JP3474433B2 - 電解水生成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水道水等を電気分
解して酸性水とアルカリ水を生成する電解水生成装置の
技術分野に属するものであって、具体的には、目的に合
せたｐＨ並びに有効塩素濃度の電解生成水を生成するこ
とができる電解水生成装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】食塩等の水溶液を被電解水として電気分
解した電解生成水は、細菌等の殺菌水として有効である
が、その殺菌機構は、電解生成水に含まれる次亜塩素酸
等の有効塩素がその殺菌の主要因であると言われてい
る。また、電解生成水はｐＨによってその殺菌効果が異
なり、ｐＨを低くすることにより殺菌力を増大させるこ
とができるが、反面、有効塩素が気化しやすく、殺菌有
効時間が比較的短いため、使用上不便な場合があった。
一方、中性水は殺菌力に於いて酸性水には劣るが、逆に
保存性に於いては勝り、使用目的や使用状況等によって
は中性水が望まれることがあった。

【０００３】そこで、例えば特公平４−４２０７７号公
報、或は、特開平５−２３７４７８号公報（特許第２６
１９７５６号）等に示されているような殺菌水製造装置
及び殺菌水製造方法が考えられた。

【０００４】上記前者の公報には、塩化ナトリウムを原
水に混合して造った被電解水を、隔膜で陽極室と陰極室
に区画した電解槽に入れて電気分解することによって、
陽極室に酸性水を生成し、陰極室にアルカリ水を生成す
るように構成すると共に、陽極室で生成した酸性水を原
水または陰極室で生成されたアルカリ水によって希釈混
合生成して、適正なｐＨ、及び、適正な有効塩素濃度の
電解生成水（殺菌水）と成し、これと同時にその供給量
をも増加できるように工夫した電解水生成装置が開示さ
れた。

【０００５】一方、上記後者の公報には、塩化ナトリウ
ムを添加した水と、塩酸を添加した水を混合し、この混
合した水溶液を被電解水として無隔膜電解槽で電気分解
することにより、ｐＨ３〜７の殺菌水を製造する方法が
開示されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者の公報に記載されている従来の電解水生成装置では、
生成水量を大きく変えた場合、設定したｐＨと塩素濃度
の関係を維持できず、目的の水質を得ることが困難であ
った。

【０００７】また、上記前者の公報に記載されている電
解水生成装置の生成能力は電源等によって予め定まって
いて、所定のｐＨ、及び、所定の有効塩素濃度の電解生
成水を所定の時間内に生成できる量は自ずと限界がある
ため、通常の場合は、ユーザーの使用量に合せてこれに
適する能力の装置を使用していたが、例えば、日々の使
用量にバラツキがあって電解生成水の供給量が不足する
ような場合には、前もって電解生成水を余分に生成して
これをタンク等に貯溜したり、別に装置を増設したりし
て不足分を補う必要があって、その調整作業が非常に煩
雑であり、且つ、経済的負担も大きくなる問題があっ
た。

【０００８】加えて、酸性水のみを必要とするユーザー
に於いては、上記陰極室で生成されるアルカリ水は不要
な水であり、結局捨てる羽目になって全くむだである
し、更に、原水の状況（水質）により、電解反応が左右
され、その結果、ｐＨのバラツキ、及び、有効塩素濃度
のバラツキが出やすい問題もあった。

【０００９】また、上記後者の公報に記載されている殺
菌水製造方法の場合は、被電解水は電解質として食塩と
塩酸を使用し、次亜塩素酸の発生と共に塩酸によるｐＨ
調整を行うものであって、前者の公報に記載されている
生成装置のように生成したアルカリ水を捨てる無駄を無
くすことができるが、反面、上述した前者の公報に記載
した電解水生成装置が有するものと同様に、生成水量を
変化させると、設定したｐＨと有効塩素濃度を調整する
のに煩雑な調整作業が必要になる、と云った各種の問題
点を備えていた。

