JP3477070B2 - 電子放出素子及びスイッチング回路 - Google Patents

電子放出素子及びスイッチング回路

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JP3477070B2
JP3477070B2 JP06576098A JP6576098A JP3477070B2 JP 3477070 B2 JP3477070 B2 JP 3477070B2 JP 06576098 A JP06576098 A JP 06576098A JP 6576098 A JP6576098 A JP 6576098A JP 3477070 B2 JP3477070 B2 JP 3477070B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
それを用いたスイッチング回路に係わり、特に線形領域
においてスイッチング動作を行う場合に使用するものに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発達したSi半導体微細加工技術
を用いて、半導体デバイスと同程度の微細な電界放出型
の電子放出素子の開発が行われており、フラットパネル
ディスプレイ等への応用が進められている。その代表的
な例としてはスピント(C.A.Spindt)らの、Journal Of A
pplied Physics,vol.47,5248(1976) に掲載されたもの
が知られている。
【0003】従来の電界放出型の電子放出素子の一例を
図16に示す。図16(a)は従来の電子放出素子を用
いた回路の全体構成を示す図であり、図16(b)は図
16(a)に示す回路のV−I特性を示す図であり、横
軸は電圧、縦軸は電流を示し、実線はアノード電流、破
線はゲート電流である。
【0004】図16(a)に示すように、電子放出素子
のエミッタ2に対し、ゲート電極1に正電圧Vg を印加
し、エミッタ2先端に大きな電界を発生させ、電界放出
によりエミッタ2内部の電子を真空中に引き出す。エミ
ッタ2に対向して設けたアノード電極3にはゲート電極
2よりも高い正電圧Va を印加し、エミッタ2からゲー
ト電極1に向かう電子をさらにアノード電極3に引き寄
せることにより、エミッタ2から放出された電子を収集
するようにして用いる。
【0005】上述した電子放出素子の動作において、エ
ミッタ2から放出される電子数はエミッタ2の先端に発
生する電界のみで定まる。通常、アノード電極3はゲー
ト電極1に比べて十分大きな距離を置いて設けられるた
め、アノード電圧が低い場合には放出される電子はゲー
ト電極1に強く引かれるため、主としてゲート電極1に
向かい、アノード電極3には到達しない。
【0006】アノード電圧が高くなるにつれてゲート電
極1に向かう電子は減少し、アノード電極3に到達する
電子が増加する。そして、アノード電圧が十分高くなる
と、エミッタ2から放出された全ての電子がアノード電
極3に到達するようになる。
【0007】また、図16(b)では簡単のためゲート
電極1を接地し、エミッタ2に負の電圧−Vg (すなわ
ちゲート電圧はVg )を、アノード電極3に正のアノー
ド電圧Va を印加している。このとき、図の矢印の向き
にエミッタ2を流れる電流をIe 、ゲート電極11を流
れる電流をIg 、アノード電極3を流れる電流をIa
すれば、上述したようにIe はVg のみで決まり、また
e =Ig +Ia なる関係がある。また、アノード電極
3の電圧Va が高くなるにつれ、アノード電流が増加
し、ゲート電流が減少する領域(以下では線形領域と称
する)と、さらにアノード電圧が高くなり、アノード電
流が一定、ゲート電流がほぼ0となる領域(以下では飽
和領域と称する)がある。
【0008】また、ゲート電圧Vg を変化させると、飽
和領域においてエミッタ2に流れる電流Ia は変化す
る。Vg をVg3→Vg2→Vg1と大きくしていくに従い、
a も増加していく。これは、エミッタ2から放出され
る電子数はゲート電圧Vg のみに依存するからである。
【0009】上記電界放出型の電子放出素子に固有の特
性は、フラットパネルディスプレイ等のようにアノード
電流の値をゲート電圧により制御する場合に対しては問
題ないが、真空の持つ高い絶縁性を利用して、電力用の
スイッチング素子として用いる場合には大きな問題とな
る。
【0010】スイッチング回路として電子放出素子を用
いる場合の回路構成を図17に示す。図17(a)は電
子放出素子を用いたスイッチング回路の全体構成を示す
図、図17(b)は負荷のV−I特性を示す図であり、
横軸は電圧、縦軸は電流である。また、実線はアノード
電流Ia を、一点鎖線は負荷線を、破線はゲート電流I
g を示す。また、本スイッチング回路を用いる場合の動
作点は実線で示した特性曲線と一点鎖線で示した負荷線
の交点となる。
【0011】図17(a)に示すように、電子放出素子
をインピーダンスがZの負荷6(ここでは簡単のため純
抵抗Rとする)と電圧V0 の電圧源4に接続し、スイッ
チング動作を行う。飽和領域においてスイッチング動作
を行う場合を考えると、図17(b)に示すように飽和
領域ではオン状態におけるアノード電圧Va が高くな
り、電力の損失が大きくなってしまう。
【0012】また、負荷6の大きさや電源電圧V0 に無
関係にゲート電圧Vg によりアノード電流Ia が決まっ
てしまうため、素子特性のばらつきにより、動作の信頼
性に欠ける。これらの問題が生じるため、スイッチング
回路として電子放出素子を用いる場合には線形領域を使
うことになる。
【0013】電子放出素子を線形領域で用いる場合に
は、図17(b)においてスイッチング動作のオン状態
が図中の点aに、オフ状態が図中点bに相当する。しか
しながら、点aにおいてはアノード電流と同じオーダー
のゲート電流Ig1a が存在しており、このため制御を行
うべきゲートにおいてIg1a ×Vg1なる大きな電力の損
失が生じるという問題がある。また、過大なゲート電流
が流れることにより電子放出素子自体が破壊されやすい
という問題が生じる。
【0014】本発明の対象とする電子放出素子の横断面
図を図18に示す。図18に示すように、Si単結晶基
板11上に選択的にSiO2 層12が形成され、このS
iO2 層12上にはMo層13が形成されている。ま
た、SiO2 層12が形成されていないSi単結晶基板
11表面には円錐型エミッタ17が形成されている。
【0015】この電子放出素子は、通常は図18に示す
一つの円錐型エミッタ17を複数個有するエミッタをア
レイ状に配置して使用するが、エミッタ17先端の鋭さ
やエミッタ17とゲートとなるMo層13間の距離を均
一に作製することが困難なため、アレイ内で均一な電子
放出を得ることができなかった。このため、ゲート電圧
を上げていくと、他のエミッタ17よりも低いゲート電
圧で電子放出が始まる一部のエミッタ17の電流が他の
エミッタ17よりも先に限界値に達する。この結果、エ
ミッタ17とゲートとなるMo層13間が短絡してエミ
ッタ−ゲート間に電流が流れ、アレイ全体が動作不能と
なる問題があった。
【0016】この問題を解決する方法として、Ghisらの
IVMC90 Technical Digest に掲載されたものが知られて
いる。この文献に記載されている電子放出素子を図19
に示す。図19(a)はその横断面図を、図19(b)
はその上面から見た配置図である。
【0017】図19(a)に示すように、この電子放出
素子はガラス基板191上にメッシュ状のエミッタライ
ン192と抵抗層193を順次形成し、その上部にSi
2層12,Mo層13,円錐型エミッタ17を形成し
たものである。
【0018】この構造では、図19(b)から分かるよ
うに、エミッタライン192とエミッタ17間に抵抗層
193が挿入されているため、あるエミッタ17で放出
電流が大きくなるとそのエミッタ17の電位が上がり、
ゲートとの電位差が減少して放出電流が小さくなる。す
なわち、抵抗層193による負帰還作用が働くことにな
る。このため、他よりも低いゲート電圧で電子放出が始
