JP3476498B2 - 抗酸化剤および化粧料 - Google Patents

抗酸化剤および化粧料

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JP3476498B2 JP10002893A JP10002893A JP3476498B2 JP 3476498 B2 JP3476498 B2 JP 3476498B2 JP 10002893 A JP10002893 A JP 10002893A JP 10002893 A JP10002893 A JP 10002893A JP 3476498 B2 JP3476498 B2 JP 3476498B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、抗酸化剤および化粧
料に関するものであって、詳細にはこの発明にかかる抗
酸化剤は自然酸化はもとより紫外線に対する抗酸化およ
び生体細胞内に生じる活性酸素に対する抗酸化にもすぐ
れ、熱耐性などの安定性にすぐれ、毒性が少なく、殊に
化学品,化粧品,医薬品,医薬部外品および食品に有効
な単独の抗酸化剤、およびこの発明にかかる抗酸化剤を
配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】元来、化学品,化粧料,医薬品,医薬部
外品および食品等の酸化は製品の変質防止の観点より重
要な問題点であり、前記各種製品の酸化防止は重要な課
題とされている。この各種製品の酸化は主として空気中
の酸素による自然酸化に起因する問題として把握するこ
とができる。
【0003】さらにまた、近年、酸化作用は前記各種製
品等の自然酸化による変質のほか、生体内において問題
となる種々の障害等を引き起す原因になると考えられて
いる。すなわち、酸素呼吸をする生物、つまり空気ない
し酸素の存在下で生育する生物(ヒトを含む)、にとっ
て酸素は不可欠である反面、近年、生体内で生じた活性
酸素によってある種の障害をもたらすことが提唱されて
いる。たとえば、生体内で生じた活性酸素によって油
脂類は過酸化脂質となり細胞に障害を与えること、ま
た生体内で生じた活性酸素は蛋白質や糖質にも影響を与
え、コラーゲンに対して架橋形成や断片化を生ぜしめた
り、ヒアルロン酸を断片化するなどの原因となる点、
その他に各種生体組織に対して障害を与え、これらの障
害は動脈硬化の原因や老化・発癌との関連性が示唆され
ている点等々である。
【0004】また、油脂類の過酸化脂質は、空気中等の
酸素および紫外線の曝露によっても生ずることが知られ
ており、ヒトの皮膚はこの種の過酸化脂質の影響を最も
強く受け易い。たとえば、ヒトの皮膚は、外気(空気)
と接するだけではなく、絶えず太陽光線等の紫外線に曝
されており、最も酸化ストレスを受けやすい組織で酸化
による障害も大きいと考えられる。皮膚表面には皮脂が
存在し、その皮脂中には二重結合を有する脂質、たとえ
ば、スクワレン,オレイン酸,リノール酸が含まれてい
るので、皮脂は特に酸化され易い。これらの各種脂質が
酸化されて生じた過酸化脂質は皮膚の細胞に障害を与
え、皮膚のトラブルの原因に深い関係があると考えられ
ている。
【0005】ところで、従来、脂質の酸化および劣化を
防止するために、食品系ではブチルヒドロキシアニソー
ル(BHA),ブチルヒドロキシトルエン(BHT)を
はじめとする合成抗酸化剤が使用されてきたが安全性の
面で問題があり、再検討されつつある。
【0006】また、その他の従来の抗酸化物質の例とし
ては、酸化に対して生体自体が本来有している生体防御
能力を利用する方法が考えられる。たとえば、酸化に対
して防御能力を有する酵素類があり、具体的にはスーパ
ーオキサイド ディスムターゼ(SOD),カタラー
ゼ,グルタチオンベルオキシダーゼなどが例示できる。
また、酸化に対して防御能力を有する蛋白質類として
は、トランスフェリン,セルロプラスミンがあり、その
他にはビタミンC,ビタミンE,コエンザイムQ,グル
タチオン,尿酸,ビリルビンなどがある。このような生
体関連成分を抗酸化剤に利用することは、安全性・有効
性の点から今後期待されるところが大きい。
【0007】しかし、前述のように近年よく利用されて
いる抗酸化剤としてビタミンCまたはビタミンEがある
が、ビタミンCは水系で褐変・変臭が起こるという品質
上の問題があり、またビタミンEは高価であるという経
済上の問題がある。そこで、抗酸化剤の安定性,経済性
および効果の面から従来の抗酸化剤よりも安全性・安定
性・効果の有効性の高い天然抗酸化剤の開発が社会的に
要請され、多くの天然物由来の抗酸化物質の検索・開発
がなされている。しかし、従来の天然物由来の抗酸化物
質には、特に安全性の面で十分満足できるものは末だ知
られていない。
【0008】スタフィロコッカス エピデルミディスの
菌体、該菌体の破砕物、該菌体又は該菌体の破砕物の抽
出物及び該菌体の培養液からなる群より選ばれた1種又
は2種以上を含有させた化粧料についての提案(特許昭
62−70307公報)がみられるがその目的とすると
ころはその明細書における説明及び実施例に明記されて