【００１０】加えて、上記後者の公報に記載されている
殺菌水製造方法に於いて、塩酸はｐＨ調整剤として主に
作用するが、同時に自ずから持っている塩素イオンをも
供給することになるから、その結果、次亜塩素酸をも同
時に生成してしまうことになり、ｐＨと次亜塩素酸の濃
度とを夫々別々に制御することができない問題もあっ
た。

【００１１】従って本発明の技術的課題は、電解生成水
のｐＨと有効塩素濃度のコントロールが夫々別々に制御
可能で、必要とするｐＨと有効塩素濃度の電解殺菌水を
自在に生成することができるように工夫した電解水生成
装置を提供することである。

【００１２】更に本発明の他の技術的課題は、一台の生
成装置で、その時の必要量に合せて自在にその生成量を
調整できるように工夫した電解水生成装置を提供するこ
とである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の技術的課題を解決
するために本発明で講じた手段は以下の如くである。

【００１４】電解槽を隔膜によって陽極室と陰極室との
二室に区画し、これ等各室に設けた電極間に電流を流
し、且つ、各室に被電解水を送り込むことにより、陽極
室内で陽極水を生成し、陰極室内で陰極水を生成して、
これ等の電解生成水を各室に設けた吐出口から吐出すよ
うに構成した電解水生成装置であって、

【００１５】（１） 上記の陽極室に、被電解水として
塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を供給す
る陽極側被電解水供給手段を接続する一方、上記の陰極
室には、被電解水として塩酸又は希塩酸の水溶液を供給
する陰極側被電解水供給手段を接続すると共に、上記陽
極室と陰極室の各電極に対する電気の供給量を、上記陽
極室に対する被電解水の供給量を増加させる場合は増加
に比例して増やし、逆に減少させる場合は減少に比例し
て減らすように制御する電解電流制御手段を設けるこ
と。（請求項１）

【００１６】（２） 上記の陽極室に、被電解水として
塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を供給す
る陽極側被電解水供給手段を接続する一方、上記の陰極
室には、被電解水として塩酸又は希塩酸の水溶液を供給
する陰極側被電解水供給手段を接続すると共に、上記陽
極室と陰極室の各電極間にＯＮ／ＯＦＦデューティ比を
可変とするパルス電流を流すように構成し、且つ、この
ＯＮ／ＯＦＦデューティ比を、上記陽極室に対する被電
解水の供給量を増加させる場合はＯＮ時間比率を比例し
て増し、逆に減少させる場合は減少に比例してＯＮ時間
比率を減少させるように制御する電解電流制御手段を設
けること。（請求項２）

【００１７】（３） 陰極側被電解水供給手段による被
電解水の供給量を、陽極側とは別に単独で可変調節でき
るように構成すること。（請求項３）

【００１８】（４） 陽極室で生成されて吐出される陽
極水と、陰極室で生成されて吐出される陰極水を、夫々
任意の割合で混合して混合水とすることができる電解生
成水混合手段を備えること。（請求項４）

【００１９】（５） 陽極室で生成される陽極水、或
は、陰極室で生成される陰極水、または、これ等の混合
水を、水道水等の原水に対して任意の割合にて混合して
混合水とすることができる希釈混合手段を備えること。
（請求項５）

【００２０】（６） 陽極側及び陰極側の各被電解水供
給手段としてポンプを使用する一方、水道管等の原水供
給流路に流量検知用の流量計を設けて、この流量計が計
測した原水の流量に応じて上記の陽極側或は陰極側の各
ポンプを制御作動して、生成された陽極水または陰極
水、或は、その混合水を必要量だけ上記の原水に混合で
きるように構成すること。（請求項６）

【００２１】（７） 各有効塩素濃度の電解生成水を所
定流量生成する場合に陰極室側に供給する被電解水の供
給量と、その結果生成される電解生成水の示すｐＨ値と
の関連データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記
憶されている関連データに基づいて設定される各ｐＨ
値、並びに、各有効塩素濃度に於ける陰極室側への被電
解水の供給量と電解生成水の生成量との関連を基に割出
される流量値から、陰極室に対する被電解水の供給量を
決定し、且つ、この決定された供給量に基づいて陰極側
被電解水供給手段を制御して被電解水を定量供給する陰
極室側供給量制御手段とを設けること。（請求項７）

