお
いては、参考のために、網点面積率が50%の時に形成
される網点が斜線で図示されている。計測点としては、
各網点セルの中央に位置する山側計測点P00〜P33
と、各網点セルの4つの角に位置する谷側計測点B00
〜B33とが設定されている。山側計測点の符号(例え
ば「P00」、「P33」)の最後の2つの数字は、そ
の山側計測点を含む網点セルの番号(図7(A))を示
している。また、谷側計測点の符号(例えば「B0
0」、「B33」)の最後の2つの数字は、その谷側計
測点の左上にある山側計測点と同じ数字に設定されてい
る。なお、繰り返しブロックSCは、タイル状に繰り返
し適用されるので、繰り返しブロックSCの辺上には、
等価な計測点(例えばB33,B30等)が繰り返し現
われる。
【0028】ステップS2では、さらに、網点セル相互
の隣接関係を示す隣接関係表も作成される。図8は、網
点セル相互の隣接関係を示す隣接関係表を示す説明図で
ある。例えば、図8(A)において、22番の網点セル
HC22と8近傍の隣接関係にある網点セルの番号は、
32,31,21,11,12,13,23,33であ
る。図8(B)に示す隣接関係表は、各網点セルに関し
て、8近傍の隣接関係にある網点セルの番号が登録され
た表である。
【0029】図4のステップS3では、繰り返しブロッ
クSC内の閾値分布を決定する際に用いられる点灯用ビ
ットマップ領域がメインメモリ内に確保される。点灯用
ビットマップは、点灯する画素には1が設定され、非点
灯の画素には0が設定される深さ1ビットのメモリ領域
である。この点灯ビットマップを利用して、後述する濃
度計測が行なわれる。ステップS3においては、点灯ビ
ットマップデータはすべて0に初期設定される。図9
は、点灯用ビットマップの領域を示す説明図である。点
灯用ビットマップの領域は、繰り返しブロックSCに外
接する矩形の領域(破線で示す)の周囲に、濃度計測の
ための拡張幅を設けた広い領域である。すなわち、繰り
返しブロックSCの角に存在する濃度計測点(図7
(B)参照)において濃度を計測する際には、その周囲
のある程度の範囲の点灯状態を知る必要がある。そこ
で、点灯ビットマップとしては、繰り返しブロックSC
の周囲に所定の拡張幅を設けた広い領域が使用される。
なお、拡張幅は、網点ピッチの2〜3倍の値に設定する
ことが好ましい。
【0030】点灯用ビットマップは、繰り返しブロック
SCよりも広い領域を有しているので、点灯用ビットマ
ップ内には等価な複数の画素が存在する位置がある。こ
のような等価な複数の画素は、同時に点灯するように互
いに関連付けられる。この実施例では、等価な複数の画
素の関連付けを「ネスティング」とよび、その情報を
「ネスティング情報」と呼ぶ。図10は、ネスティング
情報の内容を示す説明図である。図10(A)に示す座
標(100,120)の画素は、図10(B)に示すよ
うに、網点セルHC00の点灯順位1の画素である。図
10(A)に黒丸で示されているように、点灯用ビット
マップ内には、この画素と等価な画素が他にも3つ存在
する。ネスティング情報は、これらの4つの画素の座標
を相互に関連付けている。一方、点灯用ビットマップの
アクセス情報(各画素の点灯順位と点灯の有無を示す情
報)には、1つの繰り返しブロックSCの画素に対応す
る点灯順位が格納されている。そこで、点灯用ビットマ
ップに各画素の点灯状態(1または0)を設定する際に
は、ネスティング情報によって関連付けられた複数の画
素に対して常に同じ点灯状態が設定される。
【0031】図4のステップS4では、ステップS1〜
S3で準備されたデータを元にして、繰り返しブロック
SC内の各画素の閾値が決定される。図11は、ステッ
プS4の詳細手順を示すフローチャートである。ステッ
プS5では、繰り返しブロックSC内の初期点灯位置を
設定し、点灯する。初期点灯位置は、任意の1つの網点
セルの中で点灯順位が1の画素に設定することができ
る。例えば、繰り返しブロックSCの中央の網点セルH
C22の点灯順位1の画素や、繰り返しブロックSCの
左上端の網点セルHC00の点灯順位1の画素を、初期
点灯位置として選択することができる。
【0032】ステップS6では、閾値マトリクスを決定
する際の基準が、フーリエスペクトル基準であるか、濃
度偏差基準であるかが判断される。第1実施例では、前
述した図3に示すように、ハイライト領域GR1とシャ
ドー領域GR3ではフーリエスペクトル基準を用い、中
間調領域GR2では濃度偏差基準を用いる。例えば、閾
値が0〜99の範囲であれば、0〜19の範囲の閾値は
ハイライト領域に相当するので、この範囲の閾値の割り
当ての際にはフーリエスペクトル基準が用いられる。ま
た、20〜79の範囲の閾値は中間調領域に相当するの
で、この範囲の閾値の割て当ての際には濃度偏差基準が
用いられる。また、80〜99の範囲の閾値はシャドー
領域に相当するので、この範囲の閾値の割り当ての際に
はフーリエスペクトル基準が用いられる。
【0033】フーリエスペクトル基準を用いる際にはス
テップS7が実行され、濃度偏差基準を用いる際にはス
テップS8が実行される。これらのステップS7,S8
の詳細については後述する。ステップS9においては、
繰り返しブロックSC内の全点(全画素)についての閾
値決定処理が終了したか否かが判断され、終了していな
ければステップS6に戻る。こうして、繰り返しパター
ンSC内の全画素について閾値が決定されると、ステッ
プS10において必要に応じて閾値の正規化が行なわれ
る。例えば、繰り返しブロック内の全画素数がNの場合
には、ステップS6〜S9において、閾値0〜(N−
1)がN個の画素に割り当てられる。この閾値の範囲を
最終的に0〜254にしたい場合には、これらの閾値の
それぞれに、254/(N−1)を乗じて整数化を行な
えばよい。
【0034】(B−2)フーリエスペクトル基準による
閾値マトリクスの決定手順:図12は、ステップS7の
詳細手順を示すフローチャートである。ステップS11