いる如く肌あれ要因とされるマイクロコッカス属バクテ
リアやスタフィロコッカス アウレウス等の好気性菌株
の生育を抑制するものであり、本発明における抗酸化作
用について特に着目指摘するものではなく、その作用機
序及び直接目的において全く異なるものである。本発明
は、皮膚表面で生育する皮膚常在菌であるスタフィロコ
ッカス エピデルミディスの菌体及びそれが持つプロテ
アーゼ活性による蛋白分解代謝物がすぐれた抗酸化効果
を有するとの全く新規な知見を得て完成されたものであ
る。本発明による抗酸化剤は広汎な分野への利用が可能
であるが、とりわけヒト皮膚の損傷の大きな要因の一つ
として知られている種々の機構による酸化傷害に対して
も安全で極めて有効なる抗酸化剤であり従って化粧料へ
の適用も甚だ有用である。
【0009】この発明は、生体由来の抗酸化物質の一つ
として皮膚表面で生育する皮膚常在菌であるスタフィロ
コッカス(Staphylococcus)属に属する
菌に注目し、蛋白質を含有する培地中で培養したときの
培養生産物がすぐれた抗酸化効果を有し、しかも安全で
安定性のある抗酸化物質が存在することを発見したこと
に基づき完成された。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、第一に化
学品,化粧料,医薬品,医薬部外品および食品のいずれ
にも適用できる抗酸化剤であって、この抗酸化の効果が
大きく、毒性がなく安全で、しかも安定性が高く且つ経
済性つまり大量生産・安定供給に適している抗酸化剤を
提供することを目的とし、第二に特に化粧料に適した抗
酸化剤を得ることを目的とすることから通常の自然酸化
はもとより、紫外線と酸素に対する抗酸化効果、生体の
活性酸素に対する抗酸化効果(生体内の酸化を抑制する
効果)にすぐれた抗酸化剤を得ることを目的とし、第三
には毒性の少ない抗酸化剤を得ることを目的とするとと
もに、併せて、特に皮膚上で起こる皮脂の紫外線による
酸化を抑制する皮膚化粧料に適した抗酸化剤を得ること
をも二次的な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するために、 スタフィロコッカス(Staphylococcu
s)属に属する抗酸化物質生産菌の菌体,当該菌体抽出
物および当該菌体の代謝産物からなる群より選択された
1種または2種以上を含有することを特徴とする抗酸化
剤、および 前記記載の抗酸化剤を含有することを
特徴とする化粧料を構成することとした。
【0012】以下、この発明の詳細な説明を順次述べ
る。
【0013】まず、この発明に利用できる微生物(以下
「供試菌株」という)は、原則として「スタフィロコッ
カス(Staphylococcus)属に属する抗酸
化物質を生産し得る全ての菌株」を利用することができ
る。特に好ましい供試菌株としてはスタフィロコッカス
エピデルミデイス(Staphylococcuse
pidermidis)が例示できる。このスタフィロ
コッカスエピデルミディス(Staphylococc
us epidermidis)の菌株のなかでも、ス
タフィロコッカス エピデルミディス(IFO 129
93)[Staphylococcus epider
midis(IFO 12993)]、スタフィロコッ
カス エピデルミディス(IFO 3762)[Sta
phylococcus epidermidis(I
FO 3762)]が特に好適である。前記各菌株のう
ち、スタフィロコッカス エピデルミディス(IFO1
2993)[Staphylococcus epid
ermidis(IFO 12993)]およびスタフ
ィロコッカス エピデルミディス(IFO 3762)
[Staphylococcus epiderimi
dis(IFO3762)]はいずれも財団法人発酵研
究所より分譲入手した菌株である。
【0014】この発明において利用する前記供試菌株
は、スタフィロコッカス(Staphylococcu
s)属の菌株を培養する場合に使用できる公知の全ての
培地組成物(市販品および調製品を問わず)およびその
改変培地のすべてが利用できる。なお、つぎにこの発明
において利用できる基本的な培地組成を例示するが、こ
れらの例示的培地組成に限定されないのは言うまでもな
い。すなわち、炭素源、窒素源、無機塩、および微量栄
養素等々を含有する培地組成物が利用できる。たとえ
ば、前記炭素源としては、グルコースその他の各種糖類
のほか、有機酸、脂肪族アルコール類からなる物質群よ
り選択された1種または2種以上の物質を利用すること
ができる。窒素源としては、硫安、硝酸ナトリウム、そ
の他の無機の窒素含有化合物群、およびペプトン、蛋白
質、各種アミノ酸、各種ペプチド、酵母エキスその他の
有機物からなる物質群のうち何れか一方の化合物群・物
質群または両方の化合物群・物質群より選択された1種
または2種以上の化合物群・物質群を利用することがで
きる。さらに、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリ
ウムその他の各種ナトリウム塩、塩化マグネシウムその
