JP3479809B2 - バランスが調整されたホイール及びその製造方法 - Google Patents
バランスが調整されたホイール及びその製造方法Info
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Description
整した自動車等のホイール及びその製造方法に関する。
ブリ)は、タイヤとホイールを組み立てた状態で、回転
軸まわりと回転軸方向のバランスをとる必要がある。回
転軸まわりのバランスが取れていない状態は静アンバラ
ンスと呼ばれ、静バランスがとれていないと、走行時に
上下方向の振動が発生する。また、回転軸方向のバラン
スが取れていない状態は動アンバランスと呼ばれ、動バ
ランスがとれていないと、上下左右方向の振動が発生
し、ステアリングシミー等の原因となる。
リのバランスをとるためには、次の方法によっていた。
まず、タイヤの半径方向の強度の高い部分であるラジア
ルフォースバリエーション(RFV)の方向と、ホイー
ルの周方向のうち最も径の小さいローポイントの方向と
を合わせてホイールとタイヤを組む。すると、タイヤの
周方向のうち最も軽い方向である軽点と、ホイールの周
方向のうち最も重い方向である重点とは、通常一致しな
いことから、さらにバランスウエイトを付加する必要が
ある。このバランスウエイトを付加する位置を決めるた
めに、組み立て後のタイヤホイールアセンブリをアンバ
ランス計測器にかけ、アンバランスの方向と量を測定す
る。そして、その方向と量にあったバランスウエイトを
ホイール側面の外周につけることによりバランスをと
り、アンバランス量が一定量以下になるまで、アンバラ
ンスの測定とバランスウエイトの位置決めを繰り返す。
ンス取りの作業は多工程かつ煩雑な作業であるため、非
常に多大な工数を要する。また、ホイールにバランスウ
エイトをつけるため、ホイールの外観も損なう。従っ
て、バランスウエイトは極力小さく、できれば付けない
のが望ましく、付けなければならない場合でも、バラン
スの測定をすることなく付ける位置を特定できるのが望
ましい。また、ホイールはエアバルブのある方向が重点
となりやすいことから、エアバルブを目安にバランスウ
エイトがつけられたりする場合もあるが、従来のホイー
ルでは必ずしもエアバルブの方向に重点が位置していな
いことから、エアバルブの位置が重点の十分な目安とは
なっていないのが現状である。そこで、本発明では、バ
ランスを調整されたホイールを提供し、ホイールの外観
を向上し、又はホイールとタイヤの組み立て効率を向上
することを目的とする。
め、本発明者は、圧延板が幅方向の中心付近で厚さのピ
ークがあることに注目し、圧延板の厚みによるディスク
のバランスの偏りと、エアバルブの重量によるバランス
の偏りを意図的に組み合わせることにより、ホイールの
バランスを自在に調整する発明をした。
成されたディスクを使用してなるホイールにおいて、前
記ディスクの中心から前記ディスクの厚肉部に向かう方
向を基準として、所定角度の方向にエアバルブ装着孔を
位置させることによりバランスを調整することを考え
た。このようにすることにより、厚肉部によるアンバラ
ンスと、エアバルブによるアンバランスとをそれぞれデ
ィスク中心からのベクトルで示した場合に、それらのベ
クトルを合成した方向にホイールの重点が位置すること
になる。従って、エアバルブを取り付けるエアバルブ装
着孔の位置を適宜設定することにより、所望の方向にア
ンバランスを生じさせるようにバランスを調整すること
ができる。さらに、このようなホイールを多数用意し
て、タイヤの中心から見たRFV方向と軽点方向の間の
角度と、ホイールの中心から見たローポイント方向と重
点方向の間の角度とが大体同じものを選択して組み合わ
せれば、前記重点と前記軽点がアンバランスを相殺しあ
って、バランスの調整量を最小限で済ませることも可能
である。
