JP3474029B2 - コレステロールの分離回収方法 - Google Patents
コレステロールの分離回収方法Info
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Description
包接させることによって動物性油脂中から除去されたコ
レステロールを、シクロデキストリン包接物から分離回
収し、同時にシクロデキストリンを再生する方法に関す
る。
ば、動脈硬化症等)の原因となるのでその摂取の制限に
大きな関心が寄せられている一方、肝臓において胆汁酸
ならびにプロビタミンDの材料となったり、副腎皮質に
おいて皮質ホルモンの材料となるなど重要な栄養源とし
て有用である。また、生体内の脂肪酸バランスを調節し
て脂質代謝を適正にする機能もある。さらに、細胞膜の
構成成分であることから、乳児の生育過程において必要
不可欠な栄養素であり、調製粉乳の配合成分として等、
その利用価値が高い。
ロールは、その摂取が健康上の問題となることから、こ
れを除去する方法が多数提案されている。例えば特開昭
59−135847号公報にはコレステロールを含有す
る食品に超臨界二酸化炭素を接触させ、この食品からコ
レステロールを抽出して低コレステロール食品を製造す
る方法が開示されている。また、特開昭63−4159
5号、特開平4−93399号公報によれば、シクロデ
キストリンを用いて動物性油脂中のコレステロールを包
接して除去する方法が開示され、これによって低コレス
テロール油脂を得ている。しかし、これらはいずれもコ
レステロールの分離除去を目的としており、包接された
コレステロールを包接物から分離回収することについて
は何らなされていなかった。また、一度コレステロール
の除去に用いられたシクロデキストリンを再利用するこ
とについては検討されておらず、経済上好ましいとはい
えなかった。
ロデキストリンに包接されることによって動物性油脂中
から除去されたコレステロールを、シクロデキストリン
包接物から高濃度で分離回収する方法を提供することに
ある。本発明のさらなる課題は、動物性油脂中のコレス
テロールの除去に使用されたシクロデキストリンを再利
用に供するために再生することにある。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、コレステロールの
シクロデキストリン包接物に超臨界流体を接触させるこ
とにより、包接物からコレステロールが効率良く抽出さ
れることを見い出し、本発明を完成した。
デキストリンと接触させて生成させたコレステロールの
シクロデキストリンの包接物に超臨界流体を接触させ、
包接物からコレステロールを抽出することを特徴とする
コレステロールの分離回収方法である。本発明はまた、
動物性油脂をシクロデキストリンと接触させて生成させ
たコレステロールのシクロデキストリンの包接物に超臨
界流体を接触させ、包接物からコレステロールを抽出に
よって分離し、シクロデキストリンを再生(90%以
上)する方法である。
トリン包接物とは、ラード、牛脂、卵黄脂質またはこれ
らの混合物等の動物性油脂にシクロデキストリン、好ま
しくはβ−シクロデキストリン水溶液を接触させること
によって得られるものをいう。上記の動物性油脂は、液
化動物性油脂の態様で、すなわち溶融温度以上の可及的
低温度に維持しつつ、シクロデキストリン水溶液に攪拌
して包接せしめる。包接を行うにあたっての温度、時
間、配合比等の反応条件は、公知の方法に従う。例え
ば、反応温度は油脂を液状に維持でき、かつ劣化防止が
起きないような温度であることが望ましく、かかる観点
から45℃以下、好ましくは40℃前後が例示され、反
応時間は、少なくとも120分、好ましくは120〜2
40分が例示される。また、配合比は、動物性油脂中に
含有されるコレステロール1重量部に対し、シクロデキ
ストリン8〜12重量部、好ましくは9〜10重量部が
例示される。包接反応終了後、デカンテーション、遠心
分離などによって水相を分離回収する。かくして、水相
