JP3479153B2 - 桜桃の改質方法 - Google Patents
桜桃の改質方法Info
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Description
のである。本発明に係る方法により、桜桃を鮮明な色に
着色することができ、加熱等による桜桃表皮の傷みを防
止することができる。また、着色した桜桃のシロップ中
等での色流れを防止することができる。
色素等天然色素を用いて赤色に着色する方法がよく知ら
れている。例えば、特公昭57−41896号には、天然着色
料を用いて桜桃を天然の桜桃に近い色に着色する技術が
開示されている。具体的には、煮熟または蒸煮した桜桃
を着色料たるコチニール色素及びまたはラック色素と着
色助剤たるアルミニウム塩との混合系であってそのpH
が4〜7のものに浸漬し、そのpHを保ち、更に酸また
は酸とカルシウム塩及びまたはアルミニウム塩との混合
水溶液に浸漬することを特徴とする桜桃の着色方法であ
る。しかしながら、この方法によって着色した桜桃は、
煮熟または蒸煮、さらには他の加熱処理等で過度に加熱
されるため、桜桃組織が軟化し表皮の傷みが大きくな
る。また、シロップ中やゼリー中において色流れが多く
桜桃の赤色保持が困難である。
く天然果実様の赤色に簡単に効率よく着色し得る着色料
を提供している。具体的には(A)ラック色素、(B)
ミョウバン、(C)L−アスコルビン酸(塩)および
(D)リン酸、酒石酸、クエン酸およびリンゴ酸から選
ばれる酸または、およびその塩を、A成分:B成分:C
成分:D成分=1:0.8〜6:1〜10:3〜23.3
の重量比で含有させた着色料製剤を水で希釈し、桜桃と
ともに容器に入れ、加熱することにより、桜桃を赤色に
着色するものである。しかしながら、この方法によって
着色した桜桃はくすんだ色となる。また、この方法によ
りコチニール色素のみを用いて着色した桜桃は、シロッ
プ中やゼリー中において色流れが多く桜桃の赤色保持が
困難である。
て、特公昭52−13527が知られているが、これは、紅麹
色素に関する方法であり、色素をタンパク質に吸着させ
た後、タンパク質を変性させ不溶化することにより目的
を達する方法であり、本発明に係る方法とは、メカニズ
ム、また、用いるタンパク質の性質も全く異なるもので
ある。
して、特公昭57−45543が知られているが、これは、着
色フィルムの媒質としてタンパク質を用い、その粘弾
性、結着性を利用したものであり、桜桃の着色方法とし
て用いることは困難である。
な色に着色し、加熱による桜桃表皮の傷みを防止すると
共に、着色した桜桃のシロップ中やゼリー中における色
流れを防止する方法を提供することを目的とする。
桃をタンパク質溶液に浸漬することを特徴とし、この方
法により、着色した桜桃のシロップ中における色素の色
流れを防止し、かつ、着色した色の色調自体をより鮮明
な色にすることができる。同時に、加熱による桜桃表皮
の傷みを防止することもできる。以下、本発明を詳しく
説明する。
特に、生の桜桃の着色に対して有効である。また、原料
桜桃の枝付き、枝無しに拘わらず、適用可能であり、原
料前処理としても必要に応じ、選別、水洗をする程度で
実施可能である。桜桃は通常、完熟前に収穫され、黄色
〜白色のものが多いが、一部赤くなったものや全体が赤
く熟したものでも構わない。
いが、通常、赤色に着色する場合が多く、その場合には
色調及び性状等からコチニール色素及びラック色素が好
ましい。本発明は赤色に着色する場合に限られず、あら
ゆる色への着色の場合も優れた効果を発揮する。また、
桜桃の着色方法については、特公昭57−41896号また
は、特開平2−291242号などに示されるあらゆる方法を
適用できる。例えば、缶詰等の容器に桜桃を入れた後、
着色料、着色助剤を添加した液を注入し脱気しながら加
熱した後、密封して殺菌する方法でおこなうことができ
る。
パク質または修飾タンパク質またはそれらの分解物で、
かつ、1.0%(重量、以下同じ)以下の水溶液を95
℃で60分間加熱しても凝集が認められないものをい
う。それ以外のタンパク質では、色素が吸着後であれば
水に不溶となるため、色素の保持率は向上するが、桜桃
の色調はくすみがちであり、また、処理液全体にタンパ
ク質の凝集物が生じ、作業性が格段に悪化する。また、
この方法で解決できるのは、色素の流出防止のみであ
り、加熱等による桜桃表皮の保護はなされない。本発明
で特に好ましいタンパク質は、カゼインホスホペプチド
である。こうしたタンパク質を用いることにより、桜桃
の表皮が保護され、シロップ中やゼリー中における色流
れが防止され、桜桃が鮮明な色に着色される。
ては、タンパク質を水およびまたは水性液に溶解した溶
液に、桜桃を、常温であれば6時間以上浸漬すればよい
が、通常は一晩浸漬すればよい。浸漬時間が6時間未満
の場合、本発明の効果は十分ではないが、6時間以上で
あれば、問題はない。処理温度を上げることにより必要
な処理時間は短くなるが、実際の処理温度と必要な処理
時間は、一度に処理する桜桃の量や桜桃の熟し具合、桜
桃の産地等により自ずから定まるものである。タンパク
質溶液におけるタンパク質の濃度は0.05〜5.0%が
よく、更に好ましくは0.1〜1%が好ましく、日本で
通常取り引きされる桜桃を用いる場合は0.2〜0.5%
が最も好ましい。
び着色助剤の溶液中に桜桃を浸漬する方法がとられる
が、その処理はタンパク質溶液に浸漬する前でも後でも
よく、また同時でも構わない。すなわち、タンパク質溶
液に着色料及び着色助剤を溶解させた液に桜桃を浸漬し
ても構わない。また、タンパク質溶液への浸漬と着色料
及び着色助剤の溶液への浸漬は順序も回数も問わない。
作業効率等も含めて考慮し、特に好ましいのは、まずタ
ンパク質溶液に桜桃を浸漬後、着色料及び着色助剤の溶
液に浸漬する方法である。この方法は先に着色料及び着
色助剤の溶液に浸漬する方法に比べ、桜桃の着色の度合
いが増し、色流れの度合いがさらにわずかなものとなる
が、これは、タンパク質溶液への浸漬により桜桃が改質
され、着色されやすく色流れが起こりにくくなるためと
考えられる。