【００２２】

【作用】上記（１）で述べた請求項１に係る手段によれ
ば、陽極室側に一定濃度の塩化ナトリウム水溶液または
塩化カリウム水溶液を供給し、陰極室側へ一定濃度の塩
酸または希塩酸を供給することにより、陽極室内で陽極
水を生成し、陰極室内で陰極水を生成することができる
のであるが、この電気分解に際して、陽極室に対する被
電解水の供給量の増減に応じて、各電極間に供給する電
気量を比例的に増減するように制御するため、陽極室側
から吐出される電解生成水（陽極水）の生成量の多少に
関係なく、設定された通りの一定の有効塩素濃度を持っ
た電解生成水を生成することができ、また、設定を変え
ることで所定の塩素濃度の生成水を作ることもできるも
のであって、必要とする有効塩素濃度の電解生成水を、
必要とする量だけ自在に生成することを可能にする。

【００２３】上記（２）で述べた請求項２に係る手段に
よれば、電気分解に際して、陽極室に対する被電解水の
供給量の増減に応じて、各電極間に供給するパルス電流
のＯＮ／ＯＦＦ夫々の時間を変えることになり、つま
り、被電解水が増える場合はＯＮ時間を増し、逆に減る
場合はＯＮ時間を短くするように制御するため、陽極室
側から吐出される電解生成水の多少に係わらず、設定し
た通りの一定な有効塩素濃度の電解生成水を生成するこ
とができ、また、設定を変えることで所定の塩素濃度の
生成水を作ることもできるものであって、必要とする有
効塩素濃度の電解生成水を、必要とする量だけ自在に生
成することができると共に、短いパルスのＯＮ／ＯＦＦ
によって制御するものであるから、この短い時間的な間
隔の中で均一な電解水を生成することを可能にする。

【００２４】上記（３）で述べた請求項３に係る手段に
よれば、陽極室側に於ける被電解水の供給量や、電解条
件等に関係なく、陰極室側の被電解水の供給量を単独で
可変調節することができるものであって、従って、有効
塩素濃度は陽極室側で制御されて所定量が生成され、陰
極室側では主にｐＨを制御することができるから、夫々
の極室から希望される有効塩素濃度を含み、且つ、希望
するｐＨを持った電解生成水を生成することを可能にす
る。

【００２５】上記（４）で述べた請求項４に係る手段に
よれば、陽極室と陰極室で生成される陽極水と陰極水の
ｐＨと有効塩素濃度、及び、その生成量を自在にコント
ロールできるため、これ等の各電解生成水を混合するこ
とにより自在なｐＨと有効塩素濃度の電解生成水、即
ち、殺菌水を自由に生成することができるものであっ
て、一台の生成装置でその時の必要量に合せて自在にそ
の生成量を調整できると共に、生成量を大きく変えたと
しても設定したｐＨと有効塩素濃度の関係を維持して、
目的の水質を得ることを可能にする。

【００２６】また、陰極室側で生成される電解生成水の
ｐＨを中性から酸性領域にする場合は、従来捨てていた
アルカリ水をそのまま利用できるため、折角生成したア
ルカリ水を捨ててしまう無駄をなくすことができると共
に、陰極室側を酸性領域に調整した場合は、陰極へのス
ケールの付着が防止できるため、電極の逆洗の手間を不
要にすることを可能にする。

【００２７】上記（５）で述べた請求項５に係る手段に
よれば、陽極室或は陰極室で電解生成された陽極水及び
陰極水を、水道水等の原水に希釈混合することができる
ため、希釈倍率を大幅に増やすことができ、且つ、混合
水として適正な有効塩素濃度とｐＨを持った電解生成水
を得ることができるものであって、必要な水質の電解生
成水を必要な量だけ生成することを可能にすると共に、
電解槽へ原水を直接通さないため、電解量が少なくて温
度上昇が容易であるから、電解効率を上げることを可能
にする。

