JP3475199B2 - 機能性絹繊維及びその製造方法 - Google Patents
機能性絹繊維及びその製造方法Info
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Description
与された絹繊維及びその製造方法、さらに詳しくいえ
ば、本発明は、エレクトレット性、遠赤外線放射性など
の機能性を付与された絹繊維及びそれをトルマリン微粉
末含有人工飼料を用いてカイコを飼育し、まゆを吐出さ
せることにより製造する方法に関するものである。
エレクトレット粒子や遠赤外線放射セラミックス粒子を
接着させたり、或いは化学繊維の紡糸原液にエレクトレ
ット粒子や遠赤外線放射セラミックス粒子を混合して紡
糸することにより、エレクトレット性や遠赤外線放射性
のような機能を付与した繊維を得ることは知られている
(特開昭60−126310号公報、特開昭63−85
112号公報、特開昭63−202663号公報、特開
平2−169764号公報)。
着させたものは、繊維相互の摩擦、他物体との接触など
により機能性粒子が脱落しやすく、長期間にわたって機
能を保持することができないし、紡糸原液に機能性粒子
を混合するには、均一化や紡糸のために煩雑な操作を行
わなければならないという欠点がある。
性繊維における欠点を克服し、煩雑な操作を必要とせず
に、しかも機能性が付与された繊維を提供することを目
的としてなされたものである。
能性を備えた繊維を得る方法を開発するために鋭意研究
を重ねた結果、トルマリン微粒子を含有させた人工飼料
で、カイコを飼育すると、意外にもこのカイコが形成す
るまゆ糸の中に、トルマリン微粒子が均一に分散した状
態で取り込まれ、その機能性を発揮するまゆ糸が得られ
ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至
った。
有人工飼料を摂取したカイコの吐出したまゆ糸で構成さ
れたことを特徴とする機能性絹繊維、及びカイコの飼育
に際し、トルマリン微粒子含有人工飼料を給餌してまゆ
を形成させ、次いでそのまゆからまゆ糸を採取すること
を特徴とする機能性絹繊維の製造方法を提供するもので
ある。
リンは、それ自体有用な機能を有する無機物質で、繊維
に混合した場合、繊維にその機能を付与する性質をも
つ。例えば、近年、マイナスイオンが生体細胞を賦活
し、生体に対して好影響を与えることが知られるように
なり、このマイナスイオンを自律神経系、運動神経系の
調節に利用して、睡眠、精神安定、疲労回復を行う研究
が積極的になされ、このマイナスイオンを放出する物質
として天然産のトルマリンが注目を浴びている。このト
ルマリンは永久自発電気分極をしている物質で、外部電
界の影響で分極のベクトルを変えず、また鉱物の中で最
も強い永久分極特性を示すとともに、遠赤外線の放射も
認められている。さらに、イオン結晶が外力に対応して
誘電分極を生じる圧電効果や、急速に熱を受けたときに
表面に電荷が現われる焦電効果も観測される。
ルマリンを天然繊維の中で特に高級品として取り扱われ
ている絹の表面に接着して、トルマリンの機能、いわゆ
るエレクトレット性を付与しようとすると、絹本来の美
しい光沢を阻害し、しなやかな絹の肌触りの良さを低下
させ、また、使用中に、或いは洗濯に際してトルマリン
が脱落してしまい、トルマリンの効果を減少させること
になる。
構成されていることは周知の事実であるが、このカイコ
は桑の葉を飼料として、睡眠期を除き、これを毎日摂取
して飼育される。このカイコの幼虫期は約25日でその
間4回脱皮し、最終令の5令期に約一週間を要して体内
で桑から絹蛋白を合成し、絹糸腺に貯え成熟して、2〜
3日かかって途切れなく約1200mの糸を吐き、まゆ
を作る。まゆの中でカイコはさなぎになり、約2週間か
かって成虫(蛾)となってまゆ層をアルカリ性の唾液で
ゆるめて脱出し、雌雄交尾して約600粒産卵して数日
後に死亡する。
間中の最初の掃立時から5令起蚕時までトルマリンの微
粒子を配合した人工飼料を給餌することにより、トルマ
リンが取り込まれた絹を容易に形成させることができる
ので、絹本来の光沢や手触りをそこなうことなく、しか
も長期間にわたって機能低下を生じることがないエレク
トレット性絹を製造することができる。さらに、カイコ