まる一部のエミッタ17に大きな負帰還作用が働き、全
体として電子放出特性が均一化するため、エミッタ17
とゲート間が短絡しにくくなる。また、短絡しても抵抗
層193で電圧を支えるため、アレイ全体が動作不能に
なることは無い。
【0019】しかしながら、上述したようなエミッタ1
7側に抵抗層193を挿入した電子放出素子は、フラッ
トパネルディスプレイ等のように比較的小さな電流を得
ればよい応用に対しては問題無いが、真空の持つ高い絶
縁性を利用して電力用のスイッチング素子として用いる
場合には、大きな電流が抵抗層193を流れるため、抵
抗層193での損失が大きくなるという問題点が生じ
る。
【0020】また、フラットパネルディスプレイ等のよ
うな応用では引き出された電子を集めるアノード電極の
電圧がゲート電圧に対し、十分高く保たれるため、引き
出された電子の大部分はアノード電極に向かう。これに
対してスイッチング素子においては、スイッチオン時に
アノード電圧がゲート電圧と同程度までに低下するた
め、過大なゲート電流が流れ、これにより素子が破壊す
る可能性がある。しかしながら、この問題に対してはエ
ミッタ側に挿入した抵抗層193は有効ではない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電子放出素
子において、線形領域でスイッチング回路に適用する場
合には、スイッチング動作のオン状態が図17(b)の
点aに、オフ状態が点bに相当する。しかしながら、点
aにおいてはアノード電流と同じオーダーのゲート電流
が存在しており、このため制御を行うはずのゲートにお
いて図17(b)に示すようにIg1a ×Vg1なる大きな
損失が生じるという問題がある。また、過大なゲート電
流が流れることにより素子が破壊されやすいという問題
が生じる。
【0022】以上のように、電界放出型の電子放出素子
でスイッチング動作を行う場合には、制御を行うはずの
ゲートで大きな損失が生じ、また過大なゲート電流によ
り素子が破壊されやすいという問題が生じていた。
【0023】また、エミッタ側に抵抗層を挿入した電子
放出素子をスイッチング素子として用いる場合、大きな
主電流が流れるエミッタ側に抵抗層が挿入されているた
め、抵抗層での損失が大きくなるという問題があった。
また、スイッチオン時にアノード電圧がゲート電圧と同
程度までに低下した時に、過大なゲート電流により素子
が破壊するという問題に対しても有効ではなかった。
【0024】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、その目的とするところは、ゲート電極での電
力の損失が少なく、かつスイッチオン時の過大なゲート
電流による素子自体の破壊を防止する電子放出素子及び
それを用いたスイッチング回路を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明のある観点によれ
ば、信号源、電圧源及び負荷を含む直列回路に直列接続
された複数の電子放出素子を有するスイッチング回路で
あって、電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ
電極と、エミッタ電極に対して正の電圧が信号源から印
加された場合にエミッタ電極から放出される電子を引き
出すゲート電極と、負荷に接続され、ゲート電極から引
き出された電子を収集してアノード電流を流すアノード
電極と、信号源及びゲート電極間に接続されたゲート抵
抗とを具備してなり、スイッチング回路は、アノードの
電圧の増加に応じてアノード電流が増加する線形領域
と、一定のアノード電流を示す飽和領域とを有する負荷
のV−I特性を有し、ゲート抵抗は、前記複数の電子放
出素子のすべてが線形領域でオン状態にスイッチングさ
れるゲート電圧を生成する抵抗を有するスイッチング回
路が提供される。
【0026】 本発明の別の観点によれば、信号源、電
圧源及び負荷を有する直列回路に直列接続された電子放
出素子を含む電力スイッチング回路であって、電界が与
えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、エミッタ
電極に対して正の電圧が前記信号源から印加された場合
に前記エミッタ電極から放出される電子を引き出すゲー
ト電極と、負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出
された電子を収集し、アノード電流を流すアノード電極
と、ゲート電極及び前記エミッタ電極に接続され、前記
ゲート電極を流れるゲート電流を前記アノード電流を変
化させずに減少させる回路であって、前記信号源及び前
記ゲート電極の間にゲート抵抗を有し、前記負荷のV−
I特性において前記アノード電圧の増加に応じて前記ア
ノード電流が増加する特性を有する線形領域で前記スイ
ッチング回路がオンされるゲート電圧を生成する抵抗を
有する制御回路とを具備する電力スイッチング回路が提
供される。
【0027】なお、本発明の望ましい形態としては、以
下に示す通りである。
【0028】(1)エミッタとして円錐型又は四角錐型
のものを用いる。
【0029】(2)エミッタ・アノード電極間を真空封
止する。
【0030】 また、本発明の別の観点によれば、負荷
をスイッチングさせるスイッチング回路であって、電界
が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、前記
エミッタ電極から放出された電子を引き出すゲート電極
と、前記ゲート電極から引き出された電子を収集するア
ノード電極からなる電子放出素子と、エミッタ電極に対
して正の電圧を前記ゲート電極に印加する信号源と、信
号源と前記ゲート電極の間に直列接続され、前記負荷の
V−I特性において前記アノード電圧の増加に応じて前
記アノード電流が増加する特性を有する線形領域で前記
スイッチング回路がオンされるゲート電圧を生成する抵
抗を有するゲート抵抗と、前記負荷に直列接続され、前
記アノード電極に対して前記ゲート電極よりも高い正の
電圧を印加する電圧源とを具備してなるスイッチング回
路が提供される。
【0031】また、本発明の別の観点によれば、電界が
与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、エミッ
タ電極に対して正の電圧が信号源から印加された場合に
前記エミッタ電極から放出される電子を引き出すゲート
電極と、負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出さ
れた電子を収集し、アノード電流を流すアノード電極
と、信号源と前記ゲート電極の間に接続され、前記アノ
ードを流れるアノード電流を変化させることなくゲート
電流を減少させるものであって、前記ゲート電極を流れ
るゲート電流により生じる電圧降下を利用してゲート電
圧を下げ、前記負荷のV−I特性及び前記アノード電流
のV−I特性の関係により決定されるゲート電圧よりも
高いゲート電圧を前記ゲート電極に印加する抵抗を有す
るゲート抵抗とを具備してなり、ゲート抵抗は、I g5a
がゲート電流、V th が前記エミッタ電極が電子放出を開
始するゲート電圧、V gI がゲート電圧である場合に、
(V gI −V th )/I g5a よりも高い抵抗である電子放出
素子が提供される。
【0032】なお、本発明の望ましい形態としては、以
下に示す通りである。
【0033】(1)エミッタとして円錐型又は四角錐型
のものを用いる。
【0034】(2)エミッタ−アノード電極間を真空封
止する。
【0035】(3)ゲート抵抗を低融点金属で作成す
る。
【0036】また、本発明の別の観点によれば、基板上
に形成され、突起状の複数のエミッタを有する第1の導
電層と、前記第1の導電層上に形成され、前記複数のエ
ミッタの先端部を残して前記第1の導電層を覆うように
形成された絶縁層と、前記複数のエミッタの先端部が開
口するように前記絶縁層を被覆して形成された第2の導
電層とを具備してなり、前記第2の導電層は、前記それ
ぞれのエミッタ周辺部の膜厚を厚くすることによりゲー
