JP3478897B2 - 血液検査用容器 - Google Patents

血液検査用容器

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JP3478897B2
JP3478897B2 JP03656895A JP3656895A JP3478897B2 JP 3478897 B2 JP3478897 B2 JP 3478897B2 JP 03656895 A JP03656895 A JP 03656895A JP 3656895 A JP3656895 A JP 3656895A JP 3478897 B2 JP3478897 B2 JP 3478897B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、血液検査用容器に関
し、詳しくは血漿を対象とする検査に使用されるプラス
チック製血液検査用容器に関する。 【0002】 【従来の技術】血液検査の対象には、その検査目的や方
法によって、全血、血清、血漿および血球などがあり、
それぞれの対象に応じた血液検査用容器が使用されてい
るが、本発明は、血漿を対象とする検査に使用される血
液検査用容器に関する。 【0003】血漿は、血液から血球成分などの固形成分
が除かれたものである。血液が凝固すると血漿を得るこ
とが出来なくなるので、血漿を得るには、血液凝固を防
止するための血液抗凝固剤が予め収容された血液検査用
容器に採血し、血液と血液抗凝固剤を混和させた後、遠
心分離を行い血漿を固形成分から分離する方法が使用さ
れてきた。 【0004】一般に、上記のようにして分離された血漿
は、遠心分離後、別の容器に移し替えて保存される。こ
れは、血球などの固形成分から溶出される成分が血漿に
混入し、検査値に異常を起こすことを避けるためであ
る。しかし、最近では血液による感染を防止するため、
容器の移し替えをする必要がない方法が要望されてい
る。このためには、血球などの固形成分からの溶出物が
血漿に混入するのを防止する必要があり、その方法とし
て、チクソトロピー性の流体からなる血漿分離剤(例え
ば、特開平2−168159号)を使用したり、分離部
材(例えば、特開平5−26873号)を使用したりし
て、血漿層と固形成分層との間に隔壁を設ける方法が用
いられてきた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】また、従来、血液検査
用容器としてガラス製のものが使用されていたが、ガラ
スは破損し易く、破損により血液感染の恐れがあるた
め、最近はプラスチック製の血液検査用容器が多く使用
されるようになってきた。この場合、プラスチックの表
面は一般に疎水性であり、血液に接触すると、血液に含
まれる血球成分や蛋白質成分を吸着してしまう。特に血
小板は粘着作用が強く、また、血漿中に存在するよりも
高濃度の成分、例えば、LDH(乳酸脱水素酵素)、C
PK(クレアチンキナーゼ)、K(カリウム)等が存在
するため、血小板がプラスチック表面に吸着するとこれ
らの成分が溶出するので、これらの成分を検査する場合
には大きく影響を受ける。 【0006】このため、上記のような、血漿層と固形成
分層との間に隔壁を設ける方法が用いられても、血漿の
存在する容器内壁部分に吸着した血球成分からの経時的
な溶出は避けられず、検査値に悪影響を及ぼす。このこ
とは、特に再検査用として血漿を冷蔵保存する際には、
顕著に影響する。 【0007】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、血漿を対象とする検査を行う
場合に用いて、血液中の血球成分からの溶出による検査
値への悪影響を及ぼすことのないプラスチック製血液検
査用容器を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の血液検査用容器
は、プラスチック製容器の内壁面に、重量平均分子量が
10万〜200万のポリビニルピロリドンが1×10
-10 〜1×10-2g/cm2 存在せしめられている。上
記ポリビニルピロリドンの存在量が1×10-10g/c
2 未満になると、血液中の血球成分の付着防止効果が
得られず、1×10-2g/cm2 を超えると、血液検査
値に影響を及ぼす。 【0009】本発明で言うポリビニルピロリドンの重量
平均分子量の求め方は、通法に従い、超遠心分離法や光
散乱法により求められるが、K値と呼ばれる粘度物性値
