JP3480577B2 - 耐酸化性に優れたTi−A1系合金およびその製造方法 - Google Patents
耐酸化性に優れたTi−A1系合金およびその製造方法Info
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Description
【0001】
本発明は、耐酸化性に優れたTi−Al系合金およびその
製造方法に関するものである。
製造方法に関するものである。
【0002】
Ti−Al系合金は、軽量で高温強度、クリープ強度の点
で優れており、軽量耐熱材料として実用化が進められて
いる。しかし、酸化雰囲気中で高温に加熱すると著しく
酸化するという問題を有している。従って、Ti−Al系合
金を耐熱材料として使用するためには、耐酸化性の向上
が不可欠であり、第三元素添加あるいは表面処理法の検
討がなされている。
で優れており、軽量耐熱材料として実用化が進められて
いる。しかし、酸化雰囲気中で高温に加熱すると著しく
酸化するという問題を有している。従って、Ti−Al系合
金を耐熱材料として使用するためには、耐酸化性の向上
が不可欠であり、第三元素添加あるいは表面処理法の検
討がなされている。
【0003】
例えば、Ti−Al系合金に、クロム(Cr)、モリブデン
(Mo)、ニオブ(Nb)、珪素(Si)、タンタル(Ta)、
タングステン(W)などの第三元素を添加すると、耐酸
化性は改善される。しかしながら、900℃以上の大気中
では、酸化速度が大きいため、十分な耐酸化性が得られ
ないという問題を有している。
(Mo)、ニオブ(Nb)、珪素(Si)、タンタル(Ta)、
タングステン(W)などの第三元素を添加すると、耐酸
化性は改善される。しかしながら、900℃以上の大気中
では、酸化速度が大きいため、十分な耐酸化性が得られ
ないという問題を有している。
【0004】
一方、表面処理法による耐酸化性の改善例として、
(1)低酸素分圧下熱処理法、(2)アルミナイジング
処理法、(3)クロマイズ処理法、などがあるが、いず
れも母材との密着性や被膜の長期安定性の点から、必ず
しも有効な対策となっていない。
(1)低酸素分圧下熱処理法、(2)アルミナイジング
処理法、(3)クロマイズ処理法、などがあるが、いず
れも母材との密着性や被膜の長期安定性の点から、必ず
しも有効な対策となっていない。
【0005】
そこで、これら問題を解決するため、スパッタリング
と拡散熱処理によって、あるいはMoおよび/またはWの
酸化物の存在下で加熱処理し、さらに必要により拡散熱
処理によって、Ti−Al系金属間化合物材の表面に深さ方
向へ0.5μm以上の厚さのMoおよび/またはW濃化層を
形成することを特徴とする「耐酸化性に優れたTi−Al系
金属間化合物材とその製造方法」(特開平5−78817号
公報)が提案されている。これより、MoまたはW濃化層
を設けることにより,横方向へのAl2O3層の生成が促さ
れ、耐酸化性が著しく改善されるとしている。
と拡散熱処理によって、あるいはMoおよび/またはWの
酸化物の存在下で加熱処理し、さらに必要により拡散熱
処理によって、Ti−Al系金属間化合物材の表面に深さ方
向へ0.5μm以上の厚さのMoおよび/またはW濃化層を
形成することを特徴とする「耐酸化性に優れたTi−Al系
金属間化合物材とその製造方法」(特開平5−78817号
公報)が提案されている。これより、MoまたはW濃化層
を設けることにより,横方向へのAl2O3層の生成が促さ
れ、耐酸化性が著しく改善されるとしている。
【0006】
しかしながら、特開平5−78817号公報に記載の「耐
酸化性に優れたTi−Al系金属間化合物材とその製造方
法」は、以下のような問題点を有している。すなわち、
上記Ti−Al系金属間化合物材では、表面近傍にTiが多く
存在しているため、Moおよび/あるいはW膿化相を表面
に形成するだけでは、十分な耐酸化性を確保できる保護
被膜を形成できない。このため、大気中での酸化雰囲気
ではアルミナの保護被膜を形成するのみならず、TiO2が
形成されてしまう。このTiO2が形成されると基材内部に
まで成長し、耐酸化性を著しく劣化してしまう。従っ
て、十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成できな
い。
酸化性に優れたTi−Al系金属間化合物材とその製造方
法」は、以下のような問題点を有している。すなわち、
上記Ti−Al系金属間化合物材では、表面近傍にTiが多く
存在しているため、Moおよび/あるいはW膿化相を表面
に形成するだけでは、十分な耐酸化性を確保できる保護
被膜を形成できない。このため、大気中での酸化雰囲気
ではアルミナの保護被膜を形成するのみならず、TiO2が
形成されてしまう。このTiO2が形成されると基材内部に
まで成長し、耐酸化性を著しく劣化してしまう。従っ
て、十分な耐酸化性を確保できる保護被膜を形成できな
い。
【0007】
また、Moおよび/またはWを付着させ、しかる後に70
0〜1450℃の温度範囲で拡散処理を施す必要があり、こ
れら金属粉末が焼結・固化してしまうおそれがあり、Ti
−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じる。
0〜1450℃の温度範囲で拡散処理を施す必要があり、こ
れら金属粉末が焼結・固化してしまうおそれがあり、Ti
−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じる。
【0008】
さらに、Mo酸化物および/またはW酸化物ともにTi−
Al系金属間化合物材を、密閉容器内で加熱した場合、上
記金属粉末と同様に焼結・固化するおそれがあり、さら
にTi−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じる。こ
れら付着物は酸化雰囲気中にTi−Al系金属間化合物材と
低融点の反応生成物を形成する虞があり、耐酸化性がむ
しろ低下する。また、密閉容器内での加熱処理する処理
方法は、生産性の点でも問題を有している。
Al系金属間化合物材を、密閉容器内で加熱した場合、上
記金属粉末と同様に焼結・固化するおそれがあり、さら
にTi−Al系金属間化合物材に付着する問題が生じる。こ
れら付着物は酸化雰囲気中にTi−Al系金属間化合物材と
低融点の反応生成物を形成する虞があり、耐酸化性がむ
しろ低下する。また、密閉容器内での加熱処理する処理
方法は、生産性の点でも問題を有している。
【0009】
発明の開示
(発明の目的)
本発明の目的は、耐酸化性に優れたTi−Al系合金を提
供するにある。
供するにある。
【0010】
本発明の他の目的は、耐酸化性に優れたTi−Al系合金
の製造方法を提供するにある。
の製造方法を提供するにある。
【0011】
(発明の構成)
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi
−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由エネルギ
の負の値が小さい酸化物とともに加熱処理してなり、 Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制する操
作を行いつつ、前記酸化物を構成する元素の酸化物,該
元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸化
物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してなる
ことを特徴とする。
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi
−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由エネルギ
の負の値が小さい酸化物とともに加熱処理してなり、 Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制する操
作を行いつつ、前記酸化物を構成する元素の酸化物,該
元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸化
物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してなる
ことを特徴とする。
【0012】
(発明の作用)
本発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al系
合金が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも明
らかではないが、次のように考えられる。
合金が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも明
らかではないが、次のように考えられる。
【0013】
すなわち、まず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系
合金からなるTi−Al系合金材料を準備する。次いで、こ
のTi−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由エネ
ルギの負の値が小さい酸化物とともに加熱処理する。こ
れにより、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金から
なる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れた
保護被膜を形成する層とからなるTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
合金からなるTi−Al系合金材料を準備する。次いで、こ
のTi−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由エネ
ルギの負の値が小さい酸化物とともに加熱処理する。こ
れにより、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金から
なる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れた
保護被膜を形成する層とからなるTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
【0014】
なお、Ti−Al系合金の表面層は、上記アルミナより標
準生成自由エネルギの負の値が小さい酸化物を構成する
元素の酸化物、該元素または該元素の酸化物を主体とす
る複合酸化物、Al2O3(アルミナ)の一種以上の物質か
らなる。この表面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化
雰囲気中で、該Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制
し、安定なAl2O3被膜を形成する。これにより、Ti−Al
系合金の耐酸化性を著しく向上させることができるもの
と考えられる。
準生成自由エネルギの負の値が小さい酸化物を構成する
元素の酸化物、該元素または該元素の酸化物を主体とす
る複合酸化物、Al2O3(アルミナ)の一種以上の物質か
らなる。この表面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化
雰囲気中で、該Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制
し、安定なAl2O3被膜を形成する。これにより、Ti−Al
系合金の耐酸化性を著しく向上させることができるもの
と考えられる。
【0015】
(発明の効果)
本発明のTi−Al系合金の製造方法により、耐酸化性に
優れたTi−Al系合金を容易に得ることができる。
優れたTi−Al系合金を容易に得ることができる。
【0016】
発明を実施をするための最良の形態
第1発明
本発明の第1発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の
製造方法は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金か
らなるTi−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由
エネルギの負の値が小さい酸化物とともに加熱処理して
なり、Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制す
る操作を行いつつ、酸化物を構成する元素の酸化物,該
元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸化
物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してなる
なることを特徴とする。 〔第1発明の好適な製造方法〕 本第1発明の好適なTi−Al系合金の製造方法は、Alが
15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合