では、図7(B)に示す各計測点において濃度を計測
し、点灯に影響を受けた計測点の濃度計測値を更新す
る。図13は、濃度の計測方法を示す説明図である。計
測点における濃度値Dは、計測点を中心とした重み関数
W(x,y)を点灯用ビットマップデータB(x,y)
に乗じて積分し、これを、重み関数Wの積分値で規格化
した値である。換言すれば、濃度値Dは、複数の網点セ
ルを含む一定の範囲(これを「計測マスク」と呼ぶ)に
おける点灯用ビットマップデータB(x,y)を、重み
関数W(x,y)で平均したものである。重み関数W
(x,y)の分布としては、ガウス分布を近似した重み
値分布を採用することが好ましい。また、重み関数W
(x,y)の範囲(計測マスク)の直径は、網点ピッチ
の4.25倍程度とすることが好ましい。こうして得ら
れる濃度値Dは、計測マスクのサイズのアパーチャー
(開口)を有する濃度計を用いて、ハーフトーン画像の
濃度を測定して得られる濃度値にほぼ等しい値となる。
【0035】図12のステップS11では、まず、図7
(B)に示す各計測点において図13の方法に従って濃
度値を算出する。そして、濃度計測値が変更された計測
点について、その濃度計測値が更新される。
【0036】ステップS12では、次に点灯させるべき
点灯候補を複数個選択する。点灯候補としては、例えば
点灯順位(図10(B))の低い順に所定数の画素が選
択される。但し、点灯候補の画素としては、次の条件を
満足することが好ましい。
【0037】(条件1):繰り返しブロックSC内の各
ドット間の面積の差は1画素以内であること。 (条件2):既に点灯している画素の周辺の画素である
こと。 (条件3):ドットの重心位置の変動が少ないこと。
【0038】上記の条件1は、画像のざらつきを抑える
ためである。条件2は繰り返しブロックSC内のドット
の個数が一定になるようにするためである。また、条件
3は、ドットが繰り返しブロックSC内でほぼ均一に形
成されるようにするためである。
【0039】ステップS13では、ステップS12で選
択された点灯候補の画素を1つずつ仮点灯し、各点灯候
補が点灯した状態において、各計測点において濃度計測
を行なう。ステップS14では、濃度分布のフーリエス
ペクトル値を基準にして次に点灯させるべき画素位置を
決定し、その画素に閾値を割り当てる。
【0040】図14は、ステップS14の詳細手順を示
すフローチャートである。ステップS21では、複数の
計測点における濃度を補間することによって、所定の複
数のの点における濃度(すなわち2次元的な濃度分布)
を求める。図15は、濃度の補間方法を示す説明図であ
る。図15において、黒丸の点Mは、図7(B)の山側
計測点B00〜B33のいずれかを示しており、白丸の
点V1,V2はその近傍にある谷側計測点を示してい
る。これらの点M,V1,V2は、3次元空間内の点と
して定義されており、そのXY座標は露光面(画像平
面)上の位置を示し、Z座標は濃度値を示している。2
次元濃度分布を求める際には、露光面(XY平面)上に
正方格子状のサンプリングマトリクスSMを設定する。
マトリクスSMの任意の格子点Aにおける濃度値Za
は、XY平面上において格子点Aを取り囲む三角形を構
成する3つの計測点M,V1,V2を特定し、これらの
3つの計測点の濃度値Zm,Zv1,Zv2を補間する
ことによって決定される。
【0041】山側計測点Mから各点V1,V2,Aに向
かうベクトルMV1,MV2,MAは、それぞれ次の数
式1で与えられる(なお、文章中ではベクトルの上の矢
印は省略されている)。
【0042】
【数1】
【0043】3次元空間内の格子点Aの位置(Xa,Y
a,Za)は、3次元空間内の3つの計測点M,V1,
V2を通る平面上に存在するものと仮定する。この平面
の法線ベクトルVERTは、以下の数式2に示すよう
に、2つのベクトルMV1,MV2の外積で与えられ
る。
【0044】
【数2】
【0045】この法線ベクトルVERTとベクトルMA
とは直交するので、次の数式3に示すように、その内積
は0である。
【0046】
【数3】
【0047】格子点A(Xa,Ya,Za)のXY座標
(Xa,Ya)が与えられれば、数式2,3から格子点
Aの濃度値Zaを算出することができる。従って、数式
2,3による補間処理によって、繰り返しブロックSC
内のすべての格子点の濃度値を算出することができる。
【0048】図14のステップS22では、こうして得
られた2次元濃度分布を2次元フーリエ変換してフーリ
エスペクトルを求める。2次元フーリエ変換として高速
フーリエ変換(FFT)のアルゴリズムを用いる場合に
は、サンプリング点の数を2の整数乗とすると、高速に
演算を行うことができる。このため、図15に示すサン
プリングマトリクスSMは、繰り返しブロックSCの各
辺上の格子点の数が2の整数乗になるように設定され
る。なお、山側計測点と谷側計測点は、サンプリングマ
トリクスSMの格子点上に存在する必要は無いが、これ
らの計測点がサンプリングマトリクスSMの格子点上に
存在すれば、補間計算が少なくて済むという利点があ
る。
【0049】図16は、2次元フーリエ変換で得られた
フーリエスペクトルの一例を示すグラフである。図16
の横軸は空間周波数の絶対値fabであり、縦軸はスペク
トル値の絶対値Pである。ここで、「空間周波数の絶対
値fab」とは、2次元フーリエ変換においてX方向の周
波数を基本周波数ωのnx 倍(すなわちnx ・ω)と
し、Y方向の周波数を基本周波数ωのny 倍(すなわち
ny ・ω)としたときの、2つ整数nx ,ny の2乗和
の平方根である。また、フーリエスペクトル値の絶対値
Pは、これらの周波数成分の振幅の2乗和の平方根であ
る。基本周波数ωは、繰り返しブロックSCのピッチ
(すなわち繰り返しブロックSCの一辺の長さ)に対応
している。なお、空間的なフーリエ変換のスペクトルは
「ウィナースペクトル」とも呼ばれている。
【0050】フーリエスペクトルの評価値としては、空
間周波数の所定の評価対象範囲内における最大のスペク