【００２８】上記（６）で述べた請求項６に係る手段に
よれば、陽極室側と陰極室側の各ポンプを夫々制御作動
することにより、陽極水及び陰極水の生成量をコントロ
ールでき、且つ、原水に対するこれ等陽極水及び陰極水
の混合量をコントロールできると共に、原水流量の変化
に応じて両電極に対する電気の供給量をコントロールし
て、適正な有効塩素濃度とｐＨに希釈された電解生成水
を得ることができるため、前もって必要な量の電解生成
水を溜めておく必要が無くなり、必要な水質の電解生成
水（殺菌水）を必要な時に必要な量だけ生成することを
可能にする。

【００２９】上記（７）で述べた請求項７に係る手段に
よれば、各有効塩素濃度及びｐＨ値に於ける陰極室側に
対する被電解水（塩酸又は希塩酸）の供給量（添加量）
と、その生成量との関連データが予め記憶されているか
ら、その有効塩素濃度とｐＨ値を指定するだけで、必要
とする量の被電解水を陰極室側に自動的に供給して、必
要とする水質の電解生成水を必要とする量だけ自在に生
成することを可能にする。

【００３０】以上の如くであるから、上記（１）〜
（７）の手段によって上述した技術的課題を解決して、
前記従来の技術の問題点を解消することができる。

【００３１】

【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る電解水生成
装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図１は本発
明の全体を説明した構成図で、図中、ＳＴは電解水生成
装置、１は電解槽、１Ｔは電解槽１の内部を陽極室１Ａ
（アノード室）と陰極室１Ｂ（カソード室）の二室に仕
切る隔膜（イオン変換膜、中性隔膜等）、１Ｘと１Ｙは
これ等陽極室１Ａと陰極室１Ｂに設けた電極で、各電極
１Ｘ，１Ｙは配線１８Ａ，１８Ｂ及び電源スイッチ１８
Ｓを介して直流電源１８に接続されている。

【００３２】同じく図１に於いて、２は水道水等の原水
供給源、４は給水管３を介して原水供給源２に接続した
食塩溶解装置または食塩水タンクであって、この装置ま
たはタンク４内で一定の濃度に造られた塩化ナトリウム
水溶液または塩化カリウム水溶液は、供給量を加減調節
自在に構成した給水ポンプ５Ｐによって供給管５を通し
て上記の陽極室１Ａに送り込まれて、電気分解される仕
組に成っている。

【００３３】７は上記の原水供給源２に対して給水管６
を介して接続した塩酸溶解槽、８はこの溶解槽７に対し
て塩酸を供給する塩酸タンクであって、塩酸溶解槽７で
一定の濃度に造られた塩酸または希塩酸の水溶液は、供
給量を加減調節自在に構成した給水ポンプ９Ｐによって
供給管９を通して上記の陰極室１Ｂに送り込まれて、電
気分解される仕組に成っている。

【００３４】また、１０は上述した原水供給源２に接続
した原水供給管、１０Ｖと１０Ｘと１０Ｚはこの原水供
給管１０の途中に設けた元栓と減圧弁及び電磁弁（安全
装置）、１１は同じく三方切換弁で、この切換弁１１の
一方と他方には原水給水本管１０′と枝管１２が夫々接
続され、更にこの枝管１２の先端は分岐部１２Ｘで２本
の分岐管１２Ａ，１２Ｂに分岐されると共に、各分岐管
１２Ａ，１２Ｂの先端は上述した供給管５と９の途中に
設けた注入部１２Ｙ，１２Ｚに接続されていて、必要時
に原水を各陽極室１Ａと陰極室１Ｂに送り込んで洗浄で
きるように構成されている。