金材料を、タングステン(W)を含む酸化物の共存下
で、400〜1450℃の温度範囲に加熱処理してなることを
特徴とする。本発明の製造方法により、耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金が得られるメカニズムについては、未だ
必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。す
なわち、まず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金材料を準備する。次いで、このTi
−Al系合金材料を、タングステン(W)を含む酸化物の
共存下で、400〜1450℃の温度範囲に加熱処理する。こ
れにより、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金から
なる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れた
保護被膜を形成する層とからなるTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
製造方法は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金か
らなるTi−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由
エネルギの負の値が小さい酸化物とともに加熱処理して
なり、Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制す
る操作を行いつつ、酸化物を構成する元素の酸化物,該
元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸化
物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してなる
なることを特徴とする。 〔第1発明の好適な製造方法〕 本第1発明の好適なTi−Al系合金の製造方法は、Alが
15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合
金材料を、タングステン(W)を含む酸化物の共存下
で、400〜1450℃の温度範囲に加熱処理してなることを
特徴とする。本発明の製造方法により、耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金が得られるメカニズムについては、未だ
必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。す
なわち、まず、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなるTi−Al系合金材料を準備する。次いで、このTi
−Al系合金材料を、タングステン(W)を含む酸化物の
共存下で、400〜1450℃の温度範囲に加熱処理する。こ
れにより、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金から
なる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れた
保護被膜を形成する層とからなるTi−Al系合金を容易に
得ることができる。
【0017】
なお、Ti−Al系合金の表面層は、WまたはW−Oまた
はAl−W−Oを主体とする複合酸化物、または該複合酸
化物とAl2O3(アルミナ)の混合物質からなる。この表
面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化雰囲気中で、該
Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安定なAl2O
3被膜を緻密に形成する。このAl2O3被膜は、基材との密
着性がよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、これにより、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく
向上させることができるものと考えられる。
はAl−W−Oを主体とする複合酸化物、または該複合酸
化物とAl2O3(アルミナ)の混合物質からなる。この表
面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化雰囲気中で、該
Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安定なAl2O
3被膜を緻密に形成する。このAl2O3被膜は、基材との密
着性がよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、これにより、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく
向上させることができるものと考えられる。
【0018】
第2発明
本発明の第2発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の
製造方法は、流動層式炉中に、アルミナより標準生成自
由エネルギの負の値が小さい酸化物とアルミナ等の耐火
物粉末とよりなる処理剤を導入し、さらに流動化ガスを
導入して前記処理剤を流動させ、前記流動層式炉中に15
〜55原子%のAlを含有するTi−Al系合金材料を配置し、
加熱処理してなり、Ti−Al系合金材料の表面に、酸化物
を構成する元素の酸化物,元素の複合酸化物,Al2O3(ア
ルミナ)の一種以上の酸化物からなりTiO2の生成を抑制
した表面層を形成してなることを特徴とする。
製造方法は、流動層式炉中に、アルミナより標準生成自
由エネルギの負の値が小さい酸化物とアルミナ等の耐火
物粉末とよりなる処理剤を導入し、さらに流動化ガスを
導入して前記処理剤を流動させ、前記流動層式炉中に15
〜55原子%のAlを含有するTi−Al系合金材料を配置し、
加熱処理してなり、Ti−Al系合金材料の表面に、酸化物
を構成する元素の酸化物,元素の複合酸化物,Al2O3(ア
ルミナ)の一種以上の酸化物からなりTiO2の生成を抑制
した表面層を形成してなることを特徴とする。
【0019】
本発明のTi−Al系合金の製造方法により、耐酸化性に
優れたTi−Al系合金を容易に製造することができる。本
発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al系合金
が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも明らか
ではないが、次のように考えられる。すなわち、まず、
流動層式炉中に、アルミナより標準生成自由エネルギの
負の値が小さい酸化物とアルミナ等の耐火物粉末とより
なる処理剤を導入する。次いで、流動層式炉中に流動化
ガスを導入して前記処理剤を流動させ、前記流動層式炉
中に15〜55原子%のAlを含有するTi−Al系合金材料を配
置し、加熱処理する。このとき、Ti−Al系合金材料に、
アルミナより標準生成自由エネルギの負の値が小さい酸
化物を含む処理剤を用いて流動層式炉中で加熱処理を施
すことにより、処理中にこの酸化物が昇華・蒸発し、上
記アルミナより標準生成自由エネルギの負の値が小さい
酸化物を構成する元素の酸化物,該元素または該元素の
酸化物を主体とする複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一
種以上の物質からなる耐酸化性に優れた保護被膜となる
表面層を形成する。
優れたTi−Al系合金を容易に製造することができる。本
発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al系合金
が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも明らか
ではないが、次のように考えられる。すなわち、まず、
流動層式炉中に、アルミナより標準生成自由エネルギの
負の値が小さい酸化物とアルミナ等の耐火物粉末とより
なる処理剤を導入する。次いで、流動層式炉中に流動化
ガスを導入して前記処理剤を流動させ、前記流動層式炉
中に15〜55原子%のAlを含有するTi−Al系合金材料を配
置し、加熱処理する。このとき、Ti−Al系合金材料に、
アルミナより標準生成自由エネルギの負の値が小さい酸
化物を含む処理剤を用いて流動層式炉中で加熱処理を施
すことにより、処理中にこの酸化物が昇華・蒸発し、上
記アルミナより標準生成自由エネルギの負の値が小さい
酸化物を構成する元素の酸化物,該元素または該元素の
酸化物を主体とする複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一
種以上の物質からなる耐酸化性に優れた保護被膜となる
表面層を形成する。
【0020】
この表面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化雰囲気
中で、該Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安
定なAl2O3被膜を形成する。これにより、Ti−Al系合金
の耐酸化性を著しく向上させることができるものと考え
られる。これにより、本発明の製造方法により、耐酸化
性に優れたTi−Al系合金を容易に得ることができるもの
と考えられる。
中で、該Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安
定なAl2O3被膜を形成する。これにより、Ti−Al系合金
の耐酸化性を著しく向上させることができるものと考え
られる。これにより、本発明の製造方法により、耐酸化
性に優れたTi−Al系合金を容易に得ることができるもの
と考えられる。
【0021】
〔第2発明の好適な製造方法〕
本第2発明の好適なTi−Al系合金の製造方法は、流動
層式炉中に、タングステン(W)を含有する酸化物粉末
とアルミナ等の耐火物粉末とよりなる処理剤を導入し、
さらに流動化ガスを導入して前記処理剤を流動させ、前
記流動層式炉中に15〜55原子%のAlを含有するTi−Al系
合金材料を配置し、加熱処理してなることを特徴とす
る。本発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも
明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、
まず、流動層式炉中に、タングステン(W)を含有する
酸化物粉末とアルミナ等の耐火物粉末とよりなる処理剤
を導入する。
層式炉中に、タングステン(W)を含有する酸化物粉末
とアルミナ等の耐火物粉末とよりなる処理剤を導入し、
さらに流動化ガスを導入して前記処理剤を流動させ、前
記流動層式炉中に15〜55原子%のAlを含有するTi−Al系
合金材料を配置し、加熱処理してなることを特徴とす
る。本発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金が得られるメカニズムについては、未だ必ずしも
明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、
まず、流動層式炉中に、タングステン(W)を含有する
酸化物粉末とアルミナ等の耐火物粉末とよりなる処理剤
を導入する。
【0022】
次いで、流動層式炉中に流動化ガスを導入して前記処
理剤を流動させ、前記流動層式炉中に15〜55原子%のAl
を含有するTi−Al系合金材料を配置し、加熱処理する。
このとき、Ti−Al系合金材料に、タングステン(W)を
含有する酸化物粉末を含む処理剤を用いて流動層式炉中
で加熱処理を施すことにより、処理中にこの酸化物が昇
華・蒸発し、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金か
らなる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れ
た保護被膜を形成する表面層とからなるTi−Al系合金を
容易に得ることができる。
理剤を流動させ、前記流動層式炉中に15〜55原子%のAl
を含有するTi−Al系合金材料を配置し、加熱処理する。
このとき、Ti−Al系合金材料に、タングステン(W)を
含有する酸化物粉末を含む処理剤を用いて流動層式炉中
で加熱処理を施すことにより、処理中にこの酸化物が昇
華・蒸発し、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金か
らなる基材と、該基材の表面に形成した耐酸化性に優れ
た保護被膜を形成する表面層とからなるTi−Al系合金を
容易に得ることができる。
【0023】
なお、Ti−Al系合金の表面層は、WまたはW−Oまた
はAl−W−Oを主体とする複合酸化物、または該複合酸
化物とAl2O3(アルミナ)の混合物質からなる。この表
面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化雰囲気中で、該
Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安定なAl2O
3被膜を緻密に形成する。このAl2O3被膜は、基材との密
着性がよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、これにより、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく
向上させることができるものと考えられる。これによ
り、本発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金を容易に得ることができるものと考えられる。
はAl−W−Oを主体とする複合酸化物、または該複合酸
化物とAl2O3(アルミナ)の混合物質からなる。この表
面層を有するTi−Al系合金は、高温酸化雰囲気中で、該
Ti−Al系合金表面でのTiO2の生成を抑制し、安定なAl2O
3被膜を緻密に形成する。このAl2O3被膜は、基材との密
着性がよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、これにより、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく
向上させることができるものと考えられる。これによ
り、本発明の製造方法により、耐酸化性に優れたTi−Al
系合金を容易に得ることができるものと考えられる。
【0024】
第1発明〜第2発明の好適な実施形態
(Ti−Al系合金材料)
本発明において適用するTi−Al系合金材料は、Alを15
原子から55原子%含有してなる。これにより、常温延性
があり高温強度に優れたTi−Al系合金となる。これより
Al量がすくないと、α−Ti合金とTi3Al相との混合組織
となり、高温強度が低下する。また、これよりAl量が多
いとTiAl相とAl2Ti相との混合相となり、非常に脆くな
る。なお、上記範囲で添加されたAlの残部は基本的にTi
であることが好ましい。
原子から55原子%含有してなる。これにより、常温延性
があり高温強度に優れたTi−Al系合金となる。これより
Al量がすくないと、α−Ti合金とTi3Al相との混合組織
となり、高温強度が低下する。また、これよりAl量が多
いとTiAl相とAl2Ti相との混合相となり、非常に脆くな
る。なお、上記範囲で添加されたAlの残部は基本的にTi
であることが好ましい。
【0025】
本発明に適用するTi−Al系合金材料は、原料をいかな
る溶解工程もしくは、焼結工程を経た後、鋳造,鍛造,
切削,圧延など適宜形状を付与されたものであってもよ
い。
る溶解工程もしくは、焼結工程を経た後、鋳造,鍛造,
切削,圧延など適宜形状を付与されたものであってもよ
い。
【0026】
本発明に適用する好適なTi−Al系合金材料は、15〜55
原子%のAlを含有するとともに、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含
有してなるTi−Al系合金である。これにより、母材の延
性または/および高温強度を向上させることができる。
なお、10原子%を超える量を含有させると、Ti−Al系合
金の軽量性を損なうことになるので、目的によっては好
ましくない。
原子%のAlを含有するとともに、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含
有してなるTi−Al系合金である。これにより、母材の延
性または/および高温強度を向上させることができる。
なお、10原子%を超える量を含有させると、Ti−Al系合
金の軽量性を損なうことになるので、目的によっては好
ましくない。
【0027】
本発明に適用する好適なTi−Al系合金材料は、15〜55
原子%のAlを含有するとともに、硼素を1原子%〜10原
子%含有してなるTi−Al系合金である。これにより、凝
固組織が微細化し、さらに母材の常温延性を確保するこ
とができる。なお、これ以上含有させると、延性が低下
してしまうので、目的によっては好ましくない。硼素
(B)を1原子%〜10原子%含有させると凝固組織が微
細化し、さらに母材の常温延性を確保することができ
る。これ以上含有させると、延性が低下するおそれがあ
る。
原子%のAlを含有するとともに、硼素を1原子%〜10原
子%含有してなるTi−Al系合金である。これにより、凝
固組織が微細化し、さらに母材の常温延性を確保するこ
とができる。なお、これ以上含有させると、延性が低下
してしまうので、目的によっては好ましくない。硼素
(B)を1原子%〜10原子%含有させると凝固組織が微
細化し、さらに母材の常温延性を確保することができ
る。これ以上含有させると、延性が低下するおそれがあ
る。
【0028】
本発明に適用する好適なTi−Al系合金材料は、15〜55
原子%のAlを含有するとともに、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%、
および硼素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系
合金である。これにより、母材の延性または/および高
温強度を向上させることができるとともに、凝固組織が
微細化し、さらに母材の常温延性を確保することができ
る。
原子%のAlを含有するとともに、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%、
および硼素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系
合金である。これにより、母材の延性または/および高
温強度を向上させることができるとともに、凝固組織が
微細化し、さらに母材の常温延性を確保することができ
る。
【0029】
(アルミナより標準生成自由エネルギの負の値が小さい
酸化物) 本発明に適用する酸化物は、アルミナより標準生成自
由エネルギの負の値が小さい酸化物を用いる(J.F.Elli
ot,M.Gleiser:Thermo−chemistry for Steelmaking,Vo
l.I(1960),Addison−Wesley)。具体的には、Si(珪
素),Ti(チタン),V(バナジウム),Cr(クロム),Mn
(マンガン),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケ
ル),Cu(銅),Nb(ニオブ),Mo(モリブデン),Ta(タ
ンタル),W(タングステン),Ce(セリウム)の少なく
とも1種以上の酸化物が挙げられる。酸化物の適用の形
態は、これら酸化物またはこれら酸化物を主体とする物
質の微粒子を用いることが好ましい。
酸化物) 本発明に適用する酸化物は、アルミナより標準生成自
由エネルギの負の値が小さい酸化物を用いる(J.F.Elli
ot,M.Gleiser:Thermo−chemistry for Steelmaking,Vo
l.I(1960),Addison−Wesley)。具体的には、Si(珪
素),Ti(チタン),V(バナジウム),Cr(クロム),Mn
(マンガン),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケ
ル),Cu(銅),Nb(ニオブ),Mo(モリブデン),Ta(タ
ンタル),W(タングステン),Ce(セリウム)の少なく
とも1種以上の酸化物が挙げられる。酸化物の適用の形
態は、これら酸化物またはこれら酸化物を主体とする物
質の微粒子を用いることが好ましい。
【0030】
なお、上記酸化物は、Nb(ニオブ),Ta(タンタル),
Cr(クロム),W(タングステン)の少なくとも1種以上
の酸化物の微粒子、またはこれら酸化物を主体とする物
質の微粒子を用いることが好ましい。これは、加熱処理
中に昇華し易く、Alと酸化・還元反応が生じ易い酸化物
であるため、耐酸化性に優れた表面層が形成できる。
Cr(クロム),W(タングステン)の少なくとも1種以上
の酸化物の微粒子、またはこれら酸化物を主体とする物
質の微粒子を用いることが好ましい。これは、加熱処理
中に昇華し易く、Alと酸化・還元反応が生じ易い酸化物
であるため、耐酸化性に優れた表面層が形成できる。
【0031】
(加熱処理条件)
本発明における加熱処理温度は、400〜1450℃の範囲
内で選択される。400℃未満では、十分な耐酸化表面状
態を得られない。他方、1450℃を越えると被処理材が溶
融してしまうため好ましくない。さらに、より好適な加
熱処理温度は、700℃〜1150℃の範囲である。これは、N
b2O5,Ta2O5,WO3等の酸化物が反応して化合物を形成する
ためである。加熱処理中の雰囲気は、不活性ガス中で行
うことが好ましい。
内で選択される。400℃未満では、十分な耐酸化表面状
態を得られない。他方、1450℃を越えると被処理材が溶
融してしまうため好ましくない。さらに、より好適な加
熱処理温度は、700℃〜1150℃の範囲である。これは、N
b2O5,Ta2O5,WO3等の酸化物が反応して化合物を形成する
ためである。加熱処理中の雰囲気は、不活性ガス中で行
うことが好ましい。
【0032】
(流動層炉)
本発明において用いる流動層式炉は、本発明にかかる
処理を実現できる流動層式炉であればどのようなもので
もよい。一般に、乾燥,焼却,還元などの目的で、通常
使用される流動層式炉でよい。
処理を実現できる流動層式炉であればどのようなもので
もよい。一般に、乾燥,焼却,還元などの目的で、通常
使用される流動層式炉でよい。
【0033】
(処理剤)
本発明において用いる処理剤は、酸化物と耐火物粉末
とからなる。酸化物は、アルミナより標準生成自由エネ
ルギの負の値が小さい酸化物またはタングステン(W)
を含有する酸化物の粉末を用いる。この酸化物粉末は、
Ti−Al系合金材料の表面に、耐酸化性に優れた保護被膜
を形成する物質または該保護被膜を構成する物質とな
る。
とからなる。酸化物は、アルミナより標準生成自由エネ
ルギの負の値が小さい酸化物またはタングステン(W)
を含有する酸化物の粉末を用いる。この酸化物粉末は、
Ti−Al系合金材料の表面に、耐酸化性に優れた保護被膜
を形成する物質または該保護被膜を構成する物質とな
る。
【0034】
なお、酸化物がWを含む酸化物の場合は、Ti−Al系合
金の表面層はWまたはW−OまたはAl−W−Oを主体と
する複合酸化物、または該複合酸化物とAl2O3(アルミ
ナ)の混合物質からなる。この表面層を有するTi−Al系
合金は、高温酸化雰囲気中で、該Ti−Al系合金表面での
TiO2の生成を抑制し、より安定なAl2O3被膜を緻密に形
成する。このAl2O3被膜は、基材との密着性がよく、長
時間にわたり安定に保護被膜として機能し、これによ
り、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく向上させるこ
とができるものと考えられる。
金の表面層はWまたはW−OまたはAl−W−Oを主体と
する複合酸化物、または該複合酸化物とAl2O3(アルミ
ナ)の混合物質からなる。この表面層を有するTi−Al系
合金は、高温酸化雰囲気中で、該Ti−Al系合金表面での
TiO2の生成を抑制し、より安定なAl2O3被膜を緻密に形
成する。このAl2O3被膜は、基材との密着性がよく、長
時間にわたり安定に保護被膜として機能し、これによ
り、Ti−Al系合金の耐酸化性をより著しく向上させるこ
とができるものと考えられる。
【0035】
耐火物粉末は、前記酸化物粉末が流動中に固まりとな
るのを防ぐためのものである。この耐火物粉末は、酸化
物粉末と反応しないもの、さらに被処理材とも反応しな
いものが好ましい。この耐火物粉末としては、上記役割
を果たす物質であればどのようなものでもよく、具体的
には、アルミナ(Al2O3),ジルコニア(ZrO2)などが
あげられる。
るのを防ぐためのものである。この耐火物粉末は、酸化
物粉末と反応しないもの、さらに被処理材とも反応しな
いものが好ましい。この耐火物粉末としては、上記役割
を果たす物質であればどのようなものでもよく、具体的
には、アルミナ(Al2O3),ジルコニア(ZrO2)などが
あげられる。
【0036】
Ti−Al系合金の耐酸化性が劣る原因の一つは、母材内
部にまで酸素が固溶し、内部酸化物を形成するからであ
る。内部酸化物の中でもTiO2は母材内部にまで酸化スケ
ールを形成し、さらにAl2O3とも複合酸化物を形成す
る。このため、複数の酸化物,異なる酸化物層形態とな
り、加熱〜冷却中の熱膨張も異なることからも、酸化物
の剥離・脱落を繰り返し、耐酸化性がさらに低下する。
部にまで酸素が固溶し、内部酸化物を形成するからであ
る。内部酸化物の中でもTiO2は母材内部にまで酸化スケ
ールを形成し、さらにAl2O3とも複合酸化物を形成す
る。このため、複数の酸化物,異なる酸化物層形態とな
り、加熱〜冷却中の熱膨張も異なることからも、酸化物
の剥離・脱落を繰り返し、耐酸化性がさらに低下する。
【0037】
本発明では、耐酸化性を改善する手法として、内部酸
化物となるTiO2の形成を抑制するような表面状態を形成