ト電極をなし、前記複数のエミッタが形成された領域を
囲む領域であって、前記複数のゲート電極から所定の距
離をおいた領域の膜厚を厚くすることによりゲート配線
をなし、前記ゲート電極及び前記ゲート配線に挟まれた
領域の膜厚を前記ゲート電極及び前記ゲート配線の膜厚
よりも薄くすることにより抵抗層をなすことを特徴とす
電子放出素子が提供される。
【0037】本発明の望ましい形態を以下に示す。
【0038】(1)それぞれのゲート電極間における第
2の導電層の膜厚を該ゲート電極の膜厚よりも薄くする
ことにより抵抗層として動作させる。
【0039】(2)複数のエミッタはアレイ状に配置さ
れている。
【0040】(3)(2)のアレイ状に配置された複数
のエミッタの配置される領域を抵抗層を挟んで囲むよう
に第1のゲート配線が形成される。
【0041】(4)(3)の第1のゲート配線は、抵抗
層及びゲート電極と同一の層からなる。
【0042】(5)ゲート電極と(3)の第1のゲート
配線は、所定の膜厚からなる抵抗層の上に形成される。
【0043】(6)ゲート電極、抵抗層、ゲート配線
は、それぞれ金属または半導体のいずれかにより構成さ
れる。
【0044】(7)(3)のゲート配線を囲むように絶
縁膜が形成され、さらにこの絶縁膜を囲むように第2の
ゲート配線が形成され、かつ第1のゲート配線と第2の
ゲート配線を線幅の細い抵抗層が貫通する。
【0045】(8)(3)のゲート配線と各エミッタの
距離が均一となるように形成される。
【0046】(9)(3)のゲート配線から見て最も遠
くに配置されたエミッタと最も近くに配置されたエミッ
タの距離の差は、所定の値よりも小さい。
【0047】(10)(9)の所定の値とは、抵抗層が
抵抗として動作した場合の抵抗値の許容できる差に基づ
いて定められる。
【0048】(作用)ゲート電極と信号源との間に抵抗
が挿入されている場合のエミッタ・ゲート間に加わる電
圧は理想的な電圧より、わずかに大きい電圧となる。な
ぜなら、エミッタ・ゲート間に理想的な電圧よりも大き
な電圧が加わるとゲート電流が流れる。ゲート電流が流
れるということは同時に抵抗にも電流が流れることにな
り、抵抗で電圧降下が生じる。この抵抗における電圧降
下によりエミッタ・ゲート間に加わる電圧が減少する
が、電圧降下が大きすぎるとエミッタ・ゲート間電圧が
理想的な電圧より小さくなり、ゲート電流が流れず、抵
抗での電圧降下が生じなくなる。
【0049】従って、この抵抗の動作により、理想的な
エミッタ・ゲート間電圧より少し高い電圧でバランスす
ることとなる。このバランスした状態におけるゲート電
流は小さく、ゲートでの電力の損失は抵抗が無い場合の
電力の損失に比べて大幅に減少する。
【0050】また、ゲート電流は抵抗がない場合に比べ
て十分小さくできるから、ゲート電極に過大な電流が流
れることによる素子の破壊を防ぐことができる。
【0051】また、本発明の電子放出素子では、通常の
動作状態では電流がほとんど流れないゲート側に抵抗層
を挿入し、かつゲート電極同士が抵抗層で接続すること
により、抵抗層の損失の発生を抑え、かつ一部のエミッ
タが短格してもアレイ全体が動作不能とならないように
することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。
【0053】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実
施形態に係る電子放出素子の製造工程を示す図である。
図1に示すように、Si単結晶基板11上に絶縁層とし
てSiO2 層12を熱酸化により形成し、さらにゲート
電極となるMo層13を真空蒸着で形成した後、エッチ
ングによりホール14を開ける(図1(a))。次い
で、Si単結晶基板11を回転させながら、Alを基板
表面に対して斜め方向から真空蒸着し、Al層15を形
成する(図1(b))。
【0054】次に、エミッタとなるMoを基板表面に対
して垂直方向からSi単結晶基板11に真空蒸着し、ホ
ール14の直径がMo層16の堆積と共にふさがってい
くことを利用して、ホール14内にMoを円錐状に堆積
させ(図1(c))、最終的にホール14以外の部分の
Al層15、Mo層16を除去することにより円錐型エ
ミッタ17を作成したものである(図1(d))。
【0055】図2(a)は上記の工程により製造された
電子放出素子を用いたスイッチング回路の全体構成を示
す図である。図2(a)において、複数の円錐型エミッ
タ2とゲート電極1よりなる素子上にはスペーサ21を
介してアノード電極3が設けられており、この電子放出
素子の内部は真空封止されている。エミッタ電極2,ゲ
ート電極1及びアノード電極3からはそれぞれ外部に配
線22が取り出されている。
【0056】ゲート電極1は抵抗値がrの抵抗23を介
して接地される。エミッタ2は電圧−Vg1の負のパルス
波を発生する信号源5を介して接地されており、この信
号源5で発生したパルス波によりエミッタ2,ゲート電
極1間に電圧が印加され、エミッタ2先端部から電子が
ゲート電極1に向けて放出される。すなわち、信号源5
でパルス波が発生している状態は、本スイッチング回路
のオン状態に対応し、パルス波が発生していない状態
は、オフ状態に対応する。
【0057】アノード電極3はインピーダンスZの負荷
6(ここでは簡単のため純抵抗Rとする)を介して電圧
0 の電圧源4に接続されており、エミッタ2から放出
された電子がゲート電極1に向けて進行し、この電圧源
4によりさらにアノード電極3まで到達するようになっ
ている。
【0058】上記実施形態に係る電子放出素子を用いた
スイッチング回路の動作を説明する。
【0059】信号源5により電圧Vg1のパルス電圧が印
加されると、エミッタ2及びゲート電極1間に正電圧が
印加される。この印加電圧によりエミッタ2先端部に大
きな電界が発生する。そして、電界放出によりエミッタ
2内部の電子は真空中に引き出される。
【0060】一方、アノード電極3には電圧源4により
抵抗23,負荷6に直列に電圧V0が印加される。な
お、この電圧V0 は、ゲート電極1よりも高い正電圧が
印加される。この印加電圧により、真空中に引き出され
た電子はゲート電極1付近からアノード電極3に向けて
進行し、アノード電極3で収集される。
【0061】エミッタ2から放出される電子数はエミッ
タ2の先端に発生する電界のみで定まるが、通常、アノ
ード電極3はゲート電極1に比べて十分大きな距離を置
いて設けられるため、放出される電子数は主にゲート電
極1に向かい、アノード電極3には到達しない。アノー
ド電圧が高くなると、ゲート電極1に向かう電子は減少
し、アノード電極3に到達する電子が増加する。そし
て、アノード電圧が十分高くなると、エミッタ2から放
出された全ての電子がアノード電極3に到達するように
なる。
【0062】 図2(b)は図2(a)に示した回路に
おける負荷6のV−I特性を示す図である。横軸は電
圧、縦軸は電流を示し、実線はアノード電流I、一点
鎖線は負荷線、破線はゲート電流Iである。負荷線
は、接地点とアノード電極3との電圧に関する関係式V
=V−RIを表したものである。
【0063】抵抗23が無い場合であれば、前述の図5
(b)に示したように動作点は特性曲線と負荷線との交
点で定まるため、オン状態が図中aに、オフ状態が図中
bに相当する。また、ゲートにVg1の電圧をかけた場合
のゲート電流Ig1を示す直線より、オン状態においてゲ
ートにはIg1a が流れるため、ゲートにおいてIg1a×
g1なる大きな損失が生じることになる。
【0064】このスイッチング回路の場合、理想的なゲ
ート電圧はVg4、すなわちオン状態が線形領域と飽和領
域の境界にある場合である。なぜなら、ゲート電圧がV
g4より大きい場合は破線に示すようにゲート電流Ig
増加するため、ゲート電極1での電力の損失が生じるこ
とになるため適切ではない。また逆に、ゲート電圧がV
g4より小さい場合はオン状態が飽和領域に入ってしま
い、オン電圧が高くなることになる。しかしながら、負
荷6に応じてゲート電圧を変えることは実際には困難で
あり、また素子のばらつきの問題もある。
【0065】これらの問題を解決するために、本実施形