他の各種マグネシウム塩、塩化カリウムその他の各種カ
リウム塩からなる1つの化合物群または2つ以上の化合
物群より選択された1種または2種以上の無機化合物を
利用することができる。そして、微量栄養素としては、
鉄分、各種ビタミン類からなる物質群より選択された1
種または2種以上の物質を利用することができる。
【0015】この発明において、スタフィロコッカス
(Staphylococcus)属に属する抗酸化物
質生産菌の代謝産物を得るために使用する「蛋白質含有
培地」とは、前記公知の培地組成物に、抗酸化性物質を
得るため積極的に添加する蛋白質として、例えば大豆蛋
白質、乳製蛋白質、卵白蛋白質、血清蛋白質、魚由来蛋
白質、とうもろこし蛋白質、ゼラチンおよびコラーゲン
等々、培地組成物として添加利用でき得る様々な蛋白質
をその公知の培地組成物に添加した培地組成物をいう。
【0016】次に、この発明にかかる抗酸化剤としての
供試料の各態様(「菌体」,「菌体抽出物」「菌体培養
代謝産物」)のそれぞれについて分説する。
【0017】まず、この発明にかかる抗酸化剤としての
供試料、つまりスタフィロコッカス(Staphylo
coccus)属に属する抗酸化物質生産菌の菌体自体
の調製方法について述べる。
【0018】この発明にかかる供試料、つまりスタフィ
ロコッカス(Staphylococcus)属に属す
る抗酸化物質を生産する菌体は、純粋に継代培養した当
該菌体を前記培地組成を有する液体培地または固体培地
上で公知の方法により培養し、当該菌体を収集し生理食
塩水で洗浄した後、凍結乾燥したものを「この発明にか
かる抗酸化剤の供試料」として用いることができる。
「この発明にかかる抗酸化剤の供試料」として、この凍
結乾燥菌体を用いるのは、抗酸化剤としての菌体の保存
性を高めるためであり、凍結乾燥菌体の外の使用態様と
しては培養後の菌体をそのまま利用することができるの
はいうまでもない。また、供試菌体の培養は、培養菌体
の収集作業の難易度および菌体の収集効率の点から、一
般的には液体培地を用いて初発菌体濃度(1白金耳/培
地約100〜200ml・500ml坂口フラスコ、好
ましくは約1x10/ml・500ml坂口フラス
コ,培養条件約37〜25℃、好ましくは約30℃,約
3〜7日間、好ましくは約3〜4日間)好気条件下にお
いて液体培養する方法によることができる。培養収集さ
れる菌体は、液体培養工程において指数関数的増殖期の
後期または定常状態に入った直後の菌体を使用するのが
最適である。なお、固体倍地上で培養した菌体を収集す
る場合には、約37℃で約3〜5日間培養し、固体培地
上に形成された菌体コロニーを無菌的に削り取って収集
し、その菌体を生理食塩水で洗浄したものを利用するこ
とができる。
【0019】次に、この発明にかかる抗酸化剤としての
他の供試料つまり「スタフィロコッカス(Staphy
lococcus)属に属する抗酸化物質生産菌の抽出
物」の調整方法について述べる。
【0020】前記菌体の培養収集工程により得られた菌
体(湿潤菌体または凍結乾燥菌体)を公知の物理的方法
により破砕処理をおこなった後、遠心分離をしてその上
清液をそのまま供試料として使用するか、若しくは前記
上清を凍結乾燥したものを供試料として使用することが
できる。この発明において利用できる菌体の物理的破砕
方法としては、原則として公知の全ての菌体破砕方法が
利用できる。たとえば、菌体の物理的破砕方法を例示す
れば、培養収集した菌体(湿潤菌体または凍結乾燥菌
体)を抽出用溶剤に懸濁した後(湿潤菌体:約0.01
〜0.1g/ml,凍結乾燥菌体:0.005〜0.0
5mg/ml)、超音波破砕処理、ホモジナイザーによ
る破砕処理、ボールミルによる破砕処理、たとえば、
B.Braun社製の高速回転細胞破砕機を用いてガラ
ス玉とともに冷却条件下(例えば、高圧炭酸ガスの断熱
膨張気流下などによる冷却条件下)で高速回転して菌体
を破砕処理するなどの方法により菌体を物理的に破砕処
理する方法などが例示できる。なお、菌体の物理的破砕
工程中において、菌体抽出物自体の空気中における変質
を回避するために、必要に応じて菌体物理的破砕処理を
窒素ガス、炭酸ガス等の不活性気流中で破砕処理をする
ことができる。かくして、上記菌体抽出物の調整工程に
おいて、物理的方法による菌体破砕工程を経たのは、出
来る限り有効に抗酸化物質を抽出した目的物(「菌体抽
出物」)を得るためにする前処理工程である。そして、
この物理的方法処理をした菌体破砕物を遠心分離して得
た上清を凍結乾燥したものを供試料として使用するの
は、菌体抽出物の保存性を向上させるためである。な
お、この発明において、菌体抽出物を得るために利用で
きる抽出溶剤としては、蒸留水、精製水、生理食塩水、
緩衝液、有機溶剤または有機溶剤の水溶液が利用でき
る。つまり、菌体をこれらの抽出溶剤精製水で懸濁する
外に、適当な緩衝液、エタノールその他の低級アルコー
ル等からなる極性の有機溶剤または前記極性有機溶剤の
水溶液を抽出溶剤として使用し菌体をそれぞれに懸濁し
た後、前記例示にかかる物理的破砕方法により菌体破砕
し、遠心分離してその上清を使用することができるのは