から下式(1)を用いて粘度平均分子量(Mv )を求
め、さらに下式(2)により、重量平均分子量(Mw
を求めてもよい〔V.Buehler,U.Klodwig,Acta Pharmaceu
tica Technologica,30,No.4,p.317-324(1984)〕。 Mv =22.22×(K+0.075×K2 1.65 (1) Mw ≒Mv (2) 【0010】上記ポリビニルピロリドンの重量平均分子
量が低くなると、血液中に溶解して容器の内壁面に残ら
なくなるので血液中の血球成分の付着防止効果が得られ
なくなり、高くなるとスプレー等の塗布作業性が悪くな
るので、重量平均分子量は10万〜200万に限定さ
れ、好ましくは30〜150万、さらに好ましくは、6
0〜150万である。 【0011】本発明の血液検査用容器は、さらに容器内
に、エチレンジアミン四酢酸系化合物、ヘパリン系化合
物、クエン酸系化合物およびシュウ酸系化合物からなる
群より選ばれる少なくとも一種の血液抗凝固剤が収容さ
れている。 【0012】エチレンジアミン四酢酸系化合物として
は、従来から血液抗凝固剤として使用されているものが
使用され得、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリ
ウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジ
アミン四酢酸三カリウム等が挙げられる。 【0013】ヘパリン系化合物としては、従来から血液
抗凝固剤として使用されているものが使用され得、例え
ば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウム等が挙げら
れる。 【0014】クエン酸系化合物としては、従来から血液
抗凝固剤として使用されているものが使用され得、例え
ば、クエン酸三ナトリウムが挙げられる。 【0015】シュウ酸系化合物としては、従来から血液
抗凝固剤として使用されているものが使用され得、例え
ば、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム等が挙げら
れる。 【0016】本発明の血液検査用容器は、更に、容器内
に、チクソトロピー性の流体からなる血漿分離剤や分離
部材等の、血漿層と固形成分層との間に隔壁を設け得る
材料が収容されていてもよい。血漿分離剤としては、例
えば、塩素化ポリブテンあるいはジシクロペンタジェン
(DCPD)樹脂を主成分とし、比重調整とチクソトロ
ピー性の付与のために微粉末シリカ、アルミナ、ガラス
等の無機物粉末が添加されたものが挙げられる。このよ
うな隔壁形成物質を存在させると、血漿を検査値に影響
を及ぼすことなく長期間保存できる。 【0017】本発明の血液検査用容器に使用されるプラ
スチックの素材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂、変性天然樹脂のいずれもが用いられ得る。 【0018】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−
1、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ア
クリル酸共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共
重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重
合体、ポリビニルアルコールアセタール化物、ポリビニ
ルアルコールブチラール化物等が挙げられる。 【0019】熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−アクリレー
ト樹脂等が挙げられる。 【0020】変性天然樹脂としては、例えば、酢酸セル
ロース、プロピオン酸セルロース、、酢酸酪酸セルロー
ス、エチルセルロース、エチルキチン等が挙げられる。 【0021】本発明の血液検査用容器を製造するには、
例えば、重量平均分子量が10万〜200万のポリビニ
ルピロリドンを適当な溶剤中に溶解もしくは分散させた
状態で、予め用意されたプラスチック製血液検査用容器
の内壁面に、スプレーあるいは浸漬により塗布を行えば
よい。さらに、例えば、前記の血液抗凝固剤を固体状態
あるいは水等の適当な溶剤中に溶解もしくは分散させた
状態で、予め用意されたプラスチック製血液検査用容器
