JP3476672B2 - 脱穀装置の唐箕 - Google Patents

脱穀装置の唐箕

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JP3476672B2 JP11501498A JP11501498A JP3476672B2 JP 3476672 B2 JP3476672 B2 JP 3476672B2 JP 11501498 A JP11501498 A JP 11501498A JP 11501498 A JP11501498 A JP 11501498A JP 3476672 B2 JP3476672 B2 JP 3476672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、コンバ
インやハーベスタなどに搭載される脱穀装置の唐箕に関
する。
【0002】
【従来の技術】脱穀装置の唐箕は、例えば特開平‐1
16777号公報に開示されているように、唐箕軸の軸
心方向2か所にステーを取付けるとともに、このステー
に横幅の広い偏平な起風羽根を放射状に取付ける構造が
一般的となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、脱穀装置の処理
能力が高められるに伴って選別部での能力アップが必要
となり、唐箕からの送風能力を高める要望が高くなって
いる。
【0004】上記構造の唐箕のファン効率はファン単体
で40%程度が限度と言われており、実機に装備する
と、吸気口での駆動プーリや軸受けブラケットの存在、
等によって吸気効率が低いものとなり、ファン効率は3
0%程度まで低下してしまうのが実情となっている。
【0005】そこで、送風能力を高めるために、回転速
度を上げて、風速および風圧を高める工夫もなされてい
るのであるが、左右の吸気口から吸引して周部全幅の排
気口から送出する構造上、回転速度を上げると、左右の
吸気口から流入した空気が唐箕ケース内で軸心方向にも
流動して乱れやすくなり、風速および風圧の横幅方向で
の分布に大きい偏りが発生して、選別部に供給する選別
風としては好ましいものとならないものであった。ま
た、回転速度を上げることで、駆動騒音や風切り音が増
大するという問題もあった。
【0006】本発明は、このような実情に着目してなさ
れたものであって、簡単な改良を加えるだけで、送風能
力を高めることができる唐箕を提供することを目的とし
ている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明の特
徴、作用、効果は次の通りである。
【0008】〔特徴〕 請求項1に係る発明は、唐箕軸に取り付けられた起風羽
根の回転に伴って、唐箕軸の軸芯に沿う方向から吸引
し、起風羽根の回転半径の外方側へ送風させる脱穀装置
の唐箕において、前記起風羽根の回転方向前方側の起風
面を、半径方向の外端辺を含む起風作用部分が唐箕軸軸
芯を含む法線に対して回転方向前方側に40°ないし5
0°程度傾斜するように、前記唐箕軸に起風羽根を連結
するために前記起風作用部分の内端辺よりも半径方向内
方側へ延出させている連結部に対して前方側へ屈曲させ
て構成し、 かつ、前記起風面は、前記屈曲箇所から外端
辺までの半径方向長さを、前記屈曲箇所から前記連結部
内端までの半径方向長さよりも長く設定した点にある。
【0009】〔作用〕 上記構成によると、唐箕軸が回転すると、起風羽根は空
気を羽根前面で回転中心側に抱き込むように回転し、起
風羽根が半径方向に沿っている場合に比較して、起風羽
根の回転力を大きく受けて風圧が高められる。そして、
起風羽根の内径と外径を一定にして、その前方傾斜角度
を大きくしてゆくと、起風羽根の内外端の実幅が大きく
なり、その分、風圧を大きく受けるので、強度不足にな
ったり、振動の原因になるおそれがあるが、前方傾斜角
度を40°ないし50°程度にすると、強度的にも無理
がかからず、かつ、所望の性能をもたらす。
【0010】 〔効果〕 従って、請求項1に係る発明によれば、起風羽根が半径
方向に沿っている場合に比較して風圧の増大を図るとと
もに、ファン効率を高めることができ、回転速度を高く
することなく静粛な運転を行いながら、風選能力を向上
させることができるようになった。また、送風能力を高
めることができながら、強度的にも問題なく作動させる
ことができ、実用上で有効となる。
【0011】 請求項2 に係る発明の特徴、作用、効果は
次の通りである。