にコレステロールのシクロデキストリンの包接物を得、
さらにはこれを乾燥することによって包接物粉末を得る
ことができる。
臨界流体とは、抽出時に343〜373K、好ましくは
353Kの臨界温度あるいはそれ以上の温度、および1
0〜30MPa、好ましくは17.6MPaの臨界圧あ
るいはそれ以上の圧力の条件下にある二酸化炭素(超臨
界二酸化炭素)に、エントレーナーとしアルコールを加
えたものである。ここで、アルコールとしては、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール、好適にはプロパノー
ルが用いられる。
二酸化炭素をシクロデキストリン包接物に対して400
〜800ml/min、好ましくは500〜700ml
/minの流量で、エントレーナーの濃度は10〜30
mol%、好ましくは15〜20mol%として行う。
尚、ここでの流量は1気圧、0℃に換算した値である
(以下同様)。
に先立って、上記の超臨界二酸化炭素のみを用い同条件
で抽出してシクロデキストリン包接物外側に付着した油
脂分を除去してもよい。
い、コレステロールをシクロデキストリン包接物より抽
出する操作は以下のようにして行う。
を図1に示すが、これに従って説明する。二酸化炭素を
ボンベ1とポンプ2によって、またエントレーナーを用
いる場合はタンク3とポンプ2’によって、それぞれ圧
入して両者を混合する。予熱コイル5を通過することに
よって混合液体は超臨界流体となる。分離カラム6内に
は予め包接物原料を入れておき、上記の超臨界流体と接
触させる。なお、予熱コイル、分離カラムは超臨界温度
に保持されたエアーバス8中にある。所望の条件を有す
る超臨界流体の形成は、予熱コイル5における温度とポ
ンプ(2,2’)の作動圧力を適宜調節することによっ
て行うことができる。溶解・抽出された成分はUV検出
器9によってオンラインでモニターされ、背圧調節弁1
1によって大気圧によって減圧される。減圧・膨張によ
って超臨界流体中に溶解したコレステロールは冷却器1
3により低温冷却された採取器12にエントレーナーと
ともに析出し、分取される。溶質やエントレーナーを含
まない二酸化炭素はガスメータ14によって積算通過量
を測定される。一方、コレステロールが抽出されたシク
ロデキストリンは分離カラム6内に留まり、適宜回収さ
れて動物油脂中のコレステロールの包接に再利用され
る。
によれば、シクロデキストリンに包接されることによっ
て動物性油脂中から除去されたコレステロールを、シク
ロデキストリン包接物から高濃度で分離回収することが
できる。また、本発明によれば、コレステロールの分離
回収後のシクロデキストリンは動物性油脂中のコレステ
ロールの除去に再利用できるので製造コスト軽減の上で
有効である。
るが、これらにより本発明の範囲が限定されるものでは
ない。
/100g)と、β−シクロデキストリン(日本食品化
工社製)を1.0%の濃度で殺菌水に溶解したシクロデ
キストリン含有液20kgを混合した。この混合液を3
8℃に維持しつつ、180分間攪拌後、デカンテーショ
ン、遠心分離によって水相を分離回収し、次いで減圧下
で水分を蒸発させて、コレステロールのシクロデキスト
リン包接物を得た。包接物の組成は下表の通りである。
物5.16gを図1に示した抽出装置の分離カラム6に
入れ、超臨界二酸化炭素(24.5MPa,323K,
600ml/min)のみを用いて抽出した。抽出結果
を図2に示す。図中の縦軸は抽出物の積算量であり、コ
レステロール(黒丸で示した)は含まれず、それ以外の
バターファット成分のみが抽出された。尚、黒丸はゼロ
ではなく包接物外側に付着したバターファットに含まれ
るコレステロールに相当する微量のコレステロールが検
出された。これらから超臨界二酸化炭素のみではシクロ
デキストリンの外側に付着したファット分のみが除去さ
れたものと考えられる。なお、このことは抽出後の包接
物の顕微鏡観察からも支持された。
ラムに仕込み、上記の超臨界二酸化炭素にエントレーナ
ーを加えて超臨界流体処理した。処理は下記表2の基本