の成育期間中の最初の掃立時と4令起蚕時、或いは4令
と5令起蚕時にトルマリンの微粒子を配合した人工飼料
を給餌してもよく、これによれば作業量が大幅に軽減さ
れる。
ましくは0.5〜5μmの微粒子として用いられる。本
発明の機能性絹繊維は、このようなトルマリン微粒子
を、0.002〜5重量%の割合で含有している。
は、カイコを無菌人工飼料を用いて飼育することが必要
である。そして、この無菌人工飼料は、タンパク質、炭
水化物、脂質、ビタミン類及び無機塩類など5大栄養素
をバランスよく含むことが重要であり、またカイコは栄
養の他に特別に水を飲まないので飼料中の水分率も重要
である。
葉粉末、脱脂大豆粉末及びデンプンを主体とする組成を
有するが、稚蚕(1〜3令)用は、乾燥桑葉粉末と脱脂
大豆粉末の割合が多く、また壮蚕(4、5令)用は、乾
燥オカラ粉末の割合が多い組成とするのが好ましい。
50重量%、乾燥オカラ粉末10〜55重量%、デンプ
ン5〜15重量%、無機塩混合物2〜5重量%及び生体
賦活性物質3〜10重量%からなる混合物に適当量の乾
燥桑葉粉末を加えて全量を100重量%に調整したもの
である。
脂大豆粉末、オカラ粉末、デンプン、ビタミン混合物、
無機塩混合物及びその他の生体賦活性物質の混合物に、
所要のトルマリン微粒子を分散させた水を加えた後、練
合機で練合し、成形機に移送しながら平板状又は波形に
成形する。
5日2回或いは3回というような無人飼育が可能にな
る。すなわち、最初の掃立時と4令起蚕に給餌、或いは
4令と5令起蚕時に給餌を行えばよい。その後一斉上蔟
させれば、トルマリン含有まゆが生産される。
行うのが好ましいが、これは前記の人工飼料を洗浄消毒
済みのエレクトレット繊維布やエレクトレット性紙を敷
いた飼育トレイに入れ蒸煮滅菌して行われる。カイコの
場合は、卵表面の消毒によって簡単に無菌蚕を作出する
ことが可能である。蚕卵の消毒は、用いる薬物の種類、
濃度及び作用時間によって孵化率や消毒効果が異なるの
で、例えば、周年まゆ生産用としてはホルマリンや高度
晒粉を用いて無菌蚕を作出している。さらに、飼育器機
として、飼育トレイ、エレクトレット繊維布やエレクト
レット性紙、網、飼育室、上蔟室などと飼育環境を洗
浄、消毒して無菌状態を保持する。
料を与える場合には、無菌飼育室又はクリーンブース内
で飼育トレイ中の飼料上に打ち落とし法で掃立を行い、
その後滅菌済みの網を上からかぶせる。掃立が終了した
ものから順次飼育トレイを飼育台車に積み重ね、最上部
に蓋をして静置する。飼育室の無菌状態を維持するに
は、飼育作業をできる限り省くことが重要であり、これ
により飼育労力の省力化と同時に蚕病の感染機会を少な
くすることができる。
は、人工飼料全重量に基づき、0.002〜5重量%の
範囲で選ばれる。これが、0.002重量%未満では機
能性が不十分になるし、5重量%よりも多くするとカイ
コが摂取しなくなる。
明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定され
るものではない。
m)を用い、表1に示す2種類の組成の人工飼料を調製
し、1〜3令には稚蚕用を、4、5令には壮蚕用をそれ
ぞれ給餌した。すなわち、稚蚕用人工飼料粉体300g
を秤量し、2.4倍の水を加えてよく混練し、これを平
板状に成形したものを96℃で1時間蒸気で滅菌した。
次に、飼育トレイ(64×38×9cm)を予めクライ
ト溶液で消毒しておき、このトレイにサンシートを敷い
て前記人工飼料を載せ、その上に網を敷き、カイコの幼
虫を載せ、カイコ100頭を飼育した。掃立時1−3令
1回稚蚕用人工飼料を与え、4令1回、5令1回壮蚕用
人工飼料を与え、合計3回人工飼料を給餌した。5令7
日目頃、各飼育トレイ中のカイコはほとんど熟蚕になる
ので、これを一斉に上蔟させてまゆを作らせた。このよ
うな状態の中で、まゆができ上がるまで無菌状態を細心
の注意を払って維持して飼育した。
を選び、まゆとさなぎと糞の中に含まれているトルマリ
ンの量を測定した。すなわち、まゆ63個 28.62
g、さなぎ 62g、糞 111gをそれぞれ取り出し
て、完全に灰化するまで燃焼し、この灰分中のボロン量
を原子吸光分析試験により測定した。その結果、糞
0.12重量%、まゆ 0.012重量%、さなぎ 0.