の内部に収容させる。勿論、これらは同時に行っても構
わない。 【0022】さらに、血漿分離剤を使用する場合は、血
漿分離剤をプラスチック製血液検査用容器の内部に収容
させる。 【0023】このようにして、上記の薬剤類を収容した
後、乾燥して溶剤類を揮発せしめてもよいし、検査値に
影響を与えないものであれば、そのままにしておいても
よい。 【0024】本発明の血液検査用容器を使用するには、
検査しようとする血液をいれた後、血液抗凝固剤と血液
とがよく混和するようにした後、遠心分離して血漿を分
離すればよい。 【0025】 【作用】本発明では、容器の内壁面に前記の特定の範囲
の重量平均分子量のポリビニルピロリドンが特定量存在
せしめられているので、血液中の血球成分や蛋白質等の
付着が防止される。また、該容器に血液抗凝固剤が収容
されているので、血液の凝固が防止される。さらに容器
内に、隔壁形成物質を存在させると、血漿を検査値に影
響を及ぼすことなく長期間保存できる。 【0026】 【実施例】次に、本発明の血液検査用容器の実施例を説
明する。なお、以下の実施例において、血液抗凝固剤と
しては、ヘパリンナトリウムを選んだが、このことによ
り本発明がいささかの制限も被るものではないことは言
うまでもない。 実施例1 ポリビニルピロリドン(BASF社製、商品名「ルビス
コールK80」、K値80、重量平均分子量約80万)
を使用し、濃度が0.1重量%となるようにメチルアル
コール分散液を調製し、これを10ml容量(内径16
mm×長さ100mm)のポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂製チューブの内壁面にスプレー塗布し風
乾した。容器内壁面の単位面積あたりの付着量は、ポリ
ビニルピロリドン2×10-6g/cm2 であった。 【0027】更に、血漿分離剤としてジシクロペンタジ
ェン(DCPD)樹脂(エクソン社製、商品名「ECR
−327」)に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、商
品名「アエロジルA−200」)を攪拌混合して比重が
1.05になるように調製したものを該容器内に1.2
g収容し、更に、血液抗凝固剤としてヘパリンナトリウ
ムを120U収容して血液検査用容器を製造した。 【0028】実施例2 ポリビニルピロリドン(BASF社製、商品名「ルビス
コールK90」、K値90、重量平均分子量約110
万)を使用し、濃度が0.02重量%となるようにメチ
ルアルコール分散液を調製し、実施例1と同様のPET
樹脂製チューブの内壁面にスプレー塗布し風乾した。容
器内壁面の単位面積あたりの付着量は、ポリビニルピロ
リドン6×10-7g/cm2 であった。更に、実施例1
と同様にして血漿分離剤および血液抗凝固剤を収容して
血液検査用容器を製造した。 【0029】比較例1 10ml容量(内径16mm×長さ100mm)のガラ
ス製チューブに、血液抗凝固剤としてヘパリンナトリウ
ムを120U収容して血液検査用容器を製造した(ポリ
ビニルピロリドンおよび血漿分離剤は使用しなかっ
た)。 【0030】比較例2 ポリビニルピロリドンを使用しなかったことの他は、実
施例1と同様にして血液検査用容器を製造した(すなわ
ち、血漿分離剤および血液抗凝固剤のみが収容されてい
る)。 【0031】性能評価 実施例1、2および比較例2の血液検査用容器の性能
を、以下のようにして評価した。血液検査用容器内に人
新鮮血8mlを注入し、密栓を行い3回転倒混和し、2
0℃で10分間放置した後に3000回転/分の回転速
度で5分間遠心分離を行い、血漿の分離状態を観察する
と共に、直ちに上澄みの血漿の1/2量をピペットで採
取し分離直後検体とした。 【0032】更に、上記の遠心分離後の血液検査用容器
を4℃で保存し、24時間後にも上澄みの血漿をピペッ
トで採取し24時間後検体とした。上記の分離直後検体
と24時間後検体について、分離直後検体については分
離直後に、24時間後検体について上記の遠心分離の2
4時間後に、乳酸脱水素酵素(LDH)、クレアチンキ
ナーゼ(CPK)およびカリウム(K)の濃度を測定し
表1に示した。なお、それぞれの測定法は、LDHは、
乳酸基質法、CPKは、クレアチンフォスフェート基質
法、Kは炎光光度法であった。なお、表1に示した測定
値は、分離直後検体の測定値を100として、24時間