条件No.1で行った(実施例1)。尚、基本条件N
o.1の処理温度、圧力、エントレーナー濃度等のパラ
メータを変えたもの(条件No.2〜7)についても同
様にして行った(比較例1〜4)。
分析 (2)の処理により採取器に補集した抽出物は一定の時間
ごとに取り出し、その量とコレステロールの組成を測定
した。 [分析条件] カラム 日本分光工業製Superpak SIL C1 検出器 UV分光光度計(206nm) 圧力 8.8 MPa 温度 315 K 二酸化炭素流量 400ml/min (標準状態) モディファー ヘキサン (15.1mol%)
線ならびに単位時間当たりの抽出量変化を図3、図4に
示す。エントレーナーを加えることによって、コレステ
ロール以外の極性脂質が初期にほとんど抽出され、包接
したコレステロールが徐々に溶解・抽出されている(図
3)。また、コレステロールの抽出速度は途中で極小・
極大をとる特徴ある挙動をとり(図4)、このようなこ
とは、単なる抽出ではあまり例はなく、コレステロール
とシクロデキストリンの包接物の分解が起こっているこ
とを示唆している。
は実施例1と同様にしてコレステロールの抽出を行った
(比較例1)。コレステロール抽出に対する温度の影響
(コレステロール抽出曲線、単位時間当たりの抽出量変
化)を図5に示す。温度が低いと包接物の分解反応が起
こりにくく、またこの場合も同様にコレステロールの抽
出速度は極小・極大をとる特徴が現れている。また、図
5をコレステロールの抽出率変化として再プロットした
(図6)。353Kでは400分でもまだコレステロー
ルの抽出が進行し、この時点で110%を越えている。
aにした以外は実施例1と同様にしてコレステロールの
抽出を行った(比較例2)。コレステロール抽出に対す
る圧力の影響(コレステロール抽出曲線、単位時間当た
りの抽出量変化)を図7に示す。圧力による変化はあま
りみられなかった。また、図7をコレステロールの抽出
率変化として再プロットした(図8) 。両方の圧力にお
いて、400分ですでに抽出率が100%を越えてい
る。
の影響(条件No.4、5) 基本条件のうちエントレーナー(エタノール)濃度を1
6.1mol%から22.3mol%(条件No.
4)、8.8mol%(条件No.5)にした以外は実
施例1と同様にしてコレステロールの抽出を行った(比
較例3)。コレステロール抽出に対するエントレーナー
(エタノール)濃度の影響(コレステロール抽出曲線、
単位時間当たりの抽出量変化)を図9に示す。エントレ
ーナーの影響は非常に大きいことがわかる。特に、2
2.3mol%では非常に抽出速度(分解速度)が大き
く、基本条件(16.1mol%)の4分の1以下の時
間でコレステロールのほとんど全量が抽出された。ま
た、抽出開始から初めの30分程度はエタノール濃度に
よらずほぼ同じような挙動を示した。また、図9をコレ
ステロールの抽出率変化として再プロットした(図1
0)。22.3mol%(条件No.4)では抽出率が
120%に達しているが、8.8mol%(条件No.
5)では抽出率が38%にしかならない。
No.6、7) 基本条件のうちエントレーナーを、エタノールに変えて
ヘキサン(条件No.6)、アセトン(条件No.7)
にした以外は実施例1と同様にしてコレステロールの抽
出を行った(比較例4,但し、エントレーナー濃度はそ
れぞれ17.4mol%) 。コレステロール抽出に対するエント
レーナーの種類の影響(コレステロール抽出曲線、単位
時間当たりの抽出量変化)を図11に示す。ヘキサンで
は全くコレステロールは抽出されず、アセトンでも少し
しか抽出されない。また、図11をコレステロールの抽
出率変化として再プロットした(図12)。ヘキサンや
アセトンに比較してエタノールの効果が秀でていること
が明らかである。
の除去及びコレステロールの抽出を行った。処理は、下
記表3の基本条件No.1’で行い(実施例2)、基本
条件No.1’のエントレーナーの種類、二酸化炭素流
量のパラメーターを変えたもの(条件No.8〜No.
