JP3480290B2 - 高強度歯車の製造方法 - Google Patents

高強度歯車の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高面圧下で使用さ
れる歯車及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の歯車、特に自動車用駆動系歯車
は、高出力化や小型化に対応するため、高面圧下で使用
されるようになっており、歯車剥離(ピッティングな
ど)強度や耐摩耗性が要求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】対応策として、従来か
ら行なわれている浸炭時の炭素濃度を高め、セメンタイ
トを微細かつ多量に分散させる方法が考えられる。しか
し、内部までセメンタイトを析出させうる炭素濃度とす
るには、高温かつ長時間の浸炭処理が必要であり、不経
済であるという課題がある。
【0004】効率的に浸炭を行なう方法としては、プラ
ズマ浸炭があるが、表層近傍のセメンタイトが炭素を取
り込み、内部への浸炭を阻害するという問題がある。ま
た、歯車素材を高炭素鋼とする方法が考えられるが、内
部硬度が上がり、靱性が著しく低下するという問題があ
る。
【0005】高炭素鋼を軟質化させる方法として、鋼材
を焼鈍することで組織をフェライト+黒鉛とする技術
が、特開平7−70646号公報や特開平6−3233
99号公報等にみられるが、これらは黒鉛による制振効
果や加工性向上を狙ったものであり、炭素濃度を積極的
に高めることで、より深くセメンタイトを析出させ、歯
面強度を高めようとするものではない。
【0006】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、冷間加工性に優れ、かつ耐ピッテ
ィング性及び耐摩耗性に優れた高強度歯車を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、フェライト−パーライト−黒鉛組織とし
た鋼材を歯車形状とし、その後浸炭処理を行なうことに
より、歯面強度上硬度の必要とされる表層から0.3m
m程度までの炭素濃度を迅速に高め、焼入れ後の表層組
織をセメンタイト−マルテンサイト−黒鉛とする。な
お、鋼材のフェライト−パーライト−黒鉛組織は、溶製
調質を行ったのちに、焼ならし、その後焼き鈍し(黒鉛
化処理)を行なうことで形成されたものとする。
【0008】以下、本発明の成分及び製造条件の限定理
由を説明する。C:0.4〜2.0重量% 適量の黒鉛を分散させ、かつ表層の強度を得るには、
0.4%以上の添加が必要であるが、より高い強度を得
ようとするならば、1.0%以上の添加が望ましい。た
だし、2%を超えると靱性が極端に低下する。
【0009】Si:0.5〜1.0重量% 黒鉛化を促進する元素として、0.5%以上の添加が必
要であるが、1.0%を超えると加工性が低下する。
【0010】浸炭条件 浸炭温度が“310C+600〔℃〕(但し、Cは浸炭
処理時の浸炭ガス濃度)”を超えると、黒鉛のオーステ
ナイト中への固溶が加速され、必要以上に内部硬度が上
がりすぎ、曲げ強度など靱性が低下する。本発明の歯車
は、浸炭処理のみでも十分な表面硬度が得られるもので
あるが、歯車表層の黒鉛による機械的性質の低下を避け
るには、浸炭後窒化処理を行なうのが望ましい。窒化
は、歯車の使用中の温度上昇による硬度低下を防ぐ働き
をするとともに、歯車表層の黒鉛のオーステナイト中へ
の溶け込みを促進する。
【0011】さらに曲げ強度などの特性を一層向上させ
るには、浸炭処理後、高周波加熱により表層の黒鉛及び
セメンタイトを固溶させ、800〜900℃に保持、焼
入れればセメンタイトが微細に析出し、歯面強度のみで
なく、曲げ疲労強度を一層向上させることができる。例
えば、侵入するガス濃度が仮に0.9%Cとして、高温
では完全固溶して0.9%でも、その後温度を下げると
(例えば焼入温度への温度低下。高いままだと部品が歪
むので下げる)セメンタイトが析出する。本発明では、
このセメンタイトを積極的に出そうとするもので、母材
の濃度+セメンタイト(Fe3 C)のC濃度が上乗せさ
れるので、最終的に母材のC濃度がガス濃度と同じでも