することにある。このため、本発明の好適な実施形態の
一つは、WO3からなる酸化物を利用して、内部に進行す
るTiO2の形成を抑制するために、保護被膜としてTi−Al
系合金材料の表面にWまたはW−OまたはAl−W−Oを
主体とする複合酸化物被膜を形成させる。前記酸化物
は、母材であるTi−Al系合金と結びついたTiおよび/ま
たはAlの元素を含んだ複合酸化物でもよい。
化物となるTiO2の形成を抑制するような表面状態を形成
することにある。このため、本発明の好適な実施形態の
一つは、WO3からなる酸化物を利用して、内部に進行す
るTiO2の形成を抑制するために、保護被膜としてTi−Al
系合金材料の表面にWまたはW−OまたはAl−W−Oを
主体とする複合酸化物被膜を形成させる。前記酸化物
は、母材であるTi−Al系合金と結びついたTiおよび/ま
たはAlの元素を含んだ複合酸化物でもよい。
【0038】
酸化物粉末の配合量は、処理剤の5〜50重量%の範囲
であることが好ましい。50重量%を超える量を配合して
も、固化もしくは被処理材に付着しなければ問題はな
い。しかし、該配合量が5重量%未満の場合、Wまたは
W−Oからなる複合酸化物被膜などの耐酸化性に優れた
保護被膜となる層を形成させることが難しい。処理剤の
粉末粒度は、いずれも40メッシュから350メッシュの範
囲のものが好ましい。該処理剤の粉末粒度が40メッシュ
より粗い場合、処理剤を流動化させるために多量の流動
化ガスを必要とする。逆に350メッシュより細かい場合
には、粉末が浮遊し易く、取り扱いが困難となる。な
お、流動化・加熱処理の条件によっては、処理剤粉末が
流動化ガス導入口に詰まって正常な流動化が阻害される
ことがあり、これを防止するために、ガス導入口と処理
剤粉末との間に粗粒(粒度5〜20メッシュ)のアルミナ
などの耐火物をおいてもよい。
であることが好ましい。50重量%を超える量を配合して
も、固化もしくは被処理材に付着しなければ問題はな
い。しかし、該配合量が5重量%未満の場合、Wまたは
W−Oからなる複合酸化物被膜などの耐酸化性に優れた
保護被膜となる層を形成させることが難しい。処理剤の
粉末粒度は、いずれも40メッシュから350メッシュの範
囲のものが好ましい。該処理剤の粉末粒度が40メッシュ
より粗い場合、処理剤を流動化させるために多量の流動
化ガスを必要とする。逆に350メッシュより細かい場合
には、粉末が浮遊し易く、取り扱いが困難となる。な
お、流動化・加熱処理の条件によっては、処理剤粉末が
流動化ガス導入口に詰まって正常な流動化が阻害される
ことがあり、これを防止するために、ガス導入口と処理
剤粉末との間に粗粒(粒度5〜20メッシュ)のアルミナ
などの耐火物をおいてもよい。
【0039】
(流動化ガス)
本発明において用いる流動化ガスは、処理剤および被
処理材と接触しても反応が生じないために、不活性ガス
を用いることが好ましい。中でも、普通純度のArガスの
使用が一般的である。流動化ガスは、所定の圧力、流量
で流動層式炉に注入される。その結果、処理剤粉末は、
炉内に吹き上げられ、しかも引き続き流入される流動化
ガスの圧力により落下せずに、浮遊状態となり流動層と
なる。この流動化ガスの流速が小さい場合には、被処理
材の表面に処理剤が付着するおそれがある。それ故、流
動化ガスは、2ml/分以上とするのが望ましい。また、流
速が大きい場合には、流動化が激しくなり、激しいバブ
リングが生じてしまい、処理操作に手間がかかる。それ
故、上限は700ml/分とするのがよい。また、流動化ガス
の圧力は取り扱い上、0.5〜2kgf/cm2の範囲が望まし
い。
処理材と接触しても反応が生じないために、不活性ガス
を用いることが好ましい。中でも、普通純度のArガスの
使用が一般的である。流動化ガスは、所定の圧力、流量
で流動層式炉に注入される。その結果、処理剤粉末は、
炉内に吹き上げられ、しかも引き続き流入される流動化
ガスの圧力により落下せずに、浮遊状態となり流動層と
なる。この流動化ガスの流速が小さい場合には、被処理
材の表面に処理剤が付着するおそれがある。それ故、流
動化ガスは、2ml/分以上とするのが望ましい。また、流
速が大きい場合には、流動化が激しくなり、激しいバブ
リングが生じてしまい、処理操作に手間がかかる。それ
故、上限は700ml/分とするのがよい。また、流動化ガス
の圧力は取り扱い上、0.5〜2kgf/cm2の範囲が望まし
い。
【0040】
(加熱処理工程)
本発明における加熱処理工程は、熱媒体である流動層
を加熱することにより行う。加熱の具体的手段は、流動
層を含む流動層式炉を電気炉などの外部加熱器内に挿入
して、外部から加熱する方式など、流動層式炉を加熱で
きるいかなるものでもよい。加熱処理温度は、400〜145
0℃の範囲内で選択される。400℃未満では、十分な耐酸
化表面状態を得られない。他方、1450℃を越えると被処
理材が溶融してしまうため好ましくない。さらに、より
好適な加熱処理温度は、700℃〜1150℃の範囲である。
これは、Cr2O3,Nb2O5,Ta2O5,WO3などの酸化物が反応し
て化合物を形成するためである。処理時間は、必要とす
る耐酸化表面状態を形成するため、0.5時間から20時間
の間が好ましい。0.5時間よりも短いと、効果が少ない
可能性があり、20時間以上の長時間になると処理コスト
がかかり好ましくない。
を加熱することにより行う。加熱の具体的手段は、流動
層を含む流動層式炉を電気炉などの外部加熱器内に挿入
して、外部から加熱する方式など、流動層式炉を加熱で
きるいかなるものでもよい。加熱処理温度は、400〜145
0℃の範囲内で選択される。400℃未満では、十分な耐酸
化表面状態を得られない。他方、1450℃を越えると被処
理材が溶融してしまうため好ましくない。さらに、より
好適な加熱処理温度は、700℃〜1150℃の範囲である。
これは、Cr2O3,Nb2O5,Ta2O5,WO3などの酸化物が反応し
て化合物を形成するためである。処理時間は、必要とす
る耐酸化表面状態を形成するため、0.5時間から20時間
の間が好ましい。0.5時間よりも短いと、効果が少ない
可能性があり、20時間以上の長時間になると処理コスト
がかかり好ましくない。
【0041】
加熱処理中の雰囲気は、不活性ガス中で行うことが好
ましい。
ましい。
【0042】
第3発明
本発明の第3発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金
は、Ti−Al系合金からなる基材と、該基材の表面部に形
成したクロム(Cr),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),
タングステン(W)の少なくとも1種以上を酸化物また
はAl2O3(アルミナ)の一種以上の酸化物からなりTiO2
の生成を抑制した表面層とからなり、高温酸化雰囲気中
で上記含有元素の酸化物またはAl2O3被膜を緻密に形成
させる表面状態を有してなる表面部とからなることを特
徴とする。本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れて
いる。
は、Ti−Al系合金からなる基材と、該基材の表面部に形
成したクロム(Cr),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),
タングステン(W)の少なくとも1種以上を酸化物また
はAl2O3(アルミナ)の一種以上の酸化物からなりTiO2
の生成を抑制した表面層とからなり、高温酸化雰囲気中
で上記含有元素の酸化物またはAl2O3被膜を緻密に形成
させる表面状態を有してなる表面部とからなることを特
徴とする。本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れて
いる。
【0043】
本発明のTi−Al系合金が優れた効果を発揮するメカニ
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第3発明のTi−Al系合
金は、高温酸化雰囲気中で、Ti−Al系合金材料の少なく
とも最表面に、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta),タングステン(W)の1種以上からなる酸化物
被膜、またはAl2O3被膜を緻密に形成させるような表面
状態を形成する。これら酸化被膜は、母材との密着性も
よく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能し、耐
酸化性が著しく向上するものと考えられる。これより、
本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−Al系合
金とすることができる。
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第3発明のTi−Al系合
金は、高温酸化雰囲気中で、Ti−Al系合金材料の少なく
とも最表面に、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta),タングステン(W)の1種以上からなる酸化物
被膜、またはAl2O3被膜を緻密に形成させるような表面
状態を形成する。これら酸化被膜は、母材との密着性も
よく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能し、耐
酸化性が著しく向上するものと考えられる。これより、
本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−Al系合
金とすることができる。
【0044】
本発明のTi−Al系合金は、表面に1nm以上のCr、Nb、T
a、Wの少なくとも一種以上の元素からなる濃化層を形
成してなる。または、本発明のTi−Al系合金は、表面に
1nm以上のCr、Nb、Ta、Wの少なくとも一種以上の元素
の酸化物からなる安定な状態の濃化層を形成してなる。
a、Wの少なくとも一種以上の元素からなる濃化層を形
成してなる。または、本発明のTi−Al系合金は、表面に
1nm以上のCr、Nb、Ta、Wの少なくとも一種以上の元素
の酸化物からなる安定な状態の濃化層を形成してなる。
【0045】
または、本発明のTi−Al系合金は、これら濃化層を有
するとともに、その少なくとも最表面(該濃化層の全部
でもよい)が熱的に安定なAl2O3に変化してもよい。
するとともに、その少なくとも最表面(該濃化層の全部
でもよい)が熱的に安定なAl2O3に変化してもよい。
【0046】
〔第3発明の好適なTi−Al系合金〕
本第3発明の好適なTi−Al系合金は、Ti−Al系合金か
らなる基材と、該基材表面に形成したタングステン
(W)を含有してなる表面部とからなり、該表面部はタ
ングステン(W)を含む化合物の被膜を有してなるとと
もに、高温酸化性雰囲気中でW酸化物またはAl2O3被膜
を緻密に形成させる表面状態を有してなることを特徴と
する。これにより、タングステン(W)を含有してなる
表面部は、高温酸化性雰囲気中で、層状で緻密なAl2O3
被膜を形成する。このAl2O3被膜は、基材との密着性も
良く、長期にわたって、保護被膜として働くため、耐酸
化性に優れたTi−Al系合金とすることができる。
らなる基材と、該基材表面に形成したタングステン
(W)を含有してなる表面部とからなり、該表面部はタ
ングステン(W)を含む化合物の被膜を有してなるとと
もに、高温酸化性雰囲気中でW酸化物またはAl2O3被膜
を緻密に形成させる表面状態を有してなることを特徴と
する。これにより、タングステン(W)を含有してなる
表面部は、高温酸化性雰囲気中で、層状で緻密なAl2O3
被膜を形成する。このAl2O3被膜は、基材との密着性も
良く、長期にわたって、保護被膜として働くため、耐酸
化性に優れたTi−Al系合金とすることができる。
【0047】
第4発明
本発明の第4発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金
は、Ti−Al系合金からなる基材と、該基材の表面に形成
した表面部とからなり、表面部が、クロム(Cr),ニオ
ブ(Nb),タンタル(Ta),タングステン(W)の少な
くとも1種以上からなりTiO2の生成を抑制した酸化物被
膜であることを特徴とする。本発明のTi−Al系合金は、
耐酸化性に優れている。
は、Ti−Al系合金からなる基材と、該基材の表面に形成
した表面部とからなり、表面部が、クロム(Cr),ニオ
ブ(Nb),タンタル(Ta),タングステン(W)の少な
くとも1種以上からなりTiO2の生成を抑制した酸化物被
膜であることを特徴とする。本発明のTi−Al系合金は、
耐酸化性に優れている。
【0048】
本発明のTi−Al系合金が優れた効果を発揮するメカニ
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第4発明のTi−Al系合
金は、高温酸化雰囲気中で、Ti−Al系合金材料の少なく
とも最表面に、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta),タングステン(W)の1種以上からなる酸化物