12)についても行った(実施例3〜4、比較例5〜
7)。ただし、温度353K、圧力17.6MPa、エ
ントレーナー濃度16.1(mol%)は全ての実施
例、比較例とも同じである。
実施例1と同様に超臨界流体クロマトグラフによって分
析し、表3の抽出率1を算出した。また、全く同様な条
件下に、数回の抽出実験を行って集めた約20gの抽出
残物について、以下のフローシートに従って処理し、残
留しているコレステロール量をガスクロマト分析によっ
て求め、表3中の抽出率2を算出した。
μm 温度 :注入口280 ℃, カラム271 ℃, 検出器 280℃ ガス流量:ヘリウム2.3ml/min. ガス圧 :水素 0.6kg/cm2, 空気 0.5kg/cm2 導入系 :スプリットレス
件No.8〜10) 基本条件のうち、エントレーナーとしてエタノールに変
えてプロパノール、ブタノール、メタノール(条件N
o.8〜11)を用いる以外は実施例2と同様にしてコ
レステロールの抽出を行った(実施例3〜4、比較例
5)。抽出率1を求め、その変化をプロットした(図1
3)。これより、350分後の抽出量はプロパノール>
ブタノール>エタノール>メタノールの順となった。ま
た、最終的な抽出率1(表3参照)もそれと同様の結果
である。つまり、エントレーナーとしては、プロパノー
ルが最も効果的であり、最終的な抽出率1は95.8
%、抽出率2は99.4%に達した。
11、12) 基本条件の二酸化炭素流量を600ml/minから4
00ml/minに変化させた以外は実施例2と同様に
してコレステロールの抽出を行った(比較例6)。それ
らの比較を図14に示す。抽出率の変化に対し、流量は
ほとんど影響しないことがわかり、いずれの流量におい
ても最終的な抽出率1は約80%となった。さらに、エ
ントレーナーとしてプロパノールを用い、基本条件の二
酸化炭素流量を600ml/minから400ml/m
inに変化させた以外は実施例3と同様にしてコレステ
ロールの抽出を行った(比較例7)。それらの比較を図
15に示す。抽出率の変化に対し、流量はほとんど影響
しないことがわかり、いずれの流量においても最終的な
抽出率1は約100%となった。つまり、エントレーナ
ーとしてプロパノールが秀でていることが確認された。
(分離)装置の一例を示す。
K,600ml/min)のみによるコレステロール抽
出曲線を示す。
示す。
を示す。
ステロール抽出曲線、単位時間当たりの抽出量変化)を
示す。
響を示す。
ステロール抽出曲線、単位時間当たりの抽出量変化)を
示す。
響を示す。
(エタノール)濃度の影響(コレステロール抽出曲線、
単位時間当たりの抽出量変化)を示す。
レーナー(エタノール)濃度の影響を示す。
の種類の影響(コレステロール抽出曲線、単位時間当た
りの抽出量変化)を示す。
レーナーの種類の影響を示す。
類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル)の影響(コレステロール抽出曲線)を示す。
レステロール抽出率に対する二酸化炭素の流量の影響を
示す。
コレステロール抽出率に対する二酸化炭素の流量の影響
を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 動物性油脂をシクロデキストリンと接触
させて生成させたコレステロールのシクロデキストリン
の包接物に、アルコールをエントレーナーとして添加し
た二酸化炭素の超臨界流体を接触させ、包接物からコレ
ステロールを抽出し、同時にシクロデキストリンを再生
することを特徴とするコレステロールの分離回収方法。 - 【請求項2】 アルコールが、エチルアルコール、プロ
パノール、ブタノールのいずれかである請求項1記載の
方法。 - 【請求項3】 シクロデキストリンが、β−シクロデキ
ストリンである請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16262595A JP3474029B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | コレステロールの分離回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16262595A JP3474029B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | コレステロールの分離回収方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0910501A JPH0910501A (ja) | 1997-01-14 |
JP3474029B2 true JP3474029B2 (ja) | 2003-12-08 |
Family
ID=15758174
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16262595A Expired - Fee Related JP3474029B2 (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | コレステロールの分離回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3474029B2 (ja) |
-
1995
- 1995-06-28 JP JP16262595A patent/JP3474029B2/ja not_active Expired - Fee Related
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