いうまでもない。なかんずく、可能な限り自然で緩和な
条件で抽出物を得るという観点より蒸留水または精製水
により菌体抽出物を得るのが好ましい。
【0021】さらに、この発明にかかる抗酸化剤として
利用される他の供試料である「供試菌株の培養代謝物」
の調整方法について述べる。
【0022】供試菌株の培養代謝物を調整するに際して
は、前述の「スタフィロコッカス(Staphyloc
occus)属の菌株の培養用(生育用)培地組成」に
各種蛋白質を約0.01〜10.0重量%(好ましくは
約0.1〜3.0重量%)の割合で添加した液体培地を
使用することができる。そして、この発明における供試
菌株を約26〜37℃、約3〜7日間(好ましくは約2
8〜32℃、約3〜5日間)培養し、培養途中で1ml
の培養液を取り出し、1mlのTCA液(50%トリク
ロロ酢酸36mlと1M酢酸ナトリウム220mlと1
M酢酸330mlを混合し1000mlとする)を加
え、白濁しなくなった時点で培養を停止する。培養終了
後、遠心分離等により固液分離して菌体部と培養液とを
分離する。培養液を氷冷した後、この氷冷した培養液中
にその培養液の約1.0〜4.0倍量(好ましくは約
1.5〜3.0倍量)の冷アセトンを徐々に添加してア
セトン沈殿物を生成させる。沈殿、生成したアセトン沈
殿物の含有する培養液を遠心分離等の方法で分画してア
セトン沈殿物を得る。このアセトン沈殿物は、必要に応
じて精製水に溶解およびアセトンにより再沈殿させるこ
とにより供試菌株の「培養代謝産物」の精製をおこない
最終的にはアセトン沈殿物を供試菌株の培養代謝産物と
して得る、必要に応じてこのアセトン沈殿物区分を凍結
乾燥して培養代謝生産物にかかる供試料(抗酸化物質区
分)とする。なお、培養代謝生産物にかかる供試料(抗
酸化物質区分)は、凍結乾燥前のアセトン沈殿物をその
まま利用することができ、このアセトン沈殿物を蒸留水
または精製水に溶解したものを抗酸化剤として利用する
ことができるのは勿論である。前記凍結乾燥された培養
代謝生産物にかかる供試料(抗酸化物質区分)は、その
保存性を向上させるためである。
【0023】次いで、この発明にかかる前記各供試料の
抗酸化効果の測定法について述べる。
【0024】この発明にかかる各供試料の抗酸化効果お
よび安全性の測定方法としては、 (1)リノール酸の自動酸化を指標としたロダン鉄法に
より各供試料の抗酸化効果を測定し、このロダン鉄法に
よる測定結果に基づきこの発明にかかる各供試料の抗酸
化効果の有無の判断基準とする。 (2)活性酸素による赤血球の溶血抑制作用を測定する
ことにより生体内の細胞膜に対するラジカル攻撃の抑制
効果を測定する。これにより、より生体系に近い系での
抗酸化効果を測定することとする。 (3)スクワレンの紫外線による酸化抑制効果を測定す
ることにより(TBA法)、特に紫外線と酸素による皮
脂に対する抗酸化効果を測定し、化粧料をを含む皮膚外
用剤に対する抗酸化剤としての適否を判断することとす
る。 (4)各供試料の安全性の測定・確認について培養細胞
に対する影響を測定することにより判定する。
【0025】次ぎに本願の他の発明は、前記抗酸化剤を
配合した化粧料にかんする発明である。本願化粧料にお
けるこの発明にかかる抗酸化剤の化粧料に対する配合量
(含有量)は、前記抗酸化剤の種類および/またはその
組合せ並びにその化粧料の種類および化粧料の実施態
様、化粧料の使用形態・使用回数等々に応じて変動させ
ることができるので、特に限定されない。原則的には、
有効量存在すればよいことになるが、一般的には化粧料
組生物中0.0001〜60重量%、好ましくは0.0
1〜5重量%が利用できる。さらにまた、この発明にか
かる有効成分は1種類でも作用効果を発揮することがで
きるが、2種類以上の有効成分を適宜組み合わせて利用
することにより、すぐれた相乗効果を奏することができ
る。もとより、この発明にかかる有効成分は、公知の
「抗酸化剤」、「紫外線吸収剤」と併用することにより
優れた相乗効果を奏することもできる。
【0026】この発明にかかる化粧料の適用範囲は、特
に限定されない。つまり、この発明の有効成分(抗酸化
剤)の有する作用効果に応じてその作用効果を利用でき
るすべての化粧料に適用できる。たとえば、この発明に
かかる有効成分の1種類または2種類以上を各種化粧料
基剤等に配合して、クリーム、乳液、化粧水、パック
剤、洗顔料などの各種基礎化粧料、ファンデーション、
ほほ紅、口紅、白粉などの各種メーキャップ料、整髪
料、養毛剤、シャンプー、リンスなどの各種頭髪用化粧
料、石鹸、美爪料、香水、オーデコロン等々、その他の
化粧料に対して広範囲に適用できる。また、前記各種化
粧料の実施態様は、溶液、エマルジョン、軟膏、オイ
ル、ワックス、ゾル、ゲル、粉末(パウダー)、スプレ
ー(エアゾール)などの各種態様で適用できる。さらに
また、この発明にかかる有効成分のうち抗酸化効果を有
するものは、化粧料に限らず各種医薬品・各種薬剤、化
学品・肥料等々各種関連技術分野において適用できる。
加えて、この発明にかかる有効成分は、いずれも皮膚に
対する毒性および刺激性が少なく、熱、光に対する安定