【0012】 〔特徴〕請求項2 に係る発明は、請求項1記載の発明において、
前記唐箕軸を支持して吸気口を横断する軸受けブラケッ
トに通気孔を形成してある。
【0013】 〔作用・効果〕 上記構成によると、吸気口を横断する軸受けブラケット
の吸気抵抗が低減して吸気効率が高まり、請求項1記載
の発明に上記効果を助長する。また、吸気効率が高まる
分、外気が唐箕内部にまで流入しやすくなり、唐箕軸心
方向での風量分布の偏りが軽減される。
【0014】 請求項3 に係る発明の特徴、作用、効果は
次の通りである。
【0015】 〔特徴〕請求項3 に係る発明は、請求項1または2記載の発明
おいて、前記起風羽根から回転中心側に向けて突設した
連結部を、前記唐箕軸から半径方向に突設したステーに
連結するとともに、起風羽根が前記連結部に対して回転
方向前方に傾斜屈折するよう起風羽根と連結部とを樹脂
材で一体形成し、前記連結部と起風羽根に亘って補強リ
ブを一体形成してある。
【0016】 〔作用・効果〕 上記構成によると、前方傾斜させた起風羽根は内外方向
の実幅が、半径方向に沿って設けられる一般の起風羽根
の内外方向実幅より大きくなるが、樹脂製にすることで
全体としての重量増加を抑えることができる。また、起
風羽根とその連結部に亘って形成された補強リブ自体も
回転方向に屈曲された強度の高いものとなり、樹脂化に
よる軽量化を図りがら強度不足を十分補うことができ、
実用上の効果が大きい。
【0017】
【発明の実施の形態】脱穀装置は、図1に示すように、
フィードチェーン1で搬送される穀稈に対して扱作用す
る回転扱胴2を備えた扱室3を設け、この扱室3の下方
に、回転扱胴2の下側周面に沿って張設した受け網4を
漏下してきた処理物を選別処理する選別室5を形成し、
この選別室5に選別風を供給する唐箕6と処理物を揺動
送りしつつ選別する揺動選別体7とを設け、前記選別室
5の底部に、選別一番物を回収して一番スクリュー8a
を介して搬出する一番物回収部8と、選別二番物を回収
して二番スクリュー9aを介して搬送する二番物回収部
9とを配設し、搬送されてくる二番物を前記揺動選別体
7の搬送始端部に還元する還元コンベア10を設けて構
成されている。
【0018】前記唐箕6は、図2にも示すように、唐箕
ケース11のうち脱穀装置の左右の側板から構成される
側板部11aに吸気口12を形成し、唐箕軸13を支承
する軸受けブラケット14を前記吸気口12を横断する
状態で唐箕ケース11に取り付け、前記唐箕軸13に、
周方向複数の起風羽根15を唐箕軸13と一体に回転す
るようにステー16を介して取り付け、前記唐箕軸13
のうち唐箕ケース11から外方に突出する一端部に、エ
ンジン17からの動力を受け入れるための入力プーリ1
8と前記回転扱胴2への出力プーリ19とを装着し、他
端部に、一番スクリュー8aや二番スクリュー9a、還
元コンベア10などへの二つの出力プーリ20,21を
取り付けて構成されている。
【0019】前記起風羽根15は樹脂成型されたもので
あって、その外端辺15cと内端辺15dとの間で回転
方向前方側に形成される起風面15A部分に対して前記
内端辺15dの左右2ヶ所から回転中心側に向けて連結
部15aが一体成型により突設されるとともに、唐箕軸
13から半径方向に突設したステー16に前記連結部1
5aをボルト締めにより連結するよう構成されている。
また、この例では、半径方向に向かう連結部15aに対
して起風羽根15が半径方向に対して約50°の傾斜角
度θで屈曲傾斜されていることにより、起風面15Aの
外端辺15cを含む起風作用部分が唐箕軸13軸芯を含
む法線に対して約50°前方側に傾斜している。そし
て、この連結部15aと起風面15a部分に亘って補強
リブ15bが一体形成されている。
【0020】前記軸受けブラケット14は、板金加工品
であって、そのうち軸受け22を取り付ける軸受け取付
け部位14Aと、唐箕ケース11への取り付け部位14
Bとの間の部分には、内外方向で貫通する通気孔23が
形成されている。これによって、十分な吸気面積を確保
することができ、吸気口12を横断する軸受けブラケッ
ト14による吸気抵抗を軽減することができる。
【0021】なお、図6に、起風羽根15の傾斜角度θ
を種々に変更して性能試験を行った結果の一例が示され
ている。
【0022】この試験結果から判るように、ファン効率
η、および、圧力係数ψは前方傾斜角度θが大きいほど
高い値を示し、動力係数λは前方傾斜角度θが大きいほ
ど低い値を示しており、前方傾斜角度θが大きいほど送