態では抵抗23を挿入し、理想に近い状態を実現してい
る。抵抗23が挿入されている場合のエミッタ・ゲート
間に加わる電圧は、理想的な電圧Vg4よりわずかに大き
いVg5となる。なぜなら、エミッタ・ゲート間に理想的
な電圧Vg4よりも十分大きな電圧Vg1が加わるとゲート
電流Ig1が流れる。従って、抵抗23にも電流が流れる
ことになり、抵抗23で電圧降下が生じる。この抵抗2
3の電圧降下によりエミッタ・ゲート間に加わる電圧が
減少する。この抵抗23の電圧降下が大きすぎるとエミ
ッタ・ゲート間電圧がVg4より小さくなり、ゲート電流
g が流れず、抵抗23での電圧降下が生じなくなる。
従って、特性曲線は理想的な電圧における曲線よりも上
方にシフトすることとなる。
【0066】結局、理想的なエミッタ・ゲート間電圧V
g4より少し高い、小さなゲート電流Ig5a が流れるエミ
ッタ・ゲート間電圧Vg5でバランスすることになる。こ
のとき、ゲートでの損失はIg5a ×Vg5となり、Ig5a
<<Ig1a 、Vg5<Vg1であるから、抵抗23が無い場
合のIg1a ×Vg1に比べて大幅に減少することになる。
【0067】また、ゲート電流Ig5a の値はIg1a より
十分小さくできるから、ゲート電流Ig を減少させ、素
子の破壊を防ぐことができる。
【0068】以上の動作は素子の特性がばらついている
場合でも本質的に変わることがなく、理想的な電圧Vg4
よりわずかに高い電圧Vg5でバランスするため、安定し
た動作を実現できる。なお、抵抗rの大きさは許容でき
るゲート電流Ig5を定めれば、電界放出が始まるゲート
電圧をVthとして、(Vg1−Vth)/Ig5a より大きく
すればよい。但し、抵抗値rが大きすぎるとエミッタ・
ゲート間のキャパシタンスによりスイッチングの動作速
度が低下するので、抵抗値rはできるだけ小さく設定す
るのが望ましい。
【0069】このように、ゲート電極1と信号源5の間
に抵抗23を接続することにより、ゲート電極1での電
力損失を減少させ、またゲート電極1に過大な電流が流
れることがないため、素子が破壊されることがない。
【0070】なお、本実施形態においてはエミッタ2か
ら取り出された配線22に信号源5を設ける場合を示し
たが、信号源5をゲート電極1から取り出された配線2
2に設け、抵抗23と直列接続するものであっても本発
明を適用可能であることは勿論である。
【0071】(第2実施形態)図3は、本発明の第2実
施形態に係る電子放出素子を用いたスイッチング回路の
全体構成を示す図である。図3中、図2に対応する部分
には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略す
る。
【0072】本実施形態のスイッチング回路は、エミッ
タ2とゲート電極1よりなる素子上にスペーサ21を介
してアノード電極3が設けられており、内部は真空封止
されている点で第1実施形態に係るスイッチング回路と
同様である。
【0073】本実施形態の特徴は、ゲート電極1を1つ
の円錐型エミッタ2毎に分割する。そして、その各々の
ゲート電極1から配線22を取り出すようにする。この
エミッタ毎に取り出された1本の配線22に1つの抵抗
33が接続され、このように接続された複数の抵抗33
は1つの信号源に接続される。
【0074】このように1つの円錐型エミッタ2に1つ
の抵抗を対応させて設けたのは、電子放出素子内にある
複数のエミッタの特性がばらついている場合に対応する
ためのものである。
【0075】この場合、抵抗33は素子上に半導体微細
加工技術を用いて作成しても良い。なお本実施形態にお
いては、エミッタ2を接地してゲート電極1に正電圧を
与えている。また、抵抗33を低融点金属等で作成し
て、過大なゲート電流Ig が流れたときには、接続が断
たれるようにヒューズの役割を持たせても良い。
【0076】上記実施形態に係る電子放出素子を用いた
スイッチング回路の動作を説明する。
【0077】信号源5によりパルス電圧が印加される
と、エミッタ2及びゲート電極1間に正電圧が印加され
る。この印加電圧によりエミッタ2先端部に大きな電界
が発生する。そして、電界放出によりエミッタ2内部の
電子は真空中に引き出される。
【0078】一方、アノード電極3及びゲート電極1間
には電圧源4により負荷6を介して電圧V0 が印加され
る。なお、この電圧V0 は、ゲート電極1よりも高い正
電圧が印加される。この印加電圧により、真空中に引き
出された電子はゲート電極1付近からアノード電極3に
向けて進行し、アノード電極3で収集される。
【0079】エミッタ2から放出される電子数はエミッ
タ2の先端に発生する電界のみで定まるが、通常、アノ
ード電極3はゲート電極1に比べて十分大きな距離を置
いて設けられるため、放出される電子数は主にゲート電
極1に向かい、アノード電極3には到達しないが、アノ
ード電圧が高くなるにつれ、ゲート電極1に向かう電子
は減少し、アノード電極3に到達する電子が増加する。
そして、アノード電圧が十分高くなると、エミッタ2か
ら放出された全ての電子がアノード電極3に到達するよ
うになる。
【0080】また、本実施形態では1つの円錐型エミッ
タ2に対応して1つの抵抗33を挿入し、理想に近い状
態を実現している。抵抗33が挿入されている場合のエ
ミッタ・ゲート間に加わる電圧は、理想的な電圧Vg4
りわずかに大きいVg5となる。なぜなら、エミッタ・ゲ
ート間に理想的な電圧Vg4よりも十分大きな電圧Vg1
加わるとゲート電流が流れ、抵抗33の電圧降下により
エミッタ・ゲート間に加わる電圧が減少する。抵抗33
の電圧降下が大きすぎるとエミッタ・ゲート間電圧がV
g4より小さくなり、ゲート電流Ig が流れず、抵抗33
での電圧降下が生じなくなる。
【0081】結局、理想的なエミッタ・ゲート間電圧V
g4より少し高い、小さなゲート電流Ig5a が流れるエミ
ッタ・ゲート間電圧Vg5でバランスすることになる。こ
のとき、ゲートでの損失はIg5a ×Vg5となり、Ig5a
<<Ig1a 、Vg5<Vg1であるから、抵抗33が無い場
合のIg1a ×Vg1に比べて大幅に減少することになる。
また、ゲート電流Ig5の値はIg1a より十分小さくでき
るから、ゲート電流Ig を減らし、素子の破壊を防ぐこ
とができる。
【0082】以上の動作は円錐型エミッタ2毎になされ
るため、素子の特性がばらついている場合でも本質的に
変わることがない。すなわち、各エミッタ2毎に特性曲
線が変動している場合であっても、エミッタ2毎に対応
する抵抗33によりそれぞれの特性曲線に応じた動作を
行う。従って、全てのエミッタ2について、理想的な電
圧Vg4よりわずかに高い電圧Vg5でバランスするため、
安定した動作を実現できる。
【0083】このように、ゲート電極1と信号源5の間
に抵抗33を接続することにより、ゲート電極1での電
力損失を減少させ、またゲート電極1に過大な電流が流
れることがないため、素子が破壊されることがない。
【0084】また、1個のエミッタ2に対して1個の抵
抗33を接続し、信号源5との間に挿入することによ
り、素子内にある複数のエミッタ2の特性がばらついて
いる場合であっても、各エミッタ2毎にそのエミッタの
特性に応じてゲート電流を減少させ、ゲート電極におけ
る電力の損失を低減し、また素子の破壊を防止すること
ができる。
【0085】以上図示の実施の形態を参照して本発明を
説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定される
ものではない。例えば、素子上に複数のエミッタを含む
複数のエミッタアレイを作成し、各々のエミッタアレイ
に抵抗を挿入しても良い。すなわちこの場合、複数のエ
ミッタに1個の抵抗が対応することになる。
【0086】また、上記第1,2実施形態では抵抗2
3,33は電子放出素子から取り出された配線22に接
続されている場合を示したが、電子放出素子中、すなわ
ちエミッタ2,ゲート電極1の基板上に一体的に形成さ
れている場合であってもよいことは勿論である。また、
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更実施可能であ