性も高いという卓越した特性を有している。
【0027】
【作用】この発明は、スタフィロコッカス(Staph
ylococcus)属に属する抗酸化物質生産菌の菌
体、当該菌体抽出物および当該菌体の代謝産物が有する
すぐれた抗酸化作用に基づき化学品、医薬品、化粧料、
医薬部外品および食品に適した安定で且つ安全な天然物
由来の抗酸化剤を提供できる。そして、この発明にかか
る前記抗酸化剤は酸素および紫外線に対する抗酸化作用
においても優れた作用効果を有するので、特に紫外線に
よるヒト皮膚への酸化障害に対して極めて改善性が高く
しかも品質が安定でかつ安全な優れた皮膚化粧料が提供
できる。そして、この発明にかかる抗酸化剤は、スタフ
ィロコッカス(Staphylococcus)属に属
する抗酸化物質生産菌(たとえば、スタフィロコッカス
エピデルミミディス(Staphylococcus
epidermidis)]を培養することにより、
その「菌体」、「菌体抽出物」および「菌体培養代謝産
物」として得られるので、量産可能で且つ安定供給でき
るという経済的効果も有している。
【0028】さらにまた、この発明にかかる化粧料は、
前記抗酸化剤の作用効果の特性に基づき、天然物由来の
抗酸化剤でしかも安全で安定性の高い化粧料を提供する
ことができる。
【0029】
【実施例】つぎに、この発明を実施例に基づいて説明す
るが、この発明がこれらの実施例により限定されないの
はいうまでもない。
【0030】まず、この発明にかかる抗酸化剤としての
各供試料の調整方法を述べる。
【0031】(1)実験例−1〔供試菌株の培養および
その菌体の調整〕 供試菌株は次の2種類を使用した。 スタフィロコッカス エピデルミディス〔Staoh
ylococcus epidermidis(IFO
12993)〕 (以下「IFO 12993」とい
う)(財団法人 発酵研究所より分譲をうけた菌株) スタフィロコッカス エピデルミディス〔Staoh
ylococcus epidermidis(IFO
3762)〕 (以下「IFO 3762」という)
(財団法人 発酵研究所より分譲をうけた菌株) 〔供試料としての菌体の調整〕SCD(日本製薬社製)
粉末培地(市販品)3.0gを100mlの精製水に溶
解し、121℃,15分間オートクレーブで滅菌した。
その100mlに前記3種類の供試菌株を1白金耳ずつ
接種し、37℃,3日間振盪培養(150rpm)し
た。培養終了後、遠心分離(8,000rpm、10分
間)した後液体(培地)を捨て、菌体に約100mlの
生理食塩水を加えて菌体を洗浄し、再び遠心分離(8,
000rpm、10分間)し菌体を分離した。前述の生
理食塩水による菌体洗浄処理を合計2回繰り返した後、
約100mlの精製水で洗浄・遠心分離(8,000r
pm、10分間)して精製水による菌体洗浄を合計3回
繰り返した後、洗浄後の各供試菌体をさらに約20ml
の精製水に懸濁し、これを凍結乾燥してそれぞれの供試
菌株を得た。このようにして得られた各供試菌株の「菌
体」にかかる供試料をそれぞれつぎのとおり命名する。 実施例−1:スタフィロコッカス エピデルミディス
(IFO 12993)〔Staphylocpccu
s epidermidis(IFO 12993)〕
の菌体。 実施例−2:スタフィロコッカス エピデルミディス
(IFO 3762)〔Staphylocpccus
epidermidis(IFO 3762)〕の菌
体。 以下、各供試菌体にかかる供試料を、それぞれ実施例−
1、実施例−2という。
【0032】(2)実験例−2 〔菌体抽出物の調整〕 前記実験例−1で得られた各供試菌体(実施例−1,実
施例−2)約2.0gを約20mlの精製水に懸濁し、
氷冷しながら超音波破砕処理(Ultorasonic
generator〈US−300〉日本精機製)
(250μA,約1分間)をおこなった。精製水を入れ
替え3度同じ操作を繰り返した。その後、遠心分離(約
8,000rpm,約10分間)を行なった後、その上
清液を凍結乾燥し、各供試菌体の抽出物とする。このよ
うにして得られた各供試菌株の「菌体抽出物」(供試
料)をそれぞれつぎのとおり命名する。 実施例−4:スタフィロコッカス エピデルミディス
(IFO 12993)〔Staphylococcu
s epidermidis (IFO 1299
3)〕の菌体抽出物。 実施例−5:スタフィロコッカス エピデルミディス
(IFO 3762)〔Staphylocpccu
s epidermidis (IFO 3762)〕
の菌体抽出物。 以下、各供試菌体抽出物にかかる供試料を、それぞれ実
施例−4、実施例−5という。
【0033】 (3)実験例−3〔供試菌体の培養代謝産物の調整〕 供試菌体(2種類)の培養代謝産物は、蛋白質含有培地
で供試菌体を培養して得た。蛋白質含有培地として、培
地中に添加する蛋白質は乳製カゼイン,大豆カゼイ
ン,ゼラチンおよび卵白蛋白質を使用した。供試菌
体の培養代謝産物を調整するために使用した培地組成は
つぎのとおりである。 ・各種蛋白質(前記添加蛋白質〜の内から選択され
た一つ)2.0g/100ml ・グルコース 0.5g/100ml ・酵母エキス(DIFCO社製) 0.5g/100m