【００３５】１３と１４は上述した原水給水本管１０′
の途中に設けた流量センサーと圧力センサー、１５は安
全弁、１６は入力設定装置１７から入力された設定デー
タに基づいて、通信線１６Ａ，１６Ｂを通して上記の各
給水ポンプ５Ｐ，９Ｐをコントロールして、陽極室１Ａ
及び陰極室１Ｂに対する各被電解水（水溶液）の供給量
を加減調節したり、上述した直流電源１８の電源スイッ
チ１８ＳをＯＮ／ＯＦＦ制御して上述した各電極１Ｘ，
１Ｙに対する電気の供給量を調節したり、上記圧力セン
サヘ１３から送られて来る信号に従って上記の電源スイ
ッチ１８ＳをＯＮ／ＯＦＦ制御したり、更には、流量セ
ンサー１４が計測した原水の積算流量に基づいて、この
原水に一定の割合で混合される電解生成水の量から、各
被電解液（塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩酸）の使
用量、及び、その残量を算出する演算機能を備えた制御
装置であって、この制御装置１６にはマイクロコンピュ
ータが搭載されているが、その詳細な構成は後述する。

【００３６】また、１Ａ′と１Ｂ′は陽極室１Ａと陰極
室１Ｂ内で生成された各電解生成水、即ち、陽極水と陰
極水を吐出する吐出口、１９Ａと１９Ｂはこれ等各吐出
口１Ａ′，１Ｂ′に接続した吐出管、２０と２１は各吐
出管１９Ａ，１９Ｂの先端に接続した三方切換弁で、こ
れ等各切換弁２０，２１の一方は接続管２０Ａ，２１Ａ
を介して攪拌槽２２に接続され、他方には給水管２０
Ｂ，２１Ｂが接続されていて、陽極室１Ａ側の給水管２
０Ｂは分岐部２０Ｘで二又に分岐され、その一方には蛇
口２０Ｖが取付けられ、他方は枝管２４を介して上述し
た原水給水本管１０′の途中に設けた希釈混合部２４Ｚ
に接続されていて、上記の蛇口２０Ｖを開くことによっ
て陽極室１Ａで生成された陽極水を単独で取り出すこと
ができ、また、蛇口２０Ｖを開かない時は陽極水を原水
給水本管１０′内を流れる原水に対して希釈混合するこ
とができる仕組に成っている。

【００３７】更に、上記陰極室１Ｂ側の給水管２１Ｂに
は、その途中に陰極室１Ｂで生成された陰極水を単独で
取り出すための蛇口２１Ｖを分岐接続する一方、その先
端部を上述した原水給水本管１０′の途中に設けた希釈
混合部２１Ｚに接続して、陰極室１Ｂで生成した陰極水
を原水に対して希釈混合できるように構成されている。

【００３８】また、２３は上述した攪拌槽２２と原水給
水本管１０′の途中に設けた希釈混合部２３Ｚの間を結
ぶ給水管で、攪拌槽２２の内部で攪拌混合された陽極水
と陰極水の混合水を、原水に対して希釈混合することも
でき、また、この混合された生成水を上記給水管２３の
途中に分岐した分岐管２３Ａの蛇口２３Ｖを開くことに
より、単独で取り出すことも可能に成っている。

【００３９】更に図中、２６…は上述した原水給水本管
１０′の先端部に取付けた生成水取り出し用の蛇口、２
５はドーレンバルブであって、この蛇口２６…からは、
原水に対して陽極水と陰極水の混合水を希釈混合した電
解生成水、又は、陽極水を単独で希釈混合した電解生成
水、或は、陰極水を単独で希釈混合した電解生成水のい
ずれかを、各三方切換弁２０，２１の切換操作によって
得られる仕組に成っている。