る。
【0087】(第3実施形態)図4〜図6は本発明の第
3実施形態に係る電子放出素子の製造工程を示す図であ
る。本実施形態に係る電子放出素子は、第2実施形態で
示した電子放出素子及び抵抗を半導体素子により実現し
たものである。
【0088】まず、図4(a)に示すように(100)
結晶方位のp型Si基板41を準備する。次に、このS
i基板41上に熱酸化SiO2 膜42をドライ酸化によ
り形成する。そして、SiO2 膜42の形成されたSi
基板41をスピンナと呼ばれる回転台に乗せ、高速で回
転させながらレジスト液を滴下する。次いで、このレジ
スト液を遠心力でSiO2 膜42全面に広げ、溶媒を蒸
発させてレジスト膜を形成する。次いで、リソグラフィ
技術を用いた露光、現像等のパターニングを行った後、
パターニングされたレジストをマスクとしてNH4 F/
HF混合水溶液によりSiO2 膜42をSi基板41が
露出するまでエッチングし、複数の開口部を形成する。
【0089】次に、例えばP(リン)等をイオン注入し
て、SiO2 膜42の開口部に対応するSi基板41中
にn型領域43を形成する。このn型領域43形成後の
上面図を図7(a)に示す。図7(a)に示すようにn
型領域43は、完成後にゲート電極となる例えば4μm
角の正方形のn型領域43aと、完成後にゲート配線と
なるn型領域43bからなる。
【0090】次に、図4(b)に示すようにKOH水溶
液による異方性エッチングを用いて、正方形のn型領域
43aを貫通するように底部を尖らせた凹部44を形成
する。この際、電気化学エッチングを利用して、n型領
域43bはエッチングされないようにする。
【0091】この選択的エッチングは以下の手法により
行われる。電気化学エッチングは、pn接合に逆バイア
スとなるよう電圧を印加しつつ、エッチングを行うこと
により、p型の部分のみをエッチングし、n型の部分は
エッチングされないようにするものであり、本実施形態
では、n型領域43bとSi基板41のp型部分の間に
逆バイアスの電圧を印加している。この時、n型領域4
3bは逆バイアスが加わっているためエッチングされな
いが、n型領域43aはエッチングされる。これは、図
7(a)に示すように、n型領域43aとn型領域43
bとはSi基板41のp型部分により分離されているた
め、逆バイアスが加わらないからである。
【0092】次に、図4(c)に示すように加工された
Si基板41表面にレジストをスピンコートし、その後
レジストエッチバックを行い凹部44中にのみレジスト
45が残るようにする。そして、SiO2 膜42をエッ
チング等により除去する。
【0093】次に、図5(d)に示すように例えばP
(リン)をイオン注入してSi基板41の表面に浅いn
型領域を形成することにより抵抗層46とする。この
際、レジスト45がマスクになるため凹部44にはイオ
ン注入が行われず、Si基板41のみに選択的にイオン
注入することができる。イオン注入の後、マスクとして
用いられたレジスト45を除去する。
【0094】次に、図5(e)に示すように凹部44を
含むSi基板41の表面に、ウェット酸化により所定の
膜厚の熱酸化SiO2 膜47を形成する。
【0095】次に、図5(f)に示すように凹部44を
含むSiO2 膜47表面に例えばMo等の金属からなる
エミッタ材料をスパッタ法等により堆積し、エミッタ層
48を形成する。さらに凹部44を含むエミッタ層48
表面に、例えば静電接着用のAl等の接着層49を形成
する。
【0096】次に、図6(g)に示すように例えば一方
の表面にAl層50を形成したガラス基板51を用意す
る。このガラス基板51のAl層50の形成されていな
い側の表面を接着層49に当てる。そして、高温下で接
着層49とガラス基板51表面のAl層50に高電圧を
印加して静電接着を行う。この静電接着の後にAl層5
0を除去する。
【0097】次に、図6(h)に示すように電気化学エ
ッチングを行いてSi基板41のp型部分を除去する。
なお、図6(h)は図6(g)の上下を反転させて示し
たものである。
【0098】次に、図6(i)に示すように、エミッタ
52の先端部52aの周囲を覆う熱酸化SiO2 膜47
をエッチング除去し、電子放出素子が完成する。
【0099】以上の製造工程により完成した電子放出素
子は、第2実施形態に示す図3の電子放出素子及び抵抗
33を半導体素子で実現したものである。以下、その対
応関係を説明する。
【0100】図6(i)において、エミッタ52の周囲
のn型領域43aは膜厚が厚いために抵抗が小さく、図
3ではゲート電極1となる部分である。この複数のn型
領域43aはそれぞれ分離して、膜厚が薄く抵抗の大き
な抵抗層46の上にある。n型領域43aの周囲の薄い
抵抗層46は抵抗33に対応するもので、図3と同様に
各エミッタ2に対応して抵抗33が接続される構成とな
る。
【0101】また、膜厚が厚く抵抗が小さなn型領域4
3bは抵抗層46を介してn型領域43aに電圧を与え
るためのゲート配線となる。このため、一部でエミッタ
とゲート電極が短絡してもアレイ全体が動作不能となら
ないようにすることができる。この様子を図7(b)を
用いて説明する。図7(b)は図6(i)における完成
した電子放出素子の概略を示す上面図であり、エミッタ
−ゲート電極71の周囲は抵抗層46で囲まれており、
この抵抗層46を介して配線となるn型領域43bと接
続される構成となる。従って、それぞれのエミッタ−ゲ
ート電極71にそれぞれ抵抗が接続され、かつそれぞれ
のエミッタ−ゲート電極71同士が抵抗で接続された構
成となる。この構成をとる場合、例えば一部のエミッタ
−ゲート電極71で短絡が生じた場合、そのエミッタ−
ゲート電極71においてはゲートとエミッタの電位が等
しくなるが、この短絡したゲートと隣接するゲートの電
位は、ゲート同士に接続された抵抗によりショートしな
いために影響を受けず、正常な動作を行うことができ
る。
【0102】なお、スイッチング素子として使用する場
合の動作は、上記第2実施形態に示した動作と共通する
ため省略する。
【0103】このように、本実施形態に係る電子放出素
子によれば、第2実施形態と同様にスイッチング素子と
して使用する場合のオン時におけるゲートでの損失を小
さくし、過大なゲート電流による素子の破壊を防ぐこと
ができるとともに、一部でエミッタとゲート電極が短絡
してもアレイ全体が動作不能とならないようにすること
ができる。
【0104】なお、ドライ酸化によりSiO2 膜42を
形成する場合を示したが、CVD法等によりSiO2
42を堆積する場合でもよい。また、Mo層によりエミ
ッタ52を形成したが、例えばLaB6 ,TiN等のエ
ミッタ材料を用いることもできる。
【0105】(第4実施形態)図8〜図10は本発明の
第4実施形態に係わる電子放出素子の製造方法を示す図
である。図8〜図10中、図4〜図6と対応する部分に
は同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る電子放出素子の特徴は、ゲート配線と
してSiではなく金属を用いたことにある。
【0106】まず、p型Si基板41上に抵抗層46を
形成し(図8(a))、この抵抗層46上に熱酸化Si
2 膜42を形成する。そして、SiO2 膜42をパタ
ーニングして複数の開口部を形成する。次に、例えばP
等をSi基板41中にイオン注入して複数の開口部にn
型領域43aを形成する(図8(b))。
【0107】次に、エッチングによりn型領域43aを
貫通する底部を尖らせた凹部44を形成し(図8
(c))、さらに凹部44を含む基板表面に熱酸化Si
2 膜47を堆積する(図9(d))。その後、第3実
施形態に示した図5(f),図6(g),(h)と同様
にエミッタ層48,接着層49,ガラス基板51,Al
層50を形成し、Si基板41を除去する(図9
(e),(f),図10(g))。ここまでに示した工
程において、第3実施形態と異なるのは、抵抗層46を
凹部44形成前に形成し、n型領域43bを形成しない
点である。
【0108】次に、第3実施形態ではn型領域43bに