l ・KHPO 0.1g/100ml ・MgSO 0.05g/100ml そして、pHを7.0に調整した後、115℃,15分
間オートクレーブで滅菌し、これを冷却した後、滅菌し
たCaCOを1.0gを加えたものを菌体代謝産物調
整用の培養液とする。この菌体代謝産物調整用培地を5
00ml坂口フラスコに100ml分注し、これに前記
供試菌株を1白金耳接種した。これを28℃,200r
pmで4日間振盪培養し、培養後は遠心分離(10,0
00rpm,10分間)して菌体と培養液とを分画して
培養液区分を集める。遠心分離して分画した培養液を氷
冷し、その2倍量の冷アセトンを前記氷冷した培溶液に
徐々に添加して沈殿を生成させた。この生成した沈殿物
を遠心分離(10,000rpm,10分間)して収集
した。そして、この沈殿物を精製水で再び溶解し、再度
アセトンを添加して沈殿を生成させた。その後遠心分離
(10,000rpm,10分間)して得た沈殿物を少
量の精製水に溶解し、凍結乾燥して供試料としての「菌
体代謝産物」を得た。調整した各供試菌株および供試蛋
白質との「菌体代謝産物」との関係を〔表1〕に示すと
おり命名・特定することとした。
【表01】
【0034】(4)実験例−4 〔ロダン鉄法による各
種供試料の抗酸化作用の測定〕 このロダン鉄法は、リノール酸を自動酸化させ、生ずる
過酸化物をチオシアン酸アンモニウムと反応させたとき
に生じたチオシアン酸と鉄とが反応して生ずるチオシア
ン酸鉄の赤色を吸光度(500nm)で測定するもので
ある。 〔実験方法〕2×10−1Mリノール酸原液1.0ml
に各濃度の供試料溶液0.2mlと0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.0)0.8mlを加えて37℃でインキュ
ベートする。インキュベート液0.05mlをとり、7
5%エタノール2.35ml、30%ロダン鉄アンモニ
ウム液0.05ml、2×10−2M塩化第一鉄液
(3.5%塩酸溶液)0.05mlを順次添加し、よく
撹拌する。試薬を加え終わった時点より5分経過後に波
長500nmにおける吸光度を測定する。試料溶液を精
製水のみとした場合〔陰性対照〕の吸光度をA、試料溶
液を0.01%δ−トコフェロール(0.05%Twe
en20含有)〔陽性対照〕として4℃でインキュベー
トした場合の吸光度をBとし、本願発明の各供試料の吸
光度をCとした場合、ロダン鉄法による各供試料の抗酸
化効果(%)を次の〔数01〕で表わされることができ
る。
【0035】
【数01】
【0036】前記ロダン鉄法により測定した各供試料に
ついての抗酸化効果(抗酸化率<%>)の結果は〔表0
2〕に示すとおりである。
【表02】 〔表02〕の結果より、各供試料つまりスタフィロコッ
カス エピデルミディス(Staphylococcu
s epidermidis)の各供試菌(2種類)の
何れの「菌体」,「菌体抽出物」および「菌体代謝産
物」にも自動酸化に対する抗酸化性が存在することが示
唆されている。「菌体代謝産物」においては蛋白を添加
しないで各供試菌を培養した場合の代謝産物および各供
試菌を接種していない培地には抗酸化性は見られず、各
蛋白質を含有した培地で各供試菌を培養することによっ
て抗酸化性を有する代謝産物が生産されることを示して
いる。
【0037】(5)実験例−5 〔活性酸素による赤血
球の溶血反応抑制作用の測定〕 この方法による抗酸化作用の測定は、水溶性のラジカル
発生剤であるAAPH〔(2.2’−アゾビス(アミジ
ノプロパン)2塩酸塩〕により発生したラジカルにより
リポソーム膜や赤血球膜のラジカル的酸化を利用したも
のである。赤血球においては膜脂質や蛋白質が酸化し、
膜に損傷が起こり赤血球の溶血を誘発する(Etuo
Niki,et al.,J.Biol.Chem.V
ol 263,No.36,19809(198
8))。即ち試料(抗酸化剤)の添加していない系は溶
血が進み吸光度(540nm)が経時的に増加するのに
対して、試料(抗酸化剤)が存在すると溶血が抑えられ
る。このことを利用して抗酸化物質添加前の吸光度値に
対する添加後の吸光度値から溶血率を求め、それにより
過酸化物の抑制効果を測定することになる。この方法に
よる抗酸化作用の測定は前記ロダン鉄法(自動酸化)に
よる抗酸化効果の測定よりもより生体に近い系で抗酸化
効果を測定・判定することができる。 〔実験方法〕ウサギの保存血液(日本バイオテスト製)
10mlを152mM塩化ナトリウム10mMリン酸緩
衝液(pH7.4)で洗浄する。152mM塩化ナトリ
ウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.4)で再懸
濁し、赤血球液とする。その赤血球液2mlをとり、1
52mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液
(pH7.4)に溶解した試料1mlを添加する。次に
系内濃度が50mMになるようにAAPHを添加し、3
7℃でインキュベートする。このインキュベート液を3