後検体の測定値を比較した数値である。 【0033】比較例1の血液検査用容器の性能評価は、
上記の性能評価において「遠心分離後の血液検査用容器
を4℃で保存し、24時間後にも上澄みの血漿をピペッ
トで採取し24時間後検体とした」ことの代わりに、
「遠心分離後の血液検査用容器から血漿を採取し、別の
ガラス製容器に移し替えこれを4℃で保存し、24時間
後に血漿をピペットで採取し24時間後検体とした」こ
との他は、上記の性能評価と同様にして行った。 【0034】 【表1】 【0035】実施例3〜8、比較例3、4 ポリビニルピロリドンおよびヘパリンナトリウムの両方
を表2に示した濃度で含有する水溶液を調製した。この
水溶液を実施例1と同様のPET樹脂製チューブの内壁
面にスプレー塗布し乾燥させた。容器内壁面の単位面積
あたりのポリビニルピロリドンおよびヘパリンナトリウ
ムの付着量は表2に示した通りであった。なお、表2の
ポリビニルピロリドンは、全てBASF社製のものであ
り、重量平均分子量約5万のものは、商品名「ルビスコ
ールK30」、重量平均分子量約35万のものは、商品
名「ルビスコールK60」、重量平均分子量約80万の
ものは、商品名「ルビスコールK80」、重量平均分子
量約110万のものは、商品名「ルビスコールK90」
である。更に、実施例1と同様にして血漿分離剤を収容
して血液検査用容器を製造した。 【0036】比較例5 10ml容量(内径16mm×長さ100mm)のガラ
ス製チューブに、血液抗凝固剤としてヘパリンナトリウ
ムの4500U/ml水溶液を20μlスプレー塗布し
乾燥させ、血液検査用容器を製造した。容器内壁面の単
位面積あたりのヘパリンナトリウムの付着量は表2に示
した通りであった。 【0037】性能評価 実施例3〜8、比較例3〜5の血液検査用容器の性能
を、以下のようにして評価した。血液検査用容器内に人
新鮮血3mlを注入し、密栓を行い3回転倒混和し、2
0℃で10分間放置した後に3000回転/分の回転速
度で5分間遠心分離を行い、血漿の分離状態を観察し、
結果を表3に示した。 【0038】次いで、上澄みの血漿の1/2量を採取し
新しい清浄な硬質ガラス製採血管に移し、分離直後検体
として凍結保存した。血液検査用容器に残された方の血
漿はそのままの状態で4℃で保存し、24時間後に、あ
らためて新しい清浄な硬質ガラス製採血管に移し、24
時間後検体として凍結保存した。なお、比較例5の血液
検査用容器については、血漿の分離状態を観察後、直ち
に上澄みの血漿の全量を採取し新しい清浄な硬質ガラス
製採血管に移し、分離直後検体として凍結保存した。上
記凍結保存した全ての検体を48時間後に解凍し、乳酸
脱水素酵素(LDH)、クレアチンキナーゼ(CPK)
およびカリウム(K)の濃度を実施例1と同様にして測
定し結果を表3に示した。なお、表3に示した測定結果
は、測定値そのものである。 【0039】 【表2】【0040】 【表3】 【0041】なお、表3における、血漿分離状態の欄
の、○は良好を表し、×は、血小板の付着が顕著である
ことを表す。 【0042】 【発明の効果】本発明の血液検査用容器は、上記の構成
となされているので、血漿を対象とする検査を行う際に
使用して、血液中の血球成分や蛋白質などの吸着、また
は血球成分からの溶出による検査値への悪影響を及ぼす
ことのないプラスチック製血液検査用容器である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 プラスチック製容器の内壁面に、重量平
    均分子量が10万〜200万のポリビニルピロリドンが
    1×10-10 〜1×10-2g/cm2 存在せしめられ、
    さらに該容器内に、エチレンジアミン四酢酸系化合物、
    ヘパリン系化合物、クエン酸系化合物およびシュウ酸系
    化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の血液抗
    凝固剤が収容されていることを特徴とする血液検査用容
    器。
JP03656895A 1994-02-24 1995-02-24 血液検査用容器 Expired - Lifetime JP3478897B2 (ja)

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JP2670294 1994-02-24
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