それより高い濃度となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による高強度歯車及
びその製造方法の実施の形態を、実施例及び比較例を参
照しながら説明する。
【0013】(試験方法)素材はJIS SCM420
をベースとして炭素及びSi量を調整し、φ85丸棒形
状に溶製、熱間鍛造後、機械加工により回転曲げ試験片
(平滑φ8)、ローラーピッティング試験片形状とし
た。
【0014】実施例1〜3 実施例1は黒鉛化処理として700℃にて15時間の焼
き鈍しを行なった後、Cポテンシャル1.2%雰囲気で
950℃にて3時間の浸炭後、870℃にて油焼入れを
行ない、170℃の焼戻しを行なった。実施例2につい
ては黒鉛化処理の時間を実施例1より短くして炭素濃度
を実施例1より少なくし、実施例3については、実施例
1と同等の処理後、高周波加熱を行い、850℃にて2
0分保持、その後焼入れを行なった。
【0015】比較例1〜3 比較例1は黒鉛化処理として700℃にて5時間の焼き
鈍しを行なった後、Cポテンシャル1.2%雰囲気で9
50℃にて5時間の浸炭後、拡散処理を3時間行った。
比較例2は黒鉛化処理として930℃にて0.5時間の
焼き鈍しを行なった後、Cポテンシャル1.2%雰囲気
で950℃にて3時間の浸炭後、Cポテンシャル0.9
%雰囲気で870℃にて0.5時間の焼入れを行った。
その後、170℃で2時間の焼き戻しを行い、空気中に
て徐冷を行った。比較例3は黒鉛化処理として950℃
にて3時間の焼き鈍しを行なった後、Cポテンシャル
1.2%雰囲気で950℃にて3時間の浸炭後、Cポテ
ンシャル0.9%雰囲気で870℃にて0.5時間の焼
入れを行った。
【0016】面疲労強度は、面圧4Gpa、滑り率60
%のローラーピッティング試験によるL10寿命をとっ
た。結果を、表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1に示すように、本発明の範囲(実施例
1〜3)では、面疲労強度がいずれも107 以上となる
のに対して、比較例1はセメンタイトの析出量が少な
く、また析出深さが0.1mmまでしかないため、寿命
が短い。また、比較例2はセメンタイトの析出は多いが
析出深さが浅いため、やはり短寿命である。比較例3で
は内部まで硬度が上がりすぎるため、特に曲げ疲労強度
が著しく低下する。実施例のうち、特に高周波加熱保持
にてセメンタイトの析出状態を調整したものは、曲げ疲
労強度も優れている。なお、本実施の形態において、セ
メンタイトの析出量の多い少ないの判断は、セメンタイ
トの面積率で判断している。
【0019】
【発明の効果】本発明は、単に炭素濃度を高めるのでは
なく、セメンタイトをより深く入れて強度を増すことを
特徴としているため、冷間加工性に優れ、かつ耐ピッテ
ィング性及び耐摩耗性に優れた高強度歯車を提供するこ
とが可能となる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.4〜2.0、Si:
    0.5〜1.0を含む鋼に黒鉛化処理を行った後、A1
    変態点よりも高く、かつ、310C+600[℃](た
    だし、Cは浸炭処理時の浸炭ガス濃度)よりも低い温度
    範囲での浸炭焼入れ、高周波加熱を行い、800〜90
    0℃に保持、焼入れ、焼戻しにより、少なくとも表層か
    ら0.2mmまでの組織をセメンタイト−黒鉛−マルテ
    ンサイトとすることを特徴とする高強度歯車の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.4〜2.0、Si:
    0.5〜1.0を含む鋼に黒鉛化処理を行った後、A1
    変態点よりも高く、かつ、310C+600[℃](た
    だし、Cは浸炭処理時の浸炭ガス濃度)よりも低い温度
    範囲での浸炭焼入れ、窒化処理、高周波加熱を行い、8
    00〜900℃に保持、焼入れ、焼戻しにより、少なく
    とも表層から0.2mmまでの組織をセメンタイト−黒
    鉛−マルテンサイトとすることを特徴とする高強度歯車
    の製造方法。
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