は、圧延板を圧延方向に複数分割して形成されたディス
クを使用してなるホイールにおいて、前記ディスクの中
心から前記ディスクの厚肉部に向かう方向とエアバルブ
装着孔に向かう方向を一致させたことを特徴とした。こ
のようにすることにより、ホイールの中心から見て重点
となりやすい厚肉部の方向とエアバルブの方向が一致す
るので、必ずエアバルブ方向が重点となるようにするこ
とができる。従って、ホイールとタイヤの組み立て作業
者は、エアバルブの位置を重点の目安として組み立て作
業を行うことができる。
法としては、圧延板の圧延方向に複数分割された部分か
らディスクを形成する工程と、前記ディスクの中心から
前記ディスクの厚肉部に向かう方向を基準として所定角
度の位置にリムのエアバルブ装着孔を位置させるように
前記ディスクと前記リムとを嵌合し、接合する工程とを
含んで行うことができる。このような製造方法により、
厚肉部によるアンバランスと、エアバルブによるアンバ
ランスとをそれぞれディスク中心からのベクトルで示し
た場合に、それらのベクトルを合成した方向にホイール
の重点を位置させたホイールを製造することができる。
即ち、エアバルブ装着孔を位置させた所定角度を適宜決
めることにより、所望のバランスのホイールを製造する
ことができる。
用したホイールの製造方法であって、圧延板の圧延方向
に複数分割された部分からディスクを形成する工程と、
前記ディスクの中心から前記ディスクの厚肉部に向かう
方向と、リムのエアバルブ装着孔の方向を一致させて前
記ディスクと前記リムとを接合する工程とを含んでなる
ことを特徴とした。このような製造方法により、ディス
クの重い方向である厚肉部の方向にエアバルブを装着す
ることができるので、エアバルブの方向が必ず重点とな
るホイールを製造することができる。
た部分から形成されたディスクと、リムとを接合してな
るホイールのバランスの調整方法として、ディスクの中
心から厚肉部方向を基準として、所定角度の方向に前記
リムのエアバルブ装着孔を位置させるように前記ディス
クと前記リムとを嵌合し、接合するように行うこともで
きる。このようなホイールのバランスの調整方法によれ
ば、ディスクの中心から厚肉部方向に対し所定角度の方
向にエアバルブを装着することができるので、厚肉部に
よるアンバランスと、エアバルブによるアンバランスと
をそれぞれディスク中心からのベクトルで示した場合
に、それらのベクトルを合成した方向にホイールの重点
を位置させることができる。
イールの機能を損なわずにリムとディスクを接合できる
方法であればどのような方法でも良く、例えば、溶接、
ろう付け、ボルト締め、接着剤による接着等、公知の種
々の固定方法を使用することができる。
発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の実
施の形態に係るホイールについて説明する。図4は、本
発明のホイールの分解斜視図である。図4に示すよう
に、ホイール1は図示しない車軸にボルトで締結され
て、車軸の駆動力を受けるディスク2と、外周にタイヤ
が嵌めこまれ、ディスク2と溶接接合されるリム3とか
ら構成される。
ってカップ形状にしたもので、カップ形状の円盤面2a
には、車軸に固定する際にボルトが挿通されるボルト挿
通孔21及びホイール内部に位置するブレーキを冷却す
るための通気孔22及びホイールの中心を合わせるため
のセンターホール23が設けられている。カップ形状の
壁面部2bは、圧延鋼板を打ち抜いた素材の形状を残し
てその縁が凹凸になっている。壁面部2bの縁の内、凸
部がリム3と溶接される溶接部24,24,・・・であ
る。ディスク2は、圧延鋼板を材料としていることか
ら、後記するように板厚が厚い厚肉部と、板厚が薄い薄
肉部があり、厚肉部は比較的重く、薄肉部は比較的軽く
なっているので、重量バランスに関しアンバランスが生