012重量%であった。ここで用いたトルマリンの化学
組成は、Na(Fe,Mn)3Al6B3Si6O27(O
H,F)4であった。測定したボロン量をトルマリン量
に換算した結果、それぞれのトルマリン含有量(重量
%)は、まゆ0.00328重量%、さなぎ0.000
4重量%、糞0.0578重量%であることが判明し
た。このことより糞中のトルマリン量は確かに多いけれ
ども、まゆ中にもかなりの量のトルマリンが含まれてい
ることが分かった。
含有まゆ糸(A)及び比較のためにトルマリンを含まな
い人工飼料で育成したカイコから得たまゆ糸(B)それ
ぞれ20gから活性電子を発生させ、水の電気伝導度の
変化を測定した。図1は測定装置の説明図であり、試料
活性装置における試料活性器2の内部に設けた試料装着
部3に各試料を装着する。送風ポンプ1から試料活性器
2に、脱二酸化炭素などの処理が施された清浄な空気を
100ml/分の速度で導入する。この際、試料装着部
3の試料は、試料活性器2に設けたセラミックスなどの
発熱体4により、36℃に保持する。この温度調節のた
めに、試料活性器2には、温度計5と温度センサー6が
装備されている。試料装着部3を通過した空気は、ビー
カー9中に収容されている蒸留水10(恒温槽8によ
り、21℃に保持され、21℃における電気伝導度1.
7μS/cm)の水面上に吹き付けられる。蒸留水10
には白金棒11が挿入されており、その電気伝導度の変
化を、電気伝導度計12(ヒューレットパッカード社
製、プレシジョンLCRメーター4285A)で測定し
た。なお、7は電源である。図2はトルマリンを含有し
た人工飼料のまゆ(A)とトルマリンを含有していない
人工飼料のまゆ(B)の水の電気伝導度の試験結果で、
縦軸は電気伝導度(μS/cm)であり、横軸は測定開
始からの経過時間(時間)である。この図2により、ト
ルマリンを含有した人工飼料のまゆ(A)はトルマリン
を含有していない人工飼料のまゆ(B)よりもはるかに
高い値を示しており、マイナスイオンが多量に発生して
いることを示している。
捕捉し、温度分布(サーモグラム)を10色のカラーに
置き換えて表示するものである。恒温シールド室内にお
いて、実施例で得られたトルマリンを含有した人工飼料
で飼育されたまゆから得たまゆ糸で織られた絹織物のシ
ート(X)とトルマリンを含有していない人工飼料で飼
育されたまゆから得たまゆ糸で織られた絹織物のシート
(Y)の上に、それぞれ健康成人の被験者を仰臥位と
し、サーモグラム(皮膚温分布)の測定を行った。その
結果、絹シート(X)では、仰臥中及びその後において
も、両足の皮膚温は2.0℃上昇し、皮下血行を盛んに
していることが分かる。次に、絹シート(Y)では、両
足の皮膚温は0.5℃上昇しただけであった。この知見
により、トルマリンを含有した人工飼料で飼育されたま
ゆからのまゆ糸で織られた絹織物のシート(X)は、ト
ルマリンを含有していない人工飼料で飼育されたまゆか
らのまゆ糸で織られた絹織物のシート(Y)よりも皮膚
温を上昇させ、皮下血行を盛んにさせることが判明し
た。
り、遠赤外線を放射して生体細胞に賦活効果を与えるト
ルマリンを天然のカイコに給餌し、トルマリンを含有す
るまゆを生成させることができ、天然の絹の持つ優雅な
光沢と豊富な染色性、程良い弾性と強靭性、保温性、水
の吸収特性など衣料繊維として優れた特性を損なうこと
なく、かつしかも各種の機能を付与することができる。
験装置の説明図。
とトルマリンを含有していない人工飼料のまゆ(B)の
水の電気伝導度の経時的変化を示すグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 トルマリン微粒子含有人工飼料を摂取し
たカイコの吐出したまゆ糸で構成されたことを特徴とす
る機能性絹繊維。 - 【請求項2】 カイコの飼育に際し、トルマリン微粒子
含有人工飼料を給餌してまゆを形成させ、次いでそのま
ゆからまゆ糸を採取することを特徴とする機能性絹繊維
の製造方法。 - 【請求項3】 無菌状態でカイコを飼育する請求項2記
載の機能性絹繊維の製造方法。
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