0分毎に各2本の試験管に0.1mlずつ取り出し、そ
の一方に3mlの152mM塩化ナトリウムを含む10
mMリン酸緩衝液(pH7.4)を加え撹拌後、遠心分
離(300g、5分間)し、上清の540nmにおける
吸光度(S)を測定する。また、他の一方には3mlの
10mMリン酸緩衝液を加え溶血させ540nmにおけ
る吸光度(B)を測定する。これを100%溶血の吸光
度としその経過時間における溶血度(%)を次の[数0
2]で算出する。
【数02】
【0038】
【表03】 〔表03〕は、この活性酸素による赤血球の溶血反応抑
制作用の測定の結果を示す。これにより、実施例−7M
〔スタフィロッコッカス エビデルミディス(Stap
hylococcus epidermidis(IF
O12993)〕の乳製カゼイン含有培地における代謝
産物は、生体系に近いラジカル攻撃に対する抗酸化効果
にすぐれていることが示唆されている。他の実施例にお
いてもほぼ同様な結果を得た。
【0039】(6)実験例−6 〔紫外線照射によるス
クワレン酸化抑制作用の測定〕 紫外線を照射することによりスクワレンの不飽和結合が
酸化され生じるマロンジアルデヒド(MDA)をチオバ
ルビツール酸と反応させたときに生成する反応物を測定
し、TBA値を求めるものである。即ち、この系に紫外
線によるスクワレンの酸化を抑制するものが存在すると
TBA値が低下するので、酸化抑制物質添加前のTBA
値に対して抗酸化剤添加後のTBA値が低下することを
利用して、その阻害率を求めて酸化抑制率を測定するこ
とを目的とする。 <方法>スクワレン 1mg/ml,トリトンX−10
0(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエー
テル)10mg/ml含む水溶液を作成し、37°Cで
紫外線(デルマレイBLB(東芝医療製))を照射し、
光酸化を行なった。その時の紫外線強度は305nmで
0.035mW/cm、365nmで0.623mW
/cmだった。各供試料を各種濃度になるように上記
スクワレン、トリトンX−100を含む水溶液に添加す
る。一定時間毎に0.1mlずつサンプリングし、精製
水1mlとTBA試薬(2−チオバルビツール酸3.3
5mg/ml、酢酸8.8mol/l)1mlを加え、
100°Cで60分間加熱する。流水で冷却後、n−ブ
タノール2mlを加え、20秒間激しく撹拌する。遠心
分離(3,000rpm、10分間)した後、上層のn
−ブタノールの蛍光強度を励起波長(515nm)、測
定波長(553nm)で測定する。陰性対照として水の
みを添加した区の蛍光強度を(C)とし、各供試料を添
加した区の蛍光強度を(S)として、次の〔数03〕に
よりスクワレン酸化抑制率(%)を算出した。
【数03】 〔表04〕は、供試料(実施例−7M)の各濃度におけ
るスクワレン酸化抑制率をそれぞれ示す。
【表04】 〔表04〕の結果より、紫外線による過酸化に対して、
スタフィロコッカスエピデルミディス[ Staphy
lococcus epidermidis(IFO
12993)の乳製蛋白質を含む培地における代謝産物
が強い抗酸化効果を示すこと及び熱に対して安定である
ことを示唆している。なお、他の実施例に関してもほぼ
同様の効果を示した。
【0040】 (7)実験例−7 〔培養細胞に対する影響の測定〕 本実験の目的は、この発明にかかる抗酸化剤の細胞に対
する安全性(毒性)を確認するためのものである。代表
的な抗酸化剤として利用されるBHT(ブチルヒドロキ
シトルエン)、δ−トコフェロールとこの発明にかかる
抗酸化剤(実施例−7M)との培養細胞に対する影響を
測定する。 〔実験方法〕ヒト健常皮膚由来であるXX−male
(JTC−17)細胞を用いた。培地は5%FBS(牛
胎児血清)を含むEagle’s MEMで、各ウェル
(2.0cm)に約10万細胞ずつ正確に分注し、3
7°CのCOインキュベーター(5%CO)で2日
間培養した。各濃度のBHT、δ−トコフェロール、実
施例−7Mを添加し、3日間培養を継続し、細胞数を計
測した。〔表05〕は、実験例−7の結果を示す。〔表
05〕の結果によると、合成抗酸化剤であるBHT及び
δ−トコフェロールと比較してこの発明にかかる抗酸化
剤は細胞に対する毒性を示さず、皮膚に対して安全性が
高いことを示唆している。
【表05】
【0041】(8)実験例−8〔実施例−7M配合化粧
料の使用による効果測定〕 20名のパネラーで使用テストを行なった。実施例−7
Mを配合しない化粧料を2週間全員使用後、実施例−7
Mを1%含有する化粧料を使用する群と実施例−7Mを
含有しない化粧料を使用する群との2群に分けて2ヵ月
間それぞれの化粧料の使用テストを行なった。SILF
LO(アッミク社製)で皮膚表面のレプリカを取り、画
像解析(装置:EXCEL・日本アビオニクス社製)を
行ない、肌のキメの細かさ、皮溝皮丘の明確さキメの形
態を基準として皮膚の状態が改善したかの評価を行なっ
た。〔表06〕の結果より、この発明にかかる化粧料の
使用により肌のキメの状態が良くなり美しい肌になった
ことが示唆される。
【表06】
【0042】次に、この発明にかかる化粧料の処方例を
