JP3480091B2 - 発色用ステンレス鋼板 - Google Patents

発色用ステンレス鋼板

Info

Publication number
JP3480091B2
JP3480091B2 JP31904994A JP31904994A JP3480091B2 JP 3480091 B2 JP3480091 B2 JP 3480091B2 JP 31904994 A JP31904994 A JP 31904994A JP 31904994 A JP31904994 A JP 31904994A JP 3480091 B2 JP3480091 B2 JP 3480091B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stainless steel
steel sheet
coloring
steel plate
color
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP31904994A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08158015A (ja
Inventor
保夫 亀田
滋 木谷
賢一 御所窪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP31904994A priority Critical patent/JP3480091B2/ja
Publication of JPH08158015A publication Critical patent/JPH08158015A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3480091B2 publication Critical patent/JP3480091B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、彩度,明度の低い落
ちついた色調への発色性に優れた発色用ステンレス鋼板
に関するものである。 【0002】 【従来技術とその課題】近年、建造物の内・外装材や美
術工芸品等の分野で“発色ステンレス鋼板”の適用が目
立つようになってきた。この発色ステンレス鋼板は、一
般的な塗装鋼板とは異なり、その発色機構がステンレス
鋼板表面に生成させた極薄の光透過性酸化皮膜による光
の干渉作用を利用したものであるため、ステンレス鋼板
の素地表面が持つ美麗さを反映した趣のある色調を発現
させることが可能である。その上、ステンレス鋼板の発
色法として「硫酸とクロム酸との混合液中に浸漬する所
謂“インコ法”」や「酸素の存在する雰囲気下で加熱す
る“テンパ−カラ−法”」等が確立されたこともあり、
このようにして得られる発色ステンレス鋼板は建造物の
内・外装材や美術工芸品のみに止まらず、多方面での使
用が期待されるようにもなっている。 【0003】ただ、これまでの発色ステンレス鋼板は、
鮮やかなアンバ−,ブル−,ゴ−ルド,レッド並びにグ
リ−ンを基本色としており、その中間色を加えれば多彩
な発色が可能であるものの、逆に彩度や明度が低い色調
を出すことができないという難点があった。そのため、
発色ステンレス鋼板は、その派手な色調の故に利用分野
が制限されるとの懸念も大きかった。例えば、一般のビ
ル用建材としては渋い落ちついた色調が好まれており、
デザイン的にも彩度,明度の低い色調が要求される傾向
があるため、発色ステンレス鋼板をそのまま内外装材に
適用することがはばかられる等の事情があったからであ
る。 【0004】このようなことから、本発明の目的は、彩
度,明度の低い色調をも再現性良く発色させることがで
きるステンレス鋼板を提供することに置かれた。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、数多くの実験を繰り返しながら研究を重
ねたところ、以下に示すような知見を得ることができ
た。 a) 発色処理に供するステンレス鋼板の表面にSiが高濃
度で存在していると、発色処理の際にこのSiが表面酸化
皮膜(干渉膜)中に多く取り込まれ、これによって該皮
膜の光透過率が小さくなるため光の干渉作用が弱まり、
得られる発色ステンレス鋼板は彩度,明度の低い色調を
呈するようになる, b) そして、特に“表面から少なくとも 0.5μm深さ”
までの表層部断面におけるSi濃度の最大値が10at%を
超える値となるまでステンレス鋼板表層部にSiが濃化さ
れていると、彩度,明度の低い渋くて落ちついた色調を
再現性良く発色させることが可能となる。 【0006】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、「発色用ステンレス鋼板を、 表面から
少なくとも 0.5μm深さまでの表層部断面におけるSi濃
度の最大値が10at%を超える値に調整されて成る構成
とした点」に大きな特徴を有している。ここで、ステン
レス鋼板の鋼種は特に制限されるものではなく、発色ス
テンレス鋼板としての使用が見込まれるものであれば何
れであっても差支えはない。 【0007】なお、ステンレス鋼板表面にSiを濃化させ
ておく手段としては、例えば焼鈍条件や焼鈍後の脱スケ
−ル条件を制御する方法がある。即ち、ステンレス鋼板
の製造工程では焼鈍が欠かせない処理の1つとなってい
るが、ステンレス鋼板中に含まれるSiは大気中での焼鈍