よりゲート配線を形成した代わりに、例えばAlの配線
によりゲート配線81を形成する(図10(h))。こ
れはAlを成膜後、パターニングして形成される。この
点が本実施形態の特徴である。その後、図6(i)と同
様に、エミッタ52の先端部52aの周囲を覆うSiO
2 膜47を除去して電子放出素子が完成する(図10
(i))。
【0109】本実施形態に係る電子放出素子をスイッチ
ング素子として使用する場合の動作は上記第2実施形態
と共通するが、第3実施形態に示した電子放出素子とは
以下の点が異なる。すなわち、ゲート配線81として第
3実施形態に示したn型領域43bではなくAl等の金
属を用いる。これにより、ゲート配線81における電位
降下がより少なくなる。従って、例えば形成すべき電子
放出素子自体の大きさが大きく、膜厚を厚くすることに
より配線として作用するゲート配線81が第3実施形態
におけるn型領域43bによっては電位降下が無視でき
ないような場合に特に有効である。
【0110】(第5実施形態)図11〜図13は本発明
の第5実施形態に係わる電子放出素子の製造方法を示す
図である。図11〜図13中、図4〜図6と対応する部
分には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略す
る。本実施形態に係る電子放出素子の特徴は、ゲート電
極,抵抗層及びゲート配線にSiではなく金属を用いた
ことにある。また、ゲート同士が抵抗で接続されない構
成である点で、第3,4実施形態と異なる。
【0111】まず、p型Si基板41上に熱酸化SiO
2 膜42を形成し、パターニングにより複数の開口部を
形成する。そして、エッチングにより凹部44を形成し
(図11(a))、さらに凹部44の表面に熱酸化Si
2 膜47を形成する。その後、第3実施形態に示す図
5(f),図6(g),(h)と同様にエミッタ層4
8,接着層49,ガラス基板51,Al層50を形成
し、SiO2 膜47を残してSi基板41を除去する
(図11(c),図12(d))。
【0112】次に、SiO2 膜47を覆うようにAl等
の金属からなるゲート層111を成膜する(図12
(e))。
【0113】次に、レジスト112をスピンコートし、
ゲート層111の先端部が露出するまでレジスト112
をエッチバックする(図12(f))。
【0114】次に、露出したゲート層111の先端部を
エッチングにより除去してSiO2膜47の先端部を露
出し、レジスト112を除去する(図13(g))。
【0115】次に、ゲート層111のパターニングを行
う。すなわち、ゲート層111の一部をエッチングによ
り薄くして抵抗層111aを形成する(図13
(h))。これにより、SiO2 膜47先端部の周りを
囲む111bがゲート電極、111cはゲート配線部と
なる。
【0116】この工程は、ゲート層111を2層構造と
し、まず抵抗層111aとなる高抵抗の金属を薄く成膜
し、次に電極、配線となる低抵抗の金属を厚く成膜し、
抵抗層とする部分の低抵抗金属をパターニング後、エッ
チングにより除去してもよい。この場合、抵抗層の厚み
の制御が容易となる。
【0117】次に、エミッタ52の先端部52aの周囲
を覆う熱酸化SiO2 膜47をエッチング除去してエミ
ッタ層48を露出することにより電子放出素子が完成す
る(図13(i))。
【0118】本実施形態に係る電子放出素子をスイッチ
ング素子として使用する場合の動作は、ゲート同士を抵
抗で接続していないことによる動作を除けば上記第2実
施形態と共通する。また第4実施形態に示したものと同
様に、ゲート配線111cはAl等の金属からなるた
め、ゲート配線部における電位降下が無視できないよう
な場合に有効である。
【0119】なお、本実施形態ではゲート同士を抵抗で
接続しない構成としたが、領域111b間をエッチング
して薄くすることにより、第3,4実施形態と同様にゲ
ート同士を抵抗で接続することもできる。
【0120】(第6実施形態)図14は本発明の第6実
施形態に係わる電子放出素子を示す上面図である。図1
4中、図4〜図6と対応する部分には同一の符号を付
し、それらの詳細な説明は省略する。
【0121】本実施形態に係る電子放出素子は、抵抗層
46の効果を高くするため、抵抗層46を2段挿入した
ものである。図14中、71はエミッタと、エミッタを
囲む低抵抗のゲート電極とを模式的に示したもので、4
6aは1段目の抵抗層、43b1 は1段目のn型領域
で、ゲート配線として動作する部分、46bは薄いライ
ン状の抵抗層をパターニングしてライン長方向の幅を小
さくすることにより、抵抗を大きくした2段目の抵抗
層、43b2 は2段目のn型領域で、ゲート配線として
動作する部分、47はSiO2 膜である。このような構
成を持つ電子放出素子は図4〜図13に示す電子放出素
子の作製方法を用いて容易に作製できる。なお、説明の
便宜のため、ゲート配線となるn型領域43bのライン
長方向を縦方向、ライン幅方向を横方向とする。
【0122】このような2段の抵抗層46a及び46b
を有する構成の場合、抵抗層46aの横方向の幅を小さ
く形成できる。すなわち、第3実施形態の図7(b)に
示した構成によると、抵抗層46は1段であり、複数の
エミッタ−ゲート電極71のうち、n型領域43b1
最も近いものの抵抗は、抵抗層46aの横方向の幅に依
存する。従って、このようなエミッタ−ゲート電極71
に接続される抵抗を所定の大きさに保持するためには、
最も外側に位置するエミッタ−ゲート電極71とゲート
配線となるn型領域43b1 との幅を所定の幅よりも大
きくする必要がある。なお、所定の幅とは、第2実施形
態に示したようにスイッチング素子として動作させる際
に、抵抗33が有効に動作するような抵抗値に保持する
ための幅をいう。
【0123】これに対して、本実施形態では、2段目の
抵抗層46bはSiO2 膜47の間に縦方向に関して細
い幅で形成されているため、その抵抗層46bの横方向
に大きな幅をとることなく抵抗値を大きくすることがで
きる。結果として、抵抗層46a自体の抵抗は第3実施
形態ほど大きく保持する必要がなく、ゲート配線に最も
近く配置されたエミッタ−ゲート電極71とゲート配線
との幅を小さくとった場合でも第3実施形態と同様の効
果が得られる。
【0124】なお、本実施形態では抵抗層を2段に直列
接続する場合を示したが、3段以上に接続する場合であ
っても同様に本発明を適用できる。
【0125】(第7実施形態)図15は本発明の第7実
施形態に係わる電子放出素子を示す上面図である。図1
5中、図4〜図6と対応する部分には同一の符号を付
し、それらの詳細な説明は省略する。
【0126】本実施形態に係る電子放出素子は、例えば
第3実施形態では、アレイ中央付近にあるエミッタでは
抵抗層の効果が大きく、アレイ端部にあるエミッタでは
抵抗層の効果が小さいという問題を解決するためのもの
である。
【0127】第3実施形態の図7(b)に示したエミッ
タ−ゲート電極71は抵抗層46上に島状に形成されて
いるが、抵抗層46の領域の中心部に位置するものと周
辺部に位置するものとでは、ゲート配線となるn型領域
43bとの距離が異なる。従って、それぞれのゲート電
極とゲート配線間の抵抗値にはばらつきが生じる。
【0128】これに対して、本実施形態に係る電子放出
素子では、図15に示すように、ゲート配線となるn型
領域43bと、エミッタ−ゲート電極71は、抵抗層4
6を挟んで形成され、エミッタ−ゲート電極71は複数
個アレイ状に配置されている点で図7(b)に示したも
のと共通するが、それぞれのエミッタ−ゲート電極71
はn型領域43bまで均一な距離を保つ。従って、それ
ぞれのエミッタ−ゲート電極71に接続される抵抗値は
均一な値をもつこととなり、それぞれのエミッタ−ゲー
ト電極71は均一なスイッチング動作を行うことができ
る。
【0129】なお、図15には複数のエミッタ−ゲート
電極71を示し、それぞれがn型領域と均一な距離を保
つ場合を示したが、実際に製造される電子放出素子の有
するエミッタ数は図15に示す数には限定されず、1万
個を越えるエミッタを有する場合もある。この場合に