トル値Pmax を使用する。ここで、「評価対象範囲」と
しては、直流成分(空間周波数fabが0の成分)を除
き、空間周波数が比較的小さな範囲(すなわち比較的低
周波の範囲)を用いるのが好ましく、図16の例では1
≦fab≦2の範囲を採用している。空間周波数fab=1
におけるスペクトル値は、繰り返しブロックSCのピッ
チに等しい周期で発生する濃淡成分の大きさを示してい
るので、fab=1に相当する周期で濃淡分布が画像に現
れると目立ち易い。一方、空間周波数fabが高くなる
と、繰り返しブロックSCのピッチに比べて細かい周期
で濃淡が現れることになるので、その濃淡分布は目立ち
難くなる。換言すれば、空間周波数fabが比較的低い範
囲におけるフーリエスペクトル値が小さければ、画像の
ムラとして認識されるような濃淡分布があまり存在しな
い。そこで、この実施例では、空間周波数fabが比較的
小さな評価対象範囲において、スペクトル値Pの最大値
Pmax を評価値として採用している。なお、図16に示
すようなスペクトルとその評価値Pmax は、各点灯候補
毎に算出される。
【0051】図14のステップS23では、複数の点灯
候補の中で、フーリエスペクトルの評価値Pmax が最も
小さい点灯候補を、次の点灯位置として決定する。次の
点灯位置として決定された画素には、繰り返しブロック
SC中の全画素中における点灯の順番を、その画素の閾
値として割り当てる。すなわち、その点灯位置が繰り返
しブロックSC内でm番目に点灯する画素である場合に
は、閾値として(m−1)が割り当てられる。
【0052】このように、フーリエスペクトル基準に従
って閾値を決定するようにすれば、空間周波数が比較的
低い範囲におけるフーリエスペクトル値を小さくできる
ので、比較的大きな周期の濃淡分布を緩和することがで
きる。比較的大きな周期の濃淡分布は、画像のムラ(フ
ォーメーションムラ)として観察されるので、上記の閾
値決定方法によれば、画像のムラを低減することができ
る。
【0053】こうして、1つの点灯画素と、その閾値が
決定されると、図12のステップS15において、ハイ
ライト領域GR1またはシャドー領域GR3(図3)の
中の点灯が終了したか否かが判断される。全体の手順の
中ではハイライト領域GR1における閾値が最初に決定
されるので、ハイライト領域GR1内の総ての階調に対
する閾値が決定されるまでステップS11〜S15が繰
り返される。そして、ハイライト領域GR1内の総ての
階調に対する閾値が決定されると、図11のステップS
9、S6を経由して、ステップS8において濃度偏差基
準による閾値の決定処理が実行され、中間調領域GR2
における閾値が決定される。中間調領域GR2における
閾値が決定されると、図11のステップS9,S6を経
由して、再びステップS7が実行され、シャドー領域G
R3における閾値が決定される。
【0054】図17は、従来の方法で決定された閾値マ
トリクスを用いて再現されたハーフトーン画像のフーリ
エスペクトル(ウィナースペクトル)の例と、上記実施
例の方法で決定された閾値マトリクスを用いて再現され
たフーリエスペクトルの例とを比較して示すグラフであ
る。評価対象範囲では、従来例に比べて実施例の方がス
ペクトル値の最大値(すなわち評価値)が小さい。従っ
て、実施例によって決定された閾値マトリクスを用いれ
ば、ハイライト領域GR1やシャドー領域GR3におい
て、比較的低周波の濃淡分布が少なくなり、画像のムラ
が目立ち難いハーフトーン画像が得られる。なお、評価
対象範囲よりも高い空間周波数の範囲では実施例の方が
従来例よりもスペクトル値が大きいが、高い空間周波数
を有する濃淡分布は目立ち難いので実用上は問題となら
ない。
【0055】なお、評価対象範囲におけるスペクトル値
の最大値と最小値の比は約3:1以下となるように(す
なわち、その比の値が約3以下となるように)すること
が好ましい。こうすれば、評価対象範囲内の各周波数に
対するスペクトル値が平均的に小さく保たれるので、画
像のフォーメーションムラをうまく低減することができ
る。
【0056】(B−3)濃度偏差基準による閾値マトリ
クスの決定手順:図18は、図11のステップS8の詳
細手順を示すフローチャートである。ステップS31で
は、図7(B)に示す各計測点において濃度を計測し、
点灯に影響を受けた計測点の濃度計測値を更新する。こ
のステップS31の処理は、図12のステップS11と
同じであり、前述した図13に示す濃度の計測方法を用
いる。
【0057】図19は、濃度計測値の結果の一例を示す
説明図である。図19(A)の横軸は、計測点の位置を
示しており、縦軸は濃度値を示している。なお、横軸上
には山側計測点と谷側計測点が交互に配置されている
が、図示の便宜上、それらの軸が別々に示されている。
図19の例では、網点セルHC22の山側計測点P22
が最低濃度値を示している。
【0058】ステップS32では、最低濃度値を示す計
測点の近傍から、次に点灯させるべき点灯候補を複数個
選択する。図20は、点灯候補の選択方法の概要を示す
説明図である。図20において、網点セルHCmnの山
側計測点Pmnまたは谷側計測点Bmnが計測点の中の
最低濃度値を示すものと仮定する。
【0059】山側計測点Pmnが最低濃度値を示す場合
には、その網点セルHCmn内の未点灯の画素の中から
所定の個数(例えば3個)の画素を点灯順位に従って選
択し、点灯候補とする。図21は、点灯候補の具体的な
選択方法を示す説明図である。図21は、網点セルHC
22内において3個の点灯候補が選択される場合を示し
ている。網点セルHC22内の未点灯の画素の中で、点
灯順位が早い3つの画素は、点灯順位が102,10
3,105の画素である。従って、これらの3つの画素
が点灯候補として選択される。
【0060】一方、谷側計測点Bmnが最低濃度値を示
す場合には、その谷側計測点Bmnの近傍から点灯候補
を選択したい。そこで、この場合には、図20(C)に