被膜、またはAl2O3被膜を緻密に形成させるような表面
状態を形成する。これら酸化被膜は、母材との密着性も
よく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能し、耐
酸化性が著しく向上するものと考えられる。これより、
本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−Al系合
金とすることができる。
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第4発明のTi−Al系合
金は、高温酸化雰囲気中で、Ti−Al系合金材料の少なく
とも最表面に、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta),タングステン(W)の1種以上からなる酸化物
被膜、またはAl2O3被膜を緻密に形成させるような表面
状態を形成する。これら酸化被膜は、母材との密着性も
よく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能し、耐
酸化性が著しく向上するものと考えられる。これより、
本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−Al系合
金とすることができる。
【0049】
本発明のTi−Al系合金は、表面に1nm以上のCr、Nb、T
a、Wの少なくとも一種以上の元素の酸化物からなる安
定な状態の濃化層を形成してなる。このTi−Al系合金
は、さらに、表面に1nm以上のCr、Nb、Taの少なくとも
一種以上の元素からなる濃化層を形成してなることが好
ましい。または、本発明のTi−Al系合金は、これら濃化
層を有するとともに、その少なくとも最表面が熱的に安
定なAl2O3に変化してもよい。
a、Wの少なくとも一種以上の元素の酸化物からなる安
定な状態の濃化層を形成してなる。このTi−Al系合金
は、さらに、表面に1nm以上のCr、Nb、Taの少なくとも
一種以上の元素からなる濃化層を形成してなることが好
ましい。または、本発明のTi−Al系合金は、これら濃化
層を有するとともに、その少なくとも最表面が熱的に安
定なAl2O3に変化してもよい。
【0050】
〔第4発明の好適なTi−Al系合金〕
本第4発明の好適なTi−Al系合金は、Ti−Al系合金か
らなる基材と、該基材表面に形成したW酸化物被膜を有
する表面部とからなることを特徴とする。これにより、
上記W酸化物被膜は、高温酸化性雰囲気中で層状で緻密
なAl2O3等の保護被膜を形成するため、耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金とすることができる。
らなる基材と、該基材表面に形成したW酸化物被膜を有
する表面部とからなることを特徴とする。これにより、
上記W酸化物被膜は、高温酸化性雰囲気中で層状で緻密
なAl2O3等の保護被膜を形成するため、耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金とすることができる。
【0051】
第5発明
本発明の第5発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなる基
材と、該基材の表面に形成したAl−W−Oを主体とした
TiO2の生成を抑制した複合酸化物とからなることを特徴
とする。本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れてい
る。
は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からなる基
材と、該基材の表面に形成したAl−W−Oを主体とした
TiO2の生成を抑制した複合酸化物とからなることを特徴
とする。本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れてい
る。
【0052】
本発明のTi−Al系合金が優れた効果を発揮するメカニ
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第5発明のTi−Al系合
金は、基材の表面に、Al−W−Oを主体とした複合酸化
物を形成してなる。このAl−W−Oを主体とした複合酸
化物は、下部(基材との接触部)でAl2O3を層状に形成
する働きをして、さらに大気中酸化雰囲気でもTi−Al系
合金基材の最表面にAl2O3被膜を緻密に形成させるよう
な表面状態を形成する。このAl2O3被膜は、母材との密
着性もよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、耐酸化性が著しく向上するものと考えられる。これ
より、本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−
Al系合金とすることができる。
ズムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次の
ように考えられる。すなわち、本第5発明のTi−Al系合
金は、基材の表面に、Al−W−Oを主体とした複合酸化
物を形成してなる。このAl−W−Oを主体とした複合酸
化物は、下部(基材との接触部)でAl2O3を層状に形成
する働きをして、さらに大気中酸化雰囲気でもTi−Al系
合金基材の最表面にAl2O3被膜を緻密に形成させるよう
な表面状態を形成する。このAl2O3被膜は、母材との密
着性もよく、長時間にわたり安定に保護被膜として機能
し、耐酸化性が著しく向上するものと考えられる。これ
より、本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性に優れたTi−
Al系合金とすることができる。
【0053】
本発明のTi−Al系合金の基材は、Alの含有量が15原子
%〜55原子%のTi−Al系合金からなる。Alの含有量が15
原子%未満の場合は、α−Ti合金とTi3Al相との混合組
織となり、高温強度が低下する。また、Alの含有量が55
原子%を超える場合は、TiAl相とAl3Ti相との混合相と
なり、非常に脆くなる。従って、本発明の基材のAlの含
有量は、15原子%〜55原子%である。
%〜55原子%のTi−Al系合金からなる。Alの含有量が15
原子%未満の場合は、α−Ti合金とTi3Al相との混合組
織となり、高温強度が低下する。また、Alの含有量が55
原子%を超える場合は、TiAl相とAl3Ti相との混合相と
なり、非常に脆くなる。従って、本発明の基材のAlの含
有量は、15原子%〜55原子%である。
【0054】
〔第5発明の好適なTi−Al系合金〕
本第5発明の好適なTi−Al系合金は、Alが15原子%〜
55原子%のTi−Al系合金からなる基材と、該基材の表面
に形成したAl−W−Oからなる複合酸化物を主体とした
表面層部とからなることを特徴とするTi−Al系合金であ
る。基材表面にAl−W−Oからなる複合酸化物を主体と
した表面層部を形成することにより、より耐酸化性に優
れたTi−Al系合金とすることができる。
55原子%のTi−Al系合金からなる基材と、該基材の表面
に形成したAl−W−Oからなる複合酸化物を主体とした
表面層部とからなることを特徴とするTi−Al系合金であ
る。基材表面にAl−W−Oからなる複合酸化物を主体と
した表面層部を形成することにより、より耐酸化性に優
れたTi−Al系合金とすることができる。
【0055】
本発明のTi−Al系合金において、複合酸化物が、0.5
原子%〜50原子%のタングステン(W)を含有してなる
ことが好ましい。これにより、上記複合酸化物は、大気
中酸化雰囲気下で層状のAl2O3等の安定な保護被膜を形
成する。なお、該複合酸化物のタングステン(W)含有
量が0.5原子%未満の場合は、上記保護被膜が十分に層
状に形成されないことがあり、酸化が基材内部まで進行
し、耐酸化性が著しく悪くなる虞れがあり、好ましくな
い。また、複合酸化物の含有量が50原子%を超えると、
軽量性を損なうので目的によっては好ましくない。
原子%〜50原子%のタングステン(W)を含有してなる
ことが好ましい。これにより、上記複合酸化物は、大気
中酸化雰囲気下で層状のAl2O3等の安定な保護被膜を形
成する。なお、該複合酸化物のタングステン(W)含有
量が0.5原子%未満の場合は、上記保護被膜が十分に層
状に形成されないことがあり、酸化が基材内部まで進行
し、耐酸化性が著しく悪くなる虞れがあり、好ましくな
い。また、複合酸化物の含有量が50原子%を超えると、
軽量性を損なうので目的によっては好ましくない。
【0056】
本発明のTi−Al系合金において、最表面のAl−W−O
複合酸化物は、基材を覆うような膜に形成されていれば
よく、その厚さは1nmと薄い層であっても、耐酸化性を
向上させる効果を有している。
複合酸化物は、基材を覆うような膜に形成されていれば
よく、その厚さは1nmと薄い層であっても、耐酸化性を
向上させる効果を有している。
【0057】
第3発明〜第5発明の好適な実施形態
(基材)
本発明の基材としては、Ti−Al系合金が使用できる。
この合金の好適な組成および理由は、以下のとおりであ
る。 Al:Alを15原子から55原子%含有させることにより、常
温延性があり高温強度に優れたTi−Al系合金となる。こ
れよりAl量がすくないと、α−Ti合金とTi3Al相との混
合組織となり、高温強度が低下する。また、これよりAl
量が多いとTiAl相とAl3Ti相との混合相となり、非常に
脆くなる。 Ti:上記範囲で添加されたAlの残部は基本的にTiとな
る。 本発明に適用するTi−Al系合金は、原料をいかなる溶解
工程もしくは、焼結工程を経た後、鋳造,鍛造,切削,
圧延など適宜形状を付与されたものであってもよい。
この合金の好適な組成および理由は、以下のとおりであ
る。 Al:Alを15原子から55原子%含有させることにより、常
温延性があり高温強度に優れたTi−Al系合金となる。こ
れよりAl量がすくないと、α−Ti合金とTi3Al相との混
合組織となり、高温強度が低下する。また、これよりAl
量が多いとTiAl相とAl3Ti相との混合相となり、非常に
脆くなる。 Ti:上記範囲で添加されたAlの残部は基本的にTiとな
る。 本発明に適用するTi−Al系合金は、原料をいかなる溶解
工程もしくは、焼結工程を経た後、鋳造,鍛造,切削,
圧延など適宜形状を付与されたものであってもよい。
【0058】
〈好適な基材1〉
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金に適用する好
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、第
V a族元素(V,Nb,Ta)または第VI a族元素(Cr,Mo,W)
の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含有してな
るTi−Al系合金である。
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、第
V a族元素(V,Nb,Ta)または第VI a族元素(Cr,Mo,W)
の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含有してな
るTi−Al系合金である。
【0059】
第V a族元素および/または第VI a族元素は、1種ま
たは2種以上を0.1原子%〜10原子%含有させることに
より、基材の延性もしくは高温強度を確保することがで
きる。これ以上含有させると、Ti−Al系合金の軽量性を
損なうことになる。
たは2種以上を0.1原子%〜10原子%含有させることに
より、基材の延性もしくは高温強度を確保することがで
きる。これ以上含有させると、Ti−Al系合金の軽量性を
損なうことになる。
【0060】
〈好適な基材2〉
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金に適用する好
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、硼
素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系合金であ
る。Bを1原子%〜10原子%を含有させることにより、
凝固組織が微細化し、さらに基材の常温延性を確保する
ことができる。これ以上含有させると、延性が低下して
しまう。
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、硼
素を1原子%〜10原子%含有してなるTi−Al系合金であ
る。Bを1原子%〜10原子%を含有させることにより、
凝固組織が微細化し、さらに基材の常温延性を確保する
ことができる。これ以上含有させると、延性が低下して
しまう。
【0061】
〈好適な基材3〉
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金に適用する好