によって表面に拡散し、表面にSi濃化層を形成する。図
1は、大気中で焼鈍したステンレス鋼板(鋼種:SUS
304)の表層部をSIMS(2次イオン質量分析)で
分析した結果を示したものであり、表面付近におけるC
r, Si, Fe等の深さ方向の濃度分布が示されている。こ
の図1からも、焼鈍後のステンレス鋼板表面にはCr, Fe
等を主成分とする酸化スケ−ルが生成しており、その下
(内部)にSiの濃化した層(Si濃化層)が存在している
ことが分かる。なお、図中のO(酸素)については、二
次イオン強度を定性的に示したものである。ただ、一般
的なステンレス鋼板の製造工程においては、焼鈍後に
“溶融アルカリ浸漬と酸洗とを併用する方法”や“中性
塩電解と酸洗とを併用する方法”により十分な脱スケ−
ルが行われるため、上記の酸化スケ−ルやSi濃化層は完
全に除去されてしまい、処理後のステンレス鋼板にはSi
濃化層が存在することはない。しかし、ステンレス鋼板
の一般的な脱スケ−ル法である前記“溶融アルカリ浸漬
と酸洗とを併用する方法”や“中性塩電解と酸洗とを併
用する方法”を適用した場合でも、条件によっては、Si
濃化層を残存させ、表面に高濃度のSiが存在するステン
レス鋼板の製造が可能である。また、Si濃化層の残存程
度は脱スケ−ル以前の焼鈍条件にも強い影響を受け、焼
鈍条件の調整によりステンレス鋼板表層部へのSiの濃化
程度を制御して、脱スケ−ル後にまでSi濃化層が持ち来
たされるようにすることもできる。 【0008】例えば、SUS304の“冷間圧延後の焼
鈍時間”を通常の製造条件より10〜30秒間程度長く
することによってSi濃化層を通常よりも2〜7割程度厚
く生成させることができるが、この後、溶融アルカリ浸
漬や中性塩電解を通常より長め(3〜8割増し)に実施
し、更に硝ふっ酸酸洗を通常と同程度の時間で実施する
ことで、Si濃化層が残存し、しかもスケ−ル残りの無い
表面に仕上げることができる。 【0009】 【作用】上述のような手段等により「発色処理に供する
ステンレス鋼板」の“表面から少なくとも 0.5μm深さ
までの表層部断面”におけるSi濃度の最大値が10at%
を超える値となるように調整しておくと、発色処理の際
にステンレス鋼表面に形成される表面酸化皮膜(干渉
膜)中にSiが高濃度で取り込まれ、これにより皮膜の光
透過率が小さくなり、そのため光の干渉作用が弱まって
色調の彩度,明度が低くなる。従って、発色処理後のス
テンレス鋼板は、彩度,明度の低い渋くて落ちついた色
調を呈し、派手な色調が嫌われる物品にも十分適用が可
能である。なお、発色用ステンレス鋼板の“表面から少
なくとも 0.5μm深さまでの表層部断面”におけるSi濃
度の最大値が10at%を下回っていると、発色処理によ
って彩度,明度の低い渋くて落ちついた均一色調を再現
性良く発現させることはできない。 【0010】次いで、実施例によって本発明を更に具体
的に説明する。 【実施例】まず、1150℃において通常より長め(2
0秒間)の焼鈍を行って製造したSUS304ステンレ
ス鋼板の2B仕様材を準備し、その表層部のSIMS分
析を行った。この結果を図2に示したが、表層部にはか
なりのSi濃化層が存在していることを確認した。なお、
図2においても、O(酸素)については二次イオン強度
を定性的に示したものである。 【0011】次に、上記材料から複数の試験片を採取
し、比較例の一部を除くそれぞれにつき発色前処理とし
て種々条件の酸洗又は研磨の処理を施した後、インコ法
及びテンパ−カラ−法によって発色処理を行った。そし
て、このようにして得られた各発色ステンレス鋼板につ
いて色彩測定を行ったが、その結果をJIS Z8729に
よる表示に従って表1に示すと共に、該表1には、発色
処理に先立って実施したSIMS分析による 0.5μm深
さまでの最大Si濃度測定の結果も併せて示した。 【0012】なお、表1に示す“彩度”を表す式 【数1】 は、その値が大きいほど彩度が高いことを示す。 【0013】 【表1】 【0014】表1に示される結果からも明らかなよう
に、 0.5μm深さまでの最大Si濃度を10at%を超える
値に調整した“本発明に係る発色用ステンレス鋼板”で
は、何れの発色処理によっても前記「彩度を表す式」の
値が7以下と低くて渋い色調を示すのに対して、“比較
例に係る発色用ステンレス鋼板”では前記「彩度を表す
式」の値は25以上となっており、彩度の高い軽い色調
となっていることが分かる。 【0015】 【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、発色処理によって彩度,明度の低い渋くて落ちつい
た色調が再現性良く得られる発色用ステンレス鋼板を供
給することが可能となるなど、産業上非常に有用な効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】 【図1】大気中焼鈍のSUS304ステンレス鋼表面を
SIMSで分析した結果を示すグラフである。 【図2】実施例で使用したステンレス鋼板(2B仕様
材)の表面をSIMSで分析した結果を示すグラフであ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−100660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C22C 38/00 302 C22C 38/34