示すように、谷側計測点Bmnの周囲の4つの網点セル
内の未点灯の画素の中から所定の個数の画素を点灯順位
に従って選択し、点灯候補とする。
【0061】図18のステップS33では、ステップS
32で選択された点灯候補の画素を1つずつ仮点灯し、
各点灯候補が点灯した状態において、各計測点において
濃度計測を行なう。図22は、3つの点灯候補をそれぞ
れ点灯させた状態で得られた濃度値の算出結果を示して
いる。図22(B)〜(D)に例示されているように、
各点灯候補を点灯させた時に得られる濃度計測値の分布
において、濃度偏差をそれぞれ求める。ここで、濃度偏
差とは、最高濃度値と最低濃度値との差分である。濃度
偏差が少ないということは、画像のムラが少ないことを
意味する。そこで、図18のステップS34では、複数
の点灯候補の中で、濃度偏差が最小となる点灯候補を、
次の点灯位置として決定する。次の点灯位置として決定
された画素には、繰返しブロックSC中の全画素中の点
灯順位を、その画素の閾値として割り当てる。すなわ
ち、その点灯位置が繰返しブロックSC内でm番目に点
灯する画素である場合には、閾値として(m−1)が割
り当てられる。
【0062】ステップS35では、中間調領域GR3内
における閾値の割り当てが終了したか否かが判断され
る。終了していなければ、ステップS31に戻り、上述
のステップS31〜S34の処理を繰返す。
【0063】このように、中間調領域GR2において
は、濃度偏差が最小となる点灯候補を次の点灯位置とし
て採用しているので、濃度偏差を小さく抑えることがで
き、この結果、中間調領域GR2における画像のムラを
低減することができる。一方、前述したように、ハイラ
イト領域GR1とシャドー領域GR3においては、空間
周波数の低周波成分のスペクトル値が小さくなるように
閾値マトリクスを決定しているので、これらの領域GR
1,GR3における画像のフォーメーションムラを小さ
く抑えることができる。従って、すべての階調範囲にお
いて、画像のムラを小さく抑えることが可能である。
【0064】なお、少なくともハイライト領域GR1に
おいてフーリエスペクトル値基準で閾値マトリクスを決
定すれば、ハイライト領域GR1におけるフォーメーシ
ョンムラを低減できるので、中間調領域GR2とシャド
ー領域GR3における閾値マトリクスは上記第1実施例
とは異なる他の方法によって決定するようにしてもよ
い。あるいは、少なくともシャドー領域GR3において
フーリエスペクトル値基準で閾値マトリクスを決定し、
ハイライト領域GR1と中間調領域GR2における閾値
マトリクスを上記第1実施例とは異なる他の方法によっ
て決定するようにしてもよい。
【0065】換言すれば、繰り返しブロックSC内の複
数の画素に対する複数の閾値のうちの少なくとも一部
は、上述のフーリエスペクトル値基準を用いた第1のモ
ードで決定されていることが好ましい。この第1のモー
ドでは、繰り返しブロックSCのほぼ全体にほぼ一定の
画像信号が適用されたときに、繰り返しブロックSC内
に形成される複数のドットの面積率が互いにほぼ等しく
なり、かつ、濃度分布のフーリエスペクトルの交流低周
波成分の所定の評価対象範囲におけるスペクトル値の最
大値を小さくするように閾値が決定される。また、中間
調領域GR2においては、第1のモードとは異なる第2
のモードで閾値が決定されることが好ましい。この第2
のモードでは、上述した濃度偏差基準で閾値が決定され
ることが特に好ましい。濃度偏差基準のモードでは、繰
り返しブロックSCの全体にほぼ一定の画像信号が適用
されたときに、複数のドットの面積率が互いにほぼ等し
くなり、かつ、複数の濃度測定位置において算出される
濃度値の間の偏差の最大値と最小値の差分が、高々約
0.3%となるように閾値が決定される。
【0066】C.第2実施例: (C−1)第2実施例の概要:図23(A),(B)
は、第2実施例において、繰り返しブロック内に形成さ
れるドットパターンの例を示す説明図である。繰り返し
ブロックSCa内の各ドットは黒画素の集合であり、各
ドットのサイズ(黒画素の数)は画像信号レベルに応じ
て成長する。複数のドットの位置は、繰り返しブロック
SCaの中でほぼ均一に、かつ、不規則的に分布するよ
うに予め設定されている。なお、繰り返しブロックSC
a内のドットの数は、階調のほぼ全範囲を通じて一定で
もよく、あるいは、階調範囲によってドットの数が変化
してもよい。階調範囲によってドットの数が変化する場
合にも、互いに区分された各階調範囲内ではドットの数
が一定であり、ドットの大きさが階調レベルの増大に応
じて増大するように閾値マトリクスが決定される。
【0067】図23に示すドットパターンは、前述した
図2に示す網点のパターンとは異なり、スクリーン角度
やスクリーン線数という概念が当てはまらない。本発明
は、このようなドットパターンを用いたハーフトーン化
技術にも適用可能である。すなわち、本発明は一般に、
繰り返しブロック内に複数のドットが形成され、各ドッ
トが画像信号レベル(すなわち階調レベル)の増加に従
って成長するようなハーフトーン化技術に適用可能であ
る。
【0068】図24は、第2実施例におけるドットセン
タの配置を示す説明図である。この例では、9つの繰り
返しブロックSCaがタイル状に配列されており、各ド
ットのドットセンタの位置が黒点で示されている。「ド
ットセンタ」とは、ドットの成長の中心という意味であ
る。なお、9つの繰り返しブロックSCaは、すべて同
じドット配置を有している。
【0069】図24の中央にある繰り返しブロックSC
aにおいては、各ドットセンタを示す黒点の周りに円が
描かれており、また、各ドットセンタを囲む多角形が描
かれている。これらの多角形は「ボロノイ多角形」と呼
ばれるものである。ボロノイ多角形は、ある任意のドッ
トセンタと近傍のドットセンタとを結ぶ直線の垂直二等
分線をそれぞれ求め、これらの垂直二等分線同士の交点
を結ぶことによって形成される多角形である。ボロノイ
多角形の頂点をボロノイ頂点、辺をボロノイ辺、ドット