【００４０】図２は上述したマイクロコンピュータを搭
載した制御装置１６の電気的構成を説明したブロック図
で、図中、３０はＣＰＵ、３１はシステムプログラムを
格納し、且つ、設定データを格納するメモリ、３３はこ
れ等ＣＰＵ３０とメモリ３１の間にバス３２を介して接
続したインターフエイス回路で、このインターフエイス
回路３３に上述した各電解質給水用のポンプ５Ｐ，９Ｐ
と、流量センサー１３と、必要とする有効塩素濃度とｐ
Ｈ値を入力するための入力設定装置１７と、各電極１
Ｘ，１Ｙと電源スイッチ１８Ｓを含んだ直流電源１８が
接続され、更に、ＣＰＵ３０からの指示に基づいて所定
のＯＮ／ＯＦＦデューティ比率のパルス電流を流すパル
ス電流制御装置３４が接続されていて、夫々がＣＰＵ３
０の監視の下でメモリ３１に格納されたプログラムに従
って制御作動される仕組に成っている。

【００４１】上述した制御装置１６によれば、ＣＰＵ３
０の指示に従って上記陽極室１Ａ側と陰極室１Ｂ側の給
水ポンプ５Ｐ，９Ｐを制御して、陽極室１Ａと陰極室１
Ｂに対する被電解水の給水量を増加したり減少させたり
することができ、また、陽極室１Ａに対する給水量を増
加した場合には、上述したパルス電流制御装置３４を制
御して、上記各電極１Ｘ，１ＹのＯＮ時間比率を比例し
て増し、逆に給水量を減少した場合は、ＯＮ時間比率を
比例して減少させることによって、陽極室１Ａから吐出
される電解生成水（陽極水）の多少に係わらず、設定さ
れた通りの一定した有効塩素濃度の電解生成水を生成す
ることができるように構成されている。

【００４２】加えて、上記制御装置１６のメモリ３１に
は、各有効塩素濃度の生成水（殺菌水）を所定流量生成
する場合の陰極室１Ｂ側へ供給する被電解水（塩酸又は
希塩酸）の供給量と、その結果、生成水の示すｐＨ値と
の関連データが予め格納されているため、入力設定装置
１７を用いてその有効塩素濃度とｐＨ値を入力設定する
だけで、元栓１０Ｖや蛇口２６…等の開度に関係なく、
常に一定の水質の生成水を供給することができる。

【００４３】尚、図３はポンプ５Ｐによる陽極室１Ａへ
の塩化ナトリウム水溶液（食塩水）の添加量と、各電極
１Ｘ，１Ｙの単位時間当りのＯＮ時間のパーセントを縦
軸にとり、蛇口２６から吐き出される生成水の生成量を
横軸にとった時の、各有効塩素濃度（３０ｐｐｍ，５０
ｐｐｍ，８０ｐｐｍ）の関係を示したグラフであって、
この図からパルス電解によって各有効塩素濃度の生成水
量が、食塩水添加量に比例的に対応していることが分か
った。

【００４４】図４は、図３に示されている有効塩素濃度
５０ｐｐｍの生成水を生成するためのパルス電解が行わ
れている状態で、ポンプ９Ｐが陰極室１Ｂ側に塩酸（Ｈ
Ｃｌ）を添加した時のその添加量と、蛇口２６から吐き
出される生成水のｐＨの変化をプロットしたグラフであ
る。

【００４５】また、図５は有効塩素濃度が５０ｐｐｍ
で、ｐＨ６．５の生成水を生成する場合の塩酸（ＨＣ
ｌ）の添加量と、生成水の生成量との関係を示したグラ
フであって、蛇口２６から吐出される生成水のｐＨを
６．５に調整する時は、上記図４に示したｐＨ６．５
と、１０（１／ｍｉｎ）生成時、５．６（１／ｍｉｎ）
生成時、及び、３（１／ｍｉｎ）生成時の各グラフ交点
の値（塩酸添加量）を縦軸にとり、各生成量を横軸にと
ることにより、各生成量に対する塩酸の添加量を求める
ことができるものであって、この図から、パルス電解を
行って蛇口２６から吐き出される生成水の生成量と、陰
極室１Ｂに対する塩酸の添加量とが、比例関係にあるこ
とが分かった。

【００４６】次に、本発明による電解水生成の処理手順
を図６に示したフローチャートに従って説明すると、先
ずステップＳ１で原水供給管１０の元栓１０Ｖを開ける
と、ステップＳ２で流量センサー１３が原水の流れを感
知し、次いで、ステップＳ３に進んで流量センサー１３
が流量に応じたパルス信号を発振してステップＳ４に進
む。