は、それぞれが均一な距離を保つ電子放出素子を作成す
るのは困難であり、必ずしも全く同一な距離を保つ必要
がない。ゲート配線から見て、最も遠くのエミッタと最
も近くのエミッタとの抵抗値の差が所定の値に収まれ
ば、本実施形態とほぼ同様の効果を奏することができ
る。
【0130】以上図示の実施の形態を参照して本発明を
説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定される
ものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変
更実施可能である。
【0131】
【発明の効果】本発明の電子放出素子及びそれを用いた
スイッチング回路によれば、ゲートとゲートに加える信
号の間に抵抗を挿入し、ゲート電流がほとんど流れない
ようにゲートに実効的に加える電圧を変化させるため、
ゲートでの電力の損失を小さくでき、また素子が破壊さ
れにくくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における電子放出素子の製
造工程を示す横断面図。
【図2】同実施形態における電子放出素子を用いたスイ
ッチング回路の全体構成を示す図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電子放出素子を用
いたスイッチング回路の全体構成を示す図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる電子放出素
子の製造方法を示す図。
【図5】同実施形態における電子放出素子の製造方法を
示す図。
【図6】同実施形態における電子放出素子の製造方法を
示す図。
【図7】同実施形態における電子放出素子の上面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる電子放出素
子の製造方法を示す図。
【図9】同実施形態における電子放出素子の製造方法を
示す図。
【図10】同実施形態における電子放出素子の製造方法
を示す図。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わる電子放出
素子の製造方法を示す図。
【図12】同実施形態における電子放出素子の製造方法
を示す図。
【図13】同実施形態における電子放出素子の製造方法
を示す図。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係わる電子放出
素子を示す上面図。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係わる電子放出
素子を示す上面図。
【図16】従来のスイッチング回路の全体構成及びV−
I特性を示す図。
【図17】従来のスイッチング回路の全体構成及びV−
I特性を示す図。
【図18】本発明の対象とする電子放出素子の全体構成
を示す横断面図。
【図19】従来のエミッタ側に抵抗層を挿入した電子放
出素子を説明するための図。
【符号の説明】
1…ゲート電極 2…エミッタ 3…アノード電極 4…電圧源 5…信号源 6…負荷 11…Si単結晶基板 12…SiO2 層 13,16…Mo層 14…ホール 15…Al層 17…円錐型エミッタ 21…スペーサ 22…配線 23,33…抵抗 41…p型Si基板 42,47…熱酸化SiO2 膜 43…n型領域 44…凹部 45,112…レジスト 46…抵抗層 48…エミッタ層 49…接着層 50…Al層 51…ガラス基板 52…エミッタ 52a…先端部 71…エミッタ−ゲート電極 81…ゲート配線 111…ゲート層
フロントページの続き (72)発明者 中山 和也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平5−144370(JP,A) 特開 平6−20592(JP,A) 特開 平8−236013(JP,A) 特開 平8−195175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 19/24 H01J 1/304 H01J 9/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】信号源、電圧源及び負荷を含む直列回路に
    直列接続された複数の電子放出素子を有するスイッチン
    グ回路であって、 電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧が前記信号源から印
    加された場合に前記エミッタ電極から放出される電子を
    引き出すゲート電極と、 前記負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された
    電子を収集してアノード電流を流すアノード電極と、 前記信号源及び前記ゲート電極間に接続されたゲート抵
    抗とを具備してなり、 前記スイッチング回路は、前記アノードの電圧の増加に
    応じて前記アノード電流が増加する線形領域と、一定の
    アノード電流を示す飽和領域とを有する前記負荷のV−
    I特性を有し、 前記ゲート抵抗は、前記複数の電子放出素子のすべて
    前記線形領域でオン状態にスイッチングされるゲート電
    圧を生成する抵抗を有するスイッチング回路。
  2. 【請求項2】信号源、電圧源及び負荷を含む直列回路に
    直列接続された電子放出素子を有するスイッチング回路
    であって、電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧が前記信号源から印
    加された場合に前記エミッタ電 極から放出される電子を
    引き出すゲート電極と、前記負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された
    電子を収集してアノード電流を 流すアノード電極と、前記信号源及び前記ゲート電極間に接続されたゲート抵
    抗とを具備してなり、 前記スイッチング回路は、前記アノードの電圧の増加に
    応じて前記アノード電流が増加 する線形領域と、一定の
    アノード電流を示す飽和領域とを有する前記負荷のV−
    I特性を有し、前記ゲート抵抗は、前記電子放出素子が前記線形領域で
    オン状態にスイッチングされる ゲート電圧を生成し、前
    記負荷のV−I特性及び前記アノード電流のV−I特性
    の関係により決定されるゲート電圧よりも高い電圧を前
    記ゲート電極に印加する抵抗を有するスイッチング回
    路。
  3. 【請求項3】信号源、電圧源及び負荷を含む直列回路に
    直列接続された電子放出素子を有するスイッチング回路
    であって、電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧が前記信号源から印
    加された場合に前記エミッタ電 極から放出される電子を
    引き出すゲート電極と、前記負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された
    電子を収集してアノード電流を 流すアノード電極と、前記信号源及び前記ゲート電極間に接続されたゲート抵
    抗とを具備してなり、 前記スイッチング回路は、前記アノードの電圧の増加に
    応じて前記アノード電流が増加 する線形領域と、一定の
    アノード電流を示す飽和領域とを有する前記負荷のV−
    I特性を有し、前記ゲート抵抗は、前記電子放出素子が前記線形領域で
    オン状態にスイッチングされる ゲート電圧を生成し、I
    g5aがゲート電流、Vthが前記エミッタ電極が電子
    放出を開始するゲート電圧、VgIがゲート電圧である
    場合に、(VgI−Vth)/Ig5aよりも高い抵抗
    であるスイッチング回路。
  4. 【請求項4】前記エミッタ電極、前記ゲート電極及び前
    記ゲート抵抗は基板上に一体的に形成されている請求項
    1に記載のスイッチング回路。