例示する。配合割合はすべて重量%で示す。なお、この
発明は、以下の処方例にかかる化粧料に何ら限定をされ
ないのはいうまでもない。
【0043】 〔処方例1〕化粧水 〈組成〉 (重量%) 実施例−7M 0.1 グリセリン 5.0 ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.0)1.5 エタノール 10.0 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部
【0044】 〔処方例−2〕化粧用クリーム 〈組成〉 (重量%) 実施例−4 0.3 ミツロウ 2.0 ステアリルアルコール 5.0 ステアリン酸 8.0 スクワラン 10.0 自己乳化型グリセリルモノステアレート 3.0 ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.0) 1.0 プロピレングリコール 5.0 水酸化カリウム 0.3 香料 適量 防腐剤 適量 精製水 残部
【0045】 〔処方例−3〕乳液 〈組成〉 (重量%) 実施例−4 0.5 スクワラン 8.0 ワセリン 2.0 ミツロウ 0.5 ソルビタンセスキオレエート 0.8 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0) 1.2 カルボキシビニルポリマー 0.2 プロピレングリコール 0.5 水酸化カリウム 0.1 エタノール 7.0 香料 適量 防腐剤 適量 精製水 残部
【0046】 〔処方例4〕パック剤 〈組成〉 (重量%) 実施例−7S 0.1 酢酸ビニル樹脂エマルジョン 15.0 ポリビニルアルコー 10.0 オリーブ油 3.0 グリセリン 5.0 酸化チタン 8.0 カオリン 7.0 エタノール 5.0 香料 適量 防腐剤 適量 精製水 残部
【0047】
【発明の効果】この発明にかかる抗酸化剤は、スタフィ
ロコッカス(Staphylococcus)属に属す
る抗酸化物質生産菌の菌体、菌体抽出物及びその菌体代
謝産物を利用するものである。そして、この発明にかか
る抗酸化剤は、天然由来の抗酸化剤で、抗酸化性が高く
しかも細胞に対する毒性もなく安全で、且つ熱に対する
安全性が高い。また、この発明にかかる抗酸化剤は通常
の自然酸化に対する抑制はもとより、紫外線に対する酸
化抑制作用も高いという特性を有し、しかも細胞に対す
る毒性も極めて低いという特性を併せ備えている。従っ
て、この発明にかかる抗酸化剤は、化学品、医薬品、化
粧料、医薬部外品及び食品に適用できるという極めて利
用価値の高いものを提供できる。しかも、微生物の培養
により簡単に得ることができるのでその提供量および時
期も安定して供給できる。
【0048】また、この発明にかかる抗酸化剤を配合し
た化粧料は、一般化粧料に適用できるのはもとより、特
に紫外線のストレスに曝される皮膚化粧料及び皮膚外用
剤に適用するのに好適である等々、発明の目的を達成す
る顕著な効果を奏でる。
フロントページの続き (72)発明者 芝 篤志 大阪市福島区海老江1丁目11番17号 株 式会社 ナリス化粧品内 (72)発明者 田中 弘 大阪市福島区海老江1丁目11番17号 株 式会社 ナリス化粧品内 (56)参考文献 特開 昭62−25995(JP,A) FEMS Microbiology Letters,1987年,42,33−38 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 15/34 A23L 3/3571 A61K 7/00 - 7/50 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白質添加培地で培養したスタフィッロコ
    ッカス(Staphylococcus)属に属する抗酸化物質産生菌
    の菌体、当該菌体抽出物及び当該菌体の代謝物からなる
    群より選択された1種又は2種以上を含有することを特
    徴とする耐熱性のある抗酸化剤。
  2. 【請求項2】蛋白質添加培地における蛋白質が、大豆蛋
    白質、乳製蛋白質、卵白蛋白質、血清蛋白質、魚由来蛋
    白質、とうもろこし蛋白質、ゼラチン、コラーゲンの群
    より選択された1種又は2種以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の抗酸化剤。
  3. 【請求項3】スタフィッロコッカス(Staphylococcus)
    属に属する抗酸化物質産生菌が、スタフィロコッカス
    エピデルミデイス(Staphylococcus epidermidis)であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の抗酸化
    剤。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3記載の抗酸化剤を含
    有することを特徴とする化粧料。
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