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、第
V a族元素または第VI a族元素の一種以上を合計量で0.1
原子%〜10原子%、および硼素を1原子%〜10原子%含
有してなるTi−Al系合金である。
適な基材は、15〜55原子%のAlを含有するとともに、第
V a族元素または第VI a族元素の一種以上を合計量で0.1
原子%〜10原子%、および硼素を1原子%〜10原子%含
有してなるTi−Al系合金である。
【0062】
(Al−Oを主体とした酸化物層)
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金は、基材と表
面部(または表面層部)との間に、Al−Oを主体とした
酸化物層を有してなるTi−Al系合金であることが好まし
い。これにより、より耐酸化性に優れたTi−Al系合金と
することができる。
面部(または表面層部)との間に、Al−Oを主体とした
酸化物層を有してなるTi−Al系合金であることが好まし
い。これにより、より耐酸化性に優れたTi−Al系合金と
することができる。
【0063】
(好適な実施形態)
本発明の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の好適な実施
形態は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
る基材と、該基材の表面に形成したAl−Oを主体とした
酸化物層とからなる耐酸化性に優れたTi−Al系合金であ
って、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金基材と該
基材の表面に形成したニオブ(Nb),タンタル(Ta),
クロム(Cr),タングステン(W)の少なくとも1種以
上からなる酸化物を主体とする表面層部とからなるTi−
Al系合金材料を酸化性雰囲気下で酸化し、前記表面層部
をAl−Oを主体とした酸化物層に改質させてなることを
特徴とする。なお、上記において、さらに酸化物層の表
面に、Wを主体とする酸化物を有してなることが好まし
い。
形態は、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金からな
る基材と、該基材の表面に形成したAl−Oを主体とした
酸化物層とからなる耐酸化性に優れたTi−Al系合金であ
って、Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金基材と該
基材の表面に形成したニオブ(Nb),タンタル(Ta),
クロム(Cr),タングステン(W)の少なくとも1種以
上からなる酸化物を主体とする表面層部とからなるTi−
Al系合金材料を酸化性雰囲気下で酸化し、前記表面層部
をAl−Oを主体とした酸化物層に改質させてなることを
特徴とする。なお、上記において、さらに酸化物層の表
面に、Wを主体とする酸化物を有してなることが好まし
い。
【0064】
第1実施例
〔被処理材〕
純度99.9%のスポンジチタンと純度99.99%のアルミ
ニウムを目標組成に秤量し、10−4torrに排気した後、A
r雰囲気下で高周波溶解により金型に鋳込み、約1kgのイ
ンゴット(Ti−47原子%Al)を溶製した。板状の試験片
を10×15×2(mm)の寸法にインゴットから削りだし
た。その試験片の表面を1500番のSiCペーパーにより研
磨を行った後、アセトンで脱脂し、被処理材とした。
ニウムを目標組成に秤量し、10−4torrに排気した後、A
r雰囲気下で高周波溶解により金型に鋳込み、約1kgのイ
ンゴット(Ti−47原子%Al)を溶製した。板状の試験片
を10×15×2(mm)の寸法にインゴットから削りだし
た。その試験片の表面を1500番のSiCペーパーにより研
磨を行った後、アセトンで脱脂し、被処理材とした。
【0065】
〔表面処理〕
まず、Al2O3るつぼ中に、Cr2O3粉末,Nb2O5粉末,Ta2O5粉
末,WO3粉末を入れ、その中に被処理材を埋設して、大気
中またはAr中で900〜1150℃で2時間加熱処理を施しTi
−Al系合金を得た(試料番号1〜試料番号12)。
末,WO3粉末を入れ、その中に被処理材を埋設して、大気
中またはAr中で900〜1150℃で2時間加熱処理を施しTi
−Al系合金を得た(試料番号1〜試料番号12)。
【0066】
比較例1
表面処理を施さない、前記第1実施例と同様の被処理
材を準備した(試料番号C1)。
材を準備した(試料番号C1)。
【0067】
酸化試験
以上により得られた本第1実施例および比較例1の板
状の試験片の性能評価試験を、耐酸化評価試験により行
った。この試験は抵抗加熱電気炉を用いて大気中で900
℃×200h加熱して酸化試験を行った。試験片はアルミナ
るつぼに入れたままで加熱して、剥がれた酸化スケール
も残らず回収して酸化による重量増加を測定して、重量
増加により耐酸化性を評価した。その結果を、表1に示
す。表1より明らかなように、本実施例場合は、著しく
耐酸化性が向上していることが分かる。
状の試験片の性能評価試験を、耐酸化評価試験により行
った。この試験は抵抗加熱電気炉を用いて大気中で900
℃×200h加熱して酸化試験を行った。試験片はアルミナ
るつぼに入れたままで加熱して、剥がれた酸化スケール
も残らず回収して酸化による重量増加を測定して、重量
増加により耐酸化性を評価した。その結果を、表1に示
す。表1より明らかなように、本実施例場合は、著しく
耐酸化性が向上していることが分かる。
【0068】
【表1】
【0069】
第2実施例
本実施例では、Al含有量の影響を調べるために、Ti−Al
系合金のAl量を15原子%、47原子%、55原子%の3種類
とし、Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重量
はそれぞれ1kgであった。このインゴットから試験片を1
0×15×2(mm)の寸法に削りだし、前記第1実施例と
同様にして被処理材を得た(試料番号13〜試料番号2
4)。次に、Al2O3るつぼ中に、Cr2O3粉末,Nb2O5粉末,Ta
2O5粉末,WO3粉末を入れ、その中に被処理材を埋没し、A
r中で1000℃で2時間の条件で前記第1実施例の方法と
同様に表面処理した後、前記第1実施例と同様に酸化試
験を行った。得られた結果を、表2に示す。
系合金のAl量を15原子%、47原子%、55原子%の3種類
とし、Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重量
はそれぞれ1kgであった。このインゴットから試験片を1
0×15×2(mm)の寸法に削りだし、前記第1実施例と
同様にして被処理材を得た(試料番号13〜試料番号2
4)。次に、Al2O3るつぼ中に、Cr2O3粉末,Nb2O5粉末,Ta
2O5粉末,WO3粉末を入れ、その中に被処理材を埋没し、A
r中で1000℃で2時間の条件で前記第1実施例の方法と
同様に表面処理した後、前記第1実施例と同様に酸化試
験を行った。得られた結果を、表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
表2より、母材のAl濃度が異なる場合でも、上記範囲
のAl量において、本発明の表面処理を行うと、著しく耐
酸化性が向上することが分かる。
のAl量において、本発明の表面処理を行うと、著しく耐
酸化性が向上することが分かる。
【0072】
比較例2
比較のため、上記被処理材(表面処理しないもの)
を、前記第2実施例と同様にして酸化試験を行った〔試
料番号C2〜C4〕。その結果を、表2に併せて示す。
を、前記第2実施例と同様にして酸化試験を行った〔試
料番号C2〜C4〕。その結果を、表2に併せて示す。
【0073】
第3実施例
本実施例では、V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wを含有したTi−47原
子%Alの耐酸化性向上の検討を行った。上記第1実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理条件として前記第1実施例の試料番号11を用いて表
面処理した(試料番号25〜試料番号30)。次に、上記第
1実施例と同様に酸化試験を行った。得られた結果を、
表3に示す。
子%Alの耐酸化性向上の検討を行った。上記第1実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理条件として前記第1実施例の試料番号11を用いて表
面処理した(試料番号25〜試料番号30)。次に、上記第
1実施例と同様に酸化試験を行った。得られた結果を、
表3に示す。
【0074】
比較例3
比較のため、前記第3実施例と同様にして、V,Cr,Nb,
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Alの比較用被処理材
(表面処理しないもの)を用意し、前記第3実施例と同
様にして酸化試験を行った。その結果を、表3に併せて
示す。V,Crを含有する合金は、V,Crを含有しない合金の
場合より、耐酸化性が悪くなる。しかし、表3に示すよ
うに、本発明にかかる本実施例の場合は、表面処理によ
り、V,Crを含有する合金においても有効であることが分
かる。さらに、Nb,Mo,Ta,Wを含有する合金においても、
本実施例の表面処理の効果が有効であることが分かる。
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Alの比較用被処理材
(表面処理しないもの)を用意し、前記第3実施例と同
様にして酸化試験を行った。その結果を、表3に併せて
示す。V,Crを含有する合金は、V,Crを含有しない合金の
場合より、耐酸化性が悪くなる。しかし、表3に示すよ
うに、本発明にかかる本実施例の場合は、表面処理によ
り、V,Crを含有する合金においても有効であることが分
かる。さらに、Nb,Mo,Ta,Wを含有する合金においても、
本実施例の表面処理の効果が有効であることが分かる。
【0075】
【表3】
【0076】
第4実施例
本実施例では、V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wを含有した前記第3
実施例の合金にさらにBを含有したTi−47原子%Alの耐
酸化性向上の検討を行った。すなわち、上記第3実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
前記第3実施例と同様の方法で表面処理を行った(試料
番号31〜試料番号36)。次に、上記第3実施例と同様に
酸化試験を行った。得られた結果を、表4に示す。
実施例の合金にさらにBを含有したTi−47原子%Alの耐
酸化性向上の検討を行った。すなわち、上記第3実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
前記第3実施例と同様の方法で表面処理を行った(試料
番号31〜試料番号36)。次に、上記第3実施例と同様に
酸化試験を行った。得られた結果を、表4に示す。
【0077】
比較例4
比較のため、前記第4実施例と同様にして、V,Cr,Nb,
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al−Bの比較用被処理
材(表面処理しないもの)を用意し、前記第3実施例と
同様にして酸化試験を行った(試料番号C11〜試料番号C
16)。その結果を、表4に併せて示す。
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al−Bの比較用被処理
材(表面処理しないもの)を用意し、前記第3実施例と
同様にして酸化試験を行った(試料番号C11〜試料番号C
16)。その結果を、表4に併せて示す。
【0078】
【表4】
【0079】
Bを含有する合金は、Bを含有しない合金の場合よ
り、耐酸化性が悪くなる。しかし、表4に示すように,
本実施例の場合は、何れも、表面処理により、耐酸化性
に優れたTi−Al合金が得られていることが分かる。しか
も、Bを添加すると、結晶粒を微細化し、安定した常温
延性を確保することができる。
り、耐酸化性が悪くなる。しかし、表4に示すように,
本実施例の場合は、何れも、表面処理により、耐酸化性
に優れたTi−Al合金が得られていることが分かる。しか
も、Bを添加すると、結晶粒を微細化し、安定した常温
延性を確保することができる。
【0080】
第5実施例
〔被処理材〕
純度99.9%のスポンジチタンと純度99.99%のアルミ
ニウムを目標組成に秤量し、10−4torrに排気した後、A
r雰囲気下で高周波溶解により金型に鋳込み、約1kgのイ
ンゴット(Ti−47原子%Al)を溶製した。板状の試験片
を10×15×2(mm)の寸法にインゴットから削りだし
た。その試験片の表面を1500番のSiCペーパーにより研
磨を行った後、アセトンで脱脂し、被処理材とした。
ニウムを目標組成に秤量し、10−4torrに排気した後、A
r雰囲気下で高周波溶解により金型に鋳込み、約1kgのイ