風性能が高められるとともに、効率の良い運転が行われ
ることが認識できる。なお、ファン性能の表示には以下
の無次元値が用いられている。
【0023】
【数1】 流量係数 φ=Q/(2πRBU) 圧力係数 ψ=P/(ρU /2) 動力係数 λ=L/(ρπRBU ) ファン効率 η=QP/L −記号− B:羽根幅 [m],R:羽根半径 [m],L:軸動力 [W] Q:流量 [m/s], U:羽根外周速度 [m /s] PT: ファン全圧 [Pa] , ρ: 空気密度 [kg/m]
【0024】因みに、図7は、起風羽根15の傾斜角度
θを0°から逆方向(−で表示)に種々設定して性能試
験を行った結果の一例が示されており、これによると、
起風羽根15が回転方向後方に傾斜するほど送風性能が
低下するとともに、運転効率も若干悪化することが認識
される。
【0025】また、図8は、軸受けブラケット14にお
ける通気口23の有無による性能変化を試験した結果が
示されている。これによると、通気口23を設けること
で、動力効率がほとんど変わることなくファン効率η、
および、圧力係数ψを大きく向上できることが確認で
き、通気口23を設けることの有用性が明確となった。
【0026】また、図9は、排気口25における羽根幅
方向での風速分布を測定した結果が示されている。これ
によると、軸受けブラケット14に通気孔23を開ける
だけで羽根幅方向の中央部での分布の平準化が促進さ
れ、さらに、前方傾斜させた起風羽根15を用いること
で中央部での速度分布が大きい値で平準化されているこ
とが認識され選別風として好適になることが理解でき
る。なお、座標軸は風流れ方向をX軸、羽根幅方向をY
軸としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】唐箕全体の横断平面図
【図3】唐箕の軸受け部位を示す分解斜視図
【図4】唐箕の縦断側面図
【図5】(イ)起風羽根の平面図 (ロ)起風羽根の正面図 (ハ)起風羽根の側面図
【図6】羽根傾斜角度の違いによる性能曲線を示す線図
【図7】羽根傾斜角度の違いによる性能曲線を示す線図
【図8】軸受けブラケットの違いによる性能曲線を示す
線図
【図9】排気口における羽根幅方向での速度分布を示す
線図
【符号の説明】
12 吸気口 13 唐箕軸 14 軸受けブラケット 15 起風羽根 15a 連結部 15b 補強リブ 23 通気孔 θ 傾斜角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−14384(JP,A) 実開 昭56−81645(JP,U) 実開 昭63−186136(JP,U) 実開 昭49−104355(JP,U) 特公 昭27−707(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01F 12/48

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 唐箕軸に取り付けられた起風羽根の回転
    に伴って、唐箕軸の軸芯に沿う方向から吸引し、起風羽
    根の回転半径の外方側へ送風させる脱穀装置の唐箕であ
    って、 前記起風羽根の回転方向前方側の起風面を、半径方向の
    外端辺を含む起風作用部分が、唐箕軸軸芯を含む法線に
    対して回転方向前方側に40°ないし50°程度傾斜す
    るように、前記唐箕軸に起風羽根を連結するために前記
    起風作用部分の内端辺よりも半径方向内方側へ延出させ
    ている連結部に対して前方側へ屈曲させて構成し、 かつ、前記起風面は、前記屈曲箇所から外端辺までの半
    径方向長さを、前記屈曲箇所から前記連結部内端までの
    半径方向長さよりも長く設定 してあることを特徴とする
    脱穀装置の唐箕。
  2. 【請求項2】 前記唐箕軸を支持して吸気口を横断する
    軸受けブラケットに通気孔を形成してある請求項1記載
    の脱穀装置の唐箕。
  3. 【請求項3】 前記起風羽根から回転中心側に向けて突
    設した連結部を、前記唐箕軸から半径方向に突設したス
    テーに連結するとともに、起風羽根が前記連結部に対し
    て回転方向前方に傾斜屈折するよう起風羽根と連結部と
    を樹脂材で一体形成し、前記連結部と起風羽根に亘って
    補強リブを一体形成してある請求項1または2記載の脱
    穀装置の唐箕。
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