な色に着色すると共に、加熱等の処理からの桜桃表皮の
保護、及び着色した桜桃のシロップ中やゼリー中におけ
る色流れの防止を可能にする。タンパク質を用いた場
合、用いなかったものと比較して、顕著な色流れ防止効
果が認められ、本発明に係る方法によりはじめて、シロ
ップ中等での色流れが防止でき、商品として価値の高い
桜桃加工食品を提供することができるようになった。
た水溶液5kgの中に、生の桜桃5kgを、一晩常温にて浸
漬した。この桜桃を水洗い後、ティンフリースチーム缶
内に入れ、以下の処方の着色液5kgを注入した。次に、
95℃で20分間加熱しながら脱気し、密封後、95℃
で30分間加熱して殺菌をおこなった。その結果、表皮
が保護され、色流れの防止された鮮明な赤色の桜桃を得
た。 着色液 処方(%) コチニール色素 0.08 グラニュー糖 15.00 カリミョウバン 0.15 酒石酸 0.10 乳酸カルシウム 0.10 (リン酸三ナトリウムにてpH5に調整)
カゼインホスホペプチドを用いずに同様の処理を経て得
られた桜桃をBとする。A、Bを水洗後、それぞれ同量
の水に浸漬し、2時間放置した。2時間後、A、Bを比
較すると、Bは色素の流出が多く、商品としては使えな
いものであったが、Aは色素の流出が少なく、桜桃も鮮
明な赤色で商品としても申し分ないものであった。
量の水に浸漬し、1時間煮沸した。この結果、Bは色素
の流出が著しい上に、桜桃組織が軟化し、表皮の傷みも
大きかった。一方、Aは色素の流出も少なく、桜桃組織
の軟化及び表皮の傷みもわずかであった。
00gずつ透明瓶の中に入れた。以下の処方のシロップ
100gをその透明瓶中にそれぞれ注入した後、密封
し、95℃で30分間加熱し殺菌を行った。シロップ中
の色流れを評価するために、シロップ中の極大吸収波長
の吸光度を
として換算した。結果を表1に示した。 シロップ 処方(%) グラニュー糖 15.00 乳酸カルシウム 0.50 クエン酸(結晶) 0.25
り流出し、シロップ全体が橙色となったが、Aは、色素
の流出が吸光度で6分の1以下となり、目視では、シロ
ップは無色に近く、桜桃は鮮明な赤色となり、商品価値
の高いものとなった。
解した水溶液5kgに浸漬し、一晩常温浸漬した。この桜
桃を水洗い後、ティンフリースチーム缶内に入れ、以下
の処方の着色液5kgを注入した。次に、95℃で20分
間加熱しながら脱気を行い、密封後、95℃で30分間
加熱し、桜桃を着色した。着色済みの桜桃100gをそれぞ
れ水洗後、透明瓶の中に入れた。以下の処方のシロップ
100gをその透明瓶にそれぞれ注入した後、密封し、95
℃で30分間加熱し殺菌を行った。
ロップ中の極大吸収波長の吸光度を測定し、タンパク質
を使用しなかったシロップの吸光度を100%として換
算した。 <着色液 処方(%)> コチニール色素 0.08 グラニュー糖 15.00 カリミョウバン 0.15 酒石酸 0.10 乳酸カルシウム 0.10 (リン酸三ナトリウムにてpH5に調整) <シロップ 処方(%)> グラニュー糖 15.00 乳酸カルシウム 0.50 クエン酸(結晶) 0.25
べて、NO.2〜4において色流れ防止効果が見られ、
色調も鮮やかな赤色を示した。また、NO.2〜4の中
でも、カゼインホスホペプチドを用いたNO.4は顕著
な効果を示した。作業性の点においても、NO.2及び
NO.3は加熱時に凝集するため優れず、カゼインホス
ホペプチドを用いたNO.4が最も良好であった。
チーム缶内に入れ、表3の2種の処方C、Dの着色液5
kgを注入した。次に、95℃で20分間加熱しながら脱
気を行い、密封後、95℃で30分間加熱し桜桃を着色
した。
は、鮮やかな赤色を示したのに対して、処方Dで着色し
た桜桃は暗い赤色を示した。
Claims (2)
- 【請求項1】タンパク質溶液に桜桃を浸漬することを特
徴とする桜桃の改質方法。 - 【請求項2】タンパク質がカゼインホスホペプチドであ
る請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09730095A JP3479153B2 (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 桜桃の改質方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09730095A JP3479153B2 (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 桜桃の改質方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08289763A JPH08289763A (ja) | 1996-11-05 |
JP3479153B2 true JP3479153B2 (ja) | 2003-12-15 |
Family
ID=14188648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09730095A Expired - Lifetime JP3479153B2 (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 桜桃の改質方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3479153B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015067723A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 理研ビタミン株式会社 | アントラキノン系色素製剤 |
-
1995
- 1995-04-21 JP JP09730095A patent/JP3479153B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08289763A (ja) | 1996-11-05 |
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