じている。厚肉部と、薄肉部の板厚の差は、乗用車用の
ホイールに使用される、板厚が2.6〜3.2mmの圧
延鋼板では、約30〜50μmの差がある。なお、図4
のホイール1では、壁面部2bの縁部の内、最も薄肉部
のところに、切欠き25が薄肉部の目印として設けられ
ている。
にタイヤが装着されるようになっている。リム3の縁部
には、装着されたタイヤが外れないように、リムフラン
ジ31,31が両側に設けられている。リムフランジ3
1の内、自動車の外面側となる方の一部には、タイヤに
空気を入れるためのエアバルブを装着するエアバルブ装
着孔32が設けられている。リム3自体は、重量は大き
いものの、製品ばらつきが小さく、静的アンバランス量
は少ない。しかし、エアバルブ装着孔32にエアバルブ
が装着されることにより、組み立て後は、エアバルブ装
着孔32側が重くなる傾向にある。ディスク2はリム3
の内径に嵌合されて、溶接部24,24,・・・をリム
3の内径部分と溶接されることにより、ホイール1が形
成されている。
の製造方法について説明する。図1(a)は、圧延鋼板
からのホイールのディスク取りを説明する図であり、
(b)は、(a)図のX−X線断面図である。本発明の
ホイール1は、ディスク2に圧延鋼板等の圧延板を使用
する場合に、圧延板の特性を生かしたものであり、リム
3は、ディスク2と接合可能なものであれば、公知のど
のようなリムを使用してもよい。図1(a)に示すよう
に、原圧延鋼板50は供給される素材の幅が、ホイール
1のディスク直径よりかなり大きいため、通常、幅方向
に二条に分けてディスク2の素材が板取りされる。とこ
ろが、圧延鋼板は、圧延時に周辺部分が延びやすいこと
から、図1(b)に示すように、幅方向の中心付近が厚
く、端の付近が薄くなっている。従って、図1(a)の
ように、ディスク素材を二条取りにした場合、ディスク
素材の、圧延鋼板の中心付近に位置していた片側は厚
く、反対側の片側は薄くなり、重量のアンバランスを生
じてしまう。なお、このアンバランスは、極めて少ない
と思われていたこと、及びホイールバランス修正はタイ
ヤと組み立て後にいずれにしても行うものであることか
ら、これまで無視されてきたものである。
ルの製造工程を示す図である。図2(a)に示すよう
に、原圧延鋼板50は、素材として取り出すディスクの
大きさに応じて、例えば圧延鋼板ロール51,51のよ
うに二条に分割される。そして、図2(b)に示すよう
に、圧延鋼板ロール51はディスク2の素材の大きさに
合わせて、略正方形のブランク52に切断される。
す平面図である。図3においては、横方向が圧延鋼板の
製造時の圧延方向であり、図の上方が薄肉部であり、下
方が厚肉部にあたる。ブランク52は、正方形の四つの
角が略円弧形状で切り落とされる。そして、ボルト挿通
孔21、通気孔22、センターホール23とが打ち抜か
れる。さらに、薄肉部の方の一辺に、薄肉部であること
を示す目印として、切欠き25を形成させて、ディスク
素材53となる。この後、ディスク素材53は、カップ
形状に絞られることにより、図4に示すようなディスク
2となる。なお、ボルト挿通孔21、通気孔22、セン
ターホール23は、カップ形状に絞った後に形成させて
もよい。また、薄肉部の目印となる切欠き25は、厚肉
側の一辺に設けて厚肉部の目印としても良い。
用することができ、自動車の外面側となるリムフランジ
31にエアバルブ装着孔32が設けられたものを使用す
る。次に、ディスク2をリム3の内径に嵌合した上で、
溶接部24をリムの内径に溶接して接合する。この際、
ディスク2の中心から見た切欠き25の方向と、エアバ
ルブ装着孔32の方向を180度逆にして嵌合して、接
合することで、厚肉部とエアバルブが同じ方向に位置す
るようになる。
ことができる。このようにして、ディスク2の厚肉部の
方向と、リム3のエアバルブ装着孔32の方向を一致さ
せることにより、ホイール1にエアバルブを装着した状