ンゴット(Ti−47原子%Al)を溶製した。板状の試験片
を10×15×2(mm)の寸法にインゴットから削りだし
た。その試験片の表面を1500番のSiCペーパーにより研
磨を行った後、アセトンで脱脂し、被処理材とした。
【0081】
〔表面処理〕
図1に示す流動層式炉を用いて、本発明の耐酸化表面
処理を行った。流動層式炉1は、ガス供給通路である流
動化ガス導入口2が開口し、開口部の直上に炉内を2つ
に仕切るガス分散板3が設けられている。炉本体1の頂
部には蓋4がかぶせてあり、蓋4の一部には、ガス排出
通路5が開口している。蓋4には試験片である被処理材
6がつり下げられる。炉本体の外周には、加熱器7が設
置されている。炉体1は耐熱綱製であり、形状内径6cm
×高さ80cmの円柱形状である。
処理を行った。流動層式炉1は、ガス供給通路である流
動化ガス導入口2が開口し、開口部の直上に炉内を2つ
に仕切るガス分散板3が設けられている。炉本体1の頂
部には蓋4がかぶせてあり、蓋4の一部には、ガス排出
通路5が開口している。蓋4には試験片である被処理材
6がつり下げられる。炉本体の外周には、加熱器7が設
置されている。炉体1は耐熱綱製であり、形状内径6cm
×高さ80cmの円柱形状である。
【0082】
まず、上記分散板3上に、0.5kgの8−12メッシュの
粗粒のアルミナ(Al2O3)粉末8を置いた。これは、分
散板の目詰まりの防止と処理材を均一に流動化させるた
めのものである。さらに、その上部に処理剤粉末を1kg
をおいた。該処理剤は、(1)アルミナ粉末と酸化クロ
ム(Cr2O3)粉末〔試料番号37〜39〕、(2)アルミナ
粉末と酸化ニオブ(Nb2O5)粉末〔試料番号40〜42〕、
(3)アルミナ粉末と酸化タンタル(Ta2O5)粉末〔試
料番号43〜45〕、(4)アルミナ粉末と酸化タングステ
ン(WO3)粉末〔試料番号46〜48〕、の4種類を用意
し、その配合組成は重量%で、(1)が8:2、(2)〜
(4)が6:4である。
粗粒のアルミナ(Al2O3)粉末8を置いた。これは、分
散板の目詰まりの防止と処理材を均一に流動化させるた
めのものである。さらに、その上部に処理剤粉末を1kg
をおいた。該処理剤は、(1)アルミナ粉末と酸化クロ
ム(Cr2O3)粉末〔試料番号37〜39〕、(2)アルミナ
粉末と酸化ニオブ(Nb2O5)粉末〔試料番号40〜42〕、
(3)アルミナ粉末と酸化タンタル(Ta2O5)粉末〔試
料番号43〜45〕、(4)アルミナ粉末と酸化タングステ
ン(WO3)粉末〔試料番号46〜48〕、の4種類を用意
し、その配合組成は重量%で、(1)が8:2、(2)〜
(4)が6:4である。
【0083】
次に、流動化ガスとしてアルゴンガスを圧力4kgf/cm2
でガス供給通路2より炉体1内に導入した。処理剤粉末
は流動化し、流動層9が形成される。次いで、炉本体1
の頂部の蓋4を取り外し、流動層9中に上記準備した被
処理材6をつり下げた。次に、加熱器7により炉本体1
の外部により900℃,1000℃,1200℃にそれぞれ加熱し
た。その温度で0.5〜8時間加熱処理を行ったのち、冷
却し、本発明にかかる第5実施例のTi−Al系合金を得た
〔試料番号37〜48〕。次に、得られた被処理材を取り出
し、該表面を黙視したところ、処理材の付着もなく、平
滑な材料表面であった。
でガス供給通路2より炉体1内に導入した。処理剤粉末
は流動化し、流動層9が形成される。次いで、炉本体1
の頂部の蓋4を取り外し、流動層9中に上記準備した被
処理材6をつり下げた。次に、加熱器7により炉本体1
の外部により900℃,1000℃,1200℃にそれぞれ加熱し
た。その温度で0.5〜8時間加熱処理を行ったのち、冷
却し、本発明にかかる第5実施例のTi−Al系合金を得た
〔試料番号37〜48〕。次に、得られた被処理材を取り出
し、該表面を黙視したところ、処理材の付着もなく、平
滑な材料表面であった。
【0084】
比較例5
処理剤粉末を同様の粒径のAl2O3とした以外は、上記
第5実施例と同様にして、上記被処理材の処理を行っ
た。得られた被処理材を取り出し、表面を目視したとこ
ろ、処理材の付着もなく、平滑な材料表面であった。
第5実施例と同様にして、上記被処理材の処理を行っ
た。得られた被処理材を取り出し、表面を目視したとこ
ろ、処理材の付着もなく、平滑な材料表面であった。
【0085】
【表5】
【0086】
酸化試験
以上により得られた本第5実施例および比較例5の板
状の試験片の性能評価試験を、耐酸化評価試験により行
った。この試験は抵抗加熱電気炉を用いて大気中で900
℃×200h加熱して酸化試験を行った。試験片はアルミナ
るつぼに入れたままで加熱して、剥がれた被膜も残らず
回収して酸化による重量増加を測定して、重量増加によ
り耐酸化性を評価した。その結果を、表5に示す。表5
より明らかなように、本実施例のCr,Nb,Ta,Wからなる酸
化物粉末を挿入した処理剤を用いて表面処理を行うと、
著しく耐酸化性が向上していることが分かる。これに対
し、比較例のAl2O3粉末のみを挿入した処理剤を用いて
表面処理を行うと、耐酸化性の改善効果が少ないことが
分かる。
状の試験片の性能評価試験を、耐酸化評価試験により行
った。この試験は抵抗加熱電気炉を用いて大気中で900
℃×200h加熱して酸化試験を行った。試験片はアルミナ
るつぼに入れたままで加熱して、剥がれた被膜も残らず
回収して酸化による重量増加を測定して、重量増加によ
り耐酸化性を評価した。その結果を、表5に示す。表5
より明らかなように、本実施例のCr,Nb,Ta,Wからなる酸
化物粉末を挿入した処理剤を用いて表面処理を行うと、
著しく耐酸化性が向上していることが分かる。これに対
し、比較例のAl2O3粉末のみを挿入した処理剤を用いて
表面処理を行うと、耐酸化性の改善効果が少ないことが
分かる。
【0087】
第6実施例
本実施例では、Al含有量の影響を調べるために、Ti−
Al系合金のAl量を15原子%、47原子%、55原子%の3種
類とし、Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重
量はそれぞれ1kgであった。このインゴットから試験片
を10×15×2(mm)の寸法に削りだし、前記第5実施例
と同様にして被処理材を得た〔試料番号49〜60〕。次
に、図1に示す流動層式炉を用いて、前記第5実施例の
方法と同様に表面処理および酸化試験を行った。その結
果を、表6に示す。
Al系合金のAl量を15原子%、47原子%、55原子%の3種
類とし、Ar雰囲気下で高周波溶解した。インゴットの重
量はそれぞれ1kgであった。このインゴットから試験片
を10×15×2(mm)の寸法に削りだし、前記第5実施例
と同様にして被処理材を得た〔試料番号49〜60〕。次
に、図1に示す流動層式炉を用いて、前記第5実施例の
方法と同様に表面処理および酸化試験を行った。その結
果を、表6に示す。
【0088】
比較例6
比較のため、上記被処理材(表面処理しないもの)
を、前記第6実施例と同様にして酸化試験を行った。そ
の結果を、表6に併せて示す。
を、前記第6実施例と同様にして酸化試験を行った。そ
の結果を、表6に併せて示す。
【0089】
【表6】
【0090】
表6より、母材のAl濃度が異なる場合でも、本発明の
表面処理を行うと、著しく耐酸化性が向上することが分
かる。
表面処理を行うと、著しく耐酸化性が向上することが分
かる。
【0091】
第7実施例
本実施例では、V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wを含有したTi−47原
子%Alの耐酸化性向上の検討を行った。上記第5実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理剤として上記第5実施例の(1)を用いて表面処理
を行った〔試料番号61〜66〕。次に、上記第5実施例と
同様に酸化試験を行った。得られた結果を、表7に示
す。
子%Alの耐酸化性向上の検討を行った。上記第5実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理剤として上記第5実施例の(1)を用いて表面処理
を行った〔試料番号61〜66〕。次に、上記第5実施例と
同様に酸化試験を行った。得られた結果を、表7に示
す。
【0092】
比較例7
比較のため、前記第7実施例と同様にして、V,Cr,Nb,
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Alの比較用被処理材
(表面処理しないもの)を容易し、前記第7実施例と同
様にして酸化試験を行った。その結果を、表7に併せて
示す。
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Alの比較用被処理材
(表面処理しないもの)を容易し、前記第7実施例と同
様にして酸化試験を行った。その結果を、表7に併せて
示す。
【0093】
〔性能評価試験結果〕
V,Crを含有する合金は、V,Crを含有しない合金の場合
より、耐酸化性が悪くなる。しかし、表7に示すよう
に、本発明にかかる本実施例の場合は、表面処理によ
り、V,Crを含有する合金においても有効であることが分
かる。さらに,Nb,Mo,Ta,Wを含有する合金においても、
本実施例の表面処理の効果が有効であることが分かる。
しかも、これら合金は、何れも常温延性、高温強度に優
れたTi−Al系合金である。
より、耐酸化性が悪くなる。しかし、表7に示すよう
に、本発明にかかる本実施例の場合は、表面処理によ
り、V,Crを含有する合金においても有効であることが分
かる。さらに,Nb,Mo,Ta,Wを含有する合金においても、
本実施例の表面処理の効果が有効であることが分かる。
しかも、これら合金は、何れも常温延性、高温強度に優
れたTi−Al系合金である。
【0094】
【表7】
【0095】
第8実施例
本実施例では、V,Cr,Nb,Mo,Ta,Wを含有した前記第7
実施例の合金にさらにBを含有したTi−47原子%Alの耐
酸化性向上の検討を行った。すなわち、上記第7実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理剤として上記第5実施例の(1)を用いて表面処理
を行った〔試料番号67〜72〕。次に、上記第7実施例と
同様に酸化試験を行った。得られた結果を、表8に示
す。
実施例の合金にさらにBを含有したTi−47原子%Alの耐
酸化性向上の検討を行った。すなわち、上記第7実施例
と同様にして、Ar中で高周波溶解にて試験片を作製し、
処理剤として上記第5実施例の(1)を用いて表面処理
を行った〔試料番号67〜72〕。次に、上記第7実施例と
同様に酸化試験を行った。得られた結果を、表8に示
す。
【0096】
比較例8
比較のため、前記第8実施例と同様にして、V,Cr,Nb,
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al−Bの比較用被処理
材(表面処理しないもの)を容易し、前記第7実施例と
同様にして酸化試験を行った。その結果を、表8に併せ
て示す。
Mo,Ta,Wを含有したTi−47原子%Al−Bの比較用被処理
材(表面処理しないもの)を容易し、前記第7実施例と
同様にして酸化試験を行った。その結果を、表8に併せ
て示す。
【0097】
【表8】
【0098】
Bを含有する合金は、Bを含有しない合金の場合よ
り、耐酸化性が悪くなる。しかし、表8に示すように,
本実施例の場合は、何れも、表面処理により、耐酸化性
に優れたTi−Al合金が得られていることが分かる。しか
も、Bを添加すると、結晶粒を微細化し、安定した常温
延性を確保することができる。
り、耐酸化性が悪くなる。しかし、表8に示すように,
本実施例の場合は、何れも、表面処理により、耐酸化性
に優れたTi−Al合金が得られていることが分かる。しか
も、Bを添加すると、結晶粒を微細化し、安定した常温
延性を確保することができる。
【0099】
(産業上の利用可能性)
本発明のTi−Al系合金は、耐酸化性が著しく改善さ
れ、Ni基耐熱合金インコネル713Cの耐酸化性を凌ぐもの
を提供でき、900℃以上の高温においても耐熱性を有す
るTi−Al系合金を提供することができる。これより、自
動車用ターボチャージャー用材料のほか、発電用ガスタ
ービン材料、ジェットエンジン用材料などに適用するこ
とができる。 [図面の簡単な説明]
れ、Ni基耐熱合金インコネル713Cの耐酸化性を凌ぐもの
を提供でき、900℃以上の高温においても耐熱性を有す
るTi−Al系合金を提供することができる。これより、自
動車用ターボチャージャー用材料のほか、発電用ガスタ
ービン材料、ジェットエンジン用材料などに適用するこ
とができる。 [図面の簡単な説明]
【図1】本発明の第5実施例〜第8実施例において用い
た流動層炉を説明する説明図である。
た流動層炉を説明する説明図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
前置審査
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C23C 8/62