センタを母点と呼ぶ。また、図24のように、多数の母
点に関するボロノイ多角形を示す図は、ボロノイ図と呼
ばれる。ボロノイ図を用いたドットセンタ位置の決定方
法についてはさらに後述する。
【0070】ボロノイ図は、施設配置問題と呼ばれる地
理的最適化問題の解法の1つとして知られている。施設
配置問題は、2次元空間内に複数個の施設を配置する際
に、2次元空間内に存在する多数の利用者が施設を利用
する際の費用の総計が最も小さくなるように施設の配置
を決定する非線形最適化問題である。ここで、「費用」
の評価関数は、例えば利用者から各施設までの距離であ
る。郵便局や公衆電話を利用しやすく配置するために、
ボロノイ図を利用することができる。ボロノイ図につい
ては、例えば「計算幾何学と地理情報処理」,bit別
冊(1986年9月号)、伊理正夫監修、共立出版、1
63〜168頁、1986年9月10日発行、に詳述さ
れている。
【0071】ボロノイ多角形の母点にドットセンタの中
心を配置すれば、ドット同士の距離がかなり均等になる
ので、ハイライト領域GR1における画像のざらつきを
緩和することができるという利点がある。なお、ボロノ
イ多角形の頂点(ボロノイ頂点)にドットセンタを配置
することも可能である。例えば、ハイライト領域GR1
では母点のみにドットセンタを配置し、中間調領域GR
2では母点に加えてボロノイ頂点にドットセンタを配置
することができる。なお、この場合には、母点をドット
センタとするドットに比べて、ボロノイ頂点をドットセ
ンタとするドットの方がサイズが小さくなる傾向にあ
る。
【0072】第2実施例においても、上述した第1実施
例における階調範囲の区分(図3)や、閾値マトリクス
の決定手順(図4,図11,図12,図14,図18)
を同様に適用することができる。但し、第1実施例の説
明における「網点」は、第2実施例では「ドット」と読
み替えられる。
【0073】第2実施例では、ドットの配置が不規則的
なので、フーリエスペクトル基準で閾値マトリクスを決
定する際の2次元的な濃度分布の決定方法が第1実施例
と異なる。図25は、第2実施例における濃度計測点を
示す説明図である。第2実施例においては、図25に黒
丸で示す各点において(すなわちボロノイ多角形の母点
とボロノイ頂点とにおいて)濃度が計測される。濃度の
計測方法は、図13に示した第1実施例の方法と同じも
のを使用できる。
【0074】繰り返しブロックSCaの中には、正方格
子状のサンプリングマトリクスSMaが設定されてい
る。2次元フーリエ変換として高速フーリエ変換(FF
T)のアルゴリズムを使用する場合には、サンプリング
マトリクスSMaは、繰り返しブロックSCaの一辺に
おける格子点の数が2の整数乗になるように設定され
る。
【0075】図25(B)は、サンプリングマトリクス
SMaの或る格子点LPにおける濃度値を補間する際に
用いられる三角形を示している。ここでは、1つの母点
DCと、この母点DCを中心とするボロノイ多角形の頂
点V1〜V6とが示されている。格子点LPにおける濃
度値を補間する際には、この格子点LPに最も近い母点
DCと、格子点LPに最も近い2つのボロノイ頂点V
5,V6と、を3頂点とする三角形を用いて補間が実行
される。補間方法は、図15に示した第1実施例の方法
(数式1〜3を用いたもの)と同じものを使用できる。
こうして求められた各格子点の濃度値を用いて、2次元
FFTを実行することによって、濃度分布のフーリエス
ペクトルを求めることができる。なお、ボロノイ多角形
の母点と頂点において濃度を計測する代わりに、サンプ
リングマトリクスSMaの少なくとも一部の格子点にお
いて濃度を計測し、残り格子点の濃度を補間するように
してもよい。
【0076】上記第2実施例によれば、不規則的なドッ
ト位置を有するハーフトーン画像を作成するハーフトー
ン化技術においても、第1実施例と同様に、画像のムラ
を低減することが可能である。
【0077】(C−2)ボロノイ多角形の決定方法:図
26は、ボロノイ多角形を決定するための施設配置問題
に用いられるマトリクスMT1と、最終的に得られる閾
値マトリクスMT2との関係を示す説明図である。施設
配置問題に用いられるマトリクスMT1は、M×M個の
小区画SDを有している。一方、閾値マトリクスMT2
は、N×N個の画素を有している。
【0078】マトリクスMT1における1つの小区画S
Dは、閾値マトリクスMT2内における1つの小区画領
域SDAに対応している。1つの小区画領域SDAは、
Mag個の画素を含んでいる。図26の例では、Mag=9
である。なお、1つの閾値マトリクスMT2は、前述し
た図24に示す1つの繰り返しブロックSCaに対応し
ている。マトリクスMT1内の母点の位置は、後述する
ボロノイ多角形の決定処理によって決定される。そし
て、マトリクスMT1内の母点の位置に対応する閾値マ
トリクスMT2内の画素位置がドットセンタとして選択
される。例えば、図26の小区画SDが母点である場合
には、これに対応する閾値マトリクスMT2内の小区画
領域SDAの中心画素位置が、ドットセンタとして選択
される。
【0079】図27は、ボロノイ多角形を決定するため
の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS4
1では、予め設定されたドットセンタの数に等しい数の
母点を、マトリクスMT1内に配置する。図28(a)
〜(c)は、ボロノイ多角形の決定手順を示す説明図で
ある。図28(a)には、マトリクスMT1内に複数個
の母点が配置されている状態を示している。但し、図2
8(a)では簡単のために母点の数を少なくしている。
図28(b)は、図28(a)に対応するボロノイ図を
示している。このボロノイ図は、任意の母点と近傍の母
点とを結ぶ直線の垂直二等分線をそれぞれ求め、これら
の垂直二等分線同士の交点を結ぶことによって形成され
る。なお、ボロノイ図を作成する際には、マトリクスM
T1が繰り返しタイル状に配列された状態を仮定するの