【００４７】ステップＳ４で制御装置１６がパルス信号
を受信すると、次のステップＳ５に進んで電源スイッチ
１８ＳのＯＮ／ＯＦＦ間隔を演算して、これ等の演算デ
ータに基づいて次のステップＳ６で上述したパルス電流
制御装置３４が所定のＯＮ／ＯＦＦデューティ比率のパ
ルス電流を流して、電源スイッチ１８Ｓを所定の比率で
ＯＮ／ＯＦＦ制御する。

【００４８】次のステップＳ７では上記電源スイッチ１
８ＳのＯＮ／ＯＦＦに基づいて、各電極１Ｘ，１ＹがＯ
Ｎ／ＯＦＦ制御されて、設定された通りの一定の有効塩
素濃度とｐＨの電解水を電解生成することができるので
あるが、上記の設定値を変えることによって、異なる有
効塩素濃度とｐＨを持った異なる性質の電解水を生成で
きることは前述の通りである。

【００４９】次いで、ステップＳ８で上記の元栓１０Ｖ
を閉じると、ステップＳ９に進んで上記の流量センサー
１３がＯＦＦとなり、更にステップＳ１０に進んで制御
装置１６が流量ゼロを確認すると、ステップＳ１１に進
んで電源スイッチ１８ＳがＯＦＦされ、次いでステップ
Ｓ１２で電気分解が停止されて処理を終える。

【００５０】

【発明の効果】以上述べた次第で、本発明に係る電解水
生成装置によれば、生成水の吐出量の多少に係わらず、
１台にて必要な水質の電解生成水を必要な時に必要な量
だけ生成することができるため、従来のようにタンク等
を準備して予め必要な電解生成水を溜めておいたり、別
の装置を増設したりする必要がなく、使用上洵に便利
で、且つ、経済性に富んでいる。

【００５１】また、前もって定まった濃度の塩化ナトリ
ウム又は塩化カリウム水溶液と、塩酸又は希塩酸の水溶
液を被電解質として使用するため、成分が安定してい
て、例えば地域によって水道水（原水）の合成成分が異
なることにより生ずる電解反応のバラツキ等の問題が無
く、常に安定した電気分解と一定の有効塩素濃度とｐＨ
を持った電解生成水を得ることができる利点を備えてい
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電解水生成装置の全体を説明した
構成図である。

【図２】本発明を構成する制御装置の電気的構成を説明
したブロック図である。

【図３】食塩水の添加量と電極がＯＮする単位時間当り
のパーセントと生成量との関係をあらわしたグラフであ
る。

【図４】５０ｐｐｍ設定時の塩酸添加量とｐＨの関係を
あらわしたグラフである。

【図５】ｐＨ６．５に調節するための５０ｐｐｍ設定時
の塩酸の添加量と生成量の関係をあらわしたグラフであ
る。

【図６】本発明の処理手順を説明したフローチャートで
ある。

【符号の説明】

１ 電解槽 １Ｔ 隔膜 １Ａ 陽極室 １Ａ′ 吐出口 １Ｂ 陰極室 １Ｂ′ 吐出口 ４ 食塩溶解装置又は食塩水タンク ５Ｐ ポンプ ７ 塩酸溶解槽 ９Ｐ ポンプ １０ 原水給水管 １３ 流量計 １８ 直流電源 １８Ｓ 電源スイッチ １６ 制御装置 ２１Ｚ，２３Ｚ，２４Ｚ 希釈混合部 ２２ 攪拌槽 ３４ パルス電流制御装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C02F 1/46 C25B 1/26