態では、必ずエアバルブの方向をホイール1の重点とす
ることができる。従って、タイヤとホイール1を組み立
てた後、バランス取りをする時に、バランスウエイトを
つける目安とすることができる。また、ホイール1の重
点とタイヤの軽点を合わせて組み立てて、付加するバラ
ンスウエイトの質量を小さくしようとする場合にも、必
ずエアバルブの位置が重点となっていることから、組み
立ての際の目安とすることができる。
て説明する。図5は、第2の実施の形態に係るホイール
の正面図である。なお、以下の説明において、第1の実
施の形態と実質的に同一な部分については、同一の符号
を付して詳細な説明を省略する。第2の実施の形態に係
るホイール70では、ディスク2における厚肉部の方向
と、リム3におけるエアバルブ装着孔32の方向とを合
わせずに、厚肉部の方向を基準としてある角度αだけず
れた位相でエアバルブ装着孔32が位置するように、第
1の実施の形態で説明したディスク2及びリム3を嵌合
して、溶接接合してある。
エアバルブを装着した場合に、エアバルブによって、エ
アバルブの方向に偏るリム3のアンバランスをディスク
2の中心からベクトルv1で示し、同様に、ディスク2
の厚肉部方向に偏るアンバランスをディスク2の中心か
らベクトルv2で示している。この2つのアンバランス
により、ホイール1全体としては、2つのベクトルv
1,v2を合成したベクトルv3の方向に、ベクトルv
3の大きさ分だけのアンバランスが生じる。従って、デ
ィスク2の厚肉部方向と、リム3のエアバルブ装着孔3
2の方向とを適当な角度αにしてディスク2とリム3を
嵌合して、溶接接合することにより、所望のアンバラン
ス量のホイールを得ることができる。また、角度αを例
えば10度毎に違うホイールを製造してそろえておき、
タイヤの中心から見たRFV方向と軽点方向の間の角度
と、ホイールの中心から見たローポイント方向と重点方
向の間の角度とが大体同じものを選択して組み合わせれ
ば、後から付加するバランスウエイトを小さい物ですま
せることができ、車輪の外観を良くすることができる。
たが、本発明は前記実施の形態には限定されず、請求項
に記載された発明の趣旨の範囲で適宜設計変更が可能で
あることはいうまでもない。例えば、ディスクやリムに
重量バランスを変える手段を講じるようなホイールのバ
ランス調整に関する他の技術との組み合わせも可能であ
る。
ような顕著な効果を奏する。請求項1記載の発明によれ
ば、ホイールのエアバルブの方向が常に重点となること
から、タイヤとホイールを組付ける際にエアバルブを重
点の目印とすることができ、バランスウエイトを付加す
る作業の効率化を図ることができる。また、請求項2記
載の発明によれば、ディスクの重い方向である厚肉部の
方向とエアバルブの方向が一致するので、エアバルブの
方向が必ず重点となるホイールを製造することができ
る。
取りを説明する図であり、(b)は、(a)のX−X線
断面図である。
を示す図である。
る。
面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 圧延板を圧延方向に複数分割して形成さ
れたディスクを使用してなるホイールにおいて、前記デ
ィスクの中心から前記ディスクの厚肉部に向かう方向と
エアバルブ装着孔に向かう方向を一致させたことを特徴
とするバランスが調整されたホイール。 - 【請求項2】 圧延板を使用したホイールの製造方法で
あって、圧延板の圧延方向に複数分割された部分からデ
ィスクを形成する工程と、前記ディスクの中心から前記
ディスクの厚肉部に向かう方向と、リムのエアバルブ装
着孔の方向を一致させて前記ディスクと前記リムとを接
合する工程とを含んでなることを特徴とするバランスが
調整されたホイールの製造方法。
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