で、図28(b)においてもマトリクスMT1の外側に
母点が描かれている。
【0080】ステップS42では、各ボロノイ多角形の
重心位置を計算し、各母点を重心位置にそれぞれ移動さ
せる。この様子は、図28(c)に示されている。図2
8(c)の黒四角は移動前の母点の位置を示し、斜線が
付された四角は重心位置(移動後の母点の位置)を示し
ている。なお、マトリクスMT1のほぼ中央に存在する
3つの母点は、移動前後で同じ位置を占めている。
【0081】ステップS43では、複数の母点の移動量
が所定の閾値以下であるか否かが判断され、閾値以下で
なければステップS43を再度実行する。例えば、マト
リクスMT1内の複数個の母点についての移動量の合計
を算出し、この合計値が5画素を越えていれば、ステッ
プS42に戻り、母点を再度移動させる。一方、母点の
移動量が閾値以下であれば、ステップS42,S43の
処理を終了する。こうしてステップS42,S43の処
理が収束すると、図24に示すようなボロノイ図が得ら
れる。
【0082】こうして収束したボロノイ図が得られる
と、ボロノイ図の母点をドットセンタに割り当てて、繰
り返しブロックSCa内の閾値分布(すなわち閾値マト
リクスMT2)を決定する。この際、前述した図26に
示すように、ボロノイ図を求めるために使用したマトリ
クスMT1の各小区画SDをMag画素の小区画領域SD
Aにそれぞれ割り当てることによって、N×N画素領域
である閾値マトリクスMT2の領域(すなわち繰り返し
ブロックSCa)を構成する。そして、この繰り返しブ
ロックSCa内において、ボロノイ図の母点に相当する
画素位置をドットセンタとして割り当てる。閾値分布
は、階調レベルの増加とともにドットセンタを中心とし
てドットが成長するように決定される。
【0083】D.ハーフトーン画像記録装置の構成:図
29は、上述の実施例に従って作成された閾値マトリク
スを用いるハーフトーン画像記録装置の構成を示すブロ
ック図である。このハーフトーン画像記録装置は、CP
U30と、メインメモリ(ROMおよびRAM)32
と、外部記憶装置34(例えばフレキシブルディスク装
置やハードディスク装置)と、SPMメモリ36と、副
走査アドレスカウンタ38と、主走査アドレスカウンタ
40と、比較器42とを備えている。また、このハーフ
トーン画像装置は、ハーフトーン画像を光ビームで記録
媒体上に記録するための図示しない露光装置も備えてい
る。SPMメモリ36は、繰り返しブロックSC(また
はSCa)内の閾値を含む閾値マトリクスを記憶する。
外部記憶装置34には、上述の実施例に従って作成され
た複数種類の閾値マトリクスが記憶されており、その中
の1つが選択されてSPMメモリ36に転送される。
【0084】上述の実施例において繰り返しブロックS
C,SCa内の閾値マトリクスを決定するための種々の
機能は、このコンピュータシステムのCPU(マイクロ
プロセッサ)30が、コンピュータプログラムを実行す
ることによって実現される。上述の機能を実現するコン
ピュータプログラム(アプリケーションプログラム)
は、フレキシブルディスクやCD−ROM等の携帯型の
記録媒体(可搬型の記録媒体)からコンピュータシステ
ムのメインメモリまたは外部記憶装置に転送される。あ
るいは、通信経路を介してプログラム供給装置からコン
ピュータシステムに供給するようにしてもよい。
【0085】副走査アドレスカウンタ38には、副走査
スタート信号Rxと、副走査クロック信号Cxとが入力
されている。副走査スタート信号Rxは、光ビームの副
走査座標が初期位置にリセットされた時に1パルス発生
する信号である。副走査クロック信号は、光ビームの副
走査座標が更新されるたびに1パルス発生する信号であ
る。副走査アドレスカウンタ38は、これらの信号R
x,Cxに応じて、繰り返し単位ブロック内における光
ビームの副走査座標を生成し、これをSPMメモリ36
に副走査アドレスとして供給する。主走査アドレスカウ
ンタ40も同様に、主走査スタート信号Ryと主走査ク
ロック信号Cyとに応じて、繰り返し単位ブロック内に
おける光ビームの主走査座標を生成し、これをSPMメ
モリ36に主走査アドレスとして供給する。これら2つ
のアドレスカウンタ38,40から与えられたアドレス
に応じて、SPMメモリ36内の閾値マトリクスから1
つの閾値Ssが読出されて、比較器42に供給される。
【0086】比較器42は、この閾値Ssを入力画像信
号Imと比較し、この比較結果に応じた2値化出力(露
光信号、ハーフトーン画像信号)を生成する。2値化出
力のレベルは、次の通りである。 Ss<Imの時:Hレベル(露光、点灯); Im≦Ssの時:Lレベル(非露光、非点灯)。 なお、入力画像信号Imが0〜255の範囲である場合
には、閾値Ssの範囲は0〜254となる。
【0087】図示しない露光装置は、この2値化出力に
応じて感光性の画像記録媒体(例えば感光フィルム)を
光ビームで露光し、これによって画像記録媒体上にハー
フトーン画像を形成する。このようにしてYMCKの各
色版のハーフトーン画像を作成し、これらのハーフトー
ン画像をそれぞれの色のインクで刷り重ねることによっ
て、多色印刷物を得ることができる。
【0088】なお、この発明は上記の実施例や実施形態
に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々の態様において実施することが可能であり、
例えば次のような変形も可能である。
【0089】(1)この実施例では、1つの繰り返しブ
ロックSCを閾値の割り当て処理の対象としているが、
複数の繰り返しブロックSCを含むような、より広い領
域を処理の対象領域として採用することも可能である。
【0090】(2)計測点としては、図7(B)に示す
もの以外の点を採用することも可能である。例えば、繰
り返しブロック内のすべての画素を計測点として使用す
ることもできる。あるいは、図7(B)の山側計測点や
谷側計測点とは異なる位置において、一定間隔で(例え