  5. 【請求項5】信号源、電圧源及び負荷を有する直列回路
    に直列接続された電子放出素子を含む電力スイッチング
    回路であって、 電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧が前記信号源から印
    加された場合に前記エミッタ電極から放出される電子を
    引き出すゲート電極と、 前記負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された
    電子を収集し、アノード電流を流すアノード電極と、 前記ゲート電極及び前記エミッタ電極に接続され、前記
    ゲート電極を流れるゲート電流を前記アノード電流を変
    化させずに減少させる回路であって、前記信号源及び前
    記ゲート電極の間にゲート抵抗を有し、前記負荷のV−
    I特性において前記アノード電圧の増加に応じて前記ア
    ノード電流が増加する特性を有する線形領域で前記スイ
    ッチング回路がオンされるゲート電圧を生成する抵抗を
    有する制御回路と を具備する電力スイッチング回路。
  6. 【請求項6】負荷をスイッチングさせるスイッチング回
    路であって、 電界が与えられた際に電子を放出するエミッタ電極と、
    前記エミッタ電極から放出された電子を引き出すゲート
    電極と、前記ゲート電極から引き出された電子を収集す
    るアノード電極からなる電子放出素子と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧を前記ゲート電極に
    印加する信号源と、 前記信号源と前記ゲート電極の間に直列接続され、前記
    負荷のV−I特性において前記アノード電圧の増加に応
    じて前記アノード電流が増加する特性を有する線形領域
    前記スイッチング回路がオンされるゲート電圧を生成
    する抵抗を有するゲート抵抗と、 前記負荷に直列接続され、前記アノード電極に対して前
    記ゲート電極よりも高い正の電圧を印加する電圧源と を具備してなるスイッチング回路。
  7. 【請求項7】電界が与えられた際に電子を放出するエミ
    ッタ電極と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧が信号源から印加さ
    れた場合に前記エミッタ電極から放出される電子を引き
    出すゲート電極と、 負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された電子
    を収集し、アノード電流を流すアノード電極と、 前記信号源と前記ゲート電極の間に接続され、前記アノ
    ードを流れるアノード電流を変化させることなくゲート
    電流を減少させるものであって、前記ゲート電極を流れ
    るゲート電流により生じる電圧降下を利用してゲート電
    圧を下げ、前記負荷のV−I特性及び前記アノード電流
    のV−I特性の関係により決定されるゲート電圧よりも
    高いゲート電圧を前記ゲート電極に印加する抵抗を有す
    るゲート抵抗とを具備してなり、 前記ゲート抵抗は、I g5a がゲート電流、V th が前記エ
    ミッタ電極が電子放出を開始するゲート電圧、V gI がゲ
    ート電圧である場合に、(V gI −V th )/I g5a よりも
    高い抵抗である電子放出素子。
  8. 【請求項8】電界が与えられた際に電子を放出するエミ
    ッタ電極と、 信号源から、前記エミッタ電極に対して正の電圧が印加
    された場合に前記エミッタ電極から放出される電子を引
    き出すゲート電極と、 負荷に接続され、前記ゲート電極から引き出された電子
    を収集し、アノード電流を流すアノード電極と、 前記信号源と前記ゲート電極の間に接続され、前記アノ
    ードを流れるアノード電流を変化させることなく、前記
    ゲート電極を流れる電流を減少させ、前記ゲート電流に
    より生じる電圧降下を利用することによりゲート電圧を
    下げるゲート抵抗とを備え、 前記エミッタ電極は2次元平面に配置された複数のエミ
    ッタ素子を有し、前記ゲート電極は少なくとも一つの前
    記エミッタ素子にそれぞれ提供された複数のゲート素子
    を有し、前記ゲート抵抗は前記ゲート素子と前記信号源
    の間に接続された複数の抵抗素子を有し、 前記抵抗素子は前記負荷のV−I特性及び前記アノード
    電極のV−I特性の関係により決定されるゲート電圧よ
    りも高いゲート電圧を前記ゲート電極に印加する抵抗を
    有し、 前記抵抗素子は、I g5a がゲート電流、V th が前記エミ
    ッタ電極が電子放出を 開始するゲート電圧、V gI がゲー
    ト電圧である場合に、(V gI −V th )/I g5a よりも高
    い抵抗を有する電子放出素子。
  9. 【請求項9】電界が与えられた際に電子を放出するエミ
    ッタ電極と、前記エミッタ電極から放出された電子を引
    き出すゲート電極と、前記ゲート電極から引き出された
    電子を収集するアノード電極とを有する電子放出素子
    と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧を前記ゲート電極に
    印加する信号源と、 前記信号源と前記ゲート電極の間に直列接続され、前記
    アノードを流れるアノード電流を変化させることなく前
    記ゲート電極に流れるゲート電流を減少させ、前記ゲー
    ト電流により生じる電圧降下を用いることによりゲート
    電圧を下げるゲート抵抗と、 前記アノード電極に対して前記ゲート電圧よりも高い正
    の電圧を印加する電圧源と、 前記電圧源に直列接続された負荷とを備え、 前記ゲート抵抗は、前記負荷のV−I特性及び前記アノ
    ード電流のV−I特性の関係により決定されるゲート電
    圧よりも高いゲート電圧を前記ゲート電極に印加する抵
    抗であり、 前記ゲート抵抗は、I g5a がゲート電流、V th が前記エ
    ミッタ電極が電子放出を開始するゲート電圧、V gI がゲ
    ート電圧である場合に、(V gI −V th )/I g5a よりも
    高い抵抗を有するスイッチング回路。
  10. 【請求項10】電界が与えられた際に電子を放出するエ
    ミッタ電極と、前記エミッタ電極から放出された電子を
    引き出すゲート電極と、前記ゲート電極から引き出され
    た電子を収集するアノード電極とを有する電子放出素子
    と、 前記エミッタ電極に対して正の電圧を前記ゲート電極に
    印加する信号源と、 前記信号源と前記ゲート電極の間に直列接続され、前記
    アノードを流れるアノード電流を変化させることなく前
    記ゲート電極に流れるゲート電流を減少させ、前記ゲー
    ト電流により生じる電圧降下を用いることによりゲート
    電圧を下げるゲート抵抗と、 前記アノード電極に対して前記ゲート電圧よりも高い正
    の電圧を印加する電圧源と、 前記電圧源に直列接続された負荷とを備え、 前記エミッタ電極は2次元平面に配置された複数のエミ
    ッタ素子を有し、前記ゲート電極は少なくとも一つの前
    記エミッタ素子にそれぞれ提供される複数のゲート素子
    を有し、前記ゲート抵抗は前記ゲート素子と前記信号源
    の間に接続された複数の抵抗素子を有し、 前記抵抗素子は、前記負荷のV−I特性及び前記アノー
    ド電流のV−I特性の関係により決定されるゲート電圧
    よりも高いゲート電圧を前記ゲート電極に印加する抵抗
    を有し、 前記ゲート素子は、I g5a がゲート電流、V th が前記エ
    ミッタ電極が電子放出を開始するゲート電圧、V gI がゲ
    ート電圧である場合に、(V gI −V th )/I g5a よりも
    高い抵抗を有するスイッチング回路。
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