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 表面から少なくとも 0.5μm深さまでの
    表層部断面におけるSi濃度の最大値が10at%を超える
    値に調整されて成ることを特徴とする、発色用ステンレ
    ス鋼板。
JP31904994A 1994-11-29 1994-11-29 発色用ステンレス鋼板 Expired - Lifetime JP3480091B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31904994A JP3480091B2 (ja) 1994-11-29 1994-11-29 発色用ステンレス鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31904994A JP3480091B2 (ja) 1994-11-29 1994-11-29 発色用ステンレス鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08158015A JPH08158015A (ja) 1996-06-18
JP3480091B2 true JP3480091B2 (ja) 2003-12-15

Family

ID=18105941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31904994A Expired - Lifetime JP3480091B2 (ja) 1994-11-29 1994-11-29 発色用ステンレス鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3480091B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016039429A1 (ja) * 2014-09-10 2016-03-17 新日鐵住金株式会社 拡散接合し難いオーステナイト系ステンレス鋼板
JP6702416B2 (ja) * 2016-06-28 2020-06-03 日本製鉄株式会社 オーステナイト合金材およびオーステナイト合金管

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08158015A (ja) 1996-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3480091B2 (ja) 発色用ステンレス鋼板
JPH02185962A (ja) 高温での耐変色性に優れるフェライト系ステンレス鋼の製造方法
JP2815643B2 (ja) 疵が付き難く密着性の良好な着色チタン材とその製造方法
JPS6021370A (ja) カラ−ステンレス材の製造方法
JPH07118813A (ja) 発色用ステンレス鋼板及びその調整方法
EP1464715A1 (en) Pure titanium building material and method of manufacturing the same
JPS59105243A (ja) シャドウマスクの製造方法
JP3221303B2 (ja) 表面の美麗なチタンまたはチタン合金部材およびその製造方法
JPS6315349B2 (ja)
JP2898104B2 (ja) 縞鋼板及びその製造方法
JPS5896823A (ja) 着色用ステンレス鋼板の製造法
JPS624473B2 (ja)
JPS62130241A (ja) 装飾品用銀材料
JPH07126751A (ja) 被膜密着性の良い鏡面方向性珪素鋼板の製造方法
JPH09165697A (ja) 緑青銅板風着色Ti材またはTi合金材およびその製造方法
JPH01136964A (ja) アモルファスコーティング膜の着色方法
JPH0390600A (ja) 耐食性と外観性の優れたCr含有冷延鋼板の製造法
JPS62130245A (ja) 装飾品用銀材料
JPS616220A (ja) 装飾品用銀材料
JPS62130242A (ja) 装飾品用銀材料
JPS62130239A (ja) 装飾品用銀材料
JPS62130240A (ja) 装飾品用銀材料
JPS616223A (ja) 装飾品用銀材料
JPH11264063A (ja) チタン装飾部材の硬化処理方法
JPS61143537A (ja) 装飾品用銀材料

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081010

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081010

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091010

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101010

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111010

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121010

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131010

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term