ばサンプリングマトリクスSM上の格子点上に)計測点
を配置することも可能である。また、繰り返しブロック
SC,SCa内にランダムに計測点を配置するようにし
てもよい。
【0091】(3)濃度計測を行なう際の重み関数W
(x,y)としては、図13に示したもの以外の種々の
ものを利用することも可能である。例えば、本出願人に
より開示された特公昭61−27683号公報の第5図
に記載された重み関数を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】1つの網点セルを1つの繰り返しブロックとす
る方法を示す説明図。
【図2】複数の網点セルを含む広い領域を1つの繰り返
しブロックとする方法を示す説明図。
【図3】本発明の第1実施例における階調範囲の区分を
示す説明図。
【図4】第1実施例における閾値マトリクスの決定処理
の手順を示すフローチャート。
【図5】第1実施例において対象とする繰り返しブロッ
クSCを示す説明図。
【図6】1つの網点セルHCの中の点灯順位の配列の一
例を示す説明図。
【図7】計測点の位置と種類を示す説明図。
【図8】網点セル相互の隣接関係を示す隣接関係表を示
す説明図。
【図9】点灯用ビットマップの領域を示す説明図。
【図10】ネスティング情報の内容を示す説明図。
【図11】ステップS4の詳細手順を示すフローチャー
ト。
【図12】ステップS7の詳細手順を示すフローチャー
ト。
【図13】濃度の計測方法を示す説明図。
【図14】ステップS14の詳細手順を示すフローチャ
ート。
【図15】濃度の補間方法を示す説明図。
【図16】2次元フーリエ変換で得られたフーリエスペ
クトルを示すグラフ。
【図17】従来の方法で決定された閾値マトリクスによ
るフーリエスペクトルと実施例の方法で決定された閾値
マトリクスによるウーリエスペクトルの例とを比較して
示すグラフ。
【図18】ステップS8の詳細手順を示すフローチャー
ト。
【図19】各計測点における濃度計測値の分布の一例を
示す説明図。
【図20】点灯候補の選択方法を示す説明図。
【図21】点灯候補の具体的な選択方法を示す説明図。
【図22】3つの点灯候補をそれぞれ点灯させた状態で
得られた濃度値の算出結果を示す説明図。
【図23】第2実施例における繰り返しブロックSCa
内に形成されるドットパターンの例を示す説明図。
【図24】第2実施例におけるドットセンタの配置を示
す説明図。
【図25】第2実施例における濃度計測点を示す説明
図。
【図26】ボロノイ図を作成する際に用いられるマトリ
クスと、最終的に得られる閾値マトリクスとの関係を示
す説明図。
【図27】ボロノイ多角形の決定手順を示すフローチャ
ート。
【図28】ボロノイ多角形の決定手順を示す説明図。
【図29】網点形成装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
30…CPU 32…メインメモリ 34…外部記憶装置 36…SPMメモリ 38…副走査アドレスカウンタ 40…主走査アドレスカウンタ 42…比較器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 1/40 - 1/409 H04N 1/46 H04N 1/60

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録された画素の集合であるドットが複
    数個形成される所定形状の領域である繰り返しブロック
    について、前記繰り返しブロック内の各画素に割り当て
    られた閾値を有する閾値マトリクスを作成する方法であ
    って、 (a)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
    設定する工程と、 (b)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の点
    灯候補画素を選択する工程と、 (c)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ仮点
    灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よりも
    前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記複数
    の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出するとと
    もに、算出された濃度値を用いて前記繰り返しブロック
    内の2次元濃度値分布を求める工程と、 (d)前記2次元濃度値分布をフーリエ変換してフーリ
    エスペクトルを求める工程と、 (e)前記フーリエスペクトルの所定の空間周波数範囲
    にあるスペクトル値の最大値が最も小さな点灯候補画素
    を次の点灯位置として決定するとともに、点灯順位に応
    じた閾値を割り当てる工程と、 (f)前記工程(b)ないし(e)を、所定数の画素位
    置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する工程
    と、 を含む第1のモードで前記閾値マトリクス内の複数の閾
    値のうちの少なくとも一部を決定することを特徴とする
    閾値マトリクスの作成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の閾値マトリクスの作成方
    法であって、 全階調範囲を階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、
    第2の階調範囲と、第3の階調範囲とに少なくとも区分
    し、 前記第1と第3の階調範囲では前記第1のモードで前記
    閾値マトリクス内の閾値を決定するとともに、前記第2
    の階調範囲では第2のモードで前記閾値マトリクス内の