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電解槽を隔膜によって陽極室と陰極室と
   の二室に区画し、これ等各室に設けた電極間に電流を流
   し、且つ、各室に被電解水を送り込むことにより、陽極
   室内で陽極水を生成し、陰極室内で陰極水を生成して、
   これ等の電解生成水を各室に設けた吐出口から吐出すよ
   うに構成した電解水生成装置であって、 上記の陽極室に、被電解水として塩化ナトリウム水溶液
   又は塩化カリウム水溶液を供給する陽極側被電解水供給
   手段を接続する一方、上記の陰極室には、被電解水とし
   て塩酸又は希塩酸の水溶液を供給する陰極側被電解水供
   給手段を接続すると共に、上記陽極室と陰極室の各電極
   に対する電気の供給量を、上記陽極室に対する被電解水
   の供給量を増加させる場合は増加に比例して増やし、逆
   に減少させる場合は減少に比例して減らすように制御す
   る電解電流制御手段を設けたことを特徴とする電解水生
   成装置。
2. 【請求項２】 電解槽を隔膜によって陽極室と陰極室と
   の二室に区画し、これ等各室に設けた電極間に電流を流
   し、且つ、各室に被電解水を送り込むことにより、陽極
   室内で陽極水を生成し、陰極室内で陰極水を生成して、
   これ等の電解生成水を各室に設けた吐出口から吐出すよ
   うに構成した電解水生成装置であって、 上記の陽極室に、被電解水として塩化ナトリウム水溶液
   又は塩化カリウム水溶液を供給する陽極側被電解水供給
   手段を接続する一方、上記の陰極室には、被電解水とし
   て塩酸又は希塩酸の水溶液を供給する陰極側被電解水供
   給手段を接続すると共に、上記陽極室と陰極室の各電極
   間にＯＮ／ＯＦＦデューティ比を可変とするパルス電流
   を流すように構成し、且つ、このＯＮ／ＯＦＦデューテ
   ィ比を、上記陽極室に対する被電解水の供給量を増加さ
   せる場合はＯＮ時間比率を比例して増し、逆に減少させ
   る場合は減少に比例してＯＮ時間比率を減少させるよう
   に制御する電解電流制御手段を設けたことを特徴とする
   電解水生成装置。
3. 【請求項３】 陰極側被電解水供給手段による被電解水
   の供給量を、陽極側とは別に単独で可変調節できるよう
   に構成したことを特徴とする請求項１又は２記載の電解
   水生成装置。
4. 【請求項４】 陽極室で生成されて吐出される陽極水
   と、陰極室で生成されて吐出される陰極水を、夫々任意
   の割合で混合して混合水とすることができる電解生成水
   混合手段を備えて成ることを特徴とする請求項１または
   ２記載の電解水生成装置。
5. 【請求項５】 陽極室で生成される陽極水、或は、陰極
   室で生成される陰極水、または、これ等の混合水を、水
   道水等の原水に対して任意の割合にて混合して混合水と
   することができる希釈混合手段を備えて成ることを特徴
   とする請求項１または２記載の電解水生成装置。
6. 【請求項６】 陽極側及び陰極側の各被電解水供給手段
   としてポンプを使用する一方、水道管等の原水供給流路
   に流量検知用の流量計を設けて、この流量計が計測した
   原水の流量に応じて上記の陽極側或は陰極側の各ポンプ
   を制御作動して、生成された陽極水または陰極水、或
   は、その混合水を必要量だけ上記の原水に混合できるよ
   うに構成したことを特徴とする請求項１または２記載の
   電解水生成装置。
7. 【請求項７】 各有効塩素濃度の電解生成水を所定流量
   生成する場合に陰極室側に供給する被電解水の供給量
   と、その結果生成される電解生成水の示すｐＨ値との関
   連データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶さ
   れている関連データに基づいて設定される各ｐＨ値、並
   びに、各有効塩素濃度に於ける陰極室側への被電解水の
   供給量と電解生成水の生成量との関連を基に割出される
   流量値から、陰極室に対する被電解水の供給量を決定
   し、且つ、この決定された供給量に基づいて陰極側被電
   解水供給手段を制御して被電解水を定量供給する陰極室
   側供給量制御手段とを設けたことを特徴とする請求項１
   又は２記載の電解水生成装置。