C23C 10/34
C23C 8/72
Claims (34)
- 【請求項1】Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金か
らなるTi−Al系合金材料を、アルミナより標準生成自由
エネルギの負の値が小さい酸化物とともに加熱処理して
なり、 前記Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制する
操作を行いつつ、前記酸化物を構成する元素の酸化物,
該元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸
化物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してな
ることを特徴とする耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製
造方法。 - 【請求項2】アルミナより標準生成自由エネルギの負の
値が小さい酸化物が、ニオブ(Nb),タンタル(Ta),
クロム(Cr),タングステン(W)の少なくとも1種以
上の酸化物であることを特徴とする請求の範囲(1)に
記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項3】アルミナより標準生成自由エネルギの負の
値が小さい酸化物が、タングステン(W)を含む酸化物
であることを特徴とする請求の範囲(2)に記載の耐酸
化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項4】前記加熱処理を、400℃〜1450℃の温度範
囲で行うことを特徴とする請求の範囲(1)ないし
(3)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al系
合金の製造方法。 - 【請求項5】前記加熱処理は、不活性ガス中で行うこと
を特徴とする請求の範囲(4)に記載の耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項6】前記Ti−Al系合金材料が、第V a族元素ま
たは第VI a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10
原子%含有してなることを特徴とする請求の範囲(1)
ないし(3)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi
−Al系合金の製造方法。 - 【請求項7】前記Ti−Al系合金材料が、さらに硼素を1
原子%〜10原子%含有してなることを特徴とする請求の
範囲(1)ないし(3)の何れか一つに記載の耐酸化性
に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項8】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、ニオブ
(Nb),タンタル(Ta),クロム(Cr),タングステン
(W)の少なくとも1種以上の酸化物であることを特徴
とする請求の範囲(1)ないし(7)の何れか一つに記
載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項9】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、タング
ステン(W)の酸化物であることを特徴とする請求の範
囲(1)ないし(7)の何れか一つに記載の耐酸化性に
優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項10】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、Al2O
3(アルミナ)であることを特徴とする請求の範囲
(1)ないし(7)の何れか一つに記載の耐酸化性に優
れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項11】流動層式炉中に、アルミナより標準生成
自由エネルギの負の値が小さい酸化物とアルミナ等の耐
火物粉末とよりなる処理剤を導入し、さらに流動化ガス
を導入して前記処理剤を流動させ、前記流動層式炉中に
15〜55原子%のAlを含有するTi−Al系合金材料を配置
し、加熱処理してなり、 前記Ti−Al系合金材料の表面に、前記酸化物を構成する
元素の酸化物,該元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)
の一種以上の酸化物からなりTiO2の生成を抑制した表面
層を形成してなることを特徴とする耐酸化性に優れたTi
−Al系合金の製造方法。 - 【請求項12】アルミナより標準生成自由エネルギの負
の値が小さい酸化物が、ニオブ(Nb),タンタル(T
a),クロム(Cr),タングステン(W)の少なくとも
1種以上の酸化物であることを特徴とする請求の範囲
(11)に記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方
法。 - 【請求項13】アルミナより標準生成自由エネルギの負
の値が小さい酸化物が、タングステン(W)を含有する
酸化物粉末であることを特徴とする請求の範囲(12)に
記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項14】前記加熱処理を、400℃〜1450℃の温度
範囲内で行うことを特徴とする請求の範囲(11)ないし
(13)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al系
合金の製造方法。 - 【請求項15】前記流動化ガスが不活性ガスからなるこ
とを特徴とする請求の範囲(14)に記載の耐酸化性に優
れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項16】前記流動層式炉中に配置するTi−Al系合
金材料が、第V a族元素または第VI a族元素の一種以上
を合計量0.1原子%〜10原子%含有してなることを特徴
とする請求の範囲(11)ないし(13)の何れか一つに記
載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項17】前記流動層式炉中に配置するTi−Al系合
金材料が、さらに硼素を1原子%〜10原子%含有してな
ることを特徴とする請求の範囲(11)ないし(13)の何
れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造
方法。 - 【請求項18】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、ニオ
ブ(Nb),タンタル(Ta),クロム(Cr),タングステ
ン(W)の少なくとも1種以上の酸化物であることを特
徴とする請求の範囲(11)ないし(17)の何れか一つに
記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項19】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、タン
グステン(W)の酸化物であることを特徴とする請求の
範囲(11)ないし(17)の何れか一つに記載の耐酸化性
に優れたTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項20】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、Al2O
3(アルミナ)であることを特徴とする請求の範囲(1
1)ないし(17)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れ
たTi−Al系合金の製造方法。 - 【請求項21】Ti−Al系合金からなる基材と、該基材の
表面に形成したクロム(Cr),ニオブ(Nb),タンタル
(Ta),タングステン(W)の少なくとも1種以上の酸
化物またはAl2O3(アルミナ)の一種以上の酸化物から
なりTiO2の生成を抑制した表面層とからなり、高温酸化
雰囲気中で上記含有元素の酸化物またはAl2O3被膜を緻
密に形成させる表面状態を有してなることを特徴とする
耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項22】表面層が、クロム(Cr),ニオブ(N
b),タンタル(Ta),タングステン(W)の少なくと
も1種以上からなる酸化物被膜であることを特徴とする
請求の範囲(21)に記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合
金。 - 【請求項23】表面層が、タングステン(W)の酸化物
被膜であることを特徴とする請求の範囲(21)に記載の
耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項24】Ti−Al系合金が、15〜55原子%のAlを含
有してなることを特徴とする請求の範囲(21)ないし
(23)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al系
合金。 - 【請求項25】Ti−Al系合金が、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含
有してなることを特徴とする請求の範囲(21)ないし
(23)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al系
合金。 - 【請求項26】Ti−Al系合金が、さらに硼素を1原子%
〜10原子%含有してなることを特徴とする請求の範囲
(21)ないし(23)の何れか一つに記載の耐酸化性に優
れたTi−Al系合金。 - 【請求項27】前記基材と表面層の間に、Al−O酸化物
層を有してなることを特徴とする請求の範囲(21)ない
し(23)の何れか一つに記載の耐酸化性に優れたTi−Al
系合金。 - 【請求項28】Ti−Al系合金が、15〜55原子%のAlを含
有してなることを特徴とする請求の範囲(27)に記載の
耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項29】Ti−Al系合金が、第V a族元素または第V
I a族元素の一種以上を合計量で0.1原子%〜10原子%含
有してなることを特徴とする請求の範囲(27)に記載の
耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項30】Ti−Al系合金が、さらに硼素を1原子%
〜10原子%含有してなることを特徴とする請求の範囲
(27)に記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項31】前記Ti−Al系合金材料の表面層が、Al2O
3(アルミナ)であることを特徴とする請求の範囲(2
1)に記載の耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製造方
法。 - 【請求項32】Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金
からなる基材と、該基材の表面に形成したAl−Oを主体
とした酸化物層とからなる耐酸化性に優れたTi−Al系合
金であって、 Alが15原子%〜55原子%のTi−Al系合金基材と該基材の
表面に形成したニオブ(Nb),タンタル(Ta),クロム
(Cr),タングステン(W)の少なくとも1種以上の酸
化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸化物からなりTi
O2の生成を抑制した表面層とからなるTi−Al系合金材料
を酸化性雰囲気下で酸化し、前記表面層をAl−Oを主体
とした酸化物層に改質させてなることを特徴とする耐酸
化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項33】表面層の表面に、Wを主体とする酸化物
を有してなることを特徴とする請求の範囲(32)に記載
の耐酸化性に優れたTi−Al系合金。 - 【請求項34】アルミナより標準生成自由エネルギの負
の値が小さい酸化物を流動させつつ、Alが15原子%〜55
原子%のTi−Al系合金からなるTi−Al系合金材料を前記
酸化物と共に加熱処理してなり、 前記Ti−Al系合金材料の表面に、TiO2の生成を抑制する
操作を行いつつ、前記酸化物を構成する元素の酸化物,
該元素の複合酸化物,Al2O3(アルミナ)の一種以上の酸
化物からなりTiO2の生成を抑制した表面層を形成してな
ることを特徴とする耐酸化性に優れたTi−Al系合金の製
造方法。
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JP24858396 | 1996-08-29 | ||
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