    閾値を決定し、 前記第2のモードは、 (i)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
    設定する工程と、 (ii)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の
    点灯候補画素を選択する工程と、 (iii)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ
    仮点灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よ
    りも前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記
    複数の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出する
    工程と、 (iv)前記複数の濃度測定位置における濃度値の偏差
    が最も小さな点灯候補画素を次の点灯位置として決定す
    るとともに、点灯順位に応じた閾値を割り当てる工程
    と、 (v)前記工程(ii)ないし(iv)を、所定数の画
    素位置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する
    工程と、 を含む閾値マトリクスの作成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の閾値マトリクスの作成方
    法であって、さらに、 前記繰り返しブロック内の全画素に対する閾値の割り当
    てが終了した後で、前記繰り返しブロック内の各画素に
    割り当てられた閾値を正規化する工程、を備える閾値マ
    トリクスの作成方法。
  4. 【請求項4】 記録された画素の集合である複数のドッ
    トが形成される所定形状の領域である繰り返しブロック
    について、前記繰り返しブロック内の各画素に割り当て
    られた閾値の決定処理を実現するコンピュータプログラ
    ムを格納する記録媒体であって、(a)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
    設定する工程と、 (b)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の点
    灯候補画素を選択する工程と、 (c)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ仮点
    灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よりも
    前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記複数
    の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出するとと
    もに、算出された濃度値を用いて前記繰り返しブロック
    内の2次元濃度値分布を求める工程と、 (d)前記2次元濃度値分布をフーリエ変換してフーリ
    エスペクトルを求める工程と、 (e)前記フーリエスペクトルの所定の空間周波数範囲
    にあるスペクトル値の最大値が最 も小さな点灯候補画素
    を次の点灯位置として決定するとともに、点灯順位に応
    じた閾値を割り当てる工程と、 (f)前記工程(b)ないし(e)を、所定数の画素位
    置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する工程
    と、 を含む第1のモードで前記閾値マトリクス内の複数の閾
    値のうちの少なくとも一部を決定する処理をコンピュー
    タに実行させる コンピュータプログラムを格納すること
    を特徴とする記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の記録媒体であって、 全階調範囲を階調レベルの低い順に第1の階調範囲と、
    第2の階調範囲と、第3の階調範囲とに少なくとも区分
    したとき、 前記コンピュータプログラムは、前記第1と第3の階調
    範囲では前記第1のモードで前記閾値マトリクス内の閾
    値を前記コンピュータに決定させるとともに、前記第2
    の階調範囲では第2のモードで前記閾値マトリクス内の
    閾値を前記コンピュータに決定させ、 前記第2のモードは、 (i)前記繰り返しブロック内に複数の濃度測定位置を
    設定する工程と、 (ii)前記繰り返しブロック内の画素の中から複数の
    点灯候補画素を選択する工程と、 (iii)前記複数の点灯候補画素をそれぞれ1つずつ
    仮点灯させた状態であって、かつ、前記点灯候補画素よ
    りも前の点灯順位を有する画素を点灯させた状態で前記
    複数の濃度測定位置において濃度値をそれぞれ算出する
    工程と、 (iv)前記複数の濃度測定位置における濃度値の偏差
    が最も小さな点灯候補画素を次の点灯位置として決定す
    るとともに、点灯順位に応じた閾値を割り当てる工程
    と、 (v)前記工程(ii)ないし(iv)を、所定数の画
    素位置に対する閾値の割り当てが終了するまで継続する
    工程と、 を含む記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の記録媒体であって、前記
    コンピュータプログラムは、さらに、 前記繰り返しブロック内の全画素に対する閾値の割り当
    てが終了した後で、前記繰り返しブロック内の各画素に
    割り当てられた閾値を正規化する工程、をコンピュータ
    に